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2巻
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しおりを挟む第1話 D研《どこでも研修エリア》
俺、テンマは盛大に見送ってもらって、開拓村を出発した。
開拓村は転生して初めて俺が身を寄せた村。
身元のあやふやな俺のことを受け入れてくれた、そんな村を俺は離れることにしたのだ。
そして傍らには、村を出て一緒に冒険者をすることになった狐獣人の美少女――ミーシャがいる。
「これから冒険者として活動する拠点に向かおうと思う」
「分かった」
俺が言うと、彼女はこくんと頷いた。
振り向くと、村人達はまだ手を振ってくれている。
俺も手を振り返した。
前世ではこんなに別れを惜しんでくれる人なんていなかったから、本当に嬉しい。
しばらく歩いて村人から見えない場所まで進んで、空間魔術で作った亜空間――ディメンションエリアに入って、俺の従魔のシルバーウルフ、シルを呼ぶ。
なぜシルバーウルフを飼っているのかを村人に説明するのも難しかったため、ディメンションエリアで飼っているのだ。
嬉しそうにじゃれてくるシルを軽くモフり、再出発した。
走って移動して五分くらい経っただろうか。
この世界に転生したときの初期位置である草原に到着した。
俺は感慨に耽る。
三十三歳で命を落とした俺は、十四歳の少年、テンマとして異世界へ転生させられることになったわけだが、転生先で簡単に死なないよう、研修を受けることになった。しかし、三ヶ月と言われていたそれはなぜか十五年も続き、一ヶ月半前にやっとこの世界に転生してこられたのだ。
最初は不安なことばかりだったが、開拓村の住民は親切で良い人ばかりだった。お調子者や食いしん坊もいて、ムカつくこともあったが、話をすれば解決できることばかりだったし。
前世で出会った奴らは最初こそ仲良くなれるが、一ヶ月を過ぎた頃から俺のことをいじめたりパワハラの標的にしてきたりした。しかしこの世界ではそんなことはなく、普通に接してくれた。それだけで俺にとって開拓村で過ごした日々は価値のある時間だったと感じられる。
そしてその村で冒険者を志望していたミーシャと、村を出て一緒に冒険者を目指すことになったわけだが……。
この先は気を引き締めなければならない。
開拓村の住民達はステータスが高くなかった。だが、この先もそうとは限らないからだ。
俺のステータスは研修施設で十五年ほどかけて培ったものだが、この世界でも時間をかければ、俺以上のステータスまで成長することは可能だろうから。
この世界には素質というものがあり、アルファベットで表示されている。力の素質が高ければ力持ちになりやすく、魔術の素質が高ければ魔法系のスキルに秀でやすい、といった具合だ。
またスキルごとにも素質がある。SSS、SS、S、A、Bには、相応のプラス補正がかかり、スキルが得やすいのだ。言うまでもなくSSSが最大プラス補正。Cが補正なし。D、E、F、G、Hはマイナス補正で、Hが最大マイナス補正となる。
俺はどの分野にも特化していない設定にしていて、すべてのスキル素質はC。つまり素質が俺より上の人間は、俺より強くなる可能性を秘めているわけだ。
そんな人間が俺の前に立ちはだかったときに、自分と仲間を守れるようになりたい。
そんなことを考えながら、草原を抜ける。
あれ? ミーシャが疲れた顔をしているな。
鑑定で確認すると体力が半分を切っていた。
……ミーシャは体力がないなぁ。
しかし不満を漏らすことなく、一生懸命ついてくるのは大したものだ。俺はミーシャを見直した。
彼女は表情に乏しく、口数も少ないので、何を考えているか分からないときがある。
だから正直、「冒険者になりたい」という気持ちがどの程度本気なのか測りかねたし、すぐに音を上げるのではないかと疑っていた。しかしこれだけ根性があるなら……。
(これならミーシャを最強の狐耳少女に育て上げるという俺の計画も夢じゃない……!)
