俺、お兄ちゃんにナリます! 異世界妹が出来ましたよ⁈

猫寝 子猫

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第二の帰還者。

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 「有った! このみたいよ!」

 彼女たちは突然やって来た!

 しかも軽自動車を勝手にウチの敷地に停めて⁈

 裏手が騒がしいので、見に行くと⁇

 「ナンダ、なんだ?」

 三人の若い女性が何やら騒いでいる?

 「あ! ココの人だよね?」

 「お願い! ワタシ達にも温泉に入れさせてよ!」

 「お肌、ツルツルになりたいのよ!」

 …だ、誰だよ、アンタ達?



 「ちょ、ちょっと待って下さい、そんな場所から入らないで下さいよ!」

 聖歌サンがサツマイモ畑用に、石灰や堆肥を撒いて、土が馴染むまで寝かしている場所に、ドカドカ足を踏み入れやがったな⁈

 どうやら、【露天風呂】目当ての様だ。

 以前も話したが、ココの【露天風呂】はご近所サンには無料で開放している。

 あくまで歩いて来れる範囲のご近所サンだ。

 そんなに広い範囲で公表していないし、今後は民宿のの一つとして活用するつもりなので、あまり大騒ぎして欲しくない。


 しかも、タダだからと言って、遠方から車で乗り付けて、わざわざ入りに来られると、それはそれで対応に困る。

 まぁマナーさえ守ってもらえれば、問題無いハズなのだけど?

 ちなみに今彼女達が車を停めてる場所、今妹たちと一緒にショッピングセンターへ買い物に行っているサクラさんの軽ワゴン車を普段停めている場所だ!


 プルルル~、キキィーッ!

 ん、バイクか?


 「…ハァ…ハァ…アッキー、ゴメン…!

 …さぁ…みんな、…この人に…謝って…⁈」


 状況を見て、直様硬い表情で女性たちを睨むフランさん⁇

 「えっ、お嬢?」

 「フランちゃん、なんでそんなに怒ってるの?」

 「訳わかんないし?」

 どうやら彼女たちを追いかけて、愛機の四輪駆動車両【クーデル】でやって来たフランさん⁈

 つまりこの人たちは【富士見ケミカル】の女性社員って事か?


 それにしても…

 「なんだナンダ、そのマシンは!

 カッコいい!

 変形とかしそうで!」


 「…ソコ…なんだね、…驚く…ところ?

 …アナタたち、…あの場所…は、私…有地だから、…直ぐに…あの車をどかしなさい!」


 「えぇ~、何処にですか?」

 「…ウチ…の寮の駐車…場よ。」


 「そ、それって、帰れって事?」


 「…そうよ、

 マナーやルールが守れない人は、地元の方々にご迷惑が掛かるからね‼︎

 普段、工場長から言われてるでしょ!」


 フランさんの口調が、珍しくアップテンポになった?


 「ヒッ!」

 「な、何、何のことよ?」

 「ご、ごめんなさ~い、二人がどうしても入りたいって言うから!」





 思えばフランさんは、葉月と一緒にこの家に来た時に一度だけ【露天風呂】に入っている。


 その後は一度も【露天風呂】にはあまり入浴していない。


 時々、ウチに泊まる時は有るが、そのほとんどが内風呂で、メイヤたちと仲良く入浴している。


 ちなみに我が家の内風呂は【五右衛門風呂】なのだけど、温泉の湯を入れる事も可能だし、薪や近所で貰った廃材を燃やして湯を沸かし直す事もある。


 とにかく一度、彼女たちには帰ってもらった。

 今後どうするかは後でフランさんに決めてもらう。

 「ごめんね、アッキー!

 こんな事になりそうだから、寮ではココの事を一切話さなかったのに!」


 経営者の親族として、地元の方々との【付き合い方】は慎重になっていたらしい。

 「あのフランさん?」

 「ん、なにかな?」

 「話し方がいつもと違う様な?」

 「アレれ?

 急な事だから、【emergency】モードに切り替わってたみたい。」


 「エ、エマーなんだ?」


 「私、子供の頃に心臓の発作を起こして、ペースメーカーを使っているの。

 コレは、発作を起こさない様にペースメーカーが【フル稼働】している状態なのよ。」


 分かった様な分からない様な?

 つまり、怒りで我を忘れそうなのをペースメーカーさんが宥めてるって事かな?


 とにかく今回の工場従業員の暴挙を平謝りしてくれたフランさん。

 「まさか、普段【露天風呂】を使わないのも?」

 「うっかり温泉の事、話さない様にと思って。」

 富士見ケミカルの工場で働いている人の七割以上は近隣に住んでいる地元民、もしくは電車で通勤出来る範囲にいる近県の方々だ。

 なので、マナーや「一般的な常識」を守ってもらえれば、ココの【露天風呂】を利用するに何ら問題ないのだが、

 今回、この地域の常識やマナーを欠いた行為をした三人は、東京での就活に失敗し、東京本社の臨時アルバイトから【正社員】を目指してコチラの工場勤務に無理矢理泣きついて、ねじ込んで来たイレギュラーな【仮採用】組らしい?

 社員寮で、シェラからココの温泉の事を聞いて、社用車をで使ってココに来たらしい?

 社員用に電動自転車があるそうだし、それを使うかもしくは、ローカルバスを使うか、やり様は有ったハズなのだが…

 「自転車だとするし、田舎のバスって運賃高いからって事らしいの。」
 
 あくまで自分ファーストだな?

 「問題児だな、仕事とかちゃんと出来てるの、あの人たち?」

 「…微妙かな?

 でも、今回の件で解雇するわ、本当にごめんなさいね。」


 解雇ねぇ~?

 「ウチとしては、キチンと本人たちから謝罪してもらえたら、大事にはしないけど?」


 「地元にご迷惑をかけているの、コレが初めてじゃないから。」


 「…そう…なんだ。」





 三日経ったが、まだ謝罪に来ない三人?

 素直に謝ったら、快く温泉に浸かってもらおうと思ったいたのに?



 後で聞いたら、夜中に果実園から収穫前の果物を盗んでいた事が判明したとか?

 しかもヤマバァの果樹園だったよ。

 フランさん、本当いたたまれないだろうなぁ、

 
 時々ウチに遊びに来た時なんかに、メイヤたちと近所を散歩していた時なんかで、ヤマバァに林檎の蜂蜜漬けを貰った事が有ったとか?

 「みんな、【お人形サン】みたいで可愛いねぇ。」

 ヤマバァのウチは、子供も孫も男の子ばかりなんだそうで、メイヤたちは本当可愛がられている。

 果樹園の受粉を自分のところで飼っている【セイヨウミツバチ】に手伝ってもらって、蜂蜜も自家製なんでめっちゃ美味い。

 それはいいけど、良くしてくれた人に迷惑かけている、辛いだろうな。

 しかもそれに【シェラ】が参加していたらしい?


 「…すまん、知らなかったのだ。

 夜に捥ぎたてを食べるのが【通】だと聞いたので同行したんだ、まさか果物泥棒だったとは思わなくて⁈」

 

 町の人たちはキチンと詫びを入れ、反省してくれればだけは大目に見るそうだ、あの三人も。

 しかし、俺的には大変不服だがシェラの身柄は【日野家】で預かる事になった⁈


 「…アッキー、…ゴメンね…シェラの事、…苦手でしょ…?」

 「仕方ないですよ、我慢します。」


 我孫子道さんが方方に謝罪してこのくらいですんだのだ。

 


 「シェイラ、私がこの家の主人、【日野 鉄次】だ。

 ココにいる間は、【父親】だと思って何でも話してくれ。」

 【施設】の偉い人が

 「何卒よろしく!」

 と、頭を下げに来た。

 正直アチラも対処に困っている様だ?

 (結果、父に丸投げした様な?)



 「す、すま…すいませんでした。

 自分は…

 アキト殿にも言われていたのに…

 【ゴウに入ればゴウになれ!】と教わっていたのに…」

 微妙に違うけど、分かってはいたらしい?


 ただ今回は誤った【ゴウ】に従った様だけど。


 「シェイラは本当にこの世界で暮らしたいと思っているのかい?」

 父はある事を決意している様だけど?


 「もし元の世界に帰りたいならば、あまり時間は掛けられないがで有れば可能らしい。

 だけど、騎士の称号や貴族の位を捨てて、この国の民として生きる覚悟が有るなら…

 俺の【娘】にならないか?」



 「えっ…」



 実は今、この世界とシェラやメイヤたちが居た世界が繋がっている場所が在るらしい⁈

 あと数日ならば、その場所を通って自分の故郷に帰る事が出来るらしい?

 第二の帰還者のお陰で!



 「わ、私の、ち、父上に成ってくれますか?

 あの場所には、もう私の帰りを待ってくれている家族は…


 …。」
 

 実は、シェラの本当の故郷はヴィーナス王国に吸収された小国で、血縁で生き残っているのはもう彼女だけらしい…


 父さんに縋りつき泣きだしたシェラが詳しい身の上を語ってくれたのは数日後だった。


 ちなみにシェラの奴、本当は俺より二歳歳下だった事が判明…


 えっ、義妹なの?





 「よ、よろしく頼む、。」


 「あ、あぁ、よろしくな。」


 それから、さらに数日後⁇





 「

 ご無事だったんですね!」


 民宿のお客様第一号がお越しになられた?

 意外にも父さんと顔見知りの様だ?

 「あ、あれは【聖女ヒヨリ】サマでは⁈」


 日野 シェイラと改名した義妹が驚いている?



 聖女サマだって?

 見たところ俺と歳くらいに見えるのだけど?

 「ん、紹介しよう。

 彼女は【小鳥遊タカナシ 陽夜里ヒヨリ】さんだ。

 父さんと同じく、【異世界】に行って帰って来た女の子だ。


 ヒヨリさん、ココにいるのがオジサンの家族だ。」




 「はい、あのハジメマシテ、タカナシ ヒヨリです!

 …で、オジサン、可愛い小学生の息子さんは何処に居るのですか?」


 それはそれは目をキラキラさせて期待している聖女サマ?

 
 …ソレって、まさか俺のこと?
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