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学園天国と地獄?

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 姫乃さんが転校して来た日から、クラスはおろかは大騒ぎだった。

 そもそもお祭り騒ぎの好きな学園だ、当然と言えば当然なのかも?


 兎に角、情報の拡散が脱兎の如く早い?

 噂を広めているのが、ホーンラビットの様に可愛い癖にツノが有る様なヤツ、同じクラスの「宇佐美うさみ 美海みみ」だから!


 「ねー知ってる?

 ウチのクラスに転校して来た桜庭さんって、さくらばふーずのご令嬢らしいよ⁈

 って、さくらばふーずってナニ?」


 「桜庭サンって、読モヤってる三条 咲パイセンの家に下宿してるんだってさ⁈


 アレ、三条パイセンって、学園を卒業してるんだっけ?」


 「ねぇねぇ、桜庭サンって、今までオンリーで、学校とか通った事無い「箱入り娘」なんだってよ⁈

 って、箱入りってナニかな、サンジョッチ?」



 と、こんな調子でにも話しかけたバ…個性的な女の子だ?


 「なぁ、

 その三条先輩がサンジョッチの姉だって知ってるか?

 あと、「三条 明日菜」だからな、姉さんの名前は!

 咲サンは「相良 咲」、ごちゃごちゃになってるぞ?」


 知ってるハズなんだがな?

 小等部の時に、猫を見に勝手にウチに遊びに来ていたし?

 その時、二人ともいたし。


 「うん、知ってるよ!

 アレ、それじゃ教えなくても知ってるじゃん!

 あ!

 この雑誌に咲パイセンが出てるのね、ミミちゃんへってサインちょーだい!」

 ウザっ!


 姫乃サンと同居している事は、特別隠している訳ではないが、「婚約」の事はあまり知られたくなかった。

 その経緯や、姫乃サンが俺より高物件が有ればソチラに乗り換えられるかもしれないし?

 「そっか?

 じゃあ、姫ちゃんはサンジョッチと一緒の家に住んでるんだ?」


 「そうなるな、よくわかった、賢い賢い!」


 「よくわからないけど、バカにしてるな?

 イイもん!
 いいんちょに言い付けてやるから!」


 子供か?


 「おい、ケイタ!」

 「天木、開いてるぞ?

 ピンクなんて、随分とセクシーなの履いてるな?」


 「ば、バカ見るな!」

 又ウザ五月蝿いのが来た?

 帰りたい…。



 「お、おま、お前、桜庭さんと、ど、ど、同棲しとるそうだわな?」


 「桜庭サンがウチに下宿してるだけだが、ウチは部屋数多いのは知っているだろ?」

 天木あまきも小等部からの顔見知りだ。

 なんでも、祖父がそこそこ名のある漫才師で父親も元芸人、本人もお笑い芸人志望なのだが、教室の空気を寒寒とさせる達人だ?

 「じゃあ、俺も下宿する!」


 「申し訳ありませんが、只今満室でござる。」

 「今、部屋数は有るって!」

 「多いと言ったがとは言ってない。

 北海道に行っていた兄貴が嫁さん連れて帰って来たんだ。」


 「な、何だと!

 那由多が!」


 ココで天木が言うとは、芸人サンが先輩を兄さんと呼ぶのと同じ意味らしい?

 「兄貴の嫁さん、今だから、お前が来て驚かしたら、お腹の子に悪いだろ?」


 「待て待て!

 情報が多い上に、事が重大過ぎて付いていけないぞ!」


 しらんけど、もう会話に寒いギャグは挟む余裕も無いようだ?


 これでもまだイイ方だ。

 午後のホームルームが終わってからが又大変で、


 「桜庭さん、合唱部なんだけどこれからカラオケ行かない?」


 「光画部だ!

 君こそ我が部の専属モデルに相応しい!」

 「アニメ部です!

 是非声優として参加しませんか?」


 「文学部よ!

 一緒にに浸らない?」


 姫乃サンが虚弱体質だとウザみが広めてくれたので、体育会系の部活からの勧誘は遠慮してくれている様だが、比較的クセの強い文化系部活動からの勧誘が凄い⁈


 仕方ない。



 「すいません先輩方、は主治医から刺激の強い事は控える様に言われていますので!」 

 「あ、アナタ、ナニ呼び捨てにしているのよ!」

 文学部のメガネ女子先輩がヒステリックに尋ねてくるので、


 「姫乃の親から頼まれた、お目付役兼用心棒なんすよ。」

 「…お目付役…用心棒…ですって?


 なんて、魅惑的なワードなの!」


 あ、やば?

 乙女ツボだったか?


 すると姫乃サンは、

 「皆さん、すいません。

 コレから主治医の診察のがありまして、お話をお伺い出来ません。

 本当に残念ですが本日はココまでに…」

 と、頭を下げた。


 姫乃サン自らお詫びしている、これ以上は礼を損なうと皆引き下がってくれた。


 「さぁ京多サン、お待たせしました。

 帰りましょうか、ヒカリちゃんが待ってますよ。」



 「あっ!

 お兄ちゃん、ヒメお姉ちゃん、コッチだよ!」


 校門脇のベンチに座って待っていた妹

 「えっとね、お友達のいすずちゃんとみなこちゃん!」


 「こんにちは~!」✖︎2

 「にゃお。」

 「それといすずちゃんちのネコのメイメイだよ!

 メイメイは頭が良いから、いつもいすずちゃんをお迎えに来るの!」

 「お使いも出来ます。」

 「にゃお。」


 「す、ステキですね、メイメイさん!

 あ、あの撫でても良いですか?

 ケイタさん、のヒメちゃんたちも出来ますか?」

 途端にテンションMAXな姫乃サン?



 「させませんよ、誘拐されたらどうしますか?」


 「そ、そうですね?

 ヒメちゃんたち、まだ小さいですものね!」


 基本、飼い猫は大きくなっても外に出さないけど、まぁそのお家の飼育スタイルが違うし、このメイメイって猫も、何か普通の猫とは違う気がする?

 あえて言うまい。

 鳴き声が、猫と言うより人が猫の鳴き声を真似ている様な…

 ピカりんのお友達が気に病むといけないからな、知らんフリ知らんフリ?


 実は帰りに皆んなでペットショップに行く約束をしている。


 「いすずちゃんとみなこちゃんも一緒に行きたいって!」

 「メイメイに他の猫さんと合わせてあげたいから。」

 「わ、わたしはそのウチ、猫を飼うかもしれないから!」


 「だから、一緒に行ってもイイでしょ?」

 「ケイタさん、私からもお願いします。」


 「わかったよ、皆んなイイ子にしてくれな?」


 「は~い!」✖︎5


 …アレ?

 
 「いすずちゃん、ならメイメイと一緒にウチに遊びに来なよ?

 まだ子猫の友達が出来るかもよ?」


 「本当ですか?」


 「ウチはいつでもイイよ。

 今度の日曜とかでもいいなら、遊びにおいで。

 みなこちゃんもね。」


 
 まさか、このお誘いが後にミラクルを呼ぶ事になるとは?




 
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