猫カフェは探偵事務所ではありません〜女子高生店長の奮闘記〜仕方ないなぁ、今回だけですよ。

猫寝 子猫

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今回だけって言ったのに!〜課金しないガチャ。

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 スクランブル、油断をしないで !

 そのミッション内容は

 『「小学生の登下校の見守り」です。特に灯火、お前さんには大いに期待している!』

 『師匠、その生暖かい眼差しの意味を問いたい?』

 『ん!リリとか誘って、公園でたこ焼きでも食べてな。お代は持つからよ。
 あと服装は私服でもイイけど、ストリート系小学生みたいなのでな? 何なら、この間の「コスプレ衣装」にするかい?仕事着の黒スーツは駄目だからな!』


 『す、ストリート系で!』


 さて、なんでこんな事になってしまったのか?

 ことの起こりは子猫のミコやメイが産まれるずっと前、まだ、福ちゃんやヒメが元気だった頃まで
遡る。
 
 
 その出鱈目な天才振りで、
 山王院グループの数社と開発顧問として契約している、
 現在お嫁さん募集中の

 「時村 翔太」さん。

 その翔太さんにグループの一社から、こんな依頼を受け、即座に快諾した。

 近頃、未成年者が犯罪に巻き込まれてしまう悲しい事件が後を絶たない。
  
 古いところだと、入手困難な携帯ゲーム機を見せられて車に連れ込まれ、そのまま連れ回されたり、人気の無い場所に連れ込まれて、性的暴行をされたり等、

 最近ではネットを悪用した「パパ活」などは正に「社会の闇」だ。
 遊びの延長程度に考えてるビッチは兎も角、生活苦や親の虐待からの逃げ場に選んだ子たちもいるらしい。

 

 そこでそんな現状から少しでも、子供達を危険から守りたい。

 そんな考えに公共事業の一環として、山王院グループの数社で検討して、「防犯カメラ」以上に犯罪の抑止力なるものを模索していた。


 その一社が翔太氏に話しを持ち掛けた訳だ。
 
 「何か良い発明品は在りませんか?」

 「無いけど、作れば良いんじゃない!ヤリますよ!」

 さて、引き受けたら後には引けない。

 過去の発明品を流用なんて面白く無いし、何か子供たちも楽しくさせて、それでいて「防犯カメラ」の様な、是見よガシなモノは町の概観を物々しくして、抑止力になっても心穏やかにさせない。
 

 実は、翔太氏は幼少の頃に誘拐された経験が少々有るのだ。

 デッカい屋敷に住んでるし、祖父は超天才で特許や各社の顧問料で潤ってるし、お姉ちゃんは美人だし、

 そして、祖父の発明を悪用しようとする者や組織に。

 目をつけられ安かったのだが、その度に兄と慕う舞斗たちの父や、後に義兄となる速斗に救出されたり、
 今は亡き友達、北代家の愛犬「シグマ」や愛猫の「ニャン太」と「ノラクロ」に助けられたりと、言わば「攫われるプロ」だった。

 仲良しの猫たちの活躍は当時、少しだけ話題になったりもした。

 特に氏が子供の頃は犬はともかく、猫なんて飼い猫でも普通に自由に外に出ていたから、
 北代宅から時村邸まで、猫たちがおやつの煮干し目当てで、遊びに来るのは当たり前だった。

 今のご時世では、それも難しい。まぁ迷子や盗難防止の為に「マイクロチップ」の利用はアリとは思う。

 今は犬や猫でも血統書付きの子は転売など営利目的で誘拐、窃盗されるから。

 
 

 さてさて、それは兎も角として何かいいアイデア無いかな?

 そこで、子供が集まる場所はどんな所か考えてみた。

 
 最近、めっきり減った「駄菓子屋」、「お菓子屋」「玩具屋」「コンビニ」「公園」マンガの多い「本屋」など、

 町内でも大体「防犯カメラ」が既に設置されてる場所なのだが、それでも被害は相変わらずだ、したたかにもカメラの死角や、まだカメラの設置されてない場所を心得ている様だ。


 発想を変えてみた、
 子供達が集まる場所に有って違和感なく、上手くいけば不埒モノも油断して近づいて来るモノ!


 『自販機……   も、いいけど
「ガチャガチャ機」なんてどうだろうか? 
 カプセル型の小型ロボットを複数待機させられる!

