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ネコ、ネコ、ネコ、猫神さまが帰る?
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猫神さま、すっかり下界での生活をご満喫されてる。
やってみたいと言うので、
「スピカでウェイトレス♡」
「森猫で制服で接客♪」
「鶴亀神社で巫女さん☆」
「町の保育園で保母さん♫」
「鶴亀公園で露天商、カラーヒヨコの販売?」
「古本屋で少女探偵団?」
「夜の町で魔法少女(コス)で悪人退治?」
などなど、いつしか「北代サンちの新しいお嬢さん。」と言う町内の認識が出来上がってきた。
さて件の「繭」は思った程に成長していない様で、
『中、腐ってると違うか?』
なんてつい口にしていまい、「鈴」が泣き出してしまったりと大変だった。
『なぁ、琥珀ちゃんよ?』
『何、パパさん?』
この数日で猫神さまの微妙な言葉使いは割りとコチラ寄りになってきた?
『いつまでいるんだ?何なら本当にウチの子になるか?』
『うむ、「北代 琥珀」も悪くないなぁ~。でも申し訳無いけどパパさんの娘にはなれない。
でも「嫁」になら、なってやらん事もないぞ、其方となら「良い子」が授かると思うしな!』
『またまた、お戯を。そうゆうのは「大人の姿」の時に言ってくれよ?通報されちゃうだろ?』
『…何の話しかな?』
『んっ⁈ ママさん!』
焦る猫神さま、そして
『琥珀にプロポーズされた、俺の子を産みたいとさ。』
『何故バラすのだ!』
正直に教える俺と、
『本当に!なら御姫様は「第二夫人」ね!私の事は「お姉ちゃん」って呼んで!』
何故かはしゃぐヨメ。
『…何でそうなる?』
『うそ!琥珀ちゃんが私たちの新しい「ママ」!』
『…だから、何でそうなるのだ、舞華?』
からかい過ぎかな?
そんなこんなで、ついに猫神さまが「聖域」に帰る日が決まった。
今から三日後、
唐突ですが、やっと「繭」が孵ったのだ!
なので「〇〇新幹線」の格安チケットを金券ショップで購入した。
行きは普通に各駅停車を乗り継いで来たので、帰りは半分くらいの時間で帰れる。
『途中で駅に止まらなかったら、「駅弁」が買えぬではないか!』
『東京駅でまとめて買えますから、大丈夫ですよ、ココ様。』
『ソレはズルをしていないか?弁当売りのオンジに申し訳が立たなくないか?』
本当お優しいことで。
最初に、「琥珀姫」を「ココ様」と呼んだ人はもういない。
墓参りはしないらしい、
そこにあの人たちはいないらしい、魂は既に「輪廻の輪」の中だそうだ?
まぁ、それでもオレ達は行くけどな、毎年。
『よし、残り三日を存分に楽しむぞ!』
さて、繭から生まれた「スズのムコ」は「変身〇〇ボーグ」サイズならぬ、「少年サイ○ー○」サイズの猫耳美少年だった。
『スズちゃん、バー○ーならぬ、○カちゃんサイズだから、釣り合いは取れてるじゃない?』
『ここから成長するからな、お前好みに育てるが良い!』
『デヘヘ~♪、だーりん幸せにしておくれな~♫』
『……!!』
『まだ、上手く話せないのだ、何度も言うけどスズの育て方で変わってしまうからな?
まぐわうのは一人前に成長してからにしろよ。』
『生々しいなぁ?』
俺たちもちょくちょく様子を見に来よう。
『さて!今日のゲストは「サバイバルキャンパー」の「マッド松戸」こと「松下 昇太郎」さんで~す!』
『ど、どうも、よろしくお願いします。』
『いや~、アレですかね?鉄板の「すべり芸」は封印したんですか?』
『無かった事にして欲しいです!』
『やっぱり、「虫」とか食べたりするんですか?』
『昆虫はまだ、蛇は有ります。「蒲焼」にしました。』
『ソレは観ました!でも、アレは言わなきゃ、蛇だってわからないッスよ。』
『アレ、放送したんですね?
自分自身は撮影されているのを知らないし、見れないし、カメラが何処に有るかわからないし⁈』
何気にネット配信やケーブルテレビで放送されてた松下くんの「サバイバルな山小屋暮らし⁈」。
その昔にスピカのマスター達が建てた山小屋を拠点に「秘境」とも言える山中でサバイバルなアウトドアライフを課せられている?
