猫カフェは探偵事務所ではありません〜女子高生店長の奮闘記〜仕方ないなぁ、今回だけですよ。

猫寝 子猫

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荒れる投票戦!〜交わらない想いと重い思い込み⁉︎

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 店長の舞華ちゃんだお!
 最近、お店のネコたちと触れ合う時間が少ない!

 『華ちゃん、
 もう段ボール箱で作った投票箱パンパカパンだよ?』と私。

 『一度開票して中間速報したら、どうなるかしら?』と華ちゃん。

 『自分達が知らなかった「逸材」が居るかもっス!』とマミマミ。


 『す、凄いね~? コスプレ大会ってこんなに反響あるんだな! これは毎年開催を考慮しないと勿体ないぞ!』と驚く歓喜する商店街振興組合会長さん。



 『いや、早くやれよ。時間は有限なんだぞ?「鉄は熱いうちに打て」だ。』と呆れ顔の父?

 ここは羽柴ビル、地下一階の空き店舗を間借りしたコスプレコンテストの「大会本部」らしき所?

 『誰かに集計作業頼んで中間順位を発表すれば、大体の上位者が「トップ戦」に突入する筈だろ?』

 『お父さん、詳しい?ノリノリ?』

 『いや、早く終わらせて、「猫カフェ」で「まったり」したいだけだ。
 しかしながらここまで大事になるとは?
 会長さん、こりゃ「一位や二位」だけでは足らないな?「振興組合賞」とか「頑張ったで賞」とか作らないと?』

 『お、脅かさないでくれよ!ケンちゃん?』

 子供の部ではそんな感じの賞はアリだね!
 問題はガチな「大人の部」の子供な参加者たち?


 予想通り、「鶴亀駅前商店街アイドル的看板娘総選挙」の様な賑わいとなって来た!…らしい?

 私もカフェの業務より、コスプレ大会の業務に駆り出されてるのだけど…



 



 『ふぅ、生徒会の仕事より過酷かも?』

 私、「山王院サンオウイン  ハナ」の目論見は予想を超えて盛り上がってしまい、
 日頃から気に掛けてくれている方々から、率先してご協力頂いている。

 ゴンパパさんの所「権藤興行」は若い衆の方々がイベント時のパトロールを買って出てくれた。

 弁護士の三条先生は「審査員」を「やりたい!」と強くご希望だし、新名叔母様のご友人で某女優さんが「是非やりたい!」と「ゲスト審査員」を無償でやらせて欲しいとご連絡が来た!

 鶴亀駅前公園に特設ステージを作り、結果発表日は屋台出店が公園内外で二十近く出店する。

 身内からでっち上げた「ご当地ローカルアイドル」は二葉をリーダーにしてコンテストに参加させてるので、広報活動はあの子に任せておけば心配無い!


 この辺りの学校でも、話題になっていて、

 『せ、生徒会長も参加するんですか?コスプレ大会に!』って質問に、

 『舞華に唆されて仕方なくね。でもヤルからには全力よ!』

 って建前で通している。

 (下級生の視線が辛い、申し訳なくて。)




 さて、
 意外にもあの「華月」が参戦するらしい!

 『月下に見参!』キリリッ!

 愛猫の黒猫「かげまる」を模して、黒い袴道着に黒髪を細く束ね、ネコの尻尾に見立てる!
 猫耳も凛々しく女剣士のパネル写真が一部の乙女とオタクな男子にどストライクらしかった!

 それに対して!

 狛田商店のミハルちゃん!

 ばっちゃの娘時代の袴姿を模して宛らの薄紅色が桜の精の様、
こちらも娘武者ながら華月ちゃんとは別の色香が漂い、一部の男性たちやちびっ子から大人気!
 
 『ネコ耳じゃなくて、オオカミなんだけど。』モジモジ。

 駄菓子屋の看板ネコは二匹、綺麗な三毛の「タマ」と黄味がかった白の長毛、「トビ助」と呼ばれてるオスネコがいる。

 時々、ミハルはこの二匹と会話している?

 『「永飛丸」さま!お戯れはおよしください。私は美しくなど有りません! 「玉藻」さまもご冗談を。』てれりこ。
 

 あれ?あそこの「猫」ってまさか…化?



 そして「スピカ」では期待の新人が参戦を拒否?

 『天馬と遊ぶのが忙しいんだい!』
 
 すっかりお兄ちゃんだな、オイ!

