猫カフェは探偵事務所ではありません。〜女子高生店長の奮闘記〜えっと、私、彼氏が出来ました。

猫寝 子猫

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猫ソムリエの憂鬱〜松下、鬼教官と和む?

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 アレは二か月ほど前、灯火嬢に拉致され、「秘境」とも呼ぶべき山中に連れて来られた「松下くん」。


 『あ、ワリィ~。緊急呼び出しだ。ちょい行ってくるな。』


 数日は山中での「サバイバル」をレクチャーしてくれると言っていた、ちょっと良いなぁとか想いはじめていた美少女は、翌々日には帰ってしまった。

 『一応、後の事は「おやっさん」に頼んでおいたから、安心してくれ。』


 そう言って秒で立ち去る灯火⁉︎


 オイオイ誰だよ、「おやっさん」って⁉︎

 君と二人きりなら、山中での「サバイバル極限生活」も楽しめ…いや、耐えられそうだと思ったのに⁉︎

 そもそも俺のストライクゾーンは、「ボンキュボン」の巨乳なお姉ちゃんなんだが…、

 所詮、女性とまともに付き合った事の無い俺が女性とこんな近距離で長時間、行動を共にしていたのは初めてで、

 そう、出会いは最悪だけど…もしかしてコレが?

 そんな甘酸っぱい俺の現実逃避トキメキメモリーをリセットしてくれやがった来訪者が現れた。


 

 『さ、さびしい…』

 山小屋の中で、何となくヤル気が起きず、膝を抱えてぼーっとしたいた俺。

 その晩突然ですが?

 ドンドン!

 ドアを叩く音に驚き、俺の返事も待たずにドアを開ける来訪者!

 手には、その本人が取って来たであろう、山鳥(名前が分からん?)と猪の肉、そしてキノコや山菜など手土産にあらわれた目の前のヒトはでは無かった。

 『よぅ、やっとるか?』

 何故なら頭に立派な「角」が有ったから、

 だけど、不思議と怖くない?

 その顔はとても「恐ろしい鬼」の顔では無く、

 そう、例えるなら

 「孫に甘いお爺ちゃん」の様な、「田舎の分校の校長先生」みたいな風格で、

 それでいて体格はしっかりしていて、さすが山の中の生活で鍛えている様だ!

 ちなみに服装は何故か「学校指定みたいなジャージ」なので、一瞬中学時代の体育教師を思い出してしまって、笑いそうになる。

 『あ、あの~、どちら様ですか?』

 『おや、あの娘っ子に聞いてないか? ワシは此処で「山守」をしている「タツマキ」と言うモンだ。
 なんでも、あの娘っ子の母御が「急病」らしく、麓の町に迎えが来てな。
 まぁ、あの子が心配せずに帰省出来る様、ワシがお前さんの「修行」の付き添いを買って出たのさ。』

 『き、急病って!灯火さん、そんな事ひと言も言ってませんでしたよ⁉︎ 
 だ、大丈夫なんですか、その「お母さま」は⁉︎』

 そう、相変わらず「サバサバした」様子で何事も無いみたいに笑っていたのに⁉︎

 俺に心配かけない為か!

 ほ、惚れてしまうではないか!

 『コレはだが、「十六夜家」の女は長命で武芸に秀でた者が多いそうだが、稀に「虚弱」な者が産まれるそうでな。
 ところがそんな者ほど「達人を超える者」と呼ばれる位に武術や学問に長けておるとかで、あの娘っ子の母御もその一人だとかでな。
 それに近頃は医術も発達したので、昔ほどすぐ亡くなったりせんそうだ。
 まぁ、今回は念の為と言った処ではないかな?』

 随分と彼女の家の内情に詳しい様だけど…「山守」って言っていたな?

 それに頭の角?

 本物か?こんな山ん中だと「昔話し」みたいな事が起きそうな?

 『うむ? やはり「これ」が気になるかの?』

 つい見てしまった様で、そのが自分の頭を軽くポンっと叩く。

 『あ、いえ!そう言う訳では無くて⁉︎』

 『この「角」はココで暮らし始めてからしばらくしてきてな、おそらくこの「山の気」に当てられて「先祖返り」したんだと思うのじゃ。

 遥か昔に「鬼人」と夫婦になった女子おなご達がわしの先祖にいたそうだ。「悪鬼」では無く、「仏敵」を追い払う「善鬼」ではないかって「言い伝え」でな。

 怖いなら、ほれ!』

 又、頭をポンポンっと二回叩くと

 「角」が消えた⁉︎


 『えっ、えぇ⁉︎ どうなっているんですか?』

 『ハハハ!ワシにも詳しいは分からんのだ?
でも、何かの拍子に頭を叩いたら消えたのだ。』

 『ハハ、そうなんですか。』

 釣られて笑ってしまったが、もしかして俺「気を使われている」のか?

 『なので、下山する時は角を消すか、あの娘っ子にもらった「毛糸の帽子」を被って降りる事にしている。
 猪の肉は滋養に良いと欲しいと言うモンに分けに行く時などな。』

 虎皮のパンツならぬ、虎じま柄の毛糸の帽子?

 それからタツマキさんは手慣れた様子で肉を捌き、山菜とキノコを刻み、鍋にいれ火にかけて、「山の幸鍋」を振る舞ってくれた。

 美味也!  …で、なんて鳥だったんだろう?


 ソレからは文字通り、この「鬼教官」と過酷で割と楽しい「サバイバル生活」が始まった!
 
 偶に撮影も手伝ってくれたり、慣れてくると男二人で変に気を使わず気楽な様で、タツマキさんも容赦なく「山の厳しさ」を突き付けてくるも、「飴と鞭」なのか、

 『この崖の上に美味い湧水と木の実が有るぞ!』
 とか、
 『頑張れ~!これが終わったら特別に「栗の華」のハチミツを分けてやるぞ!』

 とか、良い感じに鍛えられてた。

 こんな山ん中だと「甘味」が恋しい、別に甘党では無いのに?

 疲れた時には甘い物と言うけど、身体が欲しているのかな?

 今まで食べた「ジャンクフードコンビニ菓子」なんて比べてはイケナイ次元の「甘味」だ!


 そんな折、

 
 『ふ~む、お前か?新しい「山守候補」は?』
 
 ココ様と会ったのは俺たちか寝泊まりしている山小屋から、
 更に山奥の険しい山頂近くに有る、古いが立派な「お社」に供物をお供えしに訪れた時の事だった。

 正月に神社で御守りとか御神籤とか売ってる巫女さんがこんな山奥に?

 しかもかなりの美少女⁉︎

 ただ、頭に猫耳、お尻から尻尾が生えてる?

 『こ、こんな所で「コスプレ撮影」デスか?お嬢さん⁉︎』

 思わず周りを見渡す、撮影班とか居るのかと思って⁉︎

 『ナニをキョロキョロしておるのだ?「こすぷれ」とはなんじゃ?新しい「洋菓子」か?』


 

 『…って感じで、後半は何か気に入られて、ほぼ毎日俺とタツマキさんの鍛練に顔を出したり、ココ様ご自身が「課題」を出してきたりと大変だったんですよ!』


 そう言いながら、楽しそうな松下くん。

 口元にケチャップ付けて、久しぶりに「都会の食事」を堪能してご満悦な所で、


 『あ⁉︎ あの灯火さん⁉︎』

 『オォ?なんだ、急に?』

 『お母様のお加減は?その後、持ち直したと聞きましたが?良いんですか、側に居なくても?』


 『あ、アレな?そんな心配要らないから、でも、まぁありがとな、心配してくれて。』

 い、言えない!
 お袋があの歳で「ご懐妊」したなんて!

 新しい「お父様」との間に弟か妹が出来たなんて!

 小町の下に更に妹か?しかも「親と子」ぐらい歳の離れた!


 『お元気でいらっしゃるなら、良かったデス。』


 『…で、今回は何の為に「下山」したんだ?
 あの「猫ヒメ様」は? 

 ま、まさか本当に「都会見物」じゃないよな?』

 『はぁ、ソレが…』

 『ん?どうした?』

 などと、食事中話していたのだが?

 灯火が松下くんの「私物」の件を思い出したので、地下室に場所を変え、今は灯火たちが連れ帰ってきた「保護犬」の様子を見に上へ下へと羽柴ビルを駆け回る?
 
 舞斗に促されて、二人は「森猫」と同じ階に有る「動物達の待機室」に入る!


 『あ、あれ⁉︎ココ様?』

 『し~、今集中してるから?』

 猫神さまの横に見護る様に付き添っている女性に指摘された。

 だ、誰ですか?この人は?

 『あ、はい、すいません。』

 うわぁ~、美人だな~。

 胸もデカいし、腰もくびれてるし、スタイル抜群で、本来ならこんな女性がタイプなんだけどな~?

