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一日署長 灯火andワラシ? 後で憶えてろよ!

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 小町の運転する車で「鶴亀署」に到着。

 『やぁ、お待ちしてましたよ、灯火ちゃんにワラシちゃん!』

 広報課の偉い人が出迎えてくれた。

 『えぇ!今日はよろしくお願いします!
 ワタクシ、マネージャーの「小町」です! 
 灯火ちゃんとは親類でして、
 また、ワラシちゃんの親御さんとはワタクシも「武道」を御教授して頂いた間柄でして!』

 『はぁ、成る程「家族同然」と言った所ですね。
 それにしても今回はご無理を言って本当に申し訳有りません。

 先に予定していた「タレント」が不祥事を起こしてしまい、この「イベント」そのモノを中止する流れでしたのに、そちらの「社長」から助け船を出して頂いて本当に助かりました!』

 『衣装などはコチラで用意したモノが数点あるので、趣旨にそぐわないか確認して頂けますか?』


 自分を無視して、話しを進める妹と担当者に苛立ちを感じるも、諦めて終始「お子様スマイル」で通す「十六夜 灯火」。

 今日は仕事が休みだったと言う小町をマネージャーに仕立て、普段から色々世話になっている「御仁」の為に泣く泣くアイドルの真似事をする事になった。


 『コチラの部屋をお使い下さい、ソレと身の周りのお世話とを担当する「婦警」を紹介します。』

 割り当てられた控室には既に、二人の婦警がいた。

 一人は小町と同じくらいに見えるがもう一人は…あれ?


 『初めまして!私「立花タチバナ  桜花オウカ」巡査です! ワラシちゃんが煽り運転の常習犯をやっつけた場所は私の管轄なんです!
 その節は、ありがとうございます!』

 何か生きのイイのが、ワラシに握手を求めてきたが、

 『立花巡査!そんなに大声では、お二人が驚かれるでしょ?

 部下が失礼しました。
 自分は「落合オチアイ  葉子ヨウコ」巡査部長。本日、お二人の警護はお任せください。』

 小町は兎も角、私らにそんなの必要ないがな。

 『よろしくお願いしま~す!婦警のお姉さん!』

 断腸の思いで、子供らしくする?

 『ん、お姉さん、よろしくお願い…しますん。』てれれ。


 『緊張してるワラシにゃん、可愛い~!』

 『立花!』

 いつもこんな感じなのか?

 
 『それでは、頼むよ!私は「本当の署長」にスケジュールの確認をしてくるから。』

 『はい、警部。』

 『では、後ほど「本当の署長」が挨拶に来ますので、「お着替え」を済ましておいて下さい。』



 今日は鶴亀駅前で「振り込み詐欺」や「バイク等での引ったくり」などお年寄りを狙った犯罪の抑止の為、
 チラシ配りと呼び掛けを「一日署長and副署長」が行う事となっており、
 他にも鶴亀公園の「交通広場」ではチビっ子達に「交通指導」の「着ぐるみ劇」を一緒に見ると言う「大イベント」が有るのだ!

 この「着ぐるみ劇」イベントにワラシのヤツが喰い付いたのが運の尽き?

 「なら、ワラシちゃんも参加で!」って事になり、急遽「ユニット」誕生だ!

 (爆誕はあと二人が揃ってからね。)

 コレを本当は某グラビアアイドルが一日署長として行う予定だったらしい。


 
 『ソレでは「お着替え」の時間ですよ!二人とも!』

 目に星を宿して、小町愚妹が叫ぶ、外に聞こえるだろう!

 ワラシは柔道着!

 と言う意見も有ったが、子供サイズの「婦警さん風の服」に「副署長」と書かれたタスキをかけて、

 立花巡査が目に星を宿してガン見している。

 灯火は何故かスカートでは無く、ホットパンツ着用になった?

 落合部長は特には…と思っていたがそうでもない?
 時々、灯火と小町を見ては何やら思案する感じだ?


 ちなみに「猫耳」と「尻尾」も着用済み?

 『お巡りさんなら、イヌじゃないの?』

 『「犬のお巡りさん」のキグルミと共演なの。演出上の都合だから。簡単な劇だから後で「台本」読んでおいてね!』

 『私らも出るのかよ!』

 『そこ、大事デス!』
 何故かワラシが力説する!

 『デカワンダー!早くお会いしたいです!』

 『はぁ?』







 舞華が待ち合わせのバス停に着くと既に士が来ていた。

 『あれ?士くんってば、早くない?』

 『舞華さんもね。』

 お互い顔を見合わせて、クスッと
笑ってしまう。

 『何か「大荷物」だね?お弁当?』
 
 のお弁当が入っている「ランチボックス」、コレが平均的な大きさなのか、と思う士。

 『張り切って作ったから楽しみにして下さい!自信作だから!』

 『あ、あぁ、頑張って食べるよ。』


 頑張れ~!


