上 下
2 / 48

猫ソムリエの憂鬱〜子猫のままでもいいんだよ。

しおりを挟む
 最近、妹が店長を勤めている「猫カフェ 森の猫さま」の仕事を手伝う事が有る。

 物心ついた時には周りは猫ダラケ、猫に育てられ、猫と共に育ち、猫を育てた。

 犬も居たしな?

 兎に角、感覚的に猫とか犬の事をわかっている俺は猫カフェには便利に使われるお兄さんなのだ?


 『もう、なんで噛む、メイ?甘噛みはオレだけな。チビ達は嚙んじゃ駄目だからな!』
 『ミコ、もっと食べて大っきくなれ。』
 『美雪、もうすぐ華帰ってくるからな~。』
 『ノワール、ショットガンをイジメないの。』
 『虎丸!お前は、また脱走お出掛けか?』
 『ニタ、ジィちゃんの膝の上で「しっこ」したら駄目だろ!』


 家で以上の事に気を揉んでいる俺を外でも、猫尽しにするつもりらしい双子の妹と幼馴染。

 最近では親友や親戚の子も同猫カフェでバイトを始めるから、「公私のケジメ」が難しい。

 ついつい、「」と言うか「」が出てしまう。


 『真琴、余りしつこいお客は客じゃないから退室願え!ここは「猫カフェ」だ!「ホストクラブ」じゃねぇ!』

 『サイカ、入り口前でチラシ配ってくれ。そ!譲渡会のお知らせのな。』
 『足立くん、コスのスカートの丈、短くないか?「再現率」? 「見せパン」? ココは健全な猫カフェですっ! お兄さんは許しませんよ!』
 『ゆたか!シニアの常連にブランケット、持っていてくれ!
そろそろ腰が冷えるとか言って来るから。』

 『父さん、一緒に昼メシ食べないか? 
 順叔父が新しいスパイス仕入れて、ソレで蒼叔父が「新作カレーピラフ」作ったってさ。』





 ハァハァ

 『忙しそうだな?番頭さん。』

 『誰か番頭だ! せめて「執事」と言え!』

 珍しくクラスメイトの「川原田カワハラダ  真壱郎シンイチロウ」が「森猫」が来店している。

 以前から何かと「試合」を申し込まれている。

 「空手」と言うか、「格闘技」の「死合」の真似事を。


 コイツは俺が一文字さんちの「道場」の門下だと知って挑戦してくるのだ。

 まぁ、受けないけどな。

 俺、割とコイツの事、気に入っているし。

 だから不真面目な事はしたく無い。ヤルなら本気で!

 だと、コイツ死んで仕舞うかも?

 だから試合せん。

 せめて一文字の門下にでも成れば…

 無理だったらしい。


 それ以来、よくココに来る様になった。

 もっとも、最初は殺気を放っていたので、子猫は近づいてこないし、虎丸に威嚇されるし、ビックフットからは「押し出し」を食らっていた。

 ソレにしてもコイツといい、アイツといい、舞華も大変だなぁ?

 まぁ、振られた奴らが売り上げに貢献してくれるんだから文句なしだけどさ。



 『北代はバイト代、いくら貰ってるんだ?』

 『家の手伝いに金貰えるか!』

 『真面目か!』

 『仕事は真面目にやらないでどうする?』

 『更に真面目か!』

 俺に話し掛けてくるのが

 ウザい。

 
 『何、川原田くん?まさかバイトしたいの?ココで?』

 
 『あ!舞華ちゃん‼︎ いや、そう言う事じゃなくてね。』

 店長の舞華の登場に若干のキョドり具合が
 川原田の気持ちがバレる。


 そうだ、コイツは、

 舞華に告ってフラれたクチだ!

 最近、舞華が士と「健全な交際」を始めたので落ち込んでいたのに?

 ココに来て傷口に「タイガーバーム」塗りたくってるようなもんだよな?


 ある意味、強いな? いや、Mなのか?