 『ヒカにぃたん、「ばいくる」とおサンポ行くじかんだお!』

 『よし、いくぞ! じゃ、「アキラ姉さん」あと頼むね!』


 『コラ!もう「ヒカル君」ってば!』

 仲良き事は良いけど、

 ウフフと笑ってる新名にいなママさん。

 やれやれ顔の蒼介ソウスケパパさん。


 『アキラちゃん、頑張ろうか!』

 『ハイ!任せて下さい!
 私がヒカル君の分まで二人分、三人分も働きますから!』

 すると、店内では拍手喝采で頑張れーとか、頼もしいとか常連のお客様から応援される。

 『アキラちゃんも駅前商店街の「仮装大会」に出るの? なら、
 おばさん応援するわ!』

 午後にマスター目当てで来店する「ブティック 加茂下」の店長さんが、まるで娘に話すかの様に声を掛けてくれる。

 まぁ、娘さんは何故か同じ商店街の八百屋さんに嫁いじゃったんで会えない訳じゃないけど。

 『ハイ!ありがとうございます!』

 『そうだわ!おばさんがアキラちゃんのお衣装、作ってあげるわ!ま~かせて!』

 『え?』
 


 かと思えば!
 
 『シオ、君も参戦するのか?』

 『すいません、叔父様。お客さんが期待してるんで、ウフフ。』

 インドの民族衣装「サリー」や「パンジャビドレス」等を仕事着にしている「堀部ホリベ  栞子シオリコ」も、
 
「白猫占い」を売りにしている以上は「ネコ耳」コスプレ参加は必然なのだと。

 『叔父様は参加されないのですか?「コスプレ」、お好きでしょ?』意味深な?

 『見るのはな。それに俺がコスプレして誰か喜ぶ?』

 『叔母様とか、舞ちゃん達とか。需要は有りそうですよ?』

 親戚の娘さんに揶揄われるのは、こそばゆい!

 『そうそう、私 気になっていた事が有るんです!聞いてもよろしいですか、叔父様?』

 『ん?需要の有る俺に何の質問かな?』


 『大会のタイトルにある「猫姫様」って誰の事です? 私、気になります!』

 『あ~あ!アレな! ウチの「猫のヒメ」の事だよ。そもそも「森猫」のウチウチの企画だからな。その頃、「ヒメ」の命日だったからな。』

 『それは、また大変な「追悼式」ですね。たしか、「ノワールちゃん」のお母さんですよね?』

 『ん~ん、何故か舞華が「ヒメが一時帰宅してるから、ちゃんと供養を兼ねて猫を祀ろう!」ってな。
 アレも、変わってるだろ?』

 『それ、とっても気になります!』
 
 心霊的なアプローチ、キター
♪ーーO(≧∇≦)Oーー♪

 あ、そう言うの好きだったね。

 


 各所で様々な動向はある中、中間順位の発表をし、それ以降は最終日前日まで毎日開票し、順位を発表する事にした!

 荒れるわね。これは。

 中間での順位は意外な結果だった!


 某大学の食堂にて



 

 『全く!連中は何も解っていない!』

 最低限、単位を落とすのは不味い!
 今日の講義は出ないと。


 彼女のいないカフェで何を食べても、何を飲んでも美味くない?

 気休めに学生食堂でコーヒーでも飲むとするか。

 この時間だと人もまばらだ。

 大して味を感じないコーヒーを啜りながら考えてみる?


 何がいけなかった?

 何が不味かった?

 何故、皆んな理解しないんだ!


 「彼女の才能」を!

 「彼女の素晴らしさを!」


 学食のテーブルにヒジを付き、つい長考してしまった。


 『すまないが、いいかな? 
 君が「野中ノナカ  ノボル」くんで、間違いないだろうか?』

 『あ?何だ?誰だよ?』

 『「視覚解析」の膝肩と言えばお分かりかな?』


 『分家の中ボスが何のご用ですか?』

 分家?中ボス?めんどくさい事なら知らなくてもいいかな?

 『すいません、用が有るのは自分です。「北代 舞斗」と言います。高校生っス。』

 『何だい、学内見学かい?
オープンキャンパスのエスコートなら、そこの「ビッ○」でも誘って、ヤれよ。』

 ムカっ!よくわからないが、ひよりさんを侮辱したのは分かった!
 でも、蹴りコロスのは我慢した。ここに居る人に迷惑をかけるから。

 『べーーっだ!』
 舌を出して「べー」とか初めて見た。
 二葉もやったら可愛いだろうな。うむ。

 それにしても、顔見知りか?そんな事は聞いてないし。

 『オレ、「森の猫さま」の身内っス。
 先日の件で、お伺いしたい事が有るので、「トシ」さんにご協力頂きました。』

 『ふ~ん、高校生にしては、多少の礼儀は分かってるみたいだけど、 で、何が聞きたい?』


 『ナニよ!その態度は?
 アナタ、舞斗くんちのお店で、騒いで暴れて、迷惑かけたんでしょ?偉そーに、謝りもしないで! 
 礼儀を分かって無いのはアンタでしょーよ!』

 ひよりさん、怯まず野中さんに食って掛かる!

