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シリアスは苦手です。今回は早々に終わらせるよ!

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 都内の某ホテルで「軟禁」されていた神原社長の元奥さんと鮎川真弓さんの存在を確認した「七神 悠夜」は二人をしている「ホスト風」の男達を沈黙させた。

 「物理ボッコボコ的」に。


 師匠マスター北代から聞いた通り、見かけだけの連中だった。

 クズに情けは必要ないのは同一見解。



 『神原社長の「奥様」の●●さんと鮎川さんですね?ここから救出に参りました。』

 『アナタ、誰? 又騙すつもりね!』

 親族経営で大手企業の重役を親に持つ、元お嬢様だけあって「偉そうな」態度だが、内心は相当怯えている。

 (少しはウチのお嬢様たちを見習って欲しいところだ!)
 
 もっとも、こんな目にあっているのは自業自得だが。

 『あの!娘は?
 社長のお子さんたちは?
 無事ですか?
 この連中に逆らったら子供達に手を出すと言われたので!』

 『ご安心を。ご無事ですし、お子さん達には優秀な護衛をつけましたから。
 ちょっと、強面ですがこんな顔だけの「ホスト崩れ」より、優しい方々ですから。』

 『本当ですか⁉︎ 無事なんですね! …良かった。』




 

 『おじちゃん、次はゲームしよ! リナ、得意なんだよ!』

 『カルロス、手が大きいからこのリモコンコントローラのボタン、一度に二つ押しちゃうヨー?』

 古賀さんマネージャーが連れて来た「日本語の上手い海外人」風な大男は、子供好きらしく、すっかり梨奈が懐いている。

 なので自分は食事の仕込みを始めよう。

 そうだ?

 『ねえ、スマホいじってないで、お兄さんも手伝ってよ!
 野菜刻むのは無理でも、鶏肉揉むくらい出来るでしょ?』

 『は?なんで俺が?
 ソレにそんなの、やった事ねーし。』

 知ってるわよ!
 ゴミのほとんどがコンビニ弁当や宅配ピザの箱、ハンバーガーチェーンの紙袋なんかばかりだからね⁉︎ 

 『ほら、コレ!このビニール袋の中に唐揚げ用に下処理した鶏肉と香辛料とか調理酒とか入っているから、が染み込む様にから中身を揉んでくれれば良いの!簡単でしょ!』

 子供の頃に、隣りに住んでいたお婆ちゃんに教わった「美味しい唐揚げ」の作り方だ。
 他にも教わった「栄養の有る野菜シチュー」も作るつもりなので、このくらいはやってくれないと!

 
 『お嬢さん、カルロスもお料理手伝ウヨ! リナちゃんもゲームじゃ無くてお料理しYOH!
お料理する女の子、ステKINGね!』
 

 『本当?ならリナ、お姉ちゃんのお手伝いする?』

 『そ。ならお兄さんはそのままスマホで遊んでいて良いわ。』

 『お兄さん、「仲間ハズレ」ね!』

 『お兄ちゃん、「ハズレ」なの?』

 『課金地獄で破産すればいいのよ。』

 『わ、わかったよ!俺も何か手伝ってやるよ!』


 『手伝ってやるよ?』

 『手伝わせてください。』

 『よし。』



 社長宅の周囲には「イヅナ」を中心としたフレンズな「御庭番衆」さんが警備をしている。

 「この平和な光景を護る」為に。



 二人を無事に保護したと連絡を受けた「ヒナパパさん」こと「一文字 影丸」所長は、

 猫カフェにて、ネコジャラシを巧みに使いこなせる様になり、3、4匹と戯れる程の成長を遂げた神原社長の元へ、歩みよった。

 『お待たせしました、神原さん。』

 『あ、貴方は、「一文字さん」ですか?』

 『ハイ、その通り。「探偵事務所、所長の一文字」です。
 依頼は完了しましたのでお伝えします。』

 『それでは⁉︎ 見つけて頂けたのですな!「真弓」を!』

 『ええ、お二人とも無事でした。』


 『二人?』

 
 『お二人は念の為に「懇意」にしている病院で検査してもらってます。
 問題なければ直ぐお会い出来ますよ。』

 ここまで知り得た事を説明する一文字所長。

 

 考えなかった訳では無いが、まさかここまでヤルとは⁉︎

 と、驚いている神原社長。

 もしかすると彼女の父親が糸を引いてるかもしれない?

