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自作自演の代償? 〜⑥
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チュンチュン…
おそらくスズメの鳴き声だろう、耳に心地よい…
てしてし…
何か柔らかいモノが頬に触っている?
「ニャ~。」
ん、猫?
…なんかデジャブ感パナいな?
「…えっと、お前、名前なんだっけ?」
目の前の子猫に聞いても、
「ボク、ニャン丸!」
とか、答えるはずも無く、
「ニャ、ニャ。」
と鳴くと、トトトッと歩いて部屋を出て行く、ちっちゃくて可愛いお尻とシッポを揺らしながら…
あの日、泥酔してこの家に泊めてもらってから一週間もしないウチに、またお世話になっている。
盗聴器が仕掛けられていた部屋の音大生が言うには、近々音楽コンクールが有るとかで、ソレに発表する為の曲を部屋に篭って作曲中の事。
ソレに入選すれば将来的に安泰らしいのだけど、同じ学舎でもライバルが多いらしく、盗聴もライバルの妨害だろうと言っていた。
又、真壱郎や俊治が目撃した人影だが、女性だったかも知れないと伝えると、
「多分、ライバルが差し向けた尻軽女か、以前ほんの少しだけ付き合っていた女性かも知れない…
遊ぶ金欲しさに、ボクの部屋から金品を持ち出していてね……。」
まぁそこそこイケメンだったけど、同情でも買いたいのか、いちいち自分や英理に意味有り気に視線を送るのが感に触った。
隣人が被害届を出した翌日には、近隣の警察署から刑事が来て色々と聴かれた?
届けを出したきっかけはコチラに有るし、高坂や我孫子道がベランダから見た怪しい人影に付いても話した。
「…実は、この近隣で【不審者の目撃】情報が有りまして、コチラは女性の一人暮らしですし、特に戸締りや深夜の外室などお気をつけて。」
どうやら、偶然にもマンション近辺では色々と物騒な事が集中して起きているみたいだ?
「やっぱり了子サン、ウチに来て下さい!
少なくとも、この辺りの不審者が捕まるまで!」
そんなこんなで、キダエリちゃんの勢いに負けて再びこの家にご厄介になっているのだけど、
困った…
困った事に、非常に居心地が…
「あら、おはよう了子チャン!
よく眠れたかしら?」
居間のちゃぶ台には既に二人分の朝食が用意されていた!
「お、おはようございます、お姉さん。
すいません、今朝もお手伝い出来なくて!」
「…違うの、この朝食は旦那さまが作っていってくれたのよ。」
「…えっと、お兄さんは?」
「…もう仕事に行ったの、今日は早番なんですって、その代わり少し早く帰って来るみたいよ?」
美味しそうな味噌汁の香りが、鼻腔をくすぐる!
急に空腹感が襲ってくるから不思議だ?
「…さ、鯖はエリちゃんが焼いたの、私は焼き海苔を出しただけ…なの。」
お姉さんは漫画家サンだとかで、きっと昨晩は徹夜でもしたのが寝過ごしたのだろう?
「…エリさんは?」
「…近所の喫茶店に行ってるの、【モーニングセット】の準備を手伝うとかで…、あ、バイトなんだ。」
こんな時間から?
今日の講義、一限は取って無いのかしら?
まぁ彼女の事だから、その辺は抜かりは無いのだろう?
お姉さんと二人で朝食をいただく、なんともコレぞ日本の朝食といったモノが用意されている。
生玉子かけご飯なんて、本当に何年振りに食べただろう?
豆腐と油揚げの味噌汁、大根の浅漬け、焼魚…
胃に優しい…
朝からやたら落ち着く…
「フフフ、なんか思い出しちゃうなぁ~?」
「えっ、何がですか?」
「私もね、旦那様と付き合い初めの頃ね、住んでたアパートで【殺人事件】があって、当時ご存命のお義母さんが、私のこと心配だからこの家に住みなさいって言って下さってね、転がり込んできたのよ。」
「…ソレって、なんか似てますね。」
「よね~。
まぁ、結婚しても良いとは思っていたけど、同棲ならぬ下宿しちゃうとか予想の斜め上だったわ!」
そうか、キダエリちゃんの押しの強さは遺伝なんだ?
そう、それにしても
困った事にここは大変居心地が良いのだ!
本当にこの家の子になろうかしら?
「おっはよーございまーすっ!」
「うむ、イイタイミングだ。」
私達が食べ終わるのを待っていたかの様に高坂君が迎えに来た。
私はいいと言ったのだけど、キダエリちゃんが、
「真壱郎クン、車持ってるよね?
じゃあ、お願いね!」
と、送り迎えする事を約束させてしまったのだ!
「構わないけど、ソレって英理さんも一緒にかな?」
「もちろん、正解!
車内でお話しできるし、美香さんも途中で乗せて行けるかな?」
なかなか人使いが容赦無く…
「ハイ、コレ真壱郎クンの分ね!
パパさん、皆んなの分だってチャンとランチ用のお弁当にサンドイッチとか作ってくれていたの!
男の子の真壱郎クンの分はさ、私が唐揚げとかポテサラとか、多めに入れておいてあげたからね!」
「サ、サンキューですっ⁈」
飴と鞭の使い分けは理解している様ね?
