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ショートストーリー 俺の義妹が同じ学園の小学部に転校して来た件
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その日は珍しく五道家宅では、家族四人揃ってダイニングでお食事中だ。
『命、すまないが明日、五十鈴が山代学園小等部に転校が決まったので、よろしくな。』
夕飯の席で父の報告に
『本当!良かったね、五十鈴ちゃん!』
姉が自分の事の様にはしゃいで、幼い妹に伺うと
『うん、うれしい。』
天使の様な可愛い笑顔を見せてくれた。
最近は幼い妹の為か、家族四人で夕飯を食べる事が増えてきた。
あくまで、皆の都合の良い時だけだが、三人とも率先して合わせる様にしている。
五十鈴は七才、小学一年生である。
田舎の分校の様な小規模な学校から、東京のしかも幼等部から小・中・高等部が併設していて周りからは巨大パノラマ学園などと呼ばれている大規模学校に転校して、きっと驚いてしまう事だろう。
俺もそうだったし。
『命、悪いが明日一緒に行って、担任の先生や理事長方に、挨拶して来てくれないか、「保護者」として。』
『良いわよ、喜んで!
あ!士も気にかけて帰りに迎えに行ってあげてね。』
『本当!お兄ちゃんも迎えに来てくれろの?』
お兄ちゃんのお迎えが相当嬉しいらしい五十鈴チャン、花丸笑顔だ!
『ん?ああ、そうだね?
出来たら何処かで待っていてくれると…あ、学園図書館で待って居てくれるかな?』
『としょかん…「本」がたくさんあるの?』
学園の生徒なら誰でも利用できる、ある意味、全校生徒の社交の場でも有るし、貴重な蔵書もあるので建前上防犯面でも安心していい。
実は蔵書の持ち出しや盗難防止の為のセキュリティーでは無く、生徒を護る為のセキュリティーなので、不審な人物に連れ去られるなどの心配は無い。
もっとも、学園の敷地内だから不審者が簡単に侵入出来ないハズだ。
舞斗に聞いた事だが、図書館の司書の中に警備員も兼ねた武道の有段者が数人含まれているそうだ。
『確か「絵本」も有るから五十鈴ちゃんも退屈しないと思うよ。
高等部の授業が終わったら直ぐに迎えに行くから。』
『うん、わかったの。私、としょかんでお兄ちゃんをまってるね。』
『それではお母様、五十鈴さんをお預かりしますね。』
『先生、何度も言いましたが、私「姉」ですから!
「お姉ちゃん」です!
お、ね、え、ちゃ、ん、デス!』
『す、すいません!』
自分とそう歳も違わない担任教師から五十鈴の母と勘違いされているのに怒り心頭で、
いや、五十鈴の母と見られた事に怒っている訳では無い、(いや、ソレは別に良い、むしろ良い!)小学一年生の子供がいる様な歳に見られた事に怒っているのだ!
いや、若気の至りでヤンチャしてたら五十鈴ちゃんぐらいの子、産んでる可能性もあるかな?
ソレは別としても、五十鈴の祖父だと説明されても納得してしまう自分の父と、まさかの夫婦と見られているのが、正直傷付いたですよ!
『お姉ちゃん、私、お勉強がんばってくるね!』
午後から仕事が有るので、迎えには高等部の兄が来る事、待ち合わせ場所は学園図書館なので場所を、五十鈴に教えておいて頂きたいと言う事をよく、このうっかり担任教師にお願いした。
小等部の授業が終わり、担任教師に案内されて「学園図書館」についた五十鈴ちゃん。
『わぁ~、とっても広いの。』
すると一人の女子児童が五十鈴ちゃんに近づいてきた。
『待っていましたの、五十鈴ちゃん!』
『あ!二葉お姉ちゃんだ!』
『し~!図書館ではお静かに、ですのよ、五十鈴ちゃん。』
お姉ちゃんに逢えて、嬉しくてつい大声を出してしまい、
『はう、ごめんなさい。』
二葉お姉ちゃんに指摘され、慌てて両手でお口を塞ぐ五十鈴ちゃん。
可愛い♡
『この図書館には素敵なご本がたくさん有りますの、私がおススメの絵本を見繕っておきましたの。』
『本当?お姉ちゃん、読んでくれる?』
『ええ、喜んで。』
今日はバイトが無いので、五十鈴ちゃんを家に送って、ソレから鶴亀公園で舞華さんを待って、シグマとフリスビーキャッチするかな?
