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少女の決意〜もう、どうでもいいかも?
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この数年で来客数が減り、既に開園するだけで「赤字経営」なマリンランドを買い取り立て直しを行ってしたのは「山王院」の高道氏。
華や元徳らの叔父で有るが、自身は不自由な身体ゆえに、最近では信頼している部下や華たちに任せている。
アニメやゲーム等とのコラボイベントやバラエティやドラマのロケ地など、マスメディアを利用して知名度を上げたり、
地元の食材や工芸品らをマリンランドのホームページでネット通販し、生産者には煩わしい事務処理や配送業務等、ランド側に任せてもらう。
商品紹介もイベントやテレビ番組内でそれとなく取り上げて広告費も浮かす等、
ゲームの景品もパチモンなキャラのぬいぐるみなどでは無く、お子さんが喜ぶモノをリサーチし、玩具メーカーと提携して正規品を扱う様にした。
逆に大人向けの「射的」「スマートボール」等のレトロなゲームコーナーでは昔駄菓子屋で扱っていた様な「駄玩具」や名産品を原材料にした「B級グルメ土産」など、あえて話題になりそうな品を扱った。
ソレらが良かったか?
マリンランドは昔の「賑わい」を取り戻しつつ有る。
そんな中での「大事件」が今起ころうとしていた⁉︎
『各ガーディアンに緊急連絡! 繰り返す!各ガーディアンに緊急連絡!
園内中央の新造中の高所施設に捜索中の一人と思われる「少女」が侵入、目的は不明、建築用エレベーターで上階に移動しているのを確認。
大変危険で有る!急行し即保護を!』
マリンランド園内に設置されているドリンクのベンダーマシーンは内部に「カプロボ」の別バージョン「缶ロボ」と「ボトルロボ」が待機しており、園の平和の為、必要に応じて「不審者」を秘密裏に撃退・拘束・ゴミ箱ポイを行う様に日々務めている。
時には「迷子の保護」などを率先して行っており、
『ママ、あのね!空き缶の妖精さんが助けてくれたの!』
なんて夢の様な体験をしたお子様がいるとか、いないとか?
それはさて置き、
建築中の立ち入り禁止施設は来月スタート予定の「バンジー台」で、主に「罰ゲーム」におススメな触れ込みで作った施設だ。
もちろん、安全性は重視して作っている!
しかし、未だ建築中で飛び方をレクチャーするスタッフも居ないどころか、落ちた時の「エアクッション」や「命綱」、安全の為の器具などはまだ設置していないのだから危険な事は当たり前、高所から落ちれば…⁉︎
もっとも「少女」の目的は正にソレなのだから?
『ニャン!』
『な~ぉ!』
『あれ、トラちゃん、メイちゃん、どうしたの?』
関係者どころか、「経営者」サイドの特権で猫たちも一緒に入館した華ちゃん一向。
まずは「VIPルーム」で軽いお食事とかしている。
この場所からは園内が良く見えるテラスが有る。
泳ぐより、園内を見て回りたいと言う洋子ちゃんの意見を採用して、その前の「エネルギーチャージ」と言うところだ。
テラスから見ると、屋外プールも良く見え、プールサイドにある「イベントステージ」は正に正面に見える!
何故か猫たち三匹はテラスでそのステージを眺めている、洋子ちゃんも側で一緒に見ていると?
アレ? アレはなんだろう?
屋外プールの先の方に見える、「鉄塔の様なモノ」?
まだ作りかけみたい、まだ鉄骨が剥き出しだから?
その中間から一本横に棒の様なモノが突き出しているのが見える?
『アレは棒?板?橋?何かな?』
そう、その先に誰かいるのが見えるのだ?
『あんな高い所に居て、落ちたら大変だよね、みぃちゃん?…アレ?みぃ、みゆきちゃん、どこ?』
さっきまで側にいた真っ白子猫を抱っこしようと思い、呼びかけたのにいない?
『みゆきちゃん、メイちゃん? トラちゃんもいないよ?』
『どうしたの、洋子ちゃん?』
ココに連れてきてくれた「凄い美人のお姉さん」が優しく頭を撫でてくれながら聞いて来た。
『お姉さん、大変!皆んながいないの!』
『皆んな? ニャンコ達の事?』
何となくだけど、予想していたかも?
『大丈夫よ、洋子ちゃん。多分ね、虎丸が「探検」に連れ出したのよ、女の子二人を! 全く洋子ちゃんを置いて先に遊びに行くなんて、「男の子」としてまだまだね!』
ソレを聞いて笑いそうになった洋子ちゃんだけど、すぐ有る事が頭の中に浮かんだ!
きっとそうだ!
『えっとね、お姉さん!皆んなきっとアノ場所に行ったんだと思うの!あの人を助けに行ったんだよ!』
早くお姉さんにも教えてないと!
『えっ?何、洋子ちゃん? 落ち着いてちゃんとお姉さんに教えてくれるかな?』
『アソコだよ!アレ見て、お姉さん!』
洋子ちゃんが指差す先には、建設中のバンジージャンプ台?
