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その後の話し、「初デートのやり直しを要求します!」的な?

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 …あの騒動ゲリラライブから一週間程の事、


 『「初デート」のやり直しを要求します!』



 『え?何ですと?』

 それは学校の屋上で皆んなでお昼を食べていた時の事でして、

 何故かわたし北代舞華に向かって言い放ったの?


 『五道くんもアレで初デート成功とか思ってないでしょ?』

 今度は私の隣りで作ったお弁当を食べてる士くんに矛先が向いたよ⁈

 『まぁ確かにね。 でも、見様によってはオレ達らしいドタバタさと言うか、アレはアレで楽しかったし?』

 うんうん、そうかもね?

 『ドタバタして楽しかったデートって、「デート」として無いわ!
 それじゃぁ舞華が可哀想よ!
 
 男なら「リベンジ」なさい、費用なら無利子、無担保、無催促で用意するから‼︎ 』

 ほかの皆んながお弁当持って「そろりそろり」と私たち三人から離れてていく。


 『皆んなも協力しなさい!こんな時に協力しないで何が「友達」よ!』


 『アハハハ!華会長、ソレ面白いかも!僕、協力しま~すッ!』

 なんかウケてるまこっちゃん?

 『え~?そんなのアリなの?ちぃちゃんに聞いてみようか、マミちゃん?』

 『ヒナ先輩、自分は舞華先輩が気の毒な気がしますけど、面白そうなので参加するッス!』

 共通の知人を巻き込もうとしているヒナちゃんとマミ後輩ちゃん。

 『んじゃ、その日の「森猫」はオレに任せろ!
 「猫ソムリエ 舞斗の優雅な接客」を存分に披露しよう!』

 『真琴、舞斗!お前たちなー!』

 士くん、お兄ちゃん達に吠える?

 『良いんだよ、士くん!僕も舞斗も「友達」の為、いや、「親友」の為にチカラを貸すのに吝かではないよ!』


 『華月!貴女は休日「子供道場」が有るでしょ?無理しなくて良いわよ。』

 『華!何で私だけ「除け者」にするんだ!その日は界に押し付けるから、私も協力するぞ!』


 『え、え~と、皆んなお気を使わずにね? って言うか、既に「やり直し」は近々予定しておりまして、ご心配には及びませんから。』

 
 『は~な、二人のデートに外野は口出ししない。
 何ならオレらも「デート」するか?別の日に?』

 士くんに吠えられ、気の毒に思ってか、お兄ちゃんが急遽に華ちゃんの沈静化を始めた様?

 『えっ!           … そ、そうね!私ってば何を言っていたのかしら⁈  
 み、皆んな今の提案は忘れて!ね、お願い!』

 『華先輩、可愛いデス!』



 そんな騒がしい昼休み、山代学園でも色々と例の「ゲリラライブ」に関連した事が学園を賑やわせた。


 山王院 瑠璃がに転校してきたのだ!






 あの日、ライブはと呼ぶには些か問題が有った。

 詳しくは後ほど語るとして、

 時は一週間前のマリンランドに戻る。

 なんとか瑠璃の「お披露目デビュー」は大凡予定通りに終わった!
 
 マリンランド内のファミレス的お食事処で打ち上げなんかしちゃったりして、

 『やっぱり「北代」って、舞華ちゃんは「ネコ先生」のお嬢さんでしたのね!』

 『オレは知ってましたよ。士くんが「ヒメ先生」の弟だって。』

 とか、保護者の方々や




 『士くんのお姉さんって、やっぱり「お医者さん」だったんだね!カッコいいー!』

 『結構、破天荒な人だけどね?』

 『お前たち、デートだったんだろ?散々だな?』
 
 『お兄ちゃん、ミーコの「水着姿」はどうでした?萌えた?』

 『ちょっ、ちょっと舞華さん⁈』

 『舞華、セクハラはダメ!…ま、舞斗、来週私お休み取れたんだけど…。』

 『そっか?んじゃ泳ぎ足りないから、プールに付き合ってくれ!』

 『それって⁉︎もしかしてデ…』

 『駅ビルのジムで無料体験のチケットもらったから、久しぶりにタイム競おうゼ!』

 『…フゥ~。 良いわよ、受けて立つわ!』

 『『『舞斗の馬鹿!』』』

 『な、なんだよ?士、真琴、ゆたか?』

 『華姉さんは舞斗には勿体無いよ!ボクが女心を教えておくから、任せてよ、華姉さん!』

 『男の子のゆたか兄様に「オトメゴコロ」を教わるなんてお兄様は「ダメダメ」デスわ!』

 



