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第6章 塩会議
第44話 領主vs商業ギルド②
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オルアットが公的ギルドの事を質問すると、ギルドマスター達は何を言っているのか分からなかった。しかし、すぐに資料を慌てて読み始める。
オルアットの質問を聞いて、エドワルドだけでなく他の領主たちもいわくありげな笑顔を見せるのであった。
「公的ギルドは半分役所みたいな組織になる。役所と住民たちの間に入るギルドの事だ。まだすべては準備できていないが、今回の塩や農産物の取引は役所に代わって対応することになる」
エドワルドの説明を聞いたギルドマスター達は、役所の窓口のようなものを想像していた。
しかし、オルアットは集めた情報では、エルマイスターで公的ギルド内に商店ギルドという部門があり、これが商業ギルドに成り代わっていると聞いていたのである。すでにグラスニカの商人で、支店をエルマイスターで開いている商会もあることも報告されていた。
オルアットは深刻な表情でさらに尋ねる。
「エルマイスター領では公的ギルドが商業ギルドに成り代わってるて聞いてますぅ。今回の対応で商業ギルドを排除しようとしてるちゃいますか?」
オルアットの発言にエルマイスター支部のギルドマスターであるブルハがギョッとして驚いていた。彼は自分の支部で何が起こっているのかまったく知らなかった。
それをオルアットが知っていることに驚き、さらに商業ギルドの代わりに公的ギルドが稼働していると聞いて呆然とした。
「ほほう、商業ギルドも多少は事情を知っているようじゃのぉ」
ハロルドは商業ギルドがエルマイスターで何が起きているのかそろそろ理解しているだろうと思っていた。しかし、ブルハの様子を見て全然理解していないのではと思っていたのである。
「確かに私もエルマイスターでは商業ギルドの代わりをしていると聞いている。だが他領に関しては公的ギルドの設置していない領がほとんどだ。近日中に設置して当面は塩や特産品の窓口になる予定だ。そして必要に応じて公的ギルドの役割を増やす予定もある。
だが、商業ギルドを無視して進めるつもりはない。現に今も先に報告しているだろ?」
エドワルドはエルマイスターのように商業ギルドを完全に排除するつもりはない。しかし、商業ギルドが独占しているような状況は、少しずつ変えていくつもりだった。
そして、それは他の領主も同じように考えていた。今回も商業ギルドに報告しているが、相談して計画を変更するつもりはなかったのである。
「ですがエルマイスター領内のことはあまりにも強引ではありませんか? 商業ギルドに何も相談しないのは幾らなんでも……」
オルアットはハロルドを見て抗議するように話した。
「それは変じゃのぉ。儂は商業ギルドに何度も相談に行ったのじゃ。その度にギルドマスターが不在だと言われてしまってのぉ。まるで領主と話すのがイヤなのかと儂は考えたくらいじゃ。そこのギルドマスターに会うのは1年振りではないかのぉ。暫くはエルマイスターに来ていないと聞いたが、なぜそのような相手の都合に儂が合わせる必要があるのじゃ?」
「そ、そんな話を私は聞いていない! 悪いのは副ギルドマスターだ!」
ハロルドの話にブルハが必死に言い訳をする。しかし、ハロルドは冷酷な笑みを浮かべて答える。
「商業ギルド内の問題を儂に擦り付けるのか?」
オルアットは最悪の結果だと思っていた。商業ギルドを軽視していると抗議したかったのに、領主を軽視していたのは商業ギルドと言われてしまいそうだからだ。
ハロルドは碌に商業ギルドに相談などしていなかったが、それを追求する情報もオルアットは持っていなかったのである。
オルアットはブルハを睨んで黙らせると、ハロルドにお願いする。
「いえ、私もまさかエルマイスター支部のギルドマスターがそのような杜撰なことをしているのは知りませんでした。改めて謝罪とギルドマスターの更迭をします。
もう一度やり直しと、今後の相談をさせて下さい!」
オルアットはエルマイスターとは良好な関係を築きたいと考えていた。それは塩だけでなくダンジョンの改革や魔道具、馬ゴーレムも重要だからである。
「それをする前にハッキリさせないとダメな事もあるしのぉ」
ハロルドはのんびりした調子で話したが、冷酷な表情で笑みさえも消えていた。それを見てオルアットとブルハは顔色を変える。
(ハッキリさせないとダメな事とはなんだ!?)
オルアットはハロルドの雰囲気でただ事ではないと感じていた。
「ハロルド、それは後じゃ! 今は我々と商業ギルドとの話し合いじゃ!」
ゼノキア侯爵はハロルドが先走りし過ぎだと忠告した。
「おおっ、そうじゃった。エドワルド、話を進めてくれ!」
ハロルドはまた笑顔に戻ってエドワルドに話を進めるように言った。
「悪いがエルマイスターのことは後にしてくれ、我々の方針を先に伝えるのが先だ。オルアット殿も個別の話は後にしてくれ」
オルアットはエルマイスターとの関係改善が必須だと思っていた。しかし、今は複数の領主の前で話をするのは難しいと諦める。
「わ、わかりました。話を進めてもらいますぅ」
「うむ、それで公的ギルドから販売する相手は商業ギルドだけではない。基準を満たした相手には販売するつもりだ」
エドワルドは当然のように話した。ギルドマスター達はエドワルドの話の意味が分からず戸惑った表情をした。しかし、オルアットだけがそれが商業ギルドにとって最悪な話だと理解して焦った。
「ま、待ってくれへんか! ほな塩や農産物を商業ギルドは通さへんで販売するちゅうことですか!? ほなやっぱ公的ギルドが商業ギルドに成り代わってまうやおまへんか!」
オルアットがエドワルドに反論するように話すと、ようやくギルドマスター達も商業ギルドにとって、どれほど最悪なことか理解した。
「全然違いますよ。扱う商品は限られていますし、基準に満たない相手には販売するつもりはありません。販売額は同じですが、商業ギルドはすでに幾らでも所属する商会があるでしょう。問題ないのではありませんか?」
カークが笑顔でオルアットに補足して話した。
しかし、オルアットは簡単に納得できる話ではない。
いくら商業ギルドに商会や商人が加盟しているといっても、基準を満たせば商業ギルドと同じ金額で商品が手に入るということだ。そうなれば商業ギルドが価格を調整することも、大きく利益を上げる事もできなくなる。
そして、領主たちの考えが、商業ギルドと商会や商人を同等に扱うと言っているのと同じであるからだ。
「い、幾らなんでも酷すぎますぅ! これまでの商業ギルドの関係を無くそうとしているのですか!?」
オルアットはある意味、商業ギルドへの宣戦布告のようなものだと感じていた。
「そうじゃないのだ。わが国で獣人は公平に扱うという国の法があるのじゃが、商業ギルドが獣人を公平に扱わないじゃろ。だから獣人は商人になることもできないから、仕方なくその受け皿を作ることにしたのじゃ。しかし、そうなると獣人だけに領主が便宜を図るわけにはいかないので、人族も同じように受け入れるだけじゃ」
ゼノキア侯爵が申し訳ないといった感じで話したのだが、あまりにも芝居がかっていた、他の領主たちも笑顔でその話を聞いている。
オルアットはまさかそんな理由を持ち出すとは思っても居なかった。明らかに取ってつけた理由で、本当に獣人の為とは思えなかった。
「ほんまは獣人を公平に扱うつもりやらないのやおまへんか?」
「なんじゃ、商業ギルドはこの町で起こっていることも知らないのか?」
ハロルドがそう話した。他の領主たちもこの町で起きていることを商業ギルドが全く知らないことに驚いていた。
「な、何の事でしょう!? この地では確かに獣人が区別されていますが、それは人の出入りが多いこの町だから仕方ないことではありませんか?」
グラスニカのギルドマスターは当然の事だと、ハッキリと話した。
「本当に何も知らないのだな……。建物が老朽化して危険地区に指定されていた地区を知っているだろう?」
エドワルドが尋ねるとギルドマスターは答える。
「は、はい、不法に獣人や孤児が住んでいる場所です」
「あそこはすでに整備が終わって、公的ギルドが設置されている。商業ギルドが獣人を加盟させないから、近隣で不法に市場を開いていた獣人たちを公的ギルドで受け入れた。すでに商売を始めているはずだ。同じ町に居て知らなかったのか?」