 『今回、裏で糸を引いていたのは、汚いやり口で業界大手に延し上がった「佐山芸能プロダクション」の佐山社長でした。』


 佐山⁉︎ まさか本当に奴か⁉︎

 『失礼ですが、佐山は奥さんの「不倫相手」ですね。
 ご結婚前にホストだった佐山に随分と貢いでいた様ですし、最近また頻繁に会い出した様です。』

 『そうですか。やはり「妻」が関係していましたか。』

 『おそらくは、社長の奥さん、いや「元奥さん」でしたね。
 彼女は利用されたに過ぎません。
 コチラがリークしている「情報」は今夜中にマスコミや警察に「お届け」しますから、明日からのワイドなTV番組は一色でしょう。
 これで鮎川さんの「身の潔白」が証明されます。』

 「大手芸能プロダクションの闇! タレントを覚醒剤で縛り付け過酷な「ウラの仕事」など強要する!」ってところだろうか?

 
 どうやら、神原社長や鮎川親子を陥れると言うよりもドラマ降板の後釜を狙っての行動らしい?

 元ホストで社長の「元奥さん」の不倫相手だった佐山。
 
 自分のところのタレントを「あのドラマ」に出演させて、「佐山芸能」のイメージを少しでも良い方に変えたかった様だ。



 『今、佐山は何処に居ますか!』

 何か思いだしたのか?険しい顔で神原社長が訊ねる。

 『どうやら、「鮎川 梨沙」以外に邪魔だと思っているがいる様で、その人物にも何かする為に、手下を連れてある施設に向かっている様です。
 今、北代がその「悪巧み」を妨害し、佐山たちをボッコボコにしに行ってます。』


 『ま、待ってください!さ、佐山の身柄はどうなりますか?』

 『はぁ?自分の悪事を包み隠さず話せる様、怖い目に合わせてから、知り合いの「お巡りさん風間警視正」に引き渡しますが?まずいですか?』

 『さ、佐山にはどんな事をしてでも「口止め」しないといけない事が有るのです!
 ソレさえ無ければ、私が殺していたかも知らない奴です!』

 『はぁ、ならその事を様に出来ますよ。
 精神的障害トラウマ並みに口止め出来ます。
 北代の得意技ですし、どうしますか?彼にだけには「口止めする内容」は話さないといけませんが?』


 『お願いします!子供たちを護る為には絶対に必要な事なんです! …本来なら私が墓まで持って行きたい事なのですが…。』


 『決まりですね。』



 



 『甥がね、この会場で作品を展示しているの。』

 やって来たのはなんと!

「世界のガラス工芸展」




 バスで座席を譲ったご婦人と奇遇にも同じ催し物を観に来るとは。

 『フフ、コレも何かの「ご縁」かしらね。
 私「小野 千枝子」と言うの。お二人のお邪魔で無ければご一緒に見て頂けると嬉しいのだけど…。』

 『ハイ!喜んで!
 私、舞華!「北代キタシロ  舞華マイカ」です。よろしくデス、チエコさん!』

 『五道 士です。でも、よろしいんですか、僕らと一緒で?
 この通り、とても騒がしくて、落ち着いて観賞出来ませんよ?』

 『まぁ⁉︎ フフフ、それはとても楽しく見て回れそうね。』

 『つ、士くん?それは私がうるさいと言う事かな?』

 確かに私の事だから

 「わぁー!スゴく綺麗だね、士くん!」とか「えー?これって、こんなにお高いの?」とか驚いて大声を出しそうだけど?