 『五月蝿いな?どうせ「バイト」だろ?』

 『いや、あの猫カフェの責任者の息子さんであのビルの所有者の甥御さんでも有る。しっかり関係者だよ。』


 『貴方の態度で「尾北さんへのストーカー行為」や「森猫」への営業妨害で訴える事も考えてます。って経営者が言ってますが。』
 

 『⁉︎』


 オイオイ、そんな馬鹿なって顔しているぞ?
 
 『尾北さんは貴方の行動が恐ろしくて、猫カフェのバイトを辞めようとしていたんですよ。』

 『いいじゃないか!あんな店なんか辞めて、
 また元の店に戻って「声優」を目指すんだ!
 それが彼女の為だろ!』


 はぁ?

 別に「森猫」で働いても「声優」は目指せるだろ?

 てか、アンタが元のメイド喫茶で騒いで暴れたから、彼女は自分が狙われてる「恐怖感」と自分の所為でお店に迷惑をかけた「責任感」で辞めたんじゃろガイ⁉︎

 イラッとしたが、とにかく真っ向正論で話しかけて、反省させてやる!




 


 『ふぅ~、疲れたかも。』

 『お疲れ様デス、お父様。』

 『乙カレーなのだ、パパ殿!


 『お疲れ様でーす!』×四人。


 ここは羽柴ビルの地下一階に有る名もない「古本屋」。

 知人に頼まれて、「留守番兼店番」をしていて、不定期に営業している謎店で有る。

 今は娘たちが友達を連れて来て、「お宝探し」でもするかの様に店内をキャッキャッと「探検」しておられる。

 自分は先程まで隣りの「大会本部」で頭の痛い話しを捏ねくり回して、やっと解放された所だ。

 避難がてら「古本屋」で一息付いたら、天使が来たよ!団体でね‼︎

 『あの、ここにとっても古いマンガの本が有るって、二葉ちゃんに聞いて。あの、アノ、あのね叔父様、「ネコ姫ちゃんとハム忍者くん」ってマンガの本、有りますか?』

 ぶぶっ!

 『だ、大丈夫デスの?
 お父様、…あ!何か知ってるデスね?』


 『あ、有るよ。…全3巻。』


 えっと、メガネっ娘ちゃん、また何てモンを!

 ちなみに今日のアカリんはホットパンツコーデ、子猫の写真がプリントされてるTシャツが可愛い!
 前回の様に屈んでもネコさんパンツがチラ見する心配は無い。

 『お父様、答えが不十分ですの。 もしや、作家さんとお友達デスの?』

 『そう、それな? 原作とキャラデザがオレで、
 絵が高校の後輩だった漫画家なんよ。
 ソイツは結婚して今は筆を折ったけどな。』


 『えー!本当ですか?嬉しいです!握手して下さい、叔父様!』

 大興奮の「東戸ヒガシド   アカリちゃん」は眼鏡が落ちそうなくらいぴょんぴょんしてる。ミニスカだったらみえてたかな、ネコさん?


 話題変えようっと。


 『なぁ、お嬢さんたち、皆んなは「コスプレ大会」は参加しないのかい?』

 ん、これが「悪手」なのに気づいた時は手遅れだったかもしれん。

 『リリちゃん達は参加するんだよね。森川流として私も参加予定。みのりんもお店の代表で出るのは?』

 『えっ僕?僕はいいよ!お父さんがびっくりしちゃうよ!』

 『なら、パパ殿もリリと一緒に「コスプレ」するのだ!』


 へ?











 時村さんちが最近にぎやかだ。

 「時村さんのご長男さん、お嫁さんもらったのかしら?」

 「時村さん、海外で働いてた大奥さまがお世話したそうよ?」


 とか、サナエさんの帰国や春佳さんの下宿など急遽「女性」の出入りが増えて、ご近所でも話題になっている。


 働き者の春佳さんに至っては、

 『掃除の仕甲斐があります!』と、片っ端から片付けて掃除の繰り返しで、自分も知らない部屋の入り口とか出てきた。

 (ただ、入り口の前に物が大量に山積みされてただけなんだから!)

