転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟

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6巻

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 第1話 妖精ようせい寝床ねどこ



 俺、テンマは王都に入るための検問を待ちながら、感慨かんがいひたっていた。
 だってここに来るまで、本当に長かったのだ。


 三十三歳で命を落とした俺は、十四歳の少年として、日本から異世界へと転生させられた。
 とはいえ、それまでにも結構な苦労をしたんだよな。
 というのも、転生者は転生前に簡単に死なないための研修を受けなくてはならないという決まりがあったのだ。
 元々研修期間は三ヶ月と聞かされていたが……実際に終わったのは、なんと十五年後。俺の研修を管理していた女神のミスが原因だったらしい。しかし、その十五年は無駄むだではなかった。前世のゲーム知識ちしきを活かして訓練に明け暮れていたために、ステータスが桁外けたはずれの数値になったのだから。
 ともあれ、どうにか研修が終わり、俺はテラスという名前の世界にある辺鄙へんぴな村・開拓村の付近に放り出された。
 開拓村に身を寄せ、一ヶ月半くらいのんびりした生活を送っていた俺だったが……村に住む狐獣人きつねじゅうじんの美少女・ミーシャとともに、なぜか冒険者になることに。
 とはいえ、各国をめぐるわけでもなく、しばらくは辺境の町・ロンダでらしていたんだけどな。
 ロンダから出られなくなった最大の理由は、仲間が増えたことだ。
 人間族と兔獣人うさぎじゅうじんのハーフであるジジとピピ姉妹しまい。国の中でも指折りの魔術師で、ロンダの魔術ギルドのギルマスを務めていた上に英雄とまで呼ばれるドロテアさん。そしてその姪孫てっそんでありロンダの領主であるアルベルトさんの娘のアーリン。あとはドロテアさんの元冒険者仲間で、優秀ゆうしゅうだがアブナイ趣味しゅみを持つバルドーさん。そして、最近では俺の研修の設定をミスったことで神格を剥奪はくだつされ、この世界にやってきた元女神のアンナも仲間になったんだよな。
 もっとも彼女は、正式には責任を取る意味で俺の眷属けんぞくになっているわけだが。
 ともあれ、俺の知識を活かした『テンマ式研修』でみんなのステータスを育成したり、はたまた遊んだり。そんなことをしているうちに、なんだかロンダに居着いてしまったってわけだ。
 とはいえ町に住んでいたというよりは、空間を複製ふくせい出来る魔術――ディメンションエリアを用いて生成した、どこでも研修施設――どこけん内に建てたどこでも自宅内で暮らしていた、と言った方が実態には近い。
 どこ研には豪華ごうかな部屋や工房、プールまであって、かなり便利なのだ。
 でも、そこに入り浸って異世界を見て回らないのももったいない。
 そんなわけで、俺は仲間達とともに道や中継地を作りつつ、王都を目指すことにした。
 アーリンだけは、諸般の事情で別行動をしているが。
 しかしその道中も、一癖ひとくせも二癖もある仲間達のせいで、トラブルだらけだった。
 この間だって、A級冒険者パーティ・妖精の守り人ピクシーガーディアンに突然おそわれたわけだし。
 この辺りに異変がないか調べるよう依頼されていた彼らは見慣れぬ街(俺からしたらただの中継地なのだが)が前触れもなくできたことをいぶかしみ、中継地の門を叩いた。
 その対応に当たったのは、ピピ、ミーシャ、ドロテア、シル、ハル。
 ドロテアさん達は認識阻害にんしきそがいの仮面をつけていて、かつ俺の従魔のシルバーウルフ・シルや、ロンダ付近のダンジョンで出会ったピクシードラゴンのハルと念話で話していた。
『魔族は魔物と会話できる』と伝説や物語上では語られている。妖精の守り人は五人を魔族と魔物の集団だと勘違かんちがいして、攻撃を仕掛けた、という話らしい。
 また、妖精の守り人のリーダーのバルガスの妻であり、パーティメンバーでもあるマリアさんは石化ののろいを受けている。早く依頼を終えて帰りたいがために焦っていたことも、勘違いに拍車をかけた。そして、バルガスとマリアさんはともにドロテアさんの元冒険者仲間なんだとか……。
 ドロテアさんが彼らを忘れていなければ……とは思ったものの、今更言ってもせんない話。
 結局ドロテアさんへのばつは遊び道具を没収ぼっしゅうするだけに留め、アンナにマリアさんを解呪かいじゅさせた上で、妖精の守り人には三ヶ月の強制労働を命じることにした。
 そんなわけで、バルガス、マリアさん、ミイにタクト、ジュビロとリリアという、妖精の守り人の面々も加え、王都へ向かうことに。
 それ以降も貴族のゴタゴタに巻き込まれかけるなど、色々なことがあったが……ひとまず、こうしてここまで辿たどり着けて、本当に良かった。