 『あっち、賑やかだな?』

 『灯火、プリチーだな。その服、お前の「フィアンセ」が見たら、いけない趣味に目覚めるかもな?』

 『え?本当っすか?師匠!』

 『何故食い気味なんだ?冗談なのに!』

 『アイツ、そう言う気配無いんで、なんか悔しくて!
 師匠と姐さんは普段、「夫婦の営み」とかどうなんですか!

 参考に教えて下さいよ!』

 『子供達の前で言わせんな。
 別にアブノーマルな事はして無いからな。

 …まぁ、アイツには俺からそれとなくおくから。』

 『ほ、本当っスよ!お願いしましたからね!』
 
 
 『…何の話し?』

 『優ちゃんは聞いちゃダメよ!』

 『ニャハハハ、賑やかなのだ!』



 お気楽に宴会していて良いの?
と思うかもしれませんが、

 実際は関係各所に色々とご迷惑をお掛けしている訳で、強引にも上手い事「山王院枠」を利用していたのだ!

 各某所の大型街頭ビジョンにライブ映像を割り込ませた時間、元々映っていた企業のPRや町の情報番組など、配信元からクレーム殺到かと思えば?

 なんと全てが「山王院系列」の情報発信だったりする!

 その全てが重なって、同じ時間帯に映像公開されてるタイミングを見計らっての「ゲリラライブ映像乗っ取り」だったのだから。

 
 それと今回「マリンランド」にも随分と迷惑をかけているが、


 実は「裏」でとんでもない計画が進行している。

 新たに建設しているイベント施設やパビリオン建設さえもが「カモフラージュ」だと言う事が!





 皆んなでマリンランドを後にする時、

 『舞華、えっとな?
 士くんと映画とか見てきても…』

 父として、散々な初デートを過ごした娘に気を回したつもりのだが、

 『もう今日はいいよ、つかれたし?
何見ても内容が頭に入らないよ。』


 でもって、一週間経っちまった。


 その間、マスコミは
謎の歌姫瑠璃ちゃんは誰なんだ!」とか、
あーちゃんアゲハ、イメチェンか?」など、

 色々取り上げていたけど、SAN-KING的にはしばらくは「ノーコメント」の様だ。
 
 まぁ単純に疲れ切った社長が回復するまで、寝込んでいただけなんだけど?

 ソレでも、

 『舞華ちゃん、今度「瑠璃」がソッチの中等部に編入するからヨロシクな!』

 と、しっかりちゃっかり元徳さんから連絡が有ったよ?

 何故か「二葉andリリ」コンビ経由でね?

 どうやら瑠璃ちゃんと二葉ちゃんたちで「ユニット」を組ませて活動させたいらしいの?

 
 え?「四人」って、誰の事かって?


 二人はわかるじゃん?

 二葉ちゃんとリリちゃんだって。

 まさか後二人が舞華と華ちゃんだなんて皆んな思ってないよね?

 いや、無理無理っス!

 もうお分かりでしょ?

 灯火ちゃんとワラシ鋼鉄妹ちゃんだってさ!


 あ、いや、怒ってないよ。


 と、とにかく新しい「妹枠」の瑠璃ちゃんが中等部に御編入されたので、それとなく様子を見る事にしたら…



 あ、パティが同じクラスとか飛び級で私のクラスにとかは無いからね!




 
 『ね!ね!山王院さんって、やっぱり「山王院生徒会長」の妹さんとか御親戚の方ですか?』

 『君!この間マリンランドの「あーちゃんのゲリラライブ」のラストで歌ってた子に似てない?』


 『瑠璃さん、「ネコ」は好きですか? それとも「イヌ」?』

 『両方好きですが、一番は「ハリネズミ」です。』


 そこは答えるのね。



 『瑠璃さまのご様子は以上です。概ね「お友達」が出来るのは直ぐではないかと。』

 『あ、ありがとう。 え、えっと…?』

 『「有紗河アリサガワ  カスミ」です。舞華、以後御見知り置きを。』

 
 『う、うん、よろしくね。アリサちゃん。』

 『あ、「アリサちゃん」…。』

 『あ⁈嫌だったかな?じゃあ…』

 『いえ!是非「アリサちゃん」でお願いします!』

 
 彼女は中等部の「漫研」の部長さんで、マミマミとは「同志」らしい?

