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猫ソムリエの憂鬱〜松下くん、酔い潰れる?

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 『まぁ飲め!飲んで食え!』

 呼んで無いのに手土産を持って幼馴染で親友で家族で親戚で義兄弟な「竹下 順也」が現れた!

 『君が「松」で俺が「竹」!「梅」は居ないのか!』

 何故かコイツが先に出来上がっている様?

 大体、本人が持ち込んだ「地ビール」で?

 『はぁ、頂いてます。
 美味いっスね、この「ビール」。何所産なんですか?』

 松下くんも数ヶ月ぶりの「とりあえずビール」に素直に喜んで呑んで、山葵醤油を数滴加えた「サバ缶の水煮」をつまんでいた。

 一端の酒呑みの様に。

 『富士の麓の牧場で作った「数量限定の地ビール」だぜ!旨くなくてどうするよ!』

 輸入雑貨店のオーナーで、愛妻家。

 口が悪いと甥っ子共には煙たがれる事もあるが、基本良く遊んでいる仲だ。

 『ほら、順! 飲み過ぎだ、松下くんが困っている。料理もたべろ!』

 

 ここは羽柴ビルの5階に位置する「羽柴家」のリビングルーム。

 男3人で「酒盛り」を始めている、他の家人は入浴後、早々とお休みになられた。

 『影にぃも呼ぼうぜ?』

 『影丸兄さん、今日は実家らしいよ。ヒナちゃんとアッチで夕飯一緒に食べてそのまま「お泊まり」だってさ。』

 このビルの最上階を探偵事務所兼住居として借り、独身生活を満喫しているハードボイルドな探偵も、数年前に現れた「娘のヒナタちゃん」にすっかりさせられている?

 『あの人は「家庭」を持たない主義だと思ったが、意外に「良いお父さん」してるのかな?』


 手持ちのジョッキが空になって、新たな「地ビール」に手をつける。

 『蒼介が作った料理も食べてくれよ?』

 酒のつまみと言うより、「夜食」に近い、「焼きおにぎり」や「海鮮焼そば」、「ホッケの一夜干し」など居酒屋メニューっぽいモノばかりだが?

 『新名の料理が食べたい。』

 『人の奥さんを呼び捨てにするな。なら、僕が悠里ちゃんを、呼び捨てにしてもいいのか?』

 『オレの嫁さんを「ちゃん付け」で呼ぶな!』

 『ハハハ、楽しそうですね?いつもこんな感じですか、お二人は?』

 『ん?ああ、ガキの頃から一緒に育った仲だからな。
 お互いに同じ人を「師」と仰ぎ、幼馴染と結婚したし、「相方」と言うか「相棒」と言うか?』


 『ハハハ、何だい、それ? そう言う松下くんには居ないのかい、そんな「相棒」みたいなヒトは?』

 『「相方」とはの違いからコンビ解消しました。学生時代の友達も「仕事」や「家庭」を理由に会わなくなって来て、「芸人仲間」も詰まるところ「ライバル強敵」なんで本音は見せない様にしてますからね。』

 本当は結婚を理由にコンビ解消を告げられた事や、酷い体臭が原因で同業者から避けられていたを本人は知らない…。

 シーン。

 羽柴家のリビングに「静寂」が襲う?

 『やっぱり飲もうよ、松下くん!
 今日はトコトン付き合ってもらうよ!』

 『そ、蒼?あ、明日もスピカが有るんだから、「程々」にな?』

 『大丈夫さ!僕にほよく出来た「嫁さん」や「娘」、「バイトの子達」が付いてるからね!』

 『オイオイ、 …ソレはそうと「松下くん」?』

 順也氏が唐突に松下くんに話しを振ろうとして来た。

 『はい、何ですか、「竹下さん」?』

 ここの娘さん愛夢ちゃんが買って来てくれた「屋台のたこ焼き」をつまんでいる松下くん。

 今度は何を聞かれるのだろう?