 あくまで子供たちが無事で、被害を未然に防げれば良いだけ。

 相手の威嚇、撹乱、足止め程度の事が出来れば、その隙に子供たちが逃げてくれれば良い。

 もちろん、普通のカプセルトイも販売出来て、別スペースにカプセルロボを待機させて、更にガチャ機自体にも小型カメラを内蔵、案外犯人もガチャを回すかも?
 顔のアップとか取れそうだな?それなら平行して、飲料水の自販機も利用しよう!
 何か兄さんがコレクションしている「マクロマン」の世界みたいで楽しいな?子供にだけ正体を明かすとかはやり過ぎか?』

 脳内麻薬が羽根を授ける様に妄想が止まらない?

 子供部屋博士、妄想を現実にしてしまうイタいオジサン⁉︎

 『昔のアニメ見て、アイデア膨らますか!』


 なので、廃棄された自販機やガチャガチャ機を取り寄せ、試作を始める?
 実際のペットボトルやアルミ缶、トイカプセルサイズのロボットの設計に着手した。
 情報漏洩を避ける為に試作機が完成するまで先方には内容は伏せていた。  






 そして遂に構想から1年を費やして、

 カプセルロボットが3タイプ、

 飛行機能付きの鳥型、
 俊敏かつ狭い所の潜伏可能な昆虫型、
 工作作業対応の小人型、

 各プロトタイプが完成した。

 複数体合体して、不審者の捕縛が可能な大きさのロボットになる機能なんてどうだろう、

 いっそ、同じデザインのカプセルトイを販売しては?
 もちろん、それはただのおもちゃ。

 うまく子供達に流行れば、玩具に紛れて不審者を撹乱出来るかも知れない。


 ふむふむ、先ずはお子様の意見が聞きたい。

 優斗くんやその友達を集めて聞いてみるか?



 『何を、おもちゃを握りしめて、ぶつぶつ呟いてますの? 翔叔父?』


 『おや、嵐ちゃん?来てたんだ。』

 姪の様な子、「明神 嵐」が来た。大体は突然来る、最近は頻繁に来る。


 『翔叔父、「シルバーファング」の起動コード、教えて!』

 『駄目ダメ! オートバイとしてはkeyさして、エンジン回せば動いて乗れるよ!だけど、まだ免許証無いでしょ?
 近日中には取得出来るんだから、今は我慢しなさい!』

 『酷い! シルバーの電子頭脳、シャットダウンしたわね!可哀想じゃ無い?』

 『ランちゃんが免許を取って僕に見せてくれたら、即起動する認証コードを教えるよ。
 現在もシルバー君のマスターは速斗兄さんのままだからね!
 ランちゃんの声で認証コードによる再起動で「マスター登録」が兄さんからランちゃんに上書きされるから!』

 『周りくどいのね?シルバーは私の友達だから、「マスター登録」なんて必要無いのに?まるで「召使い」か「奴隷」ね?』


 『必要なんだよ。いざと言う時、搭乗者の指示より自分の判断を優先したり、意思が共有出来て無いと誰かを助けられなかったり、傷付けてしまう事になるかも!』

 『そ、そんな?』

 『シルバーファングは君の友達だけど、付き合い方を誤ると大事故に繋がるんだ。
 今はランちゃん用に調整も行っているから、信じて待っててよ。』


 『うん、分かった、わかりました。そこまで考えてくれてたなんて思わなかったから。我儘言ってごめんなさい。翔叔父様!』


 良かった、ランちゃんに分かってもらえて。言い出したら必ず実行する子だから。

 舞斗くんみたいに限界突破しているデストロイドモンスター級な体力と肉体じゃないと、「戦闘支援型」のシルバーファングは諸刃の剣だから。
 今の速斗兄さんでも振り回されてしまうだろう。

 それだけ当時の兄たちは死戦を反復横跳びして超えていた様だ。

 祖父が作った「鉄人」達は戦闘用、だから自分が救助活動用に調整し直さないとランちゃんには危険である。
 
 

 『なら、調整が済むまで、他の子と遊びたいな。ダメかな、翔叔父?』

 『キティとガールズトークしていれば良いではないですか!』

 やれやれ、気が休まらない?





 、とっ言う訳で、件の試作中のカプセルロボを見せた。

 まだ事件らしい事件が起きてないし。




 『か、可愛い~!』

 説明が必要なり、

 ランちゃんは決してカプセルロボットが小さくて可愛いと、顔を緩ませてる訳では無くて、


 『ですね、ですね!動画でUPしたいくらいデス!出来ないけど。』ハルカさんも破顔して喜んでる。

 「十末 春佳」さん、

 とある事情からこの屋敷に居候、いや、一時滞在している女子大生。

 滞在費代わりに料理や掃除など家事を引き受けてもらっている。
 
 彼女がここに来た日に別の「同居人」が拾ってきた子猫、
 彼女に懐いてココで面倒見てるのだけど、
 ハルカさんに懐いた子猫が、カプセル状態の小型ロボに戯れて遊んでいるのだ!
 それは可愛いだろう。

 球体に戯れる子猫、カプセルロボも巧みに不規則に転がって、子猫の好奇心を刺激している。

 
 『ハルカさん、ニャンコの名前決めたんですか?』

 「ニャンコ」! 
 あの嵐が! 舞華ちゃんや舞斗くんにお姉さんぶって大人ぶってるランちゃんが「猫」じゃない、「ニャンコ」だなんて呼び方⁉︎

 成る程、コレが「ギャップ萌え」なのか?

 『それが中々決まらないんです。可愛い名前が良いか、ても大人になった時にそれだと可哀想かなってカッコイイ名前が良いか、迷ってるんです。』

 『カッコいい?何で?可愛い名前で良くないですか?』

 『この子、男の子なんです。だからいずれ美男子猫になりますよ!』ハルカさん、立派な親バカです。

 それにしても、子猫と遊んでいるロボたち。

 守るべき存在に対しては、「道化師」にも成るのか⁉︎ 

 それ程高い知能は無いはずなのに?

 『あの、翔太さん。
 ロボットさん達は「お食事」は必要ですか? 
 そろそろ猫ちゃんにもお昼ご飯を出したいのですが?
 皆んな一緒にお食事した方が良いかなって。』

 『お食事?強いて言うと電気デス。必要なら自分たちからアダプタにドッキングしますよ。』

 『ロボット掃除機みたいですね。』

 『ロボットですからね。』

 言葉も喋らないし、
 涙も流さない、
 血も通ってない。

 だけど、わかるんだ!

 正義の心と熱い友情と平和の想い、それからそれから…!

 色々とちっこい機体(カラダ)に詰まっているのだ!

 (ちっこい言うな!)


 『ねぇ翔叔父、私、この小人さんも欲しい!一人ちょうだい!』

 カプセルロボを「小人さん」と呼称して手のひらに乗せるランちゃん、童話に出てくるお姫様かな?


 『その機体は駄目、隊長機だから!何ならランちゃん用に別の「小人さん」を起こすよ。今はキティとリンクさせてるけど、単独で行動出来る様にランちゃんのスマホとリンクさせようか?そうすれば、いつも手のなかで見守ってくれるよ。』

 シルバーファングより全然楽だし。

 『本当に!ありがとう、翔叔父様‼︎  大好き⁉︎』

 



 

 『へ~、「叔父様、大好き♡」デスか? 良かったな、翔太おじさん。』


 そこには、

 真っ赤な顔して俯いてる
 「明神 嵐」と、

 満面の笑みで喜びを表している
 「時村 翔太」叔父様と

 笑いを噛み殺して姉貴分を見る
 「北代兄妹」と

 同様に優しい眼差しで見守る 
 「十六夜姉妹」らがいた。

 『何でそんな事まで話してるのよー!翔叔父のバカ、ボケ、自宅警備員!』

 『ランちゃん、僕の職業は発明家だよ。それに事態を把握してもらうには前後の状況も知っておかないと、だよ!』

 『もうー、天才なのか、バカなのか?分かんない!』


 『ラン姉ちゃん、カ~ワ~イ~イ~!』

 『ラン姉さん、ツンデレだったんだ?知らんかったぞ。』

 『嵐お嬢も「女の子」だったか!萌え萌えだな~!』

 『姉さん、やめてあげて!嵐さん、可哀想う…可愛いけど。』

 『こらこら、茶化すな。皆んな。
 でだ、翔太、ここまで聞いて分かった事がある!いいか?』

 嵐の表情が明るくなる!

 さすが、北代の叔父様!

 あの父の「戦友」だけは有る!

 あんな話しで何か分かったらしい?


 『翔太!俺にもカプセルロボ、コンプして2セットくれ!』



 大丈夫かしら?

