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番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?
第28話 そうなんだぁ……
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従者の一人であるドナシリルとお互いに武器を手にして向かい合っている。
先に動いたのはドナで、剣で突きを繰り出してきた。だけどまるで力が入っていないので、軽くロッドで弾くと、彼女は最初から弾かれることが分かっていたように剣を引き、すぐに力の入った突きを出してきた。
その突きも弾いて彼女の剣を持つ手にロッドで一撃を加える。その衝撃で彼女は剣を落として蹲る。
「ドナ、そんなミエミエの突きでは牽制になっていないわよ! それにフェイントだからといって軽すぎますわ!」
ドナは手が骨折したようで、涙目で私を睨んでいる。
「早くポーションで怪我を治しなさい!」
その程度ならすぐに研修を続けられると思って厳しめに話した。
「オーリン、もうお腹がタプタプで力が入らないわよ。一度お風呂で汗を流してからにしようよぉ~」
そういえば研修を始めて最初の一月ぐらいは、そうなるよねぇ~。
それより、あれから数日経っただけで、王女様の従者の彼女達とも随分と打ち解けた。ドナシリルは国王派閥のベルタ伯爵家の次女で、幼いころから王女様の従者として鍛えられていた女の子だ。すでに略称のドナと呼ぶようになっている。
でも打ち解け過ぎなのよねぇ~。
私も略称で彼女を呼ぶようになったけど、いつの間にか訓練中に私のことをオーリンとみんなが呼ぶようにもなっていた。
理由を尋ねたら、訓練中の私はオーガみたいに恐ろしいからと言われてしまったのである。
全部テンマ先生が悪いのよぉ~!
半年前までは大人しい貴族家の令嬢だったはずなんだけど……。
それはともかく、もう一人の従者のダニエンヌも隣でロンダの兵士に倒されているのに気付いた。
「そうね、そろそろお風呂に入って汗でも流しましょう。ダニ、お風呂に行くわよ!」
彼女もダニエンヌの略称であるダニと呼ぶようになった。研修中は呼びやすい名前のほうが楽だからだ。
ダニも怪我していたのか辛そうにポーションを出して飲み始めた。でも一気に飲めないのかお腹に手を当て何度かに分けて飲んでいる。ドナも涙目になりながらポーションを飲み始めていた。
今日はヴィンチザード王国の年末恒例の元老院議会が開かれている。シャルロッテ王女様も公務として元老院会議に参加しているから、今日は研修に来ていない。
王女様達と一緒に研修を始めて数日しか経っていないのに、王都では様々なことが起きていた。
大叔母様が王宮魔術師を引き抜いて王都近郊の道路整備しているとか、テンマ先生が『呪いの館』の浄化をして、その報酬として王家からその建物や周辺の土地を手に入れたとか……。
その話も王女様やバルドーさんから教えてもらったのよねぇ~。
私は何度も大叔母様やテンマ先生に会おうと宿に訪ねたけど、タイミングが悪いのか未だに王都に来てから会えていない。
それに今日の元老院議会が終われば、色々と画策していた元老院派閥の粛清を始まるとバルドーさんが楽しそうに話していた。
それまでは学園に通えないけど、王女様達と仲良くなれたのでそれほど気にしていない。
それにテンマ先生が手に入れた土地で、王都でも研修施設を作るつもりだとバルドーさんに聞いて、楽しみにもしている。
学園に通う意味はあるのかしら?
そんなことを考えながらドナとダニと一緒にお風呂に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
お風呂にはたっぷりと二時間近く入っていた。
ポーションでお腹がタプタプになっていた二人に付き合って大量に汗を流すためだ。
汗をかきまくり、予想以上に体力が減ったので体力回復ポーションを飲みたくなったくらいだ。それでは風呂に入った意味がないので、三人共だらしなくソファに座ってゆっくりと体力を回復させることにする。
すでに迎賓館には来客もいなくなっていたので、応接室で男子には見せられないようなだらしない表情を私達はしていた。
「ねえ、なんか人がいない割に落ち着きがない感じがするけど?」
ドナはソファに体を預けながら言ってきた。
そういえば使用人達に落ち着きがないような気がする。
使用人の一人の顔を向けると、彼女は申し訳なさそうに理由を話した。
「実は王都内に悪魔王が出たと噂が広まっていて、元老院の建物にも被害が出ているとか……」
えっ、どういうこと!
悪魔王とは物語に出てくる存在で、悪いことをすると悪魔王が制裁に現れると語られている。幼い子供に悪いことをすると悪魔王がやってくると脅しに使われるような話だ。
なんかテンマ先生の影がちらつくのよねぇ~。
そんな非常識な話は信じられないけど、テンマ先生の知識や能力も夢物語みたいだから、そんな風に感じてしまう。
でも悪魔王の話は信じられないけど、お父様が元老院会議に参加していたはずである。
「お父様やシャルロッテ王女様は無事なの!?」
身を乗り出して使用人に尋ねる。先程までだらしない表情をしていたドナとダニも座り直して真剣な表情で返事を持っている。
彼女達も王女様や親のことが心配なのだろう。
「そ、それが、まだ噂だけで─」
「私は無事よ!」
突然応接室に王女様が入ってきて、使用人の話を遮るように言った。
「な、なによぉ、シャル、戻ってきていたの?」
私は訓練の時に王女様を呼ぶときに使う略称で尋ねてしまった。
シャル王女とも、あっと言う間に略称で呼ぶようになるほど仲良くなっていたのだ。
「ええ、それより安心して大丈夫ですわ。元老院議会でとんでもないことが次々と起きましたけど、元老院派閥の関係者以外に被害は出ていませんわ!」
シャル王女の話でお父様が無事だと分かりホッとする。同じようにドナとダニも安心したような表情をしていた。
しかし、シャル王女は続けるように話した。
「それよりあなたの先生は冗談みたいな人みたいね……」
そうなんだぁ、もしかしてと思ったけど……。
今回の騒動にテンマ先生がかかわっていることは間違いないようだ。
先に動いたのはドナで、剣で突きを繰り出してきた。だけどまるで力が入っていないので、軽くロッドで弾くと、彼女は最初から弾かれることが分かっていたように剣を引き、すぐに力の入った突きを出してきた。
その突きも弾いて彼女の剣を持つ手にロッドで一撃を加える。その衝撃で彼女は剣を落として蹲る。
「ドナ、そんなミエミエの突きでは牽制になっていないわよ! それにフェイントだからといって軽すぎますわ!」
ドナは手が骨折したようで、涙目で私を睨んでいる。
「早くポーションで怪我を治しなさい!」
その程度ならすぐに研修を続けられると思って厳しめに話した。
「オーリン、もうお腹がタプタプで力が入らないわよ。一度お風呂で汗を流してからにしようよぉ~」
そういえば研修を始めて最初の一月ぐらいは、そうなるよねぇ~。
それより、あれから数日経っただけで、王女様の従者の彼女達とも随分と打ち解けた。ドナシリルは国王派閥のベルタ伯爵家の次女で、幼いころから王女様の従者として鍛えられていた女の子だ。すでに略称のドナと呼ぶようになっている。
でも打ち解け過ぎなのよねぇ~。
私も略称で彼女を呼ぶようになったけど、いつの間にか訓練中に私のことをオーリンとみんなが呼ぶようにもなっていた。
理由を尋ねたら、訓練中の私はオーガみたいに恐ろしいからと言われてしまったのである。
全部テンマ先生が悪いのよぉ~!