 検問を終えて、王都の門をくぐる。
 王都には、予想より簡単に入ることができた。
 妖精の守り人が護衛ごえいしているのもあるが、なんと言ってもバルドーさんの存在は大きかった。
 彼はかなりのやり手で、各所とパイプがあるため、信用されているのだ。バルドーさんの存在に気付いた門番が、すぐに上司を呼びに行き、ろくな確認もなく通してくれるほどには。
 タクトとジュビロがあやつる馬車に乗って、『妖精の寝床』へ向かう。
 妖精の寝床は、マリアさんの妹さんがいとなむ宿である。
 とはいえ実質的なオーナーはマリアさんで、昔から彼女と付き合いのある人だけが宿泊するような感じの、極めて私的な運用がなされている。
 だからしばらくは妖精の寝床を貸し切るような形で、宿泊させてもらうことになった。
 ちなみに、馬をぎょしているタクトとジュビロの顔色は悪い。
 しつけきびしい祖母のメアリさんに会うのを恐れているのだろう。
 俺は王都の街並みをながめて、素直すなおに感動していた。
 人通りの多さがすごく、初めて見る種類の獣人もいる。
 商店や屋台も結構数があって、見たことのない食べ物や商品がずらりと並んでいた。
 横を見ると、俺と同じく王都を初めて訪れたジジにピピ、ミーシャも目の前の光景に目をかがやかせている。
 かつて、マリアさんを治療する目的やバルドーさんを送る目的で、空を飛んで何度か王都を訪れていた。
 ただ、そのときは目立たないように路地裏や建物の屋上に降りただけで、ゆったり街並みを見る余裕なんてなかったのだ。
 う~ん、王都を見て回るだけで何日必要かなぁ?
 馬車を降り、歩いてじっくりと見て回りたいが、ひとまずは妖精の寝床へ向かうのが先決だと自分に言い聞かせて我慢がまんする。
 そして、視線を馬車の前方へと移す。
 馬車の前を、バルガスとシルが先導している。王都でも有名なバルガスが連れて歩けば、めずらしい上に強いシルバーウルフがいても騒がれすぎないだろうという判断だ。
 その目論見もくろみ通り、シルを怖がる人はいなかった。
 どころか、真っ白でモフモフの毛並みには、街行く人の好意的な目が向けられている。
 ……まるで自分の従魔のように自慢気にシルを連れて歩くバルガスにちょっとムカつくが、我慢我慢。
 馬車は大通りを抜け、小道に入り――気付くと、妖精の寝床の前に到着していた。
 すぐに馬車を降りて、妖精の寝床の中へ。
 すると、メアリさんが満面の笑みで出迎えてくれた。

「ドロテア様、バルドー様、そしてテンマ様、ようこそおいでくださいました。精一杯のおもてなしをさせていただきます」
「うむ、メアリにも久しぶりに会うのぉ。しばらく厄介になるのじゃ!」