この様子編集した番組をみているキャンプ好きの芸人やアイドルが、ラジオやバラエティー番組でチラッと話した事がキッカケで本人が知らぬ間に「サバイバルキャンパー」として知名度が上がってきた。
『あの番組関係者に聞いたんだけど、撮影しているの、「野生動物のドキュメント映像」や「犯罪組織の潜入映像」とか撮影している専門のカメラマンらしいね?何気にカネ掛かってなくね?』
『えっ⁈ 初耳ですよ!』
今日は、事務所の先輩でもあるタレントのラジオ番組にゲスト出演している松下くん。
明日は深夜帯だけど地上波デジタル放送のバラエティ番組に出演が決まっている、普通のアウトドアとは違い過ぎると話題になっているらしい。
松下くんは悩んでいた。
このまま、こっちで「サバイバルキャンパー」として仕事をするか?
ソレとも数日後、山に帰るココ様に付いて再び「山小屋生活」に戻るのか?
誰かに相談しよう。
あれ、こういう時必ず相談に乗ってくれて、気がつくと側にいてくれる「タツマキ」さんが此処暫くいない?
何かコッチで知人に会うとか、ちょっとした副業が有るとか言っていたけど?
思えば「ココ様」と出会うキッカケはタツマキさんの口車に乗った所為だ。
それは、山小屋暮らしを始め一週間ほど経った頃。
『この時期はその先に有る「巨木」の側に「この土地だけに生えるキノコ」が採れるのだが、それを炙ってこの土地の地酒を一杯飲りながら食べるのが格別でな、この時期の楽しみなんだ。』
なんて言ってくるから、つい喜んでもらおうと茸採りに行ってしまった。
何でも近くにコレまた美味い「湧き水」と、更にその先には旧い「社」が有るから、迷ったら社を探す事と説明された?
何でも社の前に鳥居があるので、社と鳥居をつなぐ道を一直線上に進むとこの山小屋の前まで来れるらしい。
案の定、迷った!
旧いお社は直ぐに見つかって、鳥居も5、6m離れた所に見える。
美味いキノコも湧き水も見つけられ無かったが、山は都会と違って暗くなるのが早いので、ここはキッパリ諦めて山小屋に戻ろうとした。
折角来たので、「パンパンッ!」とお社に向かって拍手してお辞儀して帰ろうとした。
すると、「ギギギィ~」っと社の扉が開き、
『こら~!おぬしは参拝に来て、賽銭や供物も寄越さず帰るとは、罰当たりめが~!』
と巫女装束を着た「美少女コスプレイヤー」が現れた!
と、思ったら本物の神サマだと熱弁された?
ソレが猫神さま、「ココ様」との出会いだった。
着ている物がやたら綺麗で新品のようで余計に偽物臭いが、その直後にその様子を見るに見兼ねた「狗神サマ」が雲に乗って現れて、
『我らはこの土地を守護するモノである、其方の此処での暮らし振りも見守っておるよ。』
何かあのオヤジに似てる気がする狗神サマ?
猫神様も、「真っ白なネコ」になったり、幼女や年寄りに化けたりと目の前で色々やってくれたので信じた。
『神である妾にここまでさせたのじゃ!しばらくこき使ってやるぞ!』
ソレから時々呼び出されては鳥居や社の掃除や、社に続く参道の整備などやらされた?
その駄賃なのか、例の美味いキノコや竹筒に入った「湧き水」など山小屋に届けられていた。
『随分とココ様に気に入られた様だな。』
満足そうな顔でタツマキさんが地酒を差し入れてくれた。
もちろんタツマキさんもお二人とは顔見知りで、何でも何方かに気に入られないとキノコは見つからないそうだ?
どうやら懐かれたらしい。
特にココ様には街の様子やヤングの間で流行してる事など聞かれたりして、かなり親しくなったと思う。
もっとも関係は「姫と家来」そのものだけど?
『ソレで、「サバイバル生活」は終了なのかい?それともまだ続くの?』
番組も終盤になり、コレからの事を聞かれた。
『えっと、あの土地の持ち主さんから山中の警備も兼ねて活動を許可して貰ってるので暫くは続けますよ。』
当初、松下くん自身全く知らなかったがそういう事らしい?
『警備って、何か有るの?』
『許可無く、勝手に山中に入って遭難したりとか、珍しい山菜など貴重な食材や野生動物など「密猟」する人がいるの、その見回りですね。』
『松茸とか有るのかな?』
『松茸は知りませんが、チョー美味いキノコはお許しを貰って頂きました。』
『密猟とかマジ有るんだな?』
『一回だけ遭遇しましたけど、アッチが見つかって逃げた時に木の根に足引っかかって転んだ拍子に持ってた登山ナイフで怪我して大騒ぎして大変でした。』
『ウソっ!流血かよ?』
『救急車が山の中まで来れないから、自衛隊が来ましたよ。その後、村の駐在さんと一緒に地元の警察署に事情聴取と人命救助の表彰を一度に体験するし?』
『別の意味でアウトじゃないか?ソレでも続けるとはコッチの方が性に合ってるんじゃない?』
『どうなんっスかね?そうかもしれません。』
『以上、ゲストの松下さんでした~!明日の放送もゲストに来てくれるそうなのでよろしくね!』
『ありがとうございました!』
『ではまた明晩!』
芸人を始めて、「ガヤ」以外でラジオ番組に出たのは初体験!
