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3巻
3-3
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「お断りします!」
俺はずんずんと歩きながらそう答える。
「小僧、待ちやがれ!」
視線を向けることすら煩わしい。
無視を決め込む。
「キャッ!」
すると、後ろから短い悲鳴が聞こえてきた。
振り向くと、冒険者の男がアーリンのローブを引っ張って倒したようだ。
アーリンは倒れた拍子にどこかをぶつけたのか、痛そうにしている。
男はニヤニヤとこちらを見て笑っている。
周囲を見回すと、商人の男も他の護衛達も薄ら笑いを浮かべていた。
自分の不用意な対応で仲間が被害を受けたことと、常識のない対応に、腹が立つ。
俺はアーリンを倒した男に近づくと、腹に前蹴りを入れる。
男はまったく反応できず、十メートルぐらい吹っ飛んだ。
彼の仲間も反応できずに固まっていたが、俺自身も固まってしまう。
え、こんなに簡単に吹き飛ぶの!?
身体強化も使っていないし、怒ってはいたが手加減はしたつもりだった。
もしかして怒りのあまり力を入れすぎたのかも……し、死んでないよね?
「小僧! よくもやってくれたなぁ!」
彼の仲間の一人が武器を抜いて、怒鳴る。
他の護衛も構えた。
えっ、武器を持って襲ってくるの!?
俺は仲間達に被害が及ばないか、確認する。
ミーシャが後ろでアーリンを庇っているし、ジジ達は少し離れた位置にいるから大丈夫だな。
俺はアイテムボックスからショートソードを出し、アーリンとミーシャを背に構える。
「お前達、何をやってるんだ!」
門のほうから三人の兵士が声を出しながら走ってくるのを、俺は振り返らずに地図スキルで確認する。
その中には知り合いである、門番のヨルンさんもいた。
先ほど怒鳴ってきた男は、その場で止まる。
ヨルンさんは俺らのもとまで来ると、言う。
「武器をしまえ! 反抗する者は拘束するぞ!」
「そこの少年が、いきなり商会の護衛を蹴り飛ばしたんです。すぐにそいつらを捕まえてください!」
商人の男がヨルンさんにそう訴えた。
ヨルンさんは俺に気付いて驚いた顔をする。
「嘘はやめろ! 先にアーリンに手を出したのはあんたの護衛だろ!」
俺が倒れているアーリンを指差すと、ヨルンさんは彼女を見て更に驚いたようだ。
しかし商人の男はそんなヨルンさんの表情に気付くことなく、胸を張って自己紹介する。
「私はエルビス商会の大番頭をしております、シャムロックと申します。今回はご領主様のお嬢様にエルビス商会を代表して誕生日のお祝いをお持ちしました。ご領主のアルベルト様にも直接お会いするつもりです。その中でご領主様にも今回の事を報告することになるでしょうな。あなたの対応次第では困ったことになるかもしれませんよ」
こ、こいつ、とんでもない馬鹿だぁ!
ヨルンさんは溜息を吐く。
「ああ、分かったよ。それよりアンタの護衛に武器をしまうように言ってくれ。武器をしまわないなら全員拘束するぞ!」
「なっ! ……そうですか。どうなっても知りませんよ!」
商人の男――もといシャムロックは額に青筋を立てながら、脅すようにヨルンさんに言った。
そんなタイミングで門のほうから追加の兵士が五人駆けつけてきた。
ヨルンさんはもう一度念押しするように言う。
「もう一度だけ言う。武器をしまわないなら全員拘束する!」
シャムロックはブルブルと怒りに震えているようだ。すごい目でヨルンさんを睨みながらも護衛に命令する。
「全員武器をしまいなさい。この件はご領主様に報告させてもらいます!」
最後の言葉はヨルンさんと俺に向けたもののようだ。
護衛の冒険者達が渋々武器をしまうのを見て、彼もショートソードを収納した。
蹴り飛ばされた護衛は仲間に抱えられながら戻ってきた。
死んでおらず、なんとか意識はあるようだが、どこか怪我をしているかも。
「それでシャムロックさんは、そこにいるテンマ……少年が意味もなく護衛を蹴り飛ばしたと言うんだな?」
ヨルンさんの言葉に、シャムロックは即答する。
「その通りだ!」
「そこにいる護衛は冒険者かい? それともエルビス商会専属の護衛なのか?」
「護衛に雇った冒険者だ! そんなことより、その小僧を拘束するのが先だろう!」
シャムロックは相当お怒りのようだ。
すると話がまとまらないことを見かねたアーリンが立ち上がり、話し始める。
「あなたは門番の兵士ですよね?」
「はっ! 門番をしております、ヨルンです」
「あそこの人に、私はいきなりローブを掴まれて、引きずり倒されましたわ。冒険者の処分は冒険者ギルドのギルドマスターに任せます。そちらのエルビス商会のシャムロックさんは、嘘をついてテンマ先生に無実の罪を着せようとしていますので、騎士団に対応させてください」
さすが領主の娘、なんか威厳を感じるなぁ。
しかし、アーリンが領主の娘だと理解していないシャムロックは、いっそう顔を赤くする。
「この小娘が! そんな――」
「アーリン様、お任せください! おい、お前は冒険者ギルドに行って、ギルマスのザンベルト様にこのことを報告しろ! お前は騎士団長のバロール様に報告に行け!」
シャムロックがアーリンを罵倒しようとしたが、ヨルンさんが話をかぶせた。
ここでアーリンに暴言を吐こうものなら、シャムロックの立場はより悪くなっていたことだろう。
ヨルンさんに感謝しろよ!