 絶対バスケとかソフトボールとかやってそうな、色んな意味でボイッシュでスポーティーな外見なのに名前が愛らしい?

 例えるなら、パティが「スケさん」で彼女は「カクさん」みたいな?

 (お祖父ちゃんと見た再放送の「黄門様」からの引用なんだけど?)
 
 あと、「お姉様」と来たか!

 ん~?実里ちゃんが育つとこんな感じ?
 いや、違うなぁ?今まで回りにいないタイプかも?

 悪い子じゃないのはマルッとわかるけどね!

 お察しの通りの「山王院のメイド」さんなんだけど、まだ見習いらしくて、実の所はパティの同期サンなんだけども?

 私が華ちゃんに「専属メイドさん」をおねだりして「少女メイドパトリシア」が選抜されて、見習いだったパティが正式なメイドに昇格した事にちょっとジェラシー感が有るとか?

 
 まぁ偶然にも瑠璃ちゃんと同じクラスで転校初日の風景をスマホに記録した映像を生徒会室でみる私たち。

 『瑠璃はアナタの事は知らないの?屋敷山王院邸で会った事は?』


 『瑠璃サマは元々「外」でお暮らしの様で、今は「元徳さま」のマンションで生活されてます。
 何人か山王院からメイドが派遣されて身の回りの御世話をさせて頂いてますが、「お兄さまの朝食」などは瑠璃サマがお作りになるなど「仲の良い御兄妹」だそうです。』

 『く、詳しいご報告、いたみいります。』
 

 『ご苦労様、今度もそれとなく「見守って」あげてね、「カスミ」。』

 『ハィッ!お任せください、華御嬢様!』


 彼女が退室した後、

 『中等部にあんなの居たんだ?気付かなかったな?』

 とお兄ちゃんがつぶやく。

 『彼女「壁サークル」らしい?高等部の漫研部長より上手いそうだ。』

 お馴染み、界くんの補足情報。

 『心配要らないみたいだよ?』

 『そうね。でも「山王院」の名が余計な「危険」を招かない様「学園」では私達も気に留めてあげないとね。』

 




 『舞華店長、この後ナニか有るんですか?』

 『へ?なんで?』

 派遣会社から来て頂いてる波原さんが、退勤する私に声をかけてきた。

 波原さんには主に譲渡会に参加する保護猫団体さんとの連絡や譲渡会に参加出来そうなモチベーションの猫の選出などを助けてもらっている。

 彼女は「森猫」に正式な「社員」として働きたいと希望しているので、派遣会社側にもご迷惑をかけない様に調整している感じなんだ。

 『最近、退勤時間が近いととても良い表情をするので何でかなって?』

 
 う、バレてる?


 『あ、こ、この後、友達と約束があって!』
 
 『それって、バイトの皆んな高校生達がウワサしている「彼氏」さんの事ですか?』

 『お、お疲れ様でしたー!』


 バイト終わりに士くんが私を家の前まで送ってくれるんだ…けど、途中に公園や河川敷に寄り道してシグマとフライングディスクで遊ぶのがセット化している。

 この間は、「ビックフット」や「虎ちゃん虎丸」まで乱入してくるし?

 

 『舞華さん、お疲れ様。ハァハァ、じゃあ行こうか。』

 『ありが…何で既にしーくんヘビーシグマが士くんの横にいるのかしら?』

 『わふ?』

 『「わふ?」じゃねーよ!しーくん、反省!』

 『わん!』

 『舞華さん、それって「お手」では?』

 『ん、言って見ただけ。』


 公園で待っていた士くん、ちょっとしてるけど、既にヒト遊びしてたな、君たち?

 『そうだ!ねぇ士くん、「たこ焼き」食べない?』

 『そう言うと思って、用意してもらってるよ。』

 『わうわう!』

 士くんが飼い主なのかな?

 激しく同意するしーくん。

 公園入り口広場に移動すると、数軒の屋台で賑わっている。

 
 『あら、さっきのワンちゃん!良かったら、「おかわり」いる?』

 『おう、ワン公!さっきはお手柄だったな!コレ食うか!』

 屋台の店主さんがしーくんに好意的なんですけど?

