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ソレは突然やって来た。
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ヒメにもオウジにも「血統書」と言うのが有る。
本人…本ネコを含め、親猫、祖父母猫と遡って血統が分かるモノなのだが。
コレをみると、ヒメの母猫はブラウンタビーで父猫はヒメと同じレッドタビー&ホワイト、母方の祖母猫はホワイトとか品種に体毛の色や模様が分かる。
コレには足が短いとか、耳が折れてるとかは記載されてない、
と思う…
(英語で書いてあるので、読めない単語が有る(T . T)
外見がどうこうでは無くて、純血種である事を表している大事なモノなんだが、所詮は紙ッキレだ。
でも、コレが無いと飼い主に何かあって、仕方なく犬や猫を他の人に譲渡する場合はどうしても必要になるらしい。
仮に俺に何かあっても、光里に 譲渡する様に姉さんに頼んでおこう。
まぁ、そうそう無いと思うけどね?
血統書付きの子を飼うにあたり、色々調べて見たり、詳しい知人に聞いてみたりした。
何だかんだ、今は色々飼い主は責任が伴うのだ。
猫は完全室内飼育だ!
定期的な健康診断やワクチン接種は必要だね?
そんな感じです。
「…コレを機会に元野良の大和も健康診断、一緒にするか?」
「ぐるにゃー?」
…人間と違って保険証が無いから診察代高いな?
三匹だと相当だ。
今回、姉上サマが出してくださりました。
「ん、だってピカリんには出させられんだろ?」
さすが姉さん、男前!
「コレもアンタから徴収するし。」
…さすがデス、姉さん。
オウジはウチに来たその日に、大和にケンカを売った!
大和の尻尾に齧り付いたが、子猫の噛む力ではダメージは与えられない様で涼しい顔だが、しばらくしてウザいのか、シャーと一喝されると、オウジが液晶テレビの後ろに逃げて行ってしまった。
翌日には三匹くっ付いて丸まって寝ていたので、安心した。
ヒメたちが我が家に来て、ひと月が経つ頃にソレはやって来た!
日曜日の午前中、俺はオウジを、光里はヒメをひざに乗せてリビングでアニメを見ていた。
「スゲーな?
今度のは男子もメンバーなんだな?」
「ロボとか宇宙人より普通だよ、お兄ちゃん。
ソレより今日ペットショップに新しいオモチャを見に行こうよ!」
「オモチャなら100均でよくない?」
「なら、両方行く!
あ、でも100均はヒメ連れて行けないよ?」
「猫サマはお留守番で。」
もし逃げたら大変だよ?
ピンポ~ン ピンポ~ン!
「ん、お客か?」
「オジ様かもよ、ヒメたちに会いに来たんだよ。」
近場に遠い親戚の叔父が住んでいるのだが、この人も光里に甘い。
最近、若い秘書さんと結婚したベテラン弁護士だ。
まだ子供がいないので、嫁さんも含めて光里推しなんだが、大和はこの叔父が嫌いらしい?
以前は叔父が遊びに来ると2階に隠れてしまうのだが、
でも、最近は子猫を守るために己が身を盾にして叔父からヒメたちを守っている。
元秘書のお嫁さん、文香さんも大の猫好きなんで、色々お土産を持って来てくれてる。
大体月二でやってくるのだけど、
「叔父さん、昨晩来たろ?
酔っ払ってたけど?」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン!
「ん、コレ違うな?」
今まではドアにチェーンロックして応対する事が多かったが、
子猫の逃走防止を考えて、モニター付きインターフォンに変えた。
ソレの設置費も俺が姉に月々払うのだけど。
「はい、どなたですか?」
しまった、光里が応対してしまった!
「…桜井と申しますが、おウチの方はご在宅ですかな?
