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彼女は俺にはもったいない…でも、それなら。

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 「…えっ?」

 「ハイ、モデルさんのをする事にしました。」


 温泉から帰ってきてからしばらくして、姫乃サンから報告があった?


 実はこんな事が有ったのだと?






 「アレ、こちらの皆さんは?」

 事態を把握しきれない様な赤城サン?


 「あのね、光里のお姉ちゃん達だよ!」


 「赤城サン、アナタは私たちを騙したのですか?」

 そう言って真っ直ぐ赤城サンを見つめる姫乃さん。


 「えっ?

 何の事デス?」


 赤城サンはに何の事かわからない様子で、明らかに動揺していた。

 また、自分が何かやらかしたのでは無いかと心配になったからだ?

 「このヒト社長、ウチの可愛い妹たちを騙して、この書類にサインさせようとしていたのさ!

 どうせ、「ココにサインしたら、この芸能事務所で働かないといけないぞ!」とか、なんとか言って騙して働かせるつもりだったなのさ!」

 
 咲姐さんが睨みを効かせ、周りにいた他の所属タレント達を威圧した。

 「ソレ見せてもらっても、きいですか?」

 徐々に落ち着いてきた赤城サンは紙束を押さえている明日菜さんに近づく。


 「良いけど、破いたりしないでね、だから。」

 既にスマホで撮影している様。

 そして手渡された紙束をマジマジと見る?

 「この書類って…この事務所との雇用契約書?

 だ、騙す?

 どう言う事ですか、社長?

 契約とか本人や保護者の方が納得していただかないと…」

 信じられないモノを見た様な、愕然としている赤城サン。

 「ちょっとした冗談よ!

 そんな違法な事、する訳… 」


 社長、自分で違法と認めちゃったよ?



 「先ずは騙した事、謝罪するべきニャー!」

 ルナ(LUNA)は既に激おこプンプンだお!

 「な、何なのよ⁈

 先程から皆んなで私を、悪者にするつもりなの?」

 無駄な悪あがきをする社長に、

 「ア~ん、数年前に似た様な手口でアーシを騙そうとしたくせに!

 懲りて無いのニャ、この馬鹿タレが!」

 と、追い討ちをかけるルナさん?


 「…あ、アンタ?

 まさか、あの時のコスプレイヤー?」


 「あの時はだった先代社長が、間に入って謝罪してくれたからで済ませたけど。


 アンタの背後で、社長の霊が泣いてるぞ!」


 ソレは怖いけど、どうやら以前も同様な事をしていたらしい。

 現在の西堀芸能事務所の社長は先代の姪にあたる、彼女は学生の頃からとして事務所の雑務を手伝っていた。

 当時も新人発掘の為に、街中でスカウトまがいの事をしていたらしいが、
 小規模な事務所だと知ると、皆離れて行くので、テレビで紹介していた悪徳商法の真似をして、こんな手口を使ったらしい?
 
 無論、叔父に叱られてからは事務所のバイトを辞めて、楽して儲かる職を探していた?

 そう簡単に見つかる訳ないけど?
 

 大学卒業後に勤めていた真っ黒な商社を辞めて、再び叔父に泣きついて、この事務所の経営を手伝っていたが、社長が急な心臓発作で入院!

 その一月後に亡くなってしまったのだ。

 仕方なく後を継いだ形を取っているが、元BLACKな職場で培ったノウハウで芸能界を生き延びているそうだ。

 
 「こんな手口は先代社長が育ててきた事務所の評判を貶めるだけなのニャ!」


 「な、何よ?

 警察にでも、訴えるつもり?」



 「ま、待ってください!

 こんな書面、法律的には何の効力も有りません!

 社長は本当に冗談だったんですよ!」

 必死に弁解する赤城サンだけど、

 「そんなの素人にわからないよ、それを解ってやってるから詐欺なのよサ?

 さて、どうしてくれようか?

 ねぇ、咲っち?」

 身内に手を出されて、黙って済ます咲姐さんでは無い!



 「…ウチの顧問弁護士に連絡した、余罪はトコトン追求する!」


 「そ、そんな!

 ココには真面目にお仕事をしている役者サンやモデルさんも居るんです!

 警察沙汰なんて、もし仕事を打ち切られてしまったら、皆んな困ります!」


 赤城サンの言う事もわかるけど、



 「あ、あの、私に考えが有るのですか?」

 姫乃さんが何か思いついた様?
 



 

 「ソレで、姫乃サンは何を思いついたの?」

 何か嫌な予感が…?

 「実は咲サンも明日菜お姉様も事務所には所属しておりません、マネージメントは咲さんのお宅で執事サンの様な事をなさっている「田所サン」が全て管理してくれています。」

 「田所サンかぁ?

