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ソレは当然、やって来た。

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 「あ、ケイちゃん!おかえり~!」

 「…ルナさん、何で?」

 姉達は大学に行って、光里とお袋しかいないと思っていた。


 「えっと、今日は仕事オフなんで、朝からいたんだけど?」


 「あ、お兄ちゃんおかえり、あのね、ルナちゃんがご飯作ってくれるんだって!」

 

「良いんですか?

 朝からって、大学とかは、行って無いのですか?」


 「アーシ、大学とか学校行ってないよ?

 中卒だし、22だし?」


 姉より歳上だったか⁈


  「ソレよりケイちゃん、何か様子が変だし、何か有ったネ?」



 「じ、実は…」

 姉より歳上で何か人生経験豊富そうなルナさんに、先程有った事を掻い摘んで説明した。


 「…ナニ、…ソノ野郎は、…ケイちゃんを侮辱して、…自分の、娘で誘惑ウリさせようとしたの…?」


 アレ、そんな風に聞こえた?

 「いやルナさん、ちょい違うかも?」

 「お兄ちゃん、ウリって、去年食べたやつ?

 緑のカーテンで作った田舎のメロンみたいなの?」

 「光里、ややこしく成るから静かにな?」


 「ケイちゃん!ウリ食べたの⁈」

 「だから、違うったら!」


 ピンポ~ン ピンポ~ン!


 「まさか、早いな?」

 絶対、サクライ氏、もしくは代理人か?

 恐らく殴った事を利用されて、有利に事を進めるつもりか?


 「私が出てやる。」

 「お、お袋、いつの間に?」


 「はい、どちら様?」

 「失礼します、ワタクシ桜庭と申します。

 こちらは三条 京多さんのお宅で間違い有りませんか?」


 「はい、京多はウチの次男ですが、何か?」


 「大変、申し訳ありませんでした!

 私は京多さんにご無礼をしました男の妻で、桜庭 玲子と申します。

 先程の件で息子さんに謝罪したく伺いました。」


 「…玲子…さんですか、少しお待ち下さい。」


 「お袋?」

 殴った俺に謝罪?


 「会ってあげようか、京多。

 奥さんの方はまともみたいだから。」




 「この度は大変申し訳有りません!

 つきましては、息子さんのお心を傷付けた慰謝料は…」

 家に入ってもらい、話しを聞く事になったが、入る早々玄関で土下座する桜庭さん!


 「…そう言うの良いから上がってよ、玲子。」

 「えっ、は、はい?」


 リビングにはお袋と俺、テーブルを挟んで桜庭 玲子さん…と、姫乃さんが座っていた。


 「久しぶりだね、玲子。

 結婚してからは、暫くお互い忙しくて連絡してなかったけど、元気そうじゃ無い?」



 「……京香?

 えっ、うそ!

 漫画家の三重まる先生じゃなくて?

 あの京香なの?」


 「お袋、知ってる人?」

 てか、お袋のペンネーム知ってるのか、この人?


 「高校の時のダチかな?

 なんかが合って、よくつるんでたんだ。
 
 もっとも、玲子は大学に進学。

 私は父さんとこの家で同棲始めて、花嫁修行してたからさ、会う機会が減ってたんだよ。」


 「やっぱり、三条くんと結婚したんだね、京香!」


 この二人が友達?


 まぁウチの姉と咲さんみたいな関係かな?


 ソレにしても、娘同伴とは?


 「なら、尚更ごめんなさいね、京多くん!」


 「いや、お気になさらず。」


 すると、

 トトトトと、ドドドドッ!

 「ミャ~~!」

 「ニャーー!」

 ヒメとオウジがリビングに駆け込んで来た?



 「玲子、コッチのふわふわしたのか「ヒメ」で、それを勇ましくエスコートして来たのが「オウジ」、光里が名付けたんだ。

 可愛いだろ?」

 「そう、この子がヒメ、可愛い子猫ね?

 あ、あのマンチカンと聞きていたのだけど?」


 「おばちゃん、ヒメってスラッとした足が綺麗でしょ!

 ふわふわした毛がプリンセスのドレスみたいなんで「ヒメ」ってつけたの。

 オウジはね、耳がピンッとして、冠みたいでカッコイイから「オウジ」にしたの。

 ね、お似合いでしょ?

 だから、ヒメを連れて行かないで!」


 「…アナタがひかりちゃんね、大丈夫よ、ヒメを連れて行かないわ。

 だって、ココがヒメのおウチだから。」

 「ホント!

 ありがとう!」



 「…あのバカ、なんでヒメの事を?

 いくらこんなに可愛いといえど、マンチカンとしては…」


 「コレ、ヒメの血統書とヒメの両親のブリーダーさんの名前、ソレから昨年キャットショーの受賞した猫たちの資料です。」
 

 「あ、アナタは?」

 「ウチの長女で明日菜よ。

 おかえり、買って来てくれた?」

 「もう、変なメールよこさないでよ。

 ハイ、スパークリングワインとスモチ。」


 「サンキュー!

 玲子、再会を祝して呑むわよ!」


 「変わらないわね、アンタ京香は?」



 …場が落ち着いた辺りで、姉が自分の見解を話した。


 やはりヒメの祖母猫はいくつか有る日本のキャットショーで受賞しているし、イギリスのキャットショーでも一度受賞している。

 その子孫で現在、繁殖に理想的な母体がヒメなのではと。

 「詳しくは、そちらでお調べ下さい、キャットフードシェアNo.ワンのサクラバフーズの社長サンなら、容易いですよね。」


 「明日菜サン、今大学生?

 卒業したら、ウチに来ない?」


 「そうですね、考慮しておきます。」


 光里が居るので、「繁殖用母体」の事は口に出さないでいた。

 でも、玲子さんは直ぐに気がついた様でゲンナリしていた?


 「あのバカ亭主、寄りにもなんて事を考えているのよ!

 猫好きとは思えない!」


 人気の品種を大量に売って、大儲けしようとした鬼畜ブリーダーがいたが、動物保護団体が現場に踏み込むと壊れるまで子供を産まされた雌犬や雌猫が狭い檻の中、劣悪な環境で多頭飼いされているなんて事があったそうだ。

 キャットショーで優勝を狙う為、繁殖用にヒメを手に入れようとしていた!

 必ずしも優勝出来るとは限らないが…

 「…ねぇ京多くん、姫乃の事をお願い出来ないかしら?

 京香にもお願い、暫く姫乃をココに預かって欲しいの!」
 
 「別にいいわよ、京多はどう?」

 お袋、汚いぞ!

 結局オレかよ⁈

 「何故ですか、玲子さん?

 理由を教えて下さい。」


 「そうよね、でもごめんなさい。

 今、この子姫乃とあのバカ亭主とは距離を置きたいの、この子の為にもね。」

 「お袋が了解しているのなら、俺は文句無いですが、姫乃さんはソレでよろしいんですか?」

 俺は思い切って当人に聞く、しかし?


 「ほらお姉ちゃん、大和もモフモフして可愛いよね?

 三匹は親子みたいに仲良しなんだよ!」

 「本当ですね、羨ましいくらい…

  …え、はい、なんでしょうか?」

 ネコと少女と戯れて、聞いてないのかよ~!



 それにしても、今このウチ女性ばかりだな?


 さて、コレからどうするつもりだ?





 
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