図書館に着くと、その光景に驚いてしまった!
生徒会長の妹さんが絵本の読み聞かせをしているのだ。
長椅子に座り、優しく愛らしい声で隣りに座っている義妹に読み聞かせてくれているのだが、
他にも小等部の低学年生や幼等部の児童、また中高の生徒達らが十数人が囲む様に集まり、その小鳥の囀りの様な声に聞きいっていた。
コレは読み聞かせが終わるまで声をかけられないな。
いつしか士もその耳心地の良い声に聴き酔いしれてしまう。
気付けば、ギャラリーは増えて三十人ほどに⁈
そして、読み終わると立ち上がって、集まった観客に一礼する二葉嬢。
時間も程なく閉館時間、皆んな静かに拍手を送り解散して行った。
『なんて事が有ったんだ。』
『さすが二葉サマ、マジ天使ね!』
図書館で見た光景を、舞華に話す士。
公園のベンチに二人座り、目の前の広場で二人の妹たちが愛犬と遊んでいるのを見守っている。
『アレが「才能」なんだって思ったよ、いや「魔法」かな?』
『「魔法少女 ふたば」ですな?』
言い得て妙なんだけど?
姉が、母親に間違われた話はやめておこう、
今日は優しい気持ちで終わりたいから…。
『へぇ~読み聞かせかぁ~?』
何か思いついた舞華だけど、今日くらいは優しい気持ちでいたいので、それ以上言わない事にした。
『あのね、あのね!』
『ハイ五十鈴ちゃん、何かしらですの?』
『いすずもふたばお姉ちゃんみたいにご本よむのじょうずになるね!だがらたくさん本をよむね!』
『まぁ、ソレでは私も五十鈴ちゃんの良いお手本として、もっと研鑽しなくてはいけませんわ!』
オイオイ、ソレではいつになったら五十鈴ちゃんは二葉お姉ちゃんに追い付くのかしら?
『ん、今二葉ちゃんがすんごい「お姉ちゃん」の顔してたけど(ちょっとドヤ顔っぽいけど)、士くん見た?』
『そう?俺には舞華さんみたいな素敵な笑顔に見えるけど?』
『えっ、もう士くんは、もう~!』てれりこ♡
『ぐるにゃ~?』
『ニャー!』
『えっ⁈ 虎ちゃんとメイ?いつの間に?』
今、父が一番愛でてある「足長マンチカン」のメイちゃんと、「謎の流離のヒーロー猫」虎丸くんだ。
さてさて、今私たちはいつもの鶴亀公園に来てます。
『店長、シフト入れすぎです!今日は社員メンバーで足りてますから、オフにして下さい!』
って悠佳里さんに説き伏せられたので、急遽だけど士くんと五十鈴ちゃんのご兄妹と公園で「フリスビーキャッチ」をする事にしたよ!
士くんに内緒で図書館に向かうと何故か二葉ちゃんと五十鈴ちゃんが手を繋いで、三人で下校しようとしてるから、急いで混ぜてもらったのさ!
シーくんは呼べば直ぐ出てくるので、早速公園で遊んでます。
そんな中、我が家のアイドル猫のご登場な訳で、
『虎丸くん、ウチの箱入り娘を無闇に連れ出さないでね?』
『ぐるぐるニャン?』
あ、とぼけた顔して、ソッポ向いているんですけど?
『この二人って仲が良いのかい? 恋人とか?』
『士くん、ソレ、うちのお父さんの前では言わないでね。
でないと、虎ちゃんタマタマ取られちゃうから。』
『にゃにゃっ⁈』
『ソレは去勢って事かな?』
この時、士くんの顔に縦線が入った…かも?
ん?おや?
『虎丸くん、君も何か穏やかでは無いね?
やっぱり、人間の言葉を理解してるでしょ?』
『ミャー、ミャー!』
『ん、どしたのメイ?
…?、メイ太った?…あ、何だ、ミューちゃんか!』
虎丸とメイだけかと思ったら、ちっこい白猫「美雪」がメイのお腹の白毛部分に張り付いてた?
長毛種のメイのお腹はさぞフカフカなんだね?