 『なぁココのネコって、「売り物」なのか?』

 『死にたいのか?』

 『何でそうなる?』

 『幸せにしてくれるなら「プライスレス」だ!
 だから売りモンじゃね! 
 これは売り文句だ!買うか?』

 『お前のテンションについていけねーよ。』
 

 『何だ?猫に興味でも?』

 『さっき、ビルの入り口でビラ配りしてた子、可愛かったなぁ。
 舞華ちゃんは綺麗さっぱり諦めて帰りにあの子をナンパするかな?』


 『よし、殲滅確定だ!辞世の句を読め!』

 『何だよ!今度は?あの子はいいだろ!』

 『血族再従姉妹だ!』

 『…何か理不尽だよな、お前の周りには何でそんなに「可愛い子」が多いんだよ!お前、妹も可愛いだろ!』

 『羨ましいなら産まれ変わるしか無い。もしくは世界の何処かに貴様を待っている人を探し出せ!』


 『うるさいよ!君たちは?』

 『ニャー!』

 『ほれ、川原田の所為で、「ゆたか」と「メイ」に怒られたでは無いか!もう 一度「ニャンコの涼しいオヤツ」をたのんだら今日はもう帰れ?』

 『もういい!…あのお嬢さん、「ゆたかサン」とおっしゃるのですか?良ければお仕事が終わったら、下の喫茶店でお茶でも!』

 『あの、ごめんなさい!お気持ちは嬉しいけど、ボク「男の子」なんです。』

 『…この際、そんな事は些細な事です!君は女の子より可愛いー!良ければ本当に、』

 『え?(〃ω〃)ぽっ。』

 『川原田くん、いい加減にしないと「出禁」にするか、「蟹漁船」に売り飛ばすわよ! あとゆたかも喜ばないの!』

 『ま、舞華ちゃん、怖いよ!  って、あの子、本当に「男の子」? やっぱり理不尽だ!』

 

 イベント以降、「山代」の生徒もよく来店してくれる様になったが、時々今みたいな「愚か者」がいる?

 『ボク、まだそんなに「女の子」っぽいかな?
 もう「女の子の服女子高制服」とか着てないのに?』

 『ゆたかは「そのまま私の弟」のゆたかでいいの!』

 『みんな、仕事しようぜ!』

 『『お前もな!』』


 さて一般のお客様がクスクス笑かした所で「猫カフェ」の通常営業をせんと!

 
 通常はお客さまが猫とコミュニケーションを楽しむお店なんだけど、

 どうもほとんどのお客様は「推しの店員」がいるみたいで、ソッチと話すのが楽しいみたいな部分も有る様だ。

 確かに、店員のナビゲーションで猫と仲良くなれる事も有るけど。

 次回からは自力でお願いしたいところです。

 
 『あの~店員さん、ちょと宜しいかしら?』

 『ハイ、何かございましたか?』

 『ここの猫ちゃんは抱っこしても構わないのかしら?』

 『原則、お客様から抱き上げるのはご遠慮下さい。抱っこを嫌がる猫もいますので。
 でも無理矢理でなければ構いません、猫の方から膝に乗って来たり、抱っこが好きな猫もいますから。』

 品の良いおばあちゃんが、お一人で初来店のご様子?

 『お仕事中にごめんなさいね、お友達にココの事を聞いて来て見たの。』

 『構いません、の仕事はお客様と猫達が楽しい時間を過ごせる様務めさせて頂く事ですから。』

 こんな感じだっけ?九院さんの喋り方って?

 自分がやっといて胡散臭いなぁ?

 
 『貴方、もしかして「マイトちゃん」かしら?叔母さんの事、覚えていないかしら? …いないわよね?貴方はまだ、「よちよち歩き」の頃だから。
 その時はおっきなワンちゃんがいつも貴方の側にいたのよ。
 確か名前は…』

 『『シグマ。』ですね。』

 『申し訳ありません、お客様の事は覚えていないのですが、幼い頃「シグマ」が側に居たのは薄ら覚えています。もう十四~五年前ですので。』

 ソレに「シグマ」はもう居ない。父母の話しでは二十四~五年生きていたらしい。
 人間に換算すると軽く百五十歳越えるらしい? 
 十年で七~八十歳、二十年で百四~五十歳らしい。

 『失礼ですが、祖母のお知り合いの方でしょうか? 残念ですが既に祖母が他界しているので確認出来なくて。』

 『まぁ!ごめんなさい、辛いお話しよね?
 ごめんなさいね、「お友達」と言うのは商店街のお花屋さんの事なの。』

 二葉たちの友達、実里ちゃんの家だろうか?他にも花屋有るし?


 『でもね、貴方が小さい頃に、よくお祖母様とご一緒に河川敷へお散歩に来ていたでしょ?
 
