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いらっしゃいませ!ようこそ『森の猫さま』へ。
不満爆発!大掃除開始?またのご来店を!
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舞華です!やさぐれてますよ!
ちょっと聞いてよ!
色々ありすぎて、もう吐きそうデす!
血統書を偽造して、不当不法に集めた犬猫を販売していたグループとか、
脱法ドラックの材料となる植物を栽培していたグループとか、
暴行パーティーを企画実行していたグループなどなど悪い奴等が多過ぎる!
ハイハイ、片付けましたよ。
お兄ちゃんとメイドさんが。
不景気で工場が売却され、自分達の住む側に人知れず犯罪工場が出来ていたって怖くないですか?
ウチのお兄ちゃん、「北代 舞斗」は積極的に陰ながらお巡りさんに協力。
容疑者たちの潜伏先や逃走経路の情報を「森猫」にて発信中?
例えば、
『もぅ~怖かったデスよ!
来る途中に何か三丁目の辺り、怪しイ人たちがうろウロしてたから、ヒナちゃんと一緒に帰るっスよ。』
って後輩ちゃんが店内で言えば、
ご常連の強面なオジ様たちが携帯電話やスマホを取り出して、
『三丁目、よろしく。』
『お嬢ちゃんが帰る時間までには掃除しとけ!』
などやんわり。
どれが誰か、わかるかな?
そして、普通に仕事として「武器」や「兵器」に転用出来る製品を作らされていた工場。
発注元を燻りだしたら、大掛かりな組織が存在してるから、騒いでやった。
あと、工場をたたんで山王院に売却した方以外に、件の品物の品質を見て、その腕前を見込んで翔太おじさんが自身の開発品の部品など発注する事になったみたい。
知らなかった…私が生まれ育った町は割とデンジャラスなのね?
ヒマを持て余したお金持ち。
遊び感覚で「命」をチップにして、ギャンブルをする輩がいるとは訳分から無いよ?
そんな輩にこの町を蝕まれるなんて許さない!
お兄ちゃんとメイドさん達が「翔太おじさん」から色々借り出した。
何と言うか、ウチのお父さんの「お古の強化服」ってどう言う事?
とにかく、山王重機等の開発主任がご近所の「翔太おじさん」で、
そのおじさんのお爺さんが超博士で…。
ま、いっか。
おじさんのお爺さん、天国から見守ってください。
まぁ、ロボとか科学の忍者みたいなメイドさんとか、厨二が過ぎるよ!
だって山王院と知り合う前から「ファイタス」さん居るんだけど?
あれ、昭和製!
私、遊んでもらった事あるよ?
まぁ、ネコカフェに太客が増えるのは、嬉しいけどね。
ご迷惑をお掛けし過ぎてしまったようでと、何処で聞いたのか?
お堅い職業の方が来店する様になったよ?
私、何故か花束渡された?
イケメンのお兄さんに?
ごめんなさい、私にはもう心に決めた人がいるんで。
『店長!保護猫活動の募金箱に御札がいっぱいです!』
すると、ゴンパパさんが!
『なんだ!新参者が生意気な!ほら、皆んなも出せ出せ!
先生二人も稼いでんだろ?五道のダンナはこの間、えらく難しい手術でお手柄だったそうじゃないか?リリ助に聞いたぜ!』
『あんな簡単な手術に金は取れんよ。なんたってそのリリちゃんの紹介だからな。』
何気にリリちゃん、おじさま受けがいいのね。
そう言えば、リリちゃんが最近、タブレットPCを使ってネコ型ロボや介護施設のお年寄りや、リリちゃんパパと話している!
二葉ちゃんは、「チーム白猫」の副リーダーの地位を手にした。
ちなみにリーダーはパトリシアさん。
でね、 パティは(二人きりの時はそう呼んでほしいって♡)私専属のメイドさんになりました……、えへ。
華ちゃん曰く、
『舞華にはいずれ誰か付けるつもりだったから。』って。もぅ、華ちゃんたら、うふふ。
それから、ニャンーバロンは翔太さんの「私物」だから、リリちゃんが自由に使ってくださいって。
ってダメでしょ!
ひとまず、タコ焼き屋さんのキッチンカーに偽装して、羽柴ビルの地下駐車場にいる。
あ、羽柴ビルって「森猫」が有るビルね!
ニャンーバロンくんは自己学習型AI搭載なので、どんどん話したり、遊んだりして欲しいって?
お兄ちゃんは、
「黒猫」との合同訓練が義務化された。個人の経験よりチームとしての作戦行動の経験値が低いので…。
お兄ちゃん達が保護した子供達は、「商品」だった。
いろんな意味の…。
口にするのも悍ましい、
悔しいけど、私たちには助けた後の事は何も考えてなかった。
あの子たち、戸籍とか名前や家族とかわからない、いや存在を証明する記録が見つからない。
ぞっとした。何で?
お父さんは知ってそうで教えてくれない。
動物たちは、ほとんどが密猟された子達で、本来なら元の生息地に戻してあげたいけど、中々直ぐには難しいみたい。その国の偉い人も絡んでいる可能性があるそう。ダメじゃん!
あの時、逮捕された人の中には保釈金を払って表に出ている人もいるけど、
『そっちは専門の清掃業者がいるから。それに保釈金なら公的に生きたお金になるだろ。』難しいよ、お父さん。政治的なのは!
お父さん曰く、
「相手が悪者だからって何しても良いと思ったら、大きな勘違いだ。結果、他の誰かが命をおとす事も有るかも知れない。俺もそうだったよ。」
あの子たちの件が有ったから、返ってお父さんの言っている事が怖かった。
あー!今は考えない!
華ちゃんは、地域活性化に貢献している事を町のお偉いさんに感謝され、懇親会だの、意見交換会だのに御呼ばれされて忙しい。
でね、この間
私に「森猫」で花束くれたの、華ちゃんの従兄弟さんだって!
「山王院 大樹」
現状、山王院での華ちゃんのライバル的存在で今回の工場地区土地開発に乗り出したもう一つの山王院さん。
華ちゃんが考えるに、私を抱き込もうとしてるのか、
それとも本気?なのか、上手くあしらってね、って。えー、ウザ。
多分、山王院内で後継者ダービーが噂され、外枠から二葉ちゃんが牛蒡抜きしてる感があるらしいの。
あと、もう一人ね、私に近づいてきた華ちゃんたちの従兄弟さんがいるの。
最近急成長の芸能プロダクション「SUN KING」の社長
「山王院 元徳」
え!ヤダ、私アイドルなんて、もしかして女優やモデルかも?
『なぁ、貴女なら二葉を説得してアイドル活動させられるだろう!悪い話しじゃないと思うんだ。』
ハイハイ、分かってましたよー。
華ちゃんはガード硬いから、私狙ってきたか?
『あと、あの銀髪の子とロリババァも何とか?』
この段階で、小町さんが、
『あらぁ、元徳くん?
久しぶりー。』
と、背中に大蛇の様なオーラを背負ってあしらってくれた。
何か有った二人?
何だろ、色々あった所為か、あんまりスッキリしない事だらけで、モヤモヤする。
お父さんは、福ちゃんが亡くなった辺りから、ちょっと静かだ。
何か調べているみたい。
『ヤッホー!お父さん、可愛い娘が、遊びに来てやったぞ!』
地下の古本屋にあったかいコーヒー缶差し入れに、お父さんの様子を見に来た。最近は優斗やお父さんの若い頃からの友達や、嵐姉までいる。
少し前まで寂れてたのに、賑やかだ。
『ん、鏡を見直す勇気はあるか?』
『何でよ!』
『可愛いとかもう子供扱い出来ないだろ。
…もう立派な「レディー」さ。
綺麗だよ、舞華。
これならいつでも「お嫁」に行けるな。
…なぁ福よ。』
『あ、あの冗談だよね?お父さん?』
『半分な。』
何処が半分冗談で、本当なのはどれ?
