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デート当日!わたし「乙女」ですけど?
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新しい朝が来た!
希望に満ちた爽やかな朝が!
遂に士くんとの「初デートの日」が来た!
前日「仕込み」を済ませた具材で、素早く「サンドイッチ」と「おにぎり」を作る私!
おにぎりは小さめに作る、
おっきな口開けて食べてるところは見られたくないからね。
その分、多めに用意するよ。
サンドイッチもおにぎりも士くんの好きな「具材」は調査済みなので完璧!
「ツナマヨ」と「明太子」と「鮭」。
コンビニおにぎりは、いつもその三つだって。
ウチのお米は新潟産、栞子さんの実家から送って貰った「魚沼産米」だから、水加減さえ間違わなければ美味い事間違いない!
サンドイッチはマスタードの効いた「ハムサンド」。
それ以外も作っておくね、念のために。
朝四時に起きて、お弁当作って、シャワー浴びて、既に選んであるお気に入りの淡い水色のワンピに着替えて、仏壇にお祈りして、
『いざ、出陣!』
『士はバス停に待っているのか? まだ七時だけど?』
『あ!お兄ちゃん、起きてたの?』
『俺も真琴と一緒に優斗や吹雪ちゃん達を遊びに引率するんだよ。なので岬姉にマイクロバスを用意してもらった。北代家に集合なんだわ。』
そ、それは良かった!
華ちゃんと優くんの時みたいに皆んな付いては来ないみたいで!
『舞華、お前、メイクとかしてるのか?何かいつもと違うぞ?』
『普段もナチュラルにしてるのですよ!「身嗜み」くらいにはね! 女の子なら当たり前です!』
『あ?そなの。華や二葉もやってることかな?』
何気にリリちゃんいないケド?
『もちろんデス!
特に二葉ちゃんは寝る前のスキンケアはお兄ちゃんの為だって言ってるよ、
「いつも可愛い私をお兄さまに見て欲しいデスの!」って。
今のは聴かなかった事にしなさい!』
「優斗は?ねぇ優斗はいいのか?」舞斗、心の声。
『それが恋する乙女と少女のポリシーなのだよ、お兄ちゃん!』
『お、おぅ!肝に銘じておくわ。』
『私、よりたい所が有るから、早いけど、もう行くね!』
『おぅ、デート頑張れ!』
『まかせろ!』
そんなこんなで私はウチを七時に出発した。
待ち合わせは9時半。
家から十分のバス停に!
『何だかな。』
『何それ、お父さんみたい。』
『おぅ華、おはよう。今日もキレイな髪だな?やっぱり、起きてから何かしてるのか?』
『ん? べつに。いつもと同じだけど。どうかしたの?』
突然「キレイ」とか言って?
もう驚かないから!
『お前も、「仕事」が無ければ皆んなでプールだったのにな?』
『あら舞斗、そんなに私の水着姿が見たかったのかしら?』
先制攻撃的な?
舞斗も一応、健全な男子高校生ですから、そんな事言われてちょっとは照れてくれると嬉しいのだけど?
『子供の頃のさ、…皆んなて区民プール行ったジャン?
あの時の「白い水着」は、…その、可愛かったんじゃないか?』
⁉︎
『ば、馬鹿! いつの話ししてるのよ!恥ずかしいでしょ!』
『サカってんな~。舞斗も男だもんなぁ~、若いっていいなぁ~、心の悪魔を信じるモンなぁ~?』
振り向けば小さいメイド、灯火がいる。
『そんなんじゃ無いやい!
灯火姉の分の朝メシなら、もう用意してあるから早く食って準備してくれ!』
キッチンに目を向ければ、無限なおにぎりとサンドイッチ?
『準備って、灯火も「マリンランド」に行くの? 一緒に?』
アレ、私たちの朝ご飯でもあるのね?
『仕事ですけど何か?』
心配しなくとも、全て自分が食べますから!不満ありません!
『仕事?』
舞華、こんなに作って!
作りすぎたか?
