上 下
12 / 79

兄、凸撃後、撃沈する?

しおりを挟む
 ソレはある日凸然現れた!


 「突然お邪魔してすいません、桜庭 斗真とうまといいます。

 妹の様子を見に来たのですが?」





 ソレは姫乃サンがこのウチに来て二週間程経過した頃。

 俺と光里、姫乃サンとタカさんとで、リビングで楽しくテレビを観ていた時だった。


 玄関のチャイムが、気持ち遠慮気に鳴った気がした。


 その人は結構な手土産を持って来て、光里が喜んでいた。



 「お、お兄様?

 どうなされたのですか?

 いつもなら日曜日は、市場調査にと観光地や繁華街へお出かけしているのに?」

 明らかに嫌悪の表情が感じられる。

 「ソレは部下に任せて来たよ。

 お前姫乃がコチラで、上手くやれているか心配でね。」

 何かに触る言い方だな?

 「そ、そうですか…。」



 …うむ、ウチの兄貴とは随分違うな。

 普段からこんな対応なのかな?


 でも、この人…


 顔は笑っているけど、目が冷たい?

 …様な気がする。


 ウチの兄貴みたいに、子犬が遊んで欲しいと尻尾を振って近付いて来る時の目のような、暖かくてキラキラした目では無い。


 確かサクラバフーズの専務だったかな?


 「姫乃が御迷惑をかけてすいません。

 今までロクに人とお付き合いしてこなかったので、

 所謂「コミ障」なものですからね、皆さんのお邪魔になってないか、心配なんですよ。」


 「…コミ障だなんて…?」

 タカさんが声を震わせていた。

 「お兄ちゃん、「こみしょう」って何?」

 「なんだろな、難しくって兄ちゃんもわからないよ。」


 ウチの妹に変な言葉を聴かせるな。

 俺の姉を怖がらせるな…そして、

 俺のを馬鹿にするな!


 …あれ、やば、なんか頭にモヤが…?


 「アラ、お客様かしら?」


 「あ、お姉ちゃん!

 あのね、ヒメお姉ちゃんのお兄ちゃんなの!」



 なんだ、姉さんいたのか?

 助かった、危なくこのヤローに殴りかかるところだったよ。
  

 ん、あれ、

 「この家の長女で三条 明日菜と言います。

 今、の妹をしましたね?」


 「…はっ⁈

 あ、いえいえ、私は姫乃がご迷惑を…」

 「はこの数日、私に美味しい朝食を用意してくれて、夜はガールズトークで楽しく過ごしているの。」

 現れるなり、憂いを秘めた目で斗真を見据える姉。

 「幼い妹の髪を結ってくれたり、義姉と夕食の献立をアレコレと相談したりと…

 コミュニケーション能力はかなり高いのだけど?」

 さすが姉さん、ジリジリと斗真の奴に近づき、追い詰めていく!

 「…う、美しい…」

 はぁ?


 「はぁ? ソレはどうも。

 ソレはソレとして、アナタの姫乃に対する認識が、私たち兄弟と余りにも違い過ぎる。

 兄であるアナタと随分違うのは何故かしら?」


 「そ、ソレは?」

 「もう一人のお兄さんも同じなのかしら?」


 「もう一人、「一真カズマ」の事ですか?

 アレも変わり者ですが…」

 なるほど、もう一人の兄の名は一真と言うのか?

 「あ、あのお兄様!」


 「ん、どうしたんだい、姫乃?

 急に大声を出して?」

 
 「私の事をご心配しれるのは嬉しいのですが、少し過保護過ぎます。

 なので、ご心配にはおよびませんわ!

 私はコチラで一からやり直す覚悟ですから!」


 ちょっと震えて、眼をウルウルさせて、でも声は、言葉は力強いものだった。

 「だそうだから、お帰り下さる?

 この後、可愛いお客さんがいらっしゃるので。」

 姉さんの冷たい言葉が癖になったか、ウットリ聞いている 馬鹿兄?

 あ、いすずちゃんたちが遊びにくるんだった。

 「…そうでしたか、ソレはお邪魔でしたね?」


 結果、追い返すカタチになってしまったが、


 「明日菜さん、不快な気持ちにさせたお詫びに、お食事にお誘いしてもよろしいですか?

 私にこの挽回の機会を頂けませんか?」

 と申しておられた?


 ま、まさか姉さんに惚れたか?



 「まぁ、暇でしょうがない時ならいいわ?」


 あ、貢がせるのか、弄ぶのか?


 桜庭兄にお帰り頂いたのと、入れ替わる様にいすずちゃんたちが遊びに来た⁈


 1、2、3人?