しかもゲストだ⁈
コレで今までの苦労が報われたかも…なんて思ったりは無かった。
何故か無性にココ様に会いたい?
『お祖父ちゃん、少し良いですか?』
或る晩の事、「琥珀ちゃん」がウチのお祖父ちゃんに話しかけた。
『おや、何だい。琥珀嬢ちゃんがこんなジジィに話しとは?それとも用が有るのは「この子」にかな?』
お祖父ちゃんのヒザの上にはルルちゃんが抱っこされてたの。
丁度私とリリちゃんがルルちゃんの様子を見に来ていた時だったの。
『やはりお気付きでしたのですね、私がここに来た「事情」を。』
『何だ、何だ、何なのだ?』
『ココちゃん、ルルちゃんがどうかしたの?』
『その子は私の「同族」です。このままこの地で暮らすのは皆の為に良く有りません。』
『どう言う事かな、ココちゃん?』
『ダメなのだ!ダメダメなのだ!ココ姉ちゃんでもダメなのだ!ルルちゃんはあげないのだ!』
『えっ?何、リリちゃん何言ってるの?』
『さすが「狗神の加護」を持つ娘ですね。コチラの意を理解した様です。
その通り、「るる」は妾と共に「山」で暮らしてもらいます。それが一番良いのです。』
悲しそうな顔のココちゃん。
状況が理解出来ない私!
『俺が頼んだんだよ。』
そう言って、祖父の部屋に入ってきた父。
『お父さん、どう言うことなの⁈』
『リリ、ルルはな「忌み児」なんだよ。ここでは長く生きられないんだ。』
その顔はいつも冗談言って私たちを、楽しませてくれてるひょうきん者の顔でも、
私たちに向けられた悪意に対して、憤怒と冷血を隠して相手を殲滅する悪魔の微笑みでも無かった。
悲しそうで寂しいけど優しい顔で、ウチの末っ子に語りかける父が見ていてたまらなく辛かった。
『私が普段暮らしている山中の「聖域」なら「山の神気」でこの児の「穢れ」を清めてくれます。』
『ルルちゃんは「よいこ」なのだ!汚くないのだ!今日もリリとメイとお風呂に入ったのだ!』
メイもなんだ?風呂好きな猫?
『二度と会えなくなる訳ではないよ、リリ。
夏休みに泊まりがけで会いに行けるさ。
その時はルルもちょっとだけお姉さんになって、お前と一緒に山ん中で遊びまわれるさ。』
ソレは本当だろう、直感だけどそう思う。
『山の神気が穢れを祓い、本来の「猫人」として成長出来るはずじゃ。』
ココちゃんもちょこちょこ喋り方が戻ったりしてリリ語みたいで可愛い。
じゃなくて!
すると、それまで黙って話しを聞いていた祖父が、
『なぁこのまま、しばらくこの子をこのウチに居させておけないのか?
せめてワシが逝くまでの間でいいから。
なに、そんなに先の事でも無いだろうしな。』
『!』
『ジジ、行くってドコに行くのだ?
ルルちゃんもジジも何処にも行かないでなの!』
ついに泣き出してしまった銀髪の少女。
実の祖父の事を思い出したのかも?
『何だ!何かあったのか?』
リリちゃんの泣き声で兄達が祖父の部屋に駆け付けてきた!
『ココちゃん、ルルちゃんを連れてくって言ってる!
舞兄ぃ、パパ殿もソレがいいって言ってるのだ!
止めてなの!』
ここまで感情を乱しているリリちゃんは初めて見るかも?
やれやれ、と言った風に父がリリちゃんに近づく、そしてリリちゃんの耳元で小声で何か囁いた。
『うぅ、わかったのだ。でもイヤなのだ!』
『気持ちは解るが、聞き分けてくれ。』
何やら父とリリちゃんだけで話している、その間に集まって来たみんなに私が解る範囲で事情を説明して落ち着いてもらった。
『ジィちゃんはあまり驚いてないな?
まぁ、猫耳の赤ん坊を平気で子守している時点で相当アレだけど?』
『ワシが産まれた村は昔話の宝庫でな、村を守ってくれる「白ギツネ」や、村人を化かす「ムジナ」、「座敷童子」など子供の頃から聞いて育ってきたんだ。それほど不思議と思わなんだよ。』
『さすが俺たちの祖父ちゃんだな。』
『ちょっと!ルルちゃんが居なくなるって聞いて舞斗は平気なの!
