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見えない所に気を使おう⁇

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 我が家の小さなプリンス、

 オウジはどうやらアメリカンショートヘアーの血筋も受け継いでいた様だ。


 見た目がほぼアメショなので、多分そうだと思う。

 ある日、やたらと首筋を後ろ足で掻くので、触って見ると小さなが有った。

 体毛に隠れて見た感じではわからないが、撫でた時にちょこんとぶつかるのだ。


 …ついにか。


 血統では、スコティッシュフォールドだからと安心していたが、まだ子猫のウチからとは?


 あまり知られていないが、アメショとは体質的にポリープ腫瘍が出来やすいそうで、成長と共に現れたり、体内外に突然現れたり、逆に全く無かったりと個体差は有るそうだ。

 悪性ならすぐ切除手術、どちらにしても動物病院に行く事をお勧めする。


 幸い、オウジはただのだった。


 以前、ウチに住み着いた野良アメショはオデコに一つ、腸内に数カ所とかなり心配したが、かなり高齢だった事で治療が延命にならないかもと自然に任せる形で最後まで面倒を見た。

 まだ光里が赤ん坊の頃の話しだ。

 オウジは塗り薬だけで済みそうなので、安心した。

 その代わり、爪切りをマメにすることになった。

 大和やヒメば大人しく切らせてくれるのだが、オウジは臆病なところが有り、結果的に俺と姫乃サンの二人がかりで爪を切る羽目になった。


 それと普段引っ掻くといけないので、人間がムチウチになった時に付けるコルセットみたいなモノを付ける事になった。

 何故かコレは意外に嫌がらない?

 薬を塗るとスゥスゥして痒みが治るのか、掻いて外そうともしないので、五日程で吹き出物はおさまった。


 ひとまず安心したけど、また再発するかもしれない。


 まだ子猫なので、気をつけてあげてくださいねっと医師に言われた。



 「…っと、なんて事が有りましてね。」

 「へぇ、ソレは大変だったね?」


 ココは前回と同じ…では無いがコンビニの側の公園のベンチ。


 俺はピザまん、一真さんは肉マンを食べながらお互いの近況を報告しあっている?


 まぁ理由は色々有るけど、カズ兄さんとは気が合いそうだから。


 「そうそう、に居た頃、お世話になった家政婦さんに聞いたんだけどね?」


 「はぁ、何か分かりましたか?」


 次男の一真さんは家を継ぐ事は無いので、比較的自由に育てられたそうなんだけど、

 後に政略結婚とかの外部とのコマに使われる可能性から、わざと当主に不評を買い絶縁されたそうだ。


 姉が「桜庭」の姓を思い出せなかったのは、学園を途中で退学したからではないかと推測した。


 中卒ながら、現在は印刷会社に就職して画像処理とか、しているらしい。


 「兄さん、桜庭の今までのやり方を変えようとしている…のかもしれないそうだよ?」


 「後半頼りないですね?」

 「父さんとよく揉めてるとか、分家の若い人と新しい派閥を作ろうとしてるとか、そのくらいしか聞けながったからね。

 具体的なことは一つもわからないんだ。」


 「仕方ないですね、玲子さんには聞けないし、ましてや姫乃サンは蚊帳の外っぽいし?」
 

 ウチも元々は農家なんだが、桜庭さんちとはレベルが違い過ぎる。

 ウチの跡継ぎ問題は大体解決しているし、兄貴は子供が産まれるし、気楽なモンだけど…


 「そうそう、最近の姫乃サン情報デスが…」

 「うん、何か変わった事は有ったかい?」

 「光里からの情報ですと、お胸が2センチ増えたそうです。

 なんでも風呂場で姉さんと大きさを比べて、接戦だったそうですよ!」

 ぶぶっ!

 緑茶を飲んでいたカズ兄さんが、ムセた。

 「京多クン、そんな情報は求めてないよ!」


 「何を言いますか!

 姫乃さんがウチの姉と妹、三人で入浴したんですよ!

 大事件じゃないですか⁈」


 「そ、それの何処が事件なんだ⁈」


 「…事件ですよ。

 姫乃さんは最初は一人っきりで風呂に入っていたんですよ、ご兄妹ならわかるでしょ?」


 「わからないよ⁈」

 「姫乃さんは手術の傷痕を見られるのを嫌っているんです、

 ところがデス!

 そんなことお構いなしに、光里に甘えられ、姉にせがまれて、ついに一緒に入浴するまでになったんですよ!