『舞華も浮かれてるなぁ~。って、仕事なんだ灯火姐さん?』
『ああ、「交通事故撲滅キャンペーン」の鶴亀署の一日署長だ!』
『アレ、今日だったかしら?』
『お嬢のテコ入れって聞いてますが?』
『アレレ、そうだったかしら?』
『華、酷くない?』
約束の時間までかなり有るのに家を出たのには理由があります。
『叔母様!おはようございます!』
私は開店前の「スピカ」にお邪魔した。
『ハイ、おはようございます、舞華ちゃん。出来てるから持って行ってね!』
『ハイありがとうございます、叔母様!』
念の為に「スピカ」の特製ベーグルサンドもお願いしていたの!
『あと、お茶も用意したからね。』
姪の初デートに何か協力したいと、お節介とは思いながら色々手を出してしまう新名叔母様。
『ありがとう、叔母様!
それでは行ってきます!
おっと、その前に!』
私はオモテに出る直前で、思い付いて振り返る!
『あら、忘れ物?』
優しく微笑みをくれる叔母へのお返しのつもりだった。
『しぃ君、カモーン!』
お店の中に突如発光体が現れて、何かの「カタチ」になっていく?
徐々に発光が収まるとそこには大っきなワンコがいた。
『へへー!どう叔母様、私の新しい…って、おばさ…ま?』
完全に光が収まる前に、その大型犬に抱きついて泣いてる叔母の姿を見て唖然としてしまった。
『お帰り、シグマ。』
喜んでくれるとは思っだけども、ココまでとは!
『あ、あの、叔母様?』
『あ、やだ!ごめんなさい、舞ちゃん。本当に嬉しいの、子供の頃はいつも私を「護って」くれたから。』
ウチの愛犬「アルファ号」のお爺さんで、お父さんが中学の頃に河川敷で保護して育てた犬種不明のミックス犬。
おそらくは川で溺れて、この辺まで流れてついたとお父さん達は推測してるけど、
当時、TVや映画の影響で「大型犬の子犬」が大人気で、
本来は広い場所で駆け回る様な牧羊犬や狩猟犬など購入する人が増えていたが、まだ「ドッグラン」なんて施設も無い頃で、ストレスから「遠吠え」する、暴れる、力が強くて扱い辛い等で、不法に山中に捨てる人が現れ、
野犬化して、被害が出るなど問題になった時期があったそうで、
シグマはそんな野犬の中で、特に大型犬同士から生まれた「ハイブリッド」ではと推測しているって。
「オオカミ」みたいでカッコいい!
と、お父さん達は大切に育てたし、野犬とは思えないくらいに人に懐いてたって!
特に子供たちの人気者で幼い頃の叔母様や蒼叔父、順叔父、翔太さんはよく公園にシグマと「探検」に出掛けていたって。
そっと、「ヘビーシグマ」から腕を離し、
『今度は舞華を護ってね。』って。
ヤダ、泣きそう。
メイク取れちゃう?
『叔母様、洗面所お借りします!』
『おはよう!我が弟よ!朝ご飯、用意したよ!』
朝から姉のテンションが高い、昨晩の所為だ。
時間を昨晩に戻す。
『たたいま!士ぁ~、いる~?』
『お帰り、姉さん。早かったね?
遅いって聞いてたけど、一応「晩御飯」の用意はしてあるから、食べる?』
『ありがとうー!何も無かったら、カップ麺にするところでしたよ。』
姉が「国立病院」を辞めて、鶴亀町に有る知人が運営する「町の小さな病院」に務める事になったのは、3年前になる。
「五道の家の者は医術を極めんとする。」
が、家訓らしいけど、
俺は医者になるつもりは無い。
姉は一応は内科専門のつもりだが、「国立病院」では「外科医」として幾つもの手術を任されてきたとか?
『ブラックな職場を、辞めて来たぜい!』
そう言って、この鶴亀町に越して来たんだ。
元々、この「マンション」は父が「別荘代わり」に使っていたのを姉が「生前贈与」と言う事で、無視り取ったらしい?
お陰で、度重なる「転校地獄」から脱出出来た。
『あ!ねぇ士、あの「チケット」明日まででしょ?
アゲといて何だけど、アレ姉さんと一緒に行く?
「工芸展」なんて「今時の男子高校生」は興味持たないでしょ?
義理で顔だけは出さないといけないかなって?
そうだ!帰りにお昼奢るから!』
『いや、舞華さんと行く事になってるから大丈夫。
何か姉さんに土産を買おうってさ。』
『え~!本当に?なんかお友達に気を使わせて、悪いかな?