『ごめんごめん、舞華が可愛いから、つい揶揄ってしまった。』
な、なんだ、やっぱり可愛いんじゃないか。
えへへ。
『で、どうした?
パトりんとゆるゆりな関係になったらおしえろ。』
『そんな大事件、お父さんに教えないよ!バカ!』
キレッキレだな?何か有ったな?パパりん。
古本屋の中、妙な感じだ?
『舞華、ちょっと見てみ。』
お父さんの座っている椅子の横に段ボール箱が山積みされてる?
が、明らかに中身は本じゃ無い箱が別に避けて置いてある。
『え、もしかして?』
『なぁ、この子どうする?』
ボク、ニャンーバロン!
あのね、ボク お父さんの研究所からお引越したよ!
ここは猫さんが、たくさんいるから楽しいよ。
リリちゃんとは通信機でいつでもお話し出来るし、時々お友達を連れて会いに来るよ。
これナイショだよ、夜はタコ焼き屋さんに変身して町のパトロールもしているんだ!
『ニャンーバロン、起きてる?』
『舞華お姉さんだ!こんにちは、どうしたの?ボクに会いに来てくれたの?』
最近のニャンーバロンはリリちゃん以外とも話すので、かなり人間に近い音声で話せるようになったの。
さすが自己学習型の超AI!
タコ焼き屋台カーと話す私って超クール?
でも、小さいころの優斗みたいな感じでホットする。
『ねぇ、この子を助けてくれたのはニャンーバロンだって聞いたけど?』
『ハイ、お姉さん。そうだよ、公園の茂みで震えてたから「メインクーン出動規則ー第一条」に従って「保護」したの。
いけなかった?舞華お姉さん?』
『そ、そんな事無いよ!
凄く良い事だよ!
あのね、それでね、その時の詳しい状況を教えて欲しいの。』
メインクーン規則って何?
あれかな?ロボット三原則みたいな。
段ボールの中身は父のブランケットに包まり、スゥスゥ寝息をたて眠っていた。
私はその子を抱き上げ、胸に抱えるとタコ焼きカーの元へ行った。
『この子ね、ニャンコのお耳が有るの。可愛いよね!』
それゃ猫だし、猫耳あるよ?
『あれ、さっきはちっさい「女の子」だったよ?』
え?
『パパさん、さっきニャンーバロンの「お兄ちゃん」にあったぞ!』
リリちゃんの今までは、学校が終わると、大体家でお母さんのお手伝いで、夕飯の材料を買いに「おつかい」に行ったり、ワンコのお散歩にニャンコも同行させたり、ご近所では人気の「名物JS」なのね。
最近はお散歩コースにこのビルの地下駐車場も含まれている。
……えっ、何?ニャンーバロンのお兄ちゃんって、「ファイタス」さんの事?
『違うよ、まぁ姉ちゃん、「メインクーン1号の事だよ!」』
このお話しが「少女とロボの友情」をテーマにした物語になりかけてる?
違うよ!猫カフェで女の子達が猫をもふもふして、癒されてまったりするお話しなのに、
舞台となる町が意外と治安が悪かったかも?
昔は、畑とか牛がいた場所も有った東京の田舎町なのに?
いや、最近庭にタヌキが来たよ。
『それはいいけど。まぁ姉ちゃん、なんでその子、裸ん坊なのだ?』
あら、私っていつの間に赤ちゃんを抱っこしてたの?先程は子猫を抱いていた様な?
『まぁ姉ちゃん、いつ赤ちゃん産んだの?』
リリちゃんがつぶらな瞳で見つめて問いかけてくる?
いやいやいやいや、
私未経験だから無理!
あれ?でもマリア様は未経験でもご出産されたのだから…いやいや。
『やや、舞華!赤ちゃんの父親はせん……、』
『わあーー、わあーわあー、わあーのわあー!』
お父さん、黙ってて!ってかその人なら良いの?
お父さんは。ドキドキ?
『まぁ姉ちゃん、赤ちゃん起きちゃうのだ。変なお姉ちゃんなのだな?』
『舞華、その子「猫人」かも。ふうなの同族か、近い種族かな?』
『……はい?「ね…こびと」ですか。』あら、この子誰かに似てる!
良平から、「人権保護」が売りの政治屋が「S」が仕切っている「人身売買組織」から「臓器提供」用の子供を「養子縁組」した事(組織内で売買成立した隠語)を聞いた。
あの子供達の中にいたらしい。
彼には生まれ付き臓器に疾患を持った子供がいるらしい。
何か矛盾を感じながら、やるせ無い思いだ。
同じ親としては彼を責められない。
同様のケースでトラと格闘しようとした男もいたとか?
舞斗たちはそこまで知らずに、行動している。知ってしまったらあの子らはどう行動していたか?
いつかはそんな苦悩する日も来るだろうけど、今は何も考えずに自由にさせとく。何か有ったらケツは持つけどな。
さて、猫男爵が猫耳幼児を保護して来たよ?
何処ぞの犯罪組織との決着はまだ先になりそうだが、
先ずはこの子、どうしようかな?
『また、北代さんちはお子さん増えてるわよ、って言われるのかしら、お父さん?』
『パパさん、この子はリリの弟にするのか?』
まだ、この子の事が何もわからない内に、
娘たちは無し崩しに話しを進めてる、まるでウチの嫁さんの様だ。
『あのね、お父さん。この子、あの「良子」さんに似てるかも。私が会った「良子」さんの方に。』
とある日曜日、俺は娘たちが働く猫カフェ「森の猫さま」に顔を出す。
『いらっしゃいませ、「森猫」へ。』
最近入った子かな?
名前がわからない。
挨拶もぎこちない。
『お客様、当店のご利用は初めてですか?』
『いや、割と頻繁に。』
毎日と言ってもいいくらいだ。
『八重竈さん、店長のご案内は私が致しますので、八重竈さんは表でチラシを配布してください。』
『あ、パトりん。今日はゴンパパ来てるかい?』
『パ、パトりん?パトリシアさん、この失礼な「店長」は誰ですか? ん?「店長」?』
『八重竈さん、ですからこの「森猫」の正式な「店長」です。「舞華店長」のお父さまですが、何か?』
『八重竈!
北代老師に失礼な態度は懲罰対象だが、
何をボサっとしている?』岬、いびるな!
『え、あの、その、す、すいませんでした!』
『いいよ、いいよ。次気をつけてね。』
まぁ仕方ないよね。
猫カフェも今は順調の様だし、少なくともこの猫カフェに持ち込まれたトラブルは解決した。
後は、おいおい片付けますか?
