7 / 79
ソレは当然、やって来た。
しおりを挟む「あ、ケイちゃん!おかえり~!」
「…ルナさん、何で?」
姉達は大学に行って、光里とお袋しかいないと思っていた。
「えっと、今日は仕事オフなんで、朝からいたんだけど?」
「あ、お兄ちゃんおかえり、あのね、ルナちゃんがご飯作ってくれるんだって!」
「良いんですか?
朝からって、大学とかは、行って無いのですか?」
「アーシ、大学とか学校行ってないよ?
中卒だし、22だし?」
姉より歳上だったか⁈
「ソレよりケイちゃん、何か様子が変だし、何か有ったネ?」
「じ、実は…」
姉より歳上で何か人生経験豊富そうなルナさんに、先程有った事を掻い摘んで説明した。
「…ナニ、…ソノ野郎は、…ケイちゃんを侮辱して、…自分の、娘で誘惑させようとしたの…?」
アレ、そんな風に聞こえた?
「いやルナさん、ちょい違うかも?」
「お兄ちゃん、瓜って、去年食べたやつ?
緑のカーテンで作った田舎のメロンみたいなの?」
「光里、ややこしく成るから静かにな?」
「ケイちゃん!ウリ食べたの⁈」
「だから、違うったら!」
ピンポ~ン ピンポ~ン!
「まさか、早いな?」
絶対、サクライ氏、もしくは代理人か?
恐らく殴った事を利用されて、有利に事を進めるつもりか?
「私が出てやる。」
「お、お袋、いつの間に?」
「はい、どちら様?」
「失礼します、ワタクシ桜庭と申します。
こちらは三条 京多さんのお宅で間違い有りませんか?」
「はい、京多はウチの次男ですが、何か?」
「大変、申し訳ありませんでした!
私は京多さんにご無礼をしました男の妻で、桜庭 玲子と申します。
先程の件で息子さんに謝罪したく伺いました。」
「…玲子…さんですか、少しお待ち下さい。」
「お袋?」
殴った俺に謝罪?
「会ってあげようか、京多。
奥さんの方はまともみたいだから。」
「この度は大変申し訳有りません!
つきましては、息子さんのお心を傷付けた慰謝料は…」
家に入ってもらい、話しを聞く事になったが、入る早々玄関で土下座する桜庭さん!
「…そう言うの良いから上がってよ、玲子。」
「えっ、は、はい?」
リビングにはお袋と俺、テーブルを挟んで桜庭 玲子さん…と、姫乃さんが座っていた。
「久しぶりだね、玲子。
結婚してからは、暫くお互い忙しくて連絡してなかったけど、元気そうじゃ無い?」
「……京香?
えっ、うそ!
漫画家の三重まる先生じゃなくて?
あの京香なの?」
「お袋、知ってる人?」
てか、お袋のペンネーム知ってるのか、この人?
「高校の時のダチかな?
なんかウマが合って、よくつるんでたんだ。
もっとも、玲子は大学に進学。
私は父さんとこの家で同棲始めて、花嫁修行してたからさ、会う機会が減ってたんだよ。」
「やっぱり、三条くんと結婚したんだね、京香!」
この二人が友達?
まぁウチの姉と咲さんみたいな関係かな?
ソレにしても、娘同伴とは?
「なら、尚更ごめんなさいね、京多くん!」
「いや、お気になさらず。」
すると、
トトトトと、ドドドドッ!
「ミャ~~!」
「ニャーー!」
ヒメとオウジがリビングに駆け込んで来た?
「玲子、コッチのふわふわしたのか「ヒメ」で、それを勇ましくエスコートして来たのが「オウジ」、光里が名付けたんだ。
可愛いだろ?」
「そう、この子がヒメ、可愛い子猫ね?
あ、あのマンチカンと聞きていたのだけど?」
「おばちゃん、ヒメってスラッとした足が綺麗でしょ!
ふわふわした毛がプリンセスのドレスみたいなんで「ヒメ」ってつけたの。
オウジはね、耳がピンッとして、冠みたいでカッコイイから「オウジ」にしたの。
ね、お似合いでしょ?