だいぶ話が大きくなってきたので、護衛の冒険者達も動揺し始めている。
だがそれ以上に動揺しているのはシャムロックだろう。
さすがにどれだけ馬鹿でも、領主の娘の名前は知っていたようだな。
「アーリン……様? えっ、あれっ? はっ! アーリン様!」
え~と、やっと気が付いたかな?
商会を代表してアーリンに誕生日祝いを持ってきて、その当人に何をしでかしたのかってことを。
「あ、あの、ヨ、ヨルンさんでしたね。す、す、すみません! わ、私の護衛が、た、倒されたので、こ、混乱して、いました。ご、護衛が、た、倒されたのは、み、見ましたが、ご、護衛が、ア、アーリン様に何をしたのか、み、見ていませんでした!」
う~ん、何を言ってるのかよく分からん!
相当混乱しているようだ。
「おい、あんた裏切るのか! なっ、なんだよ!」
護衛の一人がシャムロックに文句を言おうとしたが、他の冒険者がその冒険者の腕を引っ張って止めていた。
この状況が非常にまずいことに気付いたようだ。
これ以上ここで何を言っても状況が好転しないことを悟って、口止めしたってところだな。
「す、すまない! 俺はそこのザムザがお嬢さんのローブを引っ張って倒したのを見ていた。仲間が倒されて焦って武器を抜いちまった。悪いのはザムザだ。謝るからなんとか勘弁してほしい!」
少し年配の冒険者がアーリンを倒した冒険者を指差してそう言う。たぶん護衛のリーダー的な立場なんだろう。
でも当然悪者に仕立て上げられたそいつが納得するわけもなく……。
事態が収拾するまで、本当に大変だった。
たまたま冒険者ギルドに警備の相談をしに来ていた騎士団長のバロールさん、そして冒険者ギルドのギルドマスターであるザンベルトさんが駆けつけてきた。それにより更に事態が大事になったのである。
アーリンが襲われたと思ったザンベルトさんが、緊急依頼を出してギルドにいた冒険者達と騎士団を引き連れてきたものだから、シャムロックは事態の大きさに狼狽えていた。
さて、シャムロックはどうするのかな?
第5話 シャムロックの正体
アーリンに手を出した冒険者は拘束されて、冒険者ギルドに連れていかれた。
そしてそれ以外のエルビス商会の面々も騎士団の監視のもと、ともに事情を聞くことに。
アーリンは父親であり、領主のアルベルトさんと一緒に冒険者ギルドへ行くことになり、それに伴って俺達も冒険者ギルドに向かうように要請された。
ミーシャとピピはいつもと変わらない様子だが、ジジだけが真っ青な顔で震えていた。
「ジジ、大丈夫かい? 俺のせいで怖い思いをさせたみたいだ。ごめん!」
俺はどこか油断していたのだろう。
この世界に転生してからも、どこか現実感のない、まるでゲームの中にいるような感じで過ごしていた。
しかし実は自分が蹴り倒した冒険者が吹き飛んでいったのを見て、冷や水を浴びせられたような気分になった。彼が戻ってくるまで、もしかして殺してしまったのではないかと思い、相当ビビッていたのだ。
人を殺す覚悟など、俺にはなかった!
