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第3章 大賢者の遺産
第18話 冒険者ギルド
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ワルジオが冒険者ギルドを出た後まで少し戻る。
司祭のワルジオが帰った冒険者ギルドのギルドマスターの執務室では、ギルドマスターのアラゴとサブマスターのエウスコは頭を抱えていた。
「アラゴ様、これでは冒険者からの突き上げが来ますよ」
「そんな事はわかってる!」
最近は孤児院のガキ共が薬草を納品しなくなり、教会の要求する量が納品できなくなった。
司祭のワルジオからその事を追求され、領主からの依頼で孤児院のガキ共が納品しなくなったことを説明した。
しかし、そんな事は教会に関係無いと言われ、ポーションの割り当てを100本から30本にして、価格も金貨3枚に値上げすると言ったきたのだ。
冒険者は、ポーションが少なくなれば命の危険が高くなり、無理な依頼は受けなくなり、収入が減る事になる。そうなればギルドに文句を言うに決まっている。
そんな事をサブマスターのエウスコが考えているとアラゴが続けて話をする。
「冒険者の連中は文句を言わせておけば良いさ。問題は素材が入荷しなくなれば売り上げも落ちる。そうなれば本部から能無しと思われ、何処に左遷させられるかわからん!」
本部とは王都にある、この国の冒険者ギルドの本部の事である。アラゴの言う通りである。
「問題はこの状態が続くことです。短期間なら誤魔化しもできますが、長期になれば間違いなく左遷になってしまいます!」
二人は8ヶ月前に本部から派遣され、エルマイスター領にあるダンジョンの管理と収益の強化をするように派遣されてきたのである。
派遣されてから、実質的には支部の売り上げは落ちているが、領から依頼されているダンジョン管理費でやるべき、魔物の間引きの依頼を発注しないで、そのままギルドの利益にしていた。
それ以外にも、領主のハロルドにお願いして、ダンジョン前の入り口付近に商店を開くお願いをしたが、断られてしまったのにアラゴの指示で勝手に店を開き始めていた。
開いた店の売り上げの一部を冒険者ギルドで勝手に徴収して、支部の利益に計上していたのだった。
本部でエルマイスター領の話を聞いたときは簡単に事が進み、売り上げが上がることは簡単だと思っていた。
しかし、予想以上にハロルドが頑固で冒険者ギルドの提案は通らず、ギルドマスターのアラゴが追い詰められて、次々と不味い状況になっていたのだ。
「孤児院の院長に話して冒険者ギルドに納品するように出来ないのか!」
「む、無理です。昨日役人が来て、孤児達からの買取が不当に安くしていたのではないかと、調査をするように言われたのですよ!」
エウスコの話はもちろん報告を受けていたが、これでは自分たちの立場が不味い事になる。
「ガキ共を脅してギルドに納品させれば良い。通常の価格で買い取れば文句もないだろう」
「しかし、領主の依頼を孤児たちが断れば、調査される可能性がありますよ?」
「その時は勝手に孤児たちが持ち込んだと話して、ついでに買取価格も問題ないと誤魔化せば大丈夫だよ!」
エウスコは全然大丈夫とは思えなかった。
アラゴは元A級の冒険者で頼りになると思っていたが、ただ何も考えず強引に物事を進めるだけの愚か者で、状況は悪くなる一方である。
正直、アラゴにすべての責任を押し付けて、逃げ出したいと考えていたエウスコだったが、今さら引き返せない所まで来ていると諦めるしかなかった。
「誰を使いますか?」
「そうだな、……『ドラゴンの咆哮』にやらせよう」
「ほ、本当ですか!?」
『ドラゴンの咆哮』はDランク冒険者4人のパーティーである。
名前は勇ましいが実力が伴っていないパーティーで、見た目だけ厳つい感じの王都から連れてきたパーティーであった。
彼らはこの町に来てからも何度も問題を起こしていたが、相手は普通の平民ばかりで、暴力で相手を黙らせるような荒っぽい連中である。