 『えっと、士くん、解説をお願いしても?』

 『ごめん、俺も知らない。俺が来た時には色々貰っていた物を美味しく召し上がってる最中だったから?』

 実は「ヘビーシグマ」のエネルギー供給は人間や動物同様に「食事」からでも可能らしい?

 味覚が有るかは分からないけど、食べたモノ、取り込んだモノを元素分解して、エネルギー変換するとか?

 難しい事はわからないけど、「ご飯を食べると元気になる!」らしい。

 まぁそう言う事で

 『その「謎」は俺が御教えしますぜ、御嬢!』

 
 『あ、タッちゃん!こんばんは、何か新作有りますか?』

 「ぐぅー!」

 『今の私じゃないよ!』

 『五道でも無いけど、ソイツじゃないかな?』

 
 『あ、お兄ちゃん⁈』

 『ん?何だ、二人とも来てたのか?
 それよりも、タツ兄さん、灯火姐が「おかわり」を焼けって吼えてますよ。』

 『そ、それはマズい!』

 一同はタッちゃんのたこ焼き屋台に急ぐ⁈

 すると、

 『ハイ、紅生姜多めですね、かしこまりました。』

 『ありがとうございますの、3パックセットは千円ですの。』

 『いらっしゃいなのだ~!』

 『辛子マヨのお客様、お待ちどう!』

 

 あらら?

 『舞華さん、あれって「弟さん達」じゃない?』

 『一人ロリバ…擬似ロリ少女もいますけど?』

 『悪い、この事態は舞斗も想定外だった⁉︎』

 『何か、普段よりお客が多いぜ?優坊たち、ヤルな?』


 『へへ、まぁ自慢の優斗妹たち二葉andリリデスからね!』

 『灯火姐も入れてやれよ。』





 『ごめんなさい、タツさん。勝手な事して。』

 『優斗さんは悪く有りませんの!
 たこ焼きを食べたいって、泣いてる小さいお子さん連れのお客さんの為に立ち上がっただけですわ!』

 『優斗の腕前は「パパ殿仕込み」なのだ!』

 『そもそもタツ!お前が優斗たちに店番任せて行ったきりなのが悪い!
 私も腹が減ったので、優斗にせっついたらこうなった?』

 『灯火ちゃんの所為でもあるのね!』

 『いやな、舞斗たちもシグマたちと遊びたくて、ショットやビックフットを交えてソコの「ドッグラン」で遊んでたんだが、途中で士も来て「たこ焼き」でもどうかなって話しになったんだけど…』

 『うん、お兄ちゃん。説明ありがとう、大体わかったよ。』

 『舞華、続きが有るぞ、タツも「フライングディスク」を飛ばしてワン公たちに取りに行かせるヤツがやりたいからって「ほんの少しだけ」優斗たちに店番させてたのだ!』

 『はぁ?』

 『そこに、迷子の幼児が現れてな、ワン公たちが親探しを始めたんだ。
 何と母親は商店街の「スーパーくさかべ」でタイムセールに没頭して子供が側から離れたのに気付かなかったしい。』

 『そこで、ビックフットの背中に迷子ちゃんを乗せて、ショットガンとシグマに「匂い」を辿ってママを探し当てたんですノ。』

 『そしたら、屋台の皆んなが「えらいゾー!」って、色々くれたのだ!
 リリも貰ってたのだ!』

 『皆んな、説明ありがとう、皆んな、頑張りました!偉い偉い! 
 …で、「駄目な大人」のタッちゃん、あと小ちゃな子から目を離したお母さんも駄目駄目だけど、サボってたの「ゴンパパさん」に報告しますからね!』


 お客さんの待ちの行列が切れた所で、タッちゃんと交代した優斗たちから事情を聞いて、

 『お客様は、可愛い優斗たちから 「たこ焼き」買いたかったんだと思うけど?』

 『そりゃ気持ち分かるが「私ら灯火込みで」の身にもなれ?
 タツのたこ焼き食べに来て、自分たちでたこ焼き焼いてたら「本末転倒」だろ?』

 『さっき舞斗も優斗が焼いたたこ焼き食べたけど、タツ兄さんとは別の「美味さ」だな?親父殿に近い味付けだし。』

 『さすが君たちの「弟さん」だな。』

 『優坊!ウチでバイトしないか⁈』

 『優斗サマは小学生デスから!』


 
 なんて毎回騒がしい私たちだけど、たまには静かに焼き鳥をつまみたいよね?