それと同様に、家族を本当の意味で守るという自覚も自分で思うより希薄だったのではないかと思い直す。
「テンマ様は悪くありません! わる、悪いのは……」
ジジが涙を流しながら呟いているのを見て、思わず彼女を抱きしめる。
「怖い思いをさせてすまない。これからはしっかりみんなを守るからな!」
抱きしめたジジの温もりを感じながら、これが現実なのだと改めて実感する。
仲間だけは絶対に守り抜かなくては!
「ち、ちがう、悪いのは、グスッ、わ、悪いのは……」
泣きながら話そうとするジジ。
そんな彼女の背中をさすったのは、ミーシャだった。
「もう、大丈夫だよ」
ピピも心配そうにジジを見ていて、目を潤ませている。
俺は抱擁を解くと、ジジとピピの頭を力強く撫でて、言う。
「よし、もう大丈夫だ。ひとまず冒険者ギルドに向かうぞ!」
◇ ◇ ◇ ◇
冒険者ギルドに入ると、ルカさんが走り寄ってくる。
「ジジ、久しぶりね。大丈夫だった?」
んっ、ルカさんはジジのことを知っている?
不思議に思ったが、孤児院にいるときに町中の依頼を受けているとジジが言っていたことを思い出す。
「ルカお姉ちゃん!」
ジジはルカさんをそう呼ぶと、抱きついた。
彼女もそれを受け止めて、抱きしめ返す。
えぇっ、ジジが呼吸できないよ!
ルカさんの胸に埋もれるジジを見て羨まし……ゲフン、ゲフン……し、心配になる。
しかし、ルカさんはすぐにジジの肩を持って引き離すと、優しく微笑んで頭を撫でる。
しゃがんで、横にいるピピの頭も撫でた。
「ピピも大きくなったわねぇ」
あれっ、ピピのことも知っているの?
ピピはルカさんを知らないみたいで不思議そうにしているが、優しく撫でられて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「テンマ君は相手に手を上げているから、二階の会議室に行ってくれるかしら?」
ルカさんの言葉を聞いてジジは心配そうな顔をするが、彼女はジジに微笑みを向けながら説明する。
「相手側も非を認めているから大丈夫よ。でも当事者として事情は報告してもらわないとね」
ジジは少し安心した顔になる。
俺はルカさんに言う。
「ルカさん、ジジ達のことをお願いして良いですか?」
「大丈夫よ。控え室で面倒見とくから、テンマ君は早く行きなさい!」
それならと、ミーシャにギルドへのお土産用のクッキーを渡す。
こういうときに渡すのは問題ないだろう。
「それじゃミーシャ、ルカさんと少し待っててくれ」
「うん、大丈夫!」
そう答えながらも、彼女の視線はクッキーに釘付けだ。
……おい、ミーシャはちょくちょく食べてるだろ!
会議室に入ると、顔を真っ青にしたシャムロックや、護衛のリーダーと思われる冒険者が、アルベルトさんやアーリン、ザンベルトさん、バロールさんに囲まれるようにして座っていた。
部屋の端にはザムザと呼ばれたアーリンに手を出した冒険者が、ロープで拘束されて騎士に挟まれた状態で床に座らされている。
「テンマ君も来たようだな。護衛のリーダーである彼も仲間のしたことは認めている。とはいえ手続き上もう一度確認をしたいんだけど、良いかな」
俺はアルベルトさんの言葉に頷きながら、アーリンの隣に腰を下ろす。
「最初エルビス商会のシャムロックさんが、従魔の種族を尋ね、テンマ君がその回答を断った。その上で従魔の買取をお願いされたテンマ君が、それを当然断ると、そこの冒険者がアーリンに手を出した。ここまでで何か間違いがあるかな?」
「「ありません」」
俺とアーリンは声を揃えて返事をする。護衛のリーダーは渋々と言った感じで頷く。
しかし、シャムロックが文句を言い出す。
「間違いはありませんが、そこの少年はエルビス商会の私が丁寧に質問をしたのに、従魔のことを話そうとしないし、金銭を払うと話したのに、無礼にも断ったのですよ! それで護衛がアーリン様に手を出しました。もちろん護衛はやりすぎたと思いますが、そこの少年にも原因があると言えるのではないでしょうか?」
こいつ、あろうことか俺のことを責めるのか!
