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第13章 懐かしい旅路
第17話 大人の階段……
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アンナのあまりにも強引な行動に俺は腹が立っていた。だが、ジジが寝室の扉の前で恥ずかしそうにしているのを見て考えを改める。
結果的にジジに俺が愛していると伝わったし、ジジが俺を愛していると確認できた。ヘタレな俺だけでは、いつまでも二人の関係は進まなかったかもしれない。
アンナに感謝してもいいと思いながら、きちんと自分の意思を、自分の言葉でジジに伝えたいと思った。
「ジジ」
「ひゃい!」
ジジもこの状況に緊張しているのだろう。そう考えると少し落ち着いてきた。
改めて気合を入れ直して素直な気持ちでジジに話す。
「俺はジジのこと一人の女の子として愛している」
ジジは少し驚いた表情になったが、すぐに泣きそうな表情になり、そして答えてくれた。
「私もテンマ様のことを愛しています」
先ほどのようなアンナによる強引な愛の告白ではない。ジジの素直な気持ちがしっかりと伝わってきた。
「ジジ、改めて言わせてくれ。俺の妻になって、一生そばにいてほしい」
「は、はい、喜んで、グスッ」
前世と合わせて五十数年。初めて愛する女の子に告白して、オーケーの返事をもらえた。アンナのお陰でほぼ了承してもらえることが分かっていたので、ずるいともいえるが……。
でも、嬉しいよぉ~!
俺はジジの目を見つめながら歩み寄る。
ジジは潤んだ瞳で俺のことを見つめ返してくれた。
溢れる思いが抑えられず、気付くと俺の唇とジジの唇が触れ合っていた。
愛する女の子と初めてのキスだぁーーーーー!
前世も含めて初めての経験はとろけるようでありながら熱く柔らかく、想像を超える幸せの波が押し寄せてくるような気がした。
お互いの唇が離れてジジを見ると、ジジの瞳から美しい涙が零れていた。たぶん俺も涙を流しているのだろう。頬に涙が流れるのが感じられたからだ。
俺はずっと心に決めていたことジジに話す。
「俺は十八歳になったらジジと結婚しようと決めていた。正式な妻になるのはそれまで待って欲しい。だからそれまで婚約者としてジジを紹介したい」
「はい、私はそれで構いません」
くだらないこだわりかもしれないが、前世の成人年齢まで我慢しようとして決めてきたのだ。それは守り通したい。
パサッ!
不意になにかが落ちる音がした。
二人が同時に下を見ると、先ほどジジがアンナから受け取ったものが落ちていた。
驚くほど煽情的でありながら、不思議とジジに似合いそうな、ゲフン……。
目を見開いてそれを見ていると、恥ずかしそうにしていたジジが言った。
「き、着替えましょうか……」
いやいや、それは早すぎるからぁ~!
その日の夜、俺はジジと二人で過ごした。大人の階段を一段だけ上り、その場で何度も足踏みをしたのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
昨晩は気持ちが高ぶって寝られないかと思ったが、精神的に疲れたのかいつのまにか寝ていた。目を覚ますとジジが先に起きていて、横で笑顔を見せてくれた。
幸せだなぁ~。
朝から大人の階段で足踏みをして、着替えるとジジと手を繋いでリビングに下りていく。リビングでは目の下の隈の無くなったアンナが、笑顔で俺達を迎えてくれた。
「アンナ、今晩領主のアルベルトさんや奥様達と食事する予定だ。悪いけどお土産を用意してくれるかい?」
大人の階段をたった一段だが上がったことで、自分の中で自信が溢れ出るような気がした。だからこれまで違って、アンナに下着を用意するように俺から頼んだのだ。
大人になった俺は、そんなことで照れないぞ!
そんな俺の雰囲気を感じたのか、アンナは笑顔で答えてきた。
「わかりました。それなら奥様も一緒にお土産を選んでもらえると助かります。少しだけよろしいでしょうか?」
おうふ、は、早くも奥様呼び!
ちょっとそれは早すぎると思う。ジジも顔を赤らめていた。
「お、奥様と呼ぶのは早すぎるよ。正式に結婚するのは俺が十八歳になってからだ。それまでは婚約者としてジジを扱ってほしい!」
大人になった俺は、少しだけ動揺したが堂々とアンナに話した。アンナは不思議そうな表情を見せたが、すぐにジジを連れて奥に行ってしまった。
ご婦人用のお土産なら選ぶのに時間が掛かると思っていた。だがすぐに戻ってくる二人の声が聞こえてきた。
「ジジちゃん頑張らないとダメよ」
「い、いえ、私はこれくらいが……」
んっ、何を頑張るんだ?
疑問に感じているとリビングに二人が入ってきた。ジジは行く前より顔が赤くなっていて、アンナは軽蔑するように睨んできた。
えっ、な、なんで?
アンナに睨まれるようなことをした記憶はないので戸惑った。
「テ、テンマ様、お土産はアンナさんが準備してくれます」
疑問を感じていたが、ジジもアンナの表情に気付いて、焦ったように話してきた。なんか引っかかるが、それよりも朝食でジジのことをみんなに話すのが間に合うと考えた。
「そう、それなら急いでみんなとの朝食へ行こう!」
急いでジジの手を取り、リビングを後にしようとした。
「ケッ、ヘタレが……」
幻聴か?
後ろから、たぶんアンナの声で不穏な言葉が聞こえてきた。
俺は振り返って……、すぐにまた戻った。
オワッ、今度は幻覚か!
振り返った先には、恐ろしい表情のアンナがいた気がする。あまりの恐怖にすぐにまた振り返ったのだ。
アンナは元女神だから本当に美しい……、それがあれほど歪むのか!
顔が歪み、目をまるでゴミでも見るように俺を見ていた。額には血管やしわが寄り、口から唾でも吐いているような表情だった。
み、見なかったことにしよう!
俺はしっかりとジジの手を握り締め、新ドロテア屋敷の食堂へ向かうのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
俺達が朝食に到着すると、ちょうど朝食が始まるところだった。
ドロテアさんとサーシャさんは手を繋いで現れた俺達にイヤらしい視線を向けてきた。大人になった俺は気にせずジジをエスコートして席に着いた。
すぐに朝食が始まり、落ち着いたところで俺はみんなに話した。
「え~と、俺が十八歳になったら正式にジジと結婚する。それまでジジは俺の婚約者になる。みんなもそのつもりでいてくれ!」
ちょっと浮かれ気味にみんなに報告した。俺は早くみんなに話したくて我慢できなかった。
「「「おめでとう!」」」
みんなはすぐに声を揃えて祝ってくれた。俺とジジはそれに笑顔で答える。
サーシャ「ミーシャも頑張りなさい!」
ミーシャ「んっ、頑張る?」
ピピ「ピピもお兄ちゃんと結婚する~」
メイ「メイも結婚なのぉ~」
ランガ「メイに手を出したら殺す!」
エアル「ふふふっ、ようやくじゃ……」
ドロテア「そうじゃ、子種をな、クククッ」
フリージア「私は側室かしらねぇ」
朝食は一気にその話で盛り上がった。一部不穏な発言も聞こえてくるが……。
俺はみんなから歓迎されていると感じて、喜びと安堵を感じていた。
朝食後にドロテアさんとサーシャさん、それと土地神様にジジが連れていかれた。
俺は女の子同士の話でもあるのだろうと気にせず、庭で子供達と遊ぶのであった。
昼食の時間になり子供達と戻ってくると、なぜかアンナと同じ軽蔑するような視線にさらされたのである。
結果的にジジに俺が愛していると伝わったし、ジジが俺を愛していると確認できた。ヘタレな俺だけでは、いつまでも二人の関係は進まなかったかもしれない。
アンナに感謝してもいいと思いながら、きちんと自分の意思を、自分の言葉でジジに伝えたいと思った。
「ジジ」
「ひゃい!」
ジジもこの状況に緊張しているのだろう。そう考えると少し落ち着いてきた。
改めて気合を入れ直して素直な気持ちでジジに話す。
「俺はジジのこと一人の女の子として愛している」
ジジは少し驚いた表情になったが、すぐに泣きそうな表情になり、そして答えてくれた。
「私もテンマ様のことを愛しています」
先ほどのようなアンナによる強引な愛の告白ではない。ジジの素直な気持ちがしっかりと伝わってきた。
「ジジ、改めて言わせてくれ。俺の妻になって、一生そばにいてほしい」
「は、はい、喜んで、グスッ」
前世と合わせて五十数年。初めて愛する女の子に告白して、オーケーの返事をもらえた。アンナのお陰でほぼ了承してもらえることが分かっていたので、ずるいともいえるが……。
でも、嬉しいよぉ~!
俺はジジの目を見つめながら歩み寄る。
ジジは潤んだ瞳で俺のことを見つめ返してくれた。
溢れる思いが抑えられず、気付くと俺の唇とジジの唇が触れ合っていた。
愛する女の子と初めてのキスだぁーーーーー!
前世も含めて初めての経験はとろけるようでありながら熱く柔らかく、想像を超える幸せの波が押し寄せてくるような気がした。
お互いの唇が離れてジジを見ると、ジジの瞳から美しい涙が零れていた。たぶん俺も涙を流しているのだろう。頬に涙が流れるのが感じられたからだ。
俺はずっと心に決めていたことジジに話す。
「俺は十八歳になったらジジと結婚しようと決めていた。正式な妻になるのはそれまで待って欲しい。だからそれまで婚約者としてジジを紹介したい」
「はい、私はそれで構いません」
くだらないこだわりかもしれないが、前世の成人年齢まで我慢しようとして決めてきたのだ。それは守り通したい。
パサッ!