 あのヒト、色々と多彩なヒトだからなぁ?」

 咲姐さん同様、田所サンとは幼い頃から顔馴染みで、ウチに遊びに来た咲姐さんの帰りが遅い時は、高級車でよく迎えに来ていたから。



 「それでどうするつもりなの、姫乃サン?」



 「実は私、サクラバフーズの株主なんです。」

 「へ?」

 「祖父の遺産も少し頂いてます。」


 「はぁ、ソレで?」

 突然のお金持ち発言に頭がついていかない?

 「あ、その前に注文のモノが来た様ですよ?」

 姫乃さんはフルーツパフェを、京多はコーヒーフロートを頼んでいた。 

 「け、京多さん、ソフトクリームの所、少し食べます?」


 「えっ、うん、じゃあ少しもらおうとかな?」

 「はい、ソレじゃ「ア~ン」して下さい!」


 「えっ?


 は、話しを戻そうか?


 それで、姫乃サン、一体何が有ったの?」


 「はい、咲さんに協力して頂きまして、西堀芸能事務所をました。

 私、タレント兼社長になりました。」




 「…何かの冗談で?」


 「本気です。

 はい、ア~んしてくださいな?」


 「いや、そうでなくて!」


 「…ん、どうしました?

 わ、私たちは婚約者フィアンセですの!

 恥ずかしいことなんて有りません!」

 「いえ、ソッチでなくて、社長やタレントをヤルって話しです!」


 いきなりしたいとココ喫茶店に連れて来られて、パフェを食べてる俺たち?

 いや、俺はコーヒーフロートだけど?


 「ソレなんですけど、先日ルナさんに誘われてと言うお仕事をしてみたんですけど?」

 「へぇ、こ、コスプレですか?」

 ルナさん、恨みますよ?

 姫乃サンの何か内面を刺激しましたね?


 「あ、あの姫乃サン?」

 「私、教わったんです。

 ルナさんから。」


 今はウチのエンゲル係数を爆上げしているルナさん、仕事はしている様だが、詳しく分からない?

 そういえば、コスプレイヤーの仕事もしてるとか、聞いた様な?


 「見られたく無いモノは見せなければ良い、
 衣装なりメイクなりで隠したり、
 誤魔化したり、
 今の自分とは別の自分に変わる事が出来る、

 ソレが『コスプレ』なんです!」


 「はぁ?」


 豪語する姫乃サン!

 最近ではも、徐々に元の綺麗な声に戻ってきている。

 なんか極端だけど、かなりポジティブに行動し出した婚約者が眩しく見える。


 「でも、素人に社長なんて、しかも芸能事務所でしょ?

 大丈夫なの?」


 「ソレについては、少々心当たりが有りまして…フフ。」

 そう言って、妖しい含み笑いをする姫乃サン?

 Dan ~Dan、俺の知らない姫乃サンに変わって、ちょっと怖い。



 

 「桜庭さん、その節はホントにお世話になったっス!」


 「マミマミさん、突然呼び出して失礼しました。

 実はご相談したい事が有りまして。」


 …マミマミさん?

 誰?

 「このヒトがのコンニャク者サンですね?」
 
 「蒟蒻ですか?」

 姫乃サン、噛んだな?


 「ま、マミマミさん!

 そ、その事は深く掘り下げないで下さい!

 恥ずかしいじゃないですか!」


 「すいません、つい。」


 何の事か、わからないが俺の知らない所で、随分と親しい友達を作っているみたいだ。

 良い事なんだけど、この後の展開が不安だ?


 「実はマミマミさんは、この間コスプレを一緒にして頂いたコスプレイヤーさんなのです。」


 「本名は「足立 まみ」と言います。

 実はアナタ達の先輩になります。」


 …?


 「もしかして、数年前に「空想装飾部」を立ち上げた足立サンですか?

 学園祭のステージでの「八変化」をしたと言う伝説のレイヤーの?」


 「そ、そんな伝説が残ったいるッスか?

 今は友達ので専属レイヤーをしながら、学生してるッス。」


 ウチの学園、在学中に起業してしまうヤツとかいるらしいので、そのケースかな?



 「ソレで、自分にどんな話しがあるっスか?」


 語尾に「っス」って付けるのは作りかな?



 「実は私、ある芸能事務所を買い取りまして、そこの社長になりました。」



 …驚くよな、きっと。



 「…はぁ、そうッスか?

 流行ってるんデスか、って?」


 あまり驚いてないな?


