上 下
9 / 79

コレは当然の流れでした。

しおりを挟む
 ついにこの日が来た!


 新しい希望と絶望の

 「よう三条、オハ幼女!」

 「おう、死んでしまえ天木、おはよう。」

 「ケイタ君、おはー、何か良い事あった?」

 「花澤さん、おはよう。

 まだナイショだ。」


 朝、教室の当たり前の光景。

 クラスメイトと当たり前に挨拶して、担任が来るのを待つ。


 早く来てほしい、いや来なくてもい?


 その瞬間が待ちどうしかもアリ、逃げ出したくもアル?


 事前に聞いていたとはいえ、心配なのだ⁈


 だって、今まで学校に通った事が無いって…



 「ハーイ、皆んな席について下さーい!」


 男子にも女子にも人気の担任女性教師が、女神サマの様な微笑みと優しく爽やかな声で、颯爽と教室に入ってくる!

 「きりーつ!」
 「れーぃ!」

 「ちゃくりく!」

 委員長の花澤さんの号令で、スムーズに進むはずが、

 天木のつまらないギャグで、台無しで有る。


 「ハーイ、天木く~ん、もっとセンスを磨こうね⁈

 では、出席を、取る前に…」

 「先生のドロボー、取ったらちゃんと返せよなー?」

 笑いは起こらないが、舌打ちは聞こえたかも?


 「天木くん、ごめんね?
 アナタのなお笑いや出席を取る前に今朝はが有ります。

 桜庭さん、入り辛いかも知らないけど、入ってきて。」


 来た!

 ついに来た!


 「…失礼します。」

 森林を吹き抜ける風の様な、夏の暑さを忘れさせる風鈴の音色な様な涼やかに澄んだ声が、天木のギャグで澱んだ教室の空気を一瞬で変えた!


 「ハーイ、転校生を紹介しま~す。

 「桜庭さくらば 姫乃ひめの」さんです!

 皆んな、仲良くしてあげてネ!」


 ゴクッ?

 一部の男子が息や唾を飲んだ?

 はわわぁ~ん。

 一部の女子がときめいた?


 「初めまして、桜庭 姫乃と申します。

 …幼い頃、病弱で満足に学校に通う事が出来ませんでした。

 なので、歳は皆さんより一つ上に成ります…

 多少、た所も有ると思いますので、呆れず仲良くして下さい…ネ。」

 

 …パチパチ、

 パチパチパチパチーー!

 「素敵、お友達になりましょう!」


 「その覚悟ヨシッ‼︎
 見習わねば!」

 「チッ、病みアピールかよ?」


 「お、推せるであります!」


 反応は色々だが、まぁこんなモンだろう?


 第一段階は無事済みそうだ!


 俺が安堵していると、相変わらず空気を読めない奴が、

 「桜庭さんは恋人居ないなら、ボクと付き合いま戦艦大和!」

 また、天木が…?


 「…恋人ですか?

 恋人はいませんが、婚約者なら…居ますヨ?」


 「やん、ガチお嬢様じゃない!」


 「天木ぃ~、お前飛ばし過ぎだ!

 俺たちが夢見る時間も無いじゃないか!」


 「ボクがわるいのかぁ~い?


 ごめん、ボクも立ち直れないかも?」


 や、やばい!

 ヤバいゾ!


 「アレ、もしかして…

 この学校に婚約者がいるから転校して来たとか?」

 花澤さんがを言ってしまったよ!


 「…まだ、ナイショ…ですよ。

 その内に分かると思いますから。」


 「や~ん、ミステリアス~ん⁇」


 「チッ、リア充爆発しろ!」


 …ギリ助かった。


 姉さん、転校初日のスピーチを特訓するとか言ってたが、姉さんじゃないな、コレは?



 数日前、


 「あ、あのデスね?」


 仁王立ちしたお袋が、

 「京多、お前は女の子に恥をかかせる気かい?