 私も河川敷でお散歩するのが好きで、その時にベンチでお互いに休憩していた時に「お話し」していたのよ。
 小さな貴方はワンちゃんの背に乗って「お馬さんゴッコ」していて、ご兄妹かしら?
 女の子も一緒の時も有ってね。とっても楽しい時間だったの。
 そう、お亡くなりになっていたのね、ならもうすぐ「アチラ」で逢えるかしらね?』

 『おそらく、シグマが祖母の側に居ますからアイツが引き合してくれますよ。
 なので、お急ぎにならなくてもよろしいかと。』

 『まぁ。それは素敵ね。』





 『ま、舞斗先輩が御高齢のご婦人を口説いてるっス!』

 『マミちゃん、言い方!あれは接客だからね!…でも良い雰囲気ね? ね?舞華ちゃん?』

 『あれ?あのおばあちゃん、何か見覚えのあるかも?』

 『ん?あのおばあちゃんなら「若狭」さんのおばあちゃんだね。マンションとか貸ビルとか息子さんが引き継いで経営してる大金持ちさんよ。
 以前、お父さんに「秘書さん」が依頼に来たこと有るから知ってるよ。』

 『『さすが、名探偵助手』っス!』


 『私は「猫探し名探偵」の舞華パパの方の助手になりたいの!』





 『そう、あのワンちゃんも「天国」に…ごめんなさいね、辛い事ばかり思い出させて。 今日はもうおいとましょうかしら。』

 コレはいけない、舞斗は誰気付かれる事無く、指を鳴らす。

 『いえ、ごゆっくりなさって下さい。ソレにお客様の膝に乗りたくて待っている仔猫がそこにいるので。』

 その言葉を待ってたかの様にアメショの子がご婦人の膝上にダイブする!

 ミコだ!

 『ミャーん!』

 『まぁ可愛い!』

 今日は我が家の猫たちも「ご出勤」されてる。

 以前同様、「新人」の猫たちに人間と遊んだり、甘えたりする「コミニュケーション」のやり方をレクチャーする「先輩猫」として来てもらっている。

 ココも開店してから猫たちも随分と「里子」に行ったモノだから、「シェルター」からの増援猫たちを受け入れた。


 舞華が猫カフェを始めた理由の一つは「保護猫」を含め、可哀そうな猫を少しでも減らしたかったから。

 偽善者だと罵しる保護団体もいたらしい。

 中には思う様に改善されない現状に「病んで」いる団体代表がいたり、

 まぁ、ソレはそれとして、
自分達のやり方で頑張れと親父殿に励まされている。

 成る程、舞華のヤツはあの時の事も含めてココを始めたのか。

 



 ご婦人の膝の上でウトウト始めるミコ、目を閉じて静かにミコの背を撫でるご婦人。

 
 『足立くん、後であの人に「ウェルカムティー」お出ししてくれ。』

 『任せるっス』と返事するも、

 『エレガントにな。』と注文する舞斗パイセン。

 『かしこまりましたわ。フフフっス。』

 



 最近、「森の猫さま」にやって来た「新入り猫」はコチラの取り組みに賛同して頂いてる保護団体から三匹、ペットショップで「他店へ移動殺処分」が決まりかけた二匹。

 あと、我が家の庭に住み着き出した元野良猫の一匹。

 欲を言えば、もう少しヒトになれさせてからカフェデビューさせたかった。

 なので、ミコメイコンビのご出勤なのだ。

 ただ最近、「虎丸」が「メイ」に「気が有る」んじゃない?疑惑が持ち上がり、親父殿が心配している。

 『だから、虎丸と腹を割って話し合いをした。』

 ウチの父は何を言っているの?




 あのご婦人が帰る際に、

 「保護猫活動募金」のアクリル板のボックスに「一万円札」を入れて帰られた!

 次回御来店の時は年間パスポートをおススメしてな!




 
 『舞斗、ありがとう。いくら適役とはいえ、こんなに頻繁に手伝ってくれて。 勉強会は平気なの?』

 
 『心配しなさんな!何と俺、今回、「追試無し」だったし、ちょい余裕有る。 みたいな?』

 
 兄と親友がイイ感じな雰囲気で話している。

 まるでウチの両親の様?

 
 『…なんて思ってるでしょ?
 舞華も五道くんと親密度を上げれば?』

 華のヤツが舞華を揶揄う。

 最近、よく有る光景だ。

 
 『うー!華ちゃん余裕有りなお言葉、いたみいります…!