 『冗談だよ、ラン君!そんな事は少ししか思ってないよ。』

 『はぁ、そうですか?』
 少しだけ思っているのね。

 この人とあの無愛想な父が親友だなんて不思議なんだけど、舞華と舞斗のお父さんだって事は納得、

 『話しが中断したな、ここからはラン君が話してくれたまえ!勿論、ラン君が恥ずかしいと思った部分は編集して構わないからね。』


 『は、はい。』

 恥ずか死ぬ!




 シルバーファングの調整が終わるのは後二、三日。

 カプセルロボはその日のウチに貰えたけど、

 最初に名前を付けて呼んであげるとシルバーと同じで「マスター登録」されるそうだ。

 どんなシステムなんだろ?


 『名前ね~?私、こう言うの苦手なのよ。舞華たちは良くあんなに猫たちの名前、付けられるわね?』

 以前は、あの両親の娘だからと親の所為にしていた。

 嵐の日に産まれたから、「嵐」だと単純に名付けたと思っていたのだけど。

 舞華の母から真実を聞いた。

 『台風の中心って、無風状態で穏やかなのね。表面は荒々しく、でもその内は落ち着きを持って生きなさいって願いが込められているのよ。』

 これを聞くと私に命名センスが無いのは両親とは関係ないみたい。

 父は家では「寡黙」と言う程でも無いけど、物静かな人だ。今は舞華たちの学校で学年主任とかしてるけど、以前は名門女子校で教鞭を取っていた。

 (それ、潜入捜査だったんだよ、嵐くん。)

 母は、交通課の婦警さん。ハキハキした人だ。案外とバランス取れてるのかもね?

 色々考えて、

 「シークレット」に命名した。

 この後に同じ形をした小人さんが沢山作られるそうだし。
 ましてや、「カプセルトイ」で外見が同じおもちゃが発売されるかも知れない。

 ならば、私だけのデザインにして、見分けが出来る様にしないと!

 たくさん有るウチの希少色パターンで、カプセル状態の表面は「ドット迷彩柄」にした。

 翔叔父の部屋にお菓子のオマケらしいミニカーがそんなデザインだったので、全く無い色より有りそうなパターンにした。

 小人型に変わると銀色ボディーが現れる。目の部分だけ青い。

 私も猫や犬を飼ったら、一緒に遊んであげるのかしら?





 『それで私、もう一度子猫と遊ばせようと「シークレット」を連れて行ったんです。』

 『あれ、マスター登録は? いつしたの?』


 『…まだ、だったから…その時に、』

 『子猫のそばに、カプセルロボ、いなかった?』

 『いました。寄り添ってまるで子猫が卵を暖めてる様に一緒に寝てました。』

 絵的にほっこりするけど、
 ロボットが寝る? スリープモードかな?


『ん?あれ、もしかして、ランちゃん、その場で「認証コード」言っちゃった?』

 『え?えぇ、はい。  …え、もしかして、それが不味かったんですか?』

 
 『多分…だけど、それでどうなったの?』

 『はい、それが…』






 何だろうか、この可愛い光景は!

 身を丸めてスゥスゥ寝息をたててる子猫、そのお腹のあたりでカプセル二つを抱きしめて寝ている。
 おもちゃを取られない様に隠しているの?それとも卵を孵そうとしているの?

 他のカプセルロボも子猫を守る様に寄り添っている。

 あのカプセルがロボットだと知っているのでとても不思議な光景。
 

 幼い頃、名門女子高校の教師だった父に交通課の巡査だった母。

 二人とも多忙で、よく北代宅や時村宅に預けられた。

 北代の家では犬猫まみれ?

 時村の家では、巨人がいて遊んでもらった様な記憶が有った。

 シルバーファングともう1人、北代の叔父様にも鉄の相棒がいるみたいだから、きっとその人、いえロボットね?

 免許証を手に入れたら、シルバーに乗って、あちこちフィールドワークに行こう!
 古書店で見つけた文献に有った「伝承」を一つ一つ調べてる「調査旅行」をしよう!

 確かシルバーには様々な機能が有るし、新たな発見が有るかも知らない。

 別に考古学者になりたい訳では無いけど、「歴史の謎解き」なんてワクワクする。

 そしてそれらをまとめて出版しよう!

 なんて、舞華たちが知ったらなんて言うだろうか?


