それでも振られた沖田クンが、ついに結婚する話し。

お嬢様からのご要望？

　元々、斧道組は戦後の闇市で行き場をなくしたモノたちに屋台をやらせて、大きくなった一家だ。

　ウチの曽祖父とは何かと縁のなる一家なのだが、今の世情では履歴書に書けない職業なので、ココでアシを洗ってもらおうとの【親心】で、組の構成員の転職先を世話して欲しいと相談されたそうだ？

　まぁ事実上、二十人もいない弱小組織だ。

　転職先を世話するのはそれほど難しい事ではないとウチの親父は考えたらしい？


　実際、ほとんどは上手くいったらしいが、




　「キワミちゃんの所の【ジンパチお兄ちゃん】はミミの所に来てくれないかな？」


　普段、あまり自己主張しないミミが強く要求してきた⁈


　「…絶品なんです、ジンパチお兄ちゃんの鉄板料理！

　焼きそばにお好み焼き、焼き餃子にサイコロステーキ！

　まさに【鉄板の支配者】なんです！」


　キワミの誕生パーティーで【ジンパチお兄ちゃん】こと【関内　仁八】サンは毎回僕らに美味い料理を食べさせてくれていた。


　ちょっと太った体格だけど、お笑い好きらしくて、いつも会うと面白い事を言って笑わせてくれるいい人だ。

　よく露天で粉もんの屋台を出していたし、食いしん坊のお嬢様がその腕に惚れ込むのも頷ける。


　のちに、この【ジンパチお兄ちゃん】は【缶野食品】で改革的な新商品を次々開発して、【缶野食品】をさらに大きく発展させる。

　またミミの叔母であり、食品開発に従事していた開発部主任の【缶野　奄美アマミ】と相思相愛となり、結婚してしまうのだ。


　

　「ねぇ、なら乾山サンはウチに来ない？」


　そう言ってコトミが指名した人物は、斧道組最強の武闘派なオジサンで、趣味が【保護猫活動】と言う怖面白い人だった？


　「護衛役をお願いしようかしら、

　別に猫のことは関係ないわよ！」
　

　後に、その違和感と相重なってマスコミで【強面の猫オジサン】として取り上げられ、国民的人気者となる。

　さらに有る人物のススメで、幼い頃の過酷な生い立ちや現在に至るまでの【自叙伝】を出版するとそこそこ売れ話題になった事でバラエティー番組のゲストや報道番組のコメンテーターとしてお呼びが来る様になるのだ？




　「なら、私の所のはあの人をスカウトしようかしら？」
　　　


　ユイがスカウトしたのは、まだ若い【若林くん】、ちょっと田舎から出てきたばかりの純朴な青年が無理してスカジャンとか着ている感じのお兄さんだったが、



　「まぁこんな感じかしら、

　どう？」


　「…コレ、俺ですか？

　生まれ変わった様です。」


　若林くんは上から下まで、ユイの見立てで髪型や靴下、（下着も？）全てコーディネートしたところ、別人レベルで【イケメン男性モデル】の様にに変えられてしまった！



　「前々からキワミんちに行くたびに、素質有るって思っていたのよね！」

　後に若林くんはユイの兄役でドラマ出演し、清涼飲料水のCMではCMソングも歌ってみたりしたところ、その年の「助演男優賞」に選ばれるは、若手人気女優と噂になるはで大人気となるのだけど…



　それぞれ皆さん、数年後の話ですから。


　ともかく、斧道組は解散した。


　キワミは普通のお嬢様になった…訳でなく、キワミの家は何故かそれまでの資産を運用して、マンション経営を始めるのだった？


　ある日、僕はキワミに呼び出されて、校舎の屋上に来た。

　屋上にはキワミだけしか居なかった？

　珍しいな？