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中間報告、管理職って大変?
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「ご報告があります。」
今回の報告は本当にイレギュラーだ。
「…やはり難しい問題が有ったのですね?」
複数の世界の安定を司る第一級女神を前にして緊張する。
日頃から優しく厳しく我々に接して下さる直属の上司。
今回の件では、かなりご心配をかけている。
「地球より転生したタケルさんの事ですが、どうやらあの者がまたしても、故意にあの世界を改ざんしていた形跡が有りました。
コチラの想定以上に過剰に『奴隷文化』が盛んになっています。」
普段から、優しく美しい上司のお顔が悲しみで曇る。
「あの者は何故こんな事を…
軌道修正は可能ですか?」
『あの者』とは、自分が気に入った人間に他の人間の「幸福」を与え、その人間が受けるハズの「試練」を他の人間に押し付ける。
そんな職権濫用を繰り返していた元同僚の下級神の事だ。
「奴隷制度は非道で醜悪なモノで有ると、
強く風聴させて廃止する様に誘っておりますが、
人間に取って背徳で危険なモノ程、
『官能的』で、強く禁じる事が返って深く広まっている様です。
特に権力を持った者に見受けられる奇病と言えます。」
ソレは仕方ないと諦めていると言っている様だ。
「…ところで、彼女は今…?」
「ハイ、タケルさんの隣人に姿を変えて、直接原因の芽を詰んでおります。
今回は『エルフ』だそうです。」
彼女は相変わらず、良くも悪くもマイペースだ。
「貴方は…いえ、なんでもありません。」
自分が何に姿を変えているのか聞きたかったのだろうか?
「すいません、どうやら現場が好きな様でして…、
ですが、決して仕事を怠けている訳では無く、逆に仕事を楽しんで…いえ、真剣に取り組んでおります。」
「フフフ、良いのですよ。
タケルさん達と楽しんでも。
ですが、そもそもこの世界には『奴隷』と言った文化は無かったハズなのですが…?」
「その事ですが、ここまで非道なモノとして加速したのは、あのモノの企みでしたが、
『奴隷制度』や『人身売買』などの文化を持ち込んだのは、数世紀前に地球からこの世界に召喚された初代勇者の様です。」
「なんと…そんな事が?
引き続き、この世界の安定に勤めて下さい、
このまま「負」のエネルギーが増してしまうと、この星の寿命まで汚染されてしまうでしょう。」
「ハイ、早急に。」
男神さんは上司との謁見の場から離れた。
一度根付いてしまったモノを完全に取り去る事は難しい、
タケルさんが生きている時代で改善されるか、難しいだろう?
あらかじめ、授けたスキルは上手く開花していなかった。
既にスキルを超えた身体能力を身に付けていたのだ。
さすが前世が〇〇家だけある。
ここは神の世界。
タケルは勿論の事、後を追う様に転生した恋人や家族達を見守っていた男神さんと女神サマ。
そんな中、有る事に気が付く?
この異世界は現在もっと牧歌的なのんびりした世界だったと記憶していた。
にも関わらず、人身売買が盛んに行われていて、一度「奴隷」にされた者は、労働力以上に酷使され、物として扱われ、一時の戯れに命を奪われる。
ソレも同じ種族間に留まらず、他種族にも手を広げている。
ソレは金銭の為、性的快楽の為、労働力、軍事的戦力…
その昔、この世界の命を怯えさせた邪神を倒す為、人族、魔族、神族らが協力し、世界を守った。
その先頭に立ち、戦い勝利に導いたのは、タケルたちの世界とは別の地球から召喚した人間の勇者で有り、平和が訪れた世界に勇者が持ち込んだ異世界の知識で生活は飛躍的に豊かになった。
その中で、何世紀も強く根付いたのが「奴隷制度」だ。
初めのウチは「人権」も認めていたかもしれないし、規定の時が来たら開放されてたのかもしれない。
今は奴隷にされる事は、限りなく死に近い事を意味する。
最初の勇者にそんな気が有ったのかは、今となっては知る事が出来ない。
「タケルさんに期待してしまうのは、無責任でしょうか?」
「良いのよ、アイツはこういう事に喜んでクビを突っ込んでくる男よ!」
…
「アナタはそうやって、今回も自分が楽しむつもりでは?」
私一人に報告の任を押し付けて、何をしているのか、このひとは?
