139 / 224
第5章 公的ギルド
閑話9 神々の文化交流④
しおりを挟む
脳筋神々《かれら》が地球の拠点の1室で目を開くと満面の笑みの地球の主神様が目の前にいた。
「あらあらぁ~、ようこそ地球にいらしゃ~い!」
予想外の出迎えに、脳筋神々《かれら》は何が起きたのか理解できず固まっていた。
「もおぅ、こんなに固くなっちゃってぇ~。折角会いに来てくれたんだから、笑顔を見せてよぉ~」
地球の主神様は戦の神の胸を、人差し指でくねくねと胸筋を確認するようにしながら話した。
「ち、地球の主神様、今回はどうされたのですか?」
戦の神は地球の主神様が、自分の胸を弄ることを止めさせることもできずに、なされるがままで尋ねる。
「あらぁ? 聞いていなかったのぉ。今日、私がここに訪問すると連絡していたはずなんだけどぉ」
その答えを聞いて脳筋神々《かれら》は嵌められたと思った。
いつも脳筋神々《かれら》は文化交流に意味がないと、文化交流に参加を後回しにされてきた。しかし、今回は『第2回新文化交流隊』という早期の順番になったのである。
『第1回新文化交流隊』は拠点の整備を優先していた。
だから、実質的には新しい文化交流の1番目とも考えられる順番だったことに、脳筋神々《われら》は大いに盛り上がったのである。
「ふふふっ、楽しい文化交流になりそうねぇ~。じゅるりん」
地球の主神様が戦の神の顎に手をかけ、目を合わせながら話し、最後に長い舌で自分の唇を舐めたのである。
それを見た脳筋神々《かれら》は、地球の文化に毒された女神たちにセクハラだと騒がれていることを思い出していた。
(((立場を利用して嫌がることはダメ! 絶対にしてはダメ)))
心の中で弱い相手に、嫌がることをしていた自分達の行いが走馬灯のように浮かんでは消えていた。
すると部屋の中心が光り輝き、光の女神たちが姿を現した。
「「「光の女神!」」」
縋るような思いで脳筋神々《かれら》は叫んだ!
「こっちでは光子と呼ぶのよ!」
青筋を浮かせて光子が激怒して叫んだ。脳筋神々《かれら》はその剣幕に驚いていた。
そんな脳筋神々《かれら》を無視して地球の主神様に丁寧に挨拶する。
「地球の主神様、本日は新文化交流の拠点にお越しいただきまして、ありがとうございます。本日は文化交流と地球の主神様の歓迎会を兼ねて、森樹《しんじゅ》(森の女神)と農《みのり》(農業の女神)が地球で育てた食材を使った料理で、宴会を開きたいと思います。最大のおもてなしをします。お楽しみください!」
「あらあら、嬉しいわぁ~。そちらの世界(ノバ)の料理を堪能できるのねぇ」
「はい、今回は世界(ノバ)の料理と、両方の文化を取り入れた料理をお出ししようと思います。ただ、まだ文化交流を始めたばかりなので、料理の交流はまだ中途半端だと思います。なので地球の主神様のご意見をお聞きしたいと思います」
「ふふふっ、任せなさい。これでも私は料理が得意なのよぉ」
いつの間にか戦の神は地球の主神様と腕を組んでいて、会話する地球の主神様は戦の神の肩に頭を乗せていた。
光子と地球の主神様のやり取りを見て、戦の神以外はホッとした表情になる。そして戦の神を犠牲にして自分達は助かると思ったのである。
「では、準備できるまでは脳筋神々《かれら》とお風呂で汗でもお流しください」
光子のその一言で脳筋神々《かれら》に緊張が走る。
「あらあらあらあらぁ~、素敵な提案ねぇ。じっくりとお互いを知るには裸の付き合いは大切様ねぇ! お互いに洗いっこして交流を深めましょうね、あ・な・た。ふふふ」
戦の神は予想外の文化交流に心の中で号泣するのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
大広間で宴会が始まった。
「「「かんぱーーーい」」」
暑苦しい雰囲気がなくなり、さっぱりとした脳筋神々《かれら》が元気に乾杯すると、一気にビールを喉に流し込む。
「プハァーーー! やっぱり地球のビールは全然違いますなぁ!」
「そうよぉ~、それにビールの種類も沢山あるのよぉ。文化交流でノバの地ビールを造ってちょうだいね」
