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特別な日〜 本当、柄じゃ無いんだけどな。
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とあるビルの一室、
二十数人の反社会団体の構成員を床にキスさせて、靴の裏の汚れを転がっている連中の背中で綺麗にする。
当人は全くのノーダメージで、気怠い表情で相手を追い詰めて行く。
倒れてる男達の半数は手脚を「脱臼」させられている、
向かって来た相手の勢いを利用して関節を決め、外して行く技は彼の得意とする戦術だ。
先祖代々、主君を護る為に編み出した技や戦術を用いて敵を減らしていく。
確実に相手が反撃に転じない様、しかも敵が感じる痛みよりも、周りの仲間が見た時の恐怖感を優先した戦法。
関節を本来有り得ない方向に外して、自分の手脚がとんでもない事になっているのを見て恐怖に叫ぶ屈強な男たち⁉︎
それを見て逃げ出す手下に、自分を守れと叫ぶ親玉。
部屋の鍵は壊しておいた、ここはビルの最上階。
つまり、
逃げ出せる場所は無い。
部屋はまさしく「地獄」の有り様。
拳銃や刀剣を使う事も出来ない、既に先行した助手が使用不能にしてあるからだ。
完全に相手の「心」をバッキバキに折っておく。
広域暴力団の事務所に突入して、わずか二十分程で組長を残して全員叩きのめした。
『だ、誰なんだよ?テメ、いやアンタは? 俺たちに何か恨みでも有るのかっ⁉︎』
自分たちが誰かに恨まれていないと本気で思っている筈無いだろうが、ムカつくので殴りたい……のだが、コイツには「佐竹」の情報を聞き出す為に今のところは手を出さない。
『命が惜しかったら、今は喋るな。これから貴様には今までの「罪」を償ってもらう。』
佐山は若い頃に「暴走族」のメンバーで「副リーダー」、ここの組長はその時の「特攻隊長」だそうで、今でもお互いの利益の為に裏でつるんでいる。
暴走族を引退した佐竹は「ホスト」を始め、客の女性を食い物にし始めた。
貢がせるだけ貢がせる、時にはAVに出演させてまで稼がせるなど、やりたい放題。
女性を逃がさない様に使っていた「ドラック」はこの組長から仕入れていた。
特攻隊長は暴力団の跡取りだった。
佐山の嬉しい誤算は、自分が堕とした女性がAVで大人気!
暴走族の後輩らにAVメーカーを立ち上げさせ、ついでに芸能事務所を設立、そこの社長に収まった。
事務所設立の際に助力してくれたのは暴走族当時に「総長」をしていた大物政治家の息子で、今は兄たちを押し退け、父親の跡目を任された代議士のようだ。
自分が調べればいくらでもホコリが舞い上がるレベルで、違法不法を繰り返していそうだ!
『なぁ、何が望みだ⁉︎ 金か?女か? 権力だって「俺たち」と組めば思いのままだゼッ!
あ、アンタ程の「強さ」なら高待遇で雇わせてもらうさ!
だから、なぁー?なぁー!
助けてくれ!』
男の言葉に大きく溜息を吐き、
同意するかの様に右手を差し出した。
和解の握手と解釈した組長が安堵し、その男「一文字 影丸」の右手を掴んだ。
『黙ってろって言った筈だが?』
グギッ!
顔は話せ無く成ると困るので、近づいき握手を求めるフリで右手を握り潰した。
『俺は女性を泣かす奴を徹底的に叩き潰す。妥協なんて有り得ない。』
室内に響く組長の叫び声は、なんとも形容しがたい耳障りなモノだった。
無関係な人が近づかない様、部屋の外で待機していた忍者メイドの「志信」に、
『しのぶちゃん、コッチの掃除頼むって良平に連絡してくれるかな?
今なら「イケナイお薬」たくさん見つかるからって。』
とドア越しに話しかける。
『御意デスの。』
冷たく透き通る様な声が返って来ると、自分も撤収した。
1時間後、この暴力団事務所に機動隊が突入するも、その殆どが「壊れかけのアクションフィギュア」の様に在らぬ方向に手脚が向いている屈強な男たちが床に倒れていて、まさに大乱闘あった事が伺える?
普通なら隊員たちもこの状況に動揺する所だが、
『あ、このパターンか。お~い、頼むよ。』
『あいよ、任せてくれ。』
隊員の中には「一文字の道場」に不定期ながら通っている者もいる。
この手の対処方法は自分の身をもって修復方法を習得していた。
『ハイ、コイツ治したから連れて行ってくれ。次はどいつだ? ハハハ、お前は顎も外されたのか! 相変わらず、影丸さんは容赦無いなぁ。』
既に役割分担が出来上がっている様で。
ただ、その中には「組長」は発見出来なかった。
組長「熊沢」が目を覚ました時、そこはある森林の中だった。
見渡す限り、木、木、木!人工物は見えない。
そんな場所に不自然にも椅子に座らされ、ロープで胴体や手脚足首、雁字搦めに固定されていた。
『やっとお目覚めかい?』
少し離れた所に木にもたれ掛かっている男がいる。
先程の長髪の男とは明らかに別の男だ。
何と言っても「顔」が比較にならない程「平凡」だ。
長髪の男は「元ホストの佐竹」なんかより「男前」だった、嫌味な程に!