俺はミーシャに聞こえないよう、呟くのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
更に一時間ほど走ったあたりで鑑定を使うと、ミーシャの体力が一割を切っていることに気付く。
「ミーシャ、これを飲むんだ」
ミーシャに研修施設で作った訓練用ポーションを渡す。訓練用のポーションは体力を回復させつつ少しだがHPも回復する。
このポーションを使って訓練すれば、能力値は上がるが過剰な筋肉が付かないので、細マッチョを目指していた俺は重宝したわけだ。
ミーシャは躊躇なくポーションを飲む。
うん、体力は回復したようだな。
ミーシャが休憩するのを見て、俺はディメンションエリアに入る。
設置したテーブルや椅子をしまってから、シルの餌用のホーンラビットをすべて倒して収納する。
それから元気になったミーシャと再び移動を始める。
川沿いを上流に移動する。
何かに使えそうな大きな岩を拾いながら一時間ほど進むと、滝があった。
大量の水が重力によって叩きつけられる様は、美しくて壮観だ。
実はここは以前、地図スキルで見つけていた場所である。
周囲には草原だってあるし、のどかで良い場所だと思う。
俺は土魔法で階段を作りながら、滝の横にある崖を登っていく。
十五分ぐらいで崖の上まで階段をかけ終えた。崖の上からは滝を見下ろすことができ、これまで歩いてきた道も一望できる。
俺は、少し遅れて階段を上ってきたミーシャに言う。
「ここは人気もないし、自然豊かで良い場所だ。ここを活動拠点にしよう。とはいえ、ここに住むわけじゃない」
そう、この場所を複製して、そこを拠点にしようというのが俺の考えだ。
次いで俺は、ミーシャにディメンションエリアについて説明した。
・ 空間魔術の一つ
・ 指定した場所の地形や植物を複製して亜空間を作れる
・ 何度でも作り直せる
・ 複製には大量の魔力が必要
・ レベルに応じて拡張が可能
・ 天気や気候、昼夜は複製した場所と連動する
そんな内容をかみ砕いて説明したつもりだったが……ミーシャはよく理解できないようだ。不思議そうな顔をしている。
「まぁ実際に見てもらったほうが早いだろうな。ちょっと待っていてくれ」
言うや否や、俺はまず元のディメンションエリアをリセットする。そして、この場所五百メートル四方を複製して、新たなディメンションエリアにした。
うーん折角だから滝の上に奥行を出したいな。
そう考え、更に滝の上に魔力を注いで二キロメートルほど奥行を伸ばした。
こうして新たに作り直したディメンションエリアに、ミーシャとシルと一緒に入る。
シルがそわそわしていたので、自由に走り回っていいと言うと、嬉しそうに駆け出していった。
俺は草原に、土魔法で投擲訓練用の的を作る。そして硬化や自動修復などの効果を付与して、近くにテーブルと椅子を出した。
これで簡易ではあるが投擲の訓練所が作れた。
「ミーシャはここで投擲の訓練をしてくれ。今日はそんなに無理する必要はないからね」
今日はね……、ふふふっ!
頷いたミーシャが訓練を始めるのを確認して、俺はこの先のプランに思いを馳せながらほくほくした気持ちでディメンションエリアの入口付近まで戻るのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
俺は生活環境を整えるべく、魔法を用いてディメンションエリア内を整備することにした。
まずは地盤を平らにしつつ固めていく。続いて川沿いで拾った岩を適当なブロックに切り出した。
よし、まずはミーシャ達の住む家を作るか。
ブロックを積み上げて二階建ての建物を作る。狭苦しくないよう、広めに作った。
屋内には階段を設置し、屋上まで上がれるようにしておく。
折角周りが自然豊かなので、屋上スペースは展望台のようにしよう。
手摺を付け、四方向に景色を眺めながらゆったりできるように石造りのベンチを外側に向けて設置。