『よう大将、遅かったな?』
すっかり常連のオジサマ軍団がいる場所は「シニアスペース」と呼ばれている。ナイショね。
『みんな、娘たちにいいカッコしたいからって、常識を逸脱しない様にな!』
皆、素知らぬ顔して、猫の前でネズミのおもちゃや猫じゃらしを揺らしている。
『そうだ、その通りだ。分かってるか?不良親父たち。』
新たなオジサマ軍団のメンバー、「風間 良平」が物申すが、
『風間のオジ様、店内での公務執行はお辞め下さいね。』
いつの間に、ウチの娘が仁王立ちして不良オジサマ軍団に物申したりしてる。
『やぁ、舞華ちゃん。そうしてると学生の頃の久美ちゃんとそっくりだね。』
『人の嫁さんを名前で呼ぶな。あと、人の娘をエロい目で見るな。飛ばすぞ。』
『やだ!オジ様。私や母の事、そんな目で見ていたんですか!』
『いや、違うんだ、舞華ちゃん!これは二人がとても美人だと褒めている表現で、やましい気持ちなんて塵芥もないよ!』
必死で弁解する良平に、
『だがよ、学生の時に舞華ちゃんのママさんに告ってフラれたのは有名な話しなんだろ?』って、ゴンパパさんこと権藤さんのキラーパスに、
『当時から、学園で生徒会長は誰と付き合うのか話題だったんだ。幼馴染の建坊は別枠だし。』
え!
ええっ! 何故権藤さんことゴンパパさんが当時の事情を?
あと五道君のお父さんも?
ふと父を見る私。どして?
『ん?ああ、権藤先輩は番長だったんだ。一個ダブりな。五道は一応級友かな?図書室の主だったのは覚えてる。』
今度はゴンパパさんを見返す私、何故かVサインのゴンパパさん。五道さんは恥ずかしそうだ。
『なぁ、ゴンパパ先輩。町の掃除は順調そうかい?』
『胴元は撤退した様だ…が末端が今まで美味い汁啜ってたから未練があるらしいな。チマチマせこい事してるぜ。』
『だとよ、お巡りさん。ウチの子供たちが掻き回す前に何とかしなさいよ!』
『なぁケンちゃん、この際舞斗君を特命刑事とかにしないか?私たちの様に。』
『いいね~!だったら僕の「ガレージ」から「ファイナルシリーズ」の何台かレンタルするよ。舞斗君なら「ファイタスー零」がキャラ的に相性良いかも!』
『お前は、自重しなさい。』
『あの辺、何気に圧が強くて、近付けません!猫以外は。』
『もぅ、何でこうなるの?』
良い人たちなんだけどね。
私、お爺様にお願いをした。
将来、山王院の中枢を任されるなら、今は自由にさせて欲しいって。
『お前はそんな小さい枠に囚われない生き方をしなさい。山王院の財はその為なら惜しむ事無く使うが良い。』
『なら、私専属の「猫さん」を募りたいのです。時に共に地獄を駆け抜け、時に荒地に華の種を蒔く「魂の姉妹」を。』
山王院メイド部隊十三番隊 二葉専属、通称「白雪」発足。
『私がお兄様やお姉様たちを護りますの!』
十六夜家当主 「十六夜 雫」
『白雪は私の娘たちを配置しますので存分に、姫さま。…あのたまに「北代老師」に逢いに行ってもよろしいでしょうか?』
『貴女も「北代信者」なのですか?お父さまは罪作りですのね。』
『いえ、「久美お姉様」と番われた方ですから失礼が無い様にと、ホホホ。』
私の知らない所で事が動きまくってるみたい。
そんな中、やっとあの「イベント」が取り行われたの!
羽柴ビルの地下駐車場B1をお借りして「第一回保護猫譲渡会」を開催しました。
二葉ちゃんやリリちゃんも手伝ってくれて、保護猫の数は20数匹。子猫や十五歳前後の大人猫など様々、四つの保護団体が協力してくれた。朝10時から開始に8時から三十人ほど並んで待っている!「森猫」によくいらっしゃる方も並ばれていた。
まだ会場の設営が始まってないので、超有能なメイドさんに活躍してもらったの。
9時には設営終了!さすがね。
子猫の可愛い鳴き声に並んで待っている人たちがソワソワしてる。 うんうん、そうだよね。
『舞華、古本屋の前に休憩用の長椅子とか置いたから、あの辺を休憩所にしな。』さすがのお父さん、既にチョイ悪オジサマ達が居座り始めてる。
『お前さん達、ここに居るなら「保護猫」引き取る気が有るのか?』
お父さん、もっと言って!
『ん、俺は古本屋が開くのを待っているだけだが?』三条先生、ブレませんね。
『紅葉郎くれ!大将!あの貫禄ならウチの事務所の良い看板猫になる!』意外とマジなゴンパパ、でもね、
『今日はここに居る子たちが里親を探しているの、権藤のオジ様。でもお気持ちは受けたまりましたので、お話しは後日に。』
『じゃあ今日は紅葉郎の「嫁さん」を探して、いつかは子猫も混じえて「楽しい老後生活」だ!なぁ舞華ちゃん、紅葉郎の奴、まだタマ付いてるよな?』
『ゴンパパさん!言い方、言い方!私、コレでも「乙女」なんです!もうー……ハイ、紅葉郎は去勢は未だです。そこは飼い主の責任で悪戯に増えない様に出来ますか?』
『命の責任だな?もちろんだ。アイツの血筋を遺したら、ちゃんと嫁さん含めて手術するよ。』
この辺りの考え方は人それぞれだし。私としてはここを大事にしたい。
さて、10時です!
『お待たせしました。「森猫」主催、保護猫譲渡会を開場します!』
地下駐車場を利用したのは正解かも。最初はビルの屋上を使う予定だったけど、思っていた以上に来客が多い。80人近いかも、すごいね!
もっとも皆んなが里親希望者では無いだろし、ただ見に来ただけでもね、興味を持ってくれただけても感謝!
既に「談話スペース」では、譲渡に対してお話し合いが始まっている。「トライアル」で仮里親体験して、 本当にその猫と上手くやれるのかお試しが有る。
各団体ごとに里親希望者とのお話しは進んでいるみたい。
人気なのは子猫かと思いきや、大人しく落ち着いたシニア猫も問い合わせがある様。
幾分、TVの影響もあるよね。
いいの、それでも。
『あ、てんちょのお姉ちゃんだ!』あ、よく来るお子さまたちだ。
『こんにちは、来てくれてありがとね。』
『ねぇねぇ、今日ココで猫ちゃん貰えるんでしょ?』ん~。チョイ違うけどね。
『こら、騒がないの。あら店長さん、今日はお世話になります。』
以前から子猫の里親になりたいとご相談されてるお客様だ、後から旦那さんらしい方も。
『お父さん、早く早く!可愛い子、他の人に取られたらお父さんの所為だからね!』ん~、それはかなり違うよ、ボク。
楽しそうな賑わいに、ほんの少し嫌な事を忘れて会場を見渡す。
ウフフ、よし。いい感じですよ!
『あの、「森猫」の店長さんですか?』ハイ、私が森猫の店長ですーって、誰?
『ハイ、店長の「北代 舞華」です。里親希望の方ですか?』
声をかけて来たのは、30代ぐらいの女性、私より小柄で優しそうだけど、ちょっとお疲れ気味なのか顔に出てる。
『いえ、私は…私も猫カフェの店長なんです。二つ先の駅の側で「小さな天使たち」と言う猫カフェなんですけど…「森猫」の店長さんとお話ししたくて…。』
『あ、ハイ!そうなんですね!じゃあ、あちらで座って話しませんか?』
何気に古本屋前の休憩所に誘導する。同じ猫カフェの店長と話したいだけとは思えない様子を感じてしまったから。
『ごめんなさい、忙しい所に。』随分と恐縮している?アレか!側に不良オジサマ軍団がいるからか?
