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第4章 ダンジョン
第15話 調査結果と新たな任務
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護衛のみなさんがテントに戻って行くのを見送る。
ポンプで吸い上げた水を、亜空間からストレージに移すと、すでに検証で必要な量は十分にあるのを確認してポンプとホースを回収する。
自分のテントに移動するとスマートシステムを起動して検証を始める。
ストレージで採取した水はダンジョン水と表示されていた。
ダンジョン水?
大賢者の資料を検索すると情報はあったが『飲むと危険。魔力が多く含まれる』とだけしか情報はなかった。
スライム溶液で作ったコップにダンジョン水を入れて、机の上に出してみる。
水? 薬品? なんだ?
灯《ライト》の光で透かして見るが、濁っていて何故か青くキラキラ光るものが浮かんでいる。
コップを揺らしても少し粘り気のあるような、重たい感じがする。
うん、絶対に飲めるものではないな!
ストレージに戻して解析を掛けると、驚きの事実が判明する。
水分は50パーセント前後しかなく、30パーセント近くが魔砂で、残りが様々な金属などの物質が含まれていた。
魔砂? 聞いたことがあるようなぁ?
魔砂ぁぁぁぁぁ!
そう魔砂は魔石を砕いたもので、魔力が結晶化した物質である。
魔石を砕いてスライム溶液に混ぜれば魔法溶液になるのだが、魔砂にすると魔力に戻りやすく、気付くと消えて無くなることもあった。
そのため利用するときに魔石を砕いてすぐにスライム溶液に溶かすので、魔砂という名称を少しだけ覚えていた。
ダンジョン内の魔力が何かの理由で水に溶けて、結晶化したのだろうか?
魔砂が含まれる理由はいくら考えても、現状では答えが出ないだろうと結論をだす。
魔砂の活用法は色々あるなぁ。
そう考えると様々な可能性が頭の中に浮かぶ。
いや、その事を今は考えるな!
可能性が広がり過ぎて本来の目的を忘れそうになる。それをなんとか軌道修正して解析を進める。
水に含まれる金属や物質をざっと見てみてが、魔法金属が多いことに気付く。
これほどの魔砂が含まれる水と一緒なら、普通の金属が魔法金属に結果的になっても不思議ではないのかぁ。
本来の目的である塩について調べてみると、塩化ナトリウムが全体の10パーセント近く含まれていることが確認できた。
予想以上の塩濃度である。
すぐに錬金術で塩化ナトリウムを抽出して舐めてみる。
しょっぱい!
塩だから当然で食卓塩のように感じた。
う~ん、自然塩のような味に丸みがないかなぁ。
叡智アプリで地球のインターネットを調べて、含まれるミネラル?成分を参考に色々と味の調整をする。
最終的に良く味が分からなくなり、参考にした地球の塩と同じ成分で調整する。
これを『ダンジョン塩1号』と名付けよう!
塩化ナトリウムだけ抽出したものは『ダンジョン塩0号』とした。
2種類の塩を抽出する魔法陣をライブラリに登録する。
あとは塩を生成する魔道具を作るだけである。もう頭の中には既に完成形ができ上がっている。
元々ポンプを作る時に構想はできていた。しかし、魔力補給のできない状態でどれほどの塩が抽出できるかが、最大の問題だったのである。
それが魔砂という燃料まで抽出できるのである。自動で塩を大量に抽出し続ける魔道具が作れるはずである。
塩や魔砂、それ以外の成分を取り続けたら大丈夫なんだろうか?
塩が一時的に確保できるのと、恒久的に確保できるのでは、まるっきり意味が違ってくる。
ダンジョンとはいえ、永久に素材や原料を確保できるはずがない。
あれ、もしかして確保できるの?
その検証も必要かぁ~。
失敗ポーションを一口飲んでリフレッシュする。
そして思い出す。
あっ、検証中の石材などの素材を確認しないと!
既に深夜12時を過ぎようとしていた。
素材を確認しに、急いでテントを出るのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「うわぁ!」
テントを出ると思わず声をあげてしまった。
良く見ると灯《ライト》の光の中に、護衛のみんながテーブルを出して俯いて座っている姿だった。
勘弁してよぇ~。
私の声に反応して全員が立ち上がる。クレアが前に出てくる。
「アタル様、少しお時間を頂けないでしょうか? 忙しいようであれば幾らでもお待ちします」
え~と、そう言われて断れる人はいるのかなぁ?
「す、少し待ってもらえます」
「はい、幾らでも待ちます!」
素材の確認だけはしないと検証が進まない。
あれ、これは断ったのか?
