異世界転生譚 師匠と呼ばないで! 娘に求婚する男たちをど突き回したら勇者候補の師匠呼ばわりされていた? なら弟子は娘の幼馴染だけで結構デス⁈

猫寝 子猫

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旅支度はお済みですか? 

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 この数年でこの村は随分と発展した!

 もう「町」と呼びたくなるくらいに環境が整ってきた…かな?

 全ての手腕だとされているが、そのほとんどがお察しの通り俺の「頭の中のオッさん」の入れ知恵だ。


 なんでも「イガノサト」を参考にしたとか?

 村に「生活用水」の確保の為に村の中にの川を作り、「自衛」の一環として村を囲む様に堀を作り、さらに水の流れを利用する為に「水車小屋」も作った。

 「生活廃水」や「汚水」の処理に王都や帝都ではスライムを使っているそうなので真似してみた。

 しかし、苦労して捕まえたスライムの数が足りないのか?
 どうしても汚水を流している専用水路がと苦情が出たので、一か八か「活性炭」を作って沈めたところ、信じられないくらいの効果が有り、
 しかも「汚れ」と「匂い」を吸着しきった活性炭は定期的に交換して、試しにスライムに与えたら喜んで食べてくれた。

 ソレが功を奏したか?
 使用済み活性炭を食べたくてなのか、自然とスライムが集まってきた。

 上手く行きすぎな気もするが深く考えないでおこう。

 実は色々と知恵を貸してくれている「オッさん」も、本当のところはな記憶で、

 「確か大体こんな感じだ!」
 
 ってくらいの知恵袋なんで、実際やってみると思っていたのと違う場合もあった。

 つまりは大雑把なうる覚えなのだ!

 ソレでも「試行錯誤」して、村の生活向上の助けには、なっていたと思う。

 実際、「連作障害」等の知識もなかったのだから。




 そんな中、俺が修行の為に村を出る事が少しずつ村の皆んなに知れ渡ってきた。

 すると、親しくしていた人から、色々と気を使われ出した。



 隣りに住むガッシュおじさんは元冒険者だ、
 左目に傷が有るけど目玉は何とか無事で、
 やや視力が堕ちたくらいで農家の生活には支障はなかったらしい。

 「おぅ、冒険者になるって本当か?」

 「違うよ、修行の旅だよ、ガッシュおじさん!」

 おじさんには子供の頃から何かと面倒を見てもらった。

 もう一人の父親と言ってもイイかもしれない。

 「なら、コレ持ってけ。」

 「コレは…おじさんの水筒?」

 ウチの父さんが作った物だろうか?

 普段、おじさんが農作業しごと中に愛用しているを良く見ていた。
 金属製で円筒状の容器、でもこれって?

 「コイツはアーティファクト魔道具だ。」

 水を入れておけば、常に冷たい状態が維持出来て、飲み干さなければに戻り、枯れる事が無いそうだ?

 「冒険者時代の戦利品だ、持ってけ。」

 そして、俺の頭をガシガシ荒く撫でて、帰って行った。

 ハヅキお姉さんからは、テレサの糸で作った肌着とをもらった!

 「マントの方はさすがに全部はテレサの糸では無いのだけれど、丈夫な糸と紡ぎ合わせて織ってあるのよ。」

 肌着もマントも夏涼しく、冬暖かい優れ物だ。

 近所のおばさん達が保存食だと大量に干し肉をくれた、

 「たくさんあるからって、直ぐに食べるんじゃないよ!」

 「無理だと思ったら、恥ずかしがらずに帰っておいでね!」


 この村は子供はで育てるみたいな意識が有る様で、割と村の大人からは小さい頃にやんちゃをしたら、誰彼関係無く叱られていた記憶がある。

 そして幼馴染で村一番の親友、「イータス」からは「植物図鑑」をもらった。
 たしかアイツの一番の宝物のはずだけど?

 「間違えて、毒キノコや毒のある草とか食べない様に、それと薬になる植物も載っているから役に立つと思うから。」

 ケンカは弱いが優しくて俺より賢い、不思議とウマが合う奴だ。

 「ありがとな!  …で、もう告白したのか?」

 「…えぇ?  な、何のことかな?」

 「ん? だから「ボクのお嫁さんになって下さい!」って言ったんだろって事だ?

 したんだろ?」

 「う、うん、した、したよ。」

 うん、この反応が初々しい… って、頭の中のオッさんがうるさい!

 どうやらイータスは良い返事をもらったらしい。

 これで安心して旅に行ける。

 あと一つ心残りが有るけど、それもなんとかなりそうだ?
 
 そんな事を考えていたら案の定、祖父ちゃんに呼び止められた。
 革細工が得意な村長が大きな革袋を俺にくれたそうだ。
 祖父ちゃんが預かって来て、

 「出立の前の晩に顔を出して欲しいそうだ。」

 なんでも晩飯に招待してくれるそうだ。

 ちなみに祖父ちゃんは小刀をくれた。
 ミスリル製らしい。

 祖母ちゃんと母さんは、薬草だのまじないの護符だの色々用意してくれた。

 頭の中のオッサンが、

 「オヤツは三百えんまで」とか懐かしそうに言っているが、意味がわからない?


 そんなこんなで、出立の日となった。
 

 見送られるのは、なんか恥ずかしいので朝日が登る直前に家を出る事にした。

 直前に妹「モニカ」の寝顔を見て、母さんに抱きしめられてから家を出る。


 外に出ると、祖母ちゃんがいた。

 「この子も、連れて行きな。」

 「ガーヴィンじゃないか?
いいのか、本当に?」


 「ガーヴィン」は、俺が仔馬の頃から面倒を見ていた黒鹿毛の馬で頸や尻尾の毛は炎の様に紅い為「炎馬ガーヴィン」って呼ばれている。

 領主のバカ息子が献上しろと、ほざいてきたが、

 師匠が睨み付けたら泣いて帰って行き、翌日領主サマが師匠に平謝りしに来たのだ。

 「どうか、お怒りをお沈め下さいっ!」

 以前、不当な増税をして私腹を肥やしていた他国の領主を屋敷ごと「粉砕」したと噂があるからだ。

 その時に国王から、民を苦しめる凶賊を成敗したと報奨金を貰ったらしい?

 本当か嘘か知らないけどね。



 
 ガーヴィンは祖母ちゃんが若い頃、村に来た時に連れて来た馬の孫になる。

 なんでも、この村に来る途中での事、
 森の中で一晩過ごしたら、
 それまで見た事の無いくらい立派で大きな野生の馬が現れて、
 連れてきた馬と仲良くしていたらしく、
 いつの間かお腹に仔馬がいたらしい。

 ソイツも村まで付いて来たので、一緒に飼う事になったそうだけど、病気で母馬が亡くなったら姿を消したんだって?

 その間、三匹の子供を残し、町で買った馬とそれぞれ「ツガイ」にして数を増やしてきたんだ。

 その中でも、ガーヴィンは他の馬より力強く、脚も速い!

 しかも、頭も良いので、ちゃんとオレの言葉を理解している様で色々と助けてもらっていた。


 確かに旅の相棒には丁度良いかも。

 ガーヴィンの背に少々の荷物を乗せて、

 「じゃあ、行ってくるよ。」

 「ああ、偶には帰っておいで、でないとモニカに忘れられちまうよ。」

 「分かったよ、お祖母ちゃんもそれまで達者でな!

 行こうか、相棒ガーヴィン!」




 昨晩は村長の家で旅立つ俺を持て成すからど、村長秘蔵の酒をだけ飲まされた?

 既に村長の方が出来上がっていて、別れを惜しむどころでは無かった。

 ナリフやカンナ達が作ってくれた料理を存分に味わい、カンナの親父さんの「旅立ちの歌」。聞かされて、酔いの回っていた村長からは、

 「お前に、ナリフを任せられると思っていたぞ!さぁ村長を次げ!」

 と、酔いにまかせて叫んでいた?

 ナリフが顔を真っ赤にして、困っていた?

 そりゃ困るよな。

 ベロベロに酔った村長をベッドに運んで、お開きとなった。

 ナリフから御守りを渡されて、思い出話しをしている内に彼女が泣き始めてしまった。


 変に気を使ってカンナは居なくなるし、ナリフを宥めるのに苦労した。




 結局、大事な事は言えずに出立の朝になってしまったけど…。




 村の外に出る堀に渡した橋の所までくるとガーヴィンが脚を止めた?

 橋の上に誰かいる?


 「よう珍しいな、こんな朝早く

 ソレにしてもにしては随分と見慣れない格好をしてきるなぁ、?」


 
 「っさい、馬鹿!」

 そこには普段の村娘の地味な出立ちではなく、女物の革の防具にを携えた冒険者のカンナがいた。


 「良かった、あの後、居なくなるからさ、ちゃんと話が出来なくて。」

 「わたしも付いて行くから!」


 「…そっか、よし行こう!

 あ、その前にガッシュおじさんに断って行かないとな!」


 「なら、行っても良いってから!   …って、良いの?」

 「なあ、そのソード、もしかして?」

 「うん、タケルのお祖母様がくれたの。 って、だから良いのって聞いてるでしょ~?」

 確かにカンナも村の人達と一緒に師匠に剣術や格闘術を教わっていたけど?

 (俺のとは、レベルは違うけどさ。)


 「あ、アンタにもしもの事があったら、ナリフがまた泣いちゃうじゃない!
 心配だからついて行ってあける!
 感謝しなさい!」


 「ソレでもやっぱり、おじさんには俺から話して来るから待っててくれ、ひとっ走り言ってくらから!」


 「だから許しはもらったってば!」

 「ガーヴィン、カンナと待っててくれ!
 おじさんに「カンナを嫁にくれ!」って、言ってくるからな!」

「ブルルー(頑張れよ~)!」



 「…えっ?……?

 ええ~っ⁈」

 



 
 昨晩、ナリフと色々話した。
 幼かった頃の話しや最近の収穫祭の話し、が村に学校を作りたいと言った話し、カンナが村のおばさん達から急に料理を教わりまくった話し、

 そしてイータスから告白された話し。


 「おめでとう、幸せにな!」

 「うん、ありがとう、。」

 ナリフはオレにとっては妹の様な存在だった、ナリフも同じだしな。

 まさか、ここに来て本物の妹が産まれるとは思って無かったけど。


 「ねぇタケル、カンナちゃんは誘わないの?」

 「カンナを?
 う~ん、ガッシュおじさんに殺されるかもだし?やめとくよ。」

 ガッシュおじさんの奥さんはナリフの親父さんの姉だ。

 あれ、言ってなかったっけ?


 ちなみに昨晩、イータスもあの場にいたのだが、先に村長に秘蔵の酒を浴びる程飲まされて伸びていたのだ。

 どうやら、次の村長はイータスで決まりの様だ。

 「そうだ、モニカの事も頼むよ、カンナにお願いしたかったんだけど、見当たらないんだ?」

 「もしかしてに忙しい…ううん、なんでも無い、わかつたわ、任せて。」

 なんて話しをしていたのだが。





 「こら、まちなさーい!
 アンタ、ナリフの事が好きなんじゃないのー⁈」

 

 どうやら、俺との仲を誤解したいた様だ?

 「なら、その思い違いは旅の中で、わからせてやろうぜ、?」

 頭の中のオッさんが何かで先輩ヅラしてきるのがムカついた。

 不思議とオッさんもワクワクしているけど、旅の道中その適当な知恵袋に助けられる事も有るかもと考えると大目に見よう。

 そんなこんなで俺の旅立ちの朝はドタバタ劇から始まったのだ?
 
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