 おや、お前も来たのか、ユウキ君?

 「光里ちゃんち、新しい猫が、来たって聞いたから観に来ました。」

 「うん、いいよ!

 さぁ皆んな入って、入って‼︎」


 ソレからしばらく、お子様たちと楽しい時間を過ごした。

 
 今度はお子様たちがお帰りになるのと入れ替わりに、姫乃サンのお母さんである玲子さんが申し訳ないと謝りに来たのだ。

 「今度は愚息がご迷惑を…!」

 

 なんかこの人は、ウチに来るたびに頭を下げているな?

 大手の社長さんなのに?

 
 「コレが元で京多くんが姫乃とのを解消したりしないか、心配で!」

 「はははは!

 京多が?婚約を解消?

 無い無い無い、そんな度胸無いし、京多はヒメちゃんにほの字だから、そんな事はあり得ないさ!」


 心地よいくらい息子を褒めてないが、言いたい事は伝わる母の暖かいお言葉⁈

 そう言えば、玲子さんがウチに来るのは、俺と姫乃サンの婚約が済し崩しに決まったあの日以来か?


 「そう気に病むな、久しぶりに呑むか?」

 「そ、そうね?

 そうしようかしら?」


 「ケイタ、タカちゃん、何かツマミ作って!」



 あーあ、コレは今晩は大変な事になりそうだな?



 「ふふ、お母様、楽しそう。」

 良かった、チビっ子たちとと仲良く遊んでいたから、多分大丈夫だろうと思っていたけど?


 「姫乃サン、ツライ時はいつでも言って下さいね、大した事は出来ませんが、頼って下さい!」

 「…京多サン、ずるいです。

 私が頑張ろうとしている時にそんな事言うのは?」

 「え、ダメでした?」

 「そ、ソレだと京多サンに甘えちゃうから…
 
 わ、私、強くなるって決めたんです!」

 「…たまには、あ、甘えてくれても良いのでは?

 その、こ、婚約してる訳デスし?」

 ナニを言っているのだ、俺は?

 姫乃サンの決意に水を刺す様な事を⁈



 「わ、わかりました!

 ならこれからは、頑張ったご褒美として、京多サンには何か一つお願いを聞いてもらう事にします!」


 …お願い?

 ナニソレ、カワイイ?



 「なので、今日の分をお願いします!」

 「な、ナニをスレば?」


 「えっ、そうですね?

 では、頬にキスして下さい!」


 姫乃さん、アナタは旧い少女マンガのヒロインですか?



 幸い、周りにだれも居ない二階のベランダで東京でなんとかようやく見える星なんか見ていたので、

 シチュエーションとしては問題無いかな?

 「では、いいですか!」

 「ハイ、お願いします!」


 なんか違うかも?

 まぁお互い多分恋愛初心者だし、コレはコレでアリかも?



 チュッ…

 「あ、ありがとうございます、ポッ♡」

 「い、いえ、コチラこそ、
ぽぽっ(≧ω≦)」
 

 しかし、後で知ったのだが、この時、
 何故か前触れもなく遊びに来た咲サンに観られていたらしい。



 「け、ケイ君が…大人に…⁈」

 とても意外な人がおかしくなり始めていた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

6年3組わたしのゆうしゃさま

はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏 夏休みが終わり登校すると クオラスメイトの少女が1人 この世から消えていた ある事故をきっかけに彼女が亡くなる 一年前に時を遡った主人公 なぜ彼女は死んだのか そして彼女を救うことは出来るのか? これは小さな勇者と彼女の物語

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

神様と共に存る世界で

アオハル
キャラ文芸
ほんの少し、神様や妖(あやかし)と呼ばれる者達との距離が近い世界。 山の中腹にある梅林が名所として名高いとある場所。村と言う程小さくもなく、都会と言う程大きくもない。 そんな土地に住む「神様」と人の物語。 ※この作品に出てくる「神」や「あやかし」は、伝説、民話や伝承とは異なる独自の設定が多数含まれておりますので、あらかじめご了承ください。

もののけ学園 ~天狗隠しのJK~

坂本 光陽
キャラ文芸
女子高生の小津野亜湖は、幼い頃に天狗隠し(神隠し)にあったことがある。そのせいもあり、友人を含む女子高生連続失踪事件は天狗の仕業なのでは、考えていた。 そんな時、転校生,天音翔がやってきて、事態は予想もつかない急展開を見せ始める。 天音は一体、何者なのか? 天狗隠し事件の真相は? 真犯人は一体、誰なのか?

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...