戦の神は開き直っていた。風呂では体の隅々まで洗われたのだ。
今晩だけ我慢すれば明日からは好きにできる。今日だけは精一杯地球の主神様を歓迎することにしたのだ。
他の脳筋神々《かれら》も同じように考えていた。
そして、そんな状況を悩まし気に見つめる萌《はじめ》(権能の神)がいた。さらに萌《はじめ》を心配そうに叡一《えいいち》(叡智の神様)と商《しょう》(商売の神)が見つめていた。
「は、早めに話を聞かないと、近隣のご当地アイドルを確認に行けなくなるよ?」
そう萌《はじめ》に尋ねたのは、商《しょう》だった。
「私と萌《はじめ》は早めに戻ることになっている。時間は貴重だぞ!」
追い打ちをかけるように話したのは叡一《えいいち》である。
「わかっている。今から話してくる!」
萌《はじめ》は震える手を握り締めて、ご当地アイドルの為に勇気を振り絞って立ち上がると、地球の主神様の所に向かっていく。
「地球の主神様、お楽しみのところをよろしいでしょうか?」
必死に震える声を抑え、萌《はじめ》は地球の主神様に話しかけた。
「あらぁ、こういうタイプも居たのねぇ~。知的で厳格な感じで自分の本性を隠すタイプねぇ。こういう子は殻を破ると実は凄いのよぉ~。じゅるり」
萌《はじめ》は地球の主神様の雰囲気に飲まれそうになる。
しかし、彼の頭にはたくさんのご当地アイドルのデータが浮かび上がらせて、何とか堪えることができた。
「少し確認したいことありまして、地球の主神様のお話が聞ければと考えています。できればお時間をいただけないでしょうか?」
「ダメよ!」
地球の主神様が真面目な顔になり、ここまで拒絶すると萌《はじめ》は思っていなかった。残念だが仕方ないと諦める。
「こんなに楽しい時間に真面目な話なんかできないわよねぇ~」
地球の主神様は戦の神に抱き着きながらそう言った。
「その通りだぞ、野暮なことを言うんじゃない!」
戦の神も今の状況に順応し始めて、地球の主神様に抱き着かれても嫌そうな表情をせずに言う。
「そういう、お・は・な・し・は、宴会後にじっくりと私の部屋でするものよぉ。後でお部屋にいらっしゃいね」
まるで捕食者の眼光で萌《はじめ》をみながら、地球の主神様は怪しい笑顔を見せながらそういうのであった。
全身から危険を知らせる警告音がなっていたが、ご当地アイドルのためと決心を固めて返事をする。
「それでは後で部屋へ訪問いたします」
「待ってるわねぇ~」
自分の席に戻る萌《はじめ》を、脳筋神々《かれら》は勇者を見るような視線を送るのであった。
席に戻った萌《はじめ》を、尊敬するように見つめる叡一《えいいち》と商《しょう》に目を合わせると萌《はじめ》言った。
「お前達も一緒に来るんだぞ!」
萌《はじめ》は自分一人で行く勇気などなかったのだ。
光子が地球の主神の席に挨拶にやってきた。
「地球の主神様、お味はどうでした?」
「まだまだねぇ。素材は驚くほど美味しいけど、それが生かしきれてないわね。両方の世界の料理の融合も上手くできていないわよぉ~。でも、期待の持てる内容だったわぁ」
「やはりそうですか。今度は料理の女神を連れてきます。その時はまた教えてください」
「任せてよぉ。私も楽しんでいるから大丈夫よ。明日からの彼らとの文化交流も楽しみにしているのよぉ」
地球の主神様は脳筋神々《かれら》を見回しながら答えた。
「光《ひかり》、光子、どういうことだ!?」
戦の神だけでなく、脳筋神々《かれら》も光子の返答に集中する。
「あら、各自の部屋に今回の文化交流の予定表を置いといたはずよ。地球の主神様は武術や戦術、武器や兵器について博識でもあるわ。だから、それらの訓練や知識、視察にも地球の主神様がご協力くださるのよ」
脳筋神々《かれら》は誰も予定表など見ていなかったのである。
「任せてねぇ。朝の訓練後は一緒のお風呂よぉ~!」
「「「お、おぉ~」」」
作り笑顔で返事する、脳筋神々《かれら》であった。
◇ ◇ ◇ ◇
歓迎会も終わった地球の主神様の部屋に例の3人が訪問した。
「あらあら、3種盛りオードブルが用意されたのねぇ」