…「マイカさん」って何?』
『ん? あぁ、「彼女」だけど。』
『誰の?』
『このオレの。』
『本当に! どんな子?』
『クラスは別だけど同級生で、優しくて素敵な人だけど、話して無かったかな?』
『無い、無い!知らない⁉︎
初耳よ!写メとか無いの!』
『皆んなで写したのなら?』
スマホを取り出し、見せると?
『分かった!この隣りにいる子でしょ!』
『ソレは男だよ。その隣り。』
『こ、この子?士ってソッチの趣味?』
『ソイツは舞華さんの「双子の兄」! まぁ、「親友」ってソイツは言ってるけど…。』
『そ、そう。あ!この子か!可愛い~じゃない! 確かにお兄さんと輪郭は似てるかな?』
『後輩にも慕われてる人気者さ。
そのウチ分かると思うから言っておくけど、「父さん」が入り浸ってる「猫カフェ」の店長でも有るんだ、舞華さんは。』
『え?「女子高生猫カフェ店長」? ラノベの「転生モノ」?』
『姉さん、そういうの知っているだ?意外かも?』
その後、晩の食事をしながら「舞華さん」について根掘り葉掘り聞かれた。
『なら、あの工芸展じゃ、地味でしょう?
アレ、最近治療した「ガラス職人」さんに頂いたチケットでね、自分の作品も展示してあるから是非って言われて、つい受け取ってしまったのよ。』
『姉さん、その人って「男性」?』
『うん、同年代。
あら?コレってそうゆー事だったのかしら?』
『かもよ? 姉さん、「仕事モード」の時は「美人」だし、前の病院辞めたのだって、外科部長に
言い寄られたのが原因の一つでしょう?』
『え⁉︎ 何で士がソレを!』
『叔母さんが「父さん」から聞いたって。
父さん、裏から手を回して無医村に飛ばすって言ってたらしいよ?』
『そ、そんなのはいいのよ!
今は士の事よ!』
何気にサラッと怖い事言ってましたよ?いいんですかね?
『店長さんなんでしょ?
父さんは知っているのかしら、この事?』
『オレから言う気は無いよ。
舞華さんから父さんに教えてしまうかも?
彼女、隠し事苦手そうだし?』
『今度の休みに「その猫カフェ」行ってもいいかな?』
『別に止めないけど?
舞華さんに迷惑かけなければ「オレ」は良いけど、
多分「父さん」がいると思うよ。』
『ソレも気になるの!
どんな顔して猫と戯れてるのかしらね!』
『何でも同世代のおじさんが集まって楽しくやってるみたいだよ?』
『え!あの父さんに「友達」が出来たの?』
この高級マンションに来てからのオレ達「家族」は多少、会話する様になった。
今、話題が「オレの彼女」から「猫カフェに通う父」に変わった、もっと茶化されると思っていたのでホッとした。
だけど、「猫カフェ」で父と過ごす⁉︎
想像出来ない?
『でも、コレで少し安心したわ!
士も父さんも「ボッチ」卒業ね!
母さんもビックリするわね!』
母はオレが幼い頃に各地を転々とする生活に体調を崩して、ソレでも無理して父を支え、オレ達を育てた。
ガンだと分かった時は手の付けようが無かったそうだ。
母が病魔に犯されてる事に気付けなかった父と口を聞かなくなってしばらくして姉が医者になった。
『あのさ、ツカサ?』
『ん?何?』
『明日休みなんだよね、でね?』
『ごめん、姉さん。
舞華さん、割と工芸展を楽しみにしてるみたいだからチケットは返せない。』
弟よ、彼女さんは「工芸展」が楽しみなのでは無く、「君とお出掛け」が楽しみなのよ!
『こっそり付いて行っても良い?』
『姉さん! 舞華さんはちゃんと姉さん達に紹介したいから、妙な事するのは止めてくれ。』
もしかして「未来の妹」的な?
『ごめん、ゴメン!嬉しくて、はしゃぎ過ぎました。
でも本当、その内、近い内に紹介してね!』
そして翌朝、
『ねぇ「お小遣い」足りてる?「緊急医療キット」とか持ってく? あ!何か有った時の「人口呼吸法」知ってる?』
『姉さん?何言ってるの?』
明るい人では、有るけどこんなに面白い反応を見せてくれるとは?