 『山小屋での暮らしはどうだったよ? ちなみにな、俺たちが作ったんだぜ!
 あの近くのゴミ処理場でもらった廃材やら、近くの廃村から廃屋を解体した時に使えそうな窓枠とか床板とか土壁とか集めてな?

 おっと!ちゃんと「持ち主」に許可を取ってもらったモンだからな!』

 『…お二人で、ですか?』

 『いや、当時僕らは中学生で半分以上は兄たちだね。僕は主に「土壁」を捏ねてたけど。』
 
 『オレは小屋の前に「かまど」を作ったぜ!』

 『そのかまどで、川魚を串焼きにしたり、土鍋で米を炊いてます!助かってますよ!』

 後半はアウトドアサバイバル体験の話しで盛り上がって、酒量も増えて持ち込んだ「地ビール」は勿論、買い置きしておいた「発泡酒」や「缶チューハイ」など全て空けてしまった。

 この日、3人は夜明けまで呑んでいたらしい?

 もっとも、蒼介さんは翌日も「ケロっと」されていたそうな。
 

 

 時を少し戻して北代家のリビング♡

 『北代家パジャマパーティーなのだ!』

 『ごめん、リリちゃん。
 お姉ちゃん舞華ね、今日は疲れてるから、このまま寝たいの。』

 『ソレで妾のヒザを枕にしているのかえ?』

 『そうでありんす。』

 キャッキャッ、ムフフな展開を期待して、裏切られたと思いきや?

 『リリは、舞姉の「オッパイ枕」で寝るのだ!』

 と、寝ている舞華の胸に飛び込んで後ろ頭を胸の谷間に沈める!

 『やん!リリちゃん大胆!…でも重いよ!』

 『リリ、育ち盛りなのだよ?』

 『リリお嬢様、ちょっと詰めて下さいませ、片方のはリリ様が、反対側のお胸は、不祥、このパトリシアにお譲り下さいませ。』

 『分かったのだ!仲良く「半分こ」なのだ!』

 『あ、コラ!二人ともそんなに強く触らないで、あう♡!』

 『ん!「挿絵」にしたいが、無意味にエロくなりそうだから、各自「脳内」で好きに「構図」を予想してくれ!
 二葉嬢ちゃん、念の為にスマホで撮影しとくか?』

 『灯火ちゃん、どなたとお話ししてますの?』

 『コレでは妾が眠れないのじゃぁ~!』

 どうやら「恋バナ」とかガールズトークには発展しない様⁈

 いつもの「おふざけモード」の通常営業だね。

 『もうー!相変わらず「バカ」なんだから!舞華、リリ、パティ!普通に寝なさいな?』

 実は華もアニマルシェルターと「こちらで起きた件」を連絡相談していて「お疲れ」なのだ。

 先方も大変驚いて恐縮していたが、どうやらに妊娠に気づいていなかった様だ。

 良好な関係を築ければ、お互いに「協力」し合えると考えていたが、このままでは一方的に助けるだけの関係になりかねる。

 「吸収合併」、ソレは最期の手段である。

 立て直しに協力するにも、正確な「情報」が欲しい。

 『華姉ちゃん、難しいお顔してるのだ? 悩みならリリが聞くだけ聞くのだ! 解決は二葉の役目なのだ!』

 『丸投げしないで下さいな?リリちゃんも、ついでに舞華姉様もお力をお貸しくださいませ! おそらく「あの件」ですわよね?』

 既に悠佳里さんやパティから事情は聞いている二葉サマ!

 もう彼女なりの「秘策」があるみたい?


 すると、

 ドンドンドン!

 『コラ~!うるさ~い!早よ寝ろ!』

 父が修学旅行に引率について来た体育教師が如き台詞でリビングのドアを叩く!

 正に修学旅行の夜の様にリビングに布団を並べて、皆んなで寝床に潜り込み、明かりを消してから、

 『は~い、直ぐに寝ま~す!』と答える娘たち!
 
 何やら楽しいのじゃ?

 と、布団の中でクシシと笑うココ様。

 『ココちゃん、まだまだ寝れないよ?』

 『ん?なんじゃと?』

 『「夜会」は見回りのが行ったら再開するのがだからね!』

 隣りの布団から顔を出して、寝ながらをつまんでいる舞華⁈


 『恋バナは疲れそうだから、「怖い話し大会」にしとく?』

 『ココ様、何か「山の怖い話し」とか御座いますか?』

 『ずっごい怖いのはおトイレ行けなくなるから、舞華姉は今のうちに行っとくのだ! …リリもついて行ってあげる…のだ。』

 時々、ガードレールの側に供えてある花束に、

 「おはようなのだ!」とか「ただいまなのだ!今日はこの後、雨が降るそ?リリの傘、貸してあげるの…え?いいのか?じゃぁ風邪ひかない様に気をつけなのだ!」とかおっしゃってるリリお嬢様?

 「見えてる子ちゃん」とは思えない反応だけど、多分「怖い」のカテゴリーが皆んなと違っているみたいよ?

 『そ、そう?なら代えの「パンツ」用意しとく?二葉ちゃんと灯火ちゃんも大丈夫?』
 
 『アホか?お前が「パンツ、パンツ」言いたいだけだろ!なぁ二葉、ん?二葉?』

 『私の「猫玉模様」のパンツが有りませんの?リリちゃんとお揃いなのに!何方か知りませんか?』

 『えっ?じゃあ、いま二葉ちゃん「のーぱん」なの?』

 舞華姉さんのおメメが歓喜に輝く‼︎

 『いえ、琥珀さんにお貸ししようとした「お兄さまがお気に入りの縞パン」を履いてますわ。』

 『あやや、残念! …あれ?華ちゃん、お顔が怖いよ?』

 『お兄様舞斗お気に入りって、どうゆー事かな、二葉?』

 『ハイ!この前「プールマリンランド」に行きました時に「水色のストライプ」のビキニの水着を着てみましたら、
 『二葉、その「水着」はよく似合って可愛いけど、ビキニはお前にまだ早いぞ。』っておっしゃっいましたので、ならお洋服の下に着る「肌着」なら良いかなって、思い付きましたの!』

 『二葉、貴女ってたまに「おバカ」ね?可愛いけど。』

 と言うと久しぶりに実妹をハグする実姉の華。

 『ソレはソレとして、舞斗は後で問い詰めるわ!』


 『ん?猫また柄とはこれか?』

 パジャマのをたくし上げて「猫玉模様のパンツ」を皆んなに見せる御姫様⁈

 『あ、ハイ!コレですわ!』

 『すまぬ、妾が間違えた様だ!』


 
 『問題解決の様ですので、「怖い話し大会」始めましょうか。 ではワタクシから。』

 何故かイキイキしてるパティ、出来ると嬉々として話し出した⁈

 『山王院のメイドの間で語り継がれたお話しで、おそらく私たちが産まれる前からのお話しの様です。』

 『そう言えば、そんな話し幾つかあるなぁ?古い話しだと「明治」とかザラに有るとか?』

 灯火ちゃんも何やら思い出した様で、

 『ええ、そうですね。でも、この度は「昭和」の頃のお話しをさせてもらいます!』

 パティのな一面が見れてちょい嬉しい舞華さんだが?

 本当のところ、謎の多い女の子なのよね、パティって?

 未だに「本名」分からないし。


 『コレは「戦後」間も無くのお話しとされてますので、少なくとも六十年は前の話しです。』


 






 『お、おはよ~ございます。ゲフっ!』

 
   
 『おはようって、もう10時だよ、マツお兄ちゃん?』

 『アレ、愛夢ちゃん、学校は?』

 『今日日曜日だよ?「朝ご飯」にする?あと二時間で「お昼」だけど?』

 小学生女児と「朝の新婚さん」みたいな会話が気恥ずかしい?

 『か、軽めで頂きます。』


 マスター蒼介さんは既に喫茶店スピカで「モーニングセット」を切り上げ、「ランチタイム」の準備に入っている。

 奥さん新名さんは愛夢ちゃんの弟さんとテレビを見ていて、

 『松下さん、お食事の前に「シャワー」でもどうかしら?』

 『は、はぁ? 匂いますか?』

 『お酒くさいけど、ソレより髪が「鳥の巣」みたいで、目のまわりも…ね?』

 『は、はい!早速シャワーお借りしますっ!』

 『ええ、「タオル」はもう用意してありますからね!』


 は、恥ずかしいー!

 顔も洗わずに皆さんの前に!

 改めて顔に触れると目ヤニとか涎の痕とか、ソレを愛夢ちゃんや奥さん、栞子さんやアキラさんに見られたのか⁈

 (女性、多いな?)

 …いや、以前はそんなの毎度の事だっただろう。
 
 髪もボサボサでステージに立った時もあったくらいだ。

 今では信じられないことだけど。



 
 『いやー、さっぱりしました!』

 『ハイ、お兄ちゃん!を朝ご飯とお昼ご飯」を合体させた「愛夢のスペシャルセット」だよ!』


 こ、この子は岡山県在住の何処ぞの第二皇女なのかな?

 小学生とは思えない「料理スキル」の持ち主らしい!

 小さい茶碗に生卵、「大根おろし」と山盛り丼飯に「シジミの味噌汁」、輪切りトマトと千切りキャベツの横に豚カツ、しかも「味噌だれ」と「特濃ソース」が用意してあり、アジの開きにカブと胡瓜の漬物。締めの「黒烏龍茶」!

 『おかわり自由だからね!』


 お嫁さんにしたい小学生女児の東京都足立区代表かも知れない?


 『すげーだろ!愛夢は‼︎
なんてってたって「未来のスピカの女の子マスター」だからな!』

 『なんで叔父さん順也さんがそんなに自慢してるの?叔父さんは「舞湖お姉ちゃん」の自慢をしなさい!』

 沢山の「親戚のお姉ちゃん」がいる中で「舞湖お姉ちゃん」は自分と同じ「商店街」に住んでいるので舞華お姉ちゃんよりよく会う…はずなんだけど、お互いお店のお手伝いをしているから、「アッチ」から来てくれる舞華お姉ちゃんとのの方が多いの。

 でも、舞湖お姉ちゃんも大好き!

 だから、

 『順也叔父さんは舞湖お姉ちゃんのお父さんなんだから、もっと「キチンと」しなさい!』

 叔父さんも髪ボサボサの目ヤニとよだれでお顔ベタベタだった。

 『愛夢のお父さんとは大違いだもん!』

 普段はカッコイイのに。









 『うぅ、皆んなおはよう~。』

 『おはようございますの。』

 『おはようなのかな?』


 『み、皆んな!どうしたの?』



 『だってパティってば、「怖い話し」じゃない「悲しい話し」をするから涙が止まらない状態で寝たもんだから「脱水症状」っぽいの?』

 『右に同じですわ。』

 『リリもかも?』


 パティが昨晩、布団の中で話したのは、恐ろしい戦後の食糧難の話しや、物資の調達の為に盗みを働く孤児たちの悲しくて悲しくて悲しい話し。

 『怖いけど!』

 『為になったでしょ?』


 『その後の灯火ちゃんの「開かずの間」成らぬ「開かない瓶の蓋」とかドン引きだけどね。』

 『結局は灯火が開けたら中のイチゴジャムが飛び出て「返り血」みたいだってオチの?』

 『コレも「メイドの性能の差」ですか?』

 『いいから早く顔洗って来なさい!』
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