そんな事を考えながら、石材などの素材を置いた場所で灯《ライト》を使う。
おぉ、スライム溶液最強は未だ継続中!
5時間ぐらいは経過したはずである。
これで明日の夜まで経過すれば最高なんだけどなぁ。
あっ、そうだ!
ついでにもうひとつ検証する。
スライム溶液を浸透させた石材を追加で床に置き、その上に普通に石材を置く。ついでに同じように石材を重ねて置き、更に普通の石材を置いておく。
予想以上に今回の調査は良い結果になりそうだと、にやけるのが抑えられない。
ニヤニヤ笑いながら戻ってくると、護衛のみなさんが立ち上がって俺を待っていた。
みんな深刻そうな表情で私を見つめている。
あっ、ちょっと恥ずかしい……。
そう思いながらも、クレアたちとしっかり話をしようと決意を固める。
◇ ◇ ◇ ◇
「すみません。お待たせしたようで」
きれいに全員が並びカルアさんとブリッサさん、クレアが前に立っている。
「いえ、お忙しいのに申し訳ありません!」
クレアは深刻な表情で真面目に答えくれる。
「それでどんな用件でしょうか?」
できるだけ真面目な表情で質問する。
「護衛対象のアタル様に大変失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした!」
「「「申し訳ありませんでした!」」」
反省はしているようだが、納得しているかはわからないなぁ。
「では私の言ったことを理解したのですか?」
「はい、全員が少し舞い上がっていたようです」
うん、みんな頷いているから最低限は理解してくれたんだろう。
「私も少し強く言いすぎました。しかし、先程は私が何を言っても納得する雰囲気が無かったので許してください」
「いえ、私は自分達だけで戦闘できることが嬉しくて、大切な任務を忘れていました!」
カルアさんも納得はしているようだ。
でも……。
「みなさんの任務は私の護衛ですが、ここなら護衛はほとんど必要ありません。
私はみなさんの気持ちはある程度理解できると思っています。ですが、みなさんは一番大切な事を忘れている。もしくは気が付いていない。それを理解して頂かないと困ります」
「はい、一番大切な護衛の任務を忘れていたようです」
クレアもかぁ……。
「勘違いしているようですね。一番大切な事は誰も死なない、怪我しないことです」
「えっ、はい、当然のことだと思います」
クレアが戸惑いながら返事をしたのだが、他のみんなも戸惑っているようだ。
はぁ~、わかってないなぁ!
「第7部隊だけでダンジョン任務をするのは初めてですよね?」
「はい、任務としても訓練でも初めてです!」
クレア、それが分かっていてなぜ気が付かない!
「その初めての任務で死人がでたり、怪我人がでたりしたら、どうなりますか?」
「はい、それは……、あっ、第7部隊単独の任務は……」
やっと気が付いたのかぁ……。
他のみんなも気が付いたようだ。
「あなた達は、第7部隊の代表としてここに居るのです! だからこそ今回は絶対に死傷者は出してはダメなんです!」
やっと本当に納得してくれたようだ。
「今回は特に完璧に任務を終わらせないといけない……」
クレアが呟くように話すと全員が頷いている。
「10層までの戦闘で、私が提供した武器以外で、それほど余裕に戦えますか?」
「「「………」」」
「魔物を倒すときに、効率的で安全な戦いをしましたか?」
「「「………」」」
「他の隊員を連れてきたことを考えていましたか?」
「「「………」」」
「あなた達の行動が、第7部隊の未来を決めることになると理解していますか?」
「「「………」」」
「私は騎士団のことや戦闘のことは良く分かりません。しかし、あなた達だけで私の護衛をハロルド様が任したということは、第7部隊でも信頼できて、これから部隊の者を指導するような立場になる人じゃないのですか?」
「「「………」」」
「クレア、新たな任務を与えます!」
「は、はい!」
「私の護衛は各班の班長1名と他2名を交代でするように調整をお願いします」
「はい!」
「私が調査している間に、ボス部屋の魔物との戦闘を、全員に経験させなさい!」
「えっ、は、はい」
「余裕のある体制で、9層の魔物と戦闘の経験もさせて下さい。戦闘は効率よく安全に戦闘できるよう検討して下さい」
「はい!」
「必ず後で話し合いもしてください。反省や問題の洗い出し、今後の課題や改善点などを話し合って下さい!」
「はい!」
「最優先事項は死なない怪我しないです。よろしいですね!」
「はい!」
「他のみんなもよろしいですね!」
「「「はい!」」」
「あぁ~、あと夜はしっかり寝て下さいね」
「「「はい!」」」
私の気持ちは伝わったと思う。
これでダメなら仕方がないと考えてテントに戻るのだった。
ポンプで吸い上げた水を、亜空間からストレージに移すと、すでに検証で必要な量は十分にあるのを確認してポンプとホースを回収する。
自分のテントに移動するとスマートシステムを起動して検証を始める。
ストレージで採取した水はダンジョン水と表示されていた。
ダンジョン水?
