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渡る世界はワクワクどきどき…ばかりでは無いね?
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「まずは冒険者ギルドに登録しなさい。」
そう祖母に言われてた。
なので、手っ取り早くギルド支部のある一番近くの田舎町まで行く事にした。
「えへへ~、でへへへ~♡」
「どうした、カンナ?
顔が緩みきってるぞ、まぁ、そんな顔も可愛いけど。」
「やだぁ~、タケルってば。
可愛い~とか今まで言ってくれた事無いのに♡」
村を出てからずっとこの調子なのだ?
年頃の娘を俺の旅に同行させる以上、親御さんの了承をもらわないといけない。
俺が一人前になったら、カンナに結婚を申し込むつもりだったが、こうなったら前倒しだ。
実は出発の前の晩、カンナに俺の気持ちを伝えるつもりで、探していたのに見つからなかったのだ。
どうやら、彼女も出発準備をしていて、あちこち必要なモノを調達していた様だ。
「本当にガーヴィンに乗って行かなくて良いのか?」
「アナタの隣りを歩いていたいの♡
ソレにガー君は旅の仲間で「乗り物」じゃ無いもの!」
出発の朝、カンナと会ってから急いでカンナの家まで戻ってガッシュおじさんに、
「娘さんをオレに下さい!」
って、お願いしたら、
「いや、こんな跳ねっ返りで良ければ貰ってくれ!
ってか、コレでタケルは俺の息子でもあるな!」
割とアッサリ話しがまとまったゾ⁈
そんな訳で一先ず「婚約」というところだ。
そうだな、冒険者ランクAに昇格したら、村に戻って式を挙げるのはどうだろうか?
そう簡単な事では無いだろうから、何とか30代前には成し遂げたい、カンナの為にも!
「カンナ、やっぱりガーヴィンに乗れ!
今日中に町に着きたい!」
「えっ?
私はのんびりでも構わないけど?」
「このままだと野宿だぞ!」
俺だけなら、ガーヴィンと同じ速さで走れるけど、カンナはそうは行かない?
ガーヴィンなら町まで昼過ぎには着けるかもしれんし、町で情報も仕入れたい。
なのに彼女は何か心ココに在らずの様で?
「…野宿…かぁ…。」
満天の星の下、彼と二人っきりで夜を過ごす…
今宵は記念すべき夜になるんだね、タケル!
私、ずっとタケルは「ナリフ」の事が好きだと思っていたけど、
「ナリフ? そりゃ好きだぞ?お前だってそうだろ、オレ達にとっては「可愛い妹」じゃないのか?
まぁココに来て、俺には本当の妹が出来た訳だけどな…十五も歳下のな!」
タケルは妹としてナリフを大事にしていたのね!
つまりは私の事は「一人の女の子」として見ていてくれたんだ!
私と同じ気持ちだったのね!
「おーい、カンナ~ぁ。
カンナさ~ん、もしも~し?」
たまに有るんだ、カンナが一人の世界に入ってしまい、様子がおかしくなる事が。
その度に、現実に引き戻すのはいつしかオレの役目になっていたけど。
「コラ、戻ってコイ!」
オレ軽くカンナの頭をこづいた。
「ア痛っ⁈ ん、ナニ?」
「ほら、ガーくんに乗るのか?乗らないのか?どっちなんだ?」
「えっ、ガーくん?」
彼がいつもより優しく私の頭を叩く。
「ブルル~?」
ぷっ!返事したみたいでガーくん可愛い!
そっか、ガーくんもいたんだっけ?
「ガーヴィン」はとっても賢い子だ、仔馬の頃から私やナリフとも仲良しで、子供の頃は、よくその背に乗せてくれて村の外の原っぱで走り回った。
そう、一緒に育った「弟」の様な…?
えっ⁈
弟に見られちゃうの?
そ、その二人の初めての…キャ♡
そ、それは外だから隠す物は無いし、星空の下なんてロマンチックで良いかなって思っちゃったけど!