 華ちゃん、男子との距離感が分かりません!アドバイスを!』


 『え⁉︎  そ、それは私にも分かりません! 舞斗との事ぐらいしか「男子として」意識した事無いし、舞斗は単純だし、鈍感だし、馬鹿だし、云々…。』

 スタッフルームで「」の華と舞華が戯れている。

 足立くんが観たらキュン死モノだな?

 俺の親友と付き合い出したオレの双子の妹は、

 学園に「親衛隊」が存在する程、人気が有る。

 華とコンビで学園カーストを牛耳っていると言っても差し支え無い。

 そんな妹に告白して、付き合い始めた親友は一度も「森猫」に来た事が無い。

 コレには、彼なりの「事情」が有る。

 「森猫」には頻繁に彼の父が来店しているから。

 「闇医者」とあだ名されている、「超天才外科医」(ちゃんとしたお医者だお!)

 「五道ゴドウ  鏡士キョウジ」は「森猫」の常連だ。

 そんな父と顔を合わせたく無いらしい。

 ツカサの親子仲は最悪らしい。

 間を取り持つ「お姉さん長女」の気苦労に同情する。

 ウチはメチャクチャだけど家族仲は良い。


 将来的に士と「義兄弟」に成るかもだし、

 …そういえば、五道先生は舞華と士が付き合い始めたの、知っているのか?

 コレ、きっかけで家族仲を修復出来ないかな?


 ふと、シニアな常連たちが集まっている方を見る。

 最近は権藤さんの来店が、
週七だったのが週五に減ったり、

 三条先生は時々、事務所の方が探しに来ては「一時帰宅」されて要件が済めば「再来店」される。

 五道先生は相変わらず、毎日来ているがそれこそ「フルタイム」の日も有れば、ふらっと来たかと思えば三十分程で帰られたりと、毎回同じでは無い。

 医者という事と士のお父さんだという事しか分からない、普段何をしているのか、よくわからない人なのだ。

 『教えとくか?アイツらが付き合い始めた事?』

 ずんぐりおっきい鯖虎猫と睨めっこしているスーパードクターに、息子さんとウチの店長が付き合ってますよって教えたら…

 喜ぶ? 反対する?

 『やめとこ。』

 それで士と不仲になったら、舞華との「交際」も早くも終わったりしてしまうかも?


 成り行きに任せてよう!

 アレ?ウチの親父サマは舞華に彼氏が出来た事はご存じかしらん?


 『士は将来、オレの弟になるかもだし?今、俺が何かして遺恨を残すのは止めよう!』

 弟? ツカサが弟?

 『ヤバっ!泣きそうだ!』






 『おう舞斗!丁度「新作 soy meetたこ焼き」が完成した所だ、試食してけよ!』

 約束の時間までカフェを手伝って、さて帰るかと副店長の華に声をかけた。

 『お疲れ様、舞斗。
 ハイ、これ今日の「日当」。無駄遣いしないでね。』

 
 君はオレの「お母さん」かな?

 要らんと返したが、

 『只働きは他の人の手前マズいから。ビックリするほどは入れてないから安心して。』

 だそうだ。

 そっか。

 なら、ジィちゃんや弟たちにたこ焼きでも土産に買って帰るか。

 
 『タツ兄、たこ焼き十人前、よろし…ん、優? ん?』

 『あ!兄さん!森猫はもういいの?』

 『この子、お前の、いや、舞華ちゃんの弟なのか?』

 『そこ、言い直す必要有ったか?』
 

 何故か、たこ焼き屋の屋台の前で、

 弟の優斗と馬鹿川原田がいた。


 『弟も可愛いとか、お前、前前前世でどんだけ善行したんだよ!
 
 国を救ったとか、ラノベか⁉︎』

 『優斗、コッチおいで!
 お姉ちゃんに振られた腹いせに、お前に「性的な悪戯」をするに決まっている!』

 

 何なら「実装」も厭わない!

 元素に戻れ!