大人の人に代わってくれないかな?」
モニターには見知らぬ中年男性が映し出されている。
相手が子供だと分かると、多少威圧感が有る強めの口調で話すので、直ぐに俺が応対を変わった。
「何方の桜井サマでしょうか?」
「コレはご主人ですか、私は決して怪しいモノではありません。
リトルファミリーでご購入された子猫の事でお話しが有って、不躾ながらご挨拶に参りました。」
ヒメを購入した店だ、これから行こうと思った店では無い。
声が女児から若い男に変わった事で、少し態度を変えて来た。
めっちゃ怪しいぞ?
「光里、オウジとヒメを頼む。
出来れば二階の仕事場に行ってな。」
「う、うん。」
仕事場とはお袋の部屋の事だ。
徹夜で漫画を描いて、そのまま寝てるかもだが、念の為だ。
玄関先で済むならソレでいい、いや何か予感がする。
姉は朝早くイベントが有るからと既に出かけた。
俺が話しを聞くしかないか。
「お待たせしました。」
「…ご主人ではないのか?
学生かな?」
「高二ですが、ソレが何か?」
明らかにコチラを格下と見ている目だ。
「実はコチラが購入したマンチカンの件でお家の方とお話しがしたくてね、取り次いで貰えないかな?」
「マンチカンの子猫は俺が購入したんですけど、ソレが何か?」
「なんだって?
君が?」
相当意外そうな顔をしている?
「君、高校生だろ?
ウチの娘と同じぐらいか、そんなお金、よくあったね?」
いちいち失礼なオッサンだな?
「姉が立て替えてくれたんです。
でも、飼い主は俺ですし、姉には毎月少しづつですが返済してます。」
バリバリ個人情報だが、何か言い返したくて言ってしまった、不味かったか?
「ほう、ソレは感心だね。
そうか、君が購入者かぁ…。」
何か思いついたか、急に余裕の表情を見せたオヤジ?
「失礼、おじさんは猫のブリーダーをしていてね、飼育の難しい猫を育てる事が仕事と言うか、生き甲斐にしているんだよ。」
へぇ、ウチも曽祖父の代から猫好きで通ってる家系なんですけど?
「そうか、毎月支払いが大変だろうな、なら…」
「すいませんがこの後外出する予定なので、今日はお帰りいただけますか?」
「君が購入したマンチカンの子猫を買い取らせてくれないか⁈
50万、いや80…いや、100万でどうだろうか?
今なら即金で支払わせてもらうよ!」
「…今日、暑いですからね?
お気を確かに。
お水飲みます?」
「冗談じゃないんだ!
あのマンチカンは非常に価値が有る猫でね、素人が飼育して間違いが有ってからでは遅いんだ!」
「…ウチは明治時代から猫好きで、慣れてますから。」
うん、危ない人だ。
光里と猫を2階に避難させて正解だった。
「グゥー、シャァーー⁈」
「おや、その猫は?」
「大和、二階に行ってな!」
爺さん猫の大和が何処からか現れ、怪しい中年男性に威嚇し始めた!
大和、敵認定したな?
「君、この猫は雑種では無いのか?
このウチの猫だよね?」
「すいません、失礼しました。
ほら、大和。」
「ニャン。」
俺には大人しく抱っこされる大和、でもオッサンを睨みつけるのはやめない。
「普段、人見知りなんて全くしない子なんですけど、興奮しているんで早く帰ってくれませんか?」
「き、君!
雑種と純血統種を一緒に飼育するなんて素人同様だぞ!」
カチン!
ガヂンッ!
「お前サン、これ以上は騒音罪で通報するが、構わないか?」
「あ、叔父貴、おはよう。」
「な、何だアンタは?」
「この青年の叔父で三条と言う。」
「叔父貴、ウチも三条サンだぜ?」
「失礼、弁護士を生業としてる三条と言う、
文香、名刺をお渡ししてくれ。」
「ハイ、アナタ。」
「いや、結構。
また日を改めてお伺いしますよ。」
部が悪いと見て、怪しい桜井サンは帰っていった。
「お兄ちゃ~ん、お姉さ~ん、怖かったよ~!」
「ミャー!」
光里とヒメが文香さんに抱きついた。
「ピカリチャン、怖かったね?