せめて最初の夜くらいは二人っきりで‼︎
「そ、そうだね、乗る!
乗ります‼︎
よろしくね、ガーくん!」
「ブルルン!」
「何だ、カンナ?
顔が紅いゾ?」
カンナを乗せた炎馬は、野を越え、森を抜け、川を飛び越え、息も荒げずに半日足らずで町に到着した。
「ハァハァ…タケル、私よく知らないんだけどね?」
「ん、何だ?」
「アンタも大概だけど、ガーヴィンって、もしかして普通の馬と違うの?」
「ん、何でだ?」
「早くない? まだ陽が高いよ?」
今日中に着くって、日が沈む前くらいかと思ってたのに、コレじゃぁ、ちょっと遅いランチの時間じゃない?
「頑張ってくれたんじゃないか?オレ達の為に。」
町の入り口で通行税を払った。
ギルドに登録すれば免除になるので、ココで登録を済ませないと、後々面倒だ。
冒険者ギルドの場所を聞き、早速冒険者登録をする事にした。
驚いた事にこの町の冒険者ギルドで受付をしていたのはエルフのお姉さんだった。
「まぁ!先程この町についたばかりですか⁈
遠い所から大変でしたね、わからない事は何でも聞いて下さいね!」
オレもカンナもFランクからのスタートだ。
「隣町なら、昇格試験を行ってますよ。」
「隣町?」
「隣りと言っても、馬の脚でも二日くらいかしら。」
受付のお姉さんが親切に教えてくれた。
おそらくは若い男女の新人冒険者に対して、応援したいのだろう。
まさか、同等の距離の村から半日で来たとは思ってはいない様。
「上手くいけば、伝説の英雄に会えるかもしれませんよ。」
「へぇ、わかりました。
そうそう、今手持ちのお金が心許なくて、「素材の買取」をお願い出来ますか?」
自分の師匠とどっちが強いだろうか、伝説の人にはあまり興味がなかった。
村長から貰った革袋をカウンターにおく新人冒険者のタケル。
「フフ、ええ任せて!
新人冒険者の門出にサービスしますからね!」
「えっと、コレとコレなんですけど?」
「ハイ!お預かりしま…えっ?」
「どうかしましたか?」
袋から取り出したモノをマジマジと見ているお姉さん?
「あの、コレ、もしかしてドラゴンの…?」
「ウロコとキバですね。」
っと、タケル。
「友達から貰ったんです!」
っと、カンナが楽しそうに答える。
「…すいません、コレは大変貴重なモノです。
ですので、間違いがあるといけません!
私では無く、上の者に鑑定させて頂きますので、少々お待ち頂けますか?」
今日村から出たばかりの新人冒険者に誠意ある対応、このエルフのお姉さんに二人は好感を感じた。
「是非お願いします、エルフのお姉さん!」
つい声が大きくなるカンナ!
「えっと、私は「アンリエッタ」といいます。
親しい人からは「アンリ」と呼ばれているので出来れば…」
「じゃあ、「アン姉さん」ね!」
(いいのか?あまり仲良くなると、この町から先に行くのが遅れるかも?)
う~ん、頭にオッさんが響く?
それならそれでもいいさ。
まずココのギルドで何か依頼をこなしてみるのも面白いだろう。
もう登録した訳だし?
しばらくすると、
「お、御二方!
た、大変お待たせいたしました!
ご説明したい事がございますので、こちらの応接室で御対応させて頂きます!」
奥から恰幅のいい中年男性がやって来て、やたら大きな声を張り上げて現れた!
男性の後ろに引きつって微笑んでいるアンリさんがいた。
「副ギルド長、少し落ち着いて下さい、御二方が驚いていますから。」
「コホン、先程は失礼しました。」
応接室に通されたオレ達は、お茶菓子を出されて、手厚いお持てなしを受けていた。
「私、この町の副ギルド長「ゴルドー」といいます。
以後、よろしくお願いします。」
長が着くような人が新人冒険者成り立てのオレ達に随分と腰が低いが何かあったのだろうか?