 父さんは、母さんのお腹に那由多お兄ちゃんが宿った時にはジタバタせずに入籍してくれたよ。」

 「ソレ、百万回聞いた気がするよ。」

 「まぁ、そもそもは母さんから迫ったんだけども。」


 「ソレは一生聞きたくなかったよ!」

 兄貴にも話せないよ!



 さて、
 俺だけリビングに正座させられ、姫乃サンは姉が抱きしめて、

 「もう大丈夫だからね?」


 みたいな事を言って、ヨシヨシしている?

 言っておくが、まだキスもしていなければ、手も繋いで無いぞ!

 まぁ、下着姿を見てしまった訳だけど、疾しい事はしていないぞ!


 絶対!



 「ちゃんと責任は取ってもらうぞ、

 玲子にも来てもらって、お前たちの婚約式をする!」
 

 「俺で良いのか、姫乃サンにも確認してくれよな!」

 「わ、わたし、京多さんが良いデス!

 京多さんじゃなきゃ嫌です!」


 「オヤオヤ、なら問題無いね?」

 「その様だね、母さん。

 姫乃、アナタは今日この瞬間から、この私「三条 明日菜アスナの妹」よ。

 これからはお姉様と呼んで、 
 アスナお姉ちゃんも可よ!」


 何だ、ソレ?


 「…お姉さ…ま、京多サンを叱らないで下さい、悪いのは私なんです!」


 「ヒメノ、アナタ本当に良い子ね!」


 おそらく母も姉も真相は分かっているのだ!


 分かってて、俺を追い詰めている!


 あぁいいさ!

 望むところだ!

 ヒメも、姫乃も俺のモンだ!

 ソレでいいんだろ!



 「あ、あの、責任は取るよ。

 姫乃サンは俺には勿体無い人だけど、俺で良ければ、そ、その、お願いします…。」


 …悪かったな、ヘタレで!


 「…だってよ、玲子?」

 『えぇ、聞こえているわ!

 ありがとう、京多くん!

 私の事は「お母様」で良いからね!』

 
 お袋の構えたスマホから玲子さんの顔の画像と声がする?


 どうやら、全て聴かれていた様だ?


 こうして、俺と姫乃サンは婚約させら……いや、婚約したのだ!


 
 しかし、まだしばらくはクラスメイトに知られたく無い!

 
 絶対、トラブルに巻き込まれるからだ!


 「ねえねえ、ヒメノちゃんは何処に住んでるの?

 この近所?

 ソレともタワマン?」


 「たわまんが何か分かりませんが、

 今はサンのお家に下宿させて貰ってますよ。」



 …?

 終わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

6年3組わたしのゆうしゃさま

はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏 夏休みが終わり登校すると クオラスメイトの少女が1人 この世から消えていた ある事故をきっかけに彼女が亡くなる 一年前に時を遡った主人公 なぜ彼女は死んだのか そして彼女を救うことは出来るのか? これは小さな勇者と彼女の物語

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

神様と共に存る世界で

アオハル
キャラ文芸
ほんの少し、神様や妖(あやかし)と呼ばれる者達との距離が近い世界。 山の中腹にある梅林が名所として名高いとある場所。村と言う程小さくもなく、都会と言う程大きくもない。 そんな土地に住む「神様」と人の物語。 ※この作品に出てくる「神」や「あやかし」は、伝説、民話や伝承とは異なる独自の設定が多数含まれておりますので、あらかじめご了承ください。

もののけ学園 ~天狗隠しのJK~

坂本 光陽
キャラ文芸
女子高生の小津野亜湖は、幼い頃に天狗隠し(神隠し)にあったことがある。そのせいもあり、友人を含む女子高生連続失踪事件は天狗の仕業なのでは、考えていた。 そんな時、転校生,天音翔がやってきて、事態は予想もつかない急展開を見せ始める。 天音は一体、何者なのか? 天狗隠し事件の真相は? 真犯人は一体、誰なのか?

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...