 「そこで、まみサンには新米社長にご助力をお願いしたいのです。」


 「…えっと自分、姫乃サンに協力は惜しみませんが、一体どんな事を…」


 「先日のコスプレ、大変楽しかったデス!」

 「そ、ソレは良かったっス?」


 「あのお仕事を企画された方をご紹介下さいませんか?

 その方に事務所立て直しのアドバイザーになって欲しいのです。」


 「え、エェーー!」

 驚く足立

 姫乃サンって、結構腹黒い?

 





 「ソレでマミマミは、ワタクシ山王院 二葉の事、お話になられたのですか?」


 「いいえッス!

 まさかデスよ、当人にお話ししてからと、近日中にお返事しますとだけ…どうするッス?」


 「…面白いデス、姫乃サン!

 もしかすると、後々二葉のビジネスパートナーにお招きしたい人材デスの!


 でも、さすがに今私が表舞台にでるのは時期早々デスの。」


 「じゃぁ、断るッス?」

 「いえ、私の代役を立てましょう!

 二葉はあくまでからご助力します。

 なので、最強の軍師孔明役は見た目にそれっぽい人を起用します!」

 「誰かアテが有るッスか?」


 




 「…は、はじめまして、「十鐘トウガネ 千鶴チヅル」と言います。

 …趣味は読書とお昼寝、特に猫と一緒なら何時間でも…

 ちぃちゃんと呼ばれてるから、そう呼んで。」

 「ハイ、はじめまして!

 桜庭 姫乃です!

 よろしくお願いします、ちぃちゃんサン。」


 「コレ姫乃の後見人、相良 咲だ。

 アナタ、以前何処かで会ってないか?」
  

 「…ちぃちゃん、普段は古本屋さんで働いてる、…アナタ、何度かお店に来ている…時代劇小説が好き?」


 「ああっ⁈

 この下の古書店か!思い出したぞ?

 店の中も外も、猫が溢れていた店か!」

 「…そうだね。

 猫好きの天国…。」

 このゆったりマイペースお姉ちゃんのちぃちゃん、二葉はこのお姉さんに自分の身代わり代理人を頼んだ?

 
 「…ちぃちゃんは、ココのお仕事の合間にのお仕事を手伝ってるだけ、…だからココを離れられないよ?」
 
 
 場所を「特製オムライス」が上手いと評判の喫茶店に場所を移して?

 「…ココ、「の気まぐれパフェ」オススメなの…特に看板娘が。」



 「そうなのデスね、

 では、すいませ~ん!

 この「看板娘の気まぐれパフェ」を追加で!」



 「はい、かしこまりました、

 ソレでは三人娘の中からお選び下さい!」


 「では、ちぃちゃんサンのオススメの看板娘サンでお願いします。」


 「アイムんパフェ、絶?」

 「ソレでお願いします、


 ソレでちぃちゃんサン、こちらはアドバイスを頂きたいだけで、常に行動を共にして欲しい訳では有りません。

 基本業務はコチラの相良 咲サンのお身内の方にお願いする段取りに、なっております。」


 「そういう事だ、こちらがアナタに頼みたいのは、コレからのだ。」


 「…具体的に言ってくれないとわからない…?」


 「私が社長を務める事務所は、歴史は長いけどこれまで大きく取り上げられる様な事はありませんでした。」

 
 「…うん、それで?」


 「ちぃちゃんサンは出来ればその都度、アドバイスをくださいませんか?」


 「そんなのでいいなら、やぶさかでは無い、連絡はマミマミを通して。

 …ちぃちゃん、スマホはもってないから。」


 「えっ、そうなんですね?

 なら、お店に行くのは大丈夫ですか?

 私、古本屋サンって、一度も行った事無くて?」


 「…師匠…店長サンに叱られない程度なら、お話ししても良いと思う…。」



 「あ、いえ、すいません!

 本業に差し支えない程度で良いので、協力していただければ…」


 「…うん、ソレなら大丈夫。

 ちぃちゃんで良ければ協力する。」









 「…って、アレで良かったのかな、二葉サマ?

 なんか、アレだと私、危ない娘みたいだけど?」


 「ありがとうございます、千鶴サン!

 そういうで行きますから!」



 「もう、普段は寝不足だからフワフワした感じになるけど、ちゃんと目が覚めていれば、に話せますからね!」



 「ソレに気付いているの、お父様だけですわ。」


 「とにかく、ちぃちゃんはこのキャラで二葉サマの代役をすれば良いのね?」


 「えぇ、時を見てから姫乃サンに本当の事を打ち明けるまでは…。


 まみサンもそのつもりでお願いしますね?」



 「…はぁ、自信ないけど、やってみるッス。」


 だって?
 
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