「御二方が買い取りにお出し頂きました「ウロコとキバ」ですが、ま、まさかアレは「エメラルドドラゴン」のモノでは⁈」
「えっ?
アレ、アレは「カイザードラゴン」の幼体のモノですよ?
アレを餞別にくれた本人がそう言ってましたから。」
「そ、そうなのです!アレは確かに「カイザードラゴン」の幼体のモノです!
ご説明とはソレと関係していまして!」
「さっき、エメラルドドラゴンって言ってましたけど、確かに綺麗な翠色してますよね?
えっと、ソレと何か関係が?」
カンナが心配になって、アンリさんに聴く。
「最近、「カイザードラゴン」の幼体には「ルビー」「サファイア」「エメラルド」と鱗の色が宝石の様に美しい色をしている個体がいる事が判明したの。」
うん、そうらしいな?
割と前から知っているけど?
「その通り!
ソレが成長するにしたがって、色が濃くなり、成体になるとほぼ黒く見えるのです。
ですが、よく見ると「青味が強い黒」と言う様な個体差が有る事が判明しまして…もしかしてご存知でしたか?」
「以前より鱗や牙をくれた友人から聞いていましたから、逆にその事が知られていなかった事が驚きです。」
実はタケルの剣にも素材として、「竜の鱗」が使われている。
そうする事で複数の素材が、バランス良く結合するのだ!
「素晴らしいご友人をお持ちの様ですね。」
「幼馴染なんです。」
若干の誤解が有るのだが、お互い良い方に受け取っているので、「素材」に付いての認識の擦り合わせはこの辺りで終わりにした。
「さて、査定額ですがコレ全てで大金貨五百枚ではいかがでしょうか!」
タケルやカンナには、ソレが安いのか高いのかさっぱりわからないのだ⁈
「う~ん、どうなんだろうか?」
すると、ゴルドーさんは
「安い!買い叩かれた!」
と、思われたのだと解釈し、
「申し訳無い。
今、当ギルドで用意できる金額はコレが精一杯なのです。
おそらくですが、王都の貴族や帝都の大商人なら、もっと高値で買い取ってくれるでしょう。」
と頭を下げ出した!
「いえ、そうじゃないんです!
オレ達は当面の旅の資金さえ得られれば良かったんです!」
ソレからゴルドーさんやアンリさん、オレ達は恐縮しながらも打ち解けて話し始めた。
実はゴルドーさんはオレの事を知っていたそうだ、
「アナタ達の村の収穫祭に行った事が有りましてね、アナタのお父上の剣を購入させて頂いた時にあの「雷鳴の銀狼」様とアナタ方がご一緒におられるのを拝見していたのですよ。」
今度はゴルドーさん、なんと涙ぐんでるし⁈
「ご、ゴルドーさん⁈」
「ハハハ、お恥ずかしい。
ソレにしてもご立派に成長されましたなぁ。」
今度は親戚のおじさんの様だけど、見かけによらず何だか情に熱い人の様だ。
師匠の事を言われた時、ココでオレ達に不評を買うと師匠から何らかの仕返しを恐れての腰の低さかと思ってしまったが、オレ達が「冒険者」としてココに訪れたのが嬉しかったこその温かい対応だったのだ。
結局、ココに負担ならない金額分だけ買い取ってもらい、残りは次の町で買い取ってもらうか、ソレとも何か貴重なアイテムと交換したり、一度に使わない事にした。
その後、ゴルドーさんから食事に誘われた。
食事会はギルド支部の隣りに有る宿屋兼酒場で、アンリさんも同席していて、カンナは随時アンリと何やら話していて、二人だけで盛り上がっていた様だ。
俺はゴルドーさんに、この町のギルド長に紹介したいからとしばらくこの町に滞在して欲しいと頼まれた?
「実はギルド長自ら調査したい案件が有ると、出かけてしまったんだ。
二、三日で帰って来るハズだから。」
中々苦労されてる様なので、快諾した。
その間に一件クエストを、受ける事にした。
そのクエストは
孤児院での子守りだった?