『…。』
相変わらず鳴かない子猫ちゃん?
『あー、ミューちゃんだ!』
『命、すまないが明日、五十鈴が山代学園小等部に転校が決まったので、よろしくな。』
夕飯の席で父の報告に
『本当!良かったね、五十鈴ちゃん!』
姉が自分の事の様にはしゃいで、幼い妹に伺うと
『うん、うれしい。』
天使の様な可愛い笑顔を見せてくれた。
最近は幼い妹の為か、家族四人で夕飯を食べる事が増えてきた。
あくまで、皆の都合の良い時だけだが、三人とも率先して合わせる様にしている。
五十鈴は七才、小学一年生である。
田舎の分校の様な小規模な学校から、東京のしかも幼等部から小・中・高等部が併設していて周りからは巨大パノラマ学園などと呼ばれている大規模学校に転校して、きっと驚いてしまう事だろう。
俺もそうだったし。
『命、悪いが明日一緒に行って、担任の先生や理事長方に、挨拶して来てくれないか、「保護者」として。』
『良いわよ、喜んで!
あ!士も気にかけて帰りに迎えに行ってあげてね。』
『本当!お兄ちゃんも迎えに来てくれろの?』
お兄ちゃんのお迎えが相当嬉しいらしい五十鈴チャン、花丸笑顔だ!
『ん?ああ、そうだね?
出来たら何処かで待っていてくれると…あ、学園図書館で待って居てくれるかな?』
『としょかん…「本」がたくさんあるの?』
学園の生徒なら誰でも利用できる、ある意味、全校生徒の社交の場でも有るし、貴重な蔵書もあるので建前上防犯面でも安心していい。
実は蔵書の持ち出しや盗難防止の為のセキュリティーでは無く、生徒を護る為のセキュリティーなので、不審な人物に連れ去られるなどの心配は無い。
もっとも、学園の敷地内だから不審者が簡単に侵入出来ないハズだ。
舞斗に聞いた事だが、図書館の司書の中に警備員も兼ねた武道の有段者が数人含まれているそうだ。
『確か「絵本」も有るから五十鈴ちゃんも退屈しないと思うよ。
高等部の授業が終わったら直ぐに迎えに行くから。』
『うん、わかったの。私、としょかんでお兄ちゃんをまってるね。』
『それではお母様、五十鈴さんをお預かりしますね。』
『先生、何度も言いましたが、私「姉」ですから!
「お姉ちゃん」です!
お、ね、え、ちゃ、ん、デス!』
『す、すいません!』
自分とそう歳も違わない担任教師から五十鈴の母と勘違いされているのに怒り心頭で、
いや、五十鈴の母と見られた事に怒っている訳では無い、(いや、ソレは別に良い、むしろ良い!)小学一年生の子供がいる様な歳に見られた事に怒っているのだ!
いや、若気の至りでヤンチャしてたら五十鈴ちゃんぐらいの子、産んでる可能性もあるかな?
ソレは別としても、五十鈴の祖父だと説明されても納得してしまう自分の父と、まさかの夫婦と見られているのが、正直傷付いたですよ!
『お姉ちゃん、私、お勉強がんばってくるね!』
午後から仕事が有るので、迎えには高等部の兄が来る事、待ち合わせ場所は学園図書館なので場所を、五十鈴に教えておいて頂きたいと言う事をよく、このうっかり担任教師にお願いした。
小等部の授業が終わり、担任教師に案内されて「学園図書館」についた五十鈴ちゃん。
『わぁ~、とっても広いの。』
すると一人の女子児童が五十鈴ちゃんに近づいてきた。
『待っていましたの、五十鈴ちゃん!』
『あ!二葉お姉ちゃんだ!』
『し~!図書館ではお静かに、ですのよ、五十鈴ちゃん。』
お姉ちゃんに逢えて、嬉しくてつい大声を出してしまい、
『はう、ごめんなさい。』
二葉お姉ちゃんに指摘され、慌てて両手でお口を塞ぐ五十鈴ちゃん。
可愛い♡
『この図書館には素敵なご本がたくさん有りますの、私がおススメの絵本を見繕っておきましたの。』
『本当?お姉ちゃん、読んでくれる?』
『ええ、喜んで。』
今日はバイトが無いので、五十鈴ちゃんを家に送って、ソレから鶴亀公園で舞華さんを待って、シグマとフリスビーキャッチするかな?