大賢者の資料を検索すると情報はあったが『飲むと危険。魔力が多く含まれる』とだけしか情報はなかった。
スライム溶液で作ったコップにダンジョン水を入れて、机の上に出してみる。
水? 薬品? なんだ?
灯《ライト》の光で透かして見るが、濁っていて何故か青くキラキラ光るものが浮かんでいる。
コップを揺らしても少し粘り気のあるような、重たい感じがする。
うん、絶対に飲めるものではないな!
ストレージに戻して解析を掛けると、驚きの事実が判明する。
水分は50パーセント前後しかなく、30パーセント近くが魔砂で、残りが様々な金属などの物質が含まれていた。
魔砂? 聞いたことがあるようなぁ?
魔砂ぁぁぁぁぁ!
そう魔砂は魔石を砕いたもので、魔力が結晶化した物質である。
魔石を砕いてスライム溶液に混ぜれば魔法溶液になるのだが、魔砂にすると魔力に戻りやすく、気付くと消えて無くなることもあった。
そのため利用するときに魔石を砕いてすぐにスライム溶液に溶かすので、魔砂という名称を少しだけ覚えていた。
ダンジョン内の魔力が何かの理由で水に溶けて、結晶化したのだろうか?
魔砂が含まれる理由はいくら考えても、現状では答えが出ないだろうと結論をだす。
魔砂の活用法は色々あるなぁ。
そう考えると様々な可能性が頭の中に浮かぶ。
いや、その事を今は考えるな!
可能性が広がり過ぎて本来の目的を忘れそうになる。それをなんとか軌道修正して解析を進める。
水に含まれる金属や物質をざっと見てみてが、魔法金属が多いことに気付く。
これほどの魔砂が含まれる水と一緒なら、普通の金属が魔法金属に結果的になっても不思議ではないのかぁ。
本来の目的である塩について調べてみると、塩化ナトリウムが全体の10パーセント近く含まれていることが確認できた。
予想以上の塩濃度である。
すぐに錬金術で塩化ナトリウムを抽出して舐めてみる。
しょっぱい!
塩だから当然で食卓塩のように感じた。
う~ん、自然塩のような味に丸みがないかなぁ。
叡智アプリで地球のインターネットを調べて、含まれるミネラル?成分を参考に色々と味の調整をする。
最終的に良く味が分からなくなり、参考にした地球の塩と同じ成分で調整する。
これを『ダンジョン塩1号』と名付けよう!
塩化ナトリウムだけ抽出したものは『ダンジョン塩0号』とした。
2種類の塩を抽出する魔法陣をライブラリに登録する。
あとは塩を生成する魔道具を作るだけである。もう頭の中には既に完成形ができ上がっている。
元々ポンプを作る時に構想はできていた。しかし、魔力補給のできない状態でどれほどの塩が抽出できるかが、最大の問題だったのである。
それが魔砂という燃料まで抽出できるのである。自動で塩を大量に抽出し続ける魔道具が作れるはずである。
塩や魔砂、それ以外の成分を取り続けたら大丈夫なんだろうか?
塩が一時的に確保できるのと、恒久的に確保できるのでは、まるっきり意味が違ってくる。
ダンジョンとはいえ、永久に素材や原料を確保できるはずがない。
あれ、もしかして確保できるの?
その検証も必要かぁ~。
失敗ポーションを一口飲んでリフレッシュする。
そして思い出す。
あっ、検証中の石材などの素材を確認しないと!
既に深夜12時を過ぎようとしていた。
素材を確認しに、急いでテントを出るのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「うわぁ!」
テントを出ると思わず声をあげてしまった。
良く見ると灯《ライト》の光の中に、護衛のみんながテーブルを出して俯いて座っている姿だった。
勘弁してよぇ~。
私の声に反応して全員が立ち上がる。クレアが前に出てくる。
「アタル様、少しお時間を頂けないでしょうか? 忙しいようであれば幾らでもお待ちします」
え~と、そう言われて断れる人はいるのかなぁ?
「す、少し待ってもらえます」
「はい、幾らでも待ちます!」
素材の確認だけはしないと検証が進まない。
あれ、これは断ったのか?
そんな事を考えながら、石材などの素材を置いた場所で灯《ライト》を使う。
おぉ、スライム溶液最強は未だ継続中!