そう祖母に言われてた。
なので、手っ取り早くギルド支部のある一番近くの田舎町まで行く事にした。
「えへへ~、でへへへ~♡」
「どうした、カンナ?
顔が緩みきってるぞ、まぁ、そんな顔も可愛いけど。」
「やだぁ~、タケルってば。
可愛い~とか今まで言ってくれた事無いのに♡」
村を出てからずっとこの調子なのだ?
年頃の娘を俺の旅に同行させる以上、親御さんの了承をもらわないといけない。
俺が一人前になったら、カンナに結婚を申し込むつもりだったが、こうなったら前倒しだ。
実は出発の前の晩、カンナに俺の気持ちを伝えるつもりで、探していたのに見つからなかったのだ。
どうやら、彼女も出発準備をしていて、あちこち必要なモノを調達していた様だ。
「本当にガーヴィンに乗って行かなくて良いのか?」
「アナタの隣りを歩いていたいの♡
ソレにガー君は旅の仲間で「乗り物」じゃ無いもの!」
出発の朝、カンナと会ってから急いでカンナの家まで戻ってガッシュおじさんに、
「娘さんをオレに下さい!」
って、お願いしたら、
「いや、こんな跳ねっ返りで良ければ貰ってくれ!
ってか、コレでタケルは俺の息子でもあるな!」
割とアッサリ話しがまとまったゾ⁈
そんな訳で一先ず「婚約」というところだ。
そうだな、冒険者ランクAに昇格したら、村に戻って式を挙げるのはどうだろうか?
そう簡単な事では無いだろうから、何とか30代前には成し遂げたい、カンナの為にも!
「カンナ、やっぱりガーヴィンに乗れ!
今日中に町に着きたい!」
「えっ?
私はのんびりでも構わないけど?」
「このままだと野宿だぞ!」
俺だけなら、ガーヴィンと同じ速さで走れるけど、カンナはそうは行かない?
ガーヴィンなら町まで昼過ぎには着けるかもしれんし、町で情報も仕入れたい。
なのに彼女は何か心ココに在らずの様で?
「…野宿…かぁ…。」
満天の星の下、彼と二人っきりで夜を過ごす…
今宵は記念すべき夜になるんだね、タケル!
私、ずっとタケルは「ナリフ」の事が好きだと思っていたけど、
「ナリフ? そりゃ好きだぞ?お前だってそうだろ、オレ達にとっては「可愛い妹」じゃないのか?
まぁココに来て、俺には本当の妹が出来た訳だけどな…十五も歳下のな!」
タケルは妹としてナリフを大事にしていたのね!
つまりは私の事は「一人の女の子」として見ていてくれたんだ!
私と同じ気持ちだったのね!
「おーい、カンナ~ぁ。
カンナさ~ん、もしも~し?」
たまに有るんだ、カンナが一人の世界に入ってしまい、様子がおかしくなる事が。
その度に、現実に引き戻すのはいつしかオレの役目になっていたけど。
「コラ、戻ってコイ!」
オレ軽くカンナの頭をこづいた。
「ア痛っ⁈ ん、ナニ?」
「ほら、ガーくんに乗るのか?乗らないのか?どっちなんだ?」
「えっ、ガーくん?」
彼がいつもより優しく私の頭を叩く。
「ブルル~?」
ぷっ!返事したみたいでガーくん可愛い!
そっか、ガーくんもいたんだっけ?
「ガーヴィン」はとっても賢い子だ、仔馬の頃から私やナリフとも仲良しで、子供の頃は、よくその背に乗せてくれて村の外の原っぱで走り回った。
そう、一緒に育った「弟」の様な…?
えっ⁈
弟に見られちゃうの?
そ、その二人の初めての…キャ♡
そ、それは外だから隠す物は無いし、星空の下なんてロマンチックで良いかなって思っちゃったけど!
せめて最初の夜くらいは二人っきりで‼︎
「そ、そうだね、乗る!