 『舞華さん、明るくて素直だし、つい口に出して絶賛しそうだからね。
 気を悪くしたならごめん、気を回し過ぎたかな?』

 『いえ、多分その通りですので
…気をつけます。』

 『あらあら、仲良しさんなのね。』

 「本当デスよ、舞華さま!」

 陰ながら見守るパティ、今度は
「一人で遊戯施設に来たヲタク女子」風の服装に早着替えをして、距離と取って監…見守っている。

 銀髪を黒髪のウィッグで、蒼い瞳に「度の強い眼鏡」風の「特殊機能搭載 潜入捜査官眼鏡」を着用している。

 「コレならば、絶対私だと気づかれない!完璧な変装ね!」




 『パティってば、あんな遠くにいないでコッチに来ればいいのに?』

 『やっぱり、舞華さんも気付いていたんだ。パトリシアさんの事?』

 『それはそうですよ!なんてたって「私の可愛いメイドさん」だもの!
 側にいれば気配でわかるから。』

 
 展示会場は思っていたより、かなり「アート的」だった。

 展示されているのは、確かにガラス製のグラスや食器、花瓶やインテリア的な置物。

 それらを巧みな「照明方法ライティング」でまるで宝石でも散り填めた様に光り輝いている。

 舞華も、

 『…き、綺麗。』と小さくつぶやくのが「精一杯」だった。

 それ程に「美しい」のだ。

 『本当だね、かなり思っていたのと違うな? 
 姉からもらったチケットだから、てっきり観光地のガラス工房の展示室みたいな物を想像していたけど、
 コレは完全な「アートギャラリー」だね。
 誰のプロデュースだろ?舞華さんの知ってる人?』

 『へ?何で?』

 『さっき気付いたんだけど、入り口でもらった表冊子パンフレットに「協力 山王企画」って有るから、もしかしてと?』

 


 すると、

 タタタ、ダダダ!

 『ご、ご、五道センセー!来てくださっんですねー!感激デ~すっ!  って、アレ?』

 順路に沿って、展示品を見ていた私たちの前にその人は息を切らせてやって来た。

 今のこの場所に似つかない「職人風」の出立ちで、現れたその人に、

 『あら、緑郎ちゃん?何を騒いでいるの、舞華ちゃん達が驚いているでしょう?』

 と千枝子さんが「緑郎ちゃん」とやらを諭した。

 『あの、もしかして「姉」にチケットをくださった方ですか?』

 『へ?「姉」って?おや?』

 『自分は「五道 士」、「五道 ミコト」の弟です。』 

 『あ、弟さんでしたか?
 僕が渡したチケットが利用されたって聞いたのでご挨拶と思い…それで、は?』

 『いえ、僕と「彼女」だけですが?』

 はぁ、やっぱりそういう事か。

 この人、姉さんに気が有る様だけど?

 『もう!緑郎ちゃんってば!舞華ちゃんに失礼でしょ!』

 『ち、千枝子叔母さん?何でココに?』

 『可愛い甥の「最高傑作」を見に来たのよ!「ガラスのニャンコちゃん」を!』

 『が、「ガラスのニャンコちゃん」デスと!』

 あ、舞華さんの目が光った?

 (比喩的な意味です。)

 『ソレ、何処ですか?私見たいです!硝子の猫デスよね?』

 『え?あ、はい?この先の展示フロアに有りますけど?』

 『もうー!緑郎ちゃんってば!しゃんとしなさい!
 少しはツカサ君を見習いなさいな、そんなだから「彼女」の一人も出来ないのよ?
 叔母さん、心配で天国の姉さんに合わす顔がないのよ。』

 『お、叔母さん!こんな所で⁉︎』

 『ロクロさん!私、硝子の猫ちゃん見たいです!案内して下さい!』

 『え?あ、ハイ。それは構わないけど。』

 『決まりね!さぁ緑郎ちゃん、案内して!』

 『叔母さん、いい加減「緑郎ちゃん」は止めて下さい。恥ずかしいから。』


 ソレにしても、「山王企画」って華ちゃんのお知り合いなのかな?

 
 実は「マリンランド」はこの数年、業績が緩やかに落ちていて海外企業に買収されかけたが、

 「山王院 高道」が買い取り、色々と手を懸けている最中なのだが、今は甥や姪に任せて見ているところらしい。

 

 『これが僕の自信作、「瑠璃」だよ。』

 展示スペースの中央に複数の照明に照らされてる「硝子の猫」。

 それは「シャム猫」と思われる一匹の猫の像。

 息を飲む美しさとはこの事だと舞華は感じた。


 『ガラスでこんな像が作れるんだね?陶器の像とかなら見た事は有るけど、まるで生きている様だ。』

 『作り方は企業秘密かな?色々試行錯誤して、構想から完成まで三年かかったけど、それが早いのか遅いのかわからないよ?』

 間違いない!

 この展示会のメインはこの作品だ、この「猫」を観た後では他の作品は引き立て役としか思えない。

 『緑郎ちゃん、「瑠璃」って「ルリちゃん」の事?姉さんが可愛いがっていた気まぐれ猫の?』

 『そうだよ、こうすればいつでも会えるから…って思ったんだけど、「是非、展示会に出展して欲しい」って、「山王企画」の火祭さんが土下座して頼み込むので仕方なく…。』

 
 火祭? 初めて聞く名前だけど?

 『展示会を始めたら、「是非買いたい!」って人が、現れて…僕は売るつもりは全く無いんだけど。』

 『参考までにいくらで買いたいって言われてますか?』

 『冗談だと思うけど、「一千万」って言われて…』

 『一千万⁉︎』

 『それを聞いた次の人が「二千万円で!」と言われたよ。』

 『じゃあ、次の人は「三千万」かな?』

 『いや、「五千万円」って言われてるけど?』

 『「けど?」?』

 『山王企画の「親会社」が「一億」出すって?  冗談だよね?これって手の込んだ冗談でしょ?』

 …華ちゃんだな?一億ぶっ掛けたのは!
 
 『コレって、生徒会長の仕業かな?』
 
 苦笑いで士が訊ねるので、舞華もやや失笑気味に、

 『華ちゃんなら一億で良いところを更に倍だすからね!』

 『それ程欲しいなら少し時間を頂ければ「ほぼ同じ」が作れるですがね。格安で。』

 
 『どう言う事ですか?』

 『製造方法レシピは出来上がりましたから、ココからは量産出来ますよ。
 最初の一つで、苦労した分コレからは手順通りやれば一日一個は作れます!』

 一年で三百六十数個?休み無し?

 『ソレでお一つ、おいくらなんですか?』

 『そうですね、 う~ん? あ!50万円なんてどうですか?』

 『十個ください。明日にはお支払いします!
 もう予約しましたよ!
 十日後には十体揃えて置いて下さい。なんなら一日一体渡して下されば、一体に付き五万プラスします!』

 『ま、舞華さん!』

 決して、一億や一千万から急激に値段が下がったからで無くて、その値段なら決して高くないと思ったから。

 『士くん、止めないで!お店に置く用とウチと、後はスピカや「白猫占い」にも?』


 『お、お金は有るのかな、君高校生だよね?
 五百万円なんて大金だよ⁉︎』

 緑郎さんが慌てて出した、無理もないけど?

 『余裕デスよ!お店の売り上げから「設備費」として出資しても、「ガラスの猫」で集客力はヤバいかも知れないし、直ぐ回収出来ます。
 それだけの「偉力」があの「ガラス像」には有るんです!』

 『お、お店って?君は一体?』

 『私、猫カフェの店長なんです。
 猫に関係した「モノ」をお店に置く事で、猫好きなお客様は喜んでくれますし、
 そうじゃない人も「インスタ映え」目的できっと何度も来て来れますよ。 

 なんて、本当は私が欲しいだけなんですけどね。』


 『す、すいません!嘘です!本当は十四、五万くらいで十分採算が取れます。』

 えっ?

 何でそんな嘘をついた?

 『緑郎ちゃん! 舞華ちゃんを騙して儲けるつもりだったの⁉︎
 いつからそんな「悪い子」になっちゃったの!』

 叱っていると言うより悲しんでいる優しい叔母にオタオタし始める緑郎氏。

 姉の件も有るから、大人しくしていたが、何か無性にイライラしだす士くん。

 『緑郎さん、何故だか理由を教えて下さい。
 舞華さんは貴方の「ガラスの猫」に心奪われ、購入を決意したんです。
 多少尋常では無い部分も有りましたか、それだけ貴方の作品が素晴らしいと言う事ではないですか?』

 

 『そうよ、緑郎ちゃん!
 士くんの言う通りよ、アナタも「瑠璃」って、名前を付けるぐらいだから何か思い入れが有るのは分かるけど、騙して「お金儲け」なんて天国の姉さんや瑠璃が悲しむわよ!』

 
 『お金が欲しかった訳ではないんだ! ただ、高校生の様なので高額なら引いてくれると思って?』

 『高額? 流石に一億とか一千万はすぐに用意出来ないけど、あの「ガラスの猫」なら五十万は適正価格って思ったんですケド?』

 『え、そうかな?』

 ダメだ!

 この人、自分がどれだけスゴくモノ作ったか、分かってない!

