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番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?
第14話 実技試験(武術)
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魔術の実技試験を終えて武術の実技試験会場に移動する。移動中に他の生徒たちが私の噂話をしているのが聞こえていた。
レベル一桁というのは驚くことなのね……。
武術の実技試験会場に到着すると人の多さに驚いた。魔術の実技試験は五十人ほどで、男女比は半々だった。しかし、こちらの試験会場には二百人を超える生徒たちがいて、男女比は9対1で圧倒的に男子が多い。
試験を待っている生徒の顔つきも真剣そのもので、模擬剣や模擬槍で練習している生徒もいる。
ほとんどが爵位を継げない貴族家の子供なのだろう。学園でそれなりの成績をとらないと、良い働き先が見つからないのだろう。
女子は少ないので案内に従って端の試験場に移動する。魔術の実技試験を受けていた女子の大半は帰ってしまい、八人しかこちらの実技試験を受けないようだ。
「こちらから練習用の武器を選んで準備してください!」
女子の試験官は女性ばかりで、王宮の紋章の入った装備の騎士もいるみたいであった。
練習用の武器を見に行くと、様々な大きさの剣がほとんどで、穂先のない槍も置かれていた。でも杖やロッドが無かった。
「すみません。私は杖かロッドで試験を受けます。練習用の武器はないのでしょうか?」
試験官の女性が驚いた表情をして言った。
「あなたそんな武器で試験を受けるの?」
やはりここでも杖術スキルは知られていないようだ。
「私は魔術師です。武器は杖かロッドになります!」
相手が杖術スキルを知らなくても、剣では杖術スキルが使えないので実力が発揮できない。私はハッキリと答えた。
試験官の女性は呆れたように溜息を付くのが分かった。
「どうした?」
試験官の後ろから女性騎士が前に出て尋ねてきた。試験官の女性が呆れたように説明する。
「彼女は杖かロッドで実技試験を受けるそうです。まあ、形だけの試験参加じゃないですか?」
ああ、そんな風に私のことを見ていたのかぁ~。
実技試験を受けないよりは受けると成績が上がることは私も聞いていた。私も少しでも成績を良くして、上位のクラスで魔術系の授業を受けたくて、武術の試験も受けにきたのは間違いない。
私はそれほど体格も大きくないから、家族に言われて形だけ実技試験を受けにきたと思われたようだ。
女性騎士は少し困ったような顔をしたけど、すぐに私の手にロッドが握られていることに気付くと苦笑して話した。
「そのロッドで試験を受けさせて問題無いわ!」
自分のロッドで試験に参加する許可をもらえたけど、また目立ってしまったようだ。また軽蔑するような視線が私に向けられているのを感じていた。
先程の試験官が模擬剣を構えて一段盛り上がった試験エリアに上がる。もう一人の試験官が指名して順番に試験をするようだ。なぜか王女様が騎士の一人に声をかけていた。
試験が始まったけど、私に対する試験官や女性騎士の態度も仕方なかったと気付いた。
まともに剣も振れない生徒や、軽く剣を打ち合うだけで悲鳴を上げ、剣を落とす女子生徒もいた。これには私も呆れてしまう。
ただ不思議なことに私は中々指名されなかった。最初のやり取りを考えると早めに終わらせようと、早々に指名されると思っていたのだ。
しかし、残るは王女とその従者の二人だけになり、従者の女子生徒が指名されるとさすがに不自然だと思った。理由は分からないけど、先ほど王女が騎士に何か話していたのは、私を最後に指名するように指示をしたのかと疑いたくなる。だけどそれを確認する勇気はなかった。
従者の女子生徒が試験エリアに上がると、試験官も王宮の紋章の入った女性騎士に入れ替わった。
女子生徒は真剣な表情で細剣タイプの模擬剣を構える。その姿は明らかに戦い慣れした雰囲気を漂わせていた。
試験官の開始の合図で試験が始まる。
女子生徒は合図と同時に飛び出すように騎士に近づいて、細剣を真っ直ぐと女性騎士に向かって突き出した。女性騎士は余裕の表情で細剣を弾いて軌道を変える。女性生徒は細剣を弾かれても冷静に何度も連続で突きを放っている。
レベルが全く違うじゃん!
これまでの試験とは違い、本格的な騎士同士の戦いだと錯覚しそうになる。それでも女性騎士は攻撃することなく、余裕で女子生徒の攻撃を受けきっていた。
身体強化は使わないのねぇ~。
二人とも真剣に戦っているけど身体強化スキルを使っていない。実技試験では身体強化スキルが禁止されているのかと思った。
その時、女子生徒が強めに突きを繰り出した。女性騎士は突き出された細剣を絡めとるように剣でいなすと、女子生徒の手から剣が上方へ弾き飛ばされてしまった。
試験官により試験終了の合図がされ、女子生徒は悔しそうな顔をしていた。
続いて体格の良い従者が指名され試験が始まる。彼女は盾と槍を使って戦うようだ。
最初は善戦していたけど、女性騎士が素早く動きだすと防御が間に合わなくなり、体制を崩したところで勝負が決まった。
王女は一人目の従者と同じような細剣での戦いをしていたけど、従者ほどの実力はなく、すぐに剣を首に突き付けられてしまった。それでも魔術もあれほど使えて、剣術もそれなりに使える王女は幼いころから英才教育を受けてきたのは間違いないだろう。
でも……、ピピちゃんのほうが強いんじゃないかしら?