だから、ヒメを連れて行かないで!」
「…アナタがひかりちゃんね、大丈夫よ、ヒメを連れて行かないわ。
だって、ココがヒメのおウチだから。」
「ホント!
ありがとう!」
「…あのバカ、なんでヒメの事を?
いくらこんなに可愛いといえど、マンチカンとしては…」
「コレ、ヒメの血統書とヒメの両親のブリーダーさんの名前、ソレから昨年キャットショーの受賞した猫たちの資料です。」
「あ、アナタは?」
「ウチの長女で明日菜よ。
おかえり、買って来てくれた?」
「もう、変なメールよこさないでよ。
ハイ、スパークリングワインとスモチ。」
「サンキュー!
玲子、再会を祝して呑むわよ!」
「変わらないわね、アンタは?」
…場が落ち着いた辺りで、姉が自分の見解を話した。
やはりヒメの祖母猫はいくつか有る日本のキャットショーで受賞しているし、イギリスのキャットショーでも一度受賞している。
その子孫で現在、繁殖に理想的な母体がヒメなのではと。
「詳しくは、そちらでお調べ下さい、キャットフードシェアNo.ワンのサクラバフーズの社長サンなら、容易いですよね。」
「明日菜サン、今大学生?
卒業したら、ウチに来ない?」
「そうですね、考慮しておきます。」
光里が居るので、「繁殖用母体」の事は口に出さないでいた。
でも、玲子さんは直ぐに気がついた様でゲンナリしていた?
「あのバカ亭主、寄りにもなんて事を考えているのよ!
猫好きとは思えない!」
人気の品種を大量に売って、大儲けしようとした鬼畜ブリーダーがいたが、動物保護団体が現場に踏み込むと壊れるまで子供を産まされた雌犬や雌猫が狭い檻の中、劣悪な環境で多頭飼いされているなんて事があったそうだ。
キャットショーで優勝を狙う為、繁殖用にヒメを手に入れようとしていた!
必ずしも優勝出来るとは限らないが…
「…ねぇ京多くん、姫乃の事をお願い出来ないかしら?
京香にもお願い、暫く姫乃をココに預かって欲しいの!」
「別にいいわよ、京多はどう?」
お袋、汚いぞ!
結局オレかよ⁈
「何故ですか、玲子さん?
理由を教えて下さい。」
「そうよね、でもごめんなさい。
今、この子とあのバカ亭主とは距離を置きたいの、この子の為にもね。」
「お袋が了解しているのなら、俺は文句無いですが、姫乃さんはソレでよろしいんですか?」
俺は思い切って当人に聞く、しかし?
「ほらお姉ちゃん、大和もモフモフして可愛いよね?
三匹は親子みたいに仲良しなんだよ!」
「本当ですね、羨ましいくらい…
…え、はい、なんでしょうか?」
ネコと少女と戯れて、聞いてないのかよ~!
それにしても、今このウチ女性ばかりだな?
さて、コレからどうするつもりだ?
10
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
神様と共に存る世界で
アオハル
キャラ文芸
ほんの少し、神様や妖(あやかし)と呼ばれる者達との距離が近い世界。
山の中腹にある梅林が名所として名高いとある場所。村と言う程小さくもなく、都会と言う程大きくもない。
そんな土地に住む「神様」と人の物語。
※この作品に出てくる「神」や「あやかし」は、伝説、民話や伝承とは異なる独自の設定が多数含まれておりますので、あらかじめご了承ください。
もののけ学園 ~天狗隠しのJK~
坂本 光陽
キャラ文芸
女子高生の小津野亜湖は、幼い頃に天狗隠し(神隠し)にあったことがある。そのせいもあり、友人を含む女子高生連続失踪事件は天狗の仕業なのでは、考えていた。
そんな時、転校生,天音翔がやってきて、事態は予想もつかない急展開を見せ始める。
天音は一体、何者なのか? 天狗隠し事件の真相は? 真犯人は一体、誰なのか?
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる