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番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?
第3話 久しぶりの再開
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馬車がお屋敷の玄関前に止まり、お父様が先に降りてお母様と私はお父様にエスコートされて馬車から降りる。そんなお父様の行動はいつもと変わらないけど、王都という雰囲気だけでお姫さまにもなったような気分になる。
馬車を降りてお屋敷を改めて見てみる。白い壁はきれいに手入れがされていて、玄関の上には素敵な装飾がされていた。
見上げるように玄関を見ていると、玄関が開いてメイドさんなどの使用人が出てきた。その使用人に荷物をおろすように指示するソロテア祖母様がいた。
祖母様は五年前に兄が王都の学園に入り、その保護者として一緒に王都へ行ってしまったので姿を見たのは五年振りであった。礼儀には厳しかったけど、私には幼いころから優しい祖母様であった。
祖母様の姉である大叔母様が逆らえない、唯一の人でもある。
見た目や立場は大叔母様の母親みたいだけどね。
魔力量の多い大叔母様はその影響で老化が遅く、お母様と同じ三十代半ばに見える。女性なら魔力量を増やして老化を遅らせることを夢見るが、簡単なことではない。
テンマ先生の知識が広まれば、夢ではなくなると思うわ。
テンマ先生の研修では禁忌だった魔力枯渇をして、レベルアップしなくても最大魔力量が少しずつ増えるという訓練がある。最初は信じられなかったけど、その効果は絶大で、たった半年で驚くほど私は最大魔力量が増えた。
今では最大魔力量が増えたことで、成長が止まってしまわないか心配になるほどである。
と、特にある一部分の成長が……。
思わず慎ましい胸を手で隠すように覆ってしまう。
祖母様にお父様とお母様が挨拶を終えると今度は私の番だ。祖母様は黙って優しい笑顔を私に向けてきた。私は幼い頃のことを思い出して涙が出そうになり、祖母様に走り寄って抱きつきたくなるのを我慢する。
目から涙が零れ落ちそうになるのを必死に堪え、貴族令嬢らしく片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、スカートの端を両手で軽く持ち上げカーテシーで挨拶する。
「祖母様、お久しぶりでございます」
祖母様は嬉しそうな笑顔になり、軽くカーテシーしてくれた。
「アーリン、久しぶりね。少し見ない間にこんなに立派な淑女になったのね。姉上様の近くで育ったから心配していたのよ。ソフィアさんがしっかりと教育してくれたようね」
そういえば大叔母様がカーテシーしているのを見たことないなぁ。
今はそんなことは関係ない!
よく見ると祖母様の優しい目にも涙が溜まっているのに気付いた。それを見ると我慢できなくなり、祖母様に走り寄って抱きついてしまった。
「あらあら、淑女としては少しはしたないわね。でも祖母としては最高に嬉しいわ」
祖母様は優しく私の頭を撫でながら抱き締めてくれた。私は幼い頃を思い出しながら祖母様の胸に顔を埋めた。
「あの可愛いかった妹のアーリンが、私に気付いてくれなくて本当に悲しいよ」
懐かしい声に顔を上げると、祖母様の後ろにいる人物と目が合う。ちょっと渋い顔をして見せようとしているけど、私に会えて嬉しそうなのも分かる。
「レオンお兄様、お久しぶりです!」
「やっと気付いてくれて嬉しいけど、祖母様みたいに私には抱きついてくれないのかい?」
レオンお兄様は冗談っぽく話していた。久しぶりに会ったお兄様は五年前に別れた頃とは違い、素敵な青年になっていて少しドキドキする。私は照れながら話した。
「淑女なったアーリンは、家族といえども殿方に抱きついたりはしませんわ」
「ハハハッ、その頬を膨らませて拗ねる淑女は、間違いなく私が愛する妹のアーリンだねぇ」
お兄様は笑いながら答えてくれた。
「もうっ、お兄様の意地悪。今度訓練に付き合ってもらいますからね。強くなったアーリンもお見せしますわ!」
「クククッ、喜んでお相手を務めさせてもらいましょう。アーリンお嬢様」
お兄様は冗談っぽく紳士らしい礼をしながら笑顔で答えてくれた。
「「ダメだ(よ)!」」
お父様とお母様が同時に大きな声を出してお兄様を止めた。私だけでなく祖母様や止められたお兄様も驚いた表情をしていた。
「大丈夫ですよ。可愛い妹と軽く訓練に付き合うだけですから」
「「大丈夫じゃない(わ)!」」
またしてもお父様とお母様が声を揃えてお兄様の返事を否定した。
お兄様は理由が分からず困ったような表情をしていた。お父様はそんなお兄様を見て、大きく息を吐き出してから話した。
「ふぅ~、アーリンと訓練するのは、彼とアーリンとの訓練を見てからにしなさい!」
お父様が指差したのは護衛としてロンダから一緒に来た兵士だ。彼はテンマ先生の研修施設で大きく実力が上がった兵士である。旅の途中にも休憩の度に訓練に付き合ってくれていた。
「わ、わかりました。父上」
お兄様はまだ戸惑った様子だったけど、父上の話に了承したのである。
う~ん、テンマ先生の訓練で私も少しは強くなったから大丈夫なのにね?
幼い頃はお兄様の遊び相手でしかなかったけど、いまなら普通に訓練できそうだと思っていた。両親にそこまで信用がないのかと少し落ち込んでしまった。
馬車を降りてお屋敷を改めて見てみる。白い壁はきれいに手入れがされていて、玄関の上には素敵な装飾がされていた。
見上げるように玄関を見ていると、玄関が開いてメイドさんなどの使用人が出てきた。その使用人に荷物をおろすように指示するソロテア祖母様がいた。
祖母様は五年前に兄が王都の学園に入り、その保護者として一緒に王都へ行ってしまったので姿を見たのは五年振りであった。礼儀には厳しかったけど、私には幼いころから優しい祖母様であった。
祖母様の姉である大叔母様が逆らえない、唯一の人でもある。
見た目や立場は大叔母様の母親みたいだけどね。
魔力量の多い大叔母様はその影響で老化が遅く、お母様と同じ三十代半ばに見える。女性なら魔力量を増やして老化を遅らせることを夢見るが、簡単なことではない。
テンマ先生の知識が広まれば、夢ではなくなると思うわ。
テンマ先生の研修では禁忌だった魔力枯渇をして、レベルアップしなくても最大魔力量が少しずつ増えるという訓練がある。最初は信じられなかったけど、その効果は絶大で、たった半年で驚くほど私は最大魔力量が増えた。
今では最大魔力量が増えたことで、成長が止まってしまわないか心配になるほどである。
と、特にある一部分の成長が……。
思わず慎ましい胸を手で隠すように覆ってしまう。
祖母様にお父様とお母様が挨拶を終えると今度は私の番だ。祖母様は黙って優しい笑顔を私に向けてきた。私は幼い頃のことを思い出して涙が出そうになり、祖母様に走り寄って抱きつきたくなるのを我慢する。
目から涙が零れ落ちそうになるのを必死に堪え、貴族令嬢らしく片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、スカートの端を両手で軽く持ち上げカーテシーで挨拶する。
「祖母様、お久しぶりでございます」
祖母様は嬉しそうな笑顔になり、軽くカーテシーしてくれた。
「アーリン、久しぶりね。少し見ない間にこんなに立派な淑女になったのね。姉上様の近くで育ったから心配していたのよ。ソフィアさんがしっかりと教育してくれたようね」
そういえば大叔母様がカーテシーしているのを見たことないなぁ。
今はそんなことは関係ない!
よく見ると祖母様の優しい目にも涙が溜まっているのに気付いた。それを見ると我慢できなくなり、祖母様に走り寄って抱きついてしまった。
「あらあら、淑女としては少しはしたないわね。でも祖母としては最高に嬉しいわ」
祖母様は優しく私の頭を撫でながら抱き締めてくれた。私は幼い頃を思い出しながら祖母様の胸に顔を埋めた。
「あの可愛いかった妹のアーリンが、私に気付いてくれなくて本当に悲しいよ」
懐かしい声に顔を上げると、祖母様の後ろにいる人物と目が合う。ちょっと渋い顔をして見せようとしているけど、私に会えて嬉しそうなのも分かる。
「レオンお兄様、お久しぶりです!」
「やっと気付いてくれて嬉しいけど、祖母様みたいに私には抱きついてくれないのかい?」
レオンお兄様は冗談っぽく話していた。久しぶりに会ったお兄様は五年前に別れた頃とは違い、素敵な青年になっていて少しドキドキする。私は照れながら話した。
「淑女なったアーリンは、家族といえども殿方に抱きついたりはしませんわ」
「ハハハッ、その頬を膨らませて拗ねる淑女は、間違いなく私が愛する妹のアーリンだねぇ」
お兄様は笑いながら答えてくれた。
「もうっ、お兄様の意地悪。今度訓練に付き合ってもらいますからね。強くなったアーリンもお見せしますわ!」
「クククッ、喜んでお相手を務めさせてもらいましょう。アーリンお嬢様」
お兄様は冗談っぽく紳士らしい礼をしながら笑顔で答えてくれた。
「「ダメだ(よ)!」」
お父様とお母様が同時に大きな声を出してお兄様を止めた。私だけでなく祖母様や止められたお兄様も驚いた表情をしていた。
「大丈夫ですよ。可愛い妹と軽く訓練に付き合うだけですから」
「「大丈夫じゃない(わ)!」」
またしてもお父様とお母様が声を揃えてお兄様の返事を否定した。
お兄様は理由が分からず困ったような表情をしていた。お父様はそんなお兄様を見て、大きく息を吐き出してから話した。
「ふぅ~、アーリンと訓練するのは、彼とアーリンとの訓練を見てからにしなさい!」
お父様が指差したのは護衛としてロンダから一緒に来た兵士だ。彼はテンマ先生の研修施設で大きく実力が上がった兵士である。旅の途中にも休憩の度に訓練に付き合ってくれていた。
「わ、わかりました。父上」
お兄様はまだ戸惑った様子だったけど、父上の話に了承したのである。
う~ん、テンマ先生の訓練で私も少しは強くなったから大丈夫なのにね?
幼い頃はお兄様の遊び相手でしかなかったけど、いまなら普通に訓練できそうだと思っていた。両親にそこまで信用がないのかと少し落ち込んでしまった。
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