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困ったオオカミさんと天使さん?
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一方コチラは?
「……ちっくしょー、イライラするぞぅー⁈」
「…そんなに荒れるな、イオよ?」
「ゼンの兄貴、まだ役人から返事は来ないのか⁈」
弟分で一族の長の三番目の息子であるイオは、脳筋に有りがちな気の短い性格である。
長からコレのお目付け役を仰せつかって早十年、まさか異世界にまでお供する事になるとは?
この国の【組織】の方から色々と良くしてもらっている、おそらく今すぐ元の世界には帰れないだろうと言われている?
この世界でも【異世界転移】は禁呪なのだろうか?
「…一応、顔合わせの席は設けるそうだ?
しかし、あまり期待せぬ事だな?」
我とイオ、そしてイオと母親を同じくする三人の幼い弟たち、この五人で森に出掛けていた時に、突然足元に【次元の穴】が現れ、この世界に投げ出されたのだ?
幼い弟たちに狩猟の仕方を教える為に出掛けたのが、まさか二度と帰れぬ冒険の旅になるとは⁈
「…帰れねぇなら、コッチで一旗挙げるしかないだろ!
…そ、ソレには主人が不在の時、い、い、家をよよ、家を守る嫁が必要なんだっ!」
…後付けだな、イオの奴め。
俺たちの一族では強い男には黙ってても良い嫁が現れると言う風習が有ったが、この世界では違う様だ。
更に強くて美しい女は闘ってでも勝ち取れとまで言われているが…ソレは元の世界での話し、ココは【異世界】だ、コチラが差し出せる対価次第では多少の無理も、この国の【組織】、イオは【役人】と呼んでいるが、まぁ聴いてくれそうだ?
「…ソレに弟たちはまだ幼い、慈しんで育ててくれる母親役が必要なんだ!」
ソレも後付け…って訳でも無さそうだな?
「【組織】の施設って所でも、優しいメスはいただろ?」
「…アレは、あの女は違う⁈
えっと兄貴、この国ではメスの事、メスって言うと【せくはら】って言って、鞭で百叩きだそうだから、外では言わない方が良いぞ?」
「そうだったな、お前と話しているとついな。」
まぁ、我が外でそんな過ちはしないから大丈夫だ。
「調べてもらったが、あのメ
…女性は【サクラ】と言う名前で、あの辺りでは気立ての良い娘と言う事で評判だそうだ。」
「…サクラ…、どんな意味が有るんだ?」
「ん、この世界で暖かい時期に咲く淡い紅色の美しい花の名前だそうだぞ。
特にこの国では女性に多い名前らしく、そのサクラの花の様に美しく育つ様にと名付けるそうだ。」
「…美しい花の様にか、…確かに…」
…やはりイオの奴め、あの娘に…
以前、前々からイオが好きなメスが長兄の元に、嫁になりますと強引に押し掛けてすぐに子を成したモノだから、軽くメス不信になっていたのだけど…
しばらくして、先方から【ほぉむぱぁてぃ】とやらに招待された、弟たちも一緒で良いとか?
「…ん、招かれた以上、何か土産が必要だな!
兄貴、狩猟にいくぞ!」
「まて、外で無闇に暴れるな!
ソレに近隣のケモノは【家畜】だから、勝手に狩ってはならんぞ!」
…やれやれだ。
…まさか【ケモノ】や【トカゲ】と同じ【異世界】に飛ばされるとは?
ある日、雲の上で優雅に【空の散歩】をしていると、突然目の前に【時空の裂け目】が現れて、勢いを落とすのが間に合わず、そのまま中に囚われてしまった!
気がつくとココにいた?
幸い、この国の【王族】と知り合えて、同じ【来訪者】より高待遇で扱われ、仕事も世話して貰ったが、かなり高位な要職に着いている。
そんな中、まさかあの【ケモノ】と【トカゲ】までこの世界に来るとは⁈
なんでも奴らある女性の事で揉めているそうだ?