 寝ている子猫に静かに近づいくと屈んで、そっと指先で子猫のひたいから鼻筋に下ろす様に撫でた。

 『くぅ~ん。』と寝言の様に鳴くと、寝ぼけて指先を咥えてきた。

 ふぁああ~!ナニコレ可愛い! 

 母親の事を夢見ているのか、指をチュウチュウ吸い始めた。

 可愛い♡! だけじゃない!

 愛おしい!これ「母性」かも?


 珍しく、翔叔父は変装したハルカさんと買い物に行っている。

 商店街を案内するとか、

 引きこもって、ろくに案内出来ないと思っていたけど、実際には現物を見てから購入する主義だとかで、張り切ってハルカさんを連れ出していった。

 まぁ、おそらく何か考えが有るのだろう?

 こちらとしては、例の目論見がうまく進んでそうでこの先が楽しみ。

 『あ、そうだ。「登録」しないと、いけないんだっけ?』

 声紋も登録されるので、嵐自ら「音声入力」で「認証コード」を言い、その後「マスター登録」を宣誓し、名前を登録する。

 割と簡単!

 方法は教わっているので、この場で終わらせておこう。

 細かい情報追加はリンクしているスマホからも出来るらしい。

 そうだ、舞華に相談して、私も「猫」を飼ってみようかな?










   
 『それで、叔父に教わった方法で「マスター登録」を行ったんですが…』


 『ですが?』

 『翔太叔父に教わった「認証コード」を読み上げてる途中でシークレット以外の小人さんが起き出して…その…部屋から飛び出していちゃったんです!』


 『ふ~ん、翔太、解説頼む。』
 
 『う~ん、多分ね、コードを聞いてしまった他の機体が試運転状態を初期化してしまって、誤作動を起こしてるかもね。
 おそらくキティとのリンクがキレた状態で再起動した可能性を考えると…?まずいな、いや、有る意味成功かも? もし、何か子供が危険な目にあってたら、「緊急プログラム」が最優先されるかも?』



 『それ、大丈夫なん?』

 『ここでは何とも?一度ベースに戻らないと? あの僕と一緒にいた女性は今何処にいますか?』

 『はい、あの方なら今、上の「スピカ」で特製サンドイッチを召し上がっています。おそらく長い「お花摘み」と思われてるはずです。』
 涼しい顔で九院 岬が答える。

 成る程、随分早く拉致ってきたのは偶然にも側に居たからか。

 ん?「一緒にいた女性」とな?

 『ランちゃん、その場で直ぐ「キティ」に助けを求めなかったのかい?』

 「キティ」時村邸及び地下設備を管理しているメインコンピュータで、翔太の祖父が作った人工知能搭載の心優しいお姉さんみたいなコンピュータだ。

 『そ、それは…、』

 しっかりしたお嬢さんだと思っていたが、それは周りから見くびられない様、常に意識高く努めているから。実際には臆病な子なのか?

 まるで、昔の舞華の様?

 まぁ、子猫を前に緊張が解けたか? でも、いつも気を張ってガンガン行くこの娘がこんなウッカリなミスをするなんて、

 愛おしくて、仕方ない!

 『岬、翔太とその女性を時村邸まで送ってやれ!』
  
 『待って、兄さん。おそらくだけど、ここは優斗くんたちの協力が必要かも!』

 『なら、灯火にも頼む、そうだな「……」も呼ぶか? 灯火、連絡してくれ!』


 『え、絶対嫌がりますよ。ここのチビちゃんでは駄目何ですか?』

 『幼すぎるだろ?それに可愛い甥に危ない事させない!ちなみに
そのカプセルロボは「PMP」的なモンか?車にぶつかって壊れたりしたら回収が大変だろ?』

 『え?大丈夫だよ。この場合、壊れるのは車かな?表面のカプセル装甲は「超重密度合金製」だから、正しく「超合金」!』

 『岬!借り出せるだけ「黒猫」を招集、「キグルミ」実装し、「マンチカン」で緊急出動!』

 壊れるのはカプセルロボでは無く、車の方だよ!

 『ちょっと、舞斗に舞ちゃん! いつまでサボってるの!譲渡会の後片付け、手伝いなさーい!』

 『ゆたかくん、ごめん!ちょっと込み入った事情が!』

 『舞斗は兎も角、舞ちゃんは「店長さん」なんだから、皆さんに締めの挨拶しないと!
 舞斗も!片付けには男手が必要なんだよ!』と二人連れて行かれた。

 『出来だ嫁だ。』
 

 
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