スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第1章 異世界確認

第3話 命の危機!

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基本的なスキルの検証をして、身体強化で逃走することが出来そうだと想定はした。ポーションを作成したので怪我をしても、回復方法の目途も出来た。

次は逃げれないことも考えると、やはり最低限の攻撃手段が必要だと考える。

武器を練習してみるかぁ。

ストレージから剣を取り出してみる。
想像以上に思ったより重量はあるが、片手で振ってみたが身体強化のお陰なのか問題なく振ることは出来た。

記憶にある剣道の真似事をしてみるが、ハッキリ言って違和感しかない。どう考えてもこれで生き物を殺すことなど出来そうにない。

剣をストレージに収納すると、今度は槍を出してみる。
槍を構えて突き出してみるが、やはり違和感しかない。振り回してみるが知識もないので、変な踊りでもしている感じになってしまう。

他にも神々に用意して貰った武器を試すが、一番しっくり来たのは鉈であった。
でも生き物を殺すためと言うより、雑木林の整備で使っていただけなので、細い木や枝を切ることは出来るが、それ以上は難しそうだ。

やはり武器を持って戦闘するなど無理そうだし、やりたいとも思わない。

どうせ武術も初めてなら、魔法で挑戦してみるかぁ。


竈の修復に土魔法を使った時に、この世界の魔法はイメージすれば、どんな魔法でもイメージ通り作れそうだ。もちろんレベルに応じて出来ることの制限はありそうだ。

まずは目の前に意識を集中して石の塊を出そうとイメージする。
大量に魔力を消費するのがハッキリとわかる。思ったより簡単に目の前に拳大の大きさの石が魔法陣の上に実体化する。しかし、気を抜いた拍子に石は地面に落ちて砕けると砂になってしまい、すぐに実体化が解けてしまう。

魔法で作った物質は予想より脆い事や、すぐに消えてしまう事が判明した。さらに消える時に赤い靄のようなものに変化した事も判明した。

それから何度も作って検証してみる。出来るだけ圧縮して強度をあげたり、形を銃弾のようにしたりする。その時に表示される魔法陣をスマートシステムの『記録』アプリの『写真』で撮影して記録する。

撮影した魔法陣を分析して、圧縮率の変更や形の成型を魔法陣にどう反映させるか解析して、理想的な弾丸を作る魔法陣を完成させる。

やたら空腹を感じたのでMPの残量を確認すると、残り3割ほどまで魔力が減っていた。

果物の盛り合わせをストレージから出して食べながら、予想以上に魔力効率が悪いと感じた。理想的な弾丸を作るだけで、このMP消費力だとすると、この弾丸を発射するとあとどれくらいMPが必要になるのか不安になる。

MPが9割ぐらいまで回復したので建物を出て、道の反対側にある草原に向かって、弾丸を撃ちだすイメージで魔法を発動する。

弾丸は草原までは届いたが、すぐに失速して地面に落ちてしまう。更に早く撃ちだすイメージで何度も試して、魔法陣の速度を早くする部分が判明する。

しかし早く撃ちだすことは出来るが、飛距離は思ったほど伸びないし、予想以上にMPが消費してしまう。

やはり銃弾なら回転を与えてやろうと考えて撃ちだすと、弾丸スピードも直進性も非常に良くなる。

更に細かく分析しようと『魔力感知』を常時起動にすると、視界が一変する。世界が赤い霧の中にいるようになり、部分的に濃い部分が有ったりする。

この赤いのが、たぶん魔力なんだろうな。

その状態で弾丸を撃とうとすると、狙いをつけた指先から赤い魔力が噴き出すように出て魔法陣を形作ると、更に魔法陣から赤い魔力が噴き出して弾丸を形成すると、赤い渦を作って弾丸が撃ちだされる。

何度か試して確認していると、元々漂っている魔力を利用できないかと考え始める。

今度は空気中に漂う魔力を利用するイメージで弾丸を発射すると、狙い通りに魔法陣に空気中の魔力が流れ込むのが確認でき、3割ほど消費魔力を減らすことが出来た。

それから様々な工夫をして何種類かの魔法陣を完成させる。

『軽魔弾』 … 威力弱、射程10メル、連射0.5秒(1)、MP200
『中魔弾』 … 威力中、射程15メル、連射1.5秒(3)、MP500
『重魔弾』 … 威力強、射程20メル、連射3.0秒(8)、MP1000
『遠魔弾』 … 威力豪、射程50メル、連射9.9秒(30)、MP3000

威力や連射性、消費魔力を考えて実戦で試してみないと効果は良く分からない。空気中の魔力を利用する『軽魔弾改』のMP消費量は半分になるが、連射するのに(1)秒必要になるので連射性は落ちる。

実戦で試す前に属性を火の属性にして試してみる事にする。魔法陣を『記録』から『メモ』に転写して編集していく。『軽魔弾』を火属性に変更する。

火属性の『軽魔弾』を撃ちだそうとすると、頭に激痛が走った。

一瞬で意識が暗くなるように暗転して、建物の入り口付近に倒れてしまった。


どれくらい意識を失っていたのかわからないが、目を開こうとすると頭が痛くて目を開ける事が出来ない。

目を開くことなくスマートシステムを開いてステータス確認すると、HP11と相当減っている。

もしかして、これでも回復したのか?

ポーションを飲もうと思うが、手を動かすことが出来ない。

口の中にポーションを直接出せないかな?

試してみるとポーションは出せたが、大半は口から漏れてしまったし、飲み込もうとすると頭に激痛が走った。それでも無理やり飲み込むと、少し頭痛が治まった。

何度も繰り返すうちに目が開けられるようになり、次に起き上がれるようになると、普通にポーションを飲めるようになると、すぐに体調が良くなる。

すでに周りは真っ暗になっていたので、灯《ライト》を使い建物の中に入ると、テーブルに座って気持ちを落ち着かせる。

テーブルの上に手を置いていたが、ブルブルと震えている。

意識が無くなる寸前に視界が真っ暗になり、頭が割れてしまったと感じるほどの痛みの中で、間違いなく死を感じていた。

意識が戻った後も、ただひたすらに死にたくないという思いで、必死に回復手段を模索して実行した。

胸いっぱいに息を吸い込み、思いっきり息を吐きだすと、少し落ち着いて来る。

よく見ると視界の下の方に、

『神託にメッセージが届きました。(4)』

と表示されていた。

叱られそうだよなぁ……。


転子(転生の女神):
──────────────────────────────

お・ろ・か・も・のぉーーーーー!

──────────────────────────────

みこと♪(生命の女神):
──────────────────────────────

あなたは転生して1日も経っていないのに、

死にたいのですかぁーーーーー?

あなたは馬鹿ですか!?

命は大切にしてください!

──────────────────────────────

転子(転生の女神):
──────────────────────────────

禁忌を犯すなぁーーーーー!

──────────────────────────────

まぁーこ(魔の女神):
──────────────────────────────

所持していない属性魔法スキルを無理に利用する事は禁忌となる行為です。
絶対に侵してはならない行為になります。
耐性スキルがなければ即死していたでしょう。

まさか禁忌を侵す行為が可能だった事の方が驚きです!

──────────────────────────────


相当危険な行為だったようだ。
システム開発でも予想外のバグは発生するものだが、さすがに命の危険はなかった。

まぁ、原発とかのシステムなら危険かもなぁ。

精神的に疲れたし、今日はもう寝よう!
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