夜に星を眺めながらここでのんびりする……なんていう贅沢だってできちゃうのである。
そしてその隣に、今建てた建物よりもう一回り小さい一階建ての建物を作る。こちらはシルの家にするつもりだ。
ただ折角なので、こちらも外壁に沿うように階段を設置し、テラスと屋上に上がれるようにする。屋上には竈と、食事をするための八人くらいで使えるテーブルを設置して、バーベキュースペースにした。
自分専用の亜空間であるルームに入って、倉庫から研修時代に作った建築物用の作り置きの建具や家具、それに魔道具を取ってくる。
「よし、良い感じだな」
ひとまず大枠は作り終えたので、今度は部屋の中を整えていこう。
シルの家の入ってすぐ左側に、レンガで水浴び場――クリアスペースを作り、魔道具を設置する。これは魔力を流すとクリアと同じ効果が発動する魔道具で、トイレとシャワーの代わりだ。
そして反対側の壁沿いにはキングサイズのベッドを置けるよう、段差を作る。
その上にはスライムの体内にある液体の水分を適度に抜いて作ったジェル――スライムジェルを、カエル系の魔物の皮に詰めて作ったマットレスを敷く。マットレスが破れないよう、その上に牛系の魔物の上位種であるブラックカウの皮を敷いた。上位種のブラックカウの皮は肌触りも最高だが耐久性も高く、シルの爪で多少ひっかいても破けることはないだろう。
石造りだと無骨で寂しいので、床はフローリングにする。
そんなタイミングで、シルが戻ってきた。
俺はシルをクリアスペースへ連れていく。
「シル、ここはクリアスペースだ」
俺はそう言ってから、魔道具に魔力を流す。
すると、シルが白く光った。
クリアの魔法が、正常に作用したようだな。
とはいえ、シルには自分でクリアスペースを使えるようになってほしい。
「前足か鼻でもいいから魔道具に触って、魔力を流せるか?」
「ワオンッ!」
シルは返事をするように吠えると、鼻先で魔道具に触った。
すると、シルの体はすぐに白く光った。
シルはやっぱり賢い……俺の話を理解しているみたいだな。
そんなふうに驚いていたのだが、シルのほうが驚きは大きかったようだ。驚いた表情をして、確かめるようにクリアを何度も発動する。
俺はそんなシルを見て微笑んだ。
「やりすぎると魔力がなくなるぞ。体が汚れたときや用を足したときに使えよ」
「ワオンッ!」
そして今度は寝床にシルを連れていく。
俺が乗るように促すが、シルは前足をちょんと乗せてから、すぐに後ろに下がってしまった。スライムジェルの感触に戸惑っているのだろう。
「ここはお前の寝るところだぞ。ほらっ、乗っても大丈夫だぞ」
シルを安心させるためにまず俺が寝床に座り、シルに乗るように促す。
すると、シルは恐る恐る寝床に上がってきた。
最初は不思議そうに足元を見ていたが、すぐに腰を降ろす。やがて柔らかくて肌触りが良いので我慢できなくなったのか寝転がり始めた。
その姿を見た俺も我慢できなくなる。
これまでシルをじっくりとモフる余裕はなかったから、モフモフを堪能したくなったのだ。
「それっ!」
シルを捕まえて、全身を撫で回しながらモフモフを堪能する。
最初は嬉しそうにモフられていたシルも、いつまでも続く俺のモフ攻撃が辛くなったのか、逃げ出そうとする。しかし俺は逃げられないようにシルを捕まえて更にモフる。
「テンマ」
更に顔を擦り付けながらモフる。
「テンマ!」
名前を呼ばれたのに気付いて顔を上げると、ミーシャがジト目でこちらを睨んでいた。
「どうした?」
俺が問うと、ミーシャは言う。
「シルは雄だよ?」
「んっ、そんなの知ってるよ?」
ミーシャは大きく息を吐くと、話題を変えることにしたようだ。
「暗くなってきたから、どうするのか聞きに来た」
外を見ると、確かにだいぶん暗くなっていた。
「そうだなぁ、今日は無理する必要はないから、ゆっくり休もうか」
「分かった。……それよりこのディ、ディメンション何とかは凄い!」
言い難そうだなぁ、そうだ!