飛び込み用の踏み台らしきモノの先に何か見える?
すぐ様「カプロボ」を取り出して、
『望遠モードで写して!』と起動させる!
『あ、小ちゃなロボット?』
カプロボの見た映像が華のスマホの液晶に「高画質望遠」で写し出される!
『誰?女の子?』
さすがだ!表情までクリアに分かる⁉︎
少女は泣いていた。
『アレ? 灯火ちゃんとワラシ? と婦警さん?』
『舞華か?デートは順調か?』
何かむしゃくしゃするので、「小動物」に癒してもらおうと「もふもふ広場」なるコーナーに移動途中で、ミニスカポリスな灯火たちに出会ってしまった?
『舞華、デート中にすまないが「身体」を貸してくれ。
えっと、「エッチ」な意味では無いからな?』
『その物言いだと、「エッチな意味」に聴こえるんだけどなぁ? で、何かな?』
『お前の「パトラッシュ」を貸してくれ!』
『…?…ルーベンスの絵ならネットで観れるよ? もう疲れて眠くなったの?』
『おっと、間違った?「ヘビーシグマ」だ!
「警察犬モード」でテロリスナーを探し出して欲しい!』
『テロリストね! リスナーじゃないから⁉︎ ん?テロリストって⁉︎』
灯火ちゃんてば!
相当慌てているのか、ソレともボケてるの?
『舞華さん、事情は兎も角、舞華さんの家にいる「シグマ」をココに連れて来るのは時間が……えっ?』
『ゥワンッ!』
蒸着プロセスより速くシグマは現れ、士に飛びついた!
『シグマだよな?お前は?』
『ワン!』
この間、遊んでくれたお兄ちゃんだ!
と、でも言う感じて慕ってくる仔犬の様な大型犬⁉︎
『と、灯火ちゃんてば、もう既にウチからシグマを連れて来てくれたんだね? アハ、アハハハ。』
『よーしシグマよ、「危険物」を持っている奴を探せ!お前の「センサー」なら一発だろ?』
『ウ~、ワン!』
『あんなアバウトな命令で大丈夫なのか?』
士の疑問はもっともだ、でも
『ウ~!ワワン、ワーン‼︎』
ある地点を目指し、「コッチだよ!」と言っている様な、駆け出していくシグマ⁉︎
『え? …舞華さん、今シグマのヤツ、オレに向かって「ついてこい!」って言わなかった?』
『え?ど、どうかな? 私には「コレが終わったら、ご褒美に骨つき肉ね!」って聞こえた様な?アハ、アハハハ?』
『?、そうだね。その方がアイツらしいかな。 さぁオレ達も行こう。何か手伝えるかもしれない!』
『そうね、なんだって「灯火ちゃん」と「ワラシちゃん」はウチの子なんだから! ね!』
『何と!お嬢さんはお二人の「お姉さん」でしたか? 初めまして!私、立花と申しますぅ~~って、わ、「ワラシちゃん」ってば、は、速いですぅ~!』
立花巡査の手を取り、シグマの後を追うワラシちゃん!
「きーーーーーんっ!」とは言わない、ローラーダッシュもしない!
でも速い!
すぐシグマと並行し、高速移動!
「アクティブモード」に移行したのかな?
皆んなが向かう先には、建設中のアノ「バンジー台」が有った。
『あ~あ、あんな言い方して、絶対気を悪くしたよな~? でも、この「瑠璃」は売りたくないし、出来れば「五道先生」にプレゼントしたいんだよな~!』
誰に言う訳でも無いが、無性に何かに言い訳したくなる。
『なるほど、そういう事でしたか。』
その声に振り向くと、なんか可愛いメイドな女の子が居て、コチラを睨んでいた?
『…可愛い…こんなメイドさんがお世話してくれるなら、仕事頑張れるよね。』
突然目の前に現れたメイド少女に現実感が無いので、つい口に出てしまった。
『その様な事、貴方におっしゃっられても全く嬉しく有りません。』
舞華にも見せた事無い「氷の微笑」で威圧する可愛いメイドさん「パトリシア」。
『え!本当にいた⁉︎』
『?…ナニを言って御られるのかワタクシには分かりませんが、貴方の想い人の弟さんには最悪な印象を与えてしまったと思われますよ。』
主人に「ガラスの猫」を売ってくれない意趣返しと言う訳では無いけど、ハッキリしない態度にパティちゃんも「プンプン」なのです!
『…ハハ、仕方ないよね?』
この方はアレほどの素晴らしいモノが作れる職人とは思えないほど、ヘタレな人なのか?
『何か事情がお有り様ですが、舞華さまはともかく、士くんは貴方を「未来のお兄さん」とは認めたりしないでしょう。
今のままでは。』
『君は一体、誰なんだい?』
『貴方がソレを知る必要は有りません、 今のところはですが。』
さて、変装を解いて、本来のメイド姿になったパトリシア。
『こちらパトリシア、先程「ガーディアン」の緊急通信を受信しました。マリンランド周辺の「黒猫」及び「レッドタビー」は至急マリンランドに集結願います。
現在、舞華お嬢様が「初デート」でマリンランドにお越しになられています! 絶対に「苦い記憶」を残さない様に!』
メイド達の士気が爆上がりした!
『へぇ、いい眺めじゃない。』
ここから落ちれば、眼下で盛り上がっているライブを邪魔出来るかな?
歌う事が好きで「歌手」になりたかったのに社長が、
『お前、顔もイイし、カラダもエロいから「グラビア」やれ、そこでどっかのプロデューサーの目に止まれば「女優」でも「歌手」でも仕事が来るぞ!』
借金さえ無ければこんな奴の言いなりになんて絶対ならないのに!
でも、そんなフザケた命令で、本当に「CMソング」や「深夜ドラマ」の仕事が取れた⁉︎
失ったモノと得たモノを比べても比較にならないし、もう後戻り出来ないところまで来てしまった。
『もういいや、疲れちゃったよ。』
TVに出演して、弟や両親は喜んでくれていた、
初めのウチは。
そう、「借金のこと」さえ知られなければ。
『ゴメンね、みんな…。
もう、疲れたから良いよね。』
『…お姉ちゃん、落ちたら、とっても痛いよ。』
『にゃにゃ!』
『ミャー!』
!
『え、誰⁉︎』
自分が居るのは、建設中の鉄塔の上部、その途中に有った資材を釣り上げる「クレーン」の先端。
設置途中らしく、フックやワイヤー等はまだ取り付けられていないので遠目には「飛び込み板」の様に見える。
そんなところで、
小さな女の子の声がした?
猫の鳴き声がした?
幻聴だ、きっと?
振り向くと、
いた。
大きな猫と仔猫と更に小さな子猫が?
『だ、駄目だよ!付いて来ちゃ!危ないから!』
「大丈夫、お姉ちゃんをいじめている悪い人はみんながこらしめてくれるよ。」
『えっ⁉︎』
また、聴こえた?
女の子の声が?
『アナタなの?私に話しかけてるのは?』
彼女の視線の先には小さな白い子猫がいた。
『もしかして親子なのかな?君たちは…』
ふと優しい気持ちになる、猫たちが両親と弟に見える…
その瞬間、突風が吹きバランスを崩す。
さっきまでは「無風」と言って良いくらい穏やかな気候だったのに…
『仕方ないにゃ~!特別だゼ、お嬢さん!』
今聴こえたのは、男の子の声?
その瞬間、意識を失ってしまったが、
何か大きくてぷにぷにしたモノに包まれた様な?
『ぐはっ! だ、誰だ!テメーは!俺にこんな真似してタダで済むっぐはあ!』
相手が威嚇しようと、お構い無しに「鉄拳制裁」する黒い…「デカワンダー」⁉︎
『佐山、お前が死のうがどうなろうが、構わない。
だが死ぬ前にお前が踏み躙った人たちの痛みぐらいは知っておけ!』
殴り殺すつもりか、容赦なく殴り続けるブラックデカワンダー⁉︎
『その辺にしとけ、正義のヒーローが「殺人」なんて「チビっ子」に申し訳ないだろ?』
声をかけたのは、パトリシアに手を引かれ現れた…
『師匠!
コイツは「違法ドラック」で彼女の思考を鈍らせてから、こんな場所に連れ込んで、「自殺」を強要したんだ!
イベントを邪魔するだけの為に!』
あんな場所、いくら死を覚悟したと言っても、かなり怖いはずだ?
佐山は彼女から、恐怖心と自分の存在を違法薬品であやふやにした。
イベントの邪魔と色々と知られてしまい、邪魔になった彼女を始末するのと一石二鳥と考えたか?
クズだな、
『殺しちゃ駄目だぜ、ソイツには、この後「死んだ方がマシだ!」って、思わせるくらいの「生地獄」が待っているんだからな。
だから、ソレ返してくれや、元徳。』
『さぁ、何の事ですか?
俺はダークヒーローの「ブラックデカワンダー」ですが?』
『そのキグルミな、機密保持の為に「所有者」以外が使用すると、起動三十分後に内部爆破するからな。メイドちゃんや執事くんなら「労災保険」出るかもだけど、ソレ着て何分だった?』
『その手には乗りませんよ、「電源」は入れていませんから、ご心配なく⁉︎』
『そうなの? でもよ、バックルの「パワーインジケーター」動いてるよ? 「アシストバランサー」が効いてないと総重量九十四キロはウザくないか?』
『……途中からスゲー楽になったから、「普段から鍛えてますから」的な事だとばかり! ⁉︎あれ、あの、し、師匠、ぬ、脱げません!』
『コード「実装解除」で各ロックが自動解除され…元徳、お前ソレどうやって着た? コードを求められた時「実装」って言わないと…いや、なんて答えた?』
『いや、そんなの知りませんよ!あの「でっかいトレーラー」の中に有ったヤツをテキトーに被ったら「勝手に」視野が明るくなって…あ!アレか?』
『何か言ったんだな?』
『「変身!」って、つい…男の子なら絶対ヤルでしょ!』
『うん、だからソレ「NGワード」にした。安心して「ミディアムレア」になれ。』
場所は変わる。
『お兄さん、ナニ見てるの?