『ん?なんだ、今アンタ失礼な事考えただろ!』
『そ、そんな事は無い!
た、助けてけれ!』
今は何時ぐらいだ?
やや薄暗い森の中で、遠くから獣の鳴き声が聴こえる?
『ああ、アレね? この辺、野犬が多いらしいな、あと熊とか猪とか?』
そんな場所、夜になったらどうなってしまうのか⁉︎
『アンタ、「熊沢」さんだろ?熊同士、仲良く出来るかもな?』
『ば、馬鹿言うな!た、助けてくれ!何でも言う事を聞くから!』
『んじゃ、「表道代議士」の「顧客」教えてよ?』
『何?何言ってんだ、お前⁉︎』
『だってよ、代議士事務所のスタッフに「裏の接待」の送迎や雑務なんてさせられないから、アンタん所の組員にやらせてんだろ?
政財界でぶっといパイプを作る為に色々悪い事してるのは知ってんの。
あとはアンタから「答え合わせ」したいだけ。』
言わなければ、ここに置き去りにされて熊や野犬のエサにされるって事か⁉︎
『直ぐソコに頑丈な「山小屋」が有るんだが、どうするよ?食べ物も有るし、薪ストーブも有って中々雰囲気有る山小屋だぜ。』
自分は見間違っていた!
「平凡な顔」、違う!
顔は笑っているが、目は冷たくコチラを見透かされてる様。
アレこそ「悪魔の笑み」だ!
熊沢組長が安堵の息を吐いたその三十分後、
男は約束通り、知り得る限り話すとロープを解き、山小屋に招き入れると酒をすすめてきた。
思わず一気に飲み干すと意識を失った。
次に目を覚ましたのは翌日、「簀巻き」にされて某警察署の前に「お届け」されていた。
表道代議士事務所にマスコミが押しかけたのは同日の朝だった。
『権藤さんが引っ掻き回してくれたのは「末端」だったからなぁ、どうせなら大元からぶっ潰さないと気が済まない。』
まさか同じ頃、自分の娘も佐竹の配下を叩きのめしちゃったりしてるとは知る由も無い。
同じく、初デートでなんやかんやとヤキモキしている舞華、まさかその最中に親しい人たちが中々「ダーティー」な一日を送っているとは夢にも思わないだろう。
もっとも、灯火からシグマを貸して欲しいと言われるまでは。
シグマに先導されて着いた先は建設工事中のバンジー台を囲む「立ち入り禁止」の遮蔽物。
今日は工事はお休みらしいが、重機車両の出入り口らしき場所に誰か倒れている?
そしてその側に、とっ~~~ても見慣れたモノを三つ見つけたよ⁉︎
ってか、なんでいるの?
まるで倒れている人物を介抱しているかの様に。
うん、それは尊いけどね。
『う、う~ん。あれ、柔らか…い?』
『あ、よかった! 気がついた?』
目が覚めて、最初に見たモノは見知らぬ女の子、後頭部に柔らかい感触と額には心地よい冷たさの何かが乗っている?
『ニャン!』
『ぐるぐるミャー!』
『……』すりすり。
耳元で猫の鳴き声、頬に柔らかいモノが擦り寄る感触?
どうやら、ベンチか何かに横されていて、この女の子に「ひざ枕」されてる様、
『…あれ…ココ、天国…そんな訳無いよ、私が天国に行ける筈な…いよね?』
『大丈夫って事でいいのかな、士くん?』
『あまり顔色が良くない、脈も弱いみたいだし?
婦警さん、救急車はまだですか?』
『それが、急に道が混み始めたらしくて、到着が遅れてるの!』
『ワラシ、アンタの「メディカルツール」は?』
『今日の装備は「違法薬物」に対処出来るツールでは有りません!
せめて〇〇があれば?』
『ワラシ君、これ使えないか?
姉が持たせてくれたんだけど?』
『助かります、無いよりマシです。』
私、どうしたんだろ?
身体に力を入れても立ち上がる事が出来ない?
『怪我してるの、私?』
『それは無いから、安心して?』(いいのかな?)
手が暖かい、この子が握ってくれてるんだ。
『ニャン!』
『きゃ!』
急に視界に何か現れた?
『ね、猫?』
『この子は「メイ」って言うの!
あのね、貴女はここに倒れていたの。この猫たちは私のウチで飼ってる子たちなんだけど、何故かココに居て、倒れてる貴女の側にいたの。
まるでココにいるよって呼んでるみたいに鳴いてたわ。』
この猫たち、鉄塔の上で会った子たちだ。
『そう、君たちが助けてくれたんだね。』
『チキショー⁉︎ こんな時に!
どうやら園内のプールサイドで始まった「ゲリライベント」見たさに近場にいた「観光客」か急に集まって来たらしい?
ネット配信とかしてるらしく、バズって野次馬が増える一方だ!
園内スタッフもソッチの対応で救急車の誘導まで手が回らんらしい!』
苛立ちなから灯火が戻ってきた。
たしかに、急に人が増えて来た⁉︎
園の外に有る駐車場は急に増えた利用者で混雑を超えて混乱している!
『せめてヘル-ダッシャーまで運べれば⁉︎
あと「お医者さん」が居てくだされば何とか…』
『来てるの?ヘル-ダッシャーが?何で⁉︎』
確かにあの中には緊急事の治療施設が有るけど⁉︎
『『まーかせて!』くれ!』
『え? ね、姉さん?な、何でココに⁉︎』
『え?だって士の「彼女ちゃん」を生で見たかったんだモン♪』
『あ、タンクロー!しかもロボモード?』
『あっちで「働く重機!ロボと遊ぼう!」ってコーナーで子供たちと遊んでいた。
楽しい~ぞ。
みんな、俺によじ登るんだ!
あ、それとダッシャーならあの辺にいるぜ。』
『舞華さん、このロボット君、知り合いなの? 』
『そだよ。
災害救助ロボのタンクロー君、じゃあお願いね、彼女をそっと運べるよね?
それと士くんのお姉さん?』
『ハイハ~イ!貴女が「舞華ちゃん」よね!
初めまして、士のお姉ちゃんでス! ちなみに「お医者さん」でーす!
や~ん、実物は千倍可愛い~♡』
『姉さん、今そう言うの後にして! 舞華さんが可愛いのほ同意するけど。』
『うぇっ⁉︎(ぽっ♡)』
っ、士くんもね⁉︎
『ではドクター、タンクローと一緒にダッシャーに来てもらえますか?』
『医療設備が有るのね⁉︎
任せて!
五道家の医術は「魔法並み」なんだから!』
『救急車両が通りま~す!ご協力お願いしま~す! 急病の方を搬送中で~す!』
今、タンクローは上半身は具合の悪い女性をお姫様抱っこ、下半身を「キャタピラ」で低速走行中。
『ガ〇タンクみたいだね?』
士くん、珍しく少年の顔してるよ!
『オイラに「武装」はネェーぜ!』
振動で彼女に負担をかけない様にの配慮だ。
園内の人波がモーゼの十戒の様に左右に開き、タンクローの進路を確保してくれる。
『あ!ママ、さっきのロボットさんだ!』
『えっ!アレ「ハリボテ」じゃなく「本物」だったの⁉︎』
『がんばれ!タンクロ~ン!』
『タンクローだよ!ありがとな~!』
園内を安全に移動中のタンクローにチビっ子の声援が!
無事、園内の「特別野外イベントスペース」に待機していたヘル-ダッシャーに到着!
『ドクター五道、コチラです。』
ワラシちゃんが士くんのお姉さんをダッシャーに招き入れる!
『何かアレだね?「雷鳥」みたいな?』
『今の所、宇宙ロケットは有りませんが、助手に介護ロボは如何ですか?』
『え? 「ロボ」?
まさか貴女がそうなの?
…す、素敵!そう言う展開は初めてよ!よろしくね!』
『ハイ!』
『ふ~ん、本当に「ロボット」が喋っているんだ。
誰か、乗って動かしてる訳じゃ無いみたいだけど?』
『おや、俺サマに興味深々だな、ニィさん?
ん~、誰だい、お嬢の友達かい?』
『「五道 士」、舞華さんと交際させて貰ってる。』
『ナニ!お前さんが噂の「お嬢の彼氏」なのか⁉︎
ウチのお嬢をどうぞ今後ともよろしくお願いするぜ!』
『君は私の「親戚のオジサン」なのかな? …えっと、驚いたよね、士くん?』
『ん? ああ、凄いね?「ガンタ〇」と言うより、「トランスフォー〇〇」かな? コチラこそよろしくな、タンクロー。』
『さすがお嬢の彼氏だ、「肝」が座ってるな! 「十六夜 灯火」だ、よろしくな。北代家の「用心棒」だ!』
『噂は舞斗たちから聞いてますが?もっと、イカツイ方かと、まさかこんなに「可愛い女の子」とは思いませんでしたけど。』
『よせやい、お嬢の前で。歳下は好みじゃないからな。』
いや灯火ちゃん、満更でも無いでしょ?耳赤いよ?
ソコに、
『舞華!灯火!』
『あ、華ちゃん⁉︎ なんでいるの?』
『パティ君、舞華たちと合流してくれ。俺は娘たちの所に行く。
ほれゲン坊、目ぇさませ?』
本物の「影狼」なら機密保持の爆破機能が有ったが、この「キグルミ」はあくまで「プロトタイプ」、但し悪用されぬ様に「爆破」ならぬスタンガン程度の「電撃」が装着者を襲う!
その後に強制解除される。
知っていて脅しました。
『う~!し、シビれた~!』
『お前がシビれるのは「あの子」の唄なんだろ?お前もソッチに戻れ、この「ゴミ」は俺の方で「焼却」するから。』
『し、師匠?目が怖いですよ!』
『娘を持つ父親として、こんな奴、俺が許す訳無いだろ?』
『なぁ、岬姉さん、俺ギターなんて使えないぞ?
しかも、こんなの着てさぁ~⁉︎』
『大丈夫!ワタシも同じだから!』
何故か岬姉さんも「レディニャン」のキグルミを来て、キーボードを担当するそうだが、オレ達は演奏してる振りだけで、裏で某有名ギターリストやピアニストさんが「顔を出さない」条件で演奏してくれるそうだ⁉︎
なのに、肝心の「デカワンダー」と「ブラックデカワンダー」と「レディニャンの中の人」が居なくなったそうだ?
『次のタイミングでアゲハと入れ替わります!ついに「瑠璃」の衝撃デビューですよ! ってか、もうあの子、体力の限界かも?』
『ま、待て!「デカワンダー」が未だだろ!』
『ああ、「彼」ならもう準備出来てますよ!なんたってステージ上で「電撃実装!」しますから!』
『へ?』
『「本物のデカワンダー」は「剣くん」なのです!』
舞華たちが人命を救う為、奮闘中に舞斗たちは勢いだけでこのイベントを乗り越えて様としていた⁉︎
ヘル–ダッシャーの「指令室」では「時村 翔太」博士がノリノリでステージ上の「イリュージョン」を成功させるべく、各システムを再調整していた⁉︎
『舞斗くーん、シルバーは準備OKだから。後は舞斗くん次第ね。瑠璃くん、そのままで待ってて。岬さーん、腰振りすぎでーす!』
『何で俺が「勝利の鍵」ななってますの?』
ついに「この時」が来てしまいました。
元徳お兄様が「私」の為に準備して下さったこの「舞台」⁉︎
子供の頃から「唄う」が大好きで、両親やお兄様たちの前で唄ったりして、上手い、お上手ね、だと褒めてもらう事が1番の喜びなのだけど…
私の本当の「望み」は…
オレは「屑野郎」の回収を駆けつけた「レッドタビー」達に任せた。
「ヒナ&ちぃ」もどうやら一悶着有った様で、其方の後始末も「レッドタビー」がしてくれている。
園内で同様に不審な行動をしている連中を発見したらしく、「統括責任者」から出動要請が有ったそうだ。
成る程、良いタイミングで来たと思ったらそうゆう事?
後、数分遅かったら本当に「焼却処分」していたかも。
俺は見知った顔のレッドタビーの1人と一緒にシビレて満足に動けない元徳をヘル–ダッシャーに運んだ。
『アレれ?お父さん?何で居るの? あ、まさかの「ストーキング」ですか?引くよ!』
『この状況を見てそんな事言う子はお父さんの子じゃ有りません!他所のおウチの子になりなさい。』
『い、いいもん、じゃあ私、士くんちの子になるから!今日から「五道 舞華」になるモン!』
『舞華さま、それでは士さんと「結婚」した様に聞こえ無くも無いですか、よろしいので?』
『あれ? …あ、あの、あのね、士くん、「他意」は無いの!お父さんの冗談に冗談で返しただけなの!』
『あぁ、わかってるよ。わかっているけど、今のはちょっと衝撃的で?』
『ご、ご迷惑をお掛けしまして!』
『ううん、嬉しかったし。それにいつかはそうなる様、頑張るつもりだけど。』
『ん?五道君、「コレ」が嫁に欲しいなら、
① 北代家に婿入りする。
② 北代パパ、又は舞斗を倒す
の二択だよ?』
『なら、①で。』
『な、なに士くんもお父さんの冗談に付き合ってるの~?』
『『本気だけど、何か?』』
ヘル–ダッシャーの側でいつもの「親子の会話」を始めてる俺たちと、
『師匠、何が有ったんだ?
元徳のアホがソコで、ボロ雑巾みたいになってるけど、
「〆た」のかい? なら続きは私が!』
『ち、違ぁ~う! そ、それよりライブは⁉︎』
『社長!急に居なくなるから心配したのに、「大株主」と遊んでるなんて余裕デスね!』
『ん?株主? って誰さ?』
『ん、違うって!
秘書ちゃん、株持ってんのはウチの「嫁さん」だからな。
アレが趣味で株トレーダーやってまして、他にもアパート経営とか小規模劇団の顧問とか手広くやってるんだな。』
『まぁ、私てっきり「師匠さん」が株主だと思って!すみません!』
『柄じゃないよ「大株主」なんてさ。
で、お前はナニをしてるん?』
北代一家が集まりつつある「この場所」でいよいよ「最後の花火」を打ち上げる時がきた。
「瑠璃デビュー」と言う仕掛け花火を!
『あ、あのそろそろ瑠璃ちゃんを「登場」させるよ~!』
今回、ステージ演出に「ヘル–ダッシャー」や「キグルミ」を貸し出して全面協力の翔太さん。
あまり「友達」が居ない同士、元徳氏とは結構気が合うらしく、時々「情報交換」して仲が良い。
実はマリンランドで「ゲリラライブ」を行うのも翔太氏の提案だし、各都市の街頭モニターに半ば強引に「映像ジャック」したのも技術協力は翔太氏、後のゴタゴタを収めるのは元徳氏が「山王院」の権力で有耶無耶にする予定だ。
恐らくは、華や大樹に「とばっちり」が来るだろうけど?
『最悪、二人で「師匠」に泣き付こうな!翔ちゃん!』
『そうだね!元徳くん!』
『いや、俺にそんな事押し付けるなよ!』
意外と「穴だらけ」な計画だった様だ?
その割には反響は大きい様で?
『見ていて下さい、お兄様!
瑠璃、頑張りますから!』
ついに真の「歌姫」の降臨である!