 …ん?焼き鳥?

 『あれ、この焼き鳥は?』

 ベンチで皆んなでたこ焼きを食べていたのに、よく見ると「焼き鳥」「豚串焼き」「カップアイス」とか有る?


 『ああ、貰ったんだ、屋台村の皆んなからな。』

 そう言えば、さっき声をかけられたっけ?

 『気の良い連中だよ、よく売り物にならなくなって処分する「売れ残り」を貰ってるんだ。』


 『相変わらずだね、灯火ちゃん。』





 彼女舞華さんの周りにいる人たちは何気に凄い。

 彼女たちが望む事なら全てが現実になるかもと思うぐらいに?

 『何難しい顔してるんだ、士?』

 コイツ舞斗も無自覚に凄いヤツだしな?

 『いや、何でもないさ。  なぁ、俺もバイトとかしようかな?』

 『お前、何か「金」に困っているのか?』

 『いや、そう言う事じゃない、「社会勉強」と言うか、「自分磨き」みたいな?』

 『ふ~ん、良いんじゃね。何か「アテ」が有るのか?』

 『無い!』

 『ウチ森猫は嫌なんだろ?
 オヤジさんと会いたくから、ウチの面接で採用キャンセルにしたって華から聞いたけど?』

 『今はそれ程でも…だけど、どうせなら「今まで経験して無い事」とかやってみたいな?』

 『ふ~ん?「蟹漁」とかどうだ?
 前にやった事が有るんだが、自分で取った蟹は買い取って貰えるし、脚が取れて売り物にならないのは自分で食べていいし、お土産になる!
 結構楽しかったぞ!』

 『多分楽しいとか言える高校生はお前くらいだぞ、そのバイト。』

 『いや、中学生の時の話しだけど?』

 
 お兄ちゃん舞斗の懐かしい「お父さんのお友達のお手伝い」の話しが盛り上がったところで、

 『何だ、お前バイトを探してるのか?モグモグ。』

 『灯火姐、「モグモグ」が語尾化してるぜ。』

 『大きなお世話だ。』

 『十六夜さん、ナニか心当たりがお有りですか?』

 『ああ、「マリンランド」だよ。
 建築現場の作業員やら、土産屋の販売員やら、接客や清掃、裏方やイベントスタッフ、選り取りふか緑だ!』

 『…成る程、様々有るなら、自分に適したモノ、初めて体験するモノが有るかも知れませんね。』

 『そう言う事だ、HPから応募や問い合わせ出来る筈だぜ?』

 珍しく灯火ちゃんのアドバイスが役立ちそうだけど?

 この時、強引にでも「森猫」でバイトして貰えば良かったと後悔する事になるの。


 だって士くん、私より先に「マリンランドの秘密」に遭遇しちゃうんだから!



 
 ~某日である。

 
 『よろしくお願いします、五道 士、高校生です。』

 『ハイ、よろしくね!今日はバイト面接を兼ねた「園内見学」に来てくれてありがとうね! 
 私は「広報」担当の「火祭」です!

 バイトの面接官も担当しているから、質問なんかはドンドン今のウチにね!

 おっと、「スリーサイズ」とかは教えないよ、好みのタイプは誠実で真っ直ぐな人かな?』


 「…そーゆーのいいんで、彼女いるんで。」


 『あ、あははは…いや、緊張してるかなって、場を和ますつもりで…、。忘れてね。』

 『親友に「誠実で真っ直ぐ」なヤツいますよ。』

 『本当っ⁈』

 『この間、幼馴染と婚約している事が発覚しました。』

 『いらないよ!そんな情報!』

 『いや、緊張してるかなって、場を和ますつもりで。』

 『お互い、気を使うのは無しにしない?
 君、雰囲気が「」に似てるかも?』

 『…もしかして「北代」とか「十六夜」とか「九院」とか「山王院」なんて名前では?』


 『…マジ…ですか?』

 『先程の「親友」が「北代」で、その「婚約した幼馴染」が「山王院」なんですケド?』


 『…そう言えば貴方も…「五道」…

 大変失礼しまして、五道サマ‼︎
 
 本日はようこそ、バイト面接においでくださりやがりまして!

 もうー採用デスっ!』
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