 何だろ、私が知ってる「職人」さんや「芸術家」さんとも違う、

 割と「翔太さん」に近い雰囲気と思ったけど、翔太さんは自分が創り出したモノがどんなものか分かっている。

 だから、作ったモノに無責任な事はしないし、させない。

 この「緑郎」さんはどっちだろう?

 『つまり、仕事を受けたくないからと思う値段を言ったと?』

 『そんな所かな?はは…。』

 『姉さんが一番相手にしないタイプかな?』

 『え?いまなんて?』

 何か煮え切らない態度が士を更にイラッとさせる。

 その前に行動したのは舞華だった。

 『分かりました!もぅ諦めます!行こう、士くん!』

 『ああ、失礼します。』

 出口に向かう途中で、

 『舞華さん、すまない。俺が誘った所為で嫌な思いをしたよね?』

 と士が謝罪すると

 『それは関係無いよ。
 ねぇ、お昼にはまだ早いから、気分直しに他の所も見て見ようよ。』

 二人が早足で会場を出ると、

 『ま、待って!待って、舞華ちゃん、士くん!』

 千枝子さんが二人の後を追ってきた。 

 やっぱり、緑郎さんは来ない。


 『ごめんなさい、千枝子さん。私、堪え性が無いんです!』

 『ソレは良いの、悪いのは緑郎ちゃんだもの。
 謝るのコチラよ、ごめんなさいね。
 どうも、「熱し易くて、冷め易い」性格だから、「量産する」って言いながら面倒くさくなったのよ?きっと。』

 『あの、緑郎さんって、「猫」好きなんですか?
 シャム猫に「瑠璃」って、名前付けるのって、かなり「意味深」なんですけど?』

 『そうなのか?例えば、「目の色が瑠璃色」とか、不自然かな?』

 『シャム猫の目って、「サファイアブルー」なのがその特徴なの。
 「瑠璃色」って「濃い紫がかった蒼」なんだけど、元々は仏教の言葉みたい。
 どちらも「鉱石」の青だから、近い色では有るんだけど?
 意味的に緑郎さんらしく無い様に思えて。
 私なら「毛の色」で名前を決める事が多いから、さっきの硝子の猫さんには特別「瞳」にも「瑠璃要素」無かったの。』

 『つまり、舞華さん的には「違和感」を感じると?』


 『舞華ちゃん、探偵さんみたいね!その通りよ!「瑠璃」って、あの子の「初恋の子」の名前なの。』

 オイオイ!

 急に俗ぽっいな?

 『つまりは猫に初恋の人の名前を付けたんだ?』

 『「瑠璃」って、私の亡くなった娘なの。
 もう随分昔の事だけど、「娘を亡くした私」と「母を亡くした緑郎ちゃん」がしばらく一緒に暮らした事が有って、その時に飼っていた猫にあの子が「瑠璃」って付けたんだけど、その猫も数年前に亡くなったの。』


 ソコまで聴くとちょっと切ないけど。


 『でも、何であんなに、「のらりんくらりん」してるのかな? …アレ?そう言えば、緑郎さん、士くんのお姉さんに気が有るみたいな事言ってなかったっけ?』


 

 

 『司郎くん、車の運転出来たんだね? 私より年上だったんだ。』
 
 カノンに三人乗るのは危ないと思われるので、キッチンカーに擬態した本体で向かう事にした。

 『アレ、ヒナさんは知らなかった?実は僕、「猫カフェの執事」以外にも「移動たこ焼き屋の店長」なんだよ。車ぐらい運転出来るよ。』

 『急いでくれ、「司郎」。嫌な予感しないから。』

 を同乗させているが、急いでいるので「秘密の地下ハイウェイ」を使い、マリンランドに近い場所まで超特急だ!

 『し、師匠⁉︎
 正に「正体を隠して町の平和を守るヒーロー」で有ります!』


 『内身にな!』

 地上出口は山王院所有の商業ビルの地下駐車場の「隠しゲート」⁉︎
 
 マリンランドは目と鼻の先、元々はマリンランドから帰るお客を狙った商業施設だから!

 (それも最近では客足が伸び悩み中らしい。)


 『二人ともコレ!関係者用フリーパスだ、司郎は念の為、外で待機だ! 目指すはプールサイドの特設ステージ!』

 

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