 そして、新たな発見も有った。


 『こんなの見つけたんですけど?どうしましょうか?』

 『あれ、コレどこに有りました?』

 『ガレージに行く為のエレベーターの前に埃だらけの段ボール箱が無造作に並んでるじゃないですか。
 箱が崩れかかっていたので詰め替えようとしたら、その中に
有りましたけど、何かヒーローの変身アイテムみたいで…
 玩具かな~って思ったんですけど?
  
 まさかのまさかですよね、翔太さん?』


 『コレ、僕が子供の頃に祖父が作ったモノをオモチャ代わりに遊んでいたら失くしてしまったモノです…     あ、まだ使える!壊れて無い!』

 『あの~、何なんですか、それ?』

 『「ダイレクター」と言って、「機獣」と心を通わす「通信機器」みたいなモノです。』

 『「機銃」ですか?』
 『「機械の獣」で「機獣キジュウ」です。 懐かしいな~!
 そうだ!試しに誰か呼んでみますか?』

 『え?ち、ちょっと翔太さん!』

 
『ココだと、そうだ!「シータ」ならサイズ的に問題無いかな?』

 『翔太さん!問題って何ですか~?』

 『ダイレクター起動! 
おいでよ!「シータイガー」!』


 もう~、時々「少年」に戻るの卑怯なんだから~!


 二人の目の前に「亜空間ゲート」が現れ、中から「水色のメカ虎」が現れた!

 『そう、「彼女」は女の子なので、春佳さんと仲良く出来ると思いますよ!』

 こちらに静かに近づいてくる水色のメカタイガー
 大きさは動物園やサーカスにいる虎と同じくらい。

 『初めまして、私は「シータ」、「深海探索支援用機獣」です。失礼ですが、もしかして貴女は翔太くんの「お嫁さん」デスか?』

 『えっ!えっと、…「しーちゃん」大好き!』

 っと、春佳さんが喜んで「しーちゃん」こと「シータ」に抱きつく!
 『私達、仲良くなれそうね!』

 『ハイ。……さて、翔太くん、妹の「カノン」や「ライデン」は何処にいますか? 此処にはいない様ですが?』

 『あ?』



 片っ端から片付ければ、また何か発見しそうだね。







 『なんだよ⁉︎ 俺は「彼女」の事を考えてだな!』

 『女の子の事、考えて何で猫カフェでオタ芸するのよー?馬鹿なんじゃない?』


 『馬鹿はお前たちだ!「彼女」は稀にみる「逸材」なんだぞ! あんな「猫だらけの喫茶」なんて何を考えているんだ!
 もしも、噛まれたり、引っ掻かれたりしたら病気になって、喉でも傷めたらどうするんだ!』

 なるほど、可能性はゼロでは無くは無い?

 けど、「森猫」のネコ達は、定期的に爪はカットしてるし、病院で各予防接種や健康診断もしているぞ!

 健康診断なんて「血」を抜くんだぞ!人間と違って、大変なんだ!

 ゆっくり抜くんだ、人間と比べて小さい体だから!

 痛みに健気耐える子や、痛くてずっと泣いてる子を採血が終わるまで押さえつけた事、お前に無いだろうかっ!

 俺も痛かったさ!
 メイの時は本当に痛がって、堪らずに押さえていた「親父どの」に噛み付いたんだけど、見てる「俺」も痛かったさ!気持ち的に!


 『やっぱりアンタ馬鹿よ。「猫カフェ」に「ネコ」が居なくてどうするのよ?
 その子だって「猫が好き」だから猫カフェで働いているんでしょうが!
 それを踏まえて話せって言うの!』

 ひよりさん、もっともです。
 でも、それ俺の台詞デスから!