もう大丈夫だよ、あんな奴は叔父さんが二度と陽の下を歩けなくしてヤるからね!」
「アナタ!
子供に怖い事、言わないで下さい!」
「この騒ぎでお袋は起きて来ないのか?」
「うん、オウジと寝てる。」
この後、車で来た叔父たちが一緒にペットショップに行ってくれると言うので、ヒメとオウジ、大和も連れてペットショップに皆んなで行く事にした。
大和を連れて行こうと思ったのは、もしかしてあの男が戻って来て大和に危害を加えるのではないかと心配になったからだ。
三匹とも車内でもおとなしくしていて、ショップでは
「親子のネコちゃんだ!」
と、子供連れのお客さんから大人気だった。
家に帰って来ると、大和を連れて行ったのは満更間違いではない事に驚いてしまう?
「いい加減帰ってください、コレはお金の問題では有りませんから!」
玄関先であの男とお袋、そして父さんが揉めているのだ?
「アナタ方は何も分かっていない!あのマンチカンの価値を!」
俺たちが外出した後に再凸撃した様だ?
光里が怖がる!
大和が威嚇の唸り声を上げ、オレの腕から飛び出そうとしていた。
「叔父貴、コイツ頼む。」
文香さんが運転する軽ワゴンを降りて、我が家の玄関に向かって走る!
「アンタ、何もめてんだよ!」
妹や猫たちが怯えている、ブリーダーが聞いて呆れる?
それともそういうモノなのか?
とにかく、このオッサンをこの場から遠ざけたい!
このままだとお袋が!
元ヤンキーで拳に乾きたサラシを巻いて、男と喧嘩する武闘派だったお袋。
若い頃、雨の日に捨て猫を拾うお袋。
猫の飼い方が分からず、近所の猫屋敷のおばばに聞きに行ったら、ソレがオレのひいばあちゃんだった。
若き頃の父さんが自分の祖母の家へ様子を見に行ったら、入り浸りのお袋がおばばのメシを作っていたそうだ。
元々クラスメイトで顔見知り、コレがきっかけで距離を縮めたお袋。
猫は縁結びの天使サマなお袋。
そろそろ本気でキレる兆しのお袋!
ピカりんの前で、鉄拳制裁はやめてくれよ!
お袋が手を出す前に、俺が相手の胸ぐらを掴んで、
「マンチカンじゃない!
あの子はもうウチの大事な家族、妹の妹で、甘えん坊のヒメだ!
百万程度の端た金で、手放されるか!
二度と来るな!」
と、熱くなって叫んでしまった。
青い顔して腰を抜かした様にその場に尻餅をつく桜井のオッサン。
「よーし、よく言った!
それでこそ私のムスコだ⁈」
地べたに座り込んだオッサンに中指突き立てて、まるでヒールレスラーの如く威嚇するお袋。
まぁギリセーフか。
その後、叔父貴が桜井のオッサンを介抱がてら何処かに連れて行って、しばらくすると戻って来た。
「大通りでタクシーに乗せて来たよ。」
何か有れば、自分を通してくれと念押ししたそうだ。
ソレでどうにかなるなら良いけど、この時オレはまた来ると予感していた。
その晩は戻って来た叔父と文香サンを招き、寿司とかピザとか頼んでホームパーティーとなった。
姉もバイトの帰りに友達を連れて来たので、かなり賑やかになった。
そのバイト友達の1人がウチの猫たちとフォーショット撮影!