『天国のお父さん、お母さん。
見ていて、私精一杯、歌います!』
二十数人の反社会団体の構成員を床にキスさせて、靴の裏の汚れを転がっている連中の背中で綺麗にする。
当人は全くのノーダメージで、気怠い表情で相手を追い詰めて行く。
倒れてる男達の半数は手脚を「脱臼」させられている、
向かって来た相手の勢いを利用して関節を決め、外して行く技は彼の得意とする戦術だ。
先祖代々、主君を護る為に編み出した技や戦術を用いて敵を減らしていく。
確実に相手が反撃に転じない様、しかも敵が感じる痛みよりも、周りの仲間が見た時の恐怖感を優先した戦法。
関節を本来有り得ない方向に外して、自分の手脚がとんでもない事になっているのを見て恐怖に叫ぶ屈強な男たち⁉︎
それを見て逃げ出す手下に、自分を守れと叫ぶ親玉。
部屋の鍵は壊しておいた、ここはビルの最上階。
つまり、
逃げ出せる場所は無い。
部屋はまさしく「地獄」の有り様。
拳銃や刀剣を使う事も出来ない、既に先行した助手が使用不能にしてあるからだ。
完全に相手の「心」をバッキバキに折っておく。
広域暴力団の事務所に突入して、わずか二十分程で組長を残して全員叩きのめした。
『だ、誰なんだよ?テメ、いやアンタは? 俺たちに何か恨みでも有るのかっ⁉︎』
自分たちが誰かに恨まれていないと本気で思っている筈無いだろうが、ムカつくので殴りたい……のだが、コイツには「佐竹」の情報を聞き出す為に今のところは手を出さない。
『命が惜しかったら、今は喋るな。これから貴様には今までの「罪」を償ってもらう。』
佐山は若い頃に「暴走族」のメンバーで「副リーダー」、ここの組長はその時の「特攻隊長」だそうで、今でもお互いの利益の為に裏でつるんでいる。
暴走族を引退した佐竹は「ホスト」を始め、客の女性を食い物にし始めた。
貢がせるだけ貢がせる、時にはAVに出演させてまで稼がせるなど、やりたい放題。
女性を逃がさない様に使っていた「ドラック」はこの組長から仕入れていた。
特攻隊長は暴力団の跡取りだった。
佐山の嬉しい誤算は、自分が堕とした女性がAVで大人気!
暴走族の後輩らにAVメーカーを立ち上げさせ、ついでに芸能事務所を設立、そこの社長に収まった。
事務所設立の際に助力してくれたのは暴走族当時に「総長」をしていた大物政治家の息子で、今は兄たちを押し退け、父親の跡目を任された代議士のようだ。
自分が調べればいくらでもホコリが舞い上がるレベルで、違法不法を繰り返していそうだ!
『なぁ、何が望みだ⁉︎ 金か?女か? 権力だって「俺たち」と組めば思いのままだゼッ!
あ、アンタ程の「強さ」なら高待遇で雇わせてもらうさ!
だから、なぁー?なぁー!
助けてくれ!』
男の言葉に大きく溜息を吐き、
同意するかの様に右手を差し出した。
和解の握手と解釈した組長が安堵し、その男「一文字 影丸」の右手を掴んだ。
『黙ってろって言った筈だが?』
グギッ!
顔は話せ無く成ると困るので、近づいき握手を求めるフリで右手を握り潰した。
『俺は女性を泣かす奴を徹底的に叩き潰す。妥協なんて有り得ない。』
室内に響く組長の叫び声は、なんとも形容しがたい耳障りなモノだった。
無関係な人が近づかない様、部屋の外で待機していた忍者メイドの「志信」に、
『しのぶちゃん、コッチの掃除頼むって良平に連絡してくれるかな?
今なら「イケナイお薬」たくさん見つかるからって。』
とドア越しに話しかける。
『御意デスの。』
冷たく透き通る様な声が返って来ると、自分も撤収した。
1時間後、この暴力団事務所に機動隊が突入するも、その殆どが「壊れかけのアクションフィギュア」の様に在らぬ方向に手脚が向いている屈強な男たちが床に倒れていて、まさに大乱闘あった事が伺える?
普通なら隊員たちもこの状況に動揺する所だが、
『あ、このパターンか。お~い、頼むよ。』
『あいよ、任せてくれ。』
隊員の中には「一文字の道場」に不定期ながら通っている者もいる。
この手の対処方法は自分の身をもって修復方法を習得していた。
『ハイ、コイツ治したから連れて行ってくれ。次はどいつだ? ハハハ、お前は顎も外されたのか! 相変わらず、影丸さんは容赦無いなぁ。』
既に役割分担が出来上がっている様で。
ただ、その中には「組長」は発見出来なかった。
組長「熊沢」が目を覚ました時、そこはある森林の中だった。
見渡す限り、木、木、木!人工物は見えない。
そんな場所に不自然にも椅子に座らされ、ロープで胴体や手脚足首、雁字搦めに固定されていた。
『やっとお目覚めかい?』
少し離れた所に木にもたれ掛かっている男がいる。
先程の長髪の男とは明らかに別の男だ。
何と言っても「顔」が比較にならない程「平凡」だ。
長髪の男は「元ホストの佐竹」なんかより「男前」だった、嫌味な程に!