地球では、セレブな読者モデル?
今回はギルドの謎の美人受付嬢(エルフ)。
「…アナタと言う方は、又地球のアニメに影響しれましたね?」
「あら、この方が都合の良いのよ。
今回はタケルだけ見守ってる訳では無いしね。」
「ちゃんと「負」のエネルギーの発生源も見つけて下さると、とても助かるのですが?」
「ソレなのよ!
あの馬鹿、この世界にも推しがいるんじゃないかしら?
前回みたいにココにも、不幸を寄せ付けず、幸せ独り占めしている一番推しが?」
「…アナタ、稀に有能ですね?
そうなると、巧みにその存在を隠蔽しているのかも…
エルフというのは、各国の要人と太いパイプなどお持ちでは有りませんか?」
私はこの際なので、彼女を扱き使う事にした。
「フフ、何、分かってるじゃない!
そう、その通りよ!
長命なエルフは王族なんかともお友達なんだからネ!」
…こう言うのを「チョロい」と表現するのかな?
「それではアナタにお願いします、この世界で1番愛されている存在、もしくは信仰されている存在に心当たりはありますか?
王族や貴族、種族に関係なく、もしかすると、神獣の類かも知れません!」
我々に分からない様に隠蔽された存在かもしれない?
「…調べてみるから、少し待ってて。
それとなくギルドの情報網も使ってみるから。」
神のチカラが及ばない様に、細工されているなら、そちらの方が有効かもしれない!
「じゃあまた行って来るわね!」
行ってしまった。
楽しそうだなぁ?
「あぁそうそう、忘れてたわ⁈」
おや、戻ってきた?
「そういえば、教会にドラゴンと結ばれるにはどうしたらいいのかと、深く祈りを捧げる乙女がいたと報告があったけど、ソレも私がなんとかするから!」
「そうですか、良しなにお願いしますよ。」
「それではもう一度行って来ま~す!」
なんだろう、それほど大変じゃないかもしれない、
と、思えてきたのだけど?
今回の報告は本当にイレギュラーだ。
「…やはり難しい問題が有ったのですね?」
複数の世界の安定を司る第一級女神を前にして緊張する。
日頃から優しく厳しく我々に接して下さる直属の上司。
今回の件では、かなりご心配をかけている。
「地球より転生したタケルさんの事ですが、どうやらあの者がまたしても、故意にあの世界を改ざんしていた形跡が有りました。
コチラの想定以上に過剰に『奴隷文化』が盛んになっています。」
普段から、優しく美しい上司のお顔が悲しみで曇る。
「あの者は何故こんな事を…
軌道修正は可能ですか?」
『あの者』とは、自分が気に入った人間に他の人間の「幸福」を与え、その人間が受けるハズの「試練」を他の人間に押し付ける。
そんな職権濫用を繰り返していた元同僚の下級神の事だ。
「奴隷制度は非道で醜悪なモノで有ると、
強く風聴させて廃止する様に誘っておりますが、
人間に取って背徳で危険なモノ程、
『官能的』で、強く禁じる事が返って深く広まっている様です。
特に権力を持った者に見受けられる奇病と言えます。」
ソレは仕方ないと諦めていると言っている様だ。
「…ところで、彼女は今…?」
「ハイ、タケルさんの隣人に姿を変えて、直接原因の芽を詰んでおります。
今回は『エルフ』だそうです。」
彼女は相変わらず、良くも悪くもマイペースだ。
「貴方は…いえ、なんでもありません。」
自分が何に姿を変えているのか聞きたかったのだろうか?
「すいません、どうやら現場が好きな様でして…、
ですが、決して仕事を怠けている訳では無く、逆に仕事を楽しんで…いえ、真剣に取り組んでおります。」
「フフフ、良いのですよ。
タケルさん達と楽しんでも。
ですが、そもそもこの世界には『奴隷』と言った文化は無かったハズなのですが…?」
「その事ですが、ここまで非道なモノとして加速したのは、あのモノの企みでしたが、
『奴隷制度』や『人身売買』などの文化を持ち込んだのは、数世紀前に地球からこの世界に召喚された初代勇者の様です。」
「なんと…そんな事が?