「コレばえルー⁈」
とその場で自分のSNSに⁈
直様、凄い数の「イイね」が⁈
「バカ、勝手にそんな事すんなよ!」
「えぇー⁈
ダメだったの、ごめ~ん!」
姉は怒ったが、父がそのくらい大丈夫と宥めて、その場は治った。
でも、それが翌日に相手の付け込む隙にされかけた。
…予感は当たった様だ。
本人…本ネコを含め、親猫、祖父母猫と遡って血統が分かるモノなのだが。
コレをみると、ヒメの母猫はブラウンタビーで父猫はヒメと同じレッドタビー&ホワイト、母方の祖母猫はホワイトとか品種に体毛の色や模様が分かる。
コレには足が短いとか、耳が折れてるとかは記載されてない、
と思う…
(英語で書いてあるので、読めない単語が有る(T . T)
外見がどうこうでは無くて、純血種である事を表している大事なモノなんだが、所詮は紙ッキレだ。
でも、コレが無いと飼い主に何かあって、仕方なく犬や猫を他の人に譲渡する場合はどうしても必要になるらしい。
仮に俺に何かあっても、光里に 譲渡する様に姉さんに頼んでおこう。
まぁ、そうそう無いと思うけどね?
血統書付きの子を飼うにあたり、色々調べて見たり、詳しい知人に聞いてみたりした。
何だかんだ、今は色々飼い主は責任が伴うのだ。
猫は完全室内飼育だ!
定期的な健康診断やワクチン接種は必要だね?
そんな感じです。
「…コレを機会に元野良の大和も健康診断、一緒にするか?」
「ぐるにゃー?」
…人間と違って保険証が無いから診察代高いな?
三匹だと相当だ。
今回、姉上サマが出してくださりました。
「ん、だってピカリんには出させられんだろ?」
さすが姉さん、男前!
「コレもアンタから徴収するし。」
…さすがデス、姉さん。
オウジはウチに来たその日に、大和にケンカを売った!
大和の尻尾に齧り付いたが、子猫の噛む力ではダメージは与えられない様で涼しい顔だが、しばらくしてウザいのか、シャーと一喝されると、オウジが液晶テレビの後ろに逃げて行ってしまった。
翌日には三匹くっ付いて丸まって寝ていたので、安心した。
ヒメたちが我が家に来て、ひと月が経つ頃にソレはやって来た!
日曜日の午前中、俺はオウジを、光里はヒメをひざに乗せてリビングでアニメを見ていた。
「スゲーな?
今度のは男子もメンバーなんだな?」
「ロボとか宇宙人より普通だよ、お兄ちゃん。
ソレより今日ペットショップに新しいオモチャを見に行こうよ!」
「オモチャなら100均でよくない?」
「なら、両方行く!
あ、でも100均はヒメ連れて行けないよ?」
「猫サマはお留守番で。」
もし逃げたら大変だよ?
ピンポ~ン ピンポ~ン!
「ん、お客か?」
「オジ様かもよ、ヒメたちに会いに来たんだよ。」
近場に遠い親戚の叔父が住んでいるのだが、この人も光里に甘い。
最近、若い秘書さんと結婚したベテラン弁護士だ。
まだ子供がいないので、嫁さんも含めて光里推しなんだが、大和はこの叔父が嫌いらしい?
以前は叔父が遊びに来ると2階に隠れてしまうのだが、
でも、最近は子猫を守るために己が身を盾にして叔父からヒメたちを守っている。
元秘書のお嫁さん、文香さんも大の猫好きなんで、色々お土産を持って来てくれてる。
大体月二でやってくるのだけど、
「叔父さん、昨晩来たろ?
酔っ払ってたけど?」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン!
「ん、コレ違うな?」
今まではドアにチェーンロックして応対する事が多かったが、
子猫の逃走防止を考えて、モニター付きインターフォンに変えた。
ソレの設置費も俺が姉に月々払うのだけど。
「はい、どなたですか?」
しまった、光里が応対してしまった!
「…桜井と申しますが、おウチの方はご在宅ですかな?
