俺、お兄ちゃんにナリます！ 異世界妹が出来ましたよ⁈

民宿の準備、始めました〜♪

　父さんは【異世界】から帰って来た事で、ある意味【国の要職】に着いた様な扱いになってるみたいだ？

　それだけ【来訪者】から得られる【知識】とは【国】に取っては【財産】で有り、【外交のカード切り札】になる様だ。


　偶然にも俺の周りにいる【来訪者】サン達は、どうやら同じ異世界から来ている様で、コレは大変珍しいケースの様だ？


　某大国ではこの世界より、【科学】が進んだ世界からの【来訪者】がいるらしく、その世界の技術がコチラの世界でも再現出来ないか研究を進めているそうだ？

　そんな感じなのだけど、別の【異世界】から来た【魔法使い】同士では、魔法に対する【理論的】な事が違っていたりして共同で活動するのが難しい場合があるそうだ。


　最悪、同時に【魔法】を使った事で、相反する現象が起きるとまで言われ、とある国ではお互いの【魔法】が反発して暴走を起こしてしまい、町が一つ消失したなんて【都市伝説】まで有るくらいだ。



　その為、同じ【異世界】から来たウチの家族はかなり重要視されている。


　とさ。



　「民宿にはコッチの部屋と向こうの【離れ】を使うつもりなんだ。」

　「なるほど～。

　では、色々と手直し修繕しますね～。」


　「畳の張り替えなどは地元の職人に頼むから、聖歌くんは障子の張り替えや、お客様用の布団や座布団を町まで買いに行ってくれ、ただしショッピングセンターでは無くて、駅前通りの【氷川布団店】で頼む。」