引き続き、この世界の安定に勤めて下さい、
このまま「負」のエネルギーが増してしまうと、この星の寿命まで汚染されてしまうでしょう。」
「ハイ、早急に。」
男神さんは上司との謁見の場から離れた。
一度根付いてしまったモノを完全に取り去る事は難しい、
タケルさんが生きている時代で改善されるか、難しいだろう?
あらかじめ、授けたスキルは上手く開花していなかった。
既にスキルを超えた身体能力を身に付けていたのだ。
さすが前世が〇〇家だけある。
ここは神の世界。
タケルは勿論の事、後を追う様に転生した恋人や家族達を見守っていた男神さんと女神サマ。
そんな中、有る事に気が付く?
この異世界は現在もっと牧歌的なのんびりした世界だったと記憶していた。
にも関わらず、人身売買が盛んに行われていて、一度「奴隷」にされた者は、労働力以上に酷使され、物として扱われ、一時の戯れに命を奪われる。
ソレも同じ種族間に留まらず、他種族にも手を広げている。
ソレは金銭の為、性的快楽の為、労働力、軍事的戦力…
その昔、この世界の命を怯えさせた邪神を倒す為、人族、魔族、神族らが協力し、世界を守った。
その先頭に立ち、戦い勝利に導いたのは、タケルたちの世界とは別の地球から召喚した人間の勇者で有り、平和が訪れた世界に勇者が持ち込んだ異世界の知識で生活は飛躍的に豊かになった。
その中で、何世紀も強く根付いたのが「奴隷制度」だ。
初めのウチは「人権」も認めていたかもしれないし、規定の時が来たら開放されてたのかもしれない。
今は奴隷にされる事は、限りなく死に近い事を意味する。
最初の勇者にそんな気が有ったのかは、今となっては知る事が出来ない。
「タケルさんに期待してしまうのは、無責任でしょうか?」
「良いのよ、アイツはこういう事に喜んでクビを突っ込んでくる男よ!」
…
「アナタはそうやって、今回も自分が楽しむつもりでは?」
私一人に報告の任を押し付けて、何をしているのか、このひとは?
地球では、セレブな読者モデル?
今回はギルドの謎の美人受付嬢(エルフ)。
「…アナタと言う方は、又地球のアニメに影響しれましたね?」
「あら、この方が都合の良いのよ。
今回はタケルだけ見守ってる訳では無いしね。」
「ちゃんと「負」のエネルギーの発生源も見つけて下さると、とても助かるのですが?」
「ソレなのよ!
あの馬鹿、この世界にも推しがいるんじゃないかしら?
前回みたいにココにも、不幸を寄せ付けず、幸せ独り占めしている一番推しが?」
「…アナタ、稀に有能ですね?
そうなると、巧みにその存在を隠蔽しているのかも…
エルフというのは、各国の要人と太いパイプなどお持ちでは有りませんか?」
私はこの際なので、彼女を扱き使う事にした。
「フフ、何、分かってるじゃない!
そう、その通りよ!
長命なエルフは王族なんかともお友達なんだからネ!」
…こう言うのを「チョロい」と表現するのかな?
「それではアナタにお願いします、この世界で1番愛されている存在、もしくは信仰されている存在に心当たりはありますか?
王族や貴族、種族に関係なく、もしかすると、神獣の類かも知れません!」
我々に分からない様に隠蔽された存在かもしれない?
「…調べてみるから、少し待ってて。
それとなくギルドの情報網も使ってみるから。」
神のチカラが及ばない様に、細工されているなら、そちらの方が有効かもしれない!
「じゃあまた行って来るわね!」
行ってしまった。
楽しそうだなぁ?
「あぁそうそう、忘れてたわ⁈」
おや、戻ってきた?
「そういえば、教会にドラゴンと結ばれるにはどうしたらいいのかと、深く祈りを捧げる乙女がいたと報告があったけど、ソレも私がなんとかするから!」
「そうですか、良しなにお願いしますよ。」
「それではもう一度行って来ま~す!」
なんだろう、それほど大変じゃないかもしれない、
と、思えてきたのだけど?
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