舞華さんに感謝かな?
『あれ? そう言えば「名前」は聞いたけど、「名字」は?
どんな字書くの?』
『今更? まぁ良いや。メモ有る?』
たまたま有ったコンビニのレシートの裏にたまたま有った赤のボールペンで
北代 舞華と
仮名まで振って、姉に見せた。
『キタ…シロ? どっかで聞いた名前ね? 北…代…?』
『遅れるといけないから、もう行くよ。
くれぐれも変な気を起こさないでくれよ!』
『ヘェ~?この子が「シグマのクローン」?』
蒼叔父様がしぃ君をモフしながら、懐かしがっている。
私がもらい泣きして、ナチュラルなメイクが崩れてしまったので、叔母様が改めてメイクをやり直してくださった!
『どう?以前亜由美から教わったの。』
『素敵です! ふむ、叔母様の「綺麗の秘密」一つ解明したかも?』
『何ソレ? あ!そうよ、舞ちゃん!』
叔母様は今身に付けていたペンダントを外すと私に付けてくれたの?
『叔母様、コレは?』
『私たちは「Tia drop」って呼んでるの。
元は兄さんが久美姉さんにプレゼントした物なの。』
『‥綺麗…ですね。「紫水晶」ですか?』
でも、父が母に送った物を叔母が?
『コレね、兄さんが河で見つかった原石から磨いて作った物なの。 それを「公式な初デート」でプレゼントしたんですって!』
『はぁ~?情報が濃すぎてよくわかりません?』
『姉さんがね、私と蒼くんの初デートの時に貸してくれたの!
返そうとしたら
「次は貴女の妹か娘に引き継いで。」って。
愛夢はまだ先みたいだし、ココちゃんは翔太くんがあの調子だし、先に舞ちゃんに渡しておくわね、
「初デートのお守り」みたいなモノだから、付けていって。』
『それなら、しばらくお預かりしてます。』
『初デート、楽しんできてね!』
舞華はレベルが上がった!
装備「Tia drop」で更にレベルが上がった。
私、無敵かも?
希望に満ちた爽やかな朝が!
遂に士くんとの「初デートの日」が来た!
前日「仕込み」を済ませた具材で、素早く「サンドイッチ」と「おにぎり」を作る私!
おにぎりは小さめに作る、
おっきな口開けて食べてるところは見られたくないからね。
その分、多めに用意するよ。
サンドイッチもおにぎりも士くんの好きな「具材」は調査済みなので完璧!
「ツナマヨ」と「明太子」と「鮭」。
コンビニおにぎりは、いつもその三つだって。
ウチのお米は新潟産、栞子さんの実家から送って貰った「魚沼産米」だから、水加減さえ間違わなければ美味い事間違いない!
サンドイッチはマスタードの効いた「ハムサンド」。
それ以外も作っておくね、念のために。
朝四時に起きて、お弁当作って、シャワー浴びて、既に選んであるお気に入りの淡い水色のワンピに着替えて、仏壇にお祈りして、
『いざ、出陣!』
『士はバス停に待っているのか? まだ七時だけど?』
『あ!お兄ちゃん、起きてたの?』
『俺も真琴と一緒に優斗や吹雪ちゃん達を遊びに引率するんだよ。なので岬姉にマイクロバスを用意してもらった。北代家に集合なんだわ。』
そ、それは良かった!
華ちゃんと優くんの時みたいに皆んな付いては来ないみたいで!
『舞華、お前、メイクとかしてるのか?何かいつもと違うぞ?』
『普段もナチュラルにしてるのですよ!「身嗜み」くらいにはね! 女の子なら当たり前です!』
『あ?そなの。華や二葉もやってることかな?』
何気にリリちゃんいないケド?
『もちろんデス!
特に二葉ちゃんは寝る前のスキンケアはお兄ちゃんの為だって言ってるよ、
「いつも可愛い私をお兄さまに見て欲しいデスの!」って。
今のは聴かなかった事にしなさい!』
「優斗は?ねぇ優斗はいいのか?」舞斗、心の声。
『それが恋する乙女と少女のポリシーなのだよ、お兄ちゃん!』
『お、おぅ!肝に銘じておくわ。』
『私、よりたい所が有るから、早いけど、もう行くね!』
『おぅ、デート頑張れ!』
『まかせろ!』
そんなこんなで私はウチを七時に出発した。
待ち合わせは9時半。
家から十分のバス停に!