　「ハイ、かしこまりです～。」


　田舎町特有の大きな道沿いにある【個人商店】は酒屋なのに【鎌】とか【蚊取り線香】とか売っている。

　この【氷川布団店】も季節に寄っては、浴衣とか五月人形とか販売さている。

　地産地消では無いけど、地元商店は大事にしないとね！




　さて、聖歌さんはまだ19歳なんだそうで、ちょっと特殊な家系のおウチで育ったらしい？

　まぁあと半年で成人式らしいので、その時お祝いだな。

　実はウチの【露天風呂】を造ってくれた時にも、聖歌さんは参加してくれていたそうだ。

　さすが【紛争地域】で活躍していた事はある⁈

　（詳しく知らないけど？）


　「あの～、アチラのお休みしている畑は～、自由に使って良いと聞いているのですが～？」


　俺とサクラさんだけでは、手の回らない【家庭菜園】が有るのだが、家族が増えたので何か始めようと思っていたのだけど？



　「アキト達と相談して、有効活用してくれるかな？」


　「ハ～イ、教官かしこまりデ～ス！」

　「オイオイ、もう教官はやめてくれ。」

　「う～ん…えっと～、それなら～【お父さん】でも良いですか～？」

　「うむ、構わんよ。」


　「ハ～イ、では～ソレでお願いします～、お父さん！」


　後日、この場所には【サツマイモ】が植えられる事になった。



　それにしても、この聖歌お姉さん、中々の優秀な人だ！


　料理の腕前はサクラさんに引けを取らないし、イノシシや野うさぎの解体もお得意らしい？

　毒草や毒キノコの判別も出来るとかで、裏山の山菜取りも、


　「このお山～、まるで～宝箱デス～‼︎」


　と、言って俺も知らない山菜を摘んで来て、浦島の爺さんを驚かせていた。


　「このデッカい娘さん、アキトの嫁か？」

　…爺さん、余計な事言わないでくれるかな？


　「ええぇ～、アキト君の～お嫁さんですか～？

　…わ、わたしまだ～初恋も知らないんですよ～。

　あ、あの～、ア、アキト君は歳上のおっきなお嫁さんは～嬉しいですか？」


　えっ？

　な、なんでそんな切ない目でコチラを見ているんです？

　「えっと、お嫁さんはともかく、聖歌さんがウチに来てくれて嬉しいですよ。」


　健康的な小麦色の肌、

　毛先が軽くウェーブして長く豊かで紫光りする黒髪、

　ダイナマイトと言うより戦略核兵器並みのボディー、

　グリズリーベアーを秒殺出来る腕力、

　永久機関並みの体力、

　物質量的にも包み込んでくれる様な包容力、

　保育園の保母さんの様な優しい笑顔、

　ある意味農村には理想的なお嫁さんだ？

　あれ、なんか凄く褒めてないか、俺？

　…断っておくが、俺にハーレム願望とかは無いからな！



　短パンとTシャツ姿で【露天風呂】の掃除をしていた睦月、白いくて細い素足が艶めかし…いやいや、違うだろ⁈

　「あっ、アキト君！

　お客様はいつ頃来るのかな？」


　「まだ先らしいぞ、

　睦月は接客とか大丈夫なのか？

　無理するなよ？」


　「だ、大丈夫だよ、その為にコチラからお願いしたんだから！」

　と言って、二の腕にチカラコブを作ろうとするが、現れなかったよ。

　…そうか、そうなんだ？

　ココで働きたいのは、睦月の意思なんだな？


　母さんの葬式の時に初めて会った時にも思ったが、小柄で可愛い顔付きだった睦月？

　所謂【美少年】とはちょっと違う、女の子寄りの可愛さなんだな？

　確かに女の子みたいとは思った事は有るには有るのだけど？

　本当に【女の娘】になってしまうとは⁈

　本当に何が有ったのだろう？

　父さんは聞いているかと思うが、睦月本人が俺に教えてくれるまで待つ事にした。


　まぁ旅館やホテルとは違うので、そこまで畏まる事は無いよと我孫子道さんから聞いているけど、何処くらいの頻度で利用者がいるのかは、未だわからないのだ？

　
　「アキト～、またお風呂もらいに来たよ～！

　…覗くなよ？」


　「うるさいよ！

　お前たちは来すぎだぞ！」

　「あっ、ハルナさん！

　いらっしゃい、湯上がりに甘酒を用意しておきますね。」


　「うん、睦月くん、ありがとね！

　もう～睦月くん、本当いい子！」


　…今日は一人かぁ？

　家に風呂有るだろ？

　いえいえ、温泉は別腹てますよ！


　って事らしい？

　ハルナはほぼ毎日、ここの【露天風呂】に入りに来る、時々シェラも連れてくるが、俺はあえて無視している。

　まぁ、民宿の売りはこの【温泉】なのだから。


　実際、近県でも【温泉旅館】は多い様だけど、【来訪者】の利用にあたり、色々と揉めているらしい？

　そんな事も有って、ウチに民宿をやらないかと話が来た訳だ。

　なので、色々と複雑な手続きは全て我孫子道さんと【政府】の方々がやってくれたとか？


　大丈夫なん？

　温泉観光組合とかからクレーム来ないよね？



　「何でも、最初の【お客様】はもう決まっているらしいぞ？」

　「へぇ、【他種族】の人なのかな？」


　【来訪者】には大きく分けて騎士や魔法使いなどの【ヒト種】か、獣人など【他種族それ以外】になる。


　割合からすると、【ヒト種】が圧倒的に多いのだけど、見た目のインパクトで【他種族】の方が多くいる様に思っている人が多いそうだ？

　（政府アンケート調査参考）


　「どんな人が来るか、僕楽しみだよ！」

　「…睦月って、もしかして【ラノベ好き】だったりする？」


　「えっ、アキト君、何でわかったの？」

　「…ん、なんとなく。」

　なんだ、睦月もココに来るべくして来たのか？




　



　「そうですか！

　やっと来ましたか⁈」


　「ええ、日野サンのご友人と一緒に無事帰還されました。


　ソレでは、以前お願いしておりました件ですが…」


　「ええ、あの子の、【聖女サマ】の父になりますよ！

　ん、【友人】と？」


　「ええ、大きな【ワンちゃん】がご一緒でしたよ？」


　俺たちの知らないところで、父と我孫子道さんの【ナイショ話し】が行われていた？


　まさか、ソレが俺にとって【運命】の人になるとは？