 コレはいい傾向では?」


 「…そうだね、ごめん京多クン!

 僕はてっきり…君が覗いたとか…疑って…

 さっき、って言ったけど、京多クンは見た事あるの?」
 「有ります!

 その件で責任とっての婚約の流れでしたよ?

 まさか、姉から聞いてないとか?」

 「妹を不憫に思って婚約したけど、今はお互い本気で好きらしいからとだけね!」


 「改まって他の人に言われると照れますね?」

 「それで、見たの?覗いたの?」

 「微妙に同じですよ、ソレだと?

 真相は姫乃さん自ら、見せてくれたんです。

 下着姿でしたよ、その時は。」


 「ソレもどうなんだろうね⁈」


 俺は改めて、その時の事を一真さんに説明した。

 複雑な心境だろう、俺もそうだった。

 突然、女の子が服を脱いで、下着姿で涙を浮かべて迫られたのだから。


 「我が妹ながら、大胆だな?」

 「追い詰められていたんですよ、色んな事に。

 でも、それが突然無くなって別の不安に襲われたんです。

 自分がまた不必要とされるんじゃないかって事に?


 しませんけどね。

 本人にも言いましたが、頂いた以上は返品しませんからね、姫乃サンもヒメも。」


 「姫乃はとんでもないのと婚約したかもしれないな?」

 「未来のに酷いじゃないか、カズ兄さん!」

 「…からかってるだろ、京多くん?」


 「いえいえ、人生の先輩として頼りにしてるんですよ、コレでも。」

 「信用し辛いなぁ?

 それじゃ、姫乃に如何わしい事はしていないんだね?」


 「ハイ、まだ立派なDTです!
 ですが玲子さんには何故手を出さないのかと、激昂されましたよ?」

 「か、母さん…アナタという人は…。」
 

 苦悩するカズ兄さん、同情します。


 「そうは言いますが、それしか家から出る方法は無いと玲子サンがおっしゃってましたし、既成事実さえ有ればどうにかなるって。」

 娘の貞操を奪えとは母も手段は選ばない人なんだと、初めて知ったカズ兄さん。

 「まぁワザと廃嫡されるように仕向けた僕がどうこう言えた立場じゃないどね。」


 「一体ナニしたんです?」

 「…黙秘権を行使します。」


 きっとモノごっつい事なんだろうな?


 「そのウチ、その経験から来たる日の為に、色々とご相談に乗って欲しい事が!」

 割と真剣である。

 「な、なんだい、その経験って?」

 
 「高校中退とか、最終学歴中卒で社会人で働いてる、絶対同じ歳の奴より人生経験豊富そうで…

 一真兄さん!

 どうか俺に、失敗しない初エッチのコツを教えて下さい!」

 その場で土下座しそうな勢いで、頭を下げる俺!

 「ば、バカか、君は⁈

 何を考えているんだ!」


 呆れて罵倒するカズ兄さん!


 「こんな事、同じ歳の友達にも、ましてや親にも聞けないし、男兄弟でないと聞けなくないですか⁈」

 割と真面目な悩みなんだけど?


 「ただの下ネタじゃないのか?」


 「いや~オレ、兄弟で下ネタ話して盛り上がるのに、憧れていたんです!」


 何しろ兄がアレなもんで。


 「…君、お兄さん居るよね、だったら?」


 「アレはダメです。

 全て、直球勝負で全力全開だから、駆け引きが出来ないんですよ。

 なので、参考に成りません。

 結果、避妊もせずHして、赤ちゃんが出来たから結婚なんて、本当に相手の事も考えないで、勢いだけなんですから!


 まぁ堕したりせず、子供が出来た事を純粋に喜んでるのは、兄貴らしくて好きですけどね。」

 そう、嫌いでは無い。

 「…見習いたいな、そんなお兄さんを。」

 「ダメです、そんな兄を見習ったら、明日菜姉さんはモノに出来ませんよ。」

 
 「少なくとも、君の悩みには答えられないよ。


 …実は、僕も経験ないし。」


 「ええー!
 じゃあ、なんで家を追い出されたんですか?

 女の子、孕ませたとかだとばかり、カズ兄さんイケメンだから、タラシなのかと?

 あと、会社の先輩から風俗に誘われるとか?」


 「ちがうよ!

 ナニ、その偏った思い込みは⁈」


 …とても昼間の公園で話す事じゃないな?


 でも、親密度は上がったかな?
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