 目的地の「マリンランド」は電車なら乗り換えが有っても、二十分ほどで到着するけど、
 あえて1時間弱のバスでのんびり向かう事にした。
 
 鶴亀町の名所をぐるりと巡る様なコースで進むローカルなバスで車内から名所を見たり、お話ししたりとまったり時間を楽しみたいと舞華が言い出したら士も賛成した。

 日曜の電車では速く付けても混み合って落ち着かないかも?

 (ソレはソレで別のお楽しみが有るかもしれないけど?)


 『士くんも「ソレ」何かな?』

 『いらないって言ったんだけど、姉さんが泣いて頼むから、
持たされました。』

 「簡易緊急医療セット」

 舞華のランチボックスよりはひと回り小さいが「優れ物」らしい。

 『面白いお姉さんだね?
 一度お会いした方が良いかな?お父様と一緒に「森猫」にいらっしゃれば良いけど。』

 『姉さんも、そんな事言っていたよ。その時はお手柔らかにね。』

 『どう言う意味かな?』

 などと楽しく話していると『マリンランド』方面に向かうバスが来た。

 このバスは1時間に1本しかないので乗り損ない様にしないと。


 

 『皆んな~、揃ってるかな?』

 『リリと二葉と優斗とブッキーとみのりんとアカリン。お供に舞兄ぃとゆたかとまこっちゃんと変態メイドのお姉ちゃんと…誰なのだ?』

 『リリお嬢さまぁ~ん、ソレで酷くないですか~?それともご褒美的な?』
 
 『岬さんって、凄い美人なのに本当に残念なお姉さんだよね?

 あ、そうそう、リリ助、この子は「ミーコ」、ぼくと舞斗たちの「友達」!と・も・だ・ち!だから、ね!』
 
 『ゆたか、どうどう。
 リリはゆたかの味方だぞ。
 愛しさと悲しさと心苦しさが伝わってくるから落ちつくのだ?』
 

 『は、初めまして!「高橋タカハシ  美波ミナミ」と言いますっ!舞斗兄さんのクラスメイトですっ!
 今日は誘ってくれてくれてありがとうございます!』


 『わかったのだ!「おねいさん」が「ミーコ」だったのだな!
 リリは「リリ」なのだ!ヨロシクなの!』

 『ま、舞斗くん、この子リリちゃん、は、ハグしちゃダメかな?』

 『ご、御本人に聞きたまえよ?』


 いつも福祉部再建で、偶には息抜きも必要だろうと誘ってみた。

 こういう時は大体、舞華や華、時々灯火姉がいたのだが、今回は予定が合わずに女性は岬姉さんだけだと不安しかないので「女性の保護者」役として建前上誘った。

 彼女の前なら、岬姉さんの変態振りも抑えられると見込んだのも有るし、
 今回は「プール」に遊びに行く訳だから俺たち「男」には付いて行けない場所も有る。

 いくら、ゆたかや真琴が「女の子」に間違えられても侵入してはいけない「聖域」があるのだから!

 『ソレにしても遅いなぁ、二人共?』
 
 優斗がソワソワ心配そうにしている?
 コイツにしては珍しい光景だ?

 『優斗の「友達」、時間忘れたとか?俺はよく有るぞ?』

 『ウソでしょ。慰めてくれてありがとう、兄さん!』
 
 うん、ウソだ。俺の「体内時計」は電波時計並みだし。

 約束の時間に「戦略的理由」以外で遅れた事はない。



 タタタタ、ダダダダ!

 
 『優斗く~ん、ごめ~ん!』

 声のする方向を見ると一人の少年がもう一人の少年を走ってきた?

 『ヒガシィ~?遅いのだ!速くなのだ⁉︎』

 担がれてる少年は何故か「爆睡」してる様だ?

 『に、西川くん?寝てるの?』

 『東山くん、ジャスミン茶でよければどうぞ。』

 二人分の手荷物と自分と同じくらいの友達を運んでゼィゼィ言っているクラスメイトで、
 優等生の「東山ヒガシヤマ  勇気ユウキ」に二葉が冷えたハーブティー入りの水筒を渡す。

 『あ、ありがとう、二葉さん。』

 『ゲンちゃんは起きないのだぁ?』

 グゥスカ寝てる「西川サイカワ  元気ゲンキ」は、リリが揺さぶるも起きそうもない。


 授業中も偶に居眠りをしているケド?
 今日の「マリンランド行き」はめちゃくちゃ楽しみにしていたのに?