地球の主神様の発言に、3人はお願いだから自分達を食べないで欲しいと願うのであった。
「それで、お話とは何かしら?」
「今回我々の世界に転生したアタルのことです。彼はなにか我々の知らない力があるのではないでしょうか?」
長居したくない萌《はじめ》は単刀直入に質問する。
「あら、それはどういうことかしら?」
いつもの陽気な雰囲気が消えて、地球の主神様は真顔で聞き返してきた。
「我々の世界のシステムを一瞬で理解して、私や眷属よりも簡単に効率的な神のシステムを創り上げたのです。
彼が下界に行ってからも驚きの連続です。特に特殊なスキルがあるわけでもないのに、あの能力は不自然ではないでしょうか?」
「あら、気が付いたのね。そうよ、彼は地球でも特殊な能力を発揮していたわよ。そうでなきゃ、たった一人で次々とシステムなど構築できるはずがないのよ。まるで完成形が見えているかのような出来栄えでね」
「しかし、それなら我々の世界でスキルとして認識できるはずです!」
「それは無理よぉ。存在しないスキルは認識できるはずないでしょ」
地球の主神様の話を聞いて、神である自分達にも理解できないスキルが存在することに萌《はじめ》は驚く。
「なぜそのような力を彼は……?」
「私も分からないわ」
地球の主神様でも分からない。それは自分達にも理解できないということだ。
「まあ、気にしても仕方ないわねぇ。神々《わたしたち》は見守るしかできないのだからねぇ」
それ以上聞いても仕方ないと判断して、捕食される前に逃げるように自分達の部屋に戻るのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
3人が部屋から出ていくと、地球の主神の隣には白い髭を生やした老人が姿を現した。
「ホッホホホ、ようやく自分達で考えられるようになったようじゃのぉ」
「ノバ様、あとで私が嫌われないようにしてくださいよぉ」
「もちろんじゃ。神々もアタルもこれからが楽しみになってきたのぉ」
「だったら、男神に部屋に連れ込んでもよろしいかしらぁ?」
「ホッホホホ、儂は自由恋愛主義じゃ。セクハラはダメじゃぞ」
「大丈夫よぉ。すでに体を開きかけている男神がいるからねぇ」
「ホッホホホ」
最後に笑うと、ノバの主神はまた姿を消すのであった。
「あらあらぁ~、ようこそ地球にいらしゃ~い!」
予想外の出迎えに、脳筋神々《かれら》は何が起きたのか理解できず固まっていた。
「もおぅ、こんなに固くなっちゃってぇ~。折角会いに来てくれたんだから、笑顔を見せてよぉ~」
地球の主神様は戦の神の胸を、人差し指でくねくねと胸筋を確認するようにしながら話した。
「ち、地球の主神様、今回はどうされたのですか?」
戦の神は地球の主神様が、自分の胸を弄ることを止めさせることもできずに、なされるがままで尋ねる。
「あらぁ? 聞いていなかったのぉ。今日、私がここに訪問すると連絡していたはずなんだけどぉ」
その答えを聞いて脳筋神々《かれら》は嵌められたと思った。
いつも脳筋神々《かれら》は文化交流に意味がないと、文化交流に参加を後回しにされてきた。しかし、今回は『第2回新文化交流隊』という早期の順番になったのである。
『第1回新文化交流隊』は拠点の整備を優先していた。
だから、実質的には新しい文化交流の1番目とも考えられる順番だったことに、脳筋神々《われら》は大いに盛り上がったのである。
「ふふふっ、楽しい文化交流になりそうねぇ~。じゅるりん」
地球の主神様が戦の神の顎に手をかけ、目を合わせながら話し、最後に長い舌で自分の唇を舐めたのである。
それを見た脳筋神々《かれら》は、地球の文化に毒された女神たちにセクハラだと騒がれていることを思い出していた。
(((立場を利用して嫌がることはダメ! 絶対にしてはダメ)))
心の中で弱い相手に、嫌がることをしていた自分達の行いが走馬灯のように浮かんでは消えていた。
すると部屋の中心が光り輝き、光の女神たちが姿を現した。
「「「光の女神!」」」
縋るような思いで脳筋神々《かれら》は叫んだ!
「こっちでは光子と呼ぶのよ!」
青筋を浮かせて光子が激怒して叫んだ。脳筋神々《かれら》はその剣幕に驚いていた。
そんな脳筋神々《かれら》を無視して地球の主神様に丁寧に挨拶する。
「地球の主神様、本日は新文化交流の拠点にお越しいただきまして、ありがとうございます。本日は文化交流と地球の主神様の歓迎会を兼ねて、森樹《しんじゅ》(森の女神)と農《みのり》(農業の女神)が地球で育てた食材を使った料理で、宴会を開きたいと思います。最大のおもてなしをします。お楽しみください!」
「あらあら、嬉しいわぁ~。そちらの世界(ノバ)の料理を堪能できるのねぇ」
「はい、今回は世界(ノバ)の料理と、両方の文化を取り入れた料理をお出ししようと思います。ただ、まだ文化交流を始めたばかりなので、料理の交流はまだ中途半端だと思います。なので地球の主神様のご意見をお聞きしたいと思います」
「ふふふっ、任せなさい。これでも私は料理が得意なのよぉ」
いつの間にか戦の神は地球の主神様と腕を組んでいて、会話する地球の主神様は戦の神の肩に頭を乗せていた。
光子と地球の主神様のやり取りを見て、戦の神以外はホッとした表情になる。そして戦の神を犠牲にして自分達は助かると思ったのである。
「では、準備できるまでは脳筋神々《かれら》とお風呂で汗でもお流しください」
光子のその一言で脳筋神々《かれら》に緊張が走る。
「あらあらあらあらぁ~、素敵な提案ねぇ。じっくりとお互いを知るには裸の付き合いは大切様ねぇ! お互いに洗いっこして交流を深めましょうね、あ・な・た。ふふふ」
戦の神は予想外の文化交流に心の中で号泣するのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
大広間で宴会が始まった。
「「「かんぱーーーい」」」
暑苦しい雰囲気がなくなり、さっぱりとした脳筋神々《かれら》が元気に乾杯すると、一気にビールを喉に流し込む。
「プハァーーー! やっぱり地球のビールは全然違いますなぁ!」
「そうよぉ~、それにビールの種類も沢山あるのよぉ。文化交流でノバの地ビールを造ってちょうだいね」
戦の神は開き直っていた。風呂では体の隅々まで洗われたのだ。
今晩だけ我慢すれば明日からは好きにできる。今日だけは精一杯地球の主神様を歓迎することにしたのだ。
他の脳筋神々《かれら》も同じように考えていた。
そして、そんな状況を悩まし気に見つめる萌《はじめ》(権能の神)がいた。さらに萌《はじめ》を心配そうに叡一《えいいち》(叡智の神様)と商《しょう》(商売の神)が見つめていた。
「は、早めに話を聞かないと、近隣のご当地アイドルを確認に行けなくなるよ?」
そう萌《はじめ》に尋ねたのは、商《しょう》だった。
「私と萌《はじめ》は早めに戻ることになっている。時間は貴重だぞ!」
追い打ちをかけるように話したのは叡一《えいいち》である。
「わかっている。今から話してくる!」
萌《はじめ》は震える手を握り締めて、ご当地アイドルの為に勇気を振り絞って立ち上がると、地球の主神様の所に向かっていく。
「地球の主神様、お楽しみのところをよろしいでしょうか?」
必死に震える声を抑え、萌《はじめ》は地球の主神様に話しかけた。
「あらぁ、こういうタイプも居たのねぇ~。知的で厳格な感じで自分の本性を隠すタイプねぇ。こういう子は殻を破ると実は凄いのよぉ~。じゅるり」
萌《はじめ》は地球の主神様の雰囲気に飲まれそうになる。
しかし、彼の頭にはたくさんのご当地アイドルのデータが浮かび上がらせて、何とか堪えることができた。
「少し確認したいことありまして、地球の主神様のお話が聞ければと考えています。できればお時間をいただけないでしょうか?」
「ダメよ!」
地球の主神様が真面目な顔になり、ここまで拒絶すると萌《はじめ》は思っていなかった。残念だが仕方ないと諦める。
「こんなに楽しい時間に真面目な話なんかできないわよねぇ~」
地球の主神様は戦の神に抱き着きながらそう言った。
「その通りだぞ、野暮なことを言うんじゃない!」
戦の神も今の状況に順応し始めて、地球の主神様に抱き着かれても嫌そうな表情をせずに言う。
「そういう、お・は・な・し・は、宴会後にじっくりと私の部屋でするものよぉ。後でお部屋にいらっしゃいね」
まるで捕食者の眼光で萌《はじめ》をみながら、地球の主神様は怪しい笑顔を見せながらそういうのであった。
全身から危険を知らせる警告音がなっていたが、ご当地アイドルのためと決心を固めて返事をする。
「それでは後で部屋へ訪問いたします」
「待ってるわねぇ~」