乗ります‼︎
よろしくね、ガーくん!」
「ブルルン!」
「何だ、カンナ?
顔が紅いゾ?」
カンナを乗せた炎馬は、野を越え、森を抜け、川を飛び越え、息も荒げずに半日足らずで町に到着した。
「ハァハァ…タケル、私よく知らないんだけどね?」
「ん、何だ?」
「アンタも大概だけど、ガーヴィンって、もしかして普通の馬と違うの?」
「ん、何でだ?」
「早くない? まだ陽が高いよ?」
今日中に着くって、日が沈む前くらいかと思ってたのに、コレじゃぁ、ちょっと遅いランチの時間じゃない?
「頑張ってくれたんじゃないか?オレ達の為に。」
町の入り口で通行税を払った。
ギルドに登録すれば免除になるので、ココで登録を済ませないと、後々面倒だ。
冒険者ギルドの場所を聞き、早速冒険者登録をする事にした。
驚いた事にこの町の冒険者ギルドで受付をしていたのはエルフのお姉さんだった。
「まぁ!先程この町についたばかりですか⁈
遠い所から大変でしたね、わからない事は何でも聞いて下さいね!」
オレもカンナもFランクからのスタートだ。
「隣町なら、昇格試験を行ってますよ。」
「隣町?」
「隣りと言っても、馬の脚でも二日くらいかしら。」
受付のお姉さんが親切に教えてくれた。
おそらくは若い男女の新人冒険者に対して、応援したいのだろう。
まさか、同等の距離の村から半日で来たとは思ってはいない様。
「上手くいけば、伝説の英雄に会えるかもしれませんよ。」
「へぇ、わかりました。
そうそう、今手持ちのお金が心許なくて、「素材の買取」をお願い出来ますか?」
自分の師匠とどっちが強いだろうか、伝説の人にはあまり興味がなかった。
村長から貰った革袋をカウンターにおく新人冒険者のタケル。
「フフ、ええ任せて!
新人冒険者の門出にサービスしますからね!」
「えっと、コレとコレなんですけど?」
「ハイ!お預かりしま…えっ?」
「どうかしましたか?」
袋から取り出したモノをマジマジと見ているお姉さん?
「あの、コレ、もしかしてドラゴンの…?」
「ウロコとキバですね。」
っと、タケル。
「友達から貰ったんです!」
っと、カンナが楽しそうに答える。
「…すいません、コレは大変貴重なモノです。
ですので、間違いがあるといけません!
私では無く、上の者に鑑定させて頂きますので、少々お待ち頂けますか?」
今日村から出たばかりの新人冒険者に誠意ある対応、このエルフのお姉さんに二人は好感を感じた。
「是非お願いします、エルフのお姉さん!」
つい声が大きくなるカンナ!
「えっと、私は「アンリエッタ」といいます。
親しい人からは「アンリ」と呼ばれているので出来れば…」
「じゃあ、「アン姉さん」ね!」
(いいのか?あまり仲良くなると、この町から先に行くのが遅れるかも?)
う~ん、頭にオッさんが響く?
それならそれでもいいさ。
まずココのギルドで何か依頼をこなしてみるのも面白いだろう。
もう登録した訳だし?
しばらくすると、
「お、御二方!
た、大変お待たせいたしました!
ご説明したい事がございますので、こちらの応接室で御対応させて頂きます!」
奥から恰幅のいい中年男性がやって来て、やたら大きな声を張り上げて現れた!
男性の後ろに引きつって微笑んでいるアンリさんがいた。
「副ギルド長、少し落ち着いて下さい、御二方が驚いていますから。」
「コホン、先程は失礼しました。」
応接室に通されたオレ達は、お茶菓子を出されて、手厚いお持てなしを受けていた。
「私、この町の副ギルド長「ゴルドー」といいます。
以後、よろしくお願いします。」
長が着くような人が新人冒険者成り立てのオレ達に随分と腰が低いが何かあったのだろうか?