エドワルドの話を聞いてギルドマスターは混乱する。いくら何でもそのような事を自分が知らないのは変だと思った。確かに注目してはいなかったが、そのような工事が行われていれば自分が気付かないはずはないと思ったのだ。
「どういうことだ!?」
オルアットに厳しい表情で問い詰められるが、ギルドマスターは答えようもない。
オルアットは役立たずばかりだと思ったが、今はそれどころでは無い。何とか商業ギルドの立場を守ろうと話をする。
「教会からの要請で商業ギルドもしゃあのう獣人を区別してました。せやけど、国の法は守るべきもの。商業ギルドではそのような事をせえへんように徹底すますぅ。
ですさかい、今後のこと相談させてくれへん!」
「おう、それは良かったのぉ。教会も酷かったが、冒険者ギルドと商業ギルドも露骨に差別していたからのぉ。差別が無くなったら改めて話をしようではないか!」
ゼノキア侯爵は笑顔で歓迎の意思を表明した。しかし、オルアットの提案は結果を見てからと言ったのである。
オルアットは何とかそれを交渉しようと話をしようとしたが、その前にハロルドが話し始めた。
「もう、その辺で良いじゃろう。商業ギルドが獣人に対する差別が完全になくなるまでは交渉なんかする必要もない。今回の事は決定事項じゃ!
それよりも、そろそろ別の話をさせてくれ。その件が片付かないと商業ギルドと交渉など儂はするつもりはないぞ!」
ハロルドはすでに臨戦態勢に入っているのか、殺気が溢れ始めていた。
「別の話とは……?」
オルアットはハロルドの殺気を受けて、顔色を変えながら必死に訪ねるのであった。
オルアットの質問を聞いて、エドワルドだけでなく他の領主たちもいわくありげな笑顔を見せるのであった。
「公的ギルドは半分役所みたいな組織になる。役所と住民たちの間に入るギルドの事だ。まだすべては準備できていないが、今回の塩や農産物の取引は役所に代わって対応することになる」
エドワルドの説明を聞いたギルドマスター達は、役所の窓口のようなものを想像していた。
しかし、オルアットは集めた情報では、エルマイスターで公的ギルド内に商店ギルドという部門があり、これが商業ギルドに成り代わっていると聞いていたのである。すでにグラスニカの商人で、支店をエルマイスターで開いている商会もあることも報告されていた。
オルアットは深刻な表情でさらに尋ねる。
「エルマイスター領では公的ギルドが商業ギルドに成り代わってるて聞いてますぅ。今回の対応で商業ギルドを排除しようとしてるちゃいますか?」
オルアットの発言にエルマイスター支部のギルドマスターであるブルハがギョッとして驚いていた。彼は自分の支部で何が起こっているのかまったく知らなかった。
それをオルアットが知っていることに驚き、さらに商業ギルドの代わりに公的ギルドが稼働していると聞いて呆然とした。
「ほほう、商業ギルドも多少は事情を知っているようじゃのぉ」
ハロルドは商業ギルドがエルマイスターで何が起きているのかそろそろ理解しているだろうと思っていた。しかし、ブルハの様子を見て全然理解していないのではと思っていたのである。
「確かに私もエルマイスターでは商業ギルドの代わりをしていると聞いている。だが他領に関しては公的ギルドの設置していない領がほとんどだ。近日中に設置して当面は塩や特産品の窓口になる予定だ。そして必要に応じて公的ギルドの役割を増やす予定もある。
だが、商業ギルドを無視して進めるつもりはない。現に今も先に報告しているだろ?」
エドワルドはエルマイスターのように商業ギルドを完全に排除するつもりはない。しかし、商業ギルドが独占しているような状況は、少しずつ変えていくつもりだった。