『ん?なんだ、今アンタ失礼な事考えただろ!』
『そ、そんな事は無い!
た、助けてけれ!』
今は何時ぐらいだ?
やや薄暗い森の中で、遠くから獣の鳴き声が聴こえる?
『ああ、アレね? この辺、野犬が多いらしいな、あと熊とか猪とか?』
そんな場所、夜になったらどうなってしまうのか⁉︎
『アンタ、「熊沢」さんだろ?熊同士、仲良く出来るかもな?』
『ば、馬鹿言うな!た、助けてくれ!何でも言う事を聞くから!』
『んじゃ、「表道代議士」の「顧客」教えてよ?』
『何?何言ってんだ、お前⁉︎』
『だってよ、代議士事務所のスタッフに「裏の接待」の送迎や雑務なんてさせられないから、アンタん所の組員にやらせてんだろ?
政財界でぶっといパイプを作る為に色々悪い事してるのは知ってんの。
あとはアンタから「答え合わせ」したいだけ。』
言わなければ、ここに置き去りにされて熊や野犬のエサにされるって事か⁉︎
『直ぐソコに頑丈な「山小屋」が有るんだが、どうするよ?食べ物も有るし、薪ストーブも有って中々雰囲気有る山小屋だぜ。』
自分は見間違っていた!
「平凡な顔」、違う!
顔は笑っているが、目は冷たくコチラを見透かされてる様。
アレこそ「悪魔の笑み」だ!
熊沢組長が安堵の息を吐いたその三十分後、
男は約束通り、知り得る限り話すとロープを解き、山小屋に招き入れると酒をすすめてきた。
思わず一気に飲み干すと意識を失った。
次に目を覚ましたのは翌日、「簀巻き」にされて某警察署の前に「お届け」されていた。
表道代議士事務所にマスコミが押しかけたのは同日の朝だった。
『権藤さんが引っ掻き回してくれたのは「末端」だったからなぁ、どうせなら大元からぶっ潰さないと気が済まない。』
まさか同じ頃、自分の娘も佐竹の配下を叩きのめしちゃったりしてるとは知る由も無い。
同じく、初デートでなんやかんやとヤキモキしている舞華、まさかその最中に親しい人たちが中々「ダーティー」な一日を送っているとは夢にも思わないだろう。
もっとも、灯火からシグマを貸して欲しいと言われるまでは。
シグマに先導されて着いた先は建設工事中のバンジー台を囲む「立ち入り禁止」の遮蔽物。
今日は工事はお休みらしいが、重機車両の出入り口らしき場所に誰か倒れている?
そしてその側に、とっ~~~ても見慣れたモノを三つ見つけたよ⁉︎
ってか、なんでいるの?
まるで倒れている人物を介抱しているかの様に。
うん、それは尊いけどね。
『う、う~ん。あれ、柔らか…い?』
『あ、よかった! 気がついた?』
目が覚めて、最初に見たモノは見知らぬ女の子、後頭部に柔らかい感触と額には心地よい冷たさの何かが乗っている?
『ニャン!』
『ぐるぐるミャー!』
『……』すりすり。
耳元で猫の鳴き声、頬に柔らかいモノが擦り寄る感触?
どうやら、ベンチか何かに横されていて、この女の子に「ひざ枕」されてる様、
『…あれ…ココ、天国…そんな訳無いよ、私が天国に行ける筈な…いよね?』
『大丈夫って事でいいのかな、士くん?』
『あまり顔色が良くない、脈も弱いみたいだし?
婦警さん、救急車はまだですか?』
『それが、急に道が混み始めたらしくて、到着が遅れてるの!』
『ワラシ、アンタの「メディカルツール」は?』
『今日の装備は「違法薬物」に対処出来るツールでは有りません!
せめて〇〇があれば?』
『ワラシ君、これ使えないか?
姉が持たせてくれたんだけど?』
『助かります、無いよりマシです。』
私、どうしたんだろ?
身体に力を入れても立ち上がる事が出来ない?
『怪我してるの、私?』
『それは無いから、安心して?』(いいのかな?)
手が暖かい、この子が握ってくれてるんだ。
『ニャン!』
『きゃ!』
急に視界に何か現れた?
『ね、猫?』
『この子は「メイ」って言うの!
あのね、貴女はここに倒れていたの。この猫たちは私のウチで飼ってる子たちなんだけど、何故かココに居て、倒れてる貴女の側にいたの。
まるでココにいるよって呼んでるみたいに鳴いてたわ。』
この猫たち、鉄塔の上で会った子たちだ。
『そう、君たちが助けてくれたんだね。』
『チキショー⁉︎ こんな時に!
どうやら園内のプールサイドで始まった「ゲリライベント」見たさに近場にいた「観光客」か急に集まって来たらしい?
ネット配信とかしてるらしく、バズって野次馬が増える一方だ!
園内スタッフもソッチの対応で救急車の誘導まで手が回らんらしい!』
苛立ちなから灯火が戻ってきた。
たしかに、急に人が増えて来た⁉︎
園の外に有る駐車場は急に増えた利用者で混雑を超えて混乱している!
