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第5章 公的ギルド
第34話 公的ギルドの問題
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公的ギルドが正式に稼働を始めてまだ5日ほどだが、運用を始めれば必ず問題が出るはずである。
早速ランベルトさんが手を上げている。
「ランベルトさんどうぞ」
ルークさんが議長役を務めて、ランベルトさんの発言を許可する。
「これは探索ギルドの問題ではないのですが、ダンジョンで冒険者たちが稼げることで、冒険者ギルドの護衛任務の依頼を受けないと、冒険者ギルドから苦情がきています」
「それは商業ギルドでも問題になっているぞ。他領から商売をしにきた商人が、帰りの護衛が足りないと嘆いていたぞ。あっ、嘆いていました」
商店ギルドのソルンさんも同じ問題があるらしい。
話し方はランベルトさんのほうが商人ギルドらしいく、ソルンさんが探索ギルドらしい。しかし、見た目はそれぞれのギルドにあっているから、余計に面白い。
「話し方はこの会議で気を使う必要はないのぉ。話し方よりも内容じゃ」
ハロルド様がそう言うと、ソルンさんがホッとしている。
「しかし、来るときには護衛を連れてきているんですよね。帰りも頼めば問題ないのでは?」
ルークさんが真っ当な意見を述べる。
「それなんですが、エルマイスター領のダンジョンは稼げると噂が広まっているようで、冒険者がエルマイスター領へ来るついでに護衛を引き受けているそうです。結果的に片道じゃないと護衛が中々見つからないそうです」
ランベルトさんの話を聞くと、冒険者が増えて領地としては歓迎する話だが、商人としては困る話なんだろう。
でも、微妙じゃね?
それなら往復で護衛を雇うために、依頼料を上げれば良いと思う。まあ、依頼料を上げれば経費が増える。すると商品の価格が上がることになるから、領民には良くないかぁ。
たぶんランベルトさんやソルンさんもそれが分かっているから相談したのだろう。
それなら流通ギルドとか運輸ギルド、駅馬車ギルドとか作るのもありかもしれないなぁ。
馬車内を改造して見た目は普通の馬車で、実はハイテク馬車を作製する。馬車一台で多人数と商品を代行して運べば問題ないはずである。
できれば馬ゴーレムで運用すればさらに効率が良くなると思う。確か大賢者の資料に馬ゴーレムの作製方法はあったはずだ。問題はバトルホースの魔石が必要とあったことだな。
確か馬ゴーレムの魔力効率が悪すぎて、連続使用が難しいとあったが、ある程度は効率化できる。それに単二魔力バッテリーを利用できるようにすれば、問題は解決しそうな気がする。
ふむ、面白そうだなぁ~。
でも、そうなると護衛がほとんど必要なくなるから、さらに冒険者ギルドが追い詰められそうだ。
まあ、そういうことを考えるのはハロルド様に任せればいいのかぁ。
「アタル、何か良い案でも思いついたのか?」
考え事をしながらニヤニヤとしていたら、ハロルド様に気付かれたらしい。
「い、いえ、思いついたことはありますが……」
ここで私が話すのはまずいと……。
ハロルド様だけではなくレベッカ夫人やルークさんは気が付いてくれたようだ。
ルークさんが話を進める。
「現状では探索ギルドに加入した冒険者にランベルトさんから要請してもらえますか? それがダメなら依頼料を上げるなり、冒険者ギルドに努力してもらうしかありません。今の公的ギルドとしてはそれぐらいでしょう。ハロルド様と相談して、別の方策も検討しますが、当面はそれでお願いします」
ルークさんがそう答えると、ランベルトさんとソルンさんも残念そうにするが、別の良い方法も見つからないのが現状だろう。
他の人を含めて特に反対意見もないのでルークさんはその様子を見て話を進める。
「他にも何かありますか?」
「連続で申し訳ありませんが、私からお願いがあります。探索ギルドへの登録条件の緩和を早められませんか? 最近は他領から流れてくる冒険者も多くいまして、探索ギルドへの登録を希望する者が後を絶ちません。
探索ギルドの登録はダンジョン町でしていますし、込み合うこともありません。いかがでしょうか?」
領都で1日に登録できるのが500人ぐらいである。登録には必ず説明会に参加してからとしたからだ。一般用のギルドカードでも他のギルドカードに比べて高機能だから、説明が必要だと判断したのが理由である。
商店ギルドと探索ギルドへの加入は場所を決めてさらに専門的な説明までしている。
結果として登録に混雑してしまうために、条件を決めて優先度を付けている。それでも混乱状況にある。
幸い冒険者は探索に戻ってくるのが散発的だから、探索ギルドの加入については、それほど混雑はしていなかった。
しかし、公的ギルドは地元優先の組織であるため、ステータス見たさに加入する人間を抑制するために最低1ヶ月は領内での実績のある冒険者しか登録を許可していない。
それ以外にも様々な条件があるし、条件を緩和する条件もある。
「それはダメじゃ。領内になんの実績もない冒険者と長年領内のために実績を重ねた冒険者を一緒にすることはできん。たった1ヶ月の実績も作れないでは話にならん。それか保証金を積めばよいのではないか?」
保証金金貨10枚を払えばすぐにギルドカードは発行される。しかし、それから3ヶ月間は最低でも月に金貨10枚以上の実績がないと、すぐにギルドカードが停止されて保証金を没収されるのである。
「しかし、普通の冒険者には金貨10枚を用意することは……」
ハロルド様に反対されたランベルトさんは不満がありそうだ。
「ランベルトさん、公的ギルドは地元の領民を守るのを優先しています。金貨10枚は大金かもしれませんが、1ヶ月実績を重ねるのはそれほど大変ではないのでは?
冒険者ギルドは地元とかの感覚はないかもしれません。しかし、公的ギルドの考え方は違います。その辺は理解してください」
ルークさんがランベルトさんに分かりやすく説明する。
「た、確かにそうでした。冒険者ギルドの気分が残っていたようです。確かに地元で頑張ってきた者たちのことも考えるべきでした」
ランベルトさんも慣れないようだ。
「それも公的ギルドが始まったばかりだからよ。将来的に他領にも公的ギルドができればそれほど悩まなくて済むはずよ」
レベッカ夫人がグランドマスターらしい発言をする。
まあ、確かに冒険者でも公的ギルドの施設が利用できるから、特に問題はないはずだ。
しかし、施設の利用料などは探索ギルドに加入すると、ほとんどが安くなる。それは健康ドリンクやポーション、それに宿泊代や食事代まで値段が違う。そして支払いは全てカードで可能なので現金を持つ必要もない。
探索者カードが欲しくなるよなぁ。
逆にそろそろ低層階に居る連中にも話が広がり、登録が加速する可能性が高いから忙しくなるはずだ。
「すみません。関連する事なので発言させて下さい」
手を挙げたのは人材ギルドのギルドマスターのプトーコスさんだ。ルークさんが許可をして話を続ける。
「教会関係者が公的ギルドに加入できないことに苦情を言ってきていますが、どうすればよろしいでしょうか?」
「教会は人頭税も払っておらん。それに冒険者ギルドや商業ギルドに入ることは禁止していたはずじゃ。文句があるなら司教に儂の所に来るように言えばよい」
教会がなんで必要なんだ?
なんか企みがありそうで嫌だなぁ。
「わかりました。ついでにもうひとつよろしいでしょうか?」
プトーコスさんが発言を求めルークさんが許可する。
「ギルドカードでステータスやスキルが確認できるようになったことで、様々な人の移動と言うか仕事を変える人が増えています。そのことは問題ないのですが、やはり懸念していたスキル差別が出始めています。
具体的には長年働いていた人材を辞めさせて、仕事に有利なスキル持ちを雇用することがあるようです」
やはりその問題が発生したかぁ!
ステータスやスキルが確認できるようになれば、必ず発生する問題だと思っていた。
「それは徹底的に取り締まればよい! だからこそ説明会を開いているのじゃ。警告と罰金は説明してあるはずじゃ。騎士団に連絡すれば、騎士団で対処する」
「了解しました。すぐに一覧を送ります」
さらにソルンさんから、不自然な塩の購入が相次いでいると報告があった。
塩は今年分と備蓄分を放出することで制限なく、これまでより安く買えるようにしたのだ。その際に領都からの持ち出せる量を制限している。破った場合は塩の価格の倍を罰金として科されるのである。
実はすべての門に指定した禁制品などを監視する魔道具をすでに設置してある。
まだ捕まった者は居ないが、ソルンさんの話を聞くと近いうちに、魔道具の検証はできることになるだろう。
それ以外にたくさんの話が出たが、予想より少ないと感じた。特に公的ギルドのシステムに問題が見つかったわけではないので安心するのであった。
早速ランベルトさんが手を上げている。
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ルークさんが議長役を務めて、ランベルトさんの発言を許可する。
「これは探索ギルドの問題ではないのですが、ダンジョンで冒険者たちが稼げることで、冒険者ギルドの護衛任務の依頼を受けないと、冒険者ギルドから苦情がきています」
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「話し方はこの会議で気を使う必要はないのぉ。話し方よりも内容じゃ」
ハロルド様がそう言うと、ソルンさんがホッとしている。
「しかし、来るときには護衛を連れてきているんですよね。帰りも頼めば問題ないのでは?」
ルークさんが真っ当な意見を述べる。
「それなんですが、エルマイスター領のダンジョンは稼げると噂が広まっているようで、冒険者がエルマイスター領へ来るついでに護衛を引き受けているそうです。結果的に片道じゃないと護衛が中々見つからないそうです」
ランベルトさんの話を聞くと、冒険者が増えて領地としては歓迎する話だが、商人としては困る話なんだろう。
でも、微妙じゃね?
それなら往復で護衛を雇うために、依頼料を上げれば良いと思う。まあ、依頼料を上げれば経費が増える。すると商品の価格が上がることになるから、領民には良くないかぁ。
たぶんランベルトさんやソルンさんもそれが分かっているから相談したのだろう。
それなら流通ギルドとか運輸ギルド、駅馬車ギルドとか作るのもありかもしれないなぁ。
馬車内を改造して見た目は普通の馬車で、実はハイテク馬車を作製する。馬車一台で多人数と商品を代行して運べば問題ないはずである。
できれば馬ゴーレムで運用すればさらに効率が良くなると思う。確か大賢者の資料に馬ゴーレムの作製方法はあったはずだ。問題はバトルホースの魔石が必要とあったことだな。
確か馬ゴーレムの魔力効率が悪すぎて、連続使用が難しいとあったが、ある程度は効率化できる。それに単二魔力バッテリーを利用できるようにすれば、問題は解決しそうな気がする。
ふむ、面白そうだなぁ~。
でも、そうなると護衛がほとんど必要なくなるから、さらに冒険者ギルドが追い詰められそうだ。
まあ、そういうことを考えるのはハロルド様に任せればいいのかぁ。
「アタル、何か良い案でも思いついたのか?」
考え事をしながらニヤニヤとしていたら、ハロルド様に気付かれたらしい。
「い、いえ、思いついたことはありますが……」
ここで私が話すのはまずいと……。
ハロルド様だけではなくレベッカ夫人やルークさんは気が付いてくれたようだ。
ルークさんが話を進める。
「現状では探索ギルドに加入した冒険者にランベルトさんから要請してもらえますか? それがダメなら依頼料を上げるなり、冒険者ギルドに努力してもらうしかありません。今の公的ギルドとしてはそれぐらいでしょう。ハロルド様と相談して、別の方策も検討しますが、当面はそれでお願いします」
ルークさんがそう答えると、ランベルトさんとソルンさんも残念そうにするが、別の良い方法も見つからないのが現状だろう。
他の人を含めて特に反対意見もないのでルークさんはその様子を見て話を進める。
「他にも何かありますか?」
「連続で申し訳ありませんが、私からお願いがあります。探索ギルドへの登録条件の緩和を早められませんか? 最近は他領から流れてくる冒険者も多くいまして、探索ギルドへの登録を希望する者が後を絶ちません。
探索ギルドの登録はダンジョン町でしていますし、込み合うこともありません。いかがでしょうか?」
領都で1日に登録できるのが500人ぐらいである。登録には必ず説明会に参加してからとしたからだ。一般用のギルドカードでも他のギルドカードに比べて高機能だから、説明が必要だと判断したのが理由である。
商店ギルドと探索ギルドへの加入は場所を決めてさらに専門的な説明までしている。
結果として登録に混雑してしまうために、条件を決めて優先度を付けている。それでも混乱状況にある。
幸い冒険者は探索に戻ってくるのが散発的だから、探索ギルドの加入については、それほど混雑はしていなかった。
しかし、公的ギルドは地元優先の組織であるため、ステータス見たさに加入する人間を抑制するために最低1ヶ月は領内での実績のある冒険者しか登録を許可していない。
それ以外にも様々な条件があるし、条件を緩和する条件もある。
「それはダメじゃ。領内になんの実績もない冒険者と長年領内のために実績を重ねた冒険者を一緒にすることはできん。たった1ヶ月の実績も作れないでは話にならん。それか保証金を積めばよいのではないか?」
保証金金貨10枚を払えばすぐにギルドカードは発行される。しかし、それから3ヶ月間は最低でも月に金貨10枚以上の実績がないと、すぐにギルドカードが停止されて保証金を没収されるのである。
「しかし、普通の冒険者には金貨10枚を用意することは……」
ハロルド様に反対されたランベルトさんは不満がありそうだ。
「ランベルトさん、公的ギルドは地元の領民を守るのを優先しています。金貨10枚は大金かもしれませんが、1ヶ月実績を重ねるのはそれほど大変ではないのでは?
冒険者ギルドは地元とかの感覚はないかもしれません。しかし、公的ギルドの考え方は違います。その辺は理解してください」
ルークさんがランベルトさんに分かりやすく説明する。
「た、確かにそうでした。冒険者ギルドの気分が残っていたようです。確かに地元で頑張ってきた者たちのことも考えるべきでした」
ランベルトさんも慣れないようだ。
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まあ、確かに冒険者でも公的ギルドの施設が利用できるから、特に問題はないはずだ。
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教会がなんで必要なんだ?
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プトーコスさんが発言を求めルークさんが許可する。
「ギルドカードでステータスやスキルが確認できるようになったことで、様々な人の移動と言うか仕事を変える人が増えています。そのことは問題ないのですが、やはり懸念していたスキル差別が出始めています。
具体的には長年働いていた人材を辞めさせて、仕事に有利なスキル持ちを雇用することがあるようです」
やはりその問題が発生したかぁ!
ステータスやスキルが確認できるようになれば、必ず発生する問題だと思っていた。
「それは徹底的に取り締まればよい! だからこそ説明会を開いているのじゃ。警告と罰金は説明してあるはずじゃ。騎士団に連絡すれば、騎士団で対処する」
「了解しました。すぐに一覧を送ります」
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────────────────────────────
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