アレ、これ「アゲアゲアホ子」じゃない?』
『何だよ、仲悪いのか?アゲハちゃんと?』
『逆よ。あの子「ウザ可愛い」から仲の良い子からは「ボロク●」に呼ばれてるけど、あの子の為なら多少の無理でも聴いてあげてるわ。それより、何であの子「水着」でギター鳴らしてるの?』
神原社長宅で神原兄妹の世話してる「鮎川 梨沙」。
妹の様子が心配で、自室よりリビングでTVやネット動画を見漁ってる「インドア派」なお兄さん。
『お兄ちゃん「アゲハちゃん」の動画、よく見てるよ。ファンなんだよねー。』
悪気無く話しちゃう妹ちゃん。
『別に良いんじゃない?あの子、良い子よ。この業界じゃ比較的に。』
『梨奈はお姉ちゃんのファンだよ。』
『ハイハイ、ありがとね。』
ソレにしても
『彼女、いつもの「おバカ」な芸風じゃないのね?
こんなに「歌」上手いんだ!』
実は知ってだけど、「キャラ」と違うからって、「仕事」では「本気」で歌う事は無いって言っていたのに?
『そ、そうなんだ!決して「水着」に目が行っていた訳じゃないぞ!』
聞いてないよ、そんな事は?
どうやら「ゲリラライブ」らしい?
そっか、何か決めたんだね、あーちゃん?
コレはケーブルTVの放送の様だけど、ネット配信もされてるらしい。
『スマホで検索したら、今、渋谷や新宿の巨大モニターでも「ゲリラ中継」してるらしいぞ?』
『何か有るわね?』
あの子の事務所って、背後に有名な財閥が付いてるらしいから?
叶わないなぁ、コレは?
『もう「芸能人」辞めようかな?
そろそろ地に脚を付けた仕事探すか?家政婦とか?』
『お姉ちゃん、アイドル辞めちゃうの⁉︎』
『なら、俺の「嫁」にならないか? し、幸せにするから! 駄目?』
『駄目でしょ、私達「兄妹」だし。』
そろそろ、この家ともおサラバだと思ったので言ったんだけど、
『ん? …それ、多分大丈夫だぞ。俺、親父の子じゃないから。』
え?
現在のマリンランドには以前「山王院」でメイドや執事をしていたスタッフが割と大勢いる。
高道氏が買い取った当初はあくまで営業立て直しの為の「派遣要員」だったが、職場としての「愛着」が湧いて本腰を入れ始めた者は「山王院」を辞め、マリンランドの「正社員」として働いている。
ひなた達が倒した「放火犯」たちは彼らが拘束し、今は消火後の後始末を始めている。
『放火犯の撃退と捕縛のご協力、ありがとうございます。
後ほど、上の者からご挨拶させていただきますので!』
普通の従業員を指揮し、テキパキと事を片付けるのはさすがと言いたいが、
『ここから逃げた仲間がいるんです!』
と、ひなたの報告でパトロールを強化したらしいが、どうも「後手」になった様で、
『建設中の「バンジー台」で「飛び降り自殺」しようとしている人物が居るそうです!』
と、若い従業員が報告に来た。
まさか、居なくなった女性なのか⁉︎
『至急「レスキュー隊」を!』
『君が行け!「デカワンダー」!』
消火以外、特に活躍して無いヒーローのお尻に蹴りを入れる「十鐘 千鶴」!
『って言うか、アナタ誰ですか?』
「滝井 ひなた」の質問に、デカワンダーが答えた?
『出来れば、滝井さんには正体を隠しておきたかったのデスが?』
『いえ、何となくですが、声で予想出来ますよ?「鈴木さん」ですよね?』
『御名答!』
ヒーローマスクを外すとバイトの同僚「鈴木 春雄さん」が照れ臭そうに歯に噛んでいた。
『「森猫」の休みの時はヒーローショーのバイトをしているんだ。
ちなみにこの場所を紹介してくれてのは悠佳里さんだけどね。』
『ノリノリでしたね! って、和んでる場合じゃないです!
もしかしたら他の場所でも、同じ事が起きる可能性が有ります! 急いで対策を!
居なくなった女の子の事も気になります。』
何故だろう、何か「胸騒ぎ」がする⁉︎
『ハイ、了解しました。
偶然にもソコにいます!
舞斗くん、ちょっと良い?』
非番なのに緊急事態を知らせる職場からの連絡は、正に今居る場所を示す⁉︎
『厄介ごとは受け付けておりませんよ?