「ディメンションエリアは言い難そうだから、『どこでも研修エリア』――略して『D研』にしようか?」
俺の言葉に、ミーシャは首を傾げる。
「けんしゅう?」
「研修っていうのは訓練と同じような意味だよ。要するに『どこでも訓練ができる場所』ってこと」
「分かった。この『D研』は凄い!」
とりあえず呼称は『D研』に決定したようだ。
第2話 ルームでまったり
「今日は『D研』の誕生祝いとして夕飯を俺が作ろう!」
D研から出た俺は、ルームを使う。
俺はミーシャと手を繋いで、シルの頭を撫でながらルームに入る。
ルームに俺以外の人間を入れるときは、体の一部が触れてないといけないからな。
リビングに移動すると、ミーシャに言う。
「俺は今から夕食を作るから、少し休憩するといいよ」
ミーシャは相当疲れていたのだろう。素直に頷いた。
そしてキッチンへ移動し、今晩のメニューを考える。
この世界での最初の手料理になるし、ミーシャが食べたことのない料理を作りたい。
そこで俺は、揚げ物用の油を町で見かけなかったこと、油が割高だったことを思い出す。
と、なると揚げ物を食べたことがないんじゃないか?
よし、ホロホロ鳥の唐揚げを作ろう!
俺は早速調理に取りかかる。
手早くホロホロ鳥を解体して塩と醤油の漬けダレに浸しておく。その間にポテトフライも作りたいので、ジャガイモの下拵えと、スープに入れる野菜の下拵えを行う。スープは作っておいた鶏ガラを使って中華風にする予定だ。主食はアイテムボックスに入れてあるパンでいいか。
シルにはいつも生の獲物しか与えていなかったから、ホーンラビットのオーブン焼きを作ってやろう。
オーブンには時短機能が付いているので、中に入れると五分ほどで焼き上がる。一度に三匹焼けるので今後のために余分に作っておくことにした。
そして、タレに浸していた肉に衣を纏わせて揚げる。その後にジャガイモも揚げて、皿には大量の唐揚げとポテトフライを盛り付けた。出来上がるとアイテムボックスに収納する。
スープの仕上げに胡麻油を流し入れて香り付けをしていると、ミーシャがやってきた。
「お腹空いた! こんなに美味しそうな香りがしていたら我慢できない。早く!」
「ちょうどできたよ。持っていくから向こうで持っててくれ」
ミーシャは嬉しそうにキッチンを後にした。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイニングに移動すると、すでにミーシャは座って待っていた。シルは尻尾を振りまくっている。
料理をテーブルに並べると、俺は胸を張って言う。
「それじゃあ、食べてくれ!」
シルは待っていましたとばかりにオーブン焼きに齧り付く。一口食べると気に入ったようで、ガツガツと食べ進める。
ミーシャはフォークを唐揚げに刺して、矯めつ眇めつしてから少し齧った。
するとすぐに目を見開いて、残りを一気に口に入れた。
尻尾をまっすぐに立てて、耳を寝かせて、ミーシャは幸せそうに目を輝かせている。
「これ、美味しい!」
更に唐揚げを口に放り込む。
「これは至高の食べ物!」
いくつか唐揚げを食べ、スープを飲んで――また目を見開いた。
「至高の飲み物!」
その後ポテトフライやパンを食べたときにもまた感動していた。
こうも喜んでもらえると、作った甲斐があったってもんだ。
シルはすでに食べ終え、物欲しそうな顔で俺を見ていた。
「今日はあと一匹で終わりだからな」
俺は溜息をつきながら、追加でオーブン焼きを出してやる。
そんな一人と一匹の食べっぷりを見ながら、俺も唐揚げを口に入れる。
最後に唐揚げを食べたのは、それほど前のことではない。それでも久しぶりの味に感動して黙々と食べ進めてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
食事を終えた俺は、リビングに移動してまったりしている。
デザートも出したかったが、材料になりそうな物をこの世界で見付けてないので、今は出せないのだ。
俺は夕飯の余韻を噛み締め、幸せそうにしているミーシャに風呂をすすめた。
「ミーシャ、夕飯も食べたことだし、風呂に入ったらどうだ?」
「……? クリアがあるから大丈夫」
「そうか……」
まぁあまりこちらの世界の住民には風呂って馴染みがないみたいだからな。それじゃあ遠慮なく風呂に入らせてもらうとするか。
俺はシルを連れて浴場に向かう。
この世界に来て初めての風呂だ。楽しみで仕方がない!
脱衣所で服を脱いで浴場に入り、クリアで体を綺麗にしてからシャワーで全身にお湯を浴びる。
シャワーの魔道具は研修時代に作った物。見た目は前世の世界にあったシャワーの形そっくりだ。魔力を流すと水が出るようになっている。温度の調節も可能だ。
シルは水が怖いのか、シャワーのお湯がかからないように距離を取っている。
「シル、こっちにおいで」
シャワーを止めて手招きしながらシルを呼ぶ。
シルは渋々といった感じで近づいてきた。
最初は前足に少しお湯をかけ、少しずつ慣らすように全身にお湯をかけていく。
お湯に慣れてきたのか、シルは段々と気持ち良さそうな表情になっていく。
俺の従魔になったからには、風呂の良さを知ってもらうからな!
そんなことを考えながら俺は、いくつかある風呂の中でも一番大きな風呂に入る。
「あ゛あ~!」
肩まで湯船に入ると、思わず声が漏れてしまう。
肉体は十四歳でも精神年齢は四十八歳。ついついオヤジ臭い声が出てしまう。
シルは躊躇していたが、俺が気持ち良さそうにしているのを見て湯船に入ってきた。最初は足がつかないので焦っていたようだが、すぐに犬かきスタイルで俺のそばまで泳いできた。
体を支えてやると、俺に体を預けて気持ち良さそうにする。
そうしてしばしシルと湯船で体を温めたら、再度洗い場に移動する。
そしてそこに置いてある『テンマ式リンス』をワンプッシュ手に出す。
『テンマ式リンス』は前世のリンスとは違う。錬金術を使って様々な薬草や香油などの素材を組み合わせて作った、髪用ポーションである。
『テンマ式リンス』を使うと俺の黒髪に天使の輪が見えるようになる。
十四歳の男に天使の輪ができても、誰得なのか分からないが……。
シルは湯船で泳いだりして遊んでいたが、やがて湯船を出て近づいてきた。
「シルもリンスしてやるぞ!」
シルは抵抗する素振りを見せなかったので、全身に『テンマ式リンス』を優しく塗ってやる。
魔物のシルに『テンマ式リンス』は大丈夫なのかな? なんて塗り始めてから少し不安になったが、万一何かがあっても回復魔法を使えばいいかと思って、そのまま試してみることにした。
シルの全身にリンスを塗ってから自分の髪を洗い流し、シルの体も洗い流す。
そして今度は先ほどまで使っていた湯船とは別の湯船に入る。こちらは泡が出る魔道具を用いて下から泡を出してジャグジーを再現している。
半身浴状態でしばらく汗を流し、湯船から出た。シルと一緒にシャワーで体を洗い流し、浴場を出て脱衣所に移動。もう一度クリアの魔法を自分とシルに使った。
クリアの魔法を使っても残念ながら体を乾かすことはできない。それでも過剰な水滴などは汚れと判定しているのか、少しだけ体にまとわりつく水滴が減ったのを感じる。
残った水滴はブロウで乾かすことにした。ブロウは風を発生させる生活魔術の一つ。lv4になると温風や冷風が出せるようになるので、ドライヤーの代わりとして使うこともできる。
自分の体を乾かして下着を穿いてから、シルをブロウで乾かす。
やっとこれの出番だ!
アイテムボックスから取り出したのはブラシだ。
研修時代は俺以外の人間と出会えなかった。その寂しさを埋めるために魔物をテイムしようとしていた時期があったのだ。
そのときにテイムした魔物をブラッシングできたらなぁと、何種類もブラシを作ったのである。
研修時代に魔物をテイムすることはできなかったが……やっとこのブラシを活用できる!
毛並みに沿ってブラシをかける。一回、二回、三回……。
ブラッシングするたびにシルの毛並みはモフモフ具合が増していく。シルの毛の色は白かったのだが、シルバーウルフの名に恥じない銀色に輝いているではないか!
シルの顔を覗き込むと、気持ち良いらしく、だらしない顔になっている。
まぁ俺もブラッシングしながらモフモフを堪能しているので、似たような顔をしているのだろうが。
モフモフの宝石箱やーーー‼
自分でも意味の分からないことを、心の中で叫んでしまった。
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