するとハーブ茶のいい香りが。
『こちらをどうぞ。カモミールに少しだけジンジャーを加えて有ります。』もぅ、パティは気が利きすぎよ。彼女、突然メイドさんが現れてびっくりされてるし。
『彼女、「森猫」のスタッフです。会場を和ませようとあんな服着て、似合いすぎですよね。』
『そうなんですね?海外の方ですか?』
『お母さんがイギリスの方なんです。そうそう、私にお話しが有るってなんですか?』
『え?あ、そうでしたね、ごめんなさい、 やだ、私、自分の名前も名乗らないで…、私、「高梨 美根子」といいます。最初はこの町で猫カフェを開きたいと思っていたの。でも、中々折り合う物件が無くて…やだ、ごめんなさい。こんな事話すつもり無かったのに…。』
『ハーブティーで緊張が解れたとか?ふふふ。ここ、叔父のビルなんです。私が「猫カフェ」やりたいって父に話したら、叔父が空きスペースを提供してくれたの。親戚一同、動物好きなんですよ。』
隠す程の話しじゃないし、いいよね。
『私も、動物好きな両親の影響で「猫カフェ」を始めたいと思ったの。OLして資金作って、友達が「クラウドファンディング」を教えてくれて、やっと開店までこぎついたのに「あんな事」が有って…。』お疲れの原因はそれかな?
『大変ですよね、猫カフェ店長って。好きだから頑張れると思ってたけど、想定外のハプニングが有ったり、最近だと迷子の子猫を探したり、このビルの前に猫を捨てた人に正式に譲渡してもらったり…あと、何だっけ?』
さすがに科学メイド隊を連れて悪の組織を襲撃してますとか言ったら痛そうだ。
『あの、正式に譲渡って、捨てられた猫を引き取ったの?』
『捨てに来た人の身元は分かってたんで、弁護士さんを交えて捨てた当人と購入したお店と後で面倒な事にならない様にしました。』店の常連に超弁護士がいます。
『もしかして、生体チップの情報で?』なんだか地雷踏んだ?
かなり食いつく高梨さん。
『それも考えましたが、この時は防犯カメラにしっかりと映ってましたから、逃げ去るバイクのナンバープレートが。』高梨さん、目を丸くして驚いている。
『あと保護した猫の写真から近隣のペットショップのデータと照合して、似てる子猫の画像を探したらその日のウチに分かって、後は弁護士さんと、あ、その弁護士さんって、あそこでお茶飲んでるオジサマです。』
そちらに目をやると三条先生がピースサインしている。
思わず高梨さんが吹き出してしまった。
『ふふふ、ごめんなさい。でも凄いのね。私には出来そうも無い。』そんなに面白い?涙まで流して。
『たまたまです。実際にチップに登録される飼い主情報が正しいとは限りませんから。』
『そんな事あるの?』
『今は難しいかも?以前はチップを使うのは可愛いそうだから使わない個人経営のお店とか、現金一括払いでさっさと会計を済ます人とか、偽名使う場合も有りましたし。』
最近は身元が証明出来るモノの提示を求められる。
『それでもやっぱり、貴女凄いわ。私は右往左往して…。』
『凄いのは私で無く、周りの人です。それにもぅ一件は「捨てた」んじゃ無く、助けを求めて置いていったんです。紙袋からわざわざ子猫を出して、店の中の人に見える様に。』
『え、今何て?』
『あ、今のはいいんです!』
渡部 涼子ちゃんが喫茶スピカの前に、「直ぐに気付いて貰える様に紙袋から子猫を出して」からその場を離れたんだけど、とにかく慌てて焦っていたから、子猫を袋から出した事忘れてたみたい。
動物病院に連れて行けなかったのは、父親に知られたく無かったから。
後で気付いたけど、小学生の時に壊された赤い子供用の傘の代わりに大人が使う黒い大きな傘を渡して威張ってたオジサンは涼子ちゃんのダメ親父だったよ。
あんな人に知られたら、子猫がどうなっていたか、心配だよね。
『あ、舞華店長!ここにいたのね、今ね、ウチの猫たち八匹皆んな里親希望者が、……ごめんなさい、お話し中なのに。私うれしくて舞い上がっちゃったわ。』
譲渡会に協力してくれた保護団体の内、私やお父さんと親しくしてる人が私を見かけ、話しかけて来た。
『私、そろそろ行きますね。忙しいのに呼び止めてごめんなさい。でも貴女と話せて良かった、ありがとう。』
『ハイ!良ければウチのカフェにも来て下さいね。ご機嫌よう。』
高梨さんは笑って帰って行った
。
『ねぇ舞華ちゃん、今の人ってもしかして「小さな天使たち」の店長じゃない?』
『ええ、店長同士、いい刺激になりました!』
『いい刺激って、あのお店は今、休業中よ。このまま閉店するんじゃ無いかって噂よ。』
『え!どうしてです?』やっぱり、何かあると思っていたけど?
『詳しくは分からないけど、お店の前に猫を捨てられた事が有ったんだけど、その時にテレビの取材が来てね。どうもそれがあまり良い内容の放送じゃ無かったみたいで妙な「アンチ」に目を付けられたみたいで。』
ん、割と詳しいよね?
『お助けしますか?』
保護団体の人が自分のブースに戻るとパティが話しかけて来た。
『とーぜん!「アンチ」の事や取材に来たテレビスタッフ、もちろん猫を捨てに来た人、お願い出来るかしら? あっ!クラウドなんとかの事も調べて?何か超あやし、私の「カン」だけど。』
『Yes、舞ーLord 』×13
えっ!そんなにいた?潜んでた!
『有給取りました。』×12
『全員、モフリストやケモナーです。そして北代流派の受講希望者です。』
お父さんのファン?受講?
『あの人たち、華月んちの道場で偶に会うな。』
『あ、お兄ちゃん。いたの?』
『いるよ!知ってるよ!お前さ、商店街名義で譲渡会のお手伝いの依頼、生徒会に出したよね!』ん、適材適所だと思って。
『あ、あのこの子猫は男の子ですか?』
早速、女性から質問されている。頭の上、両肩、抱っこしている子と五匹の子猫のキャットタワー化している兄は、モフリストの憧れらしい。四、五人の女子に囲まれ始めた。チョイ新鮮な光景。
『アメショの血統が有るみたいですね、毛並みや骨格がアメリカンショートヘアの特長が出てます。』
『お兄さん、その肩の子は?』
『可愛いでしょ?女の子ですよ。三ヶ月くらいのボブテイルですね。』
『抱っこしてる子、お眠みたい。可愛い~!』
『この子猫、コンビニの袋に入れられて、そこのコンビニのゴミ箱に捨てられたんです。こんなに可愛いのに、いや可愛いとかそういう事でなくて…今はとても元気で人懐っこいですよ。』
あれ!何か泣いてない、あの女性?
『きっと、皆さんとも仲良くなれるかもです。抱っこしてみます、お嬢様?』
『は、はい。ぽっ。』
凄い!お兄ちゃんが猫ソムリエにjob upしてる(あと天然かよ!)、そしてケモナー女子に大人気!
どうやら、譲渡会は大盛況の大成功みたい。
私、猫カフェの店長と科学メイド忍者部隊の指令官と女子高生をやってます。
「猫」と「猫の味方」の味方です!
猫カフェ「森の猫さま」をよろしくお願いします。可愛い猫たちと私たちがお待ちしてます。
『あの~店長、あちらに店長にお話しが有るって、おばあちゃんが来てるんですけど。』
ん~?どうやら何か事件の予感が?
『ハイ、わかりました。直ぐ行きます。』
『何だ、また何かあったか?』
『モテ期のお兄ちゃんは心配しないで、そちらをお願い。』
言ってる側からこれよ!