一応、聞きますけど?』
俺の「カン」が……働かない?
弟たちと遊びに来て、リラックスしている所為か?
それとも二葉や岬姐さんの水着姿を見てのぼせたとか?
いや、無い無い⁉︎
まさか、もうオレの出番は無いんじゃないか、すでに?
『あのね、このライブの後にヒーローショーがあるんだけど、登場する筈の「新ヒーロー」のスーツが「使用不能」になったらしいの?
舞斗くん、「代役」で出てくれないかなって「時村博士」がお願いされたんだけど?』
『…へぇ?』
『リリも出たいノダーーー!』
『駄目デス!』
華や元徳らの叔父で有るが、自身は不自由な身体ゆえに、最近では信頼している部下や華たちに任せている。
アニメやゲーム等とのコラボイベントやバラエティやドラマのロケ地など、マスメディアを利用して知名度を上げたり、
地元の食材や工芸品らをマリンランドのホームページでネット通販し、生産者には煩わしい事務処理や配送業務等、ランド側に任せてもらう。
商品紹介もイベントやテレビ番組内でそれとなく取り上げて広告費も浮かす等、
ゲームの景品もパチモンなキャラのぬいぐるみなどでは無く、お子さんが喜ぶモノをリサーチし、玩具メーカーと提携して正規品を扱う様にした。
逆に大人向けの「射的」「スマートボール」等のレトロなゲームコーナーでは昔駄菓子屋で扱っていた様な「駄玩具」や名産品を原材料にした「B級グルメ土産」など、あえて話題になりそうな品を扱った。
ソレらが良かったか?
マリンランドは昔の「賑わい」を取り戻しつつ有る。
そんな中での「大事件」が今起ころうとしていた⁉︎
『各ガーディアンに緊急連絡! 繰り返す!各ガーディアンに緊急連絡!
園内中央の新造中の高所施設に捜索中の一人と思われる「少女」が侵入、目的は不明、建築用エレベーターで上階に移動しているのを確認。
大変危険で有る!急行し即保護を!』
マリンランド園内に設置されているドリンクのベンダーマシーンは内部に「カプロボ」の別バージョン「缶ロボ」と「ボトルロボ」が待機しており、園の平和の為、必要に応じて「不審者」を秘密裏に撃退・拘束・ゴミ箱ポイを行う様に日々務めている。
時には「迷子の保護」などを率先して行っており、
『ママ、あのね!空き缶の妖精さんが助けてくれたの!』
なんて夢の様な体験をしたお子様がいるとか、いないとか?
それはさて置き、
建築中の立ち入り禁止施設は来月スタート予定の「バンジー台」で、主に「罰ゲーム」におススメな触れ込みで作った施設だ。
もちろん、安全性は重視して作っている!
しかし、未だ建築中で飛び方をレクチャーするスタッフも居ないどころか、落ちた時の「エアクッション」や「命綱」、安全の為の器具などはまだ設置していないのだから危険な事は当たり前、高所から落ちれば…⁉︎
もっとも「少女」の目的は正にソレなのだから?
『ニャン!』
『な~ぉ!』
『あれ、トラちゃん、メイちゃん、どうしたの?』
関係者どころか、「経営者」サイドの特権で猫たちも一緒に入館した華ちゃん一向。
まずは「VIPルーム」で軽いお食事とかしている。
この場所からは園内が良く見えるテラスが有る。
泳ぐより、園内を見て回りたいと言う洋子ちゃんの意見を採用して、その前の「エネルギーチャージ」と言うところだ。
テラスから見ると、屋外プールも良く見え、プールサイドにある「イベントステージ」は正に正面に見える!
何故か猫たち三匹はテラスでそのステージを眺めている、洋子ちゃんも側で一緒に見ていると?
アレ? アレはなんだろう?
屋外プールの先の方に見える、「鉄塔の様なモノ」?
まだ作りかけみたい、まだ鉄骨が剥き出しだから?
その中間から一本横に棒の様なモノが突き出しているのが見える?
『アレは棒?板?橋?何かな?』
そう、その先に誰かいるのが見えるのだ?
『あんな高い所に居て、落ちたら大変だよね、みぃちゃん?…アレ?みぃ、みゆきちゃん、どこ?』
さっきまで側にいた真っ白子猫を抱っこしようと思い、呼びかけたのにいない?
『みゆきちゃん、メイちゃん? トラちゃんもいないよ?』
『どうしたの、洋子ちゃん?』
ココに連れてきてくれた「凄い美人のお姉さん」が優しく頭を撫でてくれながら聞いて来た。
『お姉さん、大変!皆んながいないの!』
『皆んな? ニャンコ達の事?』
何となくだけど、予想していたかも?
『大丈夫よ、洋子ちゃん。多分ね、虎丸が「探検」に連れ出したのよ、女の子二人を! 全く洋子ちゃんを置いて先に遊びに行くなんて、「男の子」としてまだまだね!』
ソレを聞いて笑いそうになった洋子ちゃんだけど、すぐ有る事が頭の中に浮かんだ!