俺はむっとしつつも慎重に言葉を選ぶ。
「従魔の情報を聞くのって、マナー違反ですよね?」
俺の言葉に答えたのは、ザンベルトさんだった。
「当然だ! 丁寧かどうかは関係ない。冒険者がステータスや従魔について知られるというのは、弱点を晒すも同然。それを公の場で聞くなど、無礼なのはどちらだ!」
ザンベルトさんの剣幕にシャムロックは少したじろぐ。
「そ、それは、知らなくて……」
「あんたが知らなくても、冒険者なら当然知っていることだろう?」
護衛のリーダーは渋い顔で頷いて俯いた。
それを見てシャムロックは護衛のリーダーに文句を言う。
「わ、私はそんなことは知らなかったんだ。お前達は分かっていて暴力を振るったのか? だったら全部お前達が悪いんじゃないか! アルベルト様、私は存じ上げなかったんです。悪いのは、彼らです!」
自分が助かるために護衛に全部罪を被せようとするなんて……。
やはりこいつはクズで最低な野郎だな!
護衛のリーダーはシャムロックを見て怒りのあまり拳を握りしめている。
そんな様子を見ながら、ザンベルトさんは嘆息する。
「あー、なんか勘違いしているようだが、冒険者を護衛として雇った場合、戦闘時以外は雇い主に指揮権があり、問題を起こす前に止める責任も雇い主にある。もちろん護衛が問題を起こした場合、雇い主が責任を負うと冒険者ギルドの規約に記載されているんだが、知らないとは言わせないぞ?」
おおっ、思ったより冒険者ギルドはしっかりしているな。
ザンベルトさんの説明に俺は感心する。
シャムロックは何も言い返せないようで、口をパクパクと動かすだけだ。
「それに兵士に対して嘘の証言をしたな。途中でアーリンが領主の娘だと分かって、慌てて発言を変えたと兵士から報告を受けているぞ!」
騎士団長のバロールさんの発言に、シャムロックは諦めたような表情を浮かべる。
アルベルトさんはザンベルトさんとバロールさんに目配せしてからお互いに頷くと、口を開こうとする――そのときだった。
慌ただしいノックとともにギルド職員が会議室に入ってきたと思ったら、ザンベルトさんに耳打ちする。
それを聞いてザンベルトさんが立ち上がったタイミングで、会議室の扉が開かれてぽっちゃりしたオヤジが入ってきた。
身なりはちゃんとしているようだから……貴族か?
「ロンダ准男爵、我が領に拠点を置くエルビス商会が、不当な扱いを受けていると聞いてね。心配になり、無理にお願いしてお邪魔させてもらったんだ。馬鹿な冒険者がロンダ准男爵のお嬢さんに、粗相を働いたそうだね。おお、そこにいるのがアーリン嬢なのかい? 怪我をしていなかったのは不幸中の幸いだね。冒険者の中には乱暴者が多いから、優秀な護衛と行動しないと危ないよ」
誰だ、この馬鹿は? よくそんな都合のいい解釈ができるな!?
「シービック殿、会議中に無断で入ってこられると困りますなぁ」
アルベルトさんは不機嫌そうな声で言った。
「すまないねぇ。エルビス商会一行が、トラブルに巻き込まれたために、私も荷物を受け取れずに困っていたんだよ。悪いのは冒険者なんだから、そいつを処分して早くそこのシャムロックを解放してくれないかい?」
「シービック様は冒険者ギルドのルールをご存じないのですか? 護衛として雇った冒険者が起こした問題は雇い主も連帯責任になるのです」
「あ~、それぐらいはもちろん知っている。でもそんな馬鹿な冒険者を紹介したギルドにも責任があるんじゃないか?」
ぽっちゃりした男――シービックはとうとうギルドに責任があると言い始めた。
「それはシービック様の冒険者ギルドに対しての正式な発言と受け取ってよろしいのですね?」
ザンベルトさんはお怒りのようだ。
目つきが鋭くなり、声も幾分低くなっている。
「いやいや、そんなに堅苦しい話をしているわけじゃない。そうだシャムロック、お前にも責任があるんだろう。今回持ってきた商品を少しロンダ准男爵に譲ってあげたら?」
シャムロックは少し平静を取り戻した様子で答える。
「シービック様がそう言われるのであれば、喜んでロンダ准男爵様に商品を提供させていただきます」
「ほら、シャムロックもそう言っている。アーリン嬢も大きな怪我をしたわけではないようだから、冒険者の問題は冒険者ギルドで対処すれば良いだろう。それともコーバル子爵家の次期当主で、実質的にはすでに当主としての権限を持っている私の顔を潰すのかい?」
物腰こそ柔らかいが、言っていることは脅迫同然だ。
アルベルトさんは苦々しい表情を浮かべた。
俺はずんずんと歩きながらそう答える。
「小僧、待ちやがれ!」
視線を向けることすら煩わしい。
無視を決め込む。
「キャッ!」
すると、後ろから短い悲鳴が聞こえてきた。
振り向くと、冒険者の男がアーリンのローブを引っ張って倒したようだ。
アーリンは倒れた拍子にどこかをぶつけたのか、痛そうにしている。
男はニヤニヤとこちらを見て笑っている。
周囲を見回すと、商人の男も他の護衛達も薄ら笑いを浮かべていた。
自分の不用意な対応で仲間が被害を受けたことと、常識のない対応に、腹が立つ。
俺はアーリンを倒した男に近づくと、腹に前蹴りを入れる。
男はまったく反応できず、十メートルぐらい吹っ飛んだ。
彼の仲間も反応できずに固まっていたが、俺自身も固まってしまう。
え、こんなに簡単に吹き飛ぶの!?
