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困った事、難しい事?

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 思えば俺は今まで、母さんのの事をあまり知らなかった様だ。


 幼い頃に、父方の祖母ちゃんや曾祖母ちゃんから聞いていたのは母さんが親父の同級生で、
 学生の頃に猫絡みがキッカケでで、ちょくちょく曾祖母ちゃんの家に入り浸るヤンキー娘で、
 自分の両親とは上手く行っていないらしい事ぐらいしか知らないのだ。

 おそらくは姉さんや兄貴も同じだろう。

 ちなみに俺から見て「曾祖母」であって、親父には「祖母」になる。

 そして今俺たちが住んでいる家は、親父達が結婚した際に曾祖母ちゃんが住んでいた家を増改築したモノだ。

 


 なので、今の今まで、母さんの親類縁者には会った事はない。


 聞いてはいけないのだとすら思っていたから?


 えっと、さて俺ココに何しに来たんだっけ?




 「まぁ、ソレでは京多サンと美海サンは従兄妹同士なのですね!

 素敵デス!」

 嬉々として話を聴いている俺の未来のお嫁さん?

 「えっ、そうなの?

 えっと、じゃあコレからはケイちゃんって呼ぶから、サンジョッチはミミお姉ちゃんって呼びナサイ!」

 
 そして何で急にマウント取り始めたの、ミミ

 

 「なんでだよ、

 って、ソレ本当なんですか⁈」

 
 一方的な話に疑念しかない俺、しかし満更とも思えないのは、美海サンのお祖父さんの俺を見る目が優しいというか、とても悲しさと後悔が感じ取れるから…

 その眼差しが何処となく母さんに似ている様な…

 すると、

 
 「京多君はお母さんの旧姓を知ってるかい?」


 「サッパリ知りません!」


 「威張るなよ!」


 天木がツッコんで


 「と言ってね、所謂、との間の子供なんだよ、君のお母さんは。」



 …さっき一瞬、何かあったかいモノが胸に込み上げた様な感覚が有ったが、今の瞬間冷水をぶっかけられた様に冷え切ってしまう…



 「あの頃ワシは妻を亡くし、幼い息子達を抱えて右往左往している時に支えてくれたのが、君のお母さんの母親、つまり君のお祖母サンだね。

 お祖母さんは当時まだ小さな町工場だったこの会社で働いていた、地方から「集団就職」でやって来た女工だったんだ。」




 「あ、あのこれワタシ黒須達が聞いても良いヤツなのか?」

 「でも美海の爺さん、涙浮かべながら話してるの止められないだろ?」

 黒須サンと天木が声を潜めて話しかけて来た、すると昴が姫乃サンを指差し、

 「ソレに京多より桜庭サンの方が食い入って聞いてるしなぁ?」

 
 …たしかに、ケイタよりも姫乃サンがいる様子、すでにハンカチを用意している?


 「ソレでは京多サンのお祖母サマとは、ご結婚はされなかったのですか?」

 「当時、お世話になっていた方から再婚しないかと、とある不動産会社のお嬢さんとのお見合いを勧められていてね、ソレを知った彼女は姿を消してしまったんだよ。


 もっともお見合い自体は、そのお嬢さんがお腹に居るとの子供を、誤魔化す為の苦肉の策だったのがバレて破談になったんだ。」

 …なんて酷いのドラマだよっ!

 「この事がキッカケでね、話しを持ち込んだ方や不動産会社の方がお詫びだと色々便宜を測ってくれたりと、お陰でココまでやってこれたよ。

 勿論、彼女の事を探したよ…

 でもね、私生児として君のお母さんを育てていた彼女と再会できたのは、病院のベッドの上だったよ。」



 「そんな…⁈」

 お、俺より先に姫乃サンが泣き出してるし、少し冷めた状態で話しを聞いている俺…

 そうか、母方の祖母は亡くなっていたんだ…

 この事実は親父達は勿論知っているのだろうな?


 そろそろ舞台がビルの屋上か、断崖絶壁の崖っぷちに移動して、昭和の名曲「聖〇のララバイ」が流れて犯人が自供する場面かなぁ?

 なんて他人事の様に考えていた俺?

 まぁも自社ビルの屋上なんだけどね?




 



 「ただま~!」

 「ただいま帰りました。」

 「お邪魔しま~す!」


 友達を引き連れて帰宅した俺

 「オヤオヤ、いらっしゃい。

 大勢お客様を連れて?