きっとそうだ!
『えっとね、お姉さん!皆んなきっとアノ場所に行ったんだと思うの!あの人を助けに行ったんだよ!』
早くお姉さんにも教えてないと!
『えっ?何、洋子ちゃん? 落ち着いてちゃんとお姉さんに教えてくれるかな?』
『アソコだよ!アレ見て、お姉さん!』
洋子ちゃんが指差す先には、建設中のバンジージャンプ台?
飛び込み用の踏み台らしきモノの先に何か見える?
すぐ様「カプロボ」を取り出して、
『望遠モードで写して!』と起動させる!
『あ、小ちゃなロボット?』
カプロボの見た映像が華のスマホの液晶に「高画質望遠」で写し出される!
『誰?女の子?』
さすがだ!表情までクリアに分かる⁉︎
少女は泣いていた。
『アレ? 灯火ちゃんとワラシ? と婦警さん?』
『舞華か?デートは順調か?』
何かむしゃくしゃするので、「小動物」に癒してもらおうと「もふもふ広場」なるコーナーに移動途中で、ミニスカポリスな灯火たちに出会ってしまった?
『舞華、デート中にすまないが「身体」を貸してくれ。
えっと、「エッチ」な意味では無いからな?』
『その物言いだと、「エッチな意味」に聴こえるんだけどなぁ? で、何かな?』
『お前の「パトラッシュ」を貸してくれ!』
『…?…ルーベンスの絵ならネットで観れるよ? もう疲れて眠くなったの?』
『おっと、間違った?「ヘビーシグマ」だ!
「警察犬モード」でテロリスナーを探し出して欲しい!』
『テロリストね! リスナーじゃないから⁉︎ ん?テロリストって⁉︎』
灯火ちゃんてば!
相当慌てているのか、ソレともボケてるの?
『舞華さん、事情は兎も角、舞華さんの家にいる「シグマ」をココに連れて来るのは時間が……えっ?』
『ゥワンッ!』
蒸着プロセスより速くシグマは現れ、士に飛びついた!
『シグマだよな?お前は?』
『ワン!』
この間、遊んでくれたお兄ちゃんだ!
と、でも言う感じて慕ってくる仔犬の様な大型犬⁉︎
『と、灯火ちゃんてば、もう既にウチからシグマを連れて来てくれたんだね? アハ、アハハハ。』
『よーしシグマよ、「危険物」を持っている奴を探せ!お前の「センサー」なら一発だろ?』
『ウ~、ワン!』
『あんなアバウトな命令で大丈夫なのか?』
士の疑問はもっともだ、でも
『ウ~!ワワン、ワーン‼︎』
ある地点を目指し、「コッチだよ!」と言っている様な、駆け出していくシグマ⁉︎
『え? …舞華さん、今シグマのヤツ、オレに向かって「ついてこい!」って言わなかった?』
『え?ど、どうかな? 私には「コレが終わったら、ご褒美に骨つき肉ね!」って聞こえた様な?アハ、アハハハ?』
『?、そうだね。その方がアイツらしいかな。 さぁオレ達も行こう。何か手伝えるかもしれない!』
『そうね、なんだって「灯火ちゃん」と「ワラシちゃん」はウチの子なんだから! ね!』
『何と!お嬢さんはお二人の「お姉さん」でしたか? 初めまして!私、立花と申しますぅ~~って、わ、「ワラシちゃん」ってば、は、速いですぅ~!』
立花巡査の手を取り、シグマの後を追うワラシちゃん!
「きーーーーーんっ!」とは言わない、ローラーダッシュもしない!
でも速い!
すぐシグマと並行し、高速移動!
「アクティブモード」に移行したのかな?
皆んなが向かう先には、建設中のアノ「バンジー台」が有った。
『あ~あ、あんな言い方して、絶対気を悪くしたよな~? でも、この「瑠璃」は売りたくないし、出来れば「五道先生」にプレゼントしたいんだよな~!』
誰に言う訳でも無いが、無性に何かに言い訳したくなる。
『なるほど、そういう事でしたか。』
その声に振り向くと、なんか可愛いメイドな女の子が居て、コチラを睨んでいた?
『…可愛い…こんなメイドさんがお世話してくれるなら、仕事頑張れるよね。』
突然目の前に現れたメイド少女に現実感が無いので、つい口に出てしまった。
『その様な事、貴方におっしゃっられても全く嬉しく有りません。』
舞華にも見せた事無い「氷の微笑」で威圧する可愛いメイドさん「パトリシア」。
『え!本当にいた⁉︎』
『?…ナニを言って御られるのかワタクシには分かりませんが、貴方の想い人の弟さんには最悪な印象を与えてしまったと思われますよ。』
主人に「ガラスの猫」を売ってくれない意趣返しと言う訳では無いけど、ハッキリしない態度にパティちゃんも「プンプン」なのです!