 ドロテアさんは、メアリさんを昔から知っているみたいだ。
 マリアさんやバルガスとも古い付き合いだと考えると、当然と言えば当然か。
 食堂へ移動し、部屋の準備が整うのを待つ。
 マリアさんとバルドーさんがメアリさんと相談して、部屋割りを決めてくれるらしいのだ。
 少しして、マリアさんがやってきた。

「部屋の割り振りが決まりました」

 一階は、二人部屋にミーシャとリリア。マリアさんとミイは先日までマリアさんが療養りょうようしていた部屋。バルガスは一人部屋、という割り振りだった。
 それ以外の面々は二階の部屋が適当に割り当てられているみたいだ。
 マリアさんと同部屋になりたいバルガスは懸命けんめい抗議こうぎしていたが、受け入れられるわけもない。
 あ、ちなみにバルドーさんは妖精の寝床で寝泊まりしないらしい。
 朝夕の食事は一緒に食べるが、まだ色々と調整をつけねばならぬことがあるため、日中は各地をせわしなく飛び回ることになるんだとか。
 マリアさんの話では、バルドーさんは少し前まで王都にずっといたのだが、どこに住んでいるのかは誰も知らないという話だ。
 さて、そんなふうに部屋割りをしてもらったものの、俺らは基本的にはどこでも自宅で過ごすことになる。
 今回もいつものように、どこ研の入り口を配置した部屋には許可した者のみが出入りできるようにする予定だ。


 ◇   ◇   ◇   ◇


 翌朝、食堂で食事しながら、俺は今後の予定について切り出すことにした。
 もっとも、昨晩の夕食を食べたあとにそれぞれ希望を聞いて、どうするかは決めてあるのだが。

「今後の予定を確認しておきましょうか。ドロテアさんとマリアさんは一緒に行動するんですよね? そして、空いている時間を使ってミイの魔術の訓練をしてくれるとか」

 ドロテアさんは『マリアと一緒に動くのじゃ!』の一点張りで、何をするのかを詳しくは話してくれなかった。
 不安はあるものの、結局、問題さえ起こさなければ良いか! と割り切った形だ。

「そうなのじゃ!」
「お姉様の面倒は任せてください」
「それはどういう意味なのじゃ!?」

 ドロテアさんはぎゃあぎゃあ言っているが、まぁ、マリアさんがしっかりしているからどうにか手綱たづなにぎってくれることだろう。
 そして――

「ハルも、その二人と行動してくれ」

 ハルはマリアさんになついているというか、餌付えづけされているというか……居心地いごこちが良さそうにしているので、二人に任せることにした。
 ……ドロテアウイルスとハルウイルスが反応して、予想外のウイルスに変異しないことを祈るばかりだな。
 二人と一匹がうなずいてくれたのを見て、俺は話を進める。

「ミーシャ、リリアとタクト、ジュビロの四人は臨時りんじで冒険者パーティ『狐の守り人フォックスガーディアン』を結成して、王都周辺のダンジョンに行く。バルガスは彼らの監督かんとくと護衛……ってことで良いよな?」

 ミーシャはまだ冒険者ランクこそ低いが、実力はそれなりにある。
 足りない経験を積ませるために、彼らと一緒に冒険者活動をさせようって話だ。
 しばらくは日帰りで探索たんさくできる範囲はんいで、ミーシャのレベルと冒険者ランクを上げてもらって、特に問題がなさそうだったら泊まりで探索をさせることも考えている。
 決して面倒だから任せたのではない…………ごめんなさい。

「待てよ、俺は納得できねぇぞ!」

 バルガスが文句もんくを言ってきた。

「悪いが、妖精の守り人の処遇しょぐうを決める裁判で、俺のために強制労働をしてもらうことは決まったはずだ! 今更文句を言うのは、男らしくないぞ!」
「違う! 役割に関しては問題ねぇ。しかし、これはなんだ!? そして、こいつらはなんで文句も言わずに普通に受け入れているんだよ!」

