もう一人の【ケンちゃん】 〜ウソがホントかわからないのでみんなに話して見た件。

猫寝 子猫

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ムック、見守り犬を始める?

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 「おはようございます、ムックくんの。」

 「あ、はい、アリスちゃんのお父さん、おはようございます、ハ、ハハハ。」

 ムックの散歩中に立ち寄る公園でよくお会いする初老の男性、何処の誰かは知らないけれど、犬の名前は覚えたのでお互い【〇〇ちゃんのお父さん】と呼び合い挨拶している。

 どうやら犬飼い主あるあるらしい、コレはコレで慣れるまで気恥ずかしいのだが…。

 公園には犬の散歩コースなのか、他にも数人の飼い主たちが立ち話している。

 まぁそれも飼い主たちには散歩の楽しみの一つなのだろうし、あのドッグフードが良いとかあそこの獣医は藪医者だったとか色々と情報交換している様だ。

 さてアリスちゃんとはこの初老男性が散歩させてるビーグル犬の名前だ、首輪の上に紅いスカーフを巻いて愛らしい小型犬だ。
 ムックとは会う度にするので仲が良いのだろう、身体の大きさの違いとかは関係ないらしい?

 猫の事は詳しいつもりだか、犬を飼うのは初めてなので、何かのきっかけでこの男性に質問すると快く教えてくれた。
それ以降はこうして話す様になった。


 「実は今度、もう一匹迎える事になりましてね、私一人では大変だろうからと孫も散歩についてきてくれるそうですよ。」

 そう嬉しそうに話す男性に

 「それは楽しそうですね、同じ犬種ですか?」

 もう一匹と聞いてそう言ってしまった、一瞬だがアリスちゃんのお父さんが表情を曇らせた?

 「…孫がね、何処からか拾って来てね、息子の家では飼えないからと私が引き取る事にしたんですよ…雑種なんてダメだと…嫁が反対してあるらしいのでね。」
 

 どうやらそういう事を大変気にする嫁の様だな、今の話で息子夫婦とは別に暮らしているらしい事がわかったし、その嫁とは不仲なのかも知れない?

 まぁウチもムックを半ばられた様なモンだから何か同情に近い気持ちになる?

 

 そんな話をしてしばらく、そのアリスちゃんのお父さんとは朝の公園で合わなくて何かあったのかと心配していたが…


 「…あ、あのムックのパパさんですか?」

 散歩中、いつもの公園で若い女の子から声をかけられた?

 多分高校生くらいだろうか、ショートの黒髪が可愛いハキハキとした感じのお嬢さん、アリスちゃんと品種のわからない黒と茶の混ざった様な毛色の子犬を連れていた、早速してるアリスちゃんとムック…

 「…おはようございます、えっと、アリスちゃんを連れているから、あののお孫さんかな?」

 「ハイ、ユウキです!
サトウ ユウキっていいます、おじい…祖父からの事は伺ってます、アリスと仲良しのワンちゃんがいるからって、でもこんなに大きなワンちゃんだとは思いませんでした!」

 やや興奮気味でムックの頭を撫で始めたユウキちゃん、どうやらかなりなの様だ?

 聞く所によるとは腰を痛めたそうで、散歩はしばらく無理そうだとか?
 なのでから彼女が二匹を散歩させていたらしいが、おじいちゃんが散歩していた時間帯とはらしいのでオレたちを会えなかった様だ?

 「…で、こちらの子とは初めましてだね、お名前は?」

 「あ、ハイ、【ダンゴロウ】です、可愛いでしょ!」

 「それはそれは、古風な名前だね?」

 最近のJKってこんな感じなのかね?

 「…あ、あのムックちゃんのパパさん、日曜日もお散歩されてますか?
 よければご相談したい事が…」


 それまでの明るい表情とは変わり、真剣な眼差しでオレを見るユウキちゃん?

 


 「…で、旦那様はなんて答えたの?」

 「…もちろん快諾したさ、若者の悩みに耳を貸すのは年寄りの義務だす。」

 「誰が年寄りなのかな?
…ねぇ、それって大丈夫なの、嫌な予感しかしないんだけど?」


 嫁さんが言いたい事も分かる気もする…が、ユウキちゃん悪い子には見えなかったし、あのおじいちゃんアリスちゃんのパパの事も気になっていたし?