私はリリちゃんと同じで反対よ!!』
普段冷静な華ちゃんが声を上げて反対したけど?
『皆んな、静まれ!辛いのは父君も同じなのだぞ!』
いつの間か、「フウナ」が「ふうな」になっていた!
『皆んな、俺からも頼む。此処は聞き分けてくれ。』
『セン兄様まで⁈』
戦貴兄さんまで居たとは!
『北代家大集合だ。
さて、私もこの子の育ての親のつもりなんだか、もちっとツッコんだ話しをしようや、兄さん?』
叔母の綾乃さんまで!
『「穢れ」って事は、「センくん」の時と同じでしょ?なら、ウチで暮らしていても「祓う」事は出来るでしょ?それとも無理なん?』
叔母の質問に父は、
『他人のモノを押し付けられた戦貴と、産まれた時からのその子じゃ、色々違うんだ。』
『それなら、いつも腹ペコの兄さんのお友達にその穢れを食べて貰えばいいでしょう⁈』
『俺がソレをやってないと思うか?
最近ではほぼ毎日やっているさ、だけどソレだと根本的な解決にはならない。
俺が居なくなった時、どうするつもりだ?』
先程、祖父が「自分が逝くまで」と縁起でも無い事を言った、祖父は何かに気がついたんだと思う?
『まぁ待ってくれ、皆んな!
急にこんな話しをして悪いとは思う。答えは妾が帰るまで頼む。』
その日はそこで終わりにしたけど、皆んなモヤモヤして翌朝は眠そうな顔で朝食を食べていた。
その中で意外にもいつも元気なリリちゃんがいつも通りに、いやいつもより元気に食事をしていました。
『おかわりなのだー!』
無理をしていると思うと健気で抱きしめたくなる。
『リリがジジのお茶碗、お片付けするのだ!』
食事が終わるとお祖父ちゃんの部屋に行ってしまったリリちゃん、なんて声をかけて良いかわからない。
情け無い姉だ、私は。
『おはようさまでごんす。』
『タツマキさん、おはようございます。昨晩も遅いお帰りだった様子ですね。』
つい、何かキツい言い方をしてしまう、タツマキさんは何も悪くないのに当たっているみたいだ?
ココちゃんもまだ食卓に来て居ないし?
『ココちゃん、遅いね?珍しくお寝坊さん?』
『あら、御姫様なら松下くんと「朝食デート」よ、スピカでね♡』
『な、何ですと!?』
『えっ!コレはどうなってるんだ⁈』
口座残高を見て狼狽える松下くん?
『俺はいつの間に「えむわん」に優勝したんだ?いや、宝くじで高額当選しとか?』
何か凄い額が入金されている⁈
よく見ると一度の入金では無い。
事務所からの給料とか番組出演料も振り込まれているがそれらを足しても追いつかない!
『あ、コレだ、何々「特地管理報奨金」ってアレか?山で道を掃除したり、山菜取ったり、密猟者追い払ったりしたアレか?』
その都度振り込まれていたらしく、コチラに戻って口座を確認して初めて知った!
『オレ今すごい金持ちなんじゃね?』
ソレで勢い付いてココ様を朝からお誘いしてしまった!
『おはようございますっ!』
『あら、御姫様、いらっしゃいませ! 松下くん、いらっしゃったわよ!』
『は、は、はい!おはよーございまーす!』
『うむ?そんな声を出さずとも聞こえておるぞ?
何だ、朝から元気が良いな、マツ?』
『ココ様、今日はオレ、オフ日なんです!良ければ朝食後にデ、デ、デートしませんかっ!』
『…「でぃと」…?…妾と…マツでか?』
『は、はい!いかがでしょうか?』
『…良いぞ。 新名、北代の家に連絡してくれ。「今日は帰らぬ」と。』
『え?キャッ!御姫様、大胆‼︎』
『いや、ちゃんと送りますよ!』
『一晩くらい寝ずとも大丈夫だ!夜通し遊ぶぞ!
帰郷する日も迫っておるのじゃ!』
あ、そう言う事か。ドキドキしてしまったぞ、ココ様!
でも、以前の俺なら「ワンチャン有り」とか思っていたハズだが?
『ソレで何処へ連れて行ってくれるのじゃ?』
『ココ様、「遊園地」って、未だ行った事無いですよな?
ここから「バス」で行けるのでどうですか?』
『「バス」?なら急がねば!一日一度しか来ないだから!』
『一時間に二、三度来ますから安心して下さい。』
『遊園地って「マリンランド」ね? 今、あの遊園地は新しいアトラクションが出来たばかりで大人気よ?
デートにはおススメかしら。』
『知人に勧められて、二人分の「フリーパス」を購入しました!』
楽しそうたね。
「俺はやる!ここで決めてみせる!」
突然増えた収入で最初に買ったのが、遊園地のフリーパス?