 『う、うるさい、ビッ○が偉そーに!』
 
 『うっせー!うっぜー!私は処女だってば!』

 『ひ、ひよりさん⁉︎』

 『え?  ぁ、……舞斗くん、聞いてた?  よね?    ~ーーーー⁉︎』


 『はっ、頭腐ってんじゃねーよ。お前が「清い乙女」な訳な…ぐぶっ!』

 
 『チョット、黙ってくれよ。死にたくなかったら。』

 俺は片手で、野中の喉仏を潰す勢いで奴の首を握り締めた。

 『舞斗くん、その辺で。』

 トシさんが止めてくれた、
もちろん本気で潰すつもりは無い事もないけど、離してやった。

 
 ひよりさん、真っ赤な顔して俯いてる。

 『ひよりさん、今度デートして下さい。』

 『ーーー? ままま、舞斗くん⁉︎  マジですか? 本気デスか!』

 『今回のお詫び、みたいなモンだと思って下さい。
 近々地元でイベントが有るんです、それを案内がてらデートっす!』

 ん~?まるで優斗だな。


 さて、無様に学食の床に這いつくばってゲホゲホやってる野中さんを丹沢さんが「確保」する。

 『ほら、立ち上がれ。少しは「状況把握」出来たか?』

 『ゴホ、ゴホ! 何だ、コイツは! 俺は暴力には屈指ないぞ!』


 『今、小鳥遊くんに「言葉の暴力」を振るったばかりでは?』

 『何の事だ!事実を言って、何が悪い!』

 『事実と違うから悪いのだよ。彼女は「清い乙女」だよ。小鳥遊 日和はね。』

 丹沢さんもひよりさんを悪く言われ、御立腹らしい。

 恐らくトシさんも。そして

 『野中くん、「我々」は君と話し合いがしたい。場所を変えないか?』

 その口調からは静かに、でも確実に野中に対して「殺意」に近い感情が芽生え始めている。

 『は、話し合いだと?何を今更!』

 『「今だから」こそだよ。これ以降は我々にも手を出しても敵わない「人たち」が出てくる。その前に「和睦」の道を我々で模索しないか?』

 『あ?』何を言ってるんだ、コイツみたいな顔してる野中。

 折角のトシさんの申し出を拒否るなら、俺も見捨てる。

 華は尾北さんを既に「身内」と認定している。

 家族や友達は見捨てないのが、アイツの「心意気」で、「敵」には幾らでも「非情」になれる。


 権藤さんも「森猫」のバイトの女の子達は「実の娘」の様に思っている。事実、帰りの遅くなった子を陰ながら見守る様に若い衆に命じている。

 同様に山王院メイド部隊も陰ながら女の子たちの帰路を見守っているので、見守り同士が衝突した事も有ったのだが、チカラの限り戦った事で友情が芽生え、最近は共闘しているらしい。

 それで鶴亀町の治安が少しでも良く成れば其れはそれで良い。

 また、一部(武闘派)友情が「愛情」に変わり、「お付き合い」が始まったり、「合コン」したりしているらしい。
 

 そんな方々が今回の騒動をほっとくワケが無い!

 正直、コイツが死のうが捕まろうが俺は構わない…が、

 尾北さんがこの先、恐怖や罪悪感で「夢」や「普段の普通の生活」を諦めてしまうのは、気の毒だし、俺も気分が悪い!

 『なぁ、野中さんよ、コイツはアンタの為でもあるし、俺的には「尾北さんの為だけ」なんだよ。』


 『わ、わかった。話しは聞いてやる!だけど、もしも騙そうとしているなら、コチラも考えが有る!』


 『ああ、それでいい。』


 俺たちは「視覚解析」のアジトに移動した。


 食堂はザワザワしていたが、

 『ハイハ~イ!「視覚解」の「フェイクドキュメント」撮影終了でーす。ご協力ありかとやんした!』

 俺たちが食堂を出てすぐに、「視覚解析」のメンバーが「ドッキリ成功」みたいに風潮し始めた。

 「またか?暇か?」みたいな空気感と「余りうるさいと捕まるぞ!」と言う声も有ったようだ、マジで。


 それにしても、もっとゴネるかと思いきや、あっさりと自分たちに同行した野中。

 彼にも何か策があるのか?








 『副店長! このコス、すごい素敵です! 私今までこんな着心地が良くてそれでいて動きやすい!それに「本当のネコ耳」みたいで素晴らしいです!』


 まず、見てビックリ、着てビックリ、動いてビックリ!

 今回のイベント用に「わるぷるKiss」の店長に再度やり直しを強要して出来上がった「業物」だ。

 『誰をモデルにしたのか、わかるかしら?』

 『え?モデルですか?』

 そう言えば、私まだネコ達の名前、覚えていない。
 

 『ごめんなさい、チョット意地悪だったわね? でも、もしかしてって期待してたの。』


 『す、すいません、あの私…』


 ダメだ、私は!

 ここで働く意識が低いのでは?

 猫たちの名前なんて基礎的で当たり前の事ではないか!

 心配してもらえて浮かれていた?


 『じゃあ、その猫に会いに行く?』
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