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五つ塚の白ギツネ、駄菓子を貰う?
しおりを挟む「昨日は騒がしくしてすみませんでした!」
「っシたっ!」
「…二人が…お騒がせ…しました。」
…ぷっ!
メイデールさんとサクラさんが吹き出しかけた。
翌朝、メイデールさんに平謝りする【ぶりっと三人娘】?
(そんなユニットがあるのですか?)
「そんなに謝らないで下さいな、皆さんの所為ではないのですから!」
「いえ、メイデール叔母様!
この子たちはもっと反省するべきです!」
「ハァちゃん…その件…だ…けど、バス停横の…駄菓子屋サンで、お詫びにエリリンが無…限にご馳走してくる…と言知を取りま…した。」
「君の言語回路はそろそろバージョンUPしなさいな?」
葉月がフランさんにツッコむが、
「だ…め、リミッターは緊急…時のみ解除可能。」
「またそれか?」
たまに聞くそうなのだけれど意味不明だって。
「エリカさん、良いんですか?
無限とか言って、あの駄菓子屋、高いモノだと【ガンプラ】とか、【高麗人参】とか【高級ブランデー】とか売ってるんですけど?」
「す、すごいな、田舎の駄菓子屋って⁈」
「需要が有れば、何でも仕入れてくれるのが田舎の駄菓子屋なんです。」
(作家は新潟県南魚沼市の駄菓子屋でTFのインフェルノを買ったぞ! はこ、開いてたけど。)
「えっと、カードとか〇イペイ使えるかしら?」
【逃げ】である。
「使えますよ、あの駄菓子屋なら。」
【逃げられなかった】のである。
「よしメイヤ、当たりが出るまで買い捲ってやれ!」
煽る響サンだが、
「あたり?」
当のメイヤがピンときていない?
そういえば、メイヤちゃんは駄菓子屋に行った事、あったかな?
「響、アンタね!」
怒るエリカさんに
「…十円もんじゃ…豪華…に!」
既に駄菓子屋で長居をするつもりのフランさん。
「もんじゃ焼きなら、ココでも出来ますよ!
なんなら、自然薯を使ってお好み焼きも出来ますよ!」
フランさん、サクラさんのお料理魂と採取魂に火を入れた様だ?
「な、何、自然薯だと!
まだ有るのか、昨日のアレが⁈」
響さんの【本当に道の草も食べる】食への欲望が、胃の底から絶唱した?
「いえ、裏の浦島サンちの裏山で、掘らしてもらうんですよ!
一言御断りしてから、自分で掘った分は、タダで頂けるので。」
「タダ…ア、アタシも掘るぞ!」
「もんじゃ焼きの具、駄菓子も使うだろ?
〇メックとか、チーズあられとか?」
「…アッキー、…通だね。」
定番の駄菓子屋もんじゃだね!
「ふ、二手に別れましょう!」
分散する事で、消費が抑えられると考えたエリカさん!
「ソレでは芋掘り組は、私とアキトさん、響さんで。」
「じゃあ、残りは駄菓子組で私が引率するわ!」
「にひひ、楽しみだぜ!」
「じゃあ、響サン、私の服を貸しますから着替えて下さい。」
サクラさんに手を引かれる響サン?
「は?」
「泥だらけになるし、膝とか着くので怪我するといけませんし?」
丁シャツにホットパンツ、野生味溢れる響サンらしい服装だけど、その方が良いと思う。
「ミイヤとアルフレッドはお母さんたちとお留守番ね!」
「にゃ!」
「ミャー。」
「到着でーす!」
この地域の人なら、好きに取って良いと浦島のおじいちゃんに言われている。
【ふきのとう】なんかはウチの庭にも生えてくるし、自然薯も【ぬかご】を毎年庭に埋めたので、五年もすれば食べ頃なので来年には最初に埋めたのが食べられるだろう。
それまで待てないお客様の為の山芋掘りだ!
【自然薯掘り】はかなりの重労働だ。
良い値で売れるからと、時々勝手に入山して、適当に掘っては見つからないと怒ってた身勝手な住宅地域の人がいたが、【個人の土地に無断で不法侵入】で通報されていた。
とくにゴールデンウィークに多い⁈
サクラさんは浦島サンに許可を得て、自然薯を取らしてもらっているし、取った自然薯で作った【山芋揚げ】は浦島サンの家にお裾分けしている。
お互い、持ちつ持たれつ、マナーやご近所付き合いを大事にしているのだ。
勝手に人様の山に入って、農道にマイカーを駐車して、山菜を荒らし取る、勘違いMAXな連中は【窃盗罪】で通報しますぞ!
「山に生えてるんだから、どうせタダだろ!」
いや、その山、私有地ですから! その山菜も生えてる木も個人の資産ですから!
ソレを売って生活してる人もいるんだよ!
国有地だって、勝手に入ったらマズい場合だってあるんだからな!