平気で犯罪まがいの事もやってくれるので時には役に立つが、我々が付いていると思って、最近はやり過ぎる事がある連中である。
「まあ、脅しは得意だし、最近は問題もよく起こすから、最悪見捨てれば良いから丁度良い」
エウスコはだからこそ危険だと思っていた。
「やり過ぎると騎士団が出て来ることも考えられます。もう少し考えて対処できる、」
「大丈夫だ! 冒険者ギルドは国とは関係ない中立な組織だ。あのハロルド様でも簡単に手を出してこれないさ。もし何かしてくれば、本部が黙っていないから大丈夫だ!」
いくら中立な組織とはいえ、彼らがやり過ぎて捕まるような事があれば、庇う事は出来ないし、ギルドの関与を証言されても不味い事になると思うエウスコだった。
エウスコは暫くアラゴの説得をするが、追い詰められて焦っている彼は話を聞いてくれない。
アラゴに命令されて『ドラゴンの咆哮』を呼びに行きながら、ハロルドの事を思い出し、何とかなると前向きに考えるのであった。
ハロルドは昔戦争で将軍として参戦していたことは有名な話である。
将軍なのに先頭に立って戦場を駆け巡り、狂った様に大剣を振り回す姿から『クレイジーオーガ』と敵からは恐れられていた。
しかし、それは何十年も昔の話で、エウスコの会ったハロルドは、豪快な感じはするが人の良さそうな年寄りとしか見えなかったので、油断しているのであった。
一階の受付とは反対にある酒場に『ドラゴンの咆哮』は居た。
4人全員が酔っぱらっていたが、ギルドマスターが呼んでいると伝えると、嬉しそうな顔ですぐに着いて来る。
彼らはギルドマスターに呼ばれると、いつも美味しい仕事が回って来るので喜ぶのだろう。
ギルドマスターの執務室で仕事の内容を聞いた彼らは、更に嬉しそうな顔をする。子供を脅すだけの簡単な仕事と思っているのだろう。
ギルドマスターが彼らに金貨1枚ずつ渡し、私が騎士団には絶対見つからないように話すが、彼らは碌にエウスコの話を聞くことがなかった。
エウスコは翌日の午後に、領主と騎士団がギルドに来たと報告を受け、彼らにもっと厳しく忠告しなかったことを悔やむのだった。
司祭のワルジオが帰った冒険者ギルドのギルドマスターの執務室では、ギルドマスターのアラゴとサブマスターのエウスコは頭を抱えていた。
「アラゴ様、これでは冒険者からの突き上げが来ますよ」
「そんな事はわかってる!」
最近は孤児院のガキ共が薬草を納品しなくなり、教会の要求する量が納品できなくなった。
司祭のワルジオからその事を追求され、領主からの依頼で孤児院のガキ共が納品しなくなったことを説明した。
しかし、そんな事は教会に関係無いと言われ、ポーションの割り当てを100本から30本にして、価格も金貨3枚に値上げすると言ったきたのだ。
冒険者は、ポーションが少なくなれば命の危険が高くなり、無理な依頼は受けなくなり、収入が減る事になる。そうなればギルドに文句を言うに決まっている。
そんな事をサブマスターのエウスコが考えているとアラゴが続けて話をする。
「冒険者の連中は文句を言わせておけば良いさ。問題は素材が入荷しなくなれば売り上げも落ちる。そうなれば本部から能無しと思われ、何処に左遷させられるかわからん!」
本部とは王都にある、この国の冒険者ギルドの本部の事である。アラゴの言う通りである。
「問題はこの状態が続くことです。短期間なら誤魔化しもできますが、長期になれば間違いなく左遷になってしまいます!」
二人は8ヶ月前に本部から派遣され、エルマイスター領にあるダンジョンの管理と収益の強化をするように派遣されてきたのである。
派遣されてから、実質的には支部の売り上げは落ちているが、領から依頼されているダンジョン管理費でやるべき、魔物の間引きの依頼を発注しないで、そのままギルドの利益にしていた。
それ以外にも、領主のハロルドにお願いして、ダンジョン前の入り口付近に商店を開くお願いをしたが、断られてしまったのにアラゴの指示で勝手に店を開き始めていた。