何か誓っている松下くんなのでした!
とは言え、場所が場所だけに無事に済むかな?
『うむ、都会観光のシメには格好の場所じゃの!』
『ええ、絶対に良い思い出にしますよ!』
昨晩から北代家は重い空気感で、その事を知らない松下くんは対照的に薔薇色思考だ!
『頑張ってね、松下くん! ファイト‼︎』
同じく事情を知らないスピカのママの応援が松下くんを無自覚に追い込んでいく?
『任せて下さい!』
こうして松下くんの苦労の一日が始まったのだ⁈
『そう言えば、たしか士くんが今度バイトリーダーになったとか言ってたっけな、何処の担当なんだろ?』
『ようキャロル!
明日の現場はよろしくな!』
『ハイ、タンクローさん。』
やってみたいと言うので、
「スピカでウェイトレス♡」
「森猫で制服で接客♪」
「鶴亀神社で巫女さん☆」
「町の保育園で保母さん♫」
「鶴亀公園で露天商、カラーヒヨコの販売?」
「古本屋で少女探偵団?」
「夜の町で魔法少女(コス)で悪人退治?」
などなど、いつしか「北代サンちの新しいお嬢さん。」と言う町内の認識が出来上がってきた。
さて件の「繭」は思った程に成長していない様で、
『中、腐ってると違うか?』
なんてつい口にしていまい、「鈴」が泣き出してしまったりと大変だった。
『なぁ、琥珀ちゃんよ?』
『何、パパさん?』
この数日で猫神さまの微妙な言葉使いは割りとコチラ寄りになってきた?
『いつまでいるんだ?何なら本当にウチの子になるか?』
『うむ、「北代 琥珀」も悪くないなぁ~。でも申し訳無いけどパパさんの娘にはなれない。
でも「嫁」になら、なってやらん事もないぞ、其方となら「良い子」が授かると思うしな!』
『またまた、お戯を。そうゆうのは「大人の姿」の時に言ってくれよ?通報されちゃうだろ?』
『…何の話しかな?』
『んっ⁈ ママさん!』
焦る猫神さま、そして
『琥珀にプロポーズされた、俺の子を産みたいとさ。』
『何故バラすのだ!』
正直に教える俺と、
『本当に!なら御姫様は「第二夫人」ね!私の事は「お姉ちゃん」って呼んで!』
何故かはしゃぐヨメ。
『…何でそうなる?』
『うそ!琥珀ちゃんが私たちの新しい「ママ」!』
『…だから、何でそうなるのだ、舞華?』
からかい過ぎかな?
そんなこんなで、ついに猫神さまが「聖域」に帰る日が決まった。
今から三日後、
唐突ですが、やっと「繭」が孵ったのだ!
なので「〇〇新幹線」の格安チケットを金券ショップで購入した。
行きは普通に各駅停車を乗り継いで来たので、帰りは半分くらいの時間で帰れる。
『途中で駅に止まらなかったら、「駅弁」が買えぬではないか!』
『東京駅でまとめて買えますから、大丈夫ですよ、ココ様。』
『ソレはズルをしていないか?弁当売りのオンジに申し訳が立たなくないか?』
本当お優しいことで。
最初に、「琥珀姫」を「ココ様」と呼んだ人はもういない。
墓参りはしないらしい、
そこにあの人たちはいないらしい、魂は既に「輪廻の輪」の中だそうだ?
まぁ、それでもオレ達は行くけどな、毎年。
『よし、残り三日を存分に楽しむぞ!』
さて、繭から生まれた「スズのムコ」は「変身〇〇ボーグ」サイズならぬ、「少年サイ○ー○」サイズの猫耳美少年だった。
『スズちゃん、バー○ーならぬ、○カちゃんサイズだから、釣り合いは取れてるじゃない?』
『ここから成長するからな、お前好みに育てるが良い!』
『デヘヘ~♪、だーりん幸せにしておくれな~♫』
『……!!』
『まだ、上手く話せないのだ、何度も言うけどスズの育て方で変わってしまうからな?
まぐわうのは一人前に成長してからにしろよ。』
『生々しいなぁ?』
俺たちもちょくちょく様子を見に来よう。
『さて!今日のゲストは「サバイバルキャンパー」の「マッド松戸」こと「松下 昇太郎」さんで~す!』
『ど、どうも、よろしくお願いします。』
『いや~、アレですかね?鉄板の「すべり芸」は封印したんですか?』
『無かった事にして欲しいです!』
『やっぱり、「虫」とか食べたりするんですか?』
『昆虫はまだ、蛇は有ります。「蒲焼」にしました。』
『ソレは観ました!でも、アレは言わなきゃ、蛇だってわからないッスよ。』
『アレ、放送したんですね?