半年前までは大人しい貴族家の令嬢だったはずなんだけど……。
それはともかく、もう一人の従者のダニエンヌも隣でロンダの兵士に倒されているのに気付いた。
「そうね、そろそろお風呂に入って汗でも流しましょう。ダニ、お風呂に行くわよ!」
彼女もダニエンヌの略称であるダニと呼ぶようになった。研修中は呼びやすい名前のほうが楽だからだ。
ダニも怪我していたのか辛そうにポーションを出して飲み始めた。でも一気に飲めないのかお腹に手を当て何度かに分けて飲んでいる。ドナも涙目になりながらポーションを飲み始めていた。
今日はヴィンチザード王国の年末恒例の元老院議会が開かれている。シャルロッテ王女様も公務として元老院会議に参加しているから、今日は研修に来ていない。
王女様達と一緒に研修を始めて数日しか経っていないのに、王都では様々なことが起きていた。
大叔母様が王宮魔術師を引き抜いて王都近郊の道路整備しているとか、テンマ先生が『呪いの館』の浄化をして、その報酬として王家からその建物や周辺の土地を手に入れたとか……。
その話も王女様やバルドーさんから教えてもらったのよねぇ~。
私は何度も大叔母様やテンマ先生に会おうと宿に訪ねたけど、タイミングが悪いのか未だに王都に来てから会えていない。
それに今日の元老院議会が終われば、色々と画策していた元老院派閥の粛清を始まるとバルドーさんが楽しそうに話していた。
それまでは学園に通えないけど、王女様達と仲良くなれたのでそれほど気にしていない。
それにテンマ先生が手に入れた土地で、王都でも研修施設を作るつもりだとバルドーさんに聞いて、楽しみにもしている。
学園に通う意味はあるのかしら?
そんなことを考えながらドナとダニと一緒にお風呂に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
お風呂にはたっぷりと二時間近く入っていた。
ポーションでお腹がタプタプになっていた二人に付き合って大量に汗を流すためだ。
汗をかきまくり、予想以上に体力が減ったので体力回復ポーションを飲みたくなったくらいだ。それでは風呂に入った意味がないので、三人共だらしなくソファに座ってゆっくりと体力を回復させることにする。
すでに迎賓館には来客もいなくなっていたので、応接室で男子には見せられないようなだらしない表情を私達はしていた。
「ねえ、なんか人がいない割に落ち着きがない感じがするけど?」
ドナはソファに体を預けながら言ってきた。
そういえば使用人達に落ち着きがないような気がする。
使用人の一人の顔を向けると、彼女は申し訳なさそうに理由を話した。
「実は王都内に悪魔王が出たと噂が広まっていて、元老院の建物にも被害が出ているとか……」
えっ、どういうこと!
悪魔王とは物語に出てくる存在で、悪いことをすると悪魔王が制裁に現れると語られている。幼い子供に悪いことをすると悪魔王がやってくると脅しに使われるような話だ。
なんかテンマ先生の影がちらつくのよねぇ~。
そんな非常識な話は信じられないけど、テンマ先生の知識や能力も夢物語みたいだから、そんな風に感じてしまう。
でも悪魔王の話は信じられないけど、お父様が元老院会議に参加していたはずである。
「お父様やシャルロッテ王女様は無事なの!?」
身を乗り出して使用人に尋ねる。先程までだらしない表情をしていたドナとダニも座り直して真剣な表情で返事を持っている。
彼女達も王女様や親のことが心配なのだろう。
「そ、それが、まだ噂だけで─」
「私は無事よ!」
突然応接室に王女様が入ってきて、使用人の話を遮るように言った。
「な、なによぉ、シャル、戻ってきていたの?」
私は訓練の時に王女様を呼ぶときに使う略称で尋ねてしまった。
シャル王女とも、あっと言う間に略称で呼ぶようになるほど仲良くなっていたのだ。
「ええ、それより安心して大丈夫ですわ。元老院議会でとんでもないことが次々と起きましたけど、元老院派閥の関係者以外に被害は出ていませんわ!」
シャル王女の話でお父様が無事だと分かりホッとする。同じようにドナとダニも安心したような表情をしていた。
しかし、シャル王女は続けるように話した。
「それよりあなたの先生は冗談みたいな人みたいね……」
そうなんだぁ、もしかしてと思ったけど……。
今回の騒動にテンマ先生がかかわっていることは間違いないようだ。
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