 『マツ、そのヒトはこの舞斗高校生のお袋さんだからな。変な気を起こすなよ?』

 『は?』

 灯火さんに小声で釘を刺される?




 『ちなみに、お前をあの「秘境行き」を持ち掛けた「おっさん」の奥さまで在らせられる、絶対失礼無いようにな!』

 ある意味では師匠より強くて、恐ろしいヒトだ!

 こんな言葉が有る!

 「強い人ほど、笑顔は優しい!
 何故なら強さは「愛」だモン!」

 そう、、似た物同士の夫婦だからこそ、一見普段穏和で、優しい笑顔を絶やさない様な奥様だからこそ、

 怒らすと、むっちゃ恐い‼︎

 灯火の体験談だ!

 あの時の事を思い出すと震えが止まらない⁉︎

 本当の幼女なら漏らしてしまうかもしれん?


 『ん?どうしたの灯火?顔色悪いわよ?』

 今私に向けられてる笑顔は事情を知らない人が見たら「聖母の笑み」なんだろうけどな?

 『いや、なんでも無いっス!』

 視線をココ様に向けると、

 『よしよし、よぅ頑張ったのう。
 妾がお主と腹の稚児やや、ちゃんと双方助けるゆえ安心するがよいぞ。』

 そう言いなが、雑種犬の腹部を撫でている、触れている部分が僅かに発光している様にも見える?

 今回受け入れた内の大型犬なのだが、幸い意識はあるがかなり辛そうで「ハァハァ」と呼吸を荒げていたらしい?

 今は随分落ち着いた様に見える。

 見た目に「妊娠」してる様に見えないと言う事だったが、実は元から、かなり痩せていたらしく、舞斗が過去の経験から「妊娠」に気づかなければ今頃どうなっていたか?
 
 どうやらギリギリ間に合った様だ。

 ん?アレ猫神ココ様だよな?

 いつもの巫女服一張羅じゃないぞ?

 下山するから着替えて来たのは分かるが、

 『ゴスロリ?あ~、「黒ロリ」とか言うんだっけ?
 あんなの、何処で…あ!「わるぷる」だな、成る程、久美姐さんの仕業か!』
 
 
 ソレにしても「獣医師」が同行していてこの失態か!

 自分もその場にいて、気付かないのだから獣医を責められ無いけど。


 しかし、この後とんでもない事が発覚する?



 『よーし!その調子だぞ!誰か「湯」を用意せい!そろそろ「頭」が出るぞ!』

 『え!産まれちゃうんですか?』

 『早産だが今更、母犬も子もこのままでは保たんが、妾の「加護」を与えてやる!
 戌に猫神の加護はどうかと思うが、まぁ大丈夫だろう。』






 場所は変わって、「森猫」のスタッフルームにて、


  『何ですって!まだ学生なの⁉︎』

 『すいません!でも、来年卒業なんです‼︎』

 『ソレでも国家試験を受けて合格しないと「免許ライセンス」はもらえないでしょう?

 つまりは「無免許」でこの有り様な訳でしょ!』

 いつに無く華が激怒している。

 同行した「若い獣医師」はまだ学生で「獣医師」では無かった。

 獣医になるには専門の大学で6年程学び、国家試験を合格し、農林水産大臣から免許を受けるそうなんだか、

 『貴方、まだ二十歳ハタチなの?通りで若く見えたハズよ!』

 『すいません、お姉さん!』

 『何か「お姉さん」よ!
 私はまだ高校生です!
 貴方より歳下なの!』


 この男、何処で聞いたか、「森猫」が「山王院」傘下らしいと聞き、来店しては、

 『僕、今フリーの獣医なんだ。何かチカラになれる事有ったら、言って下さいね!』

 とか調子の良い事言って売り込んでいたらしく?

 上手く取り入って将来的に山王院系列の動物病院に入れれば安泰とか考えていた様。

 そもそも、「森の猫さま」は法的には北代パパが責任者の「個人経営」、「山王院系列」でも「山王院傘下」でも無い。
 
 ただ、「猫好き」や「舞華や華」推しの山王院の元メイドがここ森猫に再就職してるだけだし。

 

 今回の同行に、いつもなら掛り付け獣医の愛葉先生にお願いしている所だけど、
 長距離移動はやや高齢の先生には堪えるかもと、若い獣医を愛葉先生に紹介してもらうつもりだったのに、

 まぁ丁度いいかと、譲渡会担当のスタッフ「波原 静」がこの男「小林 アタル」に頼んでしまったとの事。


 『おい華!そんなバカはほっとけ!子犬が産まれるってよ!』

 『本当⁉︎ 大丈夫なの?』

 『凄腕の「巫女さん」が祈祷で何とかしてしまうらしいぞ?』

 『み、巫女⁉︎』

 『母さんの知り合いだってばよ!』

 『あ。なら大丈夫よね?』



 『そ、そんな獣医でも無いのに⁉︎
 危険ですよ⁉︎』

 『キサマが言うか?もう帰ってくれ、ソレとお前は「出禁」だからな。』


 『そ、そんな…?』

 『この件は貴方が在籍している大学に報告します。「獣医師」を騙った事、其方で対処して頂きますから。』

 『…⁉︎』

 舞斗に呼ばれ、極力平静を装い「副店長」の華は退室した、「静とアタル」を残して。


 『ど、どうしよう⁉︎ 下手さたら「退学処分」かも⁉︎』


 『知りませんよ!そんな事は!

 小林さん、アナタ何をしてくれたか理解してます? 

 「獣医師」としてアナタを同行させた「譲渡会担当」にも責任が問われるのですよ!』

 『そ、それは…すいません。まさかこんな事になるなんて思いもしませんでした。』

 折角、ここまでお嬢様たち華と舞華と良好な関係を構築出来たのに!

 こんな見掛け倒しの男の所為で崩れてしまうとは⁉︎










 産まれたのは一匹、しかも「未熟児」だ。
 知らせを聞いて、愛葉先生が駆け付けてくださった。

 『ウチの病院でお預かりします!急いで「保育器」に入れて休ませてあげないと。
 地下の駐車場にウチの車が停めてあるので!』

 舞斗が母犬を、先生が子犬を抱いて地下駐車場に急ぐ。

 『じゃ、俺が愛葉動物病院に付きそうから。』

 『私もコッチをまとめてから舞華と行くから、舞斗 お願いね!』

 『オウよ!』



 『大丈夫よ華、なんたって「御姫様猫神の加護」を頂いたんだからね。』

 『か、加護? 猫神?  お、お母さん、聞いてませんわよ?
 何ですか、「御姫様」って!
 もしかして、アチラにいる「猫耳美少女」さんの事ですか?』

 猫神様も知らない、華と舞華の「琴線」に触れそうな容姿?

 まぁ「御姫様」って、見た目は女子中学生ぽっいしね。

 『ん、なんじゃ?その熱っぽい目は? 何故か急に身の危険を感じるぞ?』

 『イヒヒ、凄いな、お前たち?「神様」を怯えさせるとは?』

 どうやら灯火もいつもの調子を取り戻し、元気に笑みをうかべる。


 『お疲れ様でした、御姫様オヒイサマ
 それでは「我が家」にご案内いたしますので、どうぞこちらに。』

 『その前に、この館の屋根に登りたい。』

 『屋上って事ですか?』

 『何かるのぅ、小さい癖に歴とした「神格」を持っておる「羽虫」の様なモンが?』

 『あ、ハイ!「スズちゃん」ですね!ご紹介しますわ!』


 

 『よかった~!ワンコ達が無事で!』

 『ですが、その他の子達もやや栄養失調気味ですね。お腹を空かせていた処に長時間の移動、情緒不安定になってます。』


 フロアの接客を急遽交代し、新入りの猫たちの様子を見に来た「店長の舞華」。

 受け入れた早々に「妊娠発覚」からの「緊急出産」と言う事態にパニック寸前!

 だけど、

 『舞華さま、どうやらワンちゃんのお産に「御助力」された方が、他の子達も「癒やし」て頂けるそうですが、如何なされますか?』

 冷静沈着に舞華をサポートする「可愛いメイドさん」。

 パトリシアさんは今日もマイペース?

 『本当に⁉︎ 
 なら「むー○ヒーリングエスカレーター」とか、なんでもお願いしちゃうよ!』

 『ソッチなんですか?てっきり「ひーぷり」ネタでくるモノかと?』

 パティも観てるの?

 『ん?何の事かな、パティ君。さて!こんなの「想定内」よ、では予定通り今日は早仕舞いするから、残業出来る人は申告してくださいって伝えてくれる?』

 『全員参加するそうですよ。それと後で浦和さまと滝井さんと足立さんとさんとさんもお手伝いに来るそうです。』

 …(_ _).。o○ 『えっ?』一瞬寝ちゃうよ?その面子は。


 『ですから「アイちゃん」様と「ヒナちゃん」さんと「後輩ちゃん」さんと「みやむー」さんと「カヅちゃん」さんです。』
 

 『うん、パトリシアさん。わざわざ「ニックネーム」に変換しなくてもいいのよ?
 さて、後半二人は大丈夫なのかしらね?』

 あとアイちゃんは「様」なんだね?この中では年下なのに、私の親族だから?



 受け入れた猫たちが私たちの目から見て「最良」で無いのは予想出来ていた。

 まさか「妊娠」に気付かない程とは?

 でも下手にアッチの事情に口を挟めない、デリケートな部分は慎重に付き合わないと…

 その為に灯火ちゃんに「探り」を入れてもらったら、「闇堕ち」しそうに凹んで帰ってくるし?

 観光地って聞いてたんだけどなぁ?

 今はこちらに専念するが、その内自分で調べに行こう。





 『スズちゃ~ん、お客さまをお連れしたの~。一緒に「お茶」しない?』

 『久美、妾は「茶」より「酒」が所望じゃ。』

 『この「紅茶」に「ブランデー」と言う洋酒を入れていただくのが「お洒落」なんですよ、御姫様。』

 『な、成る程!「酒が堕ちる」と書いて「お洒落」とは⁉︎ 正にこの事か⁉︎』


 羽柴ビルの屋上庭園、小さな温室の横に「ガーデンテーブル」にティーセットを並べるのは、

 『久美姉さん、「お茶うけ」に「えびせん」って、よかったのかしら?
 良かったら、「スコーン」用意しますから?』

 このビルのオーナー夫人「羽柴 新名」、義姉のチョイスに不安が隠せないが、

 『アハハ、そう思うよね、でもそろそろ御姫様、「しょっぱい物」が食べたいらしいの。「スコーン」はまた今度ね。』
 
 『まぁ、御姫様ったら、クスス。』


 『ん、何か言ったか?

 うむ、感じた処、まだ百は越えていない様。まだ若い「守護り部」だな?

 ん、どうした? そんな所に隠れてないで出てこい、久美が点てた「茶」が飲めないのか、羽虫め?』


 『い、イジメる? む、毟らない?』
 ブルブル!

 温室のドアの裏に震えながら隠れてコチラの様子を伺う「スズちゃん」。

 何か猫神様に怯えている?

 『イジメんし、毟らんから出て来い。妾はお前と話しがしたいだけじゃ。』
 

 いつに無く怯えて弱気な「ヤサグレなティンカー鈴」?

 『た、食べない?妾は美味しくないよ?』
 
 『食べるかーー! 不味そうだし?食べるトコ、少ないし?』

 『御姫様、ソレだと「食べる」可能性がある事に?』

 苦笑いして久美がツッコミを入れると、

 『ひえぇ~!』

 今度は側に居た新名のエプロンの裏に隠れてる「スズ」。

 『冗談じゃよ。「ばーてぃじょーく」と言うモノだ!ニャハハハ!』

 よほど下界が楽しいか、猫神様は絶好調に冗談をカマシて来る⁉︎


 『さて、そろそろ本題に入るぞ、守護り部よ。』


 『は、ははぁ~!』

 今度は正真正銘、真面目な顔で問い掛ける御姫様。

 『守護り部よ、お前「つがい」は要らぬか?』
 
 『な、なんと⁉︎「つがい」でありんすか⁉︎』


 『つがいって、スズちゃんに「旦那さま」を紹介するって事ですか?
 それってとっても素敵デスッ!』

 素直に喜ぶ新名に対して、

 『大丈夫なんですか、御姫様?この子、料理も洗濯も出来ませんから、「嫁の貰い手」が有るかどうか?「お婿さん探し」で苦労するのは目に見えてますよ。』

 『な、なんて酷い事を言いよるのだ、久美殿‼︎  妾を嫁に娶るなど男子に取って最大の「幸福」ではないか⁉︎』

 
 『コラコラ!御主ら、勝手に盛り上がるな!そもそも御主たちが考えている様の事とは違うぞ。御主たちにわかりやすく言うと「婿」はこれから「つくる」のじゃよ。「スズこやつ」に都合の良い様にな!』

 『『『創るッ、これから?』』』
 

 『そうじゃ!顔形など思いのままじゃぞ!  まぁ、幾つかの「縛り」は有るがな。』


 『縛り?マニアックなのね、御姫様。』

 『もう、お姉さんってば!』
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