大人の人に代わってくれないかな?」
モニターには見知らぬ中年男性が映し出されている。
相手が子供だと分かると、多少威圧感が有る強めの口調で話すので、直ぐに俺が応対を変わった。
「何方の桜井サマでしょうか?」
「コレはご主人ですか、私は決して怪しいモノではありません。
リトルファミリーでご購入された子猫の事でお話しが有って、不躾ながらご挨拶に参りました。」
ヒメを購入した店だ、これから行こうと思った店では無い。
声が女児から若い男に変わった事で、少し態度を変えて来た。
めっちゃ怪しいぞ?
「光里、オウジとヒメを頼む。
出来れば二階の仕事場に行ってな。」
「う、うん。」
仕事場とはお袋の部屋の事だ。
徹夜で漫画を描いて、そのまま寝てるかもだが、念の為だ。
玄関先で済むならソレでいい、いや何か予感がする。
姉は朝早くイベントが有るからと既に出かけた。
俺が話しを聞くしかないか。
「お待たせしました。」
「…ご主人ではないのか?
学生かな?」
「高二ですが、ソレが何か?」
明らかにコチラを格下と見ている目だ。
「実はコチラが購入したマンチカンの件でお家の方とお話しがしたくてね、取り次いで貰えないかな?」
「マンチカンの子猫は俺が購入したんですけど、ソレが何か?」
「なんだって?
君が?」
相当意外そうな顔をしている?
「君、高校生だろ?
ウチの娘と同じぐらいか、そんなお金、よくあったね?」
いちいち失礼なオッサンだな?
「姉が立て替えてくれたんです。
でも、飼い主は俺ですし、姉には毎月少しづつですが返済してます。」
バリバリ個人情報だが、何か言い返したくて言ってしまった、不味かったか?
「ほう、ソレは感心だね。
そうか、君が購入者かぁ…。」
何か思いついたか、急に余裕の表情を見せたオヤジ?
「失礼、おじさんは猫のブリーダーをしていてね、飼育の難しい猫を育てる事が仕事と言うか、生き甲斐にしているんだよ。」
へぇ、ウチも曽祖父の代から猫好きで通ってる家系なんですけど?
「そうか、毎月支払いが大変だろうな、なら…」
「すいませんがこの後外出する予定なので、今日はお帰りいただけますか?」
「君が購入したマンチカンの子猫を買い取らせてくれないか⁈
50万、いや80…いや、100万でどうだろうか?
今なら即金で支払わせてもらうよ!」
「…今日、暑いですからね?
お気を確かに。
お水飲みます?」
「冗談じゃないんだ!
あのマンチカンは非常に価値が有る猫でね、素人が飼育して間違いが有ってからでは遅いんだ!」
「…ウチは明治時代から猫好きで、慣れてますから。」
うん、危ない人だ。
光里と猫を2階に避難させて正解だった。
「グゥー、シャァーー⁈」
「おや、その猫は?」
「大和、二階に行ってな!」
爺さん猫の大和が何処からか現れ、怪しい中年男性に威嚇し始めた!
大和、敵認定したな?
「君、この猫は雑種では無いのか?
このウチの猫だよね?」
「すいません、失礼しました。
ほら、大和。」
「ニャン。」
俺には大人しく抱っこされる大和、でもオッサンを睨みつけるのはやめない。
「普段、人見知りなんて全くしない子なんですけど、興奮しているんで早く帰ってくれませんか?」
「き、君!
雑種と純血統種を一緒に飼育するなんて素人同様だぞ!」
カチン!
ガヂンッ!
「お前サン、これ以上は騒音罪で通報するが、構わないか?」
「あ、叔父貴、おはよう。」
「な、何だアンタは?」
「この青年の叔父で三条と言う。」
「叔父貴、ウチも三条サンだぜ?」
「失礼、弁護士を生業としてる三条と言う、
文香、名刺をお渡ししてくれ。」
「ハイ、アナタ。」
「いや、結構。
また日を改めてお伺いしますよ。」
部が悪いと見て、怪しい桜井サンは帰っていった。
「お兄ちゃ~ん、お姉さ~ん、怖かったよ~!」
「ミャー!」
光里とヒメが文香さんに抱きついた。
「ピカリチャン、怖かったね?