ならば、自分もその件に介入してやろう!
きっと私の美貌にその女性もメロメロになって…
「…アマネ副室長、よろしいですか?」
「ああ、服部クンか?
その、どうだったかな?」
この世界のヒト種で、有能な部下の【服部 真琴】嬢。
美しい私の部下らしく、かなり美しい部類の女性だがその実、かなりの【戦闘能力】の持ち主だ。
ココでの私の【護衛役】も兼ねている、例えるなら【戦乙女】だろうか?
「はぁ、ソレなのですが、実はお調べのお嬢さんは室長のお宅の【家政婦】サンでして、我孫子道部長の元部下でして……私の先輩でも有ります、お会いした事は有りませんが…」
「…し、室長の…家政婦サン?
こ、これは面白い…いえ、厄介な事になりそうですな?」
服部クンが若干歯切れの悪い答え方が気にもなるが、まぁいい。
ココは【来訪者用ハローワーク】と呼ばれている政府公認組織だ。
ソコの【特別面接室】の副室長が私の肩書きである。
普段の仕事はそこの【特別面接官】として、【来訪者】たちの鑑定を行っている。
この世界に対して有害で有るか無いかを鑑定している特殊な要職、ソレが【特別面接官】なのだが…
「…ん、服部クンの先輩と言うことは…特務にいたのかな、そのお嬢さんは?」
「…幾つか【伝説】をお持ちの方です、入隊して僅か三か月でテロ組織のアジトを全て壊滅させたとか…まぁ非公式ですけど…?」
お、面白い!
いや、危険だ!
「…は、服部クン、その先輩サンの事、もっと詳しく調べてくれたまえ、その方とは今後友好的なお付き合いが出来る様に、趣味とか好きな食べ物とかね!」
「…はぁ、分かりました?」
「うむ、頼んだよ。」
無策ではいけない、特に【駄犬】には大きな顔をさせないように…。
「……ちっくしょー、イライラするぞぅー⁈」
「…そんなに荒れるな、イオよ?」
「ゼンの兄貴、まだ役人から返事は来ないのか⁈」
弟分で一族の長の三番目の息子であるイオは、脳筋に有りがちな気の短い性格である。
長からコレのお目付け役を仰せつかって早十年、まさか異世界にまでお供する事になるとは?
この国の【組織】の方から色々と良くしてもらっている、おそらく今すぐ元の世界には帰れないだろうと言われている?
この世界でも【異世界転移】は禁呪なのだろうか?
「…一応、顔合わせの席は設けるそうだ?
しかし、あまり期待せぬ事だな?」
我とイオ、そしてイオと母親を同じくする三人の幼い弟たち、この五人で森に出掛けていた時に、突然足元に【次元の穴】が現れ、この世界に投げ出されたのだ?
幼い弟たちに狩猟の仕方を教える為に出掛けたのが、まさか二度と帰れぬ冒険の旅になるとは⁈
「…帰れねぇなら、コッチで一旗挙げるしかないだろ!
…そ、ソレには主人が不在の時、い、い、家をよよ、家を守る嫁が必要なんだっ!」
…後付けだな、イオの奴め。
俺たちの一族では強い男には黙ってても良い嫁が現れると言う風習が有ったが、この世界では違う様だ。
更に強くて美しい女は闘ってでも勝ち取れとまで言われているが…ソレは元の世界での話し、ココは【異世界】だ、コチラが差し出せる対価次第では多少の無理も、この国の【組織】、イオは【役人】と呼んでいるが、まぁ聴いてくれそうだ?
「…ソレに弟たちはまだ幼い、慈しんで育ててくれる母親役が必要なんだ!」
ソレも後付け…って訳でも無さそうだな?