『せめてヘル-ダッシャーまで運べれば⁉︎
あと「お医者さん」が居てくだされば何とか…』
『来てるの?ヘル-ダッシャーが?何で⁉︎』
確かにあの中には緊急事の治療施設が有るけど⁉︎
『『まーかせて!』くれ!』
『え? ね、姉さん?な、何でココに⁉︎』
『え?だって士の「彼女ちゃん」を生で見たかったんだモン♪』
『あ、タンクロー!しかもロボモード?』
『あっちで「働く重機!ロボと遊ぼう!」ってコーナーで子供たちと遊んでいた。
楽しい~ぞ。
みんな、俺によじ登るんだ!
あ、それとダッシャーならあの辺にいるぜ。』
『舞華さん、このロボット君、知り合いなの? 』
『そだよ。
災害救助ロボのタンクロー君、じゃあお願いね、彼女をそっと運べるよね?
それと士くんのお姉さん?』
『ハイハ~イ!貴女が「舞華ちゃん」よね!
初めまして、士のお姉ちゃんでス! ちなみに「お医者さん」でーす!
や~ん、実物は千倍可愛い~♡』
『姉さん、今そう言うの後にして! 舞華さんが可愛いのほ同意するけど。』
『うぇっ⁉︎(ぽっ♡)』
っ、士くんもね⁉︎
『ではドクター、タンクローと一緒にダッシャーに来てもらえますか?』
『医療設備が有るのね⁉︎
任せて!
五道家の医術は「魔法並み」なんだから!』
『救急車両が通りま~す!ご協力お願いしま~す! 急病の方を搬送中で~す!』
今、タンクローは上半身は具合の悪い女性をお姫様抱っこ、下半身を「キャタピラ」で低速走行中。
『ガ〇タンクみたいだね?』
士くん、珍しく少年の顔してるよ!
『オイラに「武装」はネェーぜ!』
振動で彼女に負担をかけない様にの配慮だ。
園内の人波がモーゼの十戒の様に左右に開き、タンクローの進路を確保してくれる。
『あ!ママ、さっきのロボットさんだ!』
『えっ!アレ「ハリボテ」じゃなく「本物」だったの⁉︎』
『がんばれ!タンクロ~ン!』
『タンクローだよ!ありがとな~!』
園内を安全に移動中のタンクローにチビっ子の声援が!
無事、園内の「特別野外イベントスペース」に待機していたヘル-ダッシャーに到着!
『ドクター五道、コチラです。』
ワラシちゃんが士くんのお姉さんをダッシャーに招き入れる!
『何かアレだね?「雷鳥」みたいな?』
『今の所、宇宙ロケットは有りませんが、助手に介護ロボは如何ですか?』
『え? 「ロボ」?
まさか貴女がそうなの?
…す、素敵!そう言う展開は初めてよ!よろしくね!』
『ハイ!』
『ふ~ん、本当に「ロボット」が喋っているんだ。
誰か、乗って動かしてる訳じゃ無いみたいだけど?』
『おや、俺サマに興味深々だな、ニィさん?
ん~、誰だい、お嬢の友達かい?』
『「五道 士」、舞華さんと交際させて貰ってる。』
『ナニ!お前さんが噂の「お嬢の彼氏」なのか⁉︎
ウチのお嬢をどうぞ今後ともよろしくお願いするぜ!』
『君は私の「親戚のオジサン」なのかな? …えっと、驚いたよね、士くん?』
『ん? ああ、凄いね?「ガンタ〇」と言うより、「トランスフォー〇〇」かな? コチラこそよろしくな、タンクロー。』
『さすがお嬢の彼氏だ、「肝」が座ってるな! 「十六夜 灯火」だ、よろしくな。北代家の「用心棒」だ!』
『噂は舞斗たちから聞いてますが?もっと、イカツイ方かと、まさかこんなに「可愛い女の子」とは思いませんでしたけど。』
『よせやい、お嬢の前で。歳下は好みじゃないからな。』
いや灯火ちゃん、満更でも無いでしょ?耳赤いよ?
ソコに、
『舞華!灯火!』
『あ、華ちゃん⁉︎ なんでいるの?』
『パティ君、舞華たちと合流してくれ。俺は娘たちの所に行く。
ほれゲン坊、目ぇさませ?』
本物の「影狼」なら機密保持の爆破機能が有ったが、この「キグルミ」はあくまで「プロトタイプ」、但し悪用されぬ様に「爆破」ならぬスタンガン程度の「電撃」が装着者を襲う!
その後に強制解除される。
知っていて脅しました。
『う~!し、シビれた~!』
『お前がシビれるのは「あの子」の唄なんだろ?お前もソッチに戻れ、この「ゴミ」は俺の方で「焼却」するから。』
『し、師匠?目が怖いですよ!』
『娘を持つ父親として、こんな奴、俺が許す訳無いだろ?』
『なぁ、岬姉さん、俺ギターなんて使えないぞ?
しかも、こんなの着てさぁ~⁉︎』
『大丈夫!ワタシも同じだから!』
何故か岬姉さんも「レディニャン」のキグルミを来て、キーボードを担当するそうだが、オレ達は演奏してる振りだけで、裏で某有名ギターリストやピアニストさんが「顔を出さない」条件で演奏してくれるそうだ⁉︎
なのに、肝心の「デカワンダー」と「ブラックデカワンダー」と「レディニャンの中の人」が居なくなったそうだ?
『次のタイミングでアゲハと入れ替わります!ついに「瑠璃」の衝撃デビューですよ! ってか、もうあの子、体力の限界かも?』
『ま、待て!「デカワンダー」が未だだろ!』
『ああ、「彼」ならもう準備出来てますよ!なんたってステージ上で「電撃実装!」しますから!』
『へ?』
『「本物のデカワンダー」は「剣くん」なのです!』
舞華たちが人命を救う為、奮闘中に舞斗たちは勢いだけでこのイベントを乗り越えて様としていた⁉︎
ヘル–ダッシャーの「指令室」では「時村 翔太」博士がノリノリでステージ上の「イリュージョン」を成功させるべく、各システムを再調整していた⁉︎
『舞斗くーん、シルバーは準備OKだから。後は舞斗くん次第ね。瑠璃くん、そのままで待ってて。岬さーん、腰振りすぎでーす!』
『何で俺が「勝利の鍵」ななってますの?』
ついに「この時」が来てしまいました。
元徳お兄様が「私」の為に準備して下さったこの「舞台」⁉︎
子供の頃から「唄う」が大好きで、両親やお兄様たちの前で唄ったりして、上手い、お上手ね、だと褒めてもらう事が1番の喜びなのだけど…
私の本当の「望み」は…
オレは「屑野郎」の回収を駆けつけた「レッドタビー」達に任せた。
「ヒナ&ちぃ」もどうやら一悶着有った様で、其方の後始末も「レッドタビー」がしてくれている。
園内で同様に不審な行動をしている連中を発見したらしく、「統括責任者」から出動要請が有ったそうだ。
成る程、良いタイミングで来たと思ったらそうゆう事?
後、数分遅かったら本当に「焼却処分」していたかも。
俺は見知った顔のレッドタビーの1人と一緒にシビレて満足に動けない元徳をヘル–ダッシャーに運んだ。
『アレれ?お父さん?何で居るの? あ、まさかの「ストーキング」ですか?引くよ!』
『この状況を見てそんな事言う子はお父さんの子じゃ有りません!他所のおウチの子になりなさい。』
『い、いいもん、じゃあ私、士くんちの子になるから!今日から「五道 舞華」になるモン!』
『舞華さま、それでは士さんと「結婚」した様に聞こえ無くも無いですか、よろしいので?』
『あれ? …あ、あの、あのね、士くん、「他意」は無いの!お父さんの冗談に冗談で返しただけなの!』
『あぁ、わかってるよ。わかっているけど、今のはちょっと衝撃的で?』
『ご、ご迷惑をお掛けしまして!』
『ううん、嬉しかったし。それにいつかはそうなる様、頑張るつもりだけど。』
『ん?五道君、「コレ」が嫁に欲しいなら、
① 北代家に婿入りする。
② 北代パパ、又は舞斗を倒す
の二択だよ?』
『なら、①で。』
『な、なに士くんもお父さんの冗談に付き合ってるの~?』
『『本気だけど、何か?』』
ヘル–ダッシャーの側でいつもの「親子の会話」を始めてる俺たちと、
『師匠、何が有ったんだ?
元徳のアホがソコで、ボロ雑巾みたいになってるけど、
「〆た」のかい? なら続きは私が!』
『ち、違ぁ~う! そ、それよりライブは⁉︎』
『社長!急に居なくなるから心配したのに、「大株主」と遊んでるなんて余裕デスね!』
『ん?株主? って誰さ?』
『ん、違うって!
秘書ちゃん、株持ってんのはウチの「嫁さん」だからな。
アレが趣味で株トレーダーやってまして、他にもアパート経営とか小規模劇団の顧問とか手広くやってるんだな。』
『まぁ、私てっきり「師匠さん」が株主だと思って!すみません!』
『柄じゃないよ「大株主」なんてさ。
で、お前はナニをしてるん?』
北代一家が集まりつつある「この場所」でいよいよ「最後の花火」を打ち上げる時がきた。
「瑠璃デビュー」と言う仕掛け花火を!
『あ、あのそろそろ瑠璃ちゃんを「登場」させるよ~!』
今回、ステージ演出に「ヘル–ダッシャー」や「キグルミ」を貸し出して全面協力の翔太さん。
あまり「友達」が居ない同士、元徳氏とは結構気が合うらしく、時々「情報交換」して仲が良い。
実はマリンランドで「ゲリラライブ」を行うのも翔太氏の提案だし、各都市の街頭モニターに半ば強引に「映像ジャック」したのも技術協力は翔太氏、後のゴタゴタを収めるのは元徳氏が「山王院」の権力で有耶無耶にする予定だ。
恐らくは、華や大樹に「とばっちり」が来るだろうけど?
『最悪、二人で「師匠」に泣き付こうな!翔ちゃん!』
『そうだね!元徳くん!』
『いや、俺にそんな事押し付けるなよ!』
意外と「穴だらけ」な計画だった様だ?
その割には反響は大きい様で?
『見ていて下さい、お兄様!
瑠璃、頑張りますから!』
ついに真の「歌姫」の降臨である!
『天国のお父さん、お母さん。
見ていて、私精一杯、歌います!』
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