 

 「あ、あの、おはようございます、ムック君のパパさ…ん、

 あ、あの…?」

 「おう、おはようユウキちゃん!」

 …オレを見て驚いている様子のユウキちゃん。


 「あらあら、初めまして!
 私はこの人のでミサキで、隣が妹のエリちゃん、そっちが下宿人のユズっち、で、コチラの可愛い子ちゃんがシズクちゃんよ!」

 「…ハハごめんね、お邪魔して、エリです。
 お兄ちゃんたちが楽しそうだからついて来たんだけど…
 えっと、お弁当作ってきたからユウキちゃんもどうぞ。」

 「…ユズリハだ、縁あってご主人の家で世話になってる、そのサンドイッチは私も手伝っているのだ、美味いから食べてくれ。」

 「えっと、シズクです!
 オジサマには日頃から大変お世話になってます!」

 
 オレはいつものベンチに腰掛けてオカカのおにぎりを食べている、そのベンチの後ろにレジャーシートを広げてとおにぎりやサンドイッチ、唐揚げやタコさんウインナーに舌鼓してる俺の家族たち?

 今日、女子高生と公園でお約束してると素直に話したところ、私も行くとか、私気になりますとか、じゃあ私お弁当用意するねとか言い出したのだ、シズクちゃんに至ってはその膝の上に我が家の子猫までちょこんとお座りしてるのだから賑やかな事この上ない?

 まぁ犬たちは喜んでいて、嫁さんから犬でも食べられるサツマイモ入りおからクッキーをもらっていた。

 「えっと、よ、よろしくお願いします⁈」

 半ば強引にレジャーシートの宴席にユウキちゃん、コレどうぞアレも食べてと勧められて、多少笑顔が引き吊っていた?

 少々気の毒なので本題の相談とやらを聞くことにした。

 「…あの、本当はおじいちゃ…祖父が手伝う事になっていたのですけども…

 あのってご存知ですか?」

 「…ごめん、知らないなぁ?」

 この状況に戸惑いながらもユウキちゃんはこのお気楽な大人たちに話してくれた。
 腰を痛めたおじいちゃんはこの地域のボランティア活動をされていた。
 特に小学生の登下校をや【つれさり誘拐】、【いたずら性的暴行】から守る【見守り】をされていたそうだ、しかも御自分の飼い犬アリスも一緒に!

 「大人にガッツリ守られてる感じだと、送り迎えされてるたちが逆に怖がってしまう事もあるそうで…
 そんな時に何処かの地域で保護犬の飼い主さんがお子さんの送り迎えにワンちゃんも連れて来たそうです、そうしたら…。」

 一緒に登下校しているお子さんのお友達同級生が、

 「ワンちゃんと一生だと安心だよなぁ、僕ンチは犬飼ってないから羨ましいよ。」

 別に不審者を見付けて吠えたとか、そんな武勇伝がある訳ではないが、犬と一緒というだけで登下校中が安心出来るとかテンション上がるとか言うお子さんがいるんだとか?

 「…つまり、お祖父様の代わりにオレにそれをやれと?」

 「…ご無理を言ってすいません、でも祖父は『あの方ならやってくれそうだから』って言ってまして、それにムック君なら【見守り犬】に相応しいんじゃないかと最初から感じてました!」


 言わんとしてる事は分かる、分かるけどね?

 「…オラ、普通に会社員だし、お子様の登下校の時間帯は無理無理だね。」

 「…アレ、そうだったんですか?

 す、すいません、わたし勝手にニート無職な人かと思って、お時間に余裕があるかと感違いしてました!」

 慌てて謝るが、何気にトゲのある言葉に気が付いていなさそうなユウキちゃん?

 「…あら、それならワタシ嫁さんユズっちユズリハが代行すれば良くない、良く良くない?」

 「あ、ソレいい、なんならエリもやってまたいかも?」

 「し、雫もです!

 …あ、学校あるから無理でした、ぐすん?」


 「…ワタシユズリハは遠慮したい、こう見えて忙しい時は忙しいのだが!」

 
 …既に過半数でやる方向で話しが進んでいる、俺は兎も角ユズリハには悪い話しでもないだろう、例の探しにも繋がりそうだし?

 どうやら小型犬のアリスでは心許ないかもと思っていたらしいが、大型犬で大人しいムックなら子供の護衛に向いてると思われたのかも知れない?
 嫁たちはこの件を引き受けた、俺の存在は無かった事にして?


 嫁さんはその日のうちに他の【見守り】のボランティアの方に連絡を取り、翌日にはムックを連れてこの地域の見守りボランティアを始めてしまうのだった。

 そして俺の朝のルーティンが以前のモノに戻った、朝二回の散歩はムックに負担になるのではと考慮したからだ。

 エリやユズリハとも偶に交代するとか言っているが、原稿の〆切とかアブナイ時の事を見越しているのだろう?
 

 「ふふん、アレね、朝に軽く散歩するのって脳が活性化して、筆の進みがいいの!」

 なんて言っていた嫁が三日続かず、エリが代わって見守りに参加した時に限って、ソレは起きてしまった⁈

 「…お兄ちゃんどうしよう、ムックがね、男の子に向かって吠えちゃったの!」


 吠えた?

 あのムックが?
 
 
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