『…ハハ、仕方ないよね?』
この方はアレほどの素晴らしいモノが作れる職人とは思えないほど、ヘタレな人なのか?
『何か事情がお有り様ですが、舞華さまはともかく、士くんは貴方を「未来のお兄さん」とは認めたりしないでしょう。
今のままでは。』
『君は一体、誰なんだい?』
『貴方がソレを知る必要は有りません、 今のところはですが。』
さて、変装を解いて、本来のメイド姿になったパトリシア。
『こちらパトリシア、先程「ガーディアン」の緊急通信を受信しました。マリンランド周辺の「黒猫」及び「レッドタビー」は至急マリンランドに集結願います。
現在、舞華お嬢様が「初デート」でマリンランドにお越しになられています! 絶対に「苦い記憶」を残さない様に!』
メイド達の士気が爆上がりした!
『へぇ、いい眺めじゃない。』
ここから落ちれば、眼下で盛り上がっているライブを邪魔出来るかな?
歌う事が好きで「歌手」になりたかったのに社長が、
『お前、顔もイイし、カラダもエロいから「グラビア」やれ、そこでどっかのプロデューサーの目に止まれば「女優」でも「歌手」でも仕事が来るぞ!』
借金さえ無ければこんな奴の言いなりになんて絶対ならないのに!
でも、そんなフザケた命令で、本当に「CMソング」や「深夜ドラマ」の仕事が取れた⁉︎
失ったモノと得たモノを比べても比較にならないし、もう後戻り出来ないところまで来てしまった。
『もういいや、疲れちゃったよ。』
TVに出演して、弟や両親は喜んでくれていた、
初めのウチは。
そう、「借金のこと」さえ知られなければ。
『ゴメンね、みんな…。
もう、疲れたから良いよね。』
『…お姉ちゃん、落ちたら、とっても痛いよ。』
『にゃにゃ!』
『ミャー!』
!
『え、誰⁉︎』
自分が居るのは、建設中の鉄塔の上部、その途中に有った資材を釣り上げる「クレーン」の先端。
設置途中らしく、フックやワイヤー等はまだ取り付けられていないので遠目には「飛び込み板」の様に見える。
そんなところで、
小さな女の子の声がした?
猫の鳴き声がした?
幻聴だ、きっと?
振り向くと、
いた。
大きな猫と仔猫と更に小さな子猫が?
『だ、駄目だよ!付いて来ちゃ!危ないから!』
「大丈夫、お姉ちゃんをいじめている悪い人はみんながこらしめてくれるよ。」
『えっ⁉︎』
また、聴こえた?
女の子の声が?
『アナタなの?私に話しかけてるのは?』
彼女の視線の先には小さな白い子猫がいた。
『もしかして親子なのかな?君たちは…』
ふと優しい気持ちになる、猫たちが両親と弟に見える…
その瞬間、突風が吹きバランスを崩す。
さっきまでは「無風」と言って良いくらい穏やかな気候だったのに…
『仕方ないにゃ~!特別だゼ、お嬢さん!』
今聴こえたのは、男の子の声?
その瞬間、意識を失ってしまったが、
何か大きくてぷにぷにしたモノに包まれた様な?
『ぐはっ! だ、誰だ!テメーは!俺にこんな真似してタダで済むっぐはあ!』
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『師匠!
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『殺しちゃ駄目だぜ、ソイツには、この後「死んだ方がマシだ!」って、思わせるくらいの「生地獄」が待っているんだからな。
だから、ソレ返してくれや、元徳。』
『さぁ、何の事ですか?
俺はダークヒーローの「ブラックデカワンダー」ですが?』
『そのキグルミな、機密保持の為に「所有者」以外が使用すると、起動三十分後に内部爆破するからな。メイドちゃんや執事くんなら「労災保険」出るかもだけど、ソレ着て何分だった?』
『その手には乗りませんよ、「電源」は入れていませんから、ご心配なく⁉︎』
『そうなの? でもよ、バックルの「パワーインジケーター」動いてるよ? 「アシストバランサー」が効いてないと総重量九十四キロはウザくないか?』
『……途中からスゲー楽になったから、「普段から鍛えてますから」的な事だとばかり! ⁉︎あれ、あの、し、師匠、ぬ、脱げません!』
『コード「実装解除」で各ロックが自動解除され…元徳、お前ソレどうやって着た? コードを求められた時「実装」って言わないと…いや、なんて答えた?』
『いや、そんなの知りませんよ!あの「でっかいトレーラー」の中に有ったヤツをテキトーに被ったら「勝手に」視野が明るくなって…あ!アレか?』
『何か言ったんだな?』
『「変身!」って、つい…男の子なら絶対ヤルでしょ!』
『うん、だからソレ「NGワード」にした。安心して「ミディアムレア」になれ。』
場所は変わる。
『お兄さん、ナニ見てるの?