 
 『ゲンちゃんのお祖母さんが言うには今日の事が楽しみ過ぎて昨晩は眠れない様で今朝寝ついたらしくて?』

 『ゲンちゃんは、リリより「子供」なのだな!』

 リリがに嬉しそうに言うと、

 『アレ、もぅ朝か? アレ?優斗?リリ?勇気? …おはよう?』

 『はは!また随分と「大物」がいるな!』

 『あ!『おじさん、おはようございまーす!』…zzz。』

 『ゲン坊、裏切らないな?ホレ、起きれ!』

 子供道場に度々来ている元気に軽くゲンコツを喰らわす舞斗。

 『ふぁ~?あ、舞斗兄貴?おはよう~?』

 『置いていくぞ!』

 『ハイ!今起きました!』


 『気を付けて行って来なさい。お兄ちゃんとお姉さんの言う事良く聞いて、楽しんできな。
 岬、ヨロシクな?分かっているだろうが、「くれぐれもヨロシク」な?』

 『ハイ、かしこまりました。』





 『みんな、元気で良い子みたいね?私達もあんな感じだったかしら?』

 子供達の乗ったマイクロバスを見送る横で久美が思い出すかの様に話す。

 『よせやイ。オレはあんな可愛くないぞ?君はともかくな。』

 
 『子供達がほとんど居ないと、本当に静かな家よね?ここは。』

 『そっか?犬猫屋敷なのにか?』

 『あの子犬猫たちも子供たちが居ないと寂しくて大人しいのよ。知らなかった?』

 『さいですか。』

 ならば古本屋を開ける時間まで、嫁と犬猫たちとまったりするか。


 『そう言えば、今の中に舞華が居ない様だったけど?』

 『ソレはそうよ。だって、あの子舞華は今日「初デート」なんですから、ね!』


 『ふーん、デートね~? 舞華も大人になったもんだ
……?  デート?
 えっと、「初デート」ですと?』


 『あら、知らなかったの?舞華、「彼氏さん」がいるのよ?』


 『ソレは知っている。五道先生の息子さんだろ。前にウチに来た時、オレに質問した「賢そう」な子だ。 …デートか?』

 『陰から見守ります?「お父さん」?』

 『いや、舞華に嫌われるからしない…けど、う~ん?』

 暫く思案して、

 『華が「隠密メイド」に見張らせるとかないか?』

 『あら? パティちゃんがそんな事するかしら?』

 『ナゼにパティの名が出てくる?』
 
 『あ! …テヘペロ!』

 『してるのね。華か?』

 『両方かな?自主的に。』

 が、頑張れ、五道くん。
 
 



 

 バスの中、隣りの席に座っている舞華の顔、いつもと違う様でいつも通りの愛らしく優しい笑顔だ。

 時折香る「香り」が士を緊急させる?

 何を焦っている?

 この位の距離なら、姉さんで慣れているだろう?

 ん?この香りは「シャンプー」か? 姉とは違う香り…って、違う、違う!

 『ん?何かな?士くん、私の顔、変かな?』

 そう問われて、照れた様に俯く士?

 『い、いや。何かいつもと違うかなって。
 そ、それと、そのペンダント、良く似合ってるよ。』

 『ありがとう。へへ、テレるゼぃ。』

 『アメジストかな?紫色の雫の様で、普段の舞華さんとは違って見えるのはその所為かな?』

 うわぁ~!
 そう言う事、サラッと言うのね?士くんは!

 いや、私もそう言う事、初めて言われたかも?

 アレ?アレレ?

 大樹さんにも言われたっけ、


 花がどうこうと何か「キザな」事言われた時は、不思議と嫌な感じはしなかったけど、「ピン」とこなかったし?


 面白い事に言った士くん自身も目が合った途端に顔が紅くなっていた。

 『わ、私たち、まだ色々と「経験値」を上げないといけないかな?「慌てず、急がず、のんびりと。」で行きたいけど、待ってられない気もするし?』

 『ボクらのペースでいいんだよ、慌てても「大惨事」を招く気がするんだ?』

 『それ、なんとなくわかる。』

 お互いぎこちなく笑い、自分たちの「恋愛初心者振り」を再確認する。

 お兄ちゃん舞斗とも、お父さんとも、ましてやとも違う男の人、改めて意識すると、恥ずかしくなって来たよ?

 そもそも、何で私、と付き合う事にしたんだっけ?



 『舞華さん、今度はむずかしい顔してるけど?
 何か気に障ったんならゴメン。でも…?』

 『そっか!私も士くんの事、好きだったのか…な? あ、アレ?』

 思い付いた事をつい口に出してしまう事がこんなに「おバカ」な事だと思い知った瞬間でした。






 『俺ものこと、好きだから。』





 『…て、囁いておりますが、如何なさいましょうか?
 チョン切り増すか?   
イイデスカ?
 イイDeathよね!』

 『面白い展開なので、引き続き「監視見守り」をしてください。  …だ、そうです、お嬢様。』



 『ソレ、何処の少女漫画サイトかしら? 
 パティの「妄想」ではないの?
 例えば「綾乃さん脚色」の「なか○し」とか「り●ん」とかの読み切り作品みたいな?』

 『綾乃さんは「ゆりゆり」な作家さんでは?』


 移動中の車内で作家さんに失礼な発言が飛び交うのは、午前中に事業提携を予定している「大型リサイクル店」の代表と話しを詰めに行く華と秘書の悠佳里。

 専用通信機でパトリシアと連絡と取っている様だが、その内容の真偽は微妙の様だが、あの二人舞華と士なら有りなん?
 
 『パトリシアに難しいけど「客観的に見て」報告してほしいと伝えて。』

 彼女の「世界観」に偏りが有るのは恐らく「愛読書」の所為ね?

 華が今日の「仕事に関する資料」をタブレットで確認さていると、

 『お嬢様、実は午後のスケジュールですが急遽キャンセルになりました。』
 
 『あら、何故?』

 『イベントスポンサーに名乗りを挙げて頂いた飲料水メーカーでトラブルが有ったそうで、そちらの事態収束で担当が疲労で倒れたとか?
 此方は左程急ぎではないので、担当者の回復を待つと言う事にしました。』

 『それはお気の毒ね。何かお見舞いの品を送って差し上げて。』

 『はい、すでに。』

 『そう、さすが悠佳里さんね。       …で?』

 『ハイ、実はこの度、「マリンランド」に「猫と犬との触れ合い広場」を開催出来ないか?と打診が有りまして。』

 『火祭さんにお願いしていた件ね? …ソレで?』

 『時間が出来ましたし、予定場所の下見に行かれるのも火祭さんの士気も上がるかと?』


 『悠佳里さん!大好き!』

 『ぶにゃ~ん!』
 『ミャー!』
 『…。』


 『『えっ!』』


 座席の下から虎丸、メイ、美雪が仲良く現れて、驚いた悠佳里がハンドル操作をミスりそうになった?

 『お前たち、なんで車の中に?』

 華の足をよじ登り、ちょこんとひざの上に乗る美雪。

 『ニャニャン、ミャー!』
 
 無口な妹分に代わり、何か訴えているの足長マンチカン。

 『メイ、私はリリちゃんじゃないから何を言っているかは、わからないけど、美雪の為に何かしてくれたのは分かったわ。』

 初めて会った時より、大分育ったけどまだ平均ほど大きくない仔猫の美雪。

 良く食べ、良く遊び、姉の様なミコやノワールより育ってしまったメイ。

 羽柴ビルのセキュリティーを何無く掻い潜り、「森猫」を抜け出しては屋外に遊びに出て、ニャン -バロンと一緒に町内パトロールに励む「不思議猫」虎丸。

 『虎ちゃん、貴方が主犯ね?』

 『ぐるにゃふ!』

 猫も「ドヤ顔」するのね?

 さて、ここまで来て家に戻っては、約束の時間を過ぎてしまう。


 『お嬢様、車内は「予備電源」で空調が効きますが?』

 一般の車なら、車内に置き去りにすれば、この陽気の中で「熱中症」に成りかねない?

 と、普通の人は思うだろうし、いくら空調装置が使えても、車内に猫たちが取り残されているのを目撃したら?


 『連れていくわ。彼方に着いたら悠佳里さんは虎丸くんを抱っこしてね。
 私は美雪とメイを抱いていくから。
 多分、リサイクルショップだもの、この子たちが入れるバックが有るかも?』





 (この選択が後々、大きな幸運を呼ぶとは?)



 早速、先方が驚いていた。


 『猫カフェを営業されてるとは聞いていましたが、コチラの「猫さん」は営業担当の方ですか?』

 先方の「リサイクルショップ お宝倉庫」の社長さんが、気の利いた台詞で迎えてくれた。

 『あの「ペットキャリーバッグ」なんて有りますか?
 この子たち、いつの間にか車内に忍び込んでいて。』


 『ハハハ(⌒▽⌒)!
 有ります、有りますよ!』

 皆で笑い出していた。
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