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第5章 公的ギルド
第24話 帰還します
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朝早くから地上に帰還するために全員が揃っていた。
「帰りは人数が少ないわ。無理することなく、慎重に7層の施設までお願いね」
「「「はい!」」」
帰還するのは私とレベッカ夫人、そして護衛のブリッサさんがリーダーの12人の兵士だ。
「あなたは無理しないようにお願いね。今後のエルマイスター領の在り方が変わることになるわ。その重要な任務をあなたに託します!」
「は、はい!」
レベッカ夫人に声を掛けられたカルアさんは、目に涙を溜めて返事をしている。この施設が安定稼働できることは、本当に重要になってくる。
冒険者と領との関係が変わり、冒険者ギルドに依存しないダンジョン経営が始まる。そして、これまで無駄に捨てられた素材が流通するようになれば、エルマイスター領に経済革命が起きるはずである。
また、『塩抽出魔導ポンプ2号』は順調に稼働している。塩分濃度が低下することなく、問題なく塩の抽出ができているのだ。
カルアさんや常駐する兵士は『塩抽出魔導ポンプ2号』のことは全く知らない。しかし、塩を確保できることは政治的にも助かると、ハロルド様も言っていた。
だからこそレベッカ夫人は重要な任務だと話し、これまで重要な任務を任されたことのない、カルアさんや女性兵士たちは嬉しいのだろう。
「それでは出発しましょう!」
レベッカ夫人の号令で兵士たちが先導する隊形で9層への階段へ向かう。
「アタル様、7層までは魔物の位置を教えてもらえませんか?」
ブリッサさんからお願いをされる。
「はい、了解です」
歩きながら体調を確認してブリッサさんに返答する。
昨晩は暴走したからなぁ……。
昨晩は翌日に地上への帰還を控えていたので、早めに夕食を済ませ部屋に戻ったのだが、予想外のレベッカ夫人の襲撃があったのだ。
取り敢えず抵抗したが、自分の意思とは関係なく暴走するゲフンがいた。そして、レベッカ夫人の理由を聞いてお互いに暴走してしまったのだ。
レベッカ夫人は帰還中に女性冒険者に会ったら、私が理性を保てるようにと言い出したのだ。
この発言には納得ができず、私は浮気しないと言ったが、信用できないと言われた。それならあなたは旦那さんを裏切っていると言うと、裏切ったのは旦那だと言い出してしまった。
それからお互いに言葉では攻め合いながら、お互いを求めあってしまったのだ。
さすがに12回は不味いよなぁ~!
変なスイッチが入ってしまい、ゲフンとして消化してしまったことで、いつもより暴走してしまった。それもお互いに……。
しかし、新しい魔エッチは体調も良くなるよなぁ~。
帰ったら絶対にクレアとラナにも覚えて貰おうと決心して、9層の階段を上がっていくのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
順調に7層に到着すると思ったより冒険者がいることに気が付く。
7層はこれまで中途半端な階層で冒険者に人気がなかったはずだ。
公的ギルドの建物へ向かっていると、前から見覚えのある冒険者が仲間とこちらに向かってくる。
ブリッサさんが挨拶をして少し話をした後に、彼は俺達に近づいて話しかけてきた。
「アタルさん、お疲れ様です」
「え~と、確かエイダスさんでしたね?」
「はい、覚えていてくれたんですね」
エイダスさんは前に冒険者に襲われた後に、キジェン達と一緒に会った人族の冒険者だ。
「いえ、それより前は3層とか4層で活動してましたよね。7層まで来て大丈夫なんですか?」
4層と7層では随分と難易度が違うはずだ。元々この辺で活動していたのだろうか?
「ははは、実力的にはこの辺がちょうど良いのですが、危険の割に儲からないから、あまり来なかったんですよ。しかし、公的ギルドの施設ができたから、随分儲かりますからねぇ」
7層前後の階層なら、そこそこの価値の魔石は採取でき、素材は高価な魔物の肉を回収できるはずである。
しかし、以前は回収した肉を持ち帰ることは割が合わなかった。重い肉を持って地上に向かうのは危険も多く、急がないと品質が落ちて価格が下がってしまうからだ。
それに対応できるような冒険者なら、10層まで進んだ方が安全に稼げるから、この辺の階層は人気が無かったのだ。
公的ギルドの買取所が有効に活用されているのが分かって嬉しくなる。
「まあ、無理しないで稼いでくださいよ」
「もちろんだよ。女房2人に子供が4人いるから無理はできないよ」
おうふ、頑張っているんだなぁ。
体格は良いが20歳前後にしか見えないけど、成人が14歳だから普通なのかも。
エイダスはまだ探索を続けると言うのでそこで別れる。
「予想以上に順調みたいね」
レベッカ夫人も嬉しそうに話した。
◇ ◇ ◇ ◇
7層の施設に到着すると閑散としていた。早めに到着したので、冒険者がちょうど居ない時間みたいだ。
「時間的にも早いので、私達は周辺の探索に行ってもよろしいでしょうか?」
ブリッサさんがレベッカ夫人にお願いしている。本当にブリッサさんもカルアさんも時間を惜しんで訓練を頑張っている。色々任せられる事が増えて充実している感じだ。
「無理はしないでね。慎重にするのよ」
レベッカ夫人の許可をもらい、真剣な表情で打ち合わせを始めている。
「私達は施設で休憩してから打ち合わせをしましょう。お義父様から連絡がきていますわ」
レベッカ夫人の話を聞いて俺はまた面倒な事でも起きたのか心配になるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
健康ドリンクを飲みながら、部屋でレベッカ夫人の話を聞く。
「冒険者ギルドは思ったより、まともな人間を送り込んできたみたいね?」
レベッカ夫人はハロルド様からの手紙を読みながら話した。
「それなら冒険者ギルドと協力関係を結べそうですね。揉めそうじゃなくて良かったです」
私がそう話すと、レベッカ夫人は呆れた表情で答える。
「揉めないわけ無いじゃない。これまで冒険者ギルドがしてきたことを考えれば、簡単に話が済むはずないでしょ?」
あぁ、やっぱり無難には終わらないのかぁ……。
「そ、そうなんですか……」
「そうよ、でもすぐに全面戦争にはならないみたいね」
すぐはないけど、いつかはありそうな話し方ですよね……。
「アタルが戻ってきたら最後の打ち合わせをして、本格的に公的ギルドを始めることになりそうよ」
私の戻るのを待たなくて良いです……。
レベッカ夫人は楽しそうにハロルド様からの手紙の内容を説明してくれた。聞いた感じだとそれほど危うい感じがしないので、ホッとするのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日以降の予定も話をすると夕食の時間になったので、レベッカ夫人と1階の食堂に向かう。
1階の食堂に到着すると冒険者たちが戻って来たのか、買取窓口や食堂は騒々しい雰囲気になっていた。
ブリッサさんも戻ってきており、我々を見付けるとテーブルから立ち上がって近づいてくた。
「特に怪我人もありません。交代で食事休憩にしましたが、よろしかったでしょうか?」
女性兵士たちは食事中なのに立ち上がってレベッカ夫人に敬礼している。
「問題ないわ。堅苦しいのは止めて体を休めなさい。明日の出発まであなたに任せるわ」
レベッカ夫人はブリッサさんにそう話すと空いているテーブルに向かって歩き出した。ブリッサさんも他の兵士に手で合図してテーブルに戻って食事を再開する。
レベッカ夫人が奥まったテーブルで席に着くと、私も同じテーブルに付いた。すると正面に見覚えのある獣人たちと目が合った。
私が気付いたことが分かったようで相手が話しかけてきた。
「アタルさん、俺達も7層に来ました」
声を掛けてきたのは狼獣人のキジェンで、奥には熊獣人のダルトも見える。
しかし、気になったのは彼らと一緒に食事している女性冒険者たちだった。
あぁ~、もしかしてあれが例の……。
波乱の予感を感じながらも表情には出さずに、キジェンと普通に挨拶をかわすのだった。
「帰りは人数が少ないわ。無理することなく、慎重に7層の施設までお願いね」
「「「はい!」」」
帰還するのは私とレベッカ夫人、そして護衛のブリッサさんがリーダーの12人の兵士だ。
「あなたは無理しないようにお願いね。今後のエルマイスター領の在り方が変わることになるわ。その重要な任務をあなたに託します!」
「は、はい!」
レベッカ夫人に声を掛けられたカルアさんは、目に涙を溜めて返事をしている。この施設が安定稼働できることは、本当に重要になってくる。
冒険者と領との関係が変わり、冒険者ギルドに依存しないダンジョン経営が始まる。そして、これまで無駄に捨てられた素材が流通するようになれば、エルマイスター領に経済革命が起きるはずである。
また、『塩抽出魔導ポンプ2号』は順調に稼働している。塩分濃度が低下することなく、問題なく塩の抽出ができているのだ。
カルアさんや常駐する兵士は『塩抽出魔導ポンプ2号』のことは全く知らない。しかし、塩を確保できることは政治的にも助かると、ハロルド様も言っていた。
だからこそレベッカ夫人は重要な任務だと話し、これまで重要な任務を任されたことのない、カルアさんや女性兵士たちは嬉しいのだろう。
「それでは出発しましょう!」
レベッカ夫人の号令で兵士たちが先導する隊形で9層への階段へ向かう。
「アタル様、7層までは魔物の位置を教えてもらえませんか?」
ブリッサさんからお願いをされる。
「はい、了解です」
歩きながら体調を確認してブリッサさんに返答する。
昨晩は暴走したからなぁ……。
昨晩は翌日に地上への帰還を控えていたので、早めに夕食を済ませ部屋に戻ったのだが、予想外のレベッカ夫人の襲撃があったのだ。
取り敢えず抵抗したが、自分の意思とは関係なく暴走するゲフンがいた。そして、レベッカ夫人の理由を聞いてお互いに暴走してしまったのだ。
レベッカ夫人は帰還中に女性冒険者に会ったら、私が理性を保てるようにと言い出したのだ。
この発言には納得ができず、私は浮気しないと言ったが、信用できないと言われた。それならあなたは旦那さんを裏切っていると言うと、裏切ったのは旦那だと言い出してしまった。
それからお互いに言葉では攻め合いながら、お互いを求めあってしまったのだ。
さすがに12回は不味いよなぁ~!
変なスイッチが入ってしまい、ゲフンとして消化してしまったことで、いつもより暴走してしまった。それもお互いに……。
しかし、新しい魔エッチは体調も良くなるよなぁ~。
帰ったら絶対にクレアとラナにも覚えて貰おうと決心して、9層の階段を上がっていくのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
順調に7層に到着すると思ったより冒険者がいることに気が付く。
7層はこれまで中途半端な階層で冒険者に人気がなかったはずだ。
公的ギルドの建物へ向かっていると、前から見覚えのある冒険者が仲間とこちらに向かってくる。
ブリッサさんが挨拶をして少し話をした後に、彼は俺達に近づいて話しかけてきた。
「アタルさん、お疲れ様です」
「え~と、確かエイダスさんでしたね?」
「はい、覚えていてくれたんですね」
エイダスさんは前に冒険者に襲われた後に、キジェン達と一緒に会った人族の冒険者だ。
「いえ、それより前は3層とか4層で活動してましたよね。7層まで来て大丈夫なんですか?」
4層と7層では随分と難易度が違うはずだ。元々この辺で活動していたのだろうか?
「ははは、実力的にはこの辺がちょうど良いのですが、危険の割に儲からないから、あまり来なかったんですよ。しかし、公的ギルドの施設ができたから、随分儲かりますからねぇ」
7層前後の階層なら、そこそこの価値の魔石は採取でき、素材は高価な魔物の肉を回収できるはずである。
しかし、以前は回収した肉を持ち帰ることは割が合わなかった。重い肉を持って地上に向かうのは危険も多く、急がないと品質が落ちて価格が下がってしまうからだ。
それに対応できるような冒険者なら、10層まで進んだ方が安全に稼げるから、この辺の階層は人気が無かったのだ。
公的ギルドの買取所が有効に活用されているのが分かって嬉しくなる。
「まあ、無理しないで稼いでくださいよ」
「もちろんだよ。女房2人に子供が4人いるから無理はできないよ」
おうふ、頑張っているんだなぁ。
体格は良いが20歳前後にしか見えないけど、成人が14歳だから普通なのかも。
エイダスはまだ探索を続けると言うのでそこで別れる。
「予想以上に順調みたいね」
レベッカ夫人も嬉しそうに話した。
◇ ◇ ◇ ◇
7層の施設に到着すると閑散としていた。早めに到着したので、冒険者がちょうど居ない時間みたいだ。
「時間的にも早いので、私達は周辺の探索に行ってもよろしいでしょうか?」
ブリッサさんがレベッカ夫人にお願いしている。本当にブリッサさんもカルアさんも時間を惜しんで訓練を頑張っている。色々任せられる事が増えて充実している感じだ。
「無理はしないでね。慎重にするのよ」
レベッカ夫人の許可をもらい、真剣な表情で打ち合わせを始めている。
「私達は施設で休憩してから打ち合わせをしましょう。お義父様から連絡がきていますわ」
レベッカ夫人の話を聞いて俺はまた面倒な事でも起きたのか心配になるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
健康ドリンクを飲みながら、部屋でレベッカ夫人の話を聞く。
「冒険者ギルドは思ったより、まともな人間を送り込んできたみたいね?」
レベッカ夫人はハロルド様からの手紙を読みながら話した。
「それなら冒険者ギルドと協力関係を結べそうですね。揉めそうじゃなくて良かったです」
私がそう話すと、レベッカ夫人は呆れた表情で答える。
「揉めないわけ無いじゃない。これまで冒険者ギルドがしてきたことを考えれば、簡単に話が済むはずないでしょ?」
あぁ、やっぱり無難には終わらないのかぁ……。
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すぐはないけど、いつかはありそうな話し方ですよね……。
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私の戻るのを待たなくて良いです……。
レベッカ夫人は楽しそうにハロルド様からの手紙の内容を説明してくれた。聞いた感じだとそれほど危うい感じがしないので、ホッとするのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
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1階の食堂に到着すると冒険者たちが戻って来たのか、買取窓口や食堂は騒々しい雰囲気になっていた。
ブリッサさんも戻ってきており、我々を見付けるとテーブルから立ち上がって近づいてくた。
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女性兵士たちは食事中なのに立ち上がってレベッカ夫人に敬礼している。
「問題ないわ。堅苦しいのは止めて体を休めなさい。明日の出発まであなたに任せるわ」
レベッカ夫人はブリッサさんにそう話すと空いているテーブルに向かって歩き出した。ブリッサさんも他の兵士に手で合図してテーブルに戻って食事を再開する。
レベッカ夫人が奥まったテーブルで席に着くと、私も同じテーブルに付いた。すると正面に見覚えのある獣人たちと目が合った。
私が気付いたことが分かったようで相手が話しかけてきた。
「アタルさん、俺達も7層に来ました」
声を掛けてきたのは狼獣人のキジェンで、奥には熊獣人のダルトも見える。
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