そんなこんなの木田家での下宿生活が始まった私、最初の予定からは随分かけ離れてしまったのだ⁇
おそらくスズメの鳴き声だろう、耳に心地よい…
てしてし…
何か柔らかいモノが頬に触っている?
「ニャ~。」
ん、猫?
…なんかデジャブ感パナいな?
「…えっと、お前、名前なんだっけ?」
目の前の子猫に聞いても、
「ボク、ニャン丸!」
とか、答えるはずも無く、
「ニャ、ニャ。」
と鳴くと、トトトッと歩いて部屋を出て行く、ちっちゃくて可愛いお尻とシッポを揺らしながら…
あの日、泥酔してこの家に泊めてもらってから一週間もしないウチに、またお世話になっている。
盗聴器が仕掛けられていた部屋の音大生が言うには、近々音楽コンクールが有るとかで、ソレに発表する為の曲を部屋に篭って作曲中の事。
ソレに入選すれば将来的に安泰らしいのだけど、同じ学舎でもライバルが多いらしく、盗聴もライバルの妨害だろうと言っていた。
又、真壱郎や俊治が目撃した人影だが、女性だったかも知れないと伝えると、
「多分、ライバルが差し向けた尻軽女か、以前ほんの少しだけ付き合っていた女性かも知れない…
遊ぶ金欲しさに、ボクの部屋から金品を持ち出していてね……。」
まぁそこそこイケメンだったけど、同情でも買いたいのか、いちいち自分や英理に意味有り気に視線を送るのが感に触った。
隣人が被害届を出した翌日には、近隣の警察署から刑事が来て色々と聴かれた?
届けを出したきっかけはコチラに有るし、高坂や我孫子道がベランダから見た怪しい人影に付いても話した。
「…実は、この近隣で【不審者の目撃】情報が有りまして、コチラは女性の一人暮らしですし、特に戸締りや深夜の外室などお気をつけて。」
どうやら、偶然にもマンション近辺では色々と物騒な事が集中して起きているみたいだ?
「やっぱり了子サン、ウチに来て下さい!
少なくとも、この辺りの不審者が捕まるまで!」
そんなこんなで、キダエリちゃんの勢いに負けて再びこの家にご厄介になっているのだけど、
困った…
困った事に、非常に居心地が…
「あら、おはよう了子チャン!
よく眠れたかしら?」
居間のちゃぶ台には既に二人分の朝食が用意されていた!
「お、おはようございます、お姉さん。
すいません、今朝もお手伝い出来なくて!」
「…違うの、この朝食は旦那さまが作っていってくれたのよ。」
「…えっと、お兄さんは?」
「…もう仕事に行ったの、今日は早番なんですって、その代わり少し早く帰って来るみたいよ?」
美味しそうな味噌汁の香りが、鼻腔をくすぐる!
急に空腹感が襲ってくるから不思議だ?
「…さ、鯖はエリちゃんが焼いたの、私は焼き海苔を出しただけ…なの。」
お姉さんは漫画家サンだとかで、きっと昨晩は徹夜でもしたのが寝過ごしたのだろう?
「…エリさんは?」
「…近所の喫茶店に行ってるの、【モーニングセット】の準備を手伝うとかで…、あ、バイトなんだ。」
こんな時間から?
今日の講義、一限は取って無いのかしら?
まぁ彼女の事だから、その辺は抜かりは無いのだろう?
お姉さんと二人で朝食をいただく、なんともコレぞ日本の朝食といったモノが用意されている。
生玉子かけご飯なんて、本当に何年振りに食べただろう?
豆腐と油揚げの味噌汁、大根の浅漬け、焼魚…
胃に優しい…
朝からやたら落ち着く…
「フフフ、なんか思い出しちゃうなぁ~?」
「えっ、何がですか?」
「私もね、旦那様と付き合い初めの頃ね、住んでたアパートで【殺人事件】があって、当時ご存命のお義母さんが、私のこと心配だからこの家に住みなさいって言って下さってね、転がり込んできたのよ。」
「…ソレって、なんか似てますね。」
「よね~。
まぁ、結婚しても良いとは思っていたけど、同棲ならぬ下宿しちゃうとか予想の斜め上だったわ!」
そうか、キダエリちゃんの押しの強さは遺伝なんだ?
そう、それにしても
困った事にここは大変居心地が良いのだ!
本当にこの家の子になろうかしら?
「おっはよーございまーすっ!」
「うむ、イイタイミングだ。」
私達が食べ終わるのを待っていたかの様に高坂君が迎えに来た。
私はいいと言ったのだけど、キダエリちゃんが、
「真壱郎クン、車持ってるよね?
じゃあ、お願いね!」
と、送り迎えする事を約束させてしまったのだ!
「構わないけど、ソレって英理さんも一緒にかな?」
「もちろん、正解!
車内でお話しできるし、美香さんも途中で乗せて行けるかな?」
なかなか人使いが容赦無く…
「ハイ、コレ真壱郎クンの分ね!
パパさん、皆んなの分だってチャンとランチ用のお弁当にサンドイッチとか作ってくれていたの!
男の子の真壱郎クンの分はさ、私が唐揚げとかポテサラとか、多めに入れておいてあげたからね!」
「サ、サンキューですっ⁈」
飴と鞭の使い分けは理解している様ね?
そんなこんなの木田家での下宿生活が始まった私、最初の予定からは随分かけ離れてしまったのだ⁇
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