そして、それは他の領主も同じように考えていた。今回も商業ギルドに報告しているが、相談して計画を変更するつもりはなかったのである。
「ですがエルマイスター領内のことはあまりにも強引ではありませんか? 商業ギルドに何も相談しないのは幾らなんでも……」
オルアットはハロルドを見て抗議するように話した。
「それは変じゃのぉ。儂は商業ギルドに何度も相談に行ったのじゃ。その度にギルドマスターが不在だと言われてしまってのぉ。まるで領主と話すのがイヤなのかと儂は考えたくらいじゃ。そこのギルドマスターに会うのは1年振りではないかのぉ。暫くはエルマイスターに来ていないと聞いたが、なぜそのような相手の都合に儂が合わせる必要があるのじゃ?」
「そ、そんな話を私は聞いていない! 悪いのは副ギルドマスターだ!」
ハロルドの話にブルハが必死に言い訳をする。しかし、ハロルドは冷酷な笑みを浮かべて答える。
「商業ギルド内の問題を儂に擦り付けるのか?」
オルアットは最悪の結果だと思っていた。商業ギルドを軽視していると抗議したかったのに、領主を軽視していたのは商業ギルドと言われてしまいそうだからだ。
ハロルドは碌に商業ギルドに相談などしていなかったが、それを追求する情報もオルアットは持っていなかったのである。
オルアットはブルハを睨んで黙らせると、ハロルドにお願いする。
「いえ、私もまさかエルマイスター支部のギルドマスターがそのような杜撰なことをしているのは知りませんでした。改めて謝罪とギルドマスターの更迭をします。
もう一度やり直しと、今後の相談をさせて下さい!」
オルアットはエルマイスターとは良好な関係を築きたいと考えていた。それは塩だけでなくダンジョンの改革や魔道具、馬ゴーレムも重要だからである。
「それをする前にハッキリさせないとダメな事もあるしのぉ」
ハロルドはのんびりした調子で話したが、冷酷な表情で笑みさえも消えていた。それを見てオルアットとブルハは顔色を変える。
(ハッキリさせないとダメな事とはなんだ!?)
オルアットはハロルドの雰囲気でただ事ではないと感じていた。
「ハロルド、それは後じゃ! 今は我々と商業ギルドとの話し合いじゃ!」
ゼノキア侯爵はハロルドが先走りし過ぎだと忠告した。
「おおっ、そうじゃった。エドワルド、話を進めてくれ!」
ハロルドはまた笑顔に戻ってエドワルドに話を進めるように言った。
「悪いがエルマイスターのことは後にしてくれ、我々の方針を先に伝えるのが先だ。オルアット殿も個別の話は後にしてくれ」
オルアットはエルマイスターとの関係改善が必須だと思っていた。しかし、今は複数の領主の前で話をするのは難しいと諦める。
「わ、わかりました。話を進めてもらいますぅ」
「うむ、それで公的ギルドから販売する相手は商業ギルドだけではない。基準を満たした相手には販売するつもりだ」
エドワルドは当然のように話した。ギルドマスター達はエドワルドの話の意味が分からず戸惑った表情をした。しかし、オルアットだけがそれが商業ギルドにとって最悪な話だと理解して焦った。
「ま、待ってくれへんか! ほな塩や農産物を商業ギルドは通さへんで販売するちゅうことですか!? ほなやっぱ公的ギルドが商業ギルドに成り代わってまうやおまへんか!」
オルアットがエドワルドに反論するように話すと、ようやくギルドマスター達も商業ギルドにとって、どれほど最悪なことか理解した。
「全然違いますよ。扱う商品は限られていますし、基準に満たない相手には販売するつもりはありません。販売額は同じですが、商業ギルドはすでに幾らでも所属する商会があるでしょう。問題ないのではありませんか?」
カークが笑顔でオルアットに補足して話した。
しかし、オルアットは簡単に納得できる話ではない。
いくら商業ギルドに商会や商人が加盟しているといっても、基準を満たせば商業ギルドと同じ金額で商品が手に入るということだ。そうなれば商業ギルドが価格を調整することも、大きく利益を上げる事もできなくなる。