身体強化も使っていないし、怒ってはいたが手加減はしたつもりだった。
もしかして怒りのあまり力を入れすぎたのかも……し、死んでないよね?
「小僧! よくもやってくれたなぁ!」
彼の仲間の一人が武器を抜いて、怒鳴る。
他の護衛も構えた。
えっ、武器を持って襲ってくるの!?
俺は仲間達に被害が及ばないか、確認する。
ミーシャが後ろでアーリンを庇っているし、ジジ達は少し離れた位置にいるから大丈夫だな。
俺はアイテムボックスからショートソードを出し、アーリンとミーシャを背に構える。
「お前達、何をやってるんだ!」
門のほうから三人の兵士が声を出しながら走ってくるのを、俺は振り返らずに地図スキルで確認する。
その中には知り合いである、門番のヨルンさんもいた。
先ほど怒鳴ってきた男は、その場で止まる。
ヨルンさんは俺らのもとまで来ると、言う。
「武器をしまえ! 反抗する者は拘束するぞ!」
「そこの少年が、いきなり商会の護衛を蹴り飛ばしたんです。すぐにそいつらを捕まえてください!」
商人の男がヨルンさんにそう訴えた。
ヨルンさんは俺に気付いて驚いた顔をする。
「嘘はやめろ! 先にアーリンに手を出したのはあんたの護衛だろ!」
俺が倒れているアーリンを指差すと、ヨルンさんは彼女を見て更に驚いたようだ。
しかし商人の男はそんなヨルンさんの表情に気付くことなく、胸を張って自己紹介する。
「私はエルビス商会の大番頭をしております、シャムロックと申します。今回はご領主様のお嬢様にエルビス商会を代表して誕生日のお祝いをお持ちしました。ご領主のアルベルト様にも直接お会いするつもりです。その中でご領主様にも今回の事を報告することになるでしょうな。あなたの対応次第では困ったことになるかもしれませんよ」
こ、こいつ、とんでもない馬鹿だぁ!
ヨルンさんは溜息を吐く。
「ああ、分かったよ。それよりアンタの護衛に武器をしまうように言ってくれ。武器をしまわないなら全員拘束するぞ!」
「なっ! ……そうですか。どうなっても知りませんよ!」
商人の男――もといシャムロックは額に青筋を立てながら、脅すようにヨルンさんに言った。
そんなタイミングで門のほうから追加の兵士が五人駆けつけてきた。
ヨルンさんはもう一度念押しするように言う。
「もう一度だけ言う。武器をしまわないなら全員拘束する!」
シャムロックはブルブルと怒りに震えているようだ。すごい目でヨルンさんを睨みながらも護衛に命令する。
「全員武器をしまいなさい。この件はご領主様に報告させてもらいます!」
最後の言葉はヨルンさんと俺に向けたもののようだ。
護衛の冒険者達が渋々武器をしまうのを見て、彼もショートソードを収納した。
蹴り飛ばされた護衛は仲間に抱えられながら戻ってきた。
死んでおらず、なんとか意識はあるようだが、どこか怪我をしているかも。
「それでシャムロックさんは、そこにいるテンマ……少年が意味もなく護衛を蹴り飛ばしたと言うんだな?」
ヨルンさんの言葉に、シャムロックは即答する。
「その通りだ!」
「そこにいる護衛は冒険者かい? それともエルビス商会専属の護衛なのか?」
「護衛に雇った冒険者だ! そんなことより、その小僧を拘束するのが先だろう!」
シャムロックは相当お怒りのようだ。
すると話がまとまらないことを見かねたアーリンが立ち上がり、話し始める。
「あなたは門番の兵士ですよね?」
「はっ! 門番をしております、ヨルンです」
「あそこの人に、私はいきなりローブを掴まれて、引きずり倒されましたわ。冒険者の処分は冒険者ギルドのギルドマスターに任せます。そちらのエルビス商会のシャムロックさんは、嘘をついてテンマ先生に無実の罪を着せようとしていますので、騎士団に対応させてください」
さすが領主の娘、なんか威厳を感じるなぁ。
しかし、アーリンが領主の娘だと理解していないシャムロックは、いっそう顔を赤くする。
「この小娘が! そんな――」
「アーリン様、お任せください! おい、お前は冒険者ギルドに行って、ギルマスのザンベルト様にこのことを報告しろ! お前は騎士団長のバロール様に報告に行け!」
シャムロックがアーリンを罵倒しようとしたが、ヨルンさんが話をかぶせた。
ここでアーリンに暴言を吐こうものなら、シャムロックの立場はより悪くなっていたことだろう。
ヨルンさんに感謝しろよ!
だいぶ話が大きくなってきたので、護衛の冒険者達も動揺し始めている。
だがそれ以上に動揺しているのはシャムロックだろう。
さすがにどれだけ馬鹿でも、領主の娘の名前は知っていたようだな。
「アーリン……様? えっ、あれっ? はっ! アーリン様!」
え~と、やっと気が付いたかな?
商会を代表してアーリンに誕生日祝いを持ってきて、その当人に何をしでかしたのかってことを。
「あ、あの、ヨ、ヨルンさんでしたね。す、す、すみません! わ、私の護衛が、た、倒されたので、こ、混乱して、いました。ご、護衛が、た、倒されたのは、み、見ましたが、ご、護衛が、ア、アーリン様に何をしたのか、み、見ていませんでした!」
う~ん、何を言ってるのかよく分からん!
相当混乱しているようだ。
「おい、あんた裏切るのか! なっ、なんだよ!」
護衛の一人がシャムロックに文句を言おうとしたが、他の冒険者がその冒険者の腕を引っ張って止めていた。
この状況が非常にまずいことに気付いたようだ。
これ以上ここで何を言っても状況が好転しないことを悟って、口止めしたってところだな。
「す、すまない! 俺はそこのザムザがお嬢さんのローブを引っ張って倒したのを見ていた。仲間が倒されて焦って武器を抜いちまった。悪いのはザムザだ。謝るからなんとか勘弁してほしい!」
少し年配の冒険者がアーリンを倒した冒険者を指差してそう言う。たぶん護衛のリーダー的な立場なんだろう。
でも当然悪者に仕立て上げられたそいつが納得するわけもなく……。
事態が収拾するまで、本当に大変だった。
たまたま冒険者ギルドに警備の相談をしに来ていた騎士団長のバロールさん、そして冒険者ギルドのギルドマスターであるザンベルトさんが駆けつけてきた。それにより更に事態が大事になったのである。
アーリンが襲われたと思ったザンベルトさんが、緊急依頼を出してギルドにいた冒険者達と騎士団を引き連れてきたものだから、シャムロックは事態の大きさに狼狽えていた。
さて、シャムロックはどうするのかな?
第5話 シャムロックの正体
アーリンに手を出した冒険者は拘束されて、冒険者ギルドに連れていかれた。
そしてそれ以外のエルビス商会の面々も騎士団の監視のもと、ともに事情を聞くことに。
アーリンは父親であり、領主のアルベルトさんと一緒に冒険者ギルドへ行くことになり、それに伴って俺達も冒険者ギルドに向かうように要請された。
ミーシャとピピはいつもと変わらない様子だが、ジジだけが真っ青な顔で震えていた。
「ジジ、大丈夫かい? 俺のせいで怖い思いをさせたみたいだ。ごめん!」
俺はどこか油断していたのだろう。
この世界に転生してからも、どこか現実感のない、まるでゲームの中にいるような感じで過ごしていた。
しかし実は自分が蹴り倒した冒険者が吹き飛んでいったのを見て、冷や水を浴びせられたような気分になった。彼が戻ってくるまで、もしかして殺してしまったのではないかと思い、相当ビビッていたのだ。
人を殺す覚悟など、俺にはなかった!
それと同様に、家族を本当の意味で守るという自覚も自分で思うより希薄だったのではないかと思い直す。
「テンマ様は悪くありません! わる、悪いのは……」
ジジが涙を流しながら呟いているのを見て、思わず彼女を抱きしめる。
「怖い思いをさせてすまない。これからはしっかりみんなを守るからな!」
抱きしめたジジの温もりを感じながら、これが現実なのだと改めて実感する。
仲間だけは絶対に守り抜かなくては!
「ち、ちがう、悪いのは、グスッ、わ、悪いのは……」
泣きながら話そうとするジジ。
そんな彼女の背中をさすったのは、ミーシャだった。
「もう、大丈夫だよ」
ピピも心配そうにジジを見ていて、目を潤ませている。
俺は抱擁を解くと、ジジとピピの頭を力強く撫でて、言う。
「よし、もう大丈夫だ。ひとまず冒険者ギルドに向かうぞ!」
◇ ◇ ◇ ◇
冒険者ギルドに入ると、ルカさんが走り寄ってくる。
「ジジ、久しぶりね。大丈夫だった?」
んっ、ルカさんはジジのことを知っている?
不思議に思ったが、孤児院にいるときに町中の依頼を受けているとジジが言っていたことを思い出す。
「ルカお姉ちゃん!」
ジジはルカさんをそう呼ぶと、抱きついた。
彼女もそれを受け止めて、抱きしめ返す。
えぇっ、ジジが呼吸できないよ!
ルカさんの胸に埋もれるジジを見て羨まし……ゲフン、ゲフン……し、心配になる。
しかし、ルカさんはすぐにジジの肩を持って引き離すと、優しく微笑んで頭を撫でる。
しゃがんで、横にいるピピの頭も撫でた。
「ピピも大きくなったわねぇ」
あれっ、ピピのことも知っているの?
ピピはルカさんを知らないみたいで不思議そうにしているが、優しく撫でられて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「テンマ君は相手に手を上げているから、二階の会議室に行ってくれるかしら?」
ルカさんの言葉を聞いてジジは心配そうな顔をするが、彼女はジジに微笑みを向けながら説明する。
「相手側も非を認めているから大丈夫よ。でも当事者として事情は報告してもらわないとね」
ジジは少し安心した顔になる。
俺はルカさんに言う。
「ルカさん、ジジ達のことをお願いして良いですか?」
「大丈夫よ。控え室で面倒見とくから、テンマ君は早く行きなさい!」
それならと、ミーシャにギルドへのお土産用のクッキーを渡す。
こういうときに渡すのは問題ないだろう。
「それじゃミーシャ、ルカさんと少し待っててくれ」
「うん、大丈夫!」
そう答えながらも、彼女の視線はクッキーに釘付けだ。
……おい、ミーシャはちょくちょく食べてるだろ!
会議室に入ると、顔を真っ青にしたシャムロックや、護衛のリーダーと思われる冒険者が、アルベルトさんやアーリン、ザンベルトさん、バロールさんに囲まれるようにして座っていた。
部屋の端にはザムザと呼ばれたアーリンに手を出した冒険者が、ロープで拘束されて騎士に挟まれた状態で床に座らされている。
「テンマ君も来たようだな。護衛のリーダーである彼も仲間のしたことは認めている。とはいえ手続き上もう一度確認をしたいんだけど、良いかな」
俺はアルベルトさんの言葉に頷きながら、アーリンの隣に腰を下ろす。
「最初エルビス商会のシャムロックさんが、従魔の種族を尋ね、テンマ君がその回答を断った。その上で従魔の買取をお願いされたテンマ君が、それを当然断ると、そこの冒険者がアーリンに手を出した。ここまでで何か間違いがあるかな?」
「「ありません」」
俺とアーリンは声を揃えて返事をする。護衛のリーダーは渋々と言った感じで頷く。
しかし、シャムロックが文句を言い出す。
「間違いはありませんが、そこの少年はエルビス商会の私が丁寧に質問をしたのに、従魔のことを話そうとしないし、金銭を払うと話したのに、無礼にも断ったのですよ! それで護衛がアーリン様に手を出しました。もちろん護衛はやりすぎたと思いますが、そこの少年にも原因があると言えるのではないでしょうか?」
こいつ、あろうことか俺のことを責めるのか!
俺はむっとしつつも慎重に言葉を選ぶ。
「従魔の情報を聞くのって、マナー違反ですよね?」
俺の言葉に答えたのは、ザンベルトさんだった。
「当然だ! 丁寧かどうかは関係ない。冒険者がステータスや従魔について知られるというのは、弱点を晒すも同然。それを公の場で聞くなど、無礼なのはどちらだ!」
ザンベルトさんの剣幕にシャムロックは少したじろぐ。
「そ、それは、知らなくて……」
「あんたが知らなくても、冒険者なら当然知っていることだろう?」
護衛のリーダーは渋い顔で頷いて俯いた。
それを見てシャムロックは護衛のリーダーに文句を言う。
「わ、私はそんなことは知らなかったんだ。お前達は分かっていて暴力を振るったのか? だったら全部お前達が悪いんじゃないか! アルベルト様、私は存じ上げなかったんです。悪いのは、彼らです!」
自分が助かるために護衛に全部罪を被せようとするなんて……。
やはりこいつはクズで最低な野郎だな!
護衛のリーダーはシャムロックを見て怒りのあまり拳を握りしめている。
そんな様子を見ながら、ザンベルトさんは嘆息する。
「あー、なんか勘違いしているようだが、冒険者を護衛として雇った場合、戦闘時以外は雇い主に指揮権があり、問題を起こす前に止める責任も雇い主にある。もちろん護衛が問題を起こした場合、雇い主が責任を負うと冒険者ギルドの規約に記載されているんだが、知らないとは言わせないぞ?」
おおっ、思ったより冒険者ギルドはしっかりしているな。
ザンベルトさんの説明に俺は感心する。
シャムロックは何も言い返せないようで、口をパクパクと動かすだけだ。
「それに兵士に対して嘘の証言をしたな。途中でアーリンが領主の娘だと分かって、慌てて発言を変えたと兵士から報告を受けているぞ!」
騎士団長のバロールさんの発言に、シャムロックは諦めたような表情を浮かべる。
アルベルトさんはザンベルトさんとバロールさんに目配せしてからお互いに頷くと、口を開こうとする――そのときだった。
慌ただしいノックとともにギルド職員が会議室に入ってきたと思ったら、ザンベルトさんに耳打ちする。
それを聞いてザンベルトさんが立ち上がったタイミングで、会議室の扉が開かれてぽっちゃりしたオヤジが入ってきた。
身なりはちゃんとしているようだから……貴族か?
「ロンダ准男爵、我が領に拠点を置くエルビス商会が、不当な扱いを受けていると聞いてね。心配になり、無理にお願いしてお邪魔させてもらったんだ。馬鹿な冒険者がロンダ准男爵のお嬢さんに、粗相を働いたそうだね。おお、そこにいるのがアーリン嬢なのかい? 怪我をしていなかったのは不幸中の幸いだね。冒険者の中には乱暴者が多いから、優秀な護衛と行動しないと危ないよ」
誰だ、この馬鹿は? よくそんな都合のいい解釈ができるな!?
「シービック殿、会議中に無断で入ってこられると困りますなぁ」
アルベルトさんは不機嫌そうな声で言った。
「すまないねぇ。エルビス商会一行が、トラブルに巻き込まれたために、私も荷物を受け取れずに困っていたんだよ。悪いのは冒険者なんだから、そいつを処分して早くそこのシャムロックを解放してくれないかい?」
「シービック様は冒険者ギルドのルールをご存じないのですか? 護衛として雇った冒険者が起こした問題は雇い主も連帯責任になるのです」
「あ~、それぐらいはもちろん知っている。でもそんな馬鹿な冒険者を紹介したギルドにも責任があるんじゃないか?」
ぽっちゃりした男――シービックはとうとうギルドに責任があると言い始めた。
「それはシービック様の冒険者ギルドに対しての正式な発言と受け取ってよろしいのですね?」
ザンベルトさんはお怒りのようだ。
目つきが鋭くなり、声も幾分低くなっている。
「いやいや、そんなに堅苦しい話をしているわけじゃない。そうだシャムロック、お前にも責任があるんだろう。今回持ってきた商品を少しロンダ准男爵に譲ってあげたら?」
シャムロックは少し平静を取り戻した様子で答える。
「シービック様がそう言われるのであれば、喜んでロンダ准男爵様に商品を提供させていただきます」
「ほら、シャムロックもそう言っている。アーリン嬢も大きな怪我をしたわけではないようだから、冒険者の問題は冒険者ギルドで対処すれば良いだろう。それともコーバル子爵家の次期当主で、実質的にはすでに当主としての権限を持っている私の顔を潰すのかい?」
物腰こそ柔らかいが、言っていることは脅迫同然だ。
アルベルトさんは苦々しい表情を浮かべた。
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