それでも振られた沖田クンが、ついに結婚する話し。

猫寝 子猫

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父からの提案。

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 「お前、25歳までに結婚しろ!

 相手が居ないなら、コチラで何人か候補を用意するから、その中から選べば良い。」


 ウチの会社は戦後のドサクサでその財を成し、大きくなったそうだ?

 没落した旧家の娘と結婚したり、財力や権力のある人物と深い繋がりを持ったりして、現在の地位を得たらしい?


 「何で二十五歳なんだ、親父?」


 「曾祖父さんが二十四の時に戦地から戻って来たそうなんだが、もう家族は亡くなっていて、失意の末に流れ着いた闇市で、ソコの元締めの一人と懇意に成ったそうだ。

 とにかく我武者羅に働いていたら、元締めの一人娘と良い仲になったとかで、結婚して元締めの後目を継いだのが二十五の時だそうだ。」

 「だから、何?」


 「曾祖父さんは二十五の時に結婚して、「沖田物産」の基礎を作り、爺さんはソレにあやかって二十五の時に結婚したそうだ。

 その年に、海外の骨董品を買い集めて、日本の収集家に高値で売り捌いた事で更に会社を大きくしたんだ!」



 「…で、親父も二十五歳で結婚したのかい?」


 「…いや、ハタチの時に彼女と【デキ婚】した。

 その人が母さんなんだが、その年にバブルが崩壊して、会社が危うく倒産しかけたんだ。

 しかし、お前の叔父でもあり、父さんの弟が25の時に母さんの妹と結婚し、会社の仕事を手伝ってくれる様に成ってからは、流れが変わってな!

 弟のアイデアで作った会社のTVCMが子供達に受けたんだ!
 
 BGMで使ったインディーズバントの曲が大ヒットして、ソレから株価が上がり…」

 …物産会社にゆるキャラマスコットがいるのはその所為か?

 「…で、ボクも?」


 「そうだ、ソレが会社を継ぐ条件だからな!」


 「いや、継ぐ気ないし?」




 親父が、ボクにこの話をしたのが中学の卒業式の前日なのだ。


 だけど、この時にはボクは彼女の事が好きで好きで好きで好きで好きで…




 「…一応、従兄弟の蒼司くんも跡継ぎ候補なんだが、彼は今好きな子がいるらしいが、その子が二十五歳の【ジンクス】をバカにしているらしく、その前に結婚したいと言っているらしい。

 父さんはあえてソレを邪魔せず、様子を見るつもりだ。」


 「…蒼にいちゃんがジンクスを破って結婚して、失敗したら良いって思ってるんだな!

 呆れたよ!」


 叔父さんの息子で蒼にいちゃんが跡継ぎになれば丸く収まるのに!

 ちなみに、親父達がデキ婚の時に産まれた子が、ボクの姉になる。


 更にちなみに、姉はすでに18で結婚している。

 このジンクスは女性には関係無いらしい?

 家には姉の子で可愛い姪っ子がよく遊びに来ている。

 ボクのことを「にいたん」と呼んで慕ってくれている。

 キミはこんな馬鹿げた【ジンクス】に振り回される事が無くて良かったね。


 そんな話しはボクには全く関係無い!


 ボクは彼女一筋なんだ!

 ソレに候補だなんて、その女の子たちにも不誠実だよ!

 結婚する気が無いのに⁈




 「と、とにかくこの件は父さんに任せておけ!」



 …明日、あの子に告白するつもりなのに、なんて話をしてくれたのだ、まったく!




 


 
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