「【組織】の施設って所でも、優しいメスはいただろ?」
「…アレは、あの女は違う⁈
えっと兄貴、この国ではメスの事、メスって言うと【せくはら】って言って、鞭で百叩きだそうだから、外では言わない方が良いぞ?」
「そうだったな、お前と話しているとついな。」
まぁ、我が外でそんな過ちはしないから大丈夫だ。
「調べてもらったが、あのメ
…女性は【サクラ】と言う名前で、あの辺りでは気立ての良い娘と言う事で評判だそうだ。」
「…サクラ…、どんな意味が有るんだ?」
「ん、この世界で暖かい時期に咲く淡い紅色の美しい花の名前だそうだぞ。
特にこの国では女性に多い名前らしく、そのサクラの花の様に美しく育つ様にと名付けるそうだ。」
「…美しい花の様にか、…確かに…」
…やはりイオの奴め、あの娘に…
以前、前々からイオが好きなメスが長兄の元に、嫁になりますと強引に押し掛けてすぐに子を成したモノだから、軽くメス不信になっていたのだけど…
しばらくして、先方から【ほぉむぱぁてぃ】とやらに招待された、弟たちも一緒で良いとか?
「…ん、招かれた以上、何か土産が必要だな!
兄貴、狩猟にいくぞ!」
「まて、外で無闇に暴れるな!
ソレに近隣のケモノは【家畜】だから、勝手に狩ってはならんぞ!」
…やれやれだ。
…まさか【ケモノ】や【トカゲ】と同じ【異世界】に飛ばされるとは?
ある日、雲の上で優雅に【空の散歩】をしていると、突然目の前に【時空の裂け目】が現れて、勢いを落とすのが間に合わず、そのまま中に囚われてしまった!
気がつくとココにいた?
幸い、この国の【王族】と知り合えて、同じ【来訪者】より高待遇で扱われ、仕事も世話して貰ったが、かなり高位な要職に着いている。
そんな中、まさかあの【ケモノ】と【トカゲ】までこの世界に来るとは⁈
なんでも奴らある女性の事で揉めているそうだ?
ならば、自分もその件に介入してやろう!
きっと私の美貌にその女性もメロメロになって…
「…アマネ副室長、よろしいですか?」
「ああ、服部クンか?
その、どうだったかな?」
この世界のヒト種で、有能な部下の【服部 真琴】嬢。
美しい私の部下らしく、かなり美しい部類の女性だがその実、かなりの【戦闘能力】の持ち主だ。
ココでの私の【護衛役】も兼ねている、例えるなら【戦乙女】だろうか?
「はぁ、ソレなのですが、実はお調べのお嬢さんは室長のお宅の【家政婦】サンでして、我孫子道部長の元部下でして……私の先輩でも有ります、お会いした事は有りませんが…」
「…し、室長の…家政婦サン?
こ、これは面白い…いえ、厄介な事になりそうですな?」
服部クンが若干歯切れの悪い答え方が気にもなるが、まぁいい。
ココは【来訪者用ハローワーク】と呼ばれている政府公認組織だ。
ソコの【特別面接室】の副室長が私の肩書きである。
普段の仕事はそこの【特別面接官】として、【来訪者】たちの鑑定を行っている。
この世界に対して有害で有るか無いかを鑑定している特殊な要職、ソレが【特別面接官】なのだが…
「…ん、服部クンの先輩と言うことは…特務にいたのかな、そのお嬢さんは?」
「…幾つか【伝説】をお持ちの方です、入隊して僅か三か月でテロ組織のアジトを全て壊滅させたとか…まぁ非公式ですけど…?」
お、面白い!
いや、危険だ!
「…は、服部クン、その先輩サンの事、もっと詳しく調べてくれたまえ、その方とは今後友好的なお付き合いが出来る様に、趣味とか好きな食べ物とかね!」
「…はぁ、分かりました?」
「うむ、頼んだよ。」
無策ではいけない、特に【駄犬】には大きな顔をさせないように…。
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