どうしてこうなったのかな?
ちょっと聞いてよ!
色々ありすぎて、もう吐きそうデす!
血統書を偽造して、不当不法に集めた犬猫を販売していたグループとか、
脱法ドラックの材料となる植物を栽培していたグループとか、
暴行パーティーを企画実行していたグループなどなど悪い奴等が多過ぎる!
ハイハイ、片付けましたよ。
お兄ちゃんとメイドさんが。
不景気で工場が売却され、自分達の住む側に人知れず犯罪工場が出来ていたって怖くないですか?
ウチのお兄ちゃん、「北代 舞斗」は積極的に陰ながらお巡りさんに協力。
容疑者たちの潜伏先や逃走経路の情報を「森猫」にて発信中?
例えば、
『もぅ~怖かったデスよ!
来る途中に何か三丁目の辺り、怪しイ人たちがうろウロしてたから、ヒナちゃんと一緒に帰るっスよ。』
って後輩ちゃんが店内で言えば、
ご常連の強面なオジ様たちが携帯電話やスマホを取り出して、
『三丁目、よろしく。』
『お嬢ちゃんが帰る時間までには掃除しとけ!』
などやんわり。
どれが誰か、わかるかな?
そして、普通に仕事として「武器」や「兵器」に転用出来る製品を作らされていた工場。
発注元を燻りだしたら、大掛かりな組織が存在してるから、騒いでやった。
あと、工場をたたんで山王院に売却した方以外に、件の品物の品質を見て、その腕前を見込んで翔太おじさんが自身の開発品の部品など発注する事になったみたい。
知らなかった…私が生まれ育った町は割とデンジャラスなのね?
ヒマを持て余したお金持ち。
遊び感覚で「命」をチップにして、ギャンブルをする輩がいるとは訳分から無いよ?
そんな輩にこの町を蝕まれるなんて許さない!
お兄ちゃんとメイドさん達が「翔太おじさん」から色々借り出した。
何と言うか、ウチのお父さんの「お古の強化服」ってどう言う事?
とにかく、山王重機等の開発主任がご近所の「翔太おじさん」で、
そのおじさんのお爺さんが超博士で…。
ま、いっか。
おじさんのお爺さん、天国から見守ってください。
まぁ、ロボとか科学の忍者みたいなメイドさんとか、厨二が過ぎるよ!
だって山王院と知り合う前から「ファイタス」さん居るんだけど?
あれ、昭和製!
私、遊んでもらった事あるよ?
まぁ、ネコカフェに太客が増えるのは、嬉しいけどね。
ご迷惑をお掛けし過ぎてしまったようでと、何処で聞いたのか?
お堅い職業の方が来店する様になったよ?
私、何故か花束渡された?
イケメンのお兄さんに?
ごめんなさい、私にはもう心に決めた人がいるんで。
『店長!保護猫活動の募金箱に御札がいっぱいです!』
すると、ゴンパパさんが!
『なんだ!新参者が生意気な!ほら、皆んなも出せ出せ!
先生二人も稼いでんだろ?五道のダンナはこの間、えらく難しい手術でお手柄だったそうじゃないか?リリ助に聞いたぜ!』
『あんな簡単な手術に金は取れんよ。なんたってそのリリちゃんの紹介だからな。』
何気にリリちゃん、おじさま受けがいいのね。
そう言えば、リリちゃんが最近、タブレットPCを使ってネコ型ロボや介護施設のお年寄りや、リリちゃんパパと話している!
二葉ちゃんは、「チーム白猫」の副リーダーの地位を手にした。
ちなみにリーダーはパトリシアさん。
でね、 パティは(二人きりの時はそう呼んでほしいって♡)私専属のメイドさんになりました……、えへ。
華ちゃん曰く、
『舞華にはいずれ誰か付けるつもりだったから。』って。もぅ、華ちゃんたら、うふふ。
それから、ニャンーバロンは翔太さんの「私物」だから、リリちゃんが自由に使ってくださいって。
ってダメでしょ!
ひとまず、タコ焼き屋さんのキッチンカーに偽装して、羽柴ビルの地下駐車場にいる。
あ、羽柴ビルって「森猫」が有るビルね!
ニャンーバロンくんは自己学習型AI搭載なので、どんどん話したり、遊んだりして欲しいって?
お兄ちゃんは、
「黒猫」との合同訓練が義務化された。個人の経験よりチームとしての作戦行動の経験値が低いので…。
お兄ちゃん達が保護した子供達は、「商品」だった。
いろんな意味の…。
口にするのも悍ましい、
悔しいけど、私たちには助けた後の事は何も考えてなかった。
あの子たち、戸籍とか名前や家族とかわからない、いや存在を証明する記録が見つからない。
ぞっとした。何で?
お父さんは知ってそうで教えてくれない。
動物たちは、ほとんどが密猟された子達で、本来なら元の生息地に戻してあげたいけど、中々直ぐには難しいみたい。その国の偉い人も絡んでいる可能性があるそう。ダメじゃん!
あの時、逮捕された人の中には保釈金を払って表に出ている人もいるけど、
『そっちは専門の清掃業者がいるから。それに保釈金なら公的に生きたお金になるだろ。』難しいよ、お父さん。政治的なのは!
お父さん曰く、
「相手が悪者だからって何しても良いと思ったら、大きな勘違いだ。結果、他の誰かが命をおとす事も有るかも知れない。俺もそうだったよ。」
あの子たちの件が有ったから、返ってお父さんの言っている事が怖かった。
あー!今は考えない!
華ちゃんは、地域活性化に貢献している事を町のお偉いさんに感謝され、懇親会だの、意見交換会だのに御呼ばれされて忙しい。
でね、この間
私に「森猫」で花束くれたの、華ちゃんの従兄弟さんだって!
「山王院 大樹」
現状、山王院での華ちゃんのライバル的存在で今回の工場地区土地開発に乗り出したもう一つの山王院さん。
華ちゃんが考えるに、私を抱き込もうとしてるのか、
それとも本気?なのか、上手くあしらってね、って。えー、ウザ。
多分、山王院内で後継者ダービーが噂され、外枠から二葉ちゃんが牛蒡抜きしてる感があるらしいの。
あと、もう一人ね、私に近づいてきた華ちゃんたちの従兄弟さんがいるの。
最近急成長の芸能プロダクション「SUN KING」の社長
「山王院 元徳」
え!ヤダ、私アイドルなんて、もしかして女優やモデルかも?
『なぁ、貴女なら二葉を説得してアイドル活動させられるだろう!悪い話しじゃないと思うんだ。』
ハイハイ、分かってましたよー。
華ちゃんはガード硬いから、私狙ってきたか?
『あと、あの銀髪の子とロリババァも何とか?』
この段階で、小町さんが、
『あらぁ、元徳くん?
久しぶりー。』
と、背中に大蛇の様なオーラを背負ってあしらってくれた。
何か有った二人?
何だろ、色々あった所為か、あんまりスッキリしない事だらけで、モヤモヤする。
お父さんは、福ちゃんが亡くなった辺りから、ちょっと静かだ。
何か調べているみたい。
『ヤッホー!お父さん、可愛い娘が、遊びに来てやったぞ!』
地下の古本屋にあったかいコーヒー缶差し入れに、お父さんの様子を見に来た。最近は優斗やお父さんの若い頃からの友達や、嵐姉までいる。
少し前まで寂れてたのに、賑やかだ。
『ん、鏡を見直す勇気はあるか?』
『何でよ!』
『可愛いとかもう子供扱い出来ないだろ。
…もう立派な「レディー」さ。
綺麗だよ、舞華。
これならいつでも「お嫁」に行けるな。
…なぁ福よ。』
『あ、あの冗談だよね?お父さん?』
『半分な。』
何処が半分冗談で、本当なのはどれ?
『ごめんごめん、舞華が可愛いから、つい揶揄ってしまった。』
な、なんだ、やっぱり可愛いんじゃないか。
えへへ。
『で、どうした?
パトりんとゆるゆりな関係になったらおしえろ。』
『そんな大事件、お父さんに教えないよ!バカ!』
キレッキレだな?何か有ったな?パパりん。
古本屋の中、妙な感じだ?
『舞華、ちょっと見てみ。』
お父さんの座っている椅子の横に段ボール箱が山積みされてる?
が、明らかに中身は本じゃ無い箱が別に避けて置いてある。
『え、もしかして?』
『なぁ、この子どうする?』
ボク、ニャンーバロン!
あのね、ボク お父さんの研究所からお引越したよ!
ここは猫さんが、たくさんいるから楽しいよ。
リリちゃんとは通信機でいつでもお話し出来るし、時々お友達を連れて会いに来るよ。
これナイショだよ、夜はタコ焼き屋さんに変身して町のパトロールもしているんだ!
『ニャンーバロン、起きてる?』
『舞華お姉さんだ!こんにちは、どうしたの?ボクに会いに来てくれたの?』
最近のニャンーバロンはリリちゃん以外とも話すので、かなり人間に近い音声で話せるようになったの。
さすが自己学習型の超AI!
タコ焼き屋台カーと話す私って超クール?
でも、小さいころの優斗みたいな感じでホットする。
『ねぇ、この子を助けてくれたのはニャンーバロンだって聞いたけど?』
『ハイ、お姉さん。そうだよ、公園の茂みで震えてたから「メインクーン出動規則ー第一条」に従って「保護」したの。
いけなかった?舞華お姉さん?』
『そ、そんな事無いよ!
凄く良い事だよ!
あのね、それでね、その時の詳しい状況を教えて欲しいの。』
メインクーン規則って何?
あれかな?ロボット三原則みたいな。
段ボールの中身は父のブランケットに包まり、スゥスゥ寝息をたて眠っていた。
私はその子を抱き上げ、胸に抱えるとタコ焼きカーの元へ行った。
『この子ね、ニャンコのお耳が有るの。可愛いよね!』
それゃ猫だし、猫耳あるよ?
『あれ、さっきはちっさい「女の子」だったよ?』
え?
『パパさん、さっきニャンーバロンの「お兄ちゃん」にあったぞ!』
リリちゃんの今までは、学校が終わると、大体家でお母さんのお手伝いで、夕飯の材料を買いに「おつかい」に行ったり、ワンコのお散歩にニャンコも同行させたり、ご近所では人気の「名物JS」なのね。
最近はお散歩コースにこのビルの地下駐車場も含まれている。
……えっ、何?ニャンーバロンのお兄ちゃんって、「ファイタス」さんの事?
『違うよ、まぁ姉ちゃん、「メインクーン1号の事だよ!」』
このお話しが「少女とロボの友情」をテーマにした物語になりかけてる?
違うよ!猫カフェで女の子達が猫をもふもふして、癒されてまったりするお話しなのに、
舞台となる町が意外と治安が悪かったかも?
昔は、畑とか牛がいた場所も有った東京の田舎町なのに?
いや、最近庭にタヌキが来たよ。
『それはいいけど。まぁ姉ちゃん、なんでその子、裸ん坊なのだ?』
あら、私っていつの間に赤ちゃんを抱っこしてたの?先程は子猫を抱いていた様な?
『まぁ姉ちゃん、いつ赤ちゃん産んだの?』
リリちゃんがつぶらな瞳で見つめて問いかけてくる?
いやいやいやいや、
私未経験だから無理!
あれ?でもマリア様は未経験でもご出産されたのだから…いやいや。
『やや、舞華!赤ちゃんの父親はせん……、』
『わあーー、わあーわあー、わあーのわあー!』
お父さん、黙ってて!ってかその人なら良いの?
お父さんは。ドキドキ?
『まぁ姉ちゃん、赤ちゃん起きちゃうのだ。変なお姉ちゃんなのだな?』
『舞華、その子「猫人」かも。ふうなの同族か、近い種族かな?』
『……はい?「ね…こびと」ですか。』あら、この子誰かに似てる!
良平から、「人権保護」が売りの政治屋が「S」が仕切っている「人身売買組織」から「臓器提供」用の子供を「養子縁組」した事(組織内で売買成立した隠語)を聞いた。
あの子供達の中にいたらしい。
彼には生まれ付き臓器に疾患を持った子供がいるらしい。
何か矛盾を感じながら、やるせ無い思いだ。
同じ親としては彼を責められない。
同様のケースでトラと格闘しようとした男もいたとか?
舞斗たちはそこまで知らずに、行動している。知ってしまったらあの子らはどう行動していたか?
いつかはそんな苦悩する日も来るだろうけど、今は何も考えずに自由にさせとく。何か有ったらケツは持つけどな。
さて、猫男爵が猫耳幼児を保護して来たよ?
何処ぞの犯罪組織との決着はまだ先になりそうだが、
先ずはこの子、どうしようかな?
『また、北代さんちはお子さん増えてるわよ、って言われるのかしら、お父さん?』
『パパさん、この子はリリの弟にするのか?』
まだ、この子の事が何もわからない内に、
娘たちは無し崩しに話しを進めてる、まるでウチの嫁さんの様だ。
『あのね、お父さん。この子、あの「良子」さんに似てるかも。私が会った「良子」さんの方に。』
とある日曜日、俺は娘たちが働く猫カフェ「森の猫さま」に顔を出す。
『いらっしゃいませ、「森猫」へ。』
最近入った子かな?
名前がわからない。
挨拶もぎこちない。
『お客様、当店のご利用は初めてですか?』
『いや、割と頻繁に。』
毎日と言ってもいいくらいだ。
『八重竈さん、店長のご案内は私が致しますので、八重竈さんは表でチラシを配布してください。』
『あ、パトりん。今日はゴンパパ来てるかい?』
『パ、パトりん?パトリシアさん、この失礼な「店長」は誰ですか? ん?「店長」?』
『八重竈さん、ですからこの「森猫」の正式な「店長」です。「舞華店長」のお父さまですが、何か?』
『八重竈!
北代老師に失礼な態度は懲罰対象だが、
何をボサっとしている?』岬、いびるな!
『え、あの、その、す、すいませんでした!』
『いいよ、いいよ。次気をつけてね。』
まぁ仕方ないよね。
猫カフェも今は順調の様だし、少なくともこの猫カフェに持ち込まれたトラブルは解決した。
後は、おいおい片付けますか?
『よう大将、遅かったな?』
すっかり常連のオジサマ軍団がいる場所は「シニアスペース」と呼ばれている。ナイショね。
『みんな、娘たちにいいカッコしたいからって、常識を逸脱しない様にな!』
皆、素知らぬ顔して、猫の前でネズミのおもちゃや猫じゃらしを揺らしている。
『そうだ、その通りだ。分かってるか?不良親父たち。』
新たなオジサマ軍団のメンバー、「風間 良平」が物申すが、
『風間のオジ様、店内での公務執行はお辞め下さいね。』
いつの間に、ウチの娘が仁王立ちして不良オジサマ軍団に物申したりしてる。
『やぁ、舞華ちゃん。そうしてると学生の頃の久美ちゃんとそっくりだね。』
『人の嫁さんを名前で呼ぶな。あと、人の娘をエロい目で見るな。飛ばすぞ。』
『やだ!オジ様。私や母の事、そんな目で見ていたんですか!』
『いや、違うんだ、舞華ちゃん!これは二人がとても美人だと褒めている表現で、やましい気持ちなんて塵芥もないよ!』
必死で弁解する良平に、
『だがよ、学生の時に舞華ちゃんのママさんに告ってフラれたのは有名な話しなんだろ?』って、ゴンパパさんこと権藤さんのキラーパスに、
『当時から、学園で生徒会長は誰と付き合うのか話題だったんだ。幼馴染の建坊は別枠だし。』
え!
ええっ! 何故権藤さんことゴンパパさんが当時の事情を?
あと五道君のお父さんも?
ふと父を見る私。どして?
『ん?ああ、権藤先輩は番長だったんだ。一個ダブりな。五道は一応級友かな?図書室の主だったのは覚えてる。』
今度はゴンパパさんを見返す私、何故かVサインのゴンパパさん。五道さんは恥ずかしそうだ。
『なぁ、ゴンパパ先輩。町の掃除は順調そうかい?』
『胴元は撤退した様だ…が末端が今まで美味い汁啜ってたから未練があるらしいな。チマチマせこい事してるぜ。』
『だとよ、お巡りさん。ウチの子供たちが掻き回す前に何とかしなさいよ!』
『なぁケンちゃん、この際舞斗君を特命刑事とかにしないか?私たちの様に。』
『いいね~!だったら僕の「ガレージ」から「ファイナルシリーズ」の何台かレンタルするよ。舞斗君なら「ファイタスー零」がキャラ的に相性良いかも!』
『お前は、自重しなさい。』
『あの辺、何気に圧が強くて、近付けません!猫以外は。』
『もぅ、何でこうなるの?』
良い人たちなんだけどね。
私、お爺様にお願いをした。
将来、山王院の中枢を任されるなら、今は自由にさせて欲しいって。
『お前はそんな小さい枠に囚われない生き方をしなさい。山王院の財はその為なら惜しむ事無く使うが良い。』
『なら、私専属の「猫さん」を募りたいのです。時に共に地獄を駆け抜け、時に荒地に華の種を蒔く「魂の姉妹」を。』
山王院メイド部隊十三番隊 二葉専属、通称「白雪」発足。
『私がお兄様やお姉様たちを護りますの!』
十六夜家当主 「十六夜 雫」
『白雪は私の娘たちを配置しますので存分に、姫さま。…あのたまに「北代老師」に逢いに行ってもよろしいでしょうか?』
『貴女も「北代信者」なのですか?お父さまは罪作りですのね。』
『いえ、「久美お姉様」と番われた方ですから失礼が無い様にと、ホホホ。』
私の知らない所で事が動きまくってるみたい。
そんな中、やっとあの「イベント」が取り行われたの!
羽柴ビルの地下駐車場B1をお借りして「第一回保護猫譲渡会」を開催しました。
二葉ちゃんやリリちゃんも手伝ってくれて、保護猫の数は20数匹。子猫や十五歳前後の大人猫など様々、四つの保護団体が協力してくれた。朝10時から開始に8時から三十人ほど並んで待っている!「森猫」によくいらっしゃる方も並ばれていた。
まだ会場の設営が始まってないので、超有能なメイドさんに活躍してもらったの。
9時には設営終了!さすがね。
子猫の可愛い鳴き声に並んで待っている人たちがソワソワしてる。 うんうん、そうだよね。
『舞華、古本屋の前に休憩用の長椅子とか置いたから、あの辺を休憩所にしな。』さすがのお父さん、既にチョイ悪オジサマ達が居座り始めてる。
『お前さん達、ここに居るなら「保護猫」引き取る気が有るのか?』
お父さん、もっと言って!
『ん、俺は古本屋が開くのを待っているだけだが?』三条先生、ブレませんね。
『紅葉郎くれ!大将!あの貫禄ならウチの事務所の良い看板猫になる!』意外とマジなゴンパパ、でもね、
『今日はここに居る子たちが里親を探しているの、権藤のオジ様。でもお気持ちは受けたまりましたので、お話しは後日に。』
『じゃあ今日は紅葉郎の「嫁さん」を探して、いつかは子猫も混じえて「楽しい老後生活」だ!なぁ舞華ちゃん、紅葉郎の奴、まだタマ付いてるよな?』
『ゴンパパさん!言い方、言い方!私、コレでも「乙女」なんです!もうー……ハイ、紅葉郎は去勢は未だです。そこは飼い主の責任で悪戯に増えない様に出来ますか?』
『命の責任だな?もちろんだ。アイツの血筋を遺したら、ちゃんと嫁さん含めて手術するよ。』
この辺りの考え方は人それぞれだし。私としてはここを大事にしたい。
さて、10時です!
『お待たせしました。「森猫」主催、保護猫譲渡会を開場します!』
地下駐車場を利用したのは正解かも。最初はビルの屋上を使う予定だったけど、思っていた以上に来客が多い。80人近いかも、すごいね!
もっとも皆んなが里親希望者では無いだろし、ただ見に来ただけでもね、興味を持ってくれただけても感謝!
既に「談話スペース」では、譲渡に対してお話し合いが始まっている。「トライアル」で仮里親体験して、 本当にその猫と上手くやれるのかお試しが有る。
各団体ごとに里親希望者とのお話しは進んでいるみたい。
人気なのは子猫かと思いきや、大人しく落ち着いたシニア猫も問い合わせがある様。
幾分、TVの影響もあるよね。
いいの、それでも。
『あ、てんちょのお姉ちゃんだ!』あ、よく来るお子さまたちだ。
『こんにちは、来てくれてありがとね。』
『ねぇねぇ、今日ココで猫ちゃん貰えるんでしょ?』ん~。チョイ違うけどね。
『こら、騒がないの。あら店長さん、今日はお世話になります。』
以前から子猫の里親になりたいとご相談されてるお客様だ、後から旦那さんらしい方も。
『お父さん、早く早く!可愛い子、他の人に取られたらお父さんの所為だからね!』ん~、それはかなり違うよ、ボク。
楽しそうな賑わいに、ほんの少し嫌な事を忘れて会場を見渡す。
ウフフ、よし。いい感じですよ!
『あの、「森猫」の店長さんですか?』ハイ、私が森猫の店長ですーって、誰?
『ハイ、店長の「北代 舞華」です。里親希望の方ですか?』
声をかけて来たのは、30代ぐらいの女性、私より小柄で優しそうだけど、ちょっとお疲れ気味なのか顔に出てる。
『いえ、私は…私も猫カフェの店長なんです。二つ先の駅の側で「小さな天使たち」と言う猫カフェなんですけど…「森猫」の店長さんとお話ししたくて…。』
『あ、ハイ!そうなんですね!じゃあ、あちらで座って話しませんか?』
何気に古本屋前の休憩所に誘導する。同じ猫カフェの店長と話したいだけとは思えない様子を感じてしまったから。
『ごめんなさい、忙しい所に。』随分と恐縮している?アレか!側に不良オジサマ軍団がいるからか?
するとハーブ茶のいい香りが。
『こちらをどうぞ。カモミールに少しだけジンジャーを加えて有ります。』もぅ、パティは気が利きすぎよ。彼女、突然メイドさんが現れてびっくりされてるし。
『彼女、「森猫」のスタッフです。会場を和ませようとあんな服着て、似合いすぎですよね。』
『そうなんですね?海外の方ですか?』
『お母さんがイギリスの方なんです。そうそう、私にお話しが有るってなんですか?』
『え?あ、そうでしたね、ごめんなさい、 やだ、私、自分の名前も名乗らないで…、私、「高梨 美根子」といいます。最初はこの町で猫カフェを開きたいと思っていたの。でも、中々折り合う物件が無くて…やだ、ごめんなさい。こんな事話すつもり無かったのに…。』
『ハーブティーで緊張が解れたとか?ふふふ。ここ、叔父のビルなんです。私が「猫カフェ」やりたいって父に話したら、叔父が空きスペースを提供してくれたの。親戚一同、動物好きなんですよ。』
隠す程の話しじゃないし、いいよね。
『私も、動物好きな両親の影響で「猫カフェ」を始めたいと思ったの。OLして資金作って、友達が「クラウドファンディング」を教えてくれて、やっと開店までこぎついたのに「あんな事」が有って…。』お疲れの原因はそれかな?
『大変ですよね、猫カフェ店長って。好きだから頑張れると思ってたけど、想定外のハプニングが有ったり、最近だと迷子の子猫を探したり、このビルの前に猫を捨てた人に正式に譲渡してもらったり…あと、何だっけ?』
さすがに科学メイド隊を連れて悪の組織を襲撃してますとか言ったら痛そうだ。
『あの、正式に譲渡って、捨てられた猫を引き取ったの?』
『捨てに来た人の身元は分かってたんで、弁護士さんを交えて捨てた当人と購入したお店と後で面倒な事にならない様にしました。』店の常連に超弁護士がいます。
『もしかして、生体チップの情報で?』なんだか地雷踏んだ?
かなり食いつく高梨さん。
『それも考えましたが、この時は防犯カメラにしっかりと映ってましたから、逃げ去るバイクのナンバープレートが。』高梨さん、目を丸くして驚いている。
『あと保護した猫の写真から近隣のペットショップのデータと照合して、似てる子猫の画像を探したらその日のウチに分かって、後は弁護士さんと、あ、その弁護士さんって、あそこでお茶飲んでるオジサマです。』
そちらに目をやると三条先生がピースサインしている。
思わず高梨さんが吹き出してしまった。
『ふふふ、ごめんなさい。でも凄いのね。私には出来そうも無い。』そんなに面白い?涙まで流して。
『たまたまです。実際にチップに登録される飼い主情報が正しいとは限りませんから。』
『そんな事あるの?』
『今は難しいかも?以前はチップを使うのは可愛いそうだから使わない個人経営のお店とか、現金一括払いでさっさと会計を済ます人とか、偽名使う場合も有りましたし。』
最近は身元が証明出来るモノの提示を求められる。
『それでもやっぱり、貴女凄いわ。私は右往左往して…。』
『凄いのは私で無く、周りの人です。それにもぅ一件は「捨てた」んじゃ無く、助けを求めて置いていったんです。紙袋からわざわざ子猫を出して、店の中の人に見える様に。』
『え、今何て?』
『あ、今のはいいんです!』
渡部 涼子ちゃんが喫茶スピカの前に、「直ぐに気付いて貰える様に紙袋から子猫を出して」からその場を離れたんだけど、とにかく慌てて焦っていたから、子猫を袋から出した事忘れてたみたい。
動物病院に連れて行けなかったのは、父親に知られたく無かったから。
後で気付いたけど、小学生の時に壊された赤い子供用の傘の代わりに大人が使う黒い大きな傘を渡して威張ってたオジサンは涼子ちゃんのダメ親父だったよ。
あんな人に知られたら、子猫がどうなっていたか、心配だよね。
『あ、舞華店長!ここにいたのね、今ね、ウチの猫たち八匹皆んな里親希望者が、……ごめんなさい、お話し中なのに。私うれしくて舞い上がっちゃったわ。』
譲渡会に協力してくれた保護団体の内、私やお父さんと親しくしてる人が私を見かけ、話しかけて来た。
『私、そろそろ行きますね。忙しいのに呼び止めてごめんなさい。でも貴女と話せて良かった、ありがとう。』
『ハイ!良ければウチのカフェにも来て下さいね。ご機嫌よう。』
高梨さんは笑って帰って行った
。
『ねぇ舞華ちゃん、今の人ってもしかして「小さな天使たち」の店長じゃない?』
『ええ、店長同士、いい刺激になりました!』
『いい刺激って、あのお店は今、休業中よ。このまま閉店するんじゃ無いかって噂よ。』
『え!どうしてです?』やっぱり、何かあると思っていたけど?
『詳しくは分からないけど、お店の前に猫を捨てられた事が有ったんだけど、その時にテレビの取材が来てね。どうもそれがあまり良い内容の放送じゃ無かったみたいで妙な「アンチ」に目を付けられたみたいで。』
ん、割と詳しいよね?
『お助けしますか?』
保護団体の人が自分のブースに戻るとパティが話しかけて来た。
『とーぜん!「アンチ」の事や取材に来たテレビスタッフ、もちろん猫を捨てに来た人、お願い出来るかしら? あっ!クラウドなんとかの事も調べて?何か超あやし、私の「カン」だけど。』
『Yes、舞ーLord 』×13
えっ!そんなにいた?潜んでた!
『有給取りました。』×12
『全員、モフリストやケモナーです。そして北代流派の受講希望者です。』
お父さんのファン?受講?
『あの人たち、華月んちの道場で偶に会うな。』
『あ、お兄ちゃん。いたの?』
『いるよ!知ってるよ!お前さ、商店街名義で譲渡会のお手伝いの依頼、生徒会に出したよね!』ん、適材適所だと思って。
『あ、あのこの子猫は男の子ですか?』
早速、女性から質問されている。頭の上、両肩、抱っこしている子と五匹の子猫のキャットタワー化している兄は、モフリストの憧れらしい。四、五人の女子に囲まれ始めた。チョイ新鮮な光景。
『アメショの血統が有るみたいですね、毛並みや骨格がアメリカンショートヘアの特長が出てます。』
『お兄さん、その肩の子は?』
『可愛いでしょ?女の子ですよ。三ヶ月くらいのボブテイルですね。』
『抱っこしてる子、お眠みたい。可愛い~!』
『この子猫、コンビニの袋に入れられて、そこのコンビニのゴミ箱に捨てられたんです。こんなに可愛いのに、いや可愛いとかそういう事でなくて…今はとても元気で人懐っこいですよ。』
あれ!何か泣いてない、あの女性?
『きっと、皆さんとも仲良くなれるかもです。抱っこしてみます、お嬢様?』
『は、はい。ぽっ。』
凄い!お兄ちゃんが猫ソムリエにjob upしてる(あと天然かよ!)、そしてケモナー女子に大人気!
どうやら、譲渡会は大盛況の大成功みたい。
私、猫カフェの店長と科学メイド忍者部隊の指令官と女子高生をやってます。
「猫」と「猫の味方」の味方です!
猫カフェ「森の猫さま」をよろしくお願いします。可愛い猫たちと私たちがお待ちしてます。
『あの~店長、あちらに店長にお話しが有るって、おばあちゃんが来てるんですけど。』
ん~?どうやら何か事件の予感が?
『ハイ、わかりました。直ぐ行きます。』
『何だ、また何かあったか?』
『モテ期のお兄ちゃんは心配しないで、そちらをお願い。』
言ってる側からこれよ!
どうしてこうなったのかな?
応援ありがとうございます!
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