『何だかな。』
『何それ、お父さんみたい。』
『おぅ華、おはよう。今日もキレイな髪だな?やっぱり、起きてから何かしてるのか?』
『ん? べつに。いつもと同じだけど。どうかしたの?』
突然「キレイ」とか言って?
もう驚かないから!
『お前も、「仕事」が無ければ皆んなでプールだったのにな?』
『あら舞斗、そんなに私の水着姿が見たかったのかしら?』
先制攻撃的な?
舞斗も一応、健全な男子高校生ですから、そんな事言われてちょっとは照れてくれると嬉しいのだけど?
『子供の頃のさ、…皆んなて区民プール行ったジャン?
あの時の「白い水着」は、…その、可愛かったんじゃないか?』
⁉︎
『ば、馬鹿! いつの話ししてるのよ!恥ずかしいでしょ!』
『サカってんな~。舞斗も男だもんなぁ~、若いっていいなぁ~、心の悪魔を信じるモンなぁ~?』
振り向けば小さいメイド、灯火がいる。
『そんなんじゃ無いやい!
灯火姉の分の朝メシなら、もう用意してあるから早く食って準備してくれ!』
キッチンに目を向ければ、無限なおにぎりとサンドイッチ?
『準備って、灯火も「マリンランド」に行くの? 一緒に?』
アレ、私たちの朝ご飯でもあるのね?
『仕事ですけど何か?』
心配しなくとも、全て自分が食べますから!不満ありません!
『仕事?』
舞華、こんなに作って!
作りすぎたか?
『舞華も浮かれてるなぁ~。って、仕事なんだ灯火姐さん?』
『ああ、「交通事故撲滅キャンペーン」の鶴亀署の一日署長だ!』
『アレ、今日だったかしら?』
『お嬢のテコ入れって聞いてますが?』
『アレレ、そうだったかしら?』
『華、酷くない?』
約束の時間までかなり有るのに家を出たのには理由があります。
『叔母様!おはようございます!』
私は開店前の「スピカ」にお邪魔した。
『ハイ、おはようございます、舞華ちゃん。出来てるから持って行ってね!』
『ハイありがとうございます、叔母様!』
念の為に「スピカ」の特製ベーグルサンドもお願いしていたの!
『あと、お茶も用意したからね。』
姪の初デートに何か協力したいと、お節介とは思いながら色々手を出してしまう新名叔母様。
『ありがとう、叔母様!
それでは行ってきます!
おっと、その前に!』
私はオモテに出る直前で、思い付いて振り返る!
『あら、忘れ物?』
優しく微笑みをくれる叔母へのお返しのつもりだった。
『しぃ君、カモーン!』
お店の中に突如発光体が現れて、何かの「カタチ」になっていく?
徐々に発光が収まるとそこには大っきなワンコがいた。
『へへー!どう叔母様、私の新しい…って、おばさ…ま?』
完全に光が収まる前に、その大型犬に抱きついて泣いてる叔母の姿を見て唖然としてしまった。
『お帰り、シグマ。』
喜んでくれるとは思っだけども、ココまでとは!
『あ、あの、叔母様?』
『あ、やだ!ごめんなさい、舞ちゃん。本当に嬉しいの、子供の頃はいつも私を「護って」くれたから。』
ウチの愛犬「アルファ号」のお爺さんで、お父さんが中学の頃に河川敷で保護して育てた犬種不明のミックス犬。
おそらくは川で溺れて、この辺まで流れてついたとお父さん達は推測してるけど、
当時、TVや映画の影響で「大型犬の子犬」が大人気で、
本来は広い場所で駆け回る様な牧羊犬や狩猟犬など購入する人が増えていたが、まだ「ドッグラン」なんて施設も無い頃で、ストレスから「遠吠え」する、暴れる、力が強くて扱い辛い等で、不法に山中に捨てる人が現れ、
野犬化して、被害が出るなど問題になった時期があったそうで、
シグマはそんな野犬の中で、特に大型犬同士から生まれた「ハイブリッド」ではと推測しているって。
「オオカミ」みたいでカッコいい!
と、お父さん達は大切に育てたし、野犬とは思えないくらいに人に懐いてたって!
特に子供たちの人気者で幼い頃の叔母様や蒼叔父、順叔父、翔太さんはよく公園にシグマと「探検」に出掛けていたって。
そっと、「ヘビーシグマ」から腕を離し、
『今度は舞華を護ってね。』って。
ヤダ、泣きそう。
メイク取れちゃう?
『叔母様、洗面所お借りします!』
『おはよう!我が弟よ!朝ご飯、用意したよ!』
朝から姉のテンションが高い、昨晩の所為だ。
時間を昨晩に戻す。
『たたいま!士ぁ~、いる~?』
『お帰り、姉さん。早かったね?
遅いって聞いてたけど、一応「晩御飯」の用意はしてあるから、食べる?』
『ありがとうー!何も無かったら、カップ麺にするところでしたよ。』
姉が「国立病院」を辞めて、鶴亀町に有る知人が運営する「町の小さな病院」に務める事になったのは、3年前になる。
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俺は医者になるつもりは無い。
姉は一応は内科専門のつもりだが、「国立病院」では「外科医」として幾つもの手術を任されてきたとか?
『ブラックな職場を、辞めて来たぜい!』
そう言って、この鶴亀町に越して来たんだ。
元々、この「マンション」は父が「別荘代わり」に使っていたのを姉が「生前贈与」と言う事で、無視り取ったらしい?
お陰で、度重なる「転校地獄」から脱出出来た。
『あ!ねぇ士、あの「チケット」明日まででしょ?
アゲといて何だけど、アレ姉さんと一緒に行く?
「工芸展」なんて「今時の男子高校生」は興味持たないでしょ?
義理で顔だけは出さないといけないかなって?
そうだ!帰りにお昼奢るから!』
『いや、舞華さんと行く事になってるから大丈夫。
何か姉さんに土産を買おうってさ。』
『え~!本当に?なんかお友達に気を使わせて、悪いかな?
…「マイカさん」って何?』
『ん? あぁ、「彼女」だけど。』
『誰の?』
『このオレの。』
『本当に! どんな子?』
『クラスは別だけど同級生で、優しくて素敵な人だけど、話して無かったかな?』
『無い、無い!知らない⁉︎
初耳よ!写メとか無いの!』
『皆んなで写したのなら?』
スマホを取り出し、見せると?
『分かった!この隣りにいる子でしょ!』
『ソレは男だよ。その隣り。』
『こ、この子?士ってソッチの趣味?』
『ソイツは舞華さんの「双子の兄」! まぁ、「親友」ってソイツは言ってるけど…。』
『そ、そう。あ!この子か!可愛い~じゃない! 確かにお兄さんと輪郭は似てるかな?』
『後輩にも慕われてる人気者さ。
そのウチ分かると思うから言っておくけど、「父さん」が入り浸ってる「猫カフェ」の店長でも有るんだ、舞華さんは。』
『え?「女子高生猫カフェ店長」? ラノベの「転生モノ」?』
『姉さん、そういうの知っているだ?意外かも?』
その後、晩の食事をしながら「舞華さん」について根掘り葉掘り聞かれた。
『なら、あの工芸展じゃ、地味でしょう?
アレ、最近治療した「ガラス職人」さんに頂いたチケットでね、自分の作品も展示してあるから是非って言われて、つい受け取ってしまったのよ。』
『姉さん、その人って「男性」?』
『うん、同年代。
あら?コレってそうゆー事だったのかしら?』
『かもよ? 姉さん、「仕事モード」の時は「美人」だし、前の病院辞めたのだって、外科部長に
言い寄られたのが原因の一つでしょう?』
『え⁉︎ 何で士がソレを!』
『叔母さんが「父さん」から聞いたって。
父さん、裏から手を回して無医村に飛ばすって言ってたらしいよ?』
『そ、そんなのはいいのよ!
今は士の事よ!』
何気にサラッと怖い事言ってましたよ?いいんですかね?
『店長さんなんでしょ?
父さんは知っているのかしら、この事?』
『オレから言う気は無いよ。
舞華さんから父さんに教えてしまうかも?
彼女、隠し事苦手そうだし?』
『今度の休みに「その猫カフェ」行ってもいいかな?』
『別に止めないけど?
舞華さんに迷惑かけなければ「オレ」は良いけど、
多分「父さん」がいると思うよ。』
『ソレも気になるの!
どんな顔して猫と戯れてるのかしらね!』
『何でも同世代のおじさんが集まって楽しくやってるみたいだよ?』
『え!あの父さんに「友達」が出来たの?』
この高級マンションに来てからのオレ達「家族」は多少、会話する様になった。
今、話題が「オレの彼女」から「猫カフェに通う父」に変わった、もっと茶化されると思っていたのでホッとした。
だけど、「猫カフェ」で父と過ごす⁉︎
想像出来ない?
『でも、コレで少し安心したわ!
士も父さんも「ボッチ」卒業ね!
母さんもビックリするわね!』
母はオレが幼い頃に各地を転々とする生活に体調を崩して、ソレでも無理して父を支え、オレ達を育てた。
ガンだと分かった時は手の付けようが無かったそうだ。
母が病魔に犯されてる事に気付けなかった父と口を聞かなくなってしばらくして姉が医者になった。
『あのさ、ツカサ?』
『ん?何?』
『明日休みなんだよね、でね?』
『ごめん、姉さん。
舞華さん、割と工芸展を楽しみにしてるみたいだからチケットは返せない。』
弟よ、彼女さんは「工芸展」が楽しみなのでは無く、「君とお出掛け」が楽しみなのよ!
『こっそり付いて行っても良い?』
『姉さん! 舞華さんはちゃんと姉さん達に紹介したいから、妙な事するのは止めてくれ。』
もしかして「未来の妹」的な?
『ごめん、ゴメン!嬉しくて、はしゃぎ過ぎました。
でも本当、その内、近い内に紹介してね!』
そして翌朝、
『ねぇ「お小遣い」足りてる?「緊急医療キット」とか持ってく? あ!何か有った時の「人口呼吸法」知ってる?』
『姉さん?何言ってるの?』
明るい人では、有るけどこんなに面白い反応を見せてくれるとは?
舞華さんに感謝かな?
『あれ? そう言えば「名前」は聞いたけど、「名字」は?
どんな字書くの?』
『今更? まぁ良いや。メモ有る?』
たまたま有ったコンビニのレシートの裏にたまたま有った赤のボールペンで
北代 舞華と
仮名まで振って、姉に見せた。
『キタ…シロ? どっかで聞いた名前ね? 北…代…?』
『遅れるといけないから、もう行くよ。
くれぐれも変な気を起こさないでくれよ!』
『ヘェ~?この子が「シグマのクローン」?』
蒼叔父様がしぃ君をモフしながら、懐かしがっている。
私がもらい泣きして、ナチュラルなメイクが崩れてしまったので、叔母様が改めてメイクをやり直してくださった!
『どう?以前亜由美から教わったの。』
『素敵です! ふむ、叔母様の「綺麗の秘密」一つ解明したかも?』
『何ソレ? あ!そうよ、舞ちゃん!』
叔母様は今身に付けていたペンダントを外すと私に付けてくれたの?
『叔母様、コレは?』
『私たちは「Tia drop」って呼んでるの。
元は兄さんが久美姉さんにプレゼントした物なの。』
『‥綺麗…ですね。「紫水晶」ですか?』
でも、父が母に送った物を叔母が?
『コレね、兄さんが河で見つかった原石から磨いて作った物なの。 それを「公式な初デート」でプレゼントしたんですって!』
『はぁ~?情報が濃すぎてよくわかりません?』
『姉さんがね、私と蒼くんの初デートの時に貸してくれたの!
返そうとしたら
「次は貴女の妹か娘に引き継いで。」って。
愛夢はまだ先みたいだし、ココちゃんは翔太くんがあの調子だし、先に舞ちゃんに渡しておくわね、
「初デートのお守り」みたいなモノだから、付けていって。』
『それなら、しばらくお預かりしてます。』
『初デート、楽しんできてね!』
舞華はレベルが上がった!
装備「Tia drop」で更にレベルが上がった。
私、無敵かも?
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俺たちの知らないところで、暗躍するウチのオヤジと華の実家のメイドさんたち?
そろそろ、面倒ごとはどっかにポイっしたいぜ!
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