図書館に着くと、その光景に驚いてしまった!
生徒会長の妹さんが絵本の読み聞かせをしているのだ。
長椅子に座り、優しく愛らしい声で隣りに座っている義妹に読み聞かせてくれているのだが、
他にも小等部の低学年生や幼等部の児童、また中高の生徒達らが十数人が囲む様に集まり、その小鳥の囀りの様な声に聞きいっていた。
コレは読み聞かせが終わるまで声をかけられないな。
いつしか士もその耳心地の良い声に聴き酔いしれてしまう。
気付けば、ギャラリーは増えて三十人ほどに⁈
そして、読み終わると立ち上がって、集まった観客に一礼する二葉嬢。
時間も程なく閉館時間、皆んな静かに拍手を送り解散して行った。
『なんて事が有ったんだ。』
『さすが二葉サマ、マジ天使ね!』
図書館で見た光景を、舞華に話す士。
公園のベンチに二人座り、目の前の広場で二人の妹たちが愛犬と遊んでいるのを見守っている。
『アレが「才能」なんだって思ったよ、いや「魔法」かな?』
『「魔法少女 ふたば」ですな?』
言い得て妙なんだけど?
姉が、母親に間違われた話はやめておこう、
今日は優しい気持ちで終わりたいから…。
『へぇ~読み聞かせかぁ~?』
何か思いついた舞華だけど、今日くらいは優しい気持ちでいたいので、それ以上言わない事にした。
『あのね、あのね!』
『ハイ五十鈴ちゃん、何かしらですの?』
『いすずもふたばお姉ちゃんみたいにご本よむのじょうずになるね!だがらたくさん本をよむね!』
『まぁ、ソレでは私も五十鈴ちゃんの良いお手本として、もっと研鑽しなくてはいけませんわ!』
オイオイ、ソレではいつになったら五十鈴ちゃんは二葉お姉ちゃんに追い付くのかしら?
『ん、今二葉ちゃんがすんごい「お姉ちゃん」の顔してたけど(ちょっとドヤ顔っぽいけど)、士くん見た?』
『そう?俺には舞華さんみたいな素敵な笑顔に見えるけど?』
『えっ、もう士くんは、もう~!』てれりこ♡
『ぐるにゃ~?』
『ニャー!』
『えっ⁈ 虎ちゃんとメイ?いつの間に?』
今、父が一番愛でてある「足長マンチカン」のメイちゃんと、「謎の流離のヒーロー猫」虎丸くんだ。
さてさて、今私たちはいつもの鶴亀公園に来てます。
『店長、シフト入れすぎです!今日は社員メンバーで足りてますから、オフにして下さい!』
って悠佳里さんに説き伏せられたので、急遽だけど士くんと五十鈴ちゃんのご兄妹と公園で「フリスビーキャッチ」をする事にしたよ!
士くんに内緒で図書館に向かうと何故か二葉ちゃんと五十鈴ちゃんが手を繋いで、三人で下校しようとしてるから、急いで混ぜてもらったのさ!
シーくんは呼べば直ぐ出てくるので、早速公園で遊んでます。
そんな中、我が家のアイドル猫のご登場な訳で、
『虎丸くん、ウチの箱入り娘を無闇に連れ出さないでね?』
『ぐるぐるニャン?』
あ、とぼけた顔して、ソッポ向いているんですけど?
『この二人って仲が良いのかい? 恋人とか?』
『士くん、ソレ、うちのお父さんの前では言わないでね。
でないと、虎ちゃんタマタマ取られちゃうから。』
『にゃにゃっ⁈』
『ソレは去勢って事かな?』
この時、士くんの顔に縦線が入った…かも?
ん?おや?
『虎丸くん、君も何か穏やかでは無いね?
やっぱり、人間の言葉を理解してるでしょ?』
『ミャー、ミャー!』
『ん、どしたのメイ?
…?、メイ太った?…あ、何だ、ミューちゃんか!』
虎丸とメイだけかと思ったら、ちっこい白猫「美雪」がメイのお腹の白毛部分に張り付いてた?
長毛種のメイのお腹はさぞフカフカなんだね?
『…。』
相変わらず鳴かない子猫ちゃん?
『あー、ミューちゃんだ!』
応援ありがとうございます!
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