自分自身は撮影されているのを知らないし、見れないし、カメラが何処に有るかわからないし⁈』
何気にネット配信やケーブルテレビで放送されてた松下くんの「サバイバルな山小屋暮らし⁈」。
その昔にスピカのマスター達が建てた山小屋を拠点に「秘境」とも言える山中でサバイバルなアウトドアライフを課せられている?
この様子編集した番組をみているキャンプ好きの芸人やアイドルが、ラジオやバラエティー番組でチラッと話した事がキッカケで本人が知らぬ間に「サバイバルキャンパー」として知名度が上がってきた。
『あの番組関係者に聞いたんだけど、撮影しているの、「野生動物のドキュメント映像」や「犯罪組織の潜入映像」とか撮影している専門のカメラマンらしいね?何気にカネ掛かってなくね?』
『えっ⁈ 初耳ですよ!』
今日は、事務所の先輩でもあるタレントのラジオ番組にゲスト出演している松下くん。
明日は深夜帯だけど地上波デジタル放送のバラエティ番組に出演が決まっている、普通のアウトドアとは違い過ぎると話題になっているらしい。
松下くんは悩んでいた。
このまま、こっちで「サバイバルキャンパー」として仕事をするか?
ソレとも数日後、山に帰るココ様に付いて再び「山小屋生活」に戻るのか?
誰かに相談しよう。
あれ、こういう時必ず相談に乗ってくれて、気がつくと側にいてくれる「タツマキ」さんが此処暫くいない?
何かコッチで知人に会うとか、ちょっとした副業が有るとか言っていたけど?
思えば「ココ様」と出会うキッカケはタツマキさんの口車に乗った所為だ。
それは、山小屋暮らしを始め一週間ほど経った頃。
『この時期はその先に有る「巨木」の側に「この土地だけに生えるキノコ」が採れるのだが、それを炙ってこの土地の地酒を一杯飲りながら食べるのが格別でな、この時期の楽しみなんだ。』
なんて言ってくるから、つい喜んでもらおうと茸採りに行ってしまった。
何でも近くにコレまた美味い「湧き水」と、更にその先には旧い「社」が有るから、迷ったら社を探す事と説明された?
何でも社の前に鳥居があるので、社と鳥居をつなぐ道を一直線上に進むとこの山小屋の前まで来れるらしい。
案の定、迷った!
旧いお社は直ぐに見つかって、鳥居も5、6m離れた所に見える。
美味いキノコも湧き水も見つけられ無かったが、山は都会と違って暗くなるのが早いので、ここはキッパリ諦めて山小屋に戻ろうとした。
折角来たので、「パンパンッ!」とお社に向かって拍手してお辞儀して帰ろうとした。
すると、「ギギギィ~」っと社の扉が開き、
『こら~!おぬしは参拝に来て、賽銭や供物も寄越さず帰るとは、罰当たりめが~!』
と巫女装束を着た「美少女コスプレイヤー」が現れた!
と、思ったら本物の神サマだと熱弁された?
ソレが猫神さま、「ココ様」との出会いだった。
着ている物がやたら綺麗で新品のようで余計に偽物臭いが、その直後にその様子を見るに見兼ねた「狗神サマ」が雲に乗って現れて、
『我らはこの土地を守護するモノである、其方の此処での暮らし振りも見守っておるよ。』
何かあのオヤジに似てる気がする狗神サマ?
猫神様も、「真っ白なネコ」になったり、幼女や年寄りに化けたりと目の前で色々やってくれたので信じた。
『神である妾にここまでさせたのじゃ!しばらくこき使ってやるぞ!』
ソレから時々呼び出されては鳥居や社の掃除や、社に続く参道の整備などやらされた?
その駄賃なのか、例の美味いキノコや竹筒に入った「湧き水」など山小屋に届けられていた。
『随分とココ様に気に入られた様だな。』
満足そうな顔でタツマキさんが地酒を差し入れてくれた。
もちろんタツマキさんもお二人とは顔見知りで、何でも何方かに気に入られないとキノコは見つからないそうだ?
どうやら懐かれたらしい。
特にココ様には街の様子やヤングの間で流行してる事など聞かれたりして、かなり親しくなったと思う。
もっとも関係は「姫と家来」そのものだけど?
『ソレで、「サバイバル生活」は終了なのかい?それともまだ続くの?』
番組も終盤になり、コレからの事を聞かれた。
『えっと、あの土地の持ち主さんから山中の警備も兼ねて活動を許可して貰ってるので暫くは続けますよ。』
当初、松下くん自身全く知らなかったがそういう事らしい?
『警備って、何か有るの?』
『許可無く、勝手に山中に入って遭難したりとか、珍しい山菜など貴重な食材や野生動物など「密猟」する人がいるの、その見回りですね。』
『松茸とか有るのかな?』
『松茸は知りませんが、チョー美味いキノコはお許しを貰って頂きました。』
『密猟とかマジ有るんだな?』
『一回だけ遭遇しましたけど、アッチが見つかって逃げた時に木の根に足引っかかって転んだ拍子に持ってた登山ナイフで怪我して大騒ぎして大変でした。』
『ウソっ!流血かよ?』
『救急車が山の中まで来れないから、自衛隊が来ましたよ。その後、村の駐在さんと一緒に地元の警察署に事情聴取と人命救助の表彰を一度に体験するし?』
『別の意味でアウトじゃないか?ソレでも続けるとはコッチの方が性に合ってるんじゃない?』
『どうなんっスかね?そうかもしれません。』
『以上、ゲストの松下さんでした~!明日の放送もゲストに来てくれるそうなのでよろしくね!』
『ありがとうございました!』
『ではまた明晩!』
芸人を始めて、「ガヤ」以外でラジオ番組に出たのは初体験!
しかもゲストだ⁈
コレで今までの苦労が報われたかも…なんて思ったりは無かった。
何故か無性にココ様に会いたい?
『お祖父ちゃん、少し良いですか?』
或る晩の事、「琥珀ちゃん」がウチのお祖父ちゃんに話しかけた。
『おや、何だい。琥珀嬢ちゃんがこんなジジィに話しとは?それとも用が有るのは「この子」にかな?』
お祖父ちゃんのヒザの上にはルルちゃんが抱っこされてたの。
丁度私とリリちゃんがルルちゃんの様子を見に来ていた時だったの。
『やはりお気付きでしたのですね、私がここに来た「事情」を。』
『何だ、何だ、何なのだ?』
『ココちゃん、ルルちゃんがどうかしたの?』
『その子は私の「同族」です。このままこの地で暮らすのは皆の為に良く有りません。』
『どう言う事かな、ココちゃん?』
『ダメなのだ!ダメダメなのだ!ココ姉ちゃんでもダメなのだ!ルルちゃんはあげないのだ!』
『えっ?何、リリちゃん何言ってるの?』
『さすが「狗神の加護」を持つ娘ですね。コチラの意を理解した様です。
その通り、「るる」は妾と共に「山」で暮らしてもらいます。それが一番良いのです。』
悲しそうな顔のココちゃん。
状況が理解出来ない私!
『俺が頼んだんだよ。』
そう言って、祖父の部屋に入ってきた父。
『お父さん、どう言うことなの⁈』
『リリ、ルルはな「忌み児」なんだよ。ここでは長く生きられないんだ。』
その顔はいつも冗談言って私たちを、楽しませてくれてるひょうきん者の顔でも、
私たちに向けられた悪意に対して、憤怒と冷血を隠して相手を殲滅する悪魔の微笑みでも無かった。
悲しそうで寂しいけど優しい顔で、ウチの末っ子に語りかける父が見ていてたまらなく辛かった。
『私が普段暮らしている山中の「聖域」なら「山の神気」でこの児の「穢れ」を清めてくれます。』
『ルルちゃんは「よいこ」なのだ!汚くないのだ!今日もリリとメイとお風呂に入ったのだ!』
メイもなんだ?風呂好きな猫?
『二度と会えなくなる訳ではないよ、リリ。
夏休みに泊まりがけで会いに行けるさ。
その時はルルもちょっとだけお姉さんになって、お前と一緒に山ん中で遊びまわれるさ。』
ソレは本当だろう、直感だけどそう思う。
『山の神気が穢れを祓い、本来の「猫人」として成長出来るはずじゃ。』
ココちゃんもちょこちょこ喋り方が戻ったりしてリリ語みたいで可愛い。
じゃなくて!
すると、それまで黙って話しを聞いていた祖父が、
『なぁこのまま、しばらくこの子をこのウチに居させておけないのか?
せめてワシが逝くまでの間でいいから。
なに、そんなに先の事でも無いだろうしな。』
『!』
『ジジ、行くってドコに行くのだ?
ルルちゃんもジジも何処にも行かないでなの!』
ついに泣き出してしまった銀髪の少女。
実の祖父の事を思い出したのかも?
『何だ!何かあったのか?』
リリちゃんの泣き声で兄達が祖父の部屋に駆け付けてきた!
『ココちゃん、ルルちゃんを連れてくって言ってる!
舞兄ぃ、パパ殿もソレがいいって言ってるのだ!
止めてなの!』
ここまで感情を乱しているリリちゃんは初めて見るかも?
やれやれ、と言った風に父がリリちゃんに近づく、そしてリリちゃんの耳元で小声で何か囁いた。
『うぅ、わかったのだ。でもイヤなのだ!』
『気持ちは解るが、聞き分けてくれ。』
何やら父とリリちゃんだけで話している、その間に集まって来たみんなに私が解る範囲で事情を説明して落ち着いてもらった。
『ジィちゃんはあまり驚いてないな?
まぁ、猫耳の赤ん坊を平気で子守している時点で相当アレだけど?』
『ワシが産まれた村は昔話の宝庫でな、村を守ってくれる「白ギツネ」や、村人を化かす「ムジナ」、「座敷童子」など子供の頃から聞いて育ってきたんだ。それほど不思議と思わなんだよ。』
『さすが俺たちの祖父ちゃんだな。』
『ちょっと!ルルちゃんが居なくなるって聞いて舞斗は平気なの!
私はリリちゃんと同じで反対よ!!』
普段冷静な華ちゃんが声を上げて反対したけど?
『皆んな、静まれ!辛いのは父君も同じなのだぞ!』
いつの間か、「フウナ」が「ふうな」になっていた!
『皆んな、俺からも頼む。此処は聞き分けてくれ。』
『セン兄様まで⁈』
戦貴兄さんまで居たとは!
『北代家大集合だ。
さて、私もこの子の育ての親のつもりなんだか、もちっとツッコんだ話しをしようや、兄さん?』
叔母の綾乃さんまで!
『「穢れ」って事は、「センくん」の時と同じでしょ?なら、ウチで暮らしていても「祓う」事は出来るでしょ?それとも無理なん?』
叔母の質問に父は、
『他人のモノを押し付けられた戦貴と、産まれた時からのその子じゃ、色々違うんだ。』
『それなら、いつも腹ペコの兄さんのお友達にその穢れを食べて貰えばいいでしょう⁈』
『俺がソレをやってないと思うか?
最近ではほぼ毎日やっているさ、だけどソレだと根本的な解決にはならない。
俺が居なくなった時、どうするつもりだ?』
先程、祖父が「自分が逝くまで」と縁起でも無い事を言った、祖父は何かに気がついたんだと思う?
『まぁ待ってくれ、皆んな!
急にこんな話しをして悪いとは思う。答えは妾が帰るまで頼む。』
その日はそこで終わりにしたけど、皆んなモヤモヤして翌朝は眠そうな顔で朝食を食べていた。
その中で意外にもいつも元気なリリちゃんがいつも通りに、いやいつもより元気に食事をしていました。
『おかわりなのだー!』
無理をしていると思うと健気で抱きしめたくなる。
『リリがジジのお茶碗、お片付けするのだ!』
食事が終わるとお祖父ちゃんの部屋に行ってしまったリリちゃん、なんて声をかけて良いかわからない。
情け無い姉だ、私は。
『おはようさまでごんす。』
『タツマキさん、おはようございます。昨晩も遅いお帰りだった様子ですね。』
つい、何かキツい言い方をしてしまう、タツマキさんは何も悪くないのに当たっているみたいだ?
ココちゃんもまだ食卓に来て居ないし?
『ココちゃん、遅いね?珍しくお寝坊さん?』
『あら、御姫様なら松下くんと「朝食デート」よ、スピカでね♡』
『な、何ですと!?』
『えっ!コレはどうなってるんだ⁈』
口座残高を見て狼狽える松下くん?
『俺はいつの間に「えむわん」に優勝したんだ?いや、宝くじで高額当選しとか?』
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よく見ると一度の入金では無い。
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『あ、コレだ、何々「特地管理報奨金」ってアレか?山で道を掃除したり、山菜取ったり、密猟者追い払ったりしたアレか?』
その都度振り込まれていたらしく、コチラに戻って口座を確認して初めて知った!
『オレ今すごい金持ちなんじゃね?』
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『おはようございますっ!』
『あら、御姫様、いらっしゃいませ! 松下くん、いらっしゃったわよ!』
『は、は、はい!おはよーございまーす!』
『うむ?そんな声を出さずとも聞こえておるぞ?
何だ、朝から元気が良いな、マツ?』
『ココ様、今日はオレ、オフ日なんです!良ければ朝食後にデ、デ、デートしませんかっ!』
『…「でぃと」…?…妾と…マツでか?』
『は、はい!いかがでしょうか?』
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『いや、ちゃんと送りますよ!』
『一晩くらい寝ずとも大丈夫だ!夜通し遊ぶぞ!
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『一時間に二、三度来ますから安心して下さい。』
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『うむ、都会観光のシメには格好の場所じゃの!』
『ええ、絶対に良い思い出にしますよ!』
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『頑張ってね、松下くん! ファイト‼︎』
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『任せて下さい!』
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『そう言えば、たしか士くんが今度バイトリーダーになったとか言ってたっけな、何処の担当なんだろ?』
『ようキャロル!
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『ハイ、タンクローさん。』
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