開いた店の売り上げの一部を冒険者ギルドで勝手に徴収して、支部の利益に計上していたのだった。
本部でエルマイスター領の話を聞いたときは簡単に事が進み、売り上げが上がることは簡単だと思っていた。
しかし、予想以上にハロルドが頑固で冒険者ギルドの提案は通らず、ギルドマスターのアラゴが追い詰められて、次々と不味い状況になっていたのだ。
「孤児院の院長に話して冒険者ギルドに納品するように出来ないのか!」
「む、無理です。昨日役人が来て、孤児達からの買取が不当に安くしていたのではないかと、調査をするように言われたのですよ!」
エウスコの話はもちろん報告を受けていたが、これでは自分たちの立場が不味い事になる。
「ガキ共を脅してギルドに納品させれば良い。通常の価格で買い取れば文句もないだろう」
「しかし、領主の依頼を孤児たちが断れば、調査される可能性がありますよ?」
「その時は勝手に孤児たちが持ち込んだと話して、ついでに買取価格も問題ないと誤魔化せば大丈夫だよ!」
エウスコは全然大丈夫とは思えなかった。
アラゴは元A級の冒険者で頼りになると思っていたが、ただ何も考えず強引に物事を進めるだけの愚か者で、状況は悪くなる一方である。
正直、アラゴにすべての責任を押し付けて、逃げ出したいと考えていたエウスコだったが、今さら引き返せない所まで来ていると諦めるしかなかった。
「誰を使いますか?」
「そうだな、……『ドラゴンの咆哮』にやらせよう」
「ほ、本当ですか!?」
『ドラゴンの咆哮』はDランク冒険者4人のパーティーである。
名前は勇ましいが実力が伴っていないパーティーで、見た目だけ厳つい感じの王都から連れてきたパーティーであった。
彼らはこの町に来てからも何度も問題を起こしていたが、相手は普通の平民ばかりで、暴力で相手を黙らせるような荒っぽい連中である。
平気で犯罪まがいの事もやってくれるので時には役に立つが、我々が付いていると思って、最近はやり過ぎる事がある連中である。
「まあ、脅しは得意だし、最近は問題もよく起こすから、最悪見捨てれば良いから丁度良い」
エウスコはだからこそ危険だと思っていた。
「やり過ぎると騎士団が出て来ることも考えられます。もう少し考えて対処できる、」
「大丈夫だ! 冒険者ギルドは国とは関係ない中立な組織だ。あのハロルド様でも簡単に手を出してこれないさ。もし何かしてくれば、本部が黙っていないから大丈夫だ!」
いくら中立な組織とはいえ、彼らがやり過ぎて捕まるような事があれば、庇う事は出来ないし、ギルドの関与を証言されても不味い事になると思うエウスコだった。
エウスコは暫くアラゴの説得をするが、追い詰められて焦っている彼は話を聞いてくれない。
アラゴに命令されて『ドラゴンの咆哮』を呼びに行きながら、ハロルドの事を思い出し、何とかなると前向きに考えるのであった。
ハロルドは昔戦争で将軍として参戦していたことは有名な話である。
将軍なのに先頭に立って戦場を駆け巡り、狂った様に大剣を振り回す姿から『クレイジーオーガ』と敵からは恐れられていた。
しかし、それは何十年も昔の話で、エウスコの会ったハロルドは、豪快な感じはするが人の良さそうな年寄りとしか見えなかったので、油断しているのであった。
一階の受付とは反対にある酒場に『ドラゴンの咆哮』は居た。
4人全員が酔っぱらっていたが、ギルドマスターが呼んでいると伝えると、嬉しそうな顔ですぐに着いて来る。
彼らはギルドマスターに呼ばれると、いつも美味しい仕事が回って来るので喜ぶのだろう。
ギルドマスターの執務室で仕事の内容を聞いた彼らは、更に嬉しそうな顔をする。子供を脅すだけの簡単な仕事と思っているのだろう。
ギルドマスターが彼らに金貨1枚ずつ渡し、私が騎士団には絶対見つからないように話すが、彼らは碌にエウスコの話を聞くことがなかった。
エウスコは翌日の午後に、領主と騎士団がギルドに来たと報告を受け、彼らにもっと厳しく忠告しなかったことを悔やむのだった。
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