 『落ち着け、馬鹿息子。』
 
 何故か、たこ焼き屋の屋台でたこ焼きを焼いていたのは、

 『タッちゃんが、オレと話していたら、思い付いたらしく「食材」を買い足したいから「魚春」に行ってくるって、店番頼まれたのだ。』


 我が父でした。





 

 『女の子にモテたい?
 まぁ、高校生らしい悩みだけど、何かアピール出来る事は無いのか? 頭が良いから勉強おしえられるとか⁉︎』

 『学力が足りません、ウチの女子は優秀なんで!』

 『何だ、有るじゃないか。』

 『な、何がですか?』

 『ん?だから「勉強を教えて貰う」んだよ!コレ、意外と親密度が上がる。』

 『ほ、本当ですか!』

 『それには真面目に勉強を教わる事が大事だ。自分が教えた事でお前さんの「学力」が上がった事の満足感や達成感は二人の親密度を上げてくれる筈だ。』


 『し、師匠~!』

 すっかり親父殿に心酔している川原田。

 タツ兄が十人前のたこ焼きを焼き終わるのを待ってる俺と優斗。

 『お父さん、凄いね?コレって「人生相談」でしょ?』

 野中氏といい、川原田といい、親父殿の「カウンセリング」センスは凄いな?

 『少なくとも君に勉強を教えてくれようとしている女の子は少なからず君に気が有ると思っていい。でなければ面倒見ようと思わないからね。』

 『な、なるほど!』

 側で聞いてきて怖くて優斗の耳を塞いだ。

 『ただし、最初の段階では恋愛的な「好き」と言う事では無いから気をつけて行動しよう。
 只の同情や世話の妬ける弟や兄貴的存在かも知れない。
 わずかな「縁」から「愛」に変わるまでの「綱渡りタイトロープ」には「命綱ホケン」は無いんだゼ。』


 川原田は泣いていた。



 きっと今なら高い壺とか買ってくれるかもよ?





 数日後、図書室でに隣りのクラスの女子と勉強していた。



 『あとな、同じ成績の子と勉強会するのもアリかもな。
 共通の悩みが有ると連帯感が芽生えて、同じ目標目指して頑張っている姿が頼り甲斐有る様に「錯覚」するんだな?
 どちらも真剣に勉強する姿を見せる必要が有るけどな。』




 アレはどっちだろう?


 まぁ、コレで俺に付き纏う事は無くなるだろう。

 親父殿に感謝!






 『き、北代! お、女の子って「猫」好きだよな? 猫カフェに誘うって「初デート」としてはアレか?アリなのか?』


 慣れた感じで、おもちゃの釣り竿で猫と遊ぶ元battle junkie?

 もしかして、お前川原田って、友達いないのか?

 『知らん!』

 『やっぱり師匠に聞いてくる!』

 『だったら、始めからそっちに聞け!』

 『何処にいらっしゃる?お前の家か?お邪魔していいか?』


 『来るな~!この時間ならこのビルの地下の古本屋にいるから、そっち行けよ!』


 お父さん、彼に多宝塔を売り付けて下さい!


 ココには色々なお客様が来るけど、純粋に猫と過ごしたい人だけ来て下さい。


 『な~。』

 『ん、どうした?お腹すく時間じゃ無いだろ?』

 

 『まぁ、舞斗くんはネコちゃんとお話しが出来るのね?』

 『いらっしゃいませ、若狭様。
 そろそろ、いらっしゃる頃だと、お待ちしておりました。』

 以前来られた時より表情が明るい様。
 足元にネコ達が擦り寄ってきる。

 『あのね、「保護猫」さんをお迎えしようと思って。「譲渡会」の事、教えていただきたいの。』


 多分そう来ると思った、ただ暫くは譲渡会の予定は無いから…?


 『其方にお座りになってお待ちください。「保護猫担当」にご説明させていただきますので。』

 各保護団体と連絡を取り合っているスタッフに対応を頼む。

 いい出会いを願わずにはいられない。



 と、思っていたら、

 『舞斗くん、ちょっといいかしら?先程のお客様何だけどね?』


 譲渡会の説明をお願いした「本当は華担当のメイドさん」の沢渡さん。


 『何かありましたか?猫を飼いたくなったみたいだけど…?』

 沢渡さんの大変困った顔が可愛いとか思ってしまうのは申し訳ないが、余程の子供が有った様だ。

 『 その、「ミコちゃんオーナーの猫」をお迎えしたいって、おっしゃっているの。』

 成る程ね、実は多いんだよね、「ミコ」を欲しいってお客様が!

 でも、

 『沢渡さんもご存知の通り、ミコはココの従業員猫でウチ北代家の家族だからお断りしないと。』

 それは沢渡さんも知っているはずなのに?


 『それが、「あの猫はウチで飼っていた「アルジャーノの落し種」に違いない」からって?』
しおりを挟む

処理中です...