ハァハァ、スローライフって言っても、守るべきルールは守ってるんだ!
アレ、誰に言ってんだ、俺?
「えっと、赤いビニール紐の目印が有るので、ソレを探してくださいな。」
「こ、コレかな?」
早速響サンが目印を見つけた!
地面から枯れた蔓が生えている、ソレに小さな輪っか状に結びつけてある目印があった。
以前見つけた時につけた目印。
「…ソレ似合いますよ、響サン。」
「お、おぅ、アタシもなんかコレ良いなぁって思えてきたよ。」
二人が来ているのは農作業の野良着…ではなく、サクラさんはカーキ色、響サンは迷彩柄の、自衛隊の人やサバゲーやる人が着る様な作業服だった。
ちなみに俺は着古したジャージだけど。
「でも良かったです、サイズが合って?
ちょっと心配でしたので?」
「いや、胸元が余って、腰回りがキツイ気がする…」
「気のせいデすよ。」
年頃の男子の前でそんな話しはしないで下さい!
「それでは、この蔓を中心に直径1メートル強の穴を掘ります、外側から中心に掘り起こす感じで進めていきましょう。
えっと、中心に近付いてきたら、自然薯を傷つけない様に慎重に掘り起こす感じですね。」
「響サン、蔓のソバはこの山芋掘り専用のショベルを使うんですよ。」
「へぇ、面白いカタチしてるな?」
パワフルな響サンも最初は飛ばしていたが、次第にバテ始めた?
「うおー、腰が痛て~!」
その頃、駄菓子屋組はと言うと、
「コレなに?」
「…【リリアン編みセット】…無限に続けられる…終わり…の見えない…一人遊び。」
「フラン、貴女よく知ってるわね?」
「コレは?」
「…【お化けけむり】…熱くない…」
「メイヤちゃん、珍しいのは分かるけど、お菓子を買おうね?」
「ドレがお菓子か、わからないの?」
…それな。
「あ、なるほど、じゃあ私たちがオススメをチョイスしてあげるね!」
「…ちなみに…メイヤは…ど…んなお菓子…が好き?」
「チョコとキャンディーと【アビコさんのオセンベー】!」
「…チョコは五円チョ…コかボール形チョコ…アレ?」
すると奥から、
「…あれ、見かけない顔だね?」
店主らしい若い男性が現れた?
「…店主、チョコ…無いよ?」
「ああ、この陽気だと溶けちゃうから、こっちの涼しい所に有るよ!」
そう言って、四方がガラスで、下から冷気がでているらしい大きなガラスケースの様な物を指さす?
他にも缶ジュースや瓶ジュースが入っている?
あれ、奥に入ってるのマグロのお刺身かな?
「…チーズあ…られ、1キロ…量り売りで…。」
「量らなくても、この袋二個で丁度かな?」
…大人買いって、こんな感じ?
「フランちゃん、メイヤね、【当たり】が有るの買いたい、教えて!」
「…店主…、ヨーグ〇…は何処?」
「ソッチだよ、
もしかして、お耳の長いお嬢さんは、噂の美少女メイヤちゃんかな?」
「…メイヤ、噂になってるの?」
「あぁ、気にしないで。
浦島のジィさんや山羽のバァさんらが「可愛い娘っ子がいる」って言ってただけだから。」
「ヤマバァはよく、お芋を蒸したのをくれるよ!」
「メイヤちゃん、このお菓子はふたの裏に【当たり・はずれ】が印刷されてるから、捨てないでね!」
「分かったよ、葉月お姉ちゃん!」
「一発で当てるのよ!メイヤちゃん‼︎」
「うん、メイヤ頑張るね、エリカお姉ちゃん!」
エリカは心から願っていた。
当たりが出るまで、買い続けるなら最初に当たりが出れば良いのだ!
「えっと、あっ、【当たり】だよ!」
「よし、よくやったわ!」
「うん、当たりが出たらもう一個だね。」
店主の青年はメイヤに、もう一つ選ぶ様に促す。
「うん、アレ? また【当たり】だよ!」
「…へぇ、続けてとは凄いね。
はい、もう一回どうぞ?」
「うん、アレレ?
またまた【当たり】だよ⁈」
「…凄い…!
…コレ…また?」
「ハハハ、いや、多分コレで【当たり】は無いハズだ、
じゃあ当たりだからもう一つ取ってくれるかな。」
「うん、 本当だ、今度は【はずれ】だったよ?」
「…一つ分の料金で四つ⁇
コレって?
メイヤちゃんは、今度は【いちご飴】よ!
紐を引っ張って、大きい飴が【当たり】で、小さい飴なら【はずれ】だからね。」
葉月はちょっと思いついた?