自分の席に戻る萌《はじめ》を、脳筋神々《かれら》は勇者を見るような視線を送るのであった。
席に戻った萌《はじめ》を、尊敬するように見つめる叡一《えいいち》と商《しょう》に目を合わせると萌《はじめ》言った。
「お前達も一緒に来るんだぞ!」
萌《はじめ》は自分一人で行く勇気などなかったのだ。
光子が地球の主神の席に挨拶にやってきた。
「地球の主神様、お味はどうでした?」
「まだまだねぇ。素材は驚くほど美味しいけど、それが生かしきれてないわね。両方の世界の料理の融合も上手くできていないわよぉ~。でも、期待の持てる内容だったわぁ」
「やはりそうですか。今度は料理の女神を連れてきます。その時はまた教えてください」
「任せてよぉ。私も楽しんでいるから大丈夫よ。明日からの彼らとの文化交流も楽しみにしているのよぉ」
地球の主神様は脳筋神々《かれら》を見回しながら答えた。
「光《ひかり》、光子、どういうことだ!?」
戦の神だけでなく、脳筋神々《かれら》も光子の返答に集中する。
「あら、各自の部屋に今回の文化交流の予定表を置いといたはずよ。地球の主神様は武術や戦術、武器や兵器について博識でもあるわ。だから、それらの訓練や知識、視察にも地球の主神様がご協力くださるのよ」
脳筋神々《かれら》は誰も予定表など見ていなかったのである。
「任せてねぇ。朝の訓練後は一緒のお風呂よぉ~!」
「「「お、おぉ~」」」
作り笑顔で返事する、脳筋神々《かれら》であった。
◇ ◇ ◇ ◇
歓迎会も終わった地球の主神様の部屋に例の3人が訪問した。
「あらあら、3種盛りオードブルが用意されたのねぇ」
地球の主神様の発言に、3人はお願いだから自分達を食べないで欲しいと願うのであった。
「それで、お話とは何かしら?」
「今回我々の世界に転生したアタルのことです。彼はなにか我々の知らない力があるのではないでしょうか?」
長居したくない萌《はじめ》は単刀直入に質問する。
「あら、それはどういうことかしら?」
いつもの陽気な雰囲気が消えて、地球の主神様は真顔で聞き返してきた。
「我々の世界のシステムを一瞬で理解して、私や眷属よりも簡単に効率的な神のシステムを創り上げたのです。
彼が下界に行ってからも驚きの連続です。特に特殊なスキルがあるわけでもないのに、あの能力は不自然ではないでしょうか?」
「あら、気が付いたのね。そうよ、彼は地球でも特殊な能力を発揮していたわよ。そうでなきゃ、たった一人で次々とシステムなど構築できるはずがないのよ。まるで完成形が見えているかのような出来栄えでね」
「しかし、それなら我々の世界でスキルとして認識できるはずです!」
「それは無理よぉ。存在しないスキルは認識できるはずないでしょ」
地球の主神様の話を聞いて、神である自分達にも理解できないスキルが存在することに萌《はじめ》は驚く。
「なぜそのような力を彼は……?」
「私も分からないわ」
地球の主神様でも分からない。それは自分達にも理解できないということだ。
「まあ、気にしても仕方ないわねぇ。神々《わたしたち》は見守るしかできないのだからねぇ」
それ以上聞いても仕方ないと判断して、捕食される前に逃げるように自分達の部屋に戻るのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
3人が部屋から出ていくと、地球の主神の隣には白い髭を生やした老人が姿を現した。
「ホッホホホ、ようやく自分達で考えられるようになったようじゃのぉ」
「ノバ様、あとで私が嫌われないようにしてくださいよぉ」
「もちろんじゃ。神々もアタルもこれからが楽しみになってきたのぉ」
「だったら、男神に部屋に連れ込んでもよろしいかしらぁ?」
「ホッホホホ、儂は自由恋愛主義じゃ。セクハラはダメじゃぞ」
「大丈夫よぉ。すでに体を開きかけている男神がいるからねぇ」
「ホッホホホ」
最後に笑うと、ノバの主神はまた姿を消すのであった。
61
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
★☆ 書籍化したこちらもヨロシク! ☆★
★☆★☆★☆ 『転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。』 ☆★☆★☆★
▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲
お気に入りに追加
2,182
あなたにおすすめの小説
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる