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第4章 ダンジョン
第17話 調査終了と帰還
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ボス部屋に向かうクレアを心配しながらも、表情に出さず笑顔で見送る。
残ったのはブリッサさんと2名の護衛だけだった。
「アタル様は本当にクレア隊長の事を、信頼されているのですねぇ」
ブリッサさんが、からかうように話しかけてきた。後ろの2人の護衛も頷いている。
「信頼はもちろんしているよ。でも本当は危険な事をクレアにして欲しくはないさ」
無理して作った笑顔を消して答えると、ブリッサさん達は驚いたようである。
私が渡した装備と魔力量の増えたクレアなら、素手で戦っても大丈夫だと思う。しかし、装備の実戦での検証はしていないし、自分が考える以上の何かが起こるかもしれない。
本当は一緒に行きたかった。でも、自分では足手まといだと思い我慢したのだ。
20分ほどでクレアは嬉しそうに戻ってきた。
表情を見ると何も問題なかったと思う。話を聞きたがったが、作業をしているふりをしてやり過ごすのだった。
クレアは続けて9層へ訓練として向かってしまった。
9層ならクレアがいるなら大丈夫だと信じて、調査を続けるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
塩抽出魔導ポンプ1号は問題なく稼働を続けていた。
すでに2時間ほど稼働しているが、予想通り塩は1時間で12トラム抽出できているようである。
ふむ、特に動作にムラもなく、抽出される塩の量も変化はないな!
そして魔砂の抽出は塩以上に多かった。魔砂は燃料として使っているのに、1時間当たり30トラムもの魔砂が増えているのである。
汲み上げられるダンジョン水に含まれる成分も、今のところ薄くなった感じはなかった。
目の前に広がるダンジョン海は、実際にはどれくらいの広さがあるのだろう?
実弾型の魔導銃をストレージから出して、ダンジョン海に向かって撃ってみる。
あれ、爆発を確認できない?
理由として考えられるのは、
① 不発
② 爆発が遠すぎて見えない
③ ダンジョンの壁などに吸収された?
自分で考えたのだが、どれもありえないとも思える。③は確認できそうにないので、①②を確認するために、最大魔力量の銃弾を使って確認をしてみる。
銃弾を変えてダンジョン海に向かって撃ってみる。
あっ、はるか向こうで爆発が見えた……、気がする。
ずっと先の海面に点のような光が見えたのだ。しかし、音も衝撃も何も感じないので、本当に爆発なのか不安になるぐらいである。
本当の海のように広い気がするぅ。
これ以上調査するなら、船か空飛ぶ魔道具でも用意しないと無理だろう。
おっ、魔砂が大量に確保できるなら、飛行機や高速船なども作れるんじゃないか!
暴走する開発欲を落ち着かせ、やるべき事を少しずつ進めていこうと反省する。
検証して分かったのは、ダンジョン海が予想以上に広いと言う事だ。
これなら暫くは塩の確保は出来そうだし、他の階層やダンジョンにダンジョン海があれば、塩の確保が簡単に出来るだろう。
う~ん、後は長期間の検証してみないと安定供給については不安かもねぇ。
『塩抽出魔導ポンプ1号』を同時に幾つも稼働させて、ダンジョン水に含まれる成分の濃度が変化するまで採取して、どれぐらいで回復するのか確認してみたい。
回復しない事も考えられるが、それ以前にこの広さだと濃度が薄くなることが確認できるのは何時になるだろう。
その日は『塩抽出魔導ポンプ1号』の管理パネルを偶に確認して、放置した素材の状況を確認して過ごした。
◇ ◇ ◇ ◇
暗くなる前にクレアと護衛の人達が戻ってきた。
「本日の訓練は終了しました。大きな怪我もなく全員が無事に戻ってきました!」
護衛のみなさんは少し疲れているようだが、充実した表情をしている。
「そうですか、それは良かったです。実は相談したいことがあります」
「はい、なんでしょうか?」
「予定ではもう一日ここで滞在する予定でしたが、予想以上に調査が進みました。ですから明日には地上に向けて出発したいと思います」
実質的には相談じゃないよなぁ。
「わかりました。では、帰還するつもりで準備を進めます!」
クレアは迷いなく返事をしてくれた。
他の護衛の人は残念そうな表情をしたが、クレアがハッキリと返事をすると、すぐに迷いのない表情になった。
おお、迷いというか中途半端な感じが無くなり、騎士団らしくなった感じだぁ。
「では、本日の訓練の反省会と地上に帰還する準備をします」
えっ、罰は!? 一緒に寝てくれないのぉ~!
「は、はい……」
思わず残念そうに答えてしまった。
「帰還する準備が終わって、報告書が出来たら伺います!」
「はい!」
クレアは毅然と言ったが、少し顔が赤い。護衛のみなさんも生暖かい視線で微笑んでいる。
まあ、ダンジョンだからさすがに魔エッチはしないよ……、たぶん。
◇ ◇ ◇ ◇
テントで2時間ほど待っていると、クレアがテントの外から声を掛けてから入ってきた。
「アタル様、帰還する準備はほとんどありませんし、訓練の報告だけします」
クレアは部隊長として話をしてくる。
たしかに帰還する準備などないよなぁ。
「う~ん、訓練の報告も必要ないよ。戦闘のことは良く分からないし、みんなの表情が良くなったことぐらいしか、私には分からないかなぁ?」
「確かにそうですね……。でも、アタル様に叱られて、初めて私も他の者も、自分たちが男性兵士に不満を言うだけで、部隊として自立をしていなかったのだと気が付きました。
私も命令されて行動するだけで、自分で判断することをしていなかったと思います」
それはクレア達だけの問題ではないと思う。それが普通だったのだから仕方ないだろう。
「クレアなら理解してくれると思ったよ。今回は最低限の調査だけど、次は長期で滞在する可能性が高いし、もしかしたら騎士団に常駐してもらう可能性もあるかなぁ」
「えっ!?」
クレアは驚いている?
「ここに魔道具を設置して稼働させることになると思うし、そうなると魔道具の管理や保護の為に騎士団が常駐する可能性が高いと思うんだよね。
そうなると私も来ないとダメだろうし、そうなるとまた第7部隊に護衛をして貰いたいかなぁ」
「ほ、本当ですか!? もう少し訓練したいと思っていましたから嬉しいです!」
1日じゃ物足りないだろうしねぇ。
「でも、クレアには怪我して欲しくないから、次は地上で待ってもらいたいかなぁ?」
ちょっと、意地悪なことう言う。
「ダ、ダメです! 旦那様を守るのは私です!」
ふふふっ、可愛い事を言ってくれるねぇ。
「でもぉ、1人で寝るのは寂しいからなぁ。それなら男性騎士でも同じだし」
「そ、それもダメです。ダンジョンで、そ、そんな事するなんて聞いたことありません!」
私は立ち上がってクレアに近づくと、クレアは後ずさりする。
「でもぉ、この前もう……」
クレアの腕を掴んで後ろに下がれないようにする。
「あ、あれは旦那様が無理やり、ウグッ」
うん、キスすると応えてくれるねぇ~。
「ダ、ダメ、うっ、です。だ、旦那様。あっ!」
申し訳ありません。アタルはまだ新婚気分が抜けていません。
抵抗しながらも受け入れるクレアが愛おしくて、暴走してしまうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
翌朝目を覚ますと、クレアにポカポカ叩かれて、またそれが可愛くて暴走しそうになる。
しかし、さすがに時間的にもダンジョン内という状況もあり、理性を総動員して我慢する。
そして朝早くから地上に向けて出発する。
驚いたことに護衛の皆さんの戦闘は、非常に洗練されていた。戦闘しながらも周囲の警戒をし、魔物を効率的に倒していく。
クレアは魔力量が増えたことで、戦闘中は常に身体強化を使って戦うようになり、オークをほとんど一撃で倒すようになっていた。
地上には5層で宿泊しただけで翌日にはダンジョンから出た。それも低階層は更に順調に進んだために、余裕で領都の屋敷に戻ることができる時間でだ。
その晩は我々を心配していたラナに襲われるように夜を過ごすことになったのである。
残ったのはブリッサさんと2名の護衛だけだった。
「アタル様は本当にクレア隊長の事を、信頼されているのですねぇ」
ブリッサさんが、からかうように話しかけてきた。後ろの2人の護衛も頷いている。
「信頼はもちろんしているよ。でも本当は危険な事をクレアにして欲しくはないさ」
無理して作った笑顔を消して答えると、ブリッサさん達は驚いたようである。
私が渡した装備と魔力量の増えたクレアなら、素手で戦っても大丈夫だと思う。しかし、装備の実戦での検証はしていないし、自分が考える以上の何かが起こるかもしれない。
本当は一緒に行きたかった。でも、自分では足手まといだと思い我慢したのだ。
20分ほどでクレアは嬉しそうに戻ってきた。
表情を見ると何も問題なかったと思う。話を聞きたがったが、作業をしているふりをしてやり過ごすのだった。
クレアは続けて9層へ訓練として向かってしまった。
9層ならクレアがいるなら大丈夫だと信じて、調査を続けるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
塩抽出魔導ポンプ1号は問題なく稼働を続けていた。
すでに2時間ほど稼働しているが、予想通り塩は1時間で12トラム抽出できているようである。
ふむ、特に動作にムラもなく、抽出される塩の量も変化はないな!
そして魔砂の抽出は塩以上に多かった。魔砂は燃料として使っているのに、1時間当たり30トラムもの魔砂が増えているのである。
汲み上げられるダンジョン水に含まれる成分も、今のところ薄くなった感じはなかった。
目の前に広がるダンジョン海は、実際にはどれくらいの広さがあるのだろう?
実弾型の魔導銃をストレージから出して、ダンジョン海に向かって撃ってみる。
あれ、爆発を確認できない?
理由として考えられるのは、
① 不発
② 爆発が遠すぎて見えない
③ ダンジョンの壁などに吸収された?
自分で考えたのだが、どれもありえないとも思える。③は確認できそうにないので、①②を確認するために、最大魔力量の銃弾を使って確認をしてみる。
銃弾を変えてダンジョン海に向かって撃ってみる。
あっ、はるか向こうで爆発が見えた……、気がする。
ずっと先の海面に点のような光が見えたのだ。しかし、音も衝撃も何も感じないので、本当に爆発なのか不安になるぐらいである。
本当の海のように広い気がするぅ。
これ以上調査するなら、船か空飛ぶ魔道具でも用意しないと無理だろう。
おっ、魔砂が大量に確保できるなら、飛行機や高速船なども作れるんじゃないか!
暴走する開発欲を落ち着かせ、やるべき事を少しずつ進めていこうと反省する。
検証して分かったのは、ダンジョン海が予想以上に広いと言う事だ。
これなら暫くは塩の確保は出来そうだし、他の階層やダンジョンにダンジョン海があれば、塩の確保が簡単に出来るだろう。
う~ん、後は長期間の検証してみないと安定供給については不安かもねぇ。
『塩抽出魔導ポンプ1号』を同時に幾つも稼働させて、ダンジョン水に含まれる成分の濃度が変化するまで採取して、どれぐらいで回復するのか確認してみたい。
回復しない事も考えられるが、それ以前にこの広さだと濃度が薄くなることが確認できるのは何時になるだろう。
その日は『塩抽出魔導ポンプ1号』の管理パネルを偶に確認して、放置した素材の状況を確認して過ごした。
◇ ◇ ◇ ◇
暗くなる前にクレアと護衛の人達が戻ってきた。
「本日の訓練は終了しました。大きな怪我もなく全員が無事に戻ってきました!」
護衛のみなさんは少し疲れているようだが、充実した表情をしている。
「そうですか、それは良かったです。実は相談したいことがあります」
「はい、なんでしょうか?」
「予定ではもう一日ここで滞在する予定でしたが、予想以上に調査が進みました。ですから明日には地上に向けて出発したいと思います」
実質的には相談じゃないよなぁ。
「わかりました。では、帰還するつもりで準備を進めます!」
クレアは迷いなく返事をしてくれた。
他の護衛の人は残念そうな表情をしたが、クレアがハッキリと返事をすると、すぐに迷いのない表情になった。
おお、迷いというか中途半端な感じが無くなり、騎士団らしくなった感じだぁ。
「では、本日の訓練の反省会と地上に帰還する準備をします」
えっ、罰は!? 一緒に寝てくれないのぉ~!
「は、はい……」
思わず残念そうに答えてしまった。
「帰還する準備が終わって、報告書が出来たら伺います!」
「はい!」
クレアは毅然と言ったが、少し顔が赤い。護衛のみなさんも生暖かい視線で微笑んでいる。
まあ、ダンジョンだからさすがに魔エッチはしないよ……、たぶん。
◇ ◇ ◇ ◇
テントで2時間ほど待っていると、クレアがテントの外から声を掛けてから入ってきた。
「アタル様、帰還する準備はほとんどありませんし、訓練の報告だけします」
クレアは部隊長として話をしてくる。
たしかに帰還する準備などないよなぁ。
「う~ん、訓練の報告も必要ないよ。戦闘のことは良く分からないし、みんなの表情が良くなったことぐらいしか、私には分からないかなぁ?」
「確かにそうですね……。でも、アタル様に叱られて、初めて私も他の者も、自分たちが男性兵士に不満を言うだけで、部隊として自立をしていなかったのだと気が付きました。
私も命令されて行動するだけで、自分で判断することをしていなかったと思います」
それはクレア達だけの問題ではないと思う。それが普通だったのだから仕方ないだろう。
「クレアなら理解してくれると思ったよ。今回は最低限の調査だけど、次は長期で滞在する可能性が高いし、もしかしたら騎士団に常駐してもらう可能性もあるかなぁ」
「えっ!?」
クレアは驚いている?
「ここに魔道具を設置して稼働させることになると思うし、そうなると魔道具の管理や保護の為に騎士団が常駐する可能性が高いと思うんだよね。
そうなると私も来ないとダメだろうし、そうなるとまた第7部隊に護衛をして貰いたいかなぁ」
「ほ、本当ですか!? もう少し訓練したいと思っていましたから嬉しいです!」
1日じゃ物足りないだろうしねぇ。
「でも、クレアには怪我して欲しくないから、次は地上で待ってもらいたいかなぁ?」
ちょっと、意地悪なことう言う。
「ダ、ダメです! 旦那様を守るのは私です!」
ふふふっ、可愛い事を言ってくれるねぇ。
「でもぉ、1人で寝るのは寂しいからなぁ。それなら男性騎士でも同じだし」
「そ、それもダメです。ダンジョンで、そ、そんな事するなんて聞いたことありません!」
私は立ち上がってクレアに近づくと、クレアは後ずさりする。
「でもぉ、この前もう……」
クレアの腕を掴んで後ろに下がれないようにする。
「あ、あれは旦那様が無理やり、ウグッ」
うん、キスすると応えてくれるねぇ~。
「ダ、ダメ、うっ、です。だ、旦那様。あっ!」
申し訳ありません。アタルはまだ新婚気分が抜けていません。
抵抗しながらも受け入れるクレアが愛おしくて、暴走してしまうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
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しかし、さすがに時間的にもダンジョン内という状況もあり、理性を総動員して我慢する。
そして朝早くから地上に向けて出発する。
驚いたことに護衛の皆さんの戦闘は、非常に洗練されていた。戦闘しながらも周囲の警戒をし、魔物を効率的に倒していく。
クレアは魔力量が増えたことで、戦闘中は常に身体強化を使って戦うようになり、オークをほとんど一撃で倒すようになっていた。
地上には5層で宿泊しただけで翌日にはダンジョンから出た。それも低階層は更に順調に進んだために、余裕で領都の屋敷に戻ることができる時間でだ。
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