猫カフェは探偵事務所ではありません。〜女子高生店長の奮闘記〜えっと、私、彼氏が出来ました。

ショートストーリー 〜懸案事項、「募金箱」

　『コレなに？』

　猫カフェ「森の猫さま」の入り口受付カウンターには複数の「募金箱」が置いてある。

　『募金箱だよ、可愛いでしょ！コレお父さんの「コレクション」から見つけたの！
　貯金箱にもなるから、募金箱に利用出来るし、「頂戴』ってお願いしたら、

　「コレ、元々【駄菓子詰め合わせの容器】なんだ。
　コレ何個か買って同人誌即売会の時に懇意にしているサークルに差し入れに配った残りなので、もう一つしかないから大事に使っておくれ。」って！』


　舞華店長と華副店長が「透明なプラッチック製の招き猫」型容器を見つめて、

　『お父さん、断腸の思いだったんじゃ無い？コレそれなりに古そうよ。』


　『ん？「晴海埠頭時代の即売会」の時の残りって言ってた？　あ！もちろん中身はもう入ってないけどね！』

　『ソレって「昭和製」かも？　私も詳しくは知らないけど、「晴海埠頭」って、お父さん達が今の私たちくらいの頃の話しでしょ？』

　『…アレ？私やっちゃった？』

　『…と、取り敢えず「種銭」として幾らか入れて置きましょうね。ご縁が有る様に五…』

　『よ、よ～し！奮発して「五十円玉」入れちゃうもん！』

　『…千円とか…が妥当かなぁって思ったけど、「五百円」くらいにしておこうかしら。』

　『そ、そうだね！アハ、アハハ…。』

　「種銭」、亡くなったおばあちゃんがよくやっていたおまじないみたいな事。
　裁縫や編み物が得意な祖母が母や私たちに「縮緬の端切」などで「巾着袋」を作ってくれると必ず「五円玉」が入っていて、
　
　『コレは「種銭」だから、使っちゃ駄目よ。』

　って言ってたっけ？

　この「種銭」が仲間のお金を呼び込むんだって教わった。

　もともとは昔の硬貨（銭ゼニ）を作る時の「鋳型」の元になった原型の事らしいんだけど、賭け事に投資する最初のお金とかの事もこう呼ぶみたい。

　「森猫」に協力して頂いている「保護猫団体」さんの「活動費」の助けに成ればと始める事にした。

　保護した猫たちの「避妊や去勢手術費」等、使い道をはっきりと提示してお客様に募金をお願いすると同時に各保護団体の活動内容を知ってもらう意味も兼ねている。

　その後、セレブなお客様や常連のオジサマ方の「募金勝負」の火種に成るとはこの時は思いもしなかった。



　『まぁ！可愛いスケルトンの「招き猫」ザマスね！素通りは出来ないザマス！』

　と言うと何故か「5000円札」を投貨するス○夫のママみたいな「下連雀の奥様」や、

　『この間、大きな仕事が成功してね。ここで「心洗われた」お陰だ。
　コレ「ご祝儀」みたいなモノだから。』

　と言うと万札数枚を各五百円硬貨サイズに折り畳み、硬貨に見立て投貨する五道先生。

　
　『もういっぱいだお。』