5時間ぐらいは経過したはずである。
これで明日の夜まで経過すれば最高なんだけどなぁ。
あっ、そうだ!
ついでにもうひとつ検証する。
スライム溶液を浸透させた石材を追加で床に置き、その上に普通に石材を置く。ついでに同じように石材を重ねて置き、更に普通の石材を置いておく。
予想以上に今回の調査は良い結果になりそうだと、にやけるのが抑えられない。
ニヤニヤ笑いながら戻ってくると、護衛のみなさんが立ち上がって俺を待っていた。
みんな深刻そうな表情で私を見つめている。
あっ、ちょっと恥ずかしい……。
そう思いながらも、クレアたちとしっかり話をしようと決意を固める。
◇ ◇ ◇ ◇
「すみません。お待たせしたようで」
きれいに全員が並びカルアさんとブリッサさん、クレアが前に立っている。
「いえ、お忙しいのに申し訳ありません!」
クレアは深刻な表情で真面目に答えくれる。
「それでどんな用件でしょうか?」
できるだけ真面目な表情で質問する。
「護衛対象のアタル様に大変失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした!」
「「「申し訳ありませんでした!」」」
反省はしているようだが、納得しているかはわからないなぁ。
「では私の言ったことを理解したのですか?」
「はい、全員が少し舞い上がっていたようです」
うん、みんな頷いているから最低限は理解してくれたんだろう。
「私も少し強く言いすぎました。しかし、先程は私が何を言っても納得する雰囲気が無かったので許してください」
「いえ、私は自分達だけで戦闘できることが嬉しくて、大切な任務を忘れていました!」
カルアさんも納得はしているようだ。
でも……。
「みなさんの任務は私の護衛ですが、ここなら護衛はほとんど必要ありません。
私はみなさんの気持ちはある程度理解できると思っています。ですが、みなさんは一番大切な事を忘れている。もしくは気が付いていない。それを理解して頂かないと困ります」
「はい、一番大切な護衛の任務を忘れていたようです」
クレアもかぁ……。
「勘違いしているようですね。一番大切な事は誰も死なない、怪我しないことです」
「えっ、はい、当然のことだと思います」
クレアが戸惑いながら返事をしたのだが、他のみんなも戸惑っているようだ。
はぁ~、わかってないなぁ!
「第7部隊だけでダンジョン任務をするのは初めてですよね?」
「はい、任務としても訓練でも初めてです!」
クレア、それが分かっていてなぜ気が付かない!
「その初めての任務で死人がでたり、怪我人がでたりしたら、どうなりますか?」
「はい、それは……、あっ、第7部隊単独の任務は……」
やっと気が付いたのかぁ……。
他のみんなも気が付いたようだ。
「あなた達は、第7部隊の代表としてここに居るのです! だからこそ今回は絶対に死傷者は出してはダメなんです!」
やっと本当に納得してくれたようだ。
「今回は特に完璧に任務を終わらせないといけない……」
クレアが呟くように話すと全員が頷いている。
「10層までの戦闘で、私が提供した武器以外で、それほど余裕に戦えますか?」
「「「………」」」
「魔物を倒すときに、効率的で安全な戦いをしましたか?」
「「「………」」」
「他の隊員を連れてきたことを考えていましたか?」
「「「………」」」
「あなた達の行動が、第7部隊の未来を決めることになると理解していますか?」
「「「………」」」
「私は騎士団のことや戦闘のことは良く分かりません。しかし、あなた達だけで私の護衛をハロルド様が任したということは、第7部隊でも信頼できて、これから部隊の者を指導するような立場になる人じゃないのですか?」
「「「………」」」
「クレア、新たな任務を与えます!」
「は、はい!」
「私の護衛は各班の班長1名と他2名を交代でするように調整をお願いします」
「はい!」
「私が調査している間に、ボス部屋の魔物との戦闘を、全員に経験させなさい!」
「えっ、は、はい」
「余裕のある体制で、9層の魔物と戦闘の経験もさせて下さい。戦闘は効率よく安全に戦闘できるよう検討して下さい」
「はい!」
「必ず後で話し合いもしてください。反省や問題の洗い出し、今後の課題や改善点などを話し合って下さい!」
「はい!」
「最優先事項は死なない怪我しないです。よろしいですね!」
「はい!」
「他のみんなもよろしいですね!」
「「「はい!」」」
「あぁ~、あと夜はしっかり寝て下さいね」
「「「はい!」」」
私の気持ちは伝わったと思う。
これでダメなら仕方がないと考えてテントに戻るのだった。
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★☆ 書籍化したこちらもヨロシク! ☆★
★☆★☆★☆ 『転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。』 ☆★☆★☆★
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