「…メイヤちゃん、…一度に…四つ…選んで…引いてみて。」
「うん、いいよ。
アレ、みんな大きい飴だぁ‼︎」
「…ハァちゃん、…コレって?」
「まさか、チート能力かしら?」
「あ、あの、【当たりが出たらもう一個】系の駄菓子でお願いしたいのだけど?」
少しでも出費を抑えたいエリカの切実なお願いだけど、
「…えっとね、封を切ったばかりの箱には【当たり分】が五個入っているんだ。
今、未開封のモノを用意すらから、試してみるかい?」
つまり、どんなに頑張っても五個しか当たらないのだ!五個分しか‼︎
「良いんですか?」
「僕も見てみたいんだよ。」
「…なら、当た…りが無くなった…箱は丸ごと…購入します。」
「こ、こら!
勝手に話しを進めるな!」
その後、メイヤは連続して【当たり】を出し続ける。
試しに他の当たり付き駄菓子でも試してみたが、同様の事が起こった⁈
「コレは間違いないね?
【神のご加護】だ。」
店主は何やら意味深な事を口にした?
「なんですか、ソレ⁈」
「この辺りは、昔からイタズラ好きのキツネがいてね、遊んで欲しいとイタズラをするんだ。」
「イタズラが【神のご加護】ですか?」
話しに興味を持ったエリカ、
「ソコのお社の御使様なんだよ、【五つ塚の白ギツネ】と言ってね、この村境にある【五つ塚】に住んでいて、村に入り込もうとする悪いモノから村を護ってくれてるそうだよ。」
「この土地の民話ですか?
興味深いです!」
「城ギツネ? キツネさんがいるの?」
「バス停のすぐ横の小道から山に向かって真っ直ぐ行くと小さなお社が有るから行って見たら?
運が良ければおキツネ様に会えるかもよ。」
「うん、行ってみるね!」
「えっ、行くの、メイヤちゃん?」
葉月が驚く、この駄菓子屋は以前に叔父の家へ来た時に寄った事が有るので知っていたが、流石に自分が知らない場所に行くのは、マズいかも知れない?
「だって、キツネさんに【当たり】のお礼をしないとダメでしょ。」
お城を護るキツネさん!
会ってみたい!
「…メイヤの…お礼参り、…感謝の気持ち…大事。」
何か別の意味のお礼参りに取れなくもない?
「あ、あの~、お支払いはカードでも?」
「はい、大丈夫デスよ。」
「ICカードも使えるとか?」
「ほらココ、バス停横でしょ?
交通系とか電子マネーのチャージもできる様にして欲しいって要望があってね。
自販機も電子マネーが使えるモノに変えたし。」
おだ〇〇くんにも見習って欲しいものだ?
「な、なるほど。
で、お会計は?」
恐る恐る訊ねるエリカ。
五十万までならカードで…
「一万と百三十円…オマケして一万円丁度になります!」
「あっ、そんなモノなんですね?」
駄菓子の一つ一つのお値段をよく知らないエリカ、良いとこのお嬢さんらしい?
「量は凄い事になってるよ?
持ちきれない分は後で届けようか?」
大きな段ボール箱二つに駄菓子や、よくわからないオモチャが詰められている?
多分、オモチャはフランチェシュカだろう?
「いえ、後で別の者に取りに来させますから。」
響に取りに来させよう!
「コレ、キツネさんのお城?」
店主に言われた通り、一本道を真っ直ぐ進み、小さな林の中に小さな鳥居が有って、その先に小さなお社があった。
「…ココ…凄い…空気が澄んでいる、霊気が不自然な程安定しているの!」
「フランちゃん、変?
普通にお話ししてるよ?」
普通に話して変って言われる不憫なフラン?
「ココ、神域…だわ?
信じられない!
神獣でもいるのかしら!」
「ちょっとフラン?
あなた本当に、フランチェシュカなの?
ちょっとエリカどうしよう、フランが変…エ、エリカ?」
「…葉月、私もなんか変?
ち、血が、血の河が逆流するみたい!」
「ちょっと本当にどうしたのよー!」
パァッん!
しゅ~ぅ。
「あら?」
「…あ、お…さまった?」
何か風船が割れた様な音がした様な?
「そうだ、メイヤ!
メイヤちゃんは何ともない?」
「ん、何が?
どうしたの、お姉ちゃんたち?」
どうやらエルフのメイヤは大丈夫だった様?
「…ココ、おそらく【パワースポット】…だと…思う、私たち…混血種…には危険かも?」
「そ、そうなの?
でも、メイヤちゃんは?
あ、あれ、メイヤちゃん⁈」
「ココだよ、キツネさんココにいるの。」
小さな社の前で、中を覗いているメイヤ。
社の中に、木彫りの小さなキツネの像が祀られていた。
「ハイ、コレお礼です。
とっても楽しかったの、ありがと、キツネさん!」
社に駄菓子やビー玉などを御供えするメイヤ。
「早く帰りましょう?
何か怖くなってきたから⁈」
葉月はメイヤの手を取り、他の二人を急かせて再び駄菓子屋へ向かうのだった。
一言文句を言いに⁈
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