アレ、これ「アゲアゲアホ子」じゃない?』
『何だよ、仲悪いのか?アゲハちゃんと?』
『逆よ。あの子「ウザ可愛い」から仲の良い子からは「ボロク●」に呼ばれてるけど、あの子の為なら多少の無理でも聴いてあげてるわ。それより、何であの子「水着」でギター鳴らしてるの?』
神原社長宅で神原兄妹の世話してる「鮎川 梨沙」。
妹の様子が心配で、自室よりリビングでTVやネット動画を見漁ってる「インドア派」なお兄さん。
『お兄ちゃん「アゲハちゃん」の動画、よく見てるよ。ファンなんだよねー。』
悪気無く話しちゃう妹ちゃん。
『別に良いんじゃない?あの子、良い子よ。この業界じゃ比較的に。』
『梨奈はお姉ちゃんのファンだよ。』
『ハイハイ、ありがとね。』
ソレにしても
『彼女、いつもの「おバカ」な芸風じゃないのね?
こんなに「歌」上手いんだ!』
実は知ってだけど、「キャラ」と違うからって、「仕事」では「本気」で歌う事は無いって言っていたのに?
『そ、そうなんだ!決して「水着」に目が行っていた訳じゃないぞ!』
聞いてないよ、そんな事は?
どうやら「ゲリラライブ」らしい?
そっか、何か決めたんだね、あーちゃん?
コレはケーブルTVの放送の様だけど、ネット配信もされてるらしい。
『スマホで検索したら、今、渋谷や新宿の巨大モニターでも「ゲリラ中継」してるらしいぞ?』
『何か有るわね?』
あの子の事務所って、背後に有名な財閥が付いてるらしいから?
叶わないなぁ、コレは?
『もう「芸能人」辞めようかな?
そろそろ地に脚を付けた仕事探すか?家政婦とか?』
『お姉ちゃん、アイドル辞めちゃうの⁉︎』
『なら、俺の「嫁」にならないか? し、幸せにするから! 駄目?』
『駄目でしょ、私達「兄妹」だし。』
そろそろ、この家ともおサラバだと思ったので言ったんだけど、
『ん? …それ、多分大丈夫だぞ。俺、親父の子じゃないから。』
え?
現在のマリンランドには以前「山王院」でメイドや執事をしていたスタッフが割と大勢いる。
高道氏が買い取った当初はあくまで営業立て直しの為の「派遣要員」だったが、職場としての「愛着」が湧いて本腰を入れ始めた者は「山王院」を辞め、マリンランドの「正社員」として働いている。
ひなた達が倒した「放火犯」たちは彼らが拘束し、今は消火後の後始末を始めている。
『放火犯の撃退と捕縛のご協力、ありがとうございます。
後ほど、上の者からご挨拶させていただきますので!』
普通の従業員を指揮し、テキパキと事を片付けるのはさすがと言いたいが、
『ここから逃げた仲間がいるんです!』
と、ひなたの報告でパトロールを強化したらしいが、どうも「後手」になった様で、
『建設中の「バンジー台」で「飛び降り自殺」しようとしている人物が居るそうです!』
と、若い従業員が報告に来た。
まさか、居なくなった女性なのか⁉︎
『至急「レスキュー隊」を!』
『君が行け!「デカワンダー」!』
消火以外、特に活躍して無いヒーローのお尻に蹴りを入れる「十鐘 千鶴」!
『って言うか、アナタ誰ですか?』
「滝井 ひなた」の質問に、デカワンダーが答えた?
『出来れば、滝井さんには正体を隠しておきたかったのデスが?』
『いえ、何となくですが、声で予想出来ますよ?「鈴木さん」ですよね?』
『御名答!』
ヒーローマスクを外すとバイトの同僚「鈴木 春雄さん」が照れ臭そうに歯に噛んでいた。
『「森猫」の休みの時はヒーローショーのバイトをしているんだ。
ちなみにこの場所を紹介してくれてのは悠佳里さんだけどね。』
『ノリノリでしたね! って、和んでる場合じゃないです!
もしかしたら他の場所でも、同じ事が起きる可能性が有ります! 急いで対策を!
居なくなった女の子の事も気になります。』
何故だろう、何か「胸騒ぎ」がする⁉︎
『ハイ、了解しました。
偶然にもソコにいます!
舞斗くん、ちょっと良い?』
非番なのに緊急事態を知らせる職場からの連絡は、正に今居る場所を示す⁉︎
『厄介ごとは受け付けておりませんよ?
一応、聞きますけど?』
俺の「カン」が……働かない?
弟たちと遊びに来て、リラックスしている所為か?
それとも二葉や岬姐さんの水着姿を見てのぼせたとか?
いや、無い無い⁉︎
まさか、もうオレの出番は無いんじゃないか、すでに?
『あのね、このライブの後にヒーローショーがあるんだけど、登場する筈の「新ヒーロー」のスーツが「使用不能」になったらしいの?
舞斗くん、「代役」で出てくれないかなって「時村博士」がお願いされたんだけど?』
『…へぇ?』
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『駄目デス!』
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