 賑やかだね。」
 

 「親父、帰ってたんだ?」

 この時間から親父が家にいるのは大変珍しい?


 「いや、今日は思いの外忙しくて疲れたんだ、だから早めに店じまいして帰ってきたのさ。」

 「そんなんで良いのかよ?」

 本来ならまだ店を開けている時間だが?


 「うん、父さんもそう思ったんだが、母さん祖母ちゃんぐらいは良いだろうってさ…

 で、京多、

 そちらのおじいさんもかな?」



 「えっと、ご紹介します。


 俺のデス。」



 「初めまして、婿殿。

 宇佐美 亀太郎ですじゃ。」


 「はぁ、宇佐美サン…ですか?

 えっ、ま、まさか?」


 あっ⁈

 やっぱり知ってるな、親父?


 「お、鬼の松五郎サンですね!

 昔、隣町が荒れていた頃にでまとめて、見事復興のの手助けをした大親分…」

 「何ソレ?」


 「若気の至りだよ、本名が恥ずかしいからと、何処かの大親分の名前を名乗ってしまったのが、災いして愚連隊みたいになってしまっしな。」



 な、なんだソレ?



 「そうでしたか、いやぁ僕らが子供の頃は清水の次郎長みたいでカッコいいって人気でしたよ…っって、



 ん、おじいちゃん?

 京多の?」


 ああ、やはり分かってないのか?


 「つまり、この人は母さんの…」

 そこまで俺が言うと、



 「そう、ワタシ母さんの父親って事でしょ?」


 二階から母さんが降りて来た。


 「しばらく振り、?」


 「あぁそうだな、君も元気そうで何よりだよ。」





 何年、いや何十年振り再会なのだろか?

 感動の親子の再会…

 なんてモノでも無い様で、微妙な空気が流れていた。


 実はココ俺の家まで宇佐美家の車で送ってもらったのだけど、何故かおじいちゃんまで付いて来た?

 さらには昴たちも?

 しかも高級車2台に分けて?



 「ニャ~?」

 「だれ、お客さんん?」


 母さんの後からヒメとオウジを抱いた光里が現れた。

 どうやら母さんの仕事場にいた様だ?

 「ただいまデス、光里サン。

 あの、こちらの方は…」

 一瞬どう説明するか迷った姫乃サンだが、

 「あっ!

 美海お姉ちゃんだ!」

 意外な来客に喜んだ光里?

 かなり前に猫見たさにに遊びに来た事のある彼女美海の事を覚えていた様だ?



 「えっと妹チャン、美海の事、覚えていてくれたの?」

 「うん、一緒に遊んだ事覚えてるよ?

 えっと、はじめまして、三条 光里ヒカリデス!

 あのぅ、は美海お姉ちゃんのおじいちゃんですか?」


 屈託のない笑顔でその老人に挨拶する妹に、俺は一抹の不安と希望が過ぎる?


 「ああ、そうだよ。

 そして、お嬢ちゃんのおじいちゃんでもあるんだよ。」


 「…えぇー、本当~?

 あっ⁈

 それじゃぁ、美海お姉ちゃんは光里の従姉妹サンなの?」


 光里に救われた様な気持ちになった。

 とにかく落ち着いて話したいので、皆んなを…

 いや、昴達は姫乃サンとリビングで、俺と光里、両親と爺さんとは客間で話す事に。



 「…何でワタシたちまで、ココに来たんだっけ?」

 「分からん、何かなんだか?」

 黒須サンと天木が姫乃サンか淹れたお茶を飲みながら考え込む。

 「実は俺の爺さん、宇佐美の爺さんとは若い頃に色々張り合っていたとかでさ、
 まぁ多少噂は聴いていたんだが、まさか京多のお袋サンとそんな関係とは知らなかったよ。

 いや、もしかしてウチの爺さんは気付いてたかな?」

 昴が何やら思い当たる事があるらしい?


 「ウチの爺ちゃんとも何か関わりあるみたいだし、何か昔のドラマみたいで怖いな?」

 どんなドラマだよ、全く。


 そこへ、
 
 「アレ、昴クンじゃない?」

 「ただま~って、何々、何かあったの?」

 「おや、賑やかだな?」


 「…うそ、相良 咲サマだ?

 LUNAサマもいるし!」

 から帰って来たのか、明日菜姉さんたちも帰って来た?
 

 黒須サン、やや放心状態?



 「えっと姫乃、何かあったの?」


 「えぇ明日菜姉様、実はですね…」



 さらにトラブルは加速するのだった?
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