それぞれが剣術スキルや槍術スキル、もしかしたら盾術スキルを取得していると感じる戦いだと思った。それでも七歳のピピちゃんの動きにはついていけない気がした。
最後に私が指名される。どう考えても王女より後で指名されるのは解せない。
他の生徒も嘲るように笑っている人が多い。試験官や従者の二人も呆れた顔で試験エリアに向かう私を見つめていた。
女性騎士に対峙して杖を構える。女性騎士も王女や従者たちと戦った時の真剣な顔ではなく、余裕の表情で私を見ていた。
まあ、別に構わないけどね。
上位のクラスに入りたいだけなので、武術の実技試験はそこそこ加点できれば構わないと思っていた。それどころか魔術の実技試験があの程度なら、それほどこちらの実技試験を頑張ることはないかと思っていた。
そう考えて無駄に緊張することなく試験に挑む。試験官が開始の合図をすると全力で女性騎士に向かって走りだす。
ガンッ、ガシャン!
「えっ?」「あっ!」
驚きの事態に私と女性騎士は声を出して見つめ合ってしまった。
私は女性騎士に近づいて相手の剣をロッドで払って、その隙にロッドで攻撃するつもりだった。しかし、女性騎士の剣をロッドで横から叩くと、女性騎士は油断していたのか剣を弾き飛ばしてしまったのだ。
「何をしている!」
声のほうを見ると、王女が声をかけていた別の女性騎士が怒りの表情で剣を弾かれた女性騎士を睨んでいた。
睨まれた女性騎士は焦ったように弾かれた剣を拾いにいく。
え~と、彼女は見た目で油断していたのよね?
ある意味、実技試験としては私が勝ったことになるのかと戸惑ってしまう。他の生徒や試験官も驚いた表情をしていた。
「私が試験の相手役をする!」
剣を拾った女性騎士に下がるように命令して、その女性騎士が試験エリアに上がってきた。
その女性騎士をよく見ると同じような王宮の紋章の入った装備を付けているが、先ほどの女性騎士より手の込んだ造りになっていた。
も、もしかして女性隊長とか?
王宮の騎士団の身分はよく分からないけど、明らかに見た目も雰囲気も隊長っぽい。私は勝手に女性隊長と頭の中で呼んでいた。
レベル一桁というのは驚くことなのね……。
武術の実技試験会場に到着すると人の多さに驚いた。魔術の実技試験は五十人ほどで、男女比は半々だった。しかし、こちらの試験会場には二百人を超える生徒たちがいて、男女比は9対1で圧倒的に男子が多い。
試験を待っている生徒の顔つきも真剣そのもので、模擬剣や模擬槍で練習している生徒もいる。
ほとんどが爵位を継げない貴族家の子供なのだろう。学園でそれなりの成績をとらないと、良い働き先が見つからないのだろう。
女子は少ないので案内に従って端の試験場に移動する。魔術の実技試験を受けていた女子の大半は帰ってしまい、八人しかこちらの実技試験を受けないようだ。
「こちらから練習用の武器を選んで準備してください!」
女子の試験官は女性ばかりで、王宮の紋章の入った装備の騎士もいるみたいであった。
練習用の武器を見に行くと、様々な大きさの剣がほとんどで、穂先のない槍も置かれていた。でも杖やロッドが無かった。
「すみません。私は杖かロッドで試験を受けます。練習用の武器はないのでしょうか?」
試験官の女性が驚いた表情をして言った。
「あなたそんな武器で試験を受けるの?」
やはりここでも杖術スキルは知られていないようだ。
「私は魔術師です。武器は杖かロッドになります!」
相手が杖術スキルを知らなくても、剣では杖術スキルが使えないので実力が発揮できない。私はハッキリと答えた。
試験官の女性は呆れたように溜息を付くのが分かった。
「どうした?」
試験官の後ろから女性騎士が前に出て尋ねてきた。試験官の女性が呆れたように説明する。
「彼女は杖かロッドで実技試験を受けるそうです。まあ、形だけの試験参加じゃないですか?」
ああ、そんな風に私のことを見ていたのかぁ~。
実技試験を受けないよりは受けると成績が上がることは私も聞いていた。私も少しでも成績を良くして、上位のクラスで魔術系の授業を受けたくて、武術の試験も受けにきたのは間違いない。
私はそれほど体格も大きくないから、家族に言われて形だけ実技試験を受けにきたと思われたようだ。
女性騎士は少し困ったような顔をしたけど、すぐに私の手にロッドが握られていることに気付くと苦笑して話した。
「そのロッドで試験を受けさせて問題無いわ!」
自分のロッドで試験に参加する許可をもらえたけど、また目立ってしまったようだ。また軽蔑するような視線が私に向けられているのを感じていた。