 バルガスの右手には、俺が作った狐耳と狐尻尾しっぽが握られている。
 そして左手で指差した先には狐耳と狐尻尾をつけたリリアとタクト、ジュビロがいる。
 三人は、自分の狐耳と狐尻尾をうれしそうにモフっていた。

「パーティ名にちなんで、狐耳と狐尻尾をつけるのは当然だろう。なんたって可愛かわいいし、本人達も納得している。問題ないはずだ!」

 リリア達は、俺の言葉に対して嬉しそうに頷いている。

「別に狐の守り人だからって、狐獣人セットこんなものをつける必要はねえだろ! いや、こいつらに関しては納得しているから百歩ゆずって仕方ないとしよう。でも、なんで俺の分まで用意されているんだよ!」

 一緒に行動するわけだし、おそろいの方が良いかなと思って用意したのだが、どうやら気に入らないらしい。
 ちゃちゃっとつければ良いのに……面倒な男だ!
 そう思っていると、マリアさんが笑顔で言う。

「あら、私は可愛いから好きよ。ケモミミをつけたバルガスに襲われるのも、悪くないかもね」

 バルガスは無言で狐耳と狐尻尾をつける。
 うん、似合わないな!
 そう思ったのは俺だけじゃないはずだ。

「ま、まあ! 野性味が増したわ! ……いや、ないわね」

 マリアさんの最後の一言は小声だったのでバルガスには聞こえていなさそうだな。
 現に彼は、嬉しそうに狐尻尾をでている。


 なんだか、バルガスがちょっと気のどくになってしまう。
 居たたまれなくなった俺は彼から視線をらし、ピピとミイの方を向く。

「ピピとミイには、訓練を続けてもらう」

 自分より年齢が下のピピに痛めつけられるのは、精神的にクる。ピピとの訓練と聞いて、ミイは絶望したかのような顔になった。
 俺は続けて言う。

「だが、ミイにはまず、王都の案内をお願いしたい。ピピもまずは、一緒に街を巡ろうな。ジジとシルも」
「……分かりました」

 ひとまず訓練を先送りにできると思ったのだろう、ミイはホッとした表情で返事してくれた。
 ピピも「わーい! 王都巡りぃ~!」なんて言いながら、シルと一緒に楽しそうにはしゃいでいる。
 ジジもわくわくした顔で頷いている。

「アンナはドロテアさんから頼まれていることがあるんですよね? 相談して事に当たってください。バルドーさんは引き続きみんなのサポートと、諸々の調整をお願いします」

 そして俺は最後に、一番大事なことを言う。

「それでは皆さん、くれぐれも問題を起こさないようにしてくださいね」

 ……この発言がフラグにならないことを、祈るばかりだ。





 第2話 狐の守り人



 朝食をったあと、妖精の寝床を出たバルガスと狐の守り人は、まず冒険者ギルドに向かうことにした。
 臨時パーティとはいえ、冒険者ギルドに登録しておいた方が何かと都合が良いだろうという話になったのだ。
 ふとバルガスは、すれ違う人々が自分達をけているような気がして、口を開く。

「なんか、周りの視線が変じゃねえか?」
(((バルガスさんが目立っているせいだよ!)))