そして、領主たちの考えが、商業ギルドと商会や商人を同等に扱うと言っているのと同じであるからだ。
「い、幾らなんでも酷すぎますぅ! これまでの商業ギルドの関係を無くそうとしているのですか!?」
オルアットはある意味、商業ギルドへの宣戦布告のようなものだと感じていた。
「そうじゃないのだ。わが国で獣人は公平に扱うという国の法があるのじゃが、商業ギルドが獣人を公平に扱わないじゃろ。だから獣人は商人になることもできないから、仕方なくその受け皿を作ることにしたのじゃ。しかし、そうなると獣人だけに領主が便宜を図るわけにはいかないので、人族も同じように受け入れるだけじゃ」
ゼノキア侯爵が申し訳ないといった感じで話したのだが、あまりにも芝居がかっていた、他の領主たちも笑顔でその話を聞いている。
オルアットはまさかそんな理由を持ち出すとは思っても居なかった。明らかに取ってつけた理由で、本当に獣人の為とは思えなかった。
「ほんまは獣人を公平に扱うつもりやらないのやおまへんか?」
「なんじゃ、商業ギルドはこの町で起こっていることも知らないのか?」
ハロルドがそう話した。他の領主たちもこの町で起きていることを商業ギルドが全く知らないことに驚いていた。
「な、何の事でしょう!? この地では確かに獣人が区別されていますが、それは人の出入りが多いこの町だから仕方ないことではありませんか?」
グラスニカのギルドマスターは当然の事だと、ハッキリと話した。
「本当に何も知らないのだな……。建物が老朽化して危険地区に指定されていた地区を知っているだろう?」
エドワルドが尋ねるとギルドマスターは答える。
「は、はい、不法に獣人や孤児が住んでいる場所です」
「あそこはすでに整備が終わって、公的ギルドが設置されている。商業ギルドが獣人を加盟させないから、近隣で不法に市場を開いていた獣人たちを公的ギルドで受け入れた。すでに商売を始めているはずだ。同じ町に居て知らなかったのか?」
エドワルドの話を聞いてギルドマスターは混乱する。いくら何でもそのような事を自分が知らないのは変だと思った。確かに注目してはいなかったが、そのような工事が行われていれば自分が気付かないはずはないと思ったのだ。
「どういうことだ!?」
オルアットに厳しい表情で問い詰められるが、ギルドマスターは答えようもない。
オルアットは役立たずばかりだと思ったが、今はそれどころでは無い。何とか商業ギルドの立場を守ろうと話をする。
「教会からの要請で商業ギルドもしゃあのう獣人を区別してました。せやけど、国の法は守るべきもの。商業ギルドではそのような事をせえへんように徹底すますぅ。
ですさかい、今後のこと相談させてくれへん!」
「おう、それは良かったのぉ。教会も酷かったが、冒険者ギルドと商業ギルドも露骨に差別していたからのぉ。差別が無くなったら改めて話をしようではないか!」
ゼノキア侯爵は笑顔で歓迎の意思を表明した。しかし、オルアットの提案は結果を見てからと言ったのである。
オルアットは何とかそれを交渉しようと話をしようとしたが、その前にハロルドが話し始めた。
「もう、その辺で良いじゃろう。商業ギルドが獣人に対する差別が完全になくなるまでは交渉なんかする必要もない。今回の事は決定事項じゃ!
それよりも、そろそろ別の話をさせてくれ。その件が片付かないと商業ギルドと交渉など儂はするつもりはないぞ!」
ハロルドはすでに臨戦態勢に入っているのか、殺気が溢れ始めていた。
「別の話とは……?」
オルアットはハロルドの殺気を受けて、顔色を変えながら必死に訪ねるのであった。
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