先程の試験官が模擬剣を構えて一段盛り上がった試験エリアに上がる。もう一人の試験官が指名して順番に試験をするようだ。なぜか王女様が騎士の一人に声をかけていた。
試験が始まったけど、私に対する試験官や女性騎士の態度も仕方なかったと気付いた。
まともに剣も振れない生徒や、軽く剣を打ち合うだけで悲鳴を上げ、剣を落とす女子生徒もいた。これには私も呆れてしまう。
ただ不思議なことに私は中々指名されなかった。最初のやり取りを考えると早めに終わらせようと、早々に指名されると思っていたのだ。
しかし、残るは王女とその従者の二人だけになり、従者の女子生徒が指名されるとさすがに不自然だと思った。理由は分からないけど、先ほど王女が騎士に何か話していたのは、私を最後に指名するように指示をしたのかと疑いたくなる。だけどそれを確認する勇気はなかった。
従者の女子生徒が試験エリアに上がると、試験官も王宮の紋章の入った女性騎士に入れ替わった。
女子生徒は真剣な表情で細剣タイプの模擬剣を構える。その姿は明らかに戦い慣れした雰囲気を漂わせていた。
試験官の開始の合図で試験が始まる。
女子生徒は合図と同時に飛び出すように騎士に近づいて、細剣を真っ直ぐと女性騎士に向かって突き出した。女性騎士は余裕の表情で細剣を弾いて軌道を変える。女性生徒は細剣を弾かれても冷静に何度も連続で突きを放っている。
レベルが全く違うじゃん!
これまでの試験とは違い、本格的な騎士同士の戦いだと錯覚しそうになる。それでも女性騎士は攻撃することなく、余裕で女子生徒の攻撃を受けきっていた。
身体強化は使わないのねぇ~。
二人とも真剣に戦っているけど身体強化スキルを使っていない。実技試験では身体強化スキルが禁止されているのかと思った。
その時、女子生徒が強めに突きを繰り出した。女性騎士は突き出された細剣を絡めとるように剣でいなすと、女子生徒の手から剣が上方へ弾き飛ばされてしまった。
試験官により試験終了の合図がされ、女子生徒は悔しそうな顔をしていた。
続いて体格の良い従者が指名され試験が始まる。彼女は盾と槍を使って戦うようだ。
最初は善戦していたけど、女性騎士が素早く動きだすと防御が間に合わなくなり、体制を崩したところで勝負が決まった。
王女は一人目の従者と同じような細剣での戦いをしていたけど、従者ほどの実力はなく、すぐに剣を首に突き付けられてしまった。それでも魔術もあれほど使えて、剣術もそれなりに使える王女は幼いころから英才教育を受けてきたのは間違いないだろう。
でも……、ピピちゃんのほうが強いんじゃないかしら?
それぞれが剣術スキルや槍術スキル、もしかしたら盾術スキルを取得していると感じる戦いだと思った。それでも七歳のピピちゃんの動きにはついていけない気がした。
最後に私が指名される。どう考えても王女より後で指名されるのは解せない。
他の生徒も嘲るように笑っている人が多い。試験官や従者の二人も呆れた顔で試験エリアに向かう私を見つめていた。
女性騎士に対峙して杖を構える。女性騎士も王女や従者たちと戦った時の真剣な顔ではなく、余裕の表情で私を見ていた。
まあ、別に構わないけどね。
上位のクラスに入りたいだけなので、武術の実技試験はそこそこ加点できれば構わないと思っていた。それどころか魔術の実技試験があの程度なら、それほどこちらの実技試験を頑張ることはないかと思っていた。
そう考えて無駄に緊張することなく試験に挑む。試験官が開始の合図をすると全力で女性騎士に向かって走りだす。
ガンッ、ガシャン!
「えっ?」「あっ!」
驚きの事態に私と女性騎士は声を出して見つめ合ってしまった。
私は女性騎士に近づいて相手の剣をロッドで払って、その隙にロッドで攻撃するつもりだった。しかし、女性騎士の剣をロッドで横から叩くと、女性騎士は油断していたのか剣を弾き飛ばしてしまったのだ。
「何をしている!」
声のほうを見ると、王女が声をかけていた別の女性騎士が怒りの表情で剣を弾かれた女性騎士を睨んでいた。
睨まれた女性騎士は焦ったように弾かれた剣を拾いにいく。
え~と、彼女は見た目で油断していたのよね?
ある意味、実技試験としては私が勝ったことになるのかと戸惑ってしまう。他の生徒や試験官も驚いた表情をしていた。
「私が試験の相手役をする!」
剣を拾った女性騎士に下がるように命令して、その女性騎士が試験エリアに上がってきた。
その女性騎士をよく見ると同じような王宮の紋章の入った装備を付けているが、先ほどの女性騎士より手の込んだ造りになっていた。
も、もしかして女性隊長とか?
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