不意になにかが落ちる音がした。
二人が同時に下を見ると、先ほどジジがアンナから受け取ったものが落ちていた。
驚くほど煽情的でありながら、不思議とジジに似合いそうな、ゲフン……。
目を見開いてそれを見ていると、恥ずかしそうにしていたジジが言った。
「き、着替えましょうか……」
いやいや、それは早すぎるからぁ~!
その日の夜、俺はジジと二人で過ごした。大人の階段を一段だけ上り、その場で何度も足踏みをしたのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
昨晩は気持ちが高ぶって寝られないかと思ったが、精神的に疲れたのかいつのまにか寝ていた。目を覚ますとジジが先に起きていて、横で笑顔を見せてくれた。
幸せだなぁ~。
朝から大人の階段で足踏みをして、着替えるとジジと手を繋いでリビングに下りていく。リビングでは目の下の隈の無くなったアンナが、笑顔で俺達を迎えてくれた。
「アンナ、今晩領主のアルベルトさんや奥様達と食事する予定だ。悪いけどお土産を用意してくれるかい?」
大人の階段をたった一段だが上がったことで、自分の中で自信が溢れ出るような気がした。だからこれまで違って、アンナに下着を用意するように俺から頼んだのだ。
大人になった俺は、そんなことで照れないぞ!
そんな俺の雰囲気を感じたのか、アンナは笑顔で答えてきた。
「わかりました。それなら奥様も一緒にお土産を選んでもらえると助かります。少しだけよろしいでしょうか?」
おうふ、は、早くも奥様呼び!
ちょっとそれは早すぎると思う。ジジも顔を赤らめていた。
「お、奥様と呼ぶのは早すぎるよ。正式に結婚するのは俺が十八歳になってからだ。それまでは婚約者としてジジを扱ってほしい!」
大人になった俺は、少しだけ動揺したが堂々とアンナに話した。アンナは不思議そうな表情を見せたが、すぐにジジを連れて奥に行ってしまった。
ご婦人用のお土産なら選ぶのに時間が掛かると思っていた。だがすぐに戻ってくる二人の声が聞こえてきた。
「ジジちゃん頑張らないとダメよ」
「い、いえ、私はこれくらいが……」
んっ、何を頑張るんだ?
疑問に感じているとリビングに二人が入ってきた。ジジは行く前より顔が赤くなっていて、アンナは軽蔑するように睨んできた。
えっ、な、なんで?
アンナに睨まれるようなことをした記憶はないので戸惑った。
「テ、テンマ様、お土産はアンナさんが準備してくれます」
疑問を感じていたが、ジジもアンナの表情に気付いて、焦ったように話してきた。なんか引っかかるが、それよりも朝食でジジのことをみんなに話すのが間に合うと考えた。
「そう、それなら急いでみんなとの朝食へ行こう!」
急いでジジの手を取り、リビングを後にしようとした。
「ケッ、ヘタレが……」
幻聴か?
後ろから、たぶんアンナの声で不穏な言葉が聞こえてきた。
俺は振り返って……、すぐにまた戻った。
オワッ、今度は幻覚か!
振り返った先には、恐ろしい表情のアンナがいた気がする。あまりの恐怖にすぐにまた振り返ったのだ。
アンナは元女神だから本当に美しい……、それがあれほど歪むのか!
顔が歪み、目をまるでゴミでも見るように俺を見ていた。額には血管やしわが寄り、口から唾でも吐いているような表情だった。
み、見なかったことにしよう!
俺はしっかりとジジの手を握り締め、新ドロテア屋敷の食堂へ向かうのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
俺達が朝食に到着すると、ちょうど朝食が始まるところだった。
ドロテアさんとサーシャさんは手を繋いで現れた俺達にイヤらしい視線を向けてきた。大人になった俺は気にせずジジをエスコートして席に着いた。
すぐに朝食が始まり、落ち着いたところで俺はみんなに話した。
「え~と、俺が十八歳になったら正式にジジと結婚する。それまでジジは俺の婚約者になる。みんなもそのつもりでいてくれ!」
ちょっと浮かれ気味にみんなに報告した。俺は早くみんなに話したくて我慢できなかった。
「「「おめでとう!」」」
みんなはすぐに声を揃えて祝ってくれた。俺とジジはそれに笑顔で答える。
サーシャ「ミーシャも頑張りなさい!」
ミーシャ「んっ、頑張る?」
ピピ「ピピもお兄ちゃんと結婚する~」
メイ「メイも結婚なのぉ~」
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エアル「ふふふっ、ようやくじゃ……」
ドロテア「そうじゃ、子種をな、クククッ」
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