もう大丈夫だよ、あんな奴は叔父さんが二度と陽の下を歩けなくしてヤるからね!」
「アナタ!
子供に怖い事、言わないで下さい!」
「この騒ぎでお袋は起きて来ないのか?」
「うん、オウジと寝てる。」
この後、車で来た叔父たちが一緒にペットショップに行ってくれると言うので、ヒメとオウジ、大和も連れてペットショップに皆んなで行く事にした。
大和を連れて行こうと思ったのは、もしかしてあの男が戻って来て大和に危害を加えるのではないかと心配になったからだ。
三匹とも車内でもおとなしくしていて、ショップでは
「親子のネコちゃんだ!」
と、子供連れのお客さんから大人気だった。
家に帰って来ると、大和を連れて行ったのは満更間違いではない事に驚いてしまう?
「いい加減帰ってください、コレはお金の問題では有りませんから!」
玄関先であの男とお袋、そして父さんが揉めているのだ?
「アナタ方は何も分かっていない!あのマンチカンの価値を!」
俺たちが外出した後に再凸撃した様だ?
光里が怖がる!
大和が威嚇の唸り声を上げ、オレの腕から飛び出そうとしていた。
「叔父貴、コイツ頼む。」
文香さんが運転する軽ワゴンを降りて、我が家の玄関に向かって走る!
「アンタ、何もめてんだよ!」
妹や猫たちが怯えている、ブリーダーが聞いて呆れる?
それともそういうモノなのか?
とにかく、このオッサンをこの場から遠ざけたい!
このままだとお袋が!
元ヤンキーで拳に乾きたサラシを巻いて、男と喧嘩する武闘派だったお袋。
若い頃、雨の日に捨て猫を拾うお袋。
猫の飼い方が分からず、近所の猫屋敷のおばばに聞きに行ったら、ソレがオレのひいばあちゃんだった。
若き頃の父さんが自分の祖母の家へ様子を見に行ったら、入り浸りのお袋がおばばのメシを作っていたそうだ。
元々クラスメイトで顔見知り、コレがきっかけで距離を縮めたお袋。
猫は縁結びの天使サマなお袋。
そろそろ本気でキレる兆しのお袋!
ピカりんの前で、鉄拳制裁はやめてくれよ!
お袋が手を出す前に、俺が相手の胸ぐらを掴んで、
「マンチカンじゃない!
あの子はもうウチの大事な家族、妹の妹で、甘えん坊のヒメだ!
百万程度の端た金で、手放されるか!
二度と来るな!」
と、熱くなって叫んでしまった。
青い顔して腰を抜かした様にその場に尻餅をつく桜井のオッサン。
「よーし、よく言った!
それでこそ私のムスコだ⁈」
地べたに座り込んだオッサンに中指突き立てて、まるでヒールレスラーの如く威嚇するお袋。
まぁギリセーフか。
その後、叔父貴が桜井のオッサンを介抱がてら何処かに連れて行って、しばらくすると戻って来た。
「大通りでタクシーに乗せて来たよ。」
何か有れば、自分を通してくれと念押ししたそうだ。
ソレでどうにかなるなら良いけど、この時オレはまた来ると予感していた。
その晩は戻って来た叔父と文香サンを招き、寿司とかピザとか頼んでホームパーティーとなった。
姉もバイトの帰りに友達を連れて来たので、かなり賑やかになった。
そのバイト友達の1人がウチの猫たちとフォーショット撮影!
「コレばえルー⁈」
とその場で自分のSNSに⁈
直様、凄い数の「イイね」が⁈
「バカ、勝手にそんな事すんなよ!」
「えぇー⁈
ダメだったの、ごめ~ん!」
姉は怒ったが、父がそのくらい大丈夫と宥めて、その場は治った。
でも、それが翌日に相手の付け込む隙にされかけた。
…予感は当たった様だ。
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