「御二方が買い取りにお出し頂きました「ウロコとキバ」ですが、ま、まさかアレは「エメラルドドラゴン」のモノでは⁈」
「えっ?
アレ、アレは「カイザードラゴン」の幼体のモノですよ?
アレを餞別にくれた本人がそう言ってましたから。」
「そ、そうなのです!アレは確かに「カイザードラゴン」の幼体のモノです!
ご説明とはソレと関係していまして!」
「さっき、エメラルドドラゴンって言ってましたけど、確かに綺麗な翠色してますよね?
えっと、ソレと何か関係が?」
カンナが心配になって、アンリさんに聴く。
「最近、「カイザードラゴン」の幼体には「ルビー」「サファイア」「エメラルド」と鱗の色が宝石の様に美しい色をしている個体がいる事が判明したの。」
うん、そうらしいな?
割と前から知っているけど?
「その通り!
ソレが成長するにしたがって、色が濃くなり、成体になるとほぼ黒く見えるのです。
ですが、よく見ると「青味が強い黒」と言う様な個体差が有る事が判明しまして…もしかしてご存知でしたか?」
「以前より鱗や牙をくれた友人から聞いていましたから、逆にその事が知られていなかった事が驚きです。」
実はタケルの剣にも素材として、「竜の鱗」が使われている。
そうする事で複数の素材が、バランス良く結合するのだ!
「素晴らしいご友人をお持ちの様ですね。」
「幼馴染なんです。」
若干の誤解が有るのだが、お互い良い方に受け取っているので、「素材」に付いての認識の擦り合わせはこの辺りで終わりにした。
「さて、査定額ですがコレ全てで大金貨五百枚ではいかがでしょうか!」
タケルやカンナには、ソレが安いのか高いのかさっぱりわからないのだ⁈
「う~ん、どうなんだろうか?」
すると、ゴルドーさんは
「安い!買い叩かれた!」
と、思われたのだと解釈し、
「申し訳無い。
今、当ギルドで用意できる金額はコレが精一杯なのです。
おそらくですが、王都の貴族や帝都の大商人なら、もっと高値で買い取ってくれるでしょう。」
と頭を下げ出した!
「いえ、そうじゃないんです!
オレ達は当面の旅の資金さえ得られれば良かったんです!」
ソレからゴルドーさんやアンリさん、オレ達は恐縮しながらも打ち解けて話し始めた。
実はゴルドーさんはオレの事を知っていたそうだ、
「アナタ達の村の収穫祭に行った事が有りましてね、アナタのお父上の剣を購入させて頂いた時にあの「雷鳴の銀狼」様とアナタ方がご一緒におられるのを拝見していたのですよ。」
今度はゴルドーさん、なんと涙ぐんでるし⁈
「ご、ゴルドーさん⁈」
「ハハハ、お恥ずかしい。
ソレにしてもご立派に成長されましたなぁ。」
今度は親戚のおじさんの様だけど、見かけによらず何だか情に熱い人の様だ。
師匠の事を言われた時、ココでオレ達に不評を買うと師匠から何らかの仕返しを恐れての腰の低さかと思ってしまったが、オレ達が「冒険者」としてココに訪れたのが嬉しかったこその温かい対応だったのだ。
結局、ココに負担ならない金額分だけ買い取ってもらい、残りは次の町で買い取ってもらうか、ソレとも何か貴重なアイテムと交換したり、一度に使わない事にした。
その後、ゴルドーさんから食事に誘われた。
食事会はギルド支部の隣りに有る宿屋兼酒場で、アンリさんも同席していて、カンナは随時アンリと何やら話していて、二人だけで盛り上がっていた様だ。
俺はゴルドーさんに、この町のギルド長に紹介したいからとしばらくこの町に滞在して欲しいと頼まれた?
「実はギルド長自ら調査したい案件が有ると、出かけてしまったんだ。
二、三日で帰って来るハズだから。」
中々苦労されてる様なので、快諾した。
その間に一件クエストを、受ける事にした。
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孤児院での子守りだった?
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