 リリアとタクト、ジュビロの三人は、内心でそう叫んだが、口には出さない――いな、出せない。
 すれ違う人達は、まったく似合わない狐獣人セットをつけているバルガスを気味悪がって、避けている。
 しかし、それを言葉にして伝えるのは、かなり残酷ざんこくだと考えたのだ。
 そして、同じく狐獣人セットを身に着けている、他のメンバーはどう見られているかと言えば……。
 リリアは老若男女ろうにゃくなんにょ誰からも『可愛らしいな』という好意的な目で見られていて、タクトとジュビロは様々な世代の女性から好意的――をえて、熱をびた視線をそそがれている。
 何はともあれ、冒険者ギルドの近くまでやってきた。
 冒険者達は、バルガスを見てぎょっとしてから、他の三人を見て顔をほころばせる。
 そして再度普段とは違う四人の格好かっこうを訝しみ、コソコソと内緒話を始めた。

(……なんだあれは? リリアは可愛いが……)
(もしかして新たな願掛がんかけか?)
(タクトとジュビロは、悪くないかも!)
(あの尻尾を撫で回したいわぁ!)
(バルガスさん、ついに変に……)

 他三人はともかく、バルガスは、あまりに似合っていなすぎて心配すらされてしまう始末。
 しかしバルガスは、自分が似合いすぎているあまり、みんなが自分をこそこそめているのだと勘違いしていた。
 そして、自信満々に冒険者ギルドに入っていってしまった。
 そんなバルガスの背中を、リリアとタクト、ジュビロは呆れた顔で見つめる。
 そして、同じことを決意するのだった。

(((バルガスさんと一緒に行動するのはつらすぎる! 早く別行動できるように頑張ろう!)))

 バルガスがギルドの中に入ると、それまで騒がしかったギルドが一瞬で静かになる。
 しかし、バルガスは羨望せんぼう眼差まなざしを注がれているのだと勘違いし、胸を張って受付へ。
 すぐさまやってきた受付じょうが、バルガスに話しかける。

「バルガスさんお久しぶりです。今日はどのような用件でしょうか?」

 彼女の名は、ネフェル。王都の冒険者ギルドの受付の職員をたばねている。
 この世界では魔力量が多いと、外見がけにくくなる。ネフェルは四十三歳だが、元々冒険者をやっており、ジョブが魔術師だったために魔力量が多く、三十歳過ぎにしか見えない。
 彼女はいつも優しく微笑ほほえんでいるものの、その実非常に厳しい。横暴な冒険者を容赦ようしゃなく得意の結界魔術で拘束するため、冒険者からは非常に恐れられている。
 厳しく、やり手な彼女は、バルガスの格好を見て何かあったのかと訝しむが、ひとまずはそれを表情に出さないようにしつつ話を聞くことにする。

「おう、実は先日ゴドウィン侯爵から指名を受けて受注した依頼に失敗したんだ。その報告と、新しい冒険者パーティの登録に来た」

 ゴドウィン侯爵は『ラコリナ周辺の盗賊とうぞくの討伐が遅れているから、それを手伝いつつ、ラコリナに来る予定のドロテア一行の警備をするように』と依頼を出していた。
 盗賊はテンマ達があらかじめ捕縛ほばくしていた上に、妖精の守り人はドロテア達に攻撃を仕掛けてしまった。
 完全なる任務失敗である。
 とはいえ、それを正直に話してしまえば話がこじれるわけだが、基本的に考えが今一歩足りないバルガスがそんな配慮をするはずもない。
 そして、ネフェルは当然、深刻な表情になる。

(任務を失敗したにしては表情が明るいわ……。もしかして狐獣人の姿をしているのは、心がこわれてしまったからってこと……? 新しい冒険者パーティの登録っていうのも、失敗を気に病んで心機一転、再出発したいとか考えているのかしら!?)

 そんなふうに推測すいそくし、ネフェルは言う。

「バルガスさん、奥で詳しい話を聞かせてくれますか?」
「お、おう、そうだな。色々と話しておきたいこともあるから、ちょうど良い」

 バルガスはネフェルが露骨ろこつに不安そうな表情をしていることに戸惑とまどいながらも、そう答えた。
 ネフェルはバルガス達を特別室に案内しながら、ひそかに決心を固める。

(妖精の守り人はマリアさんというまとめ役がいたから成り立っていた。でも、バルガスさんも実力者なことは確かよ。なんとか立ち直ってもらわないと!)


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