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日々、これ平和也? 〜プロローグ的なモノ。

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 これはある男が父として、ひたすら妻と子供たちの為に懸命に頑張って頑張って頑張って頑張る話しなのだが…



 歳の所為だろうか、最近体力が落ちてる様だ?

 まだ幼なさが残る息子弟子たちに畑仕事を手伝ってもらっているのだが、まだまだ遊びたい盛りの男の子たちだ、それでも嫌な顔せずに手伝ってくれている。

 俺が不甲斐ないばかりに申し訳ない気持ちは増すばかりだ。



 その日も、朝からこの村魔の森は慌ただしい。


 「お父さん、畑の雑草取りなら、もう終わったよ!」

 「おじさん、動物たちの食事なら僕がやったからね!」


 「なんだ、お前たち?
オレの仕事を取らないでくれよ、ハハハ!」

 明るい顔を見せてくれる彼らは俺の宝だ。

 まだまだ頑張らないといけないな!

 それに少年がココに来て、もう一年は過ぎただろう。

 種族が違うとは思えないくらいにあの子たちはすっかり仲良くなった、まるで本当の兄弟の様だ。

 やはり男の子は明るく素直で元気なのが良いな!

 うむうむ、いい事だ!

 長女もが増えたと喜んでいるし、もちろんオレや妻も「息子」が出来た様で嬉しい。

 次女は「お兄ちゃん」なのか「弟」なのか立ち位置が定まっていないようだが、概ね仲良くしている。

 妻曰く、

 「もしかしたら、何方かがあの子のお婿さんになるかも?」

 などと申しており、今から楽しみの様な、気が早い様な?


 同居人で猫獣人の娘も「二人の弟分」に甘々だ。

 母親譲りの可愛い猫耳をぴこぴこ動かしながら、息子たちを揶揄っているのを見ていると、その昔に仲間たちと旅をしていた時の事を思い出す。

 彼女の母が弟分の少年と戯れ有っていた事を…



 少し前に男の子跡取りが良いとか、妻と話していたが最近では、

 「別にあの子たちでも良いのではないかしら、跡取りは?

 あ、でも三人目が欲しく無い訳ではないのよ、男の子でも女の子でも子供は大勢いた方が楽しいから。」

 既に妻の中では幼馴染の少年がムコに来る事が決まった様な口振りだ。

 「オレ」たちも幼馴染で、兄妹の様に育った彼女に結婚を申し込んで十数年、

 「君が大丈夫なら、オレも頑張るさ!」

 前世で叶えられなかった「幸せな生活」が、今こうしておくれているのは激情家な女神サマと気の弱そうな男神サマのお陰なのだろう。

 そこへ、
 
 「主人あるじ、彼奴が又来た。八つ裂きにするか?」

 宝石の様な瞳、絹の様に艶やかな黒い毛並み、優雅に揺れる長い尾。

 「ヨル、お前が「危険な魔獣」呼ばわりされるから絶対に駄目だ!

 は~あ、それにしても懲りない奴らだな?」

 おしかけ従魔の巨大猫が呆れ顔で知らせてくれた。

 ネコ…だよな?

 機嫌が良い時は喉を鳴らして擦り寄ってくるし。


 あの少年が連中を見て怯えないかと心配になるので仕方なく、畑仕事の手を、オレ一人で開拓村の入り口まで行く。


 「師匠、お久しぶりです!
 我はこの度、SS級の冒険者認定に…」

 「又、与太話を!」

 一々話しを聞くのが面倒なので、持ってた愛用の「鍬」を横に一振りして、叩き飛ばした。

 「ぐわぁ~~、又これかよ~~⁈」

 はぁ~、何処のSSランク冒険者がこんなオッさんにいい様に遇らわれているかって言うんだ?

 話しを盛るのも大概にしろ!


 「あるじ~!修行、修行!
皆んなで師匠と修行、楽しいなって!」


 猫獣人の娘が楽しそうに「修行の催促」に来た?

 朝の「狩り」を終えて、獲物を妻と長女に渡すと一目散にオレの元に来た様だ。

 主人とか師匠じゃなくて、お前は「お父さん」って呼んでも差し支え無いからな?

 「修行終わった頃にはご馳走出来てる!」

 どうやら今日の獲物は相当のらしい?

 長女にとっては「親友」で「第二の妹」的存在の彼女「ヒルダ」は、オレに取っても「娘」の様な「飼い猫」の様な存在だ。 

 何と言ってもその昔、共に旅をしていた仲間の預かり物だ、俺たち夫婦が名付け親でもある。



 いや、本物の「飼い猫」はいるのだ、ちゃんと普通サイズの白猫が。

 でも、結構な歳なんだけど、とても元気なんだよな?

 「ヨル」や「ヒルダ」も何故かには、頭が上がらないのだ?

 別に良いけど、長生きしてくれよな、

 
 うむ、慌ただしくも幸せな毎日に感謝しないと。



 女神サマと男神サマ、オレをこの世界にさせてくれた事に大変感謝してる、これからも見守ってくださいよ。



 「そういえばあの二人二柱って「夫婦」ソレとも「恋神同士」なのかな?」



 「違うわよっ!」

 「えぇ~?そんな酷いよ~!」



 この話しは「オレ」が異世界に転生して、秘境にある開拓村で農業に勤しむ話しだ。


 時々、魔獣や盗